JP4011513B2 - 電子写真用トナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真技術を用いたプリンタ又はファックス等の画像形成装置に適用される電子写真用トナーに関する。特にオイルレス定着用、フルカラー用及び/または非磁性一成分ジャンピング現像用の電子写真用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真技術を用いた画像形成装置の現像に適用される乾式現像剤は、トナーとフェライト粉、鉄粉、ガラスビーズ等からなるキャリアとが混合された二成分系現像剤、トナー自身に磁性粉末を含有させた磁性一成分系現像剤、及び非磁性一成分系現像剤とに概ね分けられる。これらの現像剤に用いられるトナーは、結着樹脂および着色剤を主成分としており、他に、記録シートへの低温定着性や定着部材での離型性を向上させるためのワックスや、極性(正帯電か負帯電)を付与するための帯電制御剤等が添加される。トナーはこれら材料が所定の配合で混合された後、溶融混練、粉砕、分級等の工程を経て粉体に製造され、最後に、流動性、帯電性、クリーニング性および保存性等の制御のために、シリカ、酸化チタン、アルミナおよび各種の樹脂微粒子等の外添剤を表面に付着され、最終的に現像剤として供される。
【0003】
これらの画像形成装置での定着装置において、定着ロールなどの定着部材にトナーが付着し堆積するいわゆるオフセットを防ぐためや、定着ロールへの記録シートの巻き付きを防止するために、シリコーンオイルなどの離型性の良いオイルを定着ロールに塗布することが行われてきた。しかし、この方法は、オイルタンクやオイル塗布装置が必要であり装置が複雑、大型となる。また、定着ロールの劣化をも引起こし、一定期間毎のメンテナンスを必要とした。さらにコピー用紙、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)用フィルムなどにオイルが付着することが不可避であり、とりわけOHP用フィルムにおいては、付着オイルによるカラー画像の色調が悪化するという問題がある。
【0004】
近年の画像形成装置においては、装置の小型化、メンテナンスの簡便化、省資源、経費の低減などを目的として、定着装置に離型オイルを使用しないオイルレスタイプのものが提供されるようになった。特にフルカラー用装置では、4色のトナーを使用するために現像装置、感光体ユニットの大型化は避けられず、画像形成装置全体を小型化するためには、定着装置を小型化することが望まれた。
離型オイルを使用しない場合、ワックスのような離型剤をトナー粒子中に多量に配合して離型オイルの機能を補完する方策が一般に採用されている。
【0005】
しかし、ワックスのような離型剤を多量に配合すると、トナーの流動性が低下し保存性が低下したり、感光体へのフィルミングによる黒点(ブラックスポット、BS)が発生したり、現像部材(現像ロール、層規制ブレードなど)への融着の発生によるスジなどの画像不良が発生するなどの問題が生じた。
従って、離型オイルを使用せず、かつワックスのような離型剤を多量に配合しなくても離型性のよいオイルレス定着用トナーが望まれていた。
【0006】
また、定着方式にかかわらず、結着樹脂の種類によっては、記録シートとトナーの接着性が悪いことがあり、特にOHP用フィルムのような表面が平滑な記録シートへの定着の場合は、記録シート表面に定着したトナーが剥がれてしまうという問題があった。
従って、結着樹脂の種類にかかわりなく記録シートへの接着性がよいことが望まれた。
【0007】
本発明者らは、上記の二つの課題に対し、トナー粒子中に環化ゴムを配合すると効果があることを見出した。
しかし、環化ゴムを使用すると、トナー粒子中での着色剤の分散が悪くなり、着色剤の凝集体が増加することが確認された。そして、着色剤の凝集体が増加することにより、画像濃度の低下、カブリの増加、色調の悪化などの問題が生じた。
【0008】
さらに近年、電子写真技術を応用した分野においても、自然環境保護のため資源の有効利用や廃棄物の削減の要求が高まってきた。画像形成装置の小型化もこの要求に対応する一つの動向であるが、トナーにおいてもトナー消費量の削減、及び転写効率の向上が求められている。
【0009】
一方、画質の高級化という要請に対して、フルカラー複写機及びフルカラープリンタが市場に登場し、その普及率は飛躍的に伸びると予想されていた。しかし、現状は予想をはるかに下回る普及率でしかない。フルカラー機はトナーを4色使用し、タンデム方式においては感光体ユニットも4体必要となるため、必然的にモノクロ機より大型化し、ランニングコストが掛かり、かつカラートナーの価格が高く、普及の大きな妨げとなっている。従って、カラートナーにおいては、トナーそのものの低価格化は勿論、トナー消費量の削減、及び転写効率の向上によるランニングコストの削減が、フルカラー機の普及にとって重要である。
【0010】
上記のような電子写真方式を利用した画像形成装置の小型化、フルカラー化、消耗品コストの低減、マシンコストの低減を指向するなかで、非磁性一成分ジャンピング現像方法が普及しつつある。非磁性一成分現像方法は、キャリアを使用する二成分現像方法に比べ画像形成装置を小型化するのに適し、トナー粒子中に磁性粉を含有しないのでフルカラー化に適合している。しかし、層規制部材による摩擦でトナーを帯電させるため他の現像方法に比べ、トナー粒子へのストレスが大きく、トナーが微粉化したり、現像部材(現像ロール、層規制部材など)へのトナーの融着が起こり易いため初期画質が良好であっても多数枚印字後の画質が劣化してしまうケースが多いのが現状である。
また、ジャンピング現像方法は、非接触現像ゆえにトナー粒子の飛翔性が画質に大きな影響を与える。飛翔性が劣ると画像濃度が出にくいとか、画像の緻密性などの画質の低下をもたらす。
【0011】
【特許文献1】
特開2002−23411号公報
