JP2010026338A - 静電荷像現像用トナー及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】巻付き現象が発生しにく、更に高い光沢性を有する、静電荷現像用トナーの提供。
【解決手段】着色剤、結着樹脂として脂環式オレフィン及びワックスを含有する静電荷像現像用粉砕法トナーにおいて、前記ワックス源としてフィッシャートロプッシュワックス、酸性オレフィンワックス、エステルのワックスエマルジョンワックスを用いて製造されたことを特徴とする静電荷像現像用粉砕法トナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法等に用いられる静電荷像現像用トナー及びその製造方法に関する。
従来、静電荷像現像用トナーの主成分である結着樹脂として、スチレン−アクリル系樹脂やポリエステル系樹脂が一般的に用いられている。最近、これらとは異なる結着樹脂として、環状オレフィン・コポリマー(COC)を代表とする脂環式オレフィン系樹脂(シクロオレフィン系樹脂)が用いられる例が多数報告されている(例えば、特許文献1)。これらの脂環式オレフィン系樹脂は、高透明性を有することや、低温定着性に優れていること、シャープな分子量分布を有することや、良好な粉砕性を有すること、低吸水性を有していること、無公害であること等、様々な利点を有するため、優れた結着樹脂として利用されることが期待されている。しかし、市販の脂環式オレフィン系樹脂は、一般的に分子量分布が狭いために、トナーの定着時において、巻付き現象が発生しやすいといった問題を有していた。
これに対して、特許文献1において、脂環式オレフィン樹脂とワックスを混合して使用する系に、構造中に二重結合を有するセグメントを有する樹脂や、環化ポリイソプレンを添加することが報告されている。これにより、ワックスと前記樹脂の相溶性を適度な状態として、極端な粘度低下や粘性の発生を防止し(弾性付与)、結果、巻付き現象が発生しにくいトナーを提供できるとしている。また、特許文献2、3によれば、脂環式オレフィン系樹脂に対して熱可塑性エラストマーを添加することにより、巻付き現象が起こらないトナーを提供できるとしている。
上記先行文献のように環化ポリイソプレンや可塑性エラストマーを添加すると、巻き付き現象の問題が解決できたとしても、脂環式オレフィン系樹脂トナーによる画像の光沢が失われるという、新たな問題が発生する。即ち、巻付き現象と脂環式オレフィン系樹脂トナーの光沢性の問題は、トレードオフの関係にあった。これに対して、光沢改善した画像を得ることができるトナーの製造方法として、結着樹脂、着色剤、ワックスを溶融混練した後に急冷することで混練物中に微分散した状態のワックスが再凝集することなく固定化され、この混練物を粉砕、分級してワックスが微分散したトナーを製造する方法が提案されている(特許文献4)。但し、脂環式オレフィン樹脂との組合せについては特に触れられていない。
特開2003−35971号公報 特開平11−52615号公報 特開2005−292362号公報 特開2006−72034号公報
ここで、上記の特許文献4記載の方法を用いて脂環式オレフィン系樹脂に対してワックスを溶融混練してトナーを製造しても、当該文献に記載されたようなトナーの光沢改善効果を得ることは出来ない。その理由は、従来から用いられているスチレン−アクリル系樹脂やポリエステル系樹脂とは異なり、脂環式オレフィン系樹脂はワックスに対して相溶性が極めて高いため、ワックスによる定着ローラへの離型効果が発現されにくく、単に樹脂の軟化点を低下させるに過ぎないからである。そこで、本発明は、巻付き現象が発生しにくく、更に、高い光沢性を有する、静電荷現像用トナーを提供することを目的とする。
本発明(1)は、結着樹脂、着色剤及びワックスを含有する静電荷像現像用粉砕法トナーにおいて、
前記ワックス源としてエマルジョンワックスを用いて製造されたことを特徴とする静電荷像現像用粉砕法トナーである。
本発明(2)は、前記結着樹脂が、脂環式オレフィン系樹脂である、前記発明(1)の静電荷像現像用粉砕法トナーである。
本発明(3)は、前記エマルジョンワックスが、水系エマルジョンワックスである、前記発明(1)又は(2)の静電荷像現像用粉砕法トナーである。
本発明(4)は、前記エマルジョンワックスの粒子径が、0.05〜3μmの範囲である、前記発明(1)〜(3)のいずれか一つの静電荷像現像用粉砕法トナーである。