【特許文献2】
特開2003−35971号公報
【特許文献3】
特開平8−283617号公報
【特許文献4】
特開昭60−87345号公報
【特許文献5】
特開平8−305076号公報
【特許文献6】
特開平63−13055号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、電子写真方式を採用した画像形成装置の小型化を指向する中で定着時のオフセットの防止、定着ロールへの巻き付き防止を実現し、記録シートへの接着性が優れ、かつ画像濃度の不足が起こらず、融着等の問題が多数枚連続プリント時においても発生せず、現像性が良好で画像欠陥が発生せず、耐久性に優れた電子写真用トナーを提供することである。
本発明の第2の目的は、オイルレス定着方式に適した電子写真用トナーを提供することである。
本発明の第3の目的は、トナー消費量の削減及び転写効率を高めることである。
本発明の第4の目的は、フルカラー用に適した電子写真用トナーを提供することである。
本発明の第5の目的は、非磁性一成分ジャンピング現像方法に適した電子写真用トナーを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子写真用トナーは、 少なくとも、結着樹脂、環化ポリイソプレン、無機微粒子、及び着色剤を熱溶融混練して得られる電子写真用トナーであって、
前記結着樹脂はカルボキシル基、水酸基のうち、少なくとも1つの官能基を有することを特徴とする電子写真用トナーである(請求項1)。
本発明の電子写真用トナーは、結着樹脂と環化ポリイソプレンの配合比率が重量比で98:2〜40:60であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用トナーである(請求項2)。
本発明の電子写真用トナーは、単位表面積当りの平衡吸着水分量が2×10−5g/m2以下である疎水性無機微粒子を1〜20%含有することを特徴とする請求項1もしくは請求項2のいずれかに記載の電子写真用トナーである(請求項3)。
本発明の電子写真用トナーは、無機微粒子のBET比表面積が10〜600m2/gであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真用トナーである(請求項4)。
本発明の電子写真用トナーは、誘電率が1.0〜2.3であり、かつ真比重が0.90〜1.15であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真用トナーである(請求項5)。
本発明の電子写真用トナーは、オイルレス定着用に使用されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真用トナーである(請求項6)。
本発明の電子写真用トナーは、フルカラー用に使用されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真用トナーである(請求項7)。
本発明の電子写真用トナーは、非磁性1成分ジャンピング現像方法に使用されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の電子写真用トナーである(請求項8)。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の電子写真用トナ−について説明する。
本発明の電子写真用トナーは、少なくとも、結着樹脂、環化ポリイソプレン、無機微粒子とを含有することが必要であり、必要に応じて帯電制御剤、離型剤、定着性向上剤、その他の添加剤を含有する。また、流動性向上剤などをトナー粒子表面に付着させることが好ましい。
【0015】
本発明の電子写真用トナーに使用する結着樹脂は、トナー用樹脂として一般的なポリスチレン系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、スチレン−アクリル酸エステル共重合体系樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、水添ロジン、ポリオレフィン系樹脂、シクロオレフィン共重合体樹脂等が単独、または複数種類混合して使用できる。
【0016】
また、結着樹脂はトナーの誘電率や真比重が後に説明する特定する範囲に入るように選択されることが好ましい。トナーの誘電率、真比重を特定する範囲に入れるには、誘電率や真比重が小さいポリオレフィン系樹脂やシクロオレフィン共重合体樹脂を含有することが好ましい。
【0017】
ポリオレフィン系樹脂としては、オレフィン系モノマーの単独重合体及び共重合体が挙げられ、これらの具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリー3−メチルー1ブテン、ポリペンテン、ポリー5−メチルー1−ヘキセン、ポリテトラデセン、ポリペンタデセン、ポリヘプタデセン、ポリオクタデセン、ポリノナデセン、ポリエイコセン及びこれらの重合体のモノマー成分の共重合体などが挙げられる。また、アクリル酸、アクリル酸エステル、メクリル酸、メタクリル酸エステル、ビニルアルコール、酢酸ビニル、無水マレイン酸、スチレン、塩化ビニルなどとの共重合体も挙げられる。
【0018】
シクロオレフィン共重合体樹脂は樹脂強度、透明性、溶融特性の点でも好ましい。シクロオレフィン共重合体樹脂とは、たとえばエチレン、プロピレン、ブチレン等のα−オレフィン(広義には非環式オレフィン)とシクロヘキセン、ノルボルネン、テトラシクロドデセン等の二重結合を持った脂環式化合物(シクロオレフィン)との共重合体である。このシクロオレフィン共重合体樹脂は、たとえばメタロセン系、チグラー系触媒を用いた重合法により得られた重合物である。
【0019】