本発明(5)は、前記エマルジョンワックスのワックス成分が、フィッシャートロプシュワックス、酸性オレフィンワックス又はエステルワックスである、前記発明(1)〜(4)のいずれか一つの静電荷像現像用粉砕法トナーである。
本発明(6)は、結着樹脂、着色剤及びワックスを含有する静電荷像現像用粉砕法トナーの製造方法において、
前記結着樹脂、前記着色剤及びワックス源としてエマルジョンワックスを含む混合物を熱溶融混練して溶融物を得る工程と、前記溶融物を粉砕する工程と、を含むことを特徴とする静電荷像現像用粉砕法トナーの製造方法である。
本発明(7)は、前記結着樹脂が、脂環式オレフィン系樹脂である、前記発明(6)の静電荷像現像用粉砕法トナーの製造方法である。
本発明(8)は、前記エマルジョンワックスが、水系エマルジョンワックスである、前記発明(6)又は(7)の静電荷像現像用粉砕法トナーの製造方法である。
本発明(9)は、前記エマルジョンワックスの粒子径が、0.05〜3μmの範囲である、前記発明(6)〜(8)のいずれか一つの静電荷像現像用粉砕法トナーの製造方法である。
本発明(10)は、前記エマルジョンワックスのワックス成分が、フィッシャートロプシュワックス、酸性オレフィンワックス又はエステルワックスである、前記発明(6)〜(9)のいずれか一つの静電荷像現像用粉砕法トナーの製造方法である。
本発明(1)及び(6)によれば、静電荷像現像用粉砕法トナーの製造の際、ワックス源としてエマルジョンワックスを使用しているので、溶融工程の際、エマルジョンの液媒体が結着樹脂とワックス粒子との間に介在して両者が相溶しにくくなる結果、巻付き現象が発生しにくく、更に、高い光沢性を有する、静電荷現像用トナーを提供することが可能になるという効果を奏する。
本発明(2)及び(7)によれば、前記効果に加え、結着樹脂として脂環式オレフィン樹脂を使用しているので、脂環式オレフィン樹脂の特性である、高透明性を有すること、低温定着性に優れていること、シャープな分子量分布を有すること、良好な粉砕性を有すること、低吸水性を有していること、無公害であること等、脂環式オレフィン樹脂の様々な利点をトナーに付与できると共に、脂環式オレフィン樹脂を使用するに際しての従来課題であった、巻き付き現象及び光沢改善のいずれもが解消されたトナーを提供することが可能になるという効果を奏する。
本発明(3)及び(8)によれば、前記効果に加え、トナー製造の際に使用するエマルジョンワックスが水系エマルジョンワックスであるので、溶融混練工程によって液媒体が蒸散しやすいことなどのため、帯電性、保存性、定着強度等の諸特性に悪影響を及ぼす恐れがある液媒体が最終製品となるトナーに残留しにくいという効果を奏する。
本発明(4)及び(9)によれば、前記効果に加え、エマルジョンワックスの粒子径が0.05〜3μmの範囲であるので、径が小さすぎることに起因した、トナー結着樹脂との一体化が防止されると共に、径が大きすぎることに起因した、トナー粒子内のワックス微粒子含有量の不均一やトナー粒子表面にワックス微粒子が露出することによる現像性の劣化をも防止することができるという効果を奏する。
本発明(5)及び(10)によれば、前記効果に加え、エマルジョンワックスのワックス成分が、フィッシャートロプシュワックス、酸性オレフィンワックス又はエステルワックスであるので、極性成分を有するために脂環式オレフィン樹脂へのワックス溶解が抑制される点で好ましい。
以下、結着樹脂として脂環式オレフィン系樹脂を例に採り、本発明の最良形態を説明する。但し、本発明の技術的範囲は当該最良形態に限定されるものではない。
《静電荷現像用トナー》
本最良形態に係る静電荷現像用粉砕法トナーは、結着樹脂として脂環式オレフィン系樹脂と、着色剤と、エマルジョンワックスとを混合・溶融し、当該溶融物を粉砕して製造される。更に、当該トナーは、任意成分として帯電制御剤、磁性粉、その他、種々の添加剤や、外添剤を含有してもよい。次に、各成分について順を追って説明する。
脂環式オレフィン系樹脂
脂環式オレフィン系樹脂は、少なくとも1種類の環状オレフィンを一原料として用いた重合体であれば特に限定されず、下記の重合体(a)、(b)、(c)等が例示できる。(a)1種類の環状オレフィンで構成されている単独重合体、(b)2種類以上の環状オレフィンで構成されている共重合体、及び(c)環状オレフィンと非環式不飽和単量体とで構成されている共重合体。