シクロオレフィン共重合体樹脂の合成例としては、特開平5−339327号、特開平5−9223号、特開平6−271628号などに開示されている。シクロオレフィン共重合体樹脂をトナーに使用した例は、特開平9−101631号公報、特開2000−284528号公報などに記載されている。
【0020】
本発明に使用する結着樹脂は、カルボキシル基、水酸基のうち、少なくとも1つの官能基を有することが必要である。上記官能基を有することにより、記録シートへのトナーの接着性が向上し、特に記録シートの表面がOHPフィルムのような平滑なものの場合は好ましい。また、上記官能基を導入することにより、複数種類の樹脂を使用する場合の相溶性や、着色剤の分散を向上させる効果も認められる。
【0021】
本発明に使用する環化ゴムは、天然ゴムまたは合成ゴムを酸で処理することにより得られ、環化ポリイソプレンであることが記録シートとの接着性の点で必要である。具体的には、ソルーシア・ジャパン社よりAlpexCK450等の商品名で市販されている。
【0022】
本発明の電子写真用トナーは、結着樹脂と環化ポリイソプレンの配合比率が重量比で98:2〜40:60であることが好ましく、98:2〜50:50がより好ましく、97:3〜60:40が更に好ましい。
環化ゴムの配合比率が2重量%未満では、オフセットや定着ロールへの記録シートの巻き付きが起こりやすくなり、樹脂の種類によっては記録シートへのトナーの接着性が悪くなることがある。逆に、環化ポリイソプレンの配合比率が60重量%を越えるとトナーの耐久性が低下し、現像部材への融着によるスジ状の画像不良や、地カブリの程度の上昇が早期に発生する傾向となると共に、オフセットや巻き付きも起こり易くなる。
【0023】
本発明の電子写真用トナー粒子に含有される無機微粒子としては、シリカ、酸化チタン、アルミナ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化鉄などが挙げられるが、フルカラー用の場合は、無色あるいは淡色のものが好ましく、シリカや、酸化チタンが好ましく使用される。
無機微粒子は、溶融混練工程で原材料の混合物を増粘させて、せん断力を作用せしめるので、環化ゴムによる着色剤の分散性低下を解消する作用がある。
【0024】
無機微粒子の配合量は、トナー粒子中に1〜20重量%であることが好ましく、1.5〜18重量%がより好ましく、2〜15重量%がさらに好ましい。1重量%未満であると増粘効果が薄れて着色剤などの分散が悪化し、色調(色の鮮やかさ)の悪化、画像濃度の低下、カブリの増加など画像特性に支障をきたす傾向となる。一方、20重量%を越えると結着樹脂中に分散しにくくなり、トナー化しにくくなるし、また色の鮮やかさも低下する傾向となる。
【0025】
無機微粒子は疎水化処理されていることが好ましく、単位表面面積あたりの平衡吸着水分量は2×10−5g/m2以下であることが好ましい。平衡吸着水分量が2×10−5g/m2を越えると、高湿度環境下で、水分を吸着して帯電量の低下、地カブリの悪化を引き起こす傾向となる。また、流動性も悪化しやすくなり現像機内でのトナー搬送性に支障をきたし、画像ムラ等の問題を引き起こすことがある。
【0026】
本発明に使用される上記の平衡吸着水分量を有する疎水性無機微粒子は、シランカップリング剤およびポリシロキサン(シリコーンオイル)等の公知の表面処理剤によって高度に表面疎水化処理されることによって得ることができる。具体的には、例えば、ヘキサメチルジシラザンやジメチルジクロルシランをエタノールに溶解し、流動状態の未処理無機微粒子に適量を噴霧した後、加熱してエタノールを揮発させる。この作業を適宜繰り返すか、処理前の量を調整することによって、高度に表面処理された疎水性無機微粒子が得られる。
【0027】
なお、単位表面積当りの平衡吸着水分量は、以下の方法によって測定される。
1.無機微粒子の比表面積A(m2/g)をBET法によって測定する。
2.無機微粒子を25℃/80%RHの条件で45日間放置し、放置後の平衡吸着水分量B(重量%)をカールフィッシャー法で測定する。
3.次式から、単位表面積あたりの平衡吸着水分量C(g/m2)を求める。
C=B/(A×100)
【0028】
無機微粒子のBET比表面積は10〜600m2/gであることが好ましい。BET比表面積が10m2/g未満であると増粘効果が薄れて着色剤などの分散性が悪化する。それにより、IDの低下、カブリ増加、色調の悪化等、画像特性に支障をきたす傾向となる。BET比表面積が600m2/gを超えても特に問題がないが、トナー材料として使用する原材料としては600m2/g以下が工業的生産ができる範囲である。
【0029】
BET比表面積の測定方法は下記のとおりである。
市販の高精度自動ガス吸着装置(例えば、日本ベル社製、商品名:BELSORP28など)によって測定する。この場合、BET比表面積は吸着ガスとして不活性ガスであるN2ガスを用いるものである。具体的には試料の表面に単分子層を形成するのに必要な吸着量Vm(cc/g)を測定し、次式においてBET比表面積S(m2/g)を求めることができる。
S=4.35×Vm(m2/g)
【0030】
本発明の電子写真用トナーに使用される着色剤は、ブラック用顔料としてはカーボンブラックが、マゼンタ用顔料としてはC.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50,51、52、53、54、55、57−1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、184、202、206、207、209;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレット1、2,10、13、15、23、29、35等が、シアン用顔料としてはC.I.ピグメントブル−2、3、15、16、17;C.I.バットブル−6;C.I.アシッドブル−45等が、イエロ−用顔料としてはC.I.ピグメントイエロ−1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、65、73、74、83、94、97、155、180などが単独もしくは混合されて用いられる。フルカラー用としては、マゼンタ用顔料はC.I.ピグメントレッド57−1、122、シアン用顔料はC.I.ピグメントブルー15、イエロー用顔料はC.I.ピグメントイエロー17、93、155、180が混色性が良いので色調の再現性に優れ好ましい。