環状オレフィンとしては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の単環環状オレフィン又はこれらの誘導体、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、シクロオクタジエン等の環状共役ジエン又はこれらの誘導体、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、トリシクロデセン、テトラシクロドデセン、ヘキサシクロヘプタデセン等の多環状オレフィン又はこれらの誘導体、ビニルシクロブタン、ビニルシクロブテン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘプタン、ビニルシクロヘプテン、ビニルシクロオクタン、ビニルシクロオクテン等のビニル脂環式炭化水素又はこれらの誘導体、スチレン等のビニル芳香族系単量体の芳香環部分の水素化物又はこれらの誘導体、等の、少なくとも1つの二重結合を有する環式及び/又は多環式オレフィン系化合物が例示できる。これらの環状オレフィンは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。前記誘導体としては、アルキル置換体、アルキリデン置換体、アルコキシ置換体、アシル置換体、ハロゲン置換体、カルボキシル置換体等が挙げられる。脂環式構造を構成する炭素原子数は、成形性及び透明性等の観点から、通常、4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個程度である。
非環式不飽和単量体としては、環状オレフィンと共重合可能な非環式不飽和単量体であれば特に制限されないが、例えば、オレフィン系単量体;(メタ)アクリル酸系単量体;例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸C1−6アルキルエステル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル化エステル単量体;例えば、(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;例えば、ブタジエン、1,4−ペンタジエン、イソプレン等ジエン系単量体、等が例示できる。これらの非環式不飽和単量体は単独で又は2種類以上組み合わせて使用してもよい。非環式不飽和単量体は、トナーに柔軟性を付与する点から、オレフィン系単量体を用いるのが好ましい。オレフィン系単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブチレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等のα−C2−10オレフィン(好ましくはα−C2−6オレフィン、更に好ましくはα−C2−4オレフィン)、イソブテン、イソプレン等の分枝鎖状オレフィン等が挙げられる。これらのオレフィンは、単独で又は2種類以上組み合わせて使用してもよい。これらのオレフィンのうち、エチレン、プロピレンが特に好ましい。
ここで、好適な脂環式オレフィン系樹脂は、不飽和二重結合が無く、無色透明で高い光透過率を有するものである。また、前述の(a)〜(c)の脂環式オレフィン系樹脂の中では、粉砕性、加工性、機械特性等の点で、(c)が好ましい。(c)の中でも特に好適な脂環式オレフィン系樹脂は、エチレン又はプロピレンとノルボルネンとの共重合体(エチレン−ノルボルネン共重合体、プロピレン−ノルボルネン共重合体等)である。尚、非環式不飽和単量体の使用量は、環状オレフィン100モルに対して、0〜100モル、好ましくは0〜90モル、更に好ましくは0〜80モル程度の範囲から選択できる。
本最良形態に係る脂環式オレフィン系樹脂は、例えばメタロセン系触媒、チーグラー系触媒及びメタセシス重合(metathese polymerization)、すなわち二重結合開放(double bond opening)及び開環重合反応のための触媒を用いた重合法により得られる重合体であることが好適である(特開平5−339327号公報、特開平5−9223号公報、特開平6−271628号公報、ヨーロッパ特許出願公開(A)第203799号明細書、同第407870号明細書、同第283164号明細書及び同第156464号明細書)。これらの中でも、メタロセン系触媒、チーグラー系触媒を用いることが、上記の不飽和二重結合がない樹脂を合成する観点から好適である。