【0031】
着色剤は、十分な画像濃度の可視像が形成されるのに必要な量が含有されればよいが、例えば、トナー粒子100重量部中に1.0〜20重量部程度の割合で含有されることが好ましく、3.0〜8.0重量部がより好ましい。20重量部を越えるとプリント画像の透明性が低下し、1.0重量部未満では十分な画像濃度が得られない。
【0032】
着色剤のトナー粒子中での分散の程度は、色調、画像濃度、カブリなどに対して重要である。着色剤のトナー粒子中での分散の程度は、トナー粒子中の着色剤の1μm2以上の凝集体の面積比率で表わすことができる。
着色剤の1μm2以上の凝集体の面積比率は1〜20%が好ましい。1%未満の場合は、連続複写時において画像濃度が低くなり、20%越える場合は連続複写時において画像濃度低下、地カブリの悪化、色調の悪化等の画像特性が悪化する傾向となる。
また、フルカラー用としては、着色剤の分散をより良好にするためには、着色剤を予め結着樹脂として使用する樹脂中に高濃度に分散させたマスターバッチを使用することも好ましい。
【0033】
本発明においては、オフセット防止や、定着ロールへの記録シートの巻き付きの防止のために離型剤としてワックスを含有することが好ましい。ワックスとしては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、変性ポリエチレンワックスなどのポリオレフィン系ワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの合成ワックス、パラフィンワックス、マイクロワックスなどの石油系ワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、硬化ひまし油などが挙げられる。
ワックスの添加量はトナー粒子全体に対して、1.0〜8.0重量%であることが好ましい。1.0重量%未満では十分な離型性が得られず、8.0重量%を越えるとフィルミングや融着の原因となりやすい。
ワックスは、2種類以上を併用することも可能であるが、定着ロールへの巻付き改善の点で少なくとも1種類はフィッシャートロプシュワックスであることが好ましく、天然ガス系フィッシャートロプシュワックスがより好ましい。
DSCの発熱ピークで示される融点はすべてのワックスが80℃以上であることが好ましい。融点が80℃未満であるとトナー粒子のブロッキングが起り易くなり耐久性に問題を生じる。また、少なくとも1種類は110℃以下であることが好ましい。全てのワックスの融点が110℃以上であると、定着時に離型性を発揮し難くなりオフセットを発生しやすくなる。
【0034】
ワックスの融点の測定方法は下記のとおりである。
試料を約10mg計量してアルミ製セルに入れて、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ社製、商品名:SSC−5200)に載置し、1分間に50mlのN2ガスを吹き込む。そして、20〜200℃の間を1分間あたり10℃の割合で昇温させ、次に200℃から20℃に急冷させる過程を2回繰り返して、2回目の昇温時のピーク温度を融点とする。
【0035】
帯電制御剤は必要に応じて添加すればよい。トナーに極性を付与するために添加される帯電制御剤は、正帯電トナー用と負帯電トナー用とに分けられる。正帯電トナー用としては、ニグロシン染料、第4級アンモニウム塩、ビリジニウム塩およびアジン、カチオン性官能基を有する低分子量ポリマー等が用いられる。また、負帯電トナー用としては、アゾ系含金属錯体、サリチル酸系金属錯体、ホウ素系錯体、アニオン性官能基を有する低分子量ポリマー等が用いられる。好ましい添加量はトナー粒子全体に対して0.1〜5重量%である。0.1重量%未満では帯電不良によるトナー飛散等の問題が発生しやすく、5重量%を越えると過剰帯電による画質悪化が発生しやすい傾向となる。フルカラー用トナーの場合は無色または淡色のものが選択されアゾ系、サリチル酸系の亜鉛錯体やクロム錯体、ホウ素系錯体などが好ましい。なお、上記の帯電制御剤を単独又は混合して使用してもかまわない。
【0036】
本発明のトナーは、誘電率が1.0〜2.3であることが好ましく、より好ましくは1.0〜2.0である。誘電率は転写効率に影響し、誘電率が大きく、2.3を越えると転写効率は悪化する傾向になる。
誘電率は、結着樹脂の誘電率、添加剤の種類や添加量、溶融混練条件などで決まる。
【0037】
本発明のトナーは、真比重が0.90〜1.15であることが好ましく、より好ましくは、0.90〜1.11、さらに好ましくは0.90〜1.08である。真比重は飛翔性に関係し、真比重が低い方が飛翔性が良好な傾向にある。真比重が1.15越えると飛翔性が悪化するため、画像の緻密性等の画像品質が悪化し、また、トナー消費量が増加する傾向となる。
真比重は、結着樹脂の真比重、添加剤の種類や添加量などで決まる。
【0038】
本発明を構成するトナー粒子は、上記材料が所定の配合で混合され、その混合物が、溶融混練、粉砕、分級といった工程を経ることにより製造される。また、上記結着樹脂のモノマーと他の材料を用いて重合法によりトナー粒子を得てもよい。
本発明のトナーの体積平均粒子径は、5.0μm〜15.0μmが好ましく、7.0〜10.0μmがより好ましい。7.0μm未満では微粉量の増加による画像悪化が発生し、15.0μmを越えると緻密性が損なわれることによる画質悪化が発生する傾向となる。