これらによると、脂環式オレフィン系樹脂は、上記環状オレフィンの1種類以上のモノマーを場合によっては1種類の上記非環式オレフィン−モノマーと−78〜150℃、好ましくは20〜80℃で圧力0.01〜64バールでアルミノキサン等の共触媒と例えばジルコニウムあるいはハフニウムよりなるメタロセンの少なくとも1種類からなる触媒の存在において重合することにより得られる。他の有用な重合体はヨーロッパ特許出願公開(A)第317262号明細書に記載されており、水素化重合体及びスチレンとジシクロペンタジエンとの共重合体も使用できる。
本発明において上記脂環式オレフィン系樹脂は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と略称する。)により測定した分子量分布において、少なくとも2つ以上のピークを有するものであることが好ましい。このような脂環式オレフィン系樹脂としては、低分子量フラクションと高分子量フラクションとの混合物であってもよく、または、合成に際して低分子量フラクションと高分子フラクションが、それぞれGPCによる分子量分布においてピークを有するように制御して作製されたものであってもよい。また、低分子量フラクションの数平均分子量(以下、「Mn」と略称する。)は7,500未満であり、高分子量フラクションのMnは7,500以上であり、かつ、高分子量フラクションの割合が結着樹脂中、50重量%〜5重量%であるのが好ましく、30重量%〜5重量%であるのがより好ましい。高分子量フラクションの割合が50重量%よりも多くなると、均一混練性が極度に低下して、トナー性能に支障をきたし、また、低温定着において十分な定着強度を得ることができなくなる。一方、5重量%より小さくなると、十分な非オフセット温度幅が得られない。
脂環式オレフィン系樹脂のガラス転移温度は、環状オレフィンと非環式不飽和単量体との組成比で決まり、通常、50〜200℃程度であり、用途や成形温度に応じて適宜選択できる。トナー用としては、50〜80℃、好ましくは50〜70℃、更に好ましくは50℃〜65℃程度である。脂環式オレフィン系樹脂のガラス転移温度が80℃を超えて高いと、定着特性が悪化するとともに、剛性や耐衝撃性が高くなるためトナーの成形性も十分でなく、50℃未満の場合は、定着特性が悪化するとともに、耐融着性が低下する。
脂環式オレフィン系樹脂は、カルボキシル基、水酸基、アミノ基等を既知の方法により導入してもよい。更に、カルボキシル基を導入した脂環式オレフィン系樹脂には、亜鉛、銅、カルシウム等の金属の添加により架橋構造を導入してもよい。これらの置換基あるいは金属架橋構造を導入することにより、定着特性が向上するとともに、トナー製造時において、熱可塑性エラストマー等他の樹脂や着色剤との混合性が向上するため、トナーの成形性も向上する。
ここで、本最良形態に係るトナーにおける脂環式オレフィン系樹脂の添加量は、全トナー重量を基準として、20〜95重量%であることが好適であり、30〜90重量%であることがより好適である。
着色剤
本最良形態のトナーに用いられる着色剤は、黒トナー用としては、ブラック用顔料、カラートナー用としては、マゼンタ用顔料、シアン用顔料、イエロー用顔料等が使用できる。
ブラック用顔料としては、通常、カーボンブラックが使用できる。カーボンブラックとしては、個数平均粒子径、吸油量、PH等に制限されることなく使用できるが、市販品として以下のものが挙げられる。例えば、米国キャボット社製 商品名:リーガル(REGAL)400、660、330、300、SRF−S、ステリング(STERLING)SO、V、NS、R、コロンビア・カーボン日本社製 商品名:ラーベン(RAVEN)H20、MT−P、410、420、430、450、500、760、780、1000、1035、1060、1080、三菱化学社製 商品名:#5B、#10B、#40、#2400B、MA−100等が使用できる。これらのカーボンブラックは単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
本最良形態のトナー中のカーボンブラックの添加量は、全トナー重量を基準として、0.1〜20重量%の範囲であることが好適であり、より好ましくは1〜10重量%、更に好ましくは1〜5重量%(特に1〜3重量%が好ましい)である。カーボンブラックの割合が少なすぎると画像濃度が低下し、多すぎると画質が低下しやすく、トナー成形性も低下する。ブラック用顔料としてはカーボンブラックの他、酸化鉄やフェライト等の黒色の磁性粉も使用できる。
マゼンタ用顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50,51、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、202、206、207、209;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレット1、2、10、13、15、23、29、35等が使用できる。これらのマゼンタ用顔料は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
シアン用顔料としては、C.I.ピグメントブル−2、3、15、16、17;C.I.バットブル−6;C.I.アシッドブル−45等が使用できる。これらのシアン用顔料は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
イエロ−用顔料としては、C.I.ピグメントイエロ−1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、65、73、74、83、93、94、97、155、180等が使用できる。これらのイエロ−用顔料は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
フルカラー用のカラー用顔料としては、混色性及び色再現性の観点から、マゼンタ用顔料はC.I.ピグメントレッド57、122が、シアン用顔料は、C.I.ピグメントブルー15が、イエロー用顔料は、C.I.ピグメントイエロー17、93、155、180が好適に使用できる。
カラー用顔料の添加量は、全トナー重量を基準として、1〜20重量%の範囲であることが好適であり、より好ましくは3〜10重量%、更に好ましくは4〜9重量%(特に4.5〜8重量%が好ましい)である。これらの顔料の割合が上記範囲より少な過ぎると画像濃度が低下し、多過ぎると帯電安定性が悪化して画質が低下しやすい。またコスト的にも不利である。
また、カラー用顔料としては、予め結着樹脂となり得る樹脂中に高濃度で分散させた、いわゆるマスターバッチを使用してもよい。
ワックス(エマルジョンワックス)
次に、本発明に係るワックスについて説明する。ここで、はじめにワックスそれ自体について説明し、次いで製造時に使用するエマルジョンワックスについて説明することとする。
(ワックス)
まず、ワックスとしては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリブテンワックス、変性ポリエチレンワックス等のポリオレフィン系ワックス、フィッシャートロプシュワックス等の合成ワックス、天然パラフィン、マイクロワックス、合成パラフィン等のパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、硬化ひまし油、酸性オレフィンワックス、マレイン酸エチルエステル、マレイン酸ブチルエステル、ステアリン酸メチルエステル、ステアリン酸ブチルエステル、パルミチン酸セチルエステル、モンタン酸エチレングリコールエステル等の脂肪酸エステル又はその部分ケン化物よりなるエステルワックス、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリル酸アミド、ベヘニン酸アミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等のアミド系ワックス等が挙げられる。これらのワックスの中でも、フィッシャートロプシュワックス、酸性オレフィンワックス、エステルワックスが好適であり、フィッシャートロプシュワックスが特に好適である。また、これらのワックスは、単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。軟化点(融点)が異なるワックスを混合してもよい。