体積平均粒子径はコ―ルターカウンター法にて測定した値である(測定機:ベックマンコールター(株)製コールター・マルチサイザーII型、測定条件:アパーチャ径100μm、チャンネル1〜16)。
【0039】
本発明のトナーは、トナー粒子に対して流動化剤としての疎水性シリカ微粒子が0.5重量%〜3.0重量%付着していることが好ましい。0.5重量%未満では流動性の低下を招いたり、感光体や帯電部材への融着が発生しやすくなり、3.0重量%を越えると過剰な外添剤がトナーから脱離し、トナーの帯電を妨害するため、帯電性への悪影響を発生したり、感光体を傷つけ、黒点(BS)が発生しやすくなる。
また、疎水性シリカ微粒子は、体積平均粒子径が30〜70nm程度の大粒径疎水性シリカと体積平均粒子径が10〜30nm程度の中粒径疎水性シリカとを併用することが好ましい。このような外添処方を取ることにより、さらに安定した耐融着特性を得ることができる。
【0040】
トナーには上記疎水性シリカの他に、トナーの流動性、帯電性、クリーニング性及び、保存性等の制御のために、酸化チタン、アルミナ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムまたは、各種の樹脂等の微粒子が外添剤として付着されていてもよい。
トナー粒子に上記微粒子を付着させるためには、タービン型攪拌機、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の一般的な攪拌機により混合して攪拌する等の方法が挙げられる。
【0041】
次に、本発明の電子写真用トナーを使用した現像方法の1例として、非磁性一成分ジャンピング現像方法について説明する。図1は、非磁性一成分現像方法に使用する現像装置の概略構成図である。図中、1は円筒状の静電潜像保持体である感光体ドラム、2はホッパー、3は非磁性一成分現像剤、4は層規制部材、5は非磁性一成分現像剤を担持する現像ローラー、6は攪拌機、7は電源である。この現像装置においては、感光体ドラム1上には、公知の電子写真法によって静電潜像が形成される。ホッパー2内には非磁性一成分現像剤3が収容されており、非磁性一成分現像剤3は、層規制部材4によって現像ローラー5のスリーブ上に一定の層厚になるように担持されるとともに層規制部材4との摩擦により電荷が付与され搬送される。該現像ローラーには直流または交流のバイアス電圧を印加する。現像ローラー5に担持された非磁性一成分現像剤は、現像ローラー5の回転により搬送されて、静電潜像を有する感光体ドラム1との間隙を、現像ローラー5との電位差によって飛翔し感光体ドラム1の表面に現像され静電潜像の顕像化が行われる。
本発明を構成する現像器の部材には、通常非磁性1成分現像方法に使用される部材が使用可能である。例えば現像ローラー及び帯電ブレードの部材には金属、シリコーンゴム、ウレタンゴム等が使用可能である。
【0042】
【実施例】
以下、実施例および比較例に基づき本発明を説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>・・トナーAの作製
・ポリエステル樹脂 74.7重量部
(三菱レイヨン社製、商品名:FC−316)
・環化ポリイソプレン 8.3重量部
(ソルーシア・ジャパン社製、商品名:Alpex CK450)
・疎水性シリカA 5.0重量部
(平衡吸着水分量:1.1×10−5g/m2、比表面積:210m2/g)
・フィッシャートロプシュワックス 6.0重量部
(日本精鑞社製、商品名:FT−100、融点93℃、天然ガス系)
・アゾ系亜鉛錯塩 2.0重量部
(オリエント化学工業社製、商品名:ボントロンE−84)
・マゼンタ顔料 4.0重量部
(クラリアント社製、商品名:Toner Magenta 6B、CI.ピグメントレッド57-1)
上記の配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合し、二軸のエクストルーダーにて熱溶融混練後、ジェットミルにて粉砕し、その後乾式気流分級機で分級して体積平均粒径が9μmのトナー粒子を得た(結着樹脂:環化ゴム=90:10)。
そして、該トナー粒子に対して体積平均粒子径40nmの疎水性シリカ(日本アエロジル社製 商品名:RY−50)を0.3重量%と体積平均粒子径が15nmの中粒径疎水性シリカ(ワッカーケミカル社製、商品名:H2000/4M)を1.0重量%とを添加し、ヘンシェルミキサーにて周速40m/sec、4分間混合し、本発明のトナーAを得た。
【0043】
<実施例2>・・トナーBの作製
実施例1のポリエステル樹脂をスチレンーアクリル酸エステル共重合体樹脂(三井化学社製、商品名:CPR−100)としたこと以外は実施例1と同様にして本発明のトナーBを得た(結着樹脂:環化ゴム=90:10)。
【0044】
<実施例3>・・トナーCの作製
実施例1のポリエステル樹脂を線状低密度ポリエチレン樹脂(比重0.925g/cm3)としたこと以外は実施例1と同様にして本発明のトナーBを得た(結着樹脂:環化ゴム=90:10)。
【0045】
<実施例4>・・トナーDの作製
実施例1のポリエステル樹脂をシクロオレフィン共重合体樹脂A(ティコナ社製、商品名:TOPAS COC、重量平均分子量(Mw):200,000、数平均分子量(Mn):5,000、Mw/Mn:40)としたこと以外は実施例1と同様にして本発明のトナーDを得た(結着樹脂:環化ゴム=90:10)。
【0046】
<実施例5>・・トナーEの作製
実施例1のポリエステル樹脂をシクロオレフィン共重合体樹脂B(シクロオレフィン共重合体樹脂Aに、溶融空気酸化法により無水マレイン酸を反応させ、2.0モル%マレイン酸変性したもの)としたこと以外は実施例1と同様にして本発明のトナーEを得た(結着樹脂:環化ゴム=90:10)。
【0047】
<実施例6>・・トナーFの作製
下記の配合比としたこと以外は実施例1と同様にして本発明のトナーFを得た(結着樹脂:環化ゴム=90:10)。