ワックスの含有量は、全トナー重量を基準として、0.1〜10重量%の範囲が好適であり、好ましくは0.5〜7重量%が好適であり、さらに好ましくは1〜5重量%である。ワックスの含有量が0.1重量%未満であると、トナーの離型機能が不足して熱定着ローラにトナーが付着しやすくなることにより画像のオフセットや複写用紙の巻きつきが起きたり、樹脂が溶融しにくくなることにより画像定着強度が弱くなったりする恐れがある。一方、10重量%を超えると、ワックスがトナーから離脱して複写機内部の様々な部材に付着する恐れがあり、印刷品質の低下さらには複写機じたいの不具合を引き起こす恐れがある。
本発明に使用される好適なワックスは、比較的低軟化点もしくは低融点の化合物、具体的には軟化点(融点)が50〜170℃、より好ましくは80〜160℃を有するものである。軟化点が50℃よりも低いと、トナーの耐ブロッキング性や貯蔵安定性が不十分であり、170℃を超えると、定着開始温度が高くなり好ましくない。なお、原料ワックスは、軟化点(融点)が異なるものを混合して用いてもよい。
(エマルジョンワックス)
次に、本発明のトナーを製造する際にワックス源として使用するエマルジョンワックスを説明する。エマルジョンワックスとは、原料ワックスを液媒体中に所定の粒径分布に調節して分散したワックスの液媒体分散体である。液媒体としては、ワックスが溶解しない液体であれば特に限定されず、例えば、水;イソプロピルアルコールの如きアルコール類;メチルエチルケトンの如きケトン類;酢酸エチルエステルなどのエステル類のようなワックスが溶解しないものを使用することができ、これらの混合物であってもよい。特に水系液媒体は、溶融混練工程によって蒸散しやすいことなどにより最終製品となるトナーに液媒体が残留しにくいので好適である。液媒体が残留してしまうと汚染物資としてトナーの帯電性、保存性、定着強度等の諸特性に悪影響を及ぼす恐れがあり好ましくない。
ワックスの液媒体分散体の調製は、例えば
(方法A)原料ワックスをそれ不溶の液媒体に直接微粒子状となるまで分散させる方法、
(方法B)原料ワックスをそれ可溶の液媒体に溶解させてから、ワックス不溶の液媒体を加えて、必要に応じてワックス可溶の液媒体を一部又は全部除去して、残った液媒体中にワックス微粒子を微粒子状に析出分散させる方法、
(方法C)キシレン等の有機溶媒中で、ワックスの軟化点(融点)以上の温度をかけて溶融した状態で乳化、分散した後、冷却、脱溶剤を行うことで調製する方法、
がある。
前記(方法C)として具体的には、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレンの如き芳香族炭化水素類、あるいはメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンの如きケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルの如きエステル類の溶媒温度をワックス原料の軟化点(融点)以上に高くして溶液状にした後、通常の撹拌機、またはホモミキサー、ホモジナイザ等によるせん断下に水性媒体を添加して、微分散を行い、所望の粒径のワックス微粒子を得ることで行われる。この時必要に応じて乳化剤や分散安定剤を使用しても良い。
また、(方法C)において、ワックス液媒体分散体を得るに当たって用いる有機溶剤の沸点が原料ワックスの軟化点(融点)より低い場合には、加圧下で液温を原料ワックスの軟化点(融点)より高くして溶解もしくは分散するのが好ましい場合もある。また、分散に際しては、通常、ワックス微粒子の粒径が所望の粒径になるように、適宜、撹拌速度、時間等を調整する。その後、例えばこの分散液を冷却し、有機溶剤を留去してワックスの液媒体分散体を調製することができる。
前記(方法A、B、C)のいずれにおいても、必要に応じて乳化剤や分散安定剤を使用することができるが、乳化剤や分散安定剤の使用量は最小限に止め、極少量とするのが好ましい。該乳化剤や分散安定剤の適正量は、エマルジョンとして分散しているワックス微粒子の表面積の大きさに関係し、適量の乳化剤や分散安定剤はエマルジョンワックス中のワックス微粒子を取り囲むようにして液媒体中に安定に存在させる効果がある。これが過剰になるとワックス微粒子とは関係なく存在するようになり、汚染物資としてトナーの帯電性、保存性、定着強度等の諸特性に悪影響を及ぼす恐れがあり好ましくない。