・ポリエステル樹脂 29.9重量部
(三菱レイヨン社製、商品名:FC−316)
・シクロオレフィン共重合体樹脂A 44.8重量部
(ティコナ社製、商品名:TOPAS COC、重量平均分子量(Mw):
200,000、数平均分子量(Mn):5,000、Mw/Mn:40)
・環化ポリイソプレン 8.3重量部
(ソルーシア・ジャパン社製、商品名:Alpex CK450)
・ 疎水性シリカA 5.0重量部
(平衡吸着水分量:1.1×10−5g/m2、比表面積:210m2/g)
・フィッシャートロプシュワックス 6.0重量部
(日本精鑞社製、商品名:FT−100、融点93℃、天然ガス系)
・アゾ系亜鉛錯塩 2.0重量部
(オリエント化学工業社製、商品名:ボントロンE−84)
・マゼンタ顔料 4.0重量部
(クラリアント社製、商品名:Toner Magenta 6B、CI.ピグメントレッド57-1)
【0048】
<実施例7>・・トナーGの作製
下記の配合比としたこと以外は実施例1と同様にして本発明のトナーGを得た(結着樹脂:環化ゴム=45:55)。
・シクロオレフィン共重合体樹脂A 37.4重量部
(ティコナ社製、商品名:TOPAS COC、重量平均分子量(Mw):
200,000、数平均分子量(Mn):5,000、Mw/Mn:40)
・環化ポリイソプレン 45.6重量部
(ソルーシア・ジャパン社製、商品名:Alpex CK450)
・疎水性シリカ 5.0重量部
(平衡吸着水分量:1.1×10−5g/m2、比表面積:210m2/g)
・フィッシャートロプシュワックス 6.0重量部
(日本精鑞社製、商品名:FT−100、融点93℃、天然ガス系)
・アゾ系亜鉛錯塩 2.0重量部
(オリエント化学工業社製、商品名:ボントロンE−84)
・ マゼンタ顔料 4.0重量部
(クラリアント社製、商品名:Toner Magenta 6B、CI.ピグメントレッド57-7)
【0049】
<実施例8>・・トナーHの作製
下記の配合比としたこと以外は実施例1と同様にして本発明のトナーGを得た(結着樹脂:環化ゴム=97:3)。
・シクロオレフィン共重合体樹脂A 80.5重量部
(ティコナ社製、商品名:TOPAS COC、重量平均分子量(Mw):
200,000、数平均分子量(Mn):5,000、Mw/Mn:40)
・環化ポリイソプレン 2.5重量部
(ソルーシア・ジャパン社製、商品名:Alpex CK450)
・疎水性シリカA 5.0重量部
(平衡吸着水分量:1.1×10−5g/m2、比表面積:210m2/g)
・フィッシャートロプシュワックス 6.0重量部
(日本精鑞社製、商品名:FT−100、融点93℃、天然ガス系)
・アゾ系亜鉛錯塩 2.0重量部
(オリエント化学工業社製、商品名:ボントロンE−84)
・マゼンタ顔料 4.0重量部
(クラリアント社製、商品名:Toner Magenta 6B、CI.ピグメントレッド57-1)
【0050】
<実施例9>・・トナーIの作製
下記の配合比としたこと以外は実施例1と同様にして本発明のトナーGを得た(結着樹脂:環化ゴム=90:10)。
・シクロオレフィン共重合体樹脂A 77.4重量部
(ティコナ社製、商品名:TOPAS COC、重量平均分子量(Mw):
200,000、数平均分子量(Mn):5,000、Mw/Mn:40)
・環化ポリイソプレン 8.6重量部
(ソルーシア・ジャパン社製、商品名:Alpex CK450)
・疎水性シリカA 2.0重量部
(平衡吸着水分量:1.1×10−5g/m2、比表面積:210m2/g)
・フィッシャートロプシュワックス 6.0重量部
(日本精鑞社製、商品名:FT−100、融点93℃、天然ガス系)
・アゾ系亜鉛錯塩 2.0重量部
(オリエント化学工業社製、商品名:ボントロンE−84)
・マゼンタ顔料 4.0重量部
(クラリアント社製、商品名:Toner Magenta 6B、CI.ピグメントレッド57-1)
【0051】
<実施例10>・・トナーJの作製
下記の配合比としたこと以外は実施例1と同様にして本発明のトナーGを得た(結着樹脂:環化ゴム=90:10)。
・シクロオレフィン共重合体樹脂A 63.0重量部
(ティコナ社製、商品名:TOPAS COC、重量平均分子量(Mw):
200,000、数平均分子量(Mn):5,000、Mw/Mn:40)
・環化ポリイソプレン 7.0重量部
(ソルーシア・ジャパン社製、商品名:Alpex CK450)
・疎水性シリカA 18.0重量部
(平衡吸着水分量:1.1×10−5g/m2、比表面積:210m2/g)
・フィッシャートロプシュワックス 6.0重量部
(日本精鑞社製、商品名:FT−100、融点93℃、天然ガス系)
・アゾ系亜鉛錯塩 2.0重量部
(オリエント化学工業社製、商品名:ボントロンE−84)
・マゼンタ顔料 4.0重量部
(クラリアント社製、商品名:Toner Magenta 6B、CI.ピグメントレッド57-1)
【0052】
<実施例11>・・トナーKの作製
実施例4の疎水性シリカAを疎水性シリカB(平衡吸着水分量:1.9×10−5g/m2、比表面積:210m2/g)としたこと以外は実施例4と同様にして本発明のトナーKを作製した(結着樹脂:環化ゴム=90:10)。
【0053】
<実施例12>・・トナーLの作製
実施例4の疎水性シリカAを疎水性シリカC(平衡吸着水分量:1.1×10−5g/m2、比表面積:15m2/g)としたこと以外は実施例4と同様にして本発明のトナーKを作製した(結着樹脂:環化ゴム=90:10)。
【0054】
<実施例13>・・トナーMの作製
実施例4の疎水性シリカAを疎水性酸化チタン(平衡吸着水分量:1.1×10−5g/m2、比表面積:210m2/g)としたこと以外は実施例4と同様にして本発明のトナーMを作製した(結着樹脂:環化ゴム=90:10)。
【0055】
<比較例1>・・トナーNの作製
下記の配合比としたこと以外は実施例1と同様にして本発明のトナーGを得た(結着樹脂:環化ゴム=100:0)。
・シクロオレフィン共重合体樹脂A 83.0重量部
(ティコナ社製、商品名:TOPAS COC、重量平均分子量(Mw):
200,000、数平均分子量(Mn):5,000、Mw/Mn:40)
・疎水性シリカA 5.0重量部
(平衡吸着水分量:1.1×10−5g/m2、比表面積:210m2/g)
・フィッシャートロプシュワックス 6.0重量部
(日本精鑞社製、商品名:FT−100、融点93℃、天然ガス系)
・アゾ系亜鉛錯塩 2.0重量部
(オリエント化学工業社製、商品名:ボントロンE−84)
・マゼンタ顔料 4.0重量部
(クラリアント社製、商品名:Toner Magenta 6B、CI.ピグメントレッド57-1)
【0056】
<比較例2>・・トナーOの作製
下記の配合比としたこと以外は実施例1と同様にして本発明のトナーGを得た(結着樹脂:環化ゴム=0:100)。
・環化ポリイソプレン 83.0重量部
(ソルーシア・ジャパン社製、商品名:Alpex CK450)
・疎水性シリカA 5.0重量部
(平衡吸着水分量:1.1×10−5g/m2、比表面積:210m2/g)
・フィッシャートロプシュワックス 6.0重量部
(日本精鑞社製、商品名:FT−100、融点93℃、天然ガス系)
・アゾ系亜鉛錯塩 2.0重量部
(オリエント化学工業社製、商品名:ボントロンE−84)
・マゼンタ顔料 4.0重量部
(クラリアント社製、商品名:Toner Magenta 6B、CI.ピグメントレッド57-1)
【0057】
<比較例3>・・トナーPの作製
下記の配合比としたこと以外は実施例1と同様にして本発明のトナーGを得た(結着樹脂:環化ゴム=90:10)。
・シクロオレフィン共重合体樹脂A 79.2重量部
(ティコナ社製、商品名:TOPAS COC、重量平均分子量(Mw):
200,000、数平均分子量(Mn):5,000、Mw/Mn:40)
・環化ポリイソプレン 8.8重量部
(ソルーシア・ジャパン社製、商品名:ALPEX CK450)
・フィッシャートロプシュワックス 6.0重量部
(日本精鑞社製、商品名:FT−100、融点93℃、天然ガス系)
・アゾ系亜鉛錯塩 2.0重量部
(オリエント化学工業社製、商品名:ボントロンE−84)
・マゼンタ顔料 4.0重量部
(クラリアント社製、商品名:Toner Magenta 6B、CI.ピグメントレッド57-1)
【0058】
<トナーの物性の測定>
トナーA〜Pの誘電率、真比重、着色剤の分散の程度(着色剤の凝集体の面積比率)を下記の方法で測定し、表1に記載した。
1) トナーの誘電率
トナーを200kg/cm2の圧力で直径25mm、厚さ4〜4.5mmの円板状ペレットに成型し、SE―70型固体電極(安藤電気社製)にセットする。その後、2500A型キャパシタンスブリッジ(ANDEEN―HAGERLING社製)にて、1KHzでのトナーのキャパシタンスを測定し、下記式により誘電率を算出した。
誘電率ε=C・d/ε0
C:キャパシタンス(pF)
d:ペレットの厚さ(mm)
ε0:真空中の誘電率(8.86×10−12pF/m)
S:有効電極面積(mm2)
2)トナーの真比重:JIS K0061 5.2 比重瓶法に準じて測定した。
3)着色剤の凝集体の面積比率
トナー粒子を熱溶融したエポキシ樹脂に練り込んで包み込んだ後、エポキシ樹脂を硬化させ、ミクロトームで約0.3μmの厚さの切片を作製し、透過電子顕微鏡(TEM)を用いて10000倍でトナーの断層形態を撮影した。この写真画像を画像処理装置「ルーゼックスFS」(ニレコ社製)にて画像解析を行ない、トナー粒子の断面での着色剤の凝集体の面積比を得ることができる。この場合、画像解析は10視野について繰り返して行い、各視野についてトナー粒子の断面に分布する着色剤の中で特に1μm2以上の着色剤の凝集体の面積比率を求め、その平均値をもって1μm2以上の着色剤の凝集体の面積比率とする。
【0059】
<画像の評価、トナーの消費量・転写効率の測定>
25℃、55%RHの常温常湿環境(N/N)及び、32℃、85%RHの高温高湿環境(H/H)にて、トナーA〜Pの各トナーを非磁性一成分ジャンピング方法であるミノルタQMS社のQMS2200の現像機に投入し、画像比率が5%のA4の転写紙に6000枚まで複写し、トナーA〜Pの画像濃度(ID)、カブリ(BG)、黒点(BS)・融着、色調の鮮やかさを下記の方法で評価し、また、トナーの消費量・転写効率を測定し、結果を表2に示した。
1.画像濃度(ID):ベタ画像部をマクベス反射濃度計RD−914で測定した。実用上問題ないレベルは、1.10〜1.90である。
2.カブリ(BG):日本電色工業社製のカラーメーターZE2000で非画像部の白色度を測定し、複写前後の白色度の差で示した。実用上問題ないレベルは、0.70以下である。
3.黒点(BS)・融着:目視により、感光体のBS、現像ロール・層規制ブレードの融着、記録紙の画像を確認した。
評価基準 ○:BSおよび融着とも発生していないもの。
△:BSは発生していないが、現像ロール上に軽微な筋が確認されたもの。
△×:現像ロール上にはっきりとした筋が確認されたもの、もしくは感光体上に軽微なBSが確認されたもの(実用上は問題ない)。
×:画像上に融着もしくはBSによる画像欠陥が確認されたもの。
4.画像の色調の鮮やかさ:記録紙の画像を目視にて観察した。
評価基準 ○:画像の色調が鮮やか。
△:画像の色調がややくすんでいる(フルカラー用として実用可能な範囲)。
×:画像の色調がくすんでいる。
5.トナー消費量:6000枚複写した後のトナ−減少量を測定しトナー消費量を求めた。目標とした値は115g以下である。実用可能な範囲は130g以下である。
6.転写効率:6000枚複写した後のトナー消費量と回収トナー量の差から求めた。目標とした値は75%以上である。実用可能な範囲は65%以上である。
転写効率(%)=(トナー消費量−回収トナー量)×100/トナー消費量
【0060】
<定着性の評価>
下記の方法で、定着ロールへのOHPフィルムの巻き付き、オフセット、OHPフィルムでの接着性を評価し、結果を表3に示した。
トナーA〜Pの各トナーを用いて、定着機を外した2成分複写機にて一定面積(18cm2)の未定着画像サンプルを得た。この時、現像剤のトナー濃度、感光体の表面電位、露光量、転写条件の調整によりOHPフィルム上のトナー付着量を1.8mg/cm2に設定した。この時のトナー付着量の確認は未定着トナーをOHPフィルム上からエアガンにより取り除いた際の前後の重量により行なった。調整した未定着画像は上下共にゴムローラを使用した外部定着機により、プロセススピード42mm/sec、ローラ表面温度160℃、180℃、200℃で定着させた。
1) 定着ロールへの巻き付き:OHPフィルムが定着ロールを通過する際のロールへの巻き付き度合を目視により確認した。
評価基準 ○:ロールへの付着全くなし。
○△:ロールへ僅かに付着する程度。排紙については全く問題ない。
△:ロールへ若干付着するが、排紙についてはほぼ問題なく、実用上の問題はない。
×:ロールへ巻き付き、排紙できない。
2)オフセット:OHPフィルム上の画像を目視により確認した。
評価基準 ○:オフセットが発生していない。
△:画像面あるいは裏面が若干汚染しているが、実用可能な範囲である。
×:画像面に、はっきりとオフセットが発生している。
3) OHPフィルムへの接着性:定着後の画像部を軽く折り曲げた時の状態を目視で確認した。
評価基準 ◎:折り曲げても画像に全くヒビが発生せず、OHPフィルムとしっかり接着している。
○:折り曲げて、画像に僅かにヒビが発生するが、全く剥がれずにしっかりと接着している。
△:折り曲げて、画像に長いヒビが入るが、剥がれずに接着していて実用上は問題ない。
×:折り曲げて、画像が剥がれる。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
<評価結果>
表1にはトナーの配合と物性値を示し、表2には画像特性、表3には定着性を示すが、実施例1〜13の本発明のトナーA〜Mは画像特性、トナー消費量・転写効率、定着特性において実用上の問題がないものであった。
それに対し、比較例1のトナーNは環化ゴムを含有しないため、200℃での定着ロール巻き付きやOHPフィルムへの接着性が悪かった。
比較例2のトナーOは結着樹脂を含有しないため、画像濃度が小さく、カブリが多く、BSや融着が発生し、かつ、200℃で定着ロールへの巻き付きやオフセットの問題が生じた。
比較例3のトナーPは無機微粒子を含有しないため、画像濃度が小さく、カブリが多く、色の鮮やかさに劣った。
以上のように、本発明の構成要件のいずれかを欠く比較例1〜3のトナーN〜Pは実用に耐えないものであった。
【0065】
【発明の効果】
本発明の第1の効果は、電子写真方式を採用した画像形成装置の小型化を指向する中で定着時のオフセットの防止、定着ロールへの巻き付き防止を実現し、記録シートへの接着性が優れ、かつ画像濃度の不足が起こらず、融着等の問題が多数枚連続プリント時においても発生せず、現像性が良好で画像欠陥が発生せず、耐久性に優れた電子写真用トナーを提供できることである。
本発明の第2の効果は、オイルレス定着方式に適した電子写真用トナーを提供することができることである。
本発明の第3の効果は、トナー消費量の削減、及び転写効率を高めることができることである。
本発明の第4の効果は、フルカラー用に適した電子写真用トナーを提供することができることである。
本発明の第5の効果は、非磁性一成分ジャンピング現像方法に適した電子写真用トナーを提供することができることである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真用トナーを用いた非磁性一成分ジャンピング現像方式の装置の一例の概略説明図。
【符号の説明】
1 感光体ドラム
2 ホッパー
3 非磁性一成分現像剤
4 層規制部材
5 現像ローラー
6 攪拌機
7 電源
Claims (8)
- 少なくとも、結着樹脂、環化ポリイソプレン、無機微粒子、及び着色剤を熱溶融混練して得られる電子写真用トナーであって、
前記結着樹脂はカルボキシル基、水酸基のうち、少なくとも1つの官能基を有することを特徴とする電子写真用トナー。 - 結着樹脂と環化ポリイソプレンの配合比率が重量比で98:2〜40:60であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用トナー。
- 単位表面積当りの平衡吸着水分量が2×10−5g/m2以下である疎水性無機微粒子を1〜20%含有することを特徴とする請求項1もしくは請求項2のいずれかに記載の電子写真用トナー。
- 無機微粒子のBET比表面積が10〜600m2/gであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真用トナー。
- 誘電率が1.0〜2.3であり、かつ真比重が0.90〜1.15であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真用トナー。
- オイルレス定着用に使用されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真用トナー。
- フルカラー用に使用されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真用トナー。
- 非磁性1成分ジャンピング現像方法に使用されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の電子写真用トナー。
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