前記乳化剤としては、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルジフェニルオキサイドジスルホン酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンニノニルフェノールエーテル等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
前記分散安定剤としては、通常、水溶性高分子化合物が用いられ、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースガム等が挙げられる。
また、ワックスの液媒体が非水溶液の場合も同様に、ワックスの軟化点(融点)以上の温度で、通常の撹拌機、またはホモミキサー、ホモジナイザ等による高速せん断下に微分散を行い、所定の粒径分布に調節して分散した非水液媒体に分散したワックスの分散微粒子が得られる。この時、必要に応じて前記分散安定剤を使用してもよい。
エマルジョンワックス中のワックス固形分濃度は、30〜70重量%が好適であり、40〜65重量%がより好適であり、50〜60重量%がさらに好適である。ワックス固形分が70重量%より多いと溶融混練工程でワックス成分が結着樹脂と相溶して一体化してしまうために十分な離型効果を発現できなくなる恐れがある。一方、ワックス固形分が30重量%より少ないと溶融混練時における結着樹脂へのワックス分散が不均一になる恐れ、および液媒体が残留して汚染物資としてトナーの帯電性、保存性、定着強度等の諸特性に悪影響を及ぼす恐れがあり、好ましくない。ワックス固形分濃度が低い場合は、ワックス粒子が破壊されない程度に、減圧処理、加熱処理等を行い液媒体を蒸散させるか、ワックス固形分を追加して濃度を調節してもよい。また、ワックス固形分濃度が高い場合は、液媒体及び必要に応じて乳化剤や分散安定剤を追加して濃度を調節してもよい。
エマルジョンワックス中のワックス微粒子の粒子径は、例えばレーザー回折散乱法により測定することができ、個数平均粒子径において通常0.05〜3μm程度の範囲であるが、好ましくは0.1〜2μm、さらに好ましくは0.2〜0.8μmである。粒子径が0.05μmよりも小さいと、含有量を増加しても、トナー結着樹脂と一体化してしまうために十分な離型効果を発現できず、粒子径が3μmよりも大きいと、トナー粒子内のワックス微粒子含有量が不均一になったり、あるいはトナー粒子表面にワックス微粒子が露出し、現像性が劣化するため好ましくない。
エマルジョンワックスの粘度は、JIS Z8803に基づく回転粘度計にて、40〜300Pa・sが好適であり、50〜120Pa・sがより好適であり、60〜100Pa・sが更に好適である。40Pa・sより低いと溶融混練工程での添加時に流れ出てしまいうまく混練できない恐れがある。300Pa・sを超えると計量容器に付着しやすくなり添加量の誤差が生じやすくなる恐れがある。
エマルジョンワックスの水素イオン濃度(pH)は、pHメーターにより測定することができ、6.0〜10.0が好適であり、6.5〜9.0がより好適であり、7.0〜8.5が更に好適である。
その他任意成分
その他、任意成分として、帯電制御剤、磁性粉、添加剤、他の樹脂(他の結着剤)等を添加することができる。以下、各成分について説明する。
まず、帯電制御剤としては、正帯電性帯電制御剤と負帯電性帯電制御剤とが挙げられる。正帯電性の帯電制御剤としては、例えばニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の第四級アンモニウム塩、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド、ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート、ピリジウム塩、アジン、トリフェニルメタン系化合物及びカチオン性官能基を有する低分子量ポリマー等が挙げられる。これらの正帯電性の帯電制御剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。これらの正帯電性の帯電制御剤は、ニグロシン系化合物、第四級アンモニウム塩が好ましく用いられる。負帯電性の帯電制御剤としては、例えばアセチルアセトン金属錯体、モノアゾ金属錯体、ナフトエ酸あるいはサリチル酸系の金属錯体又は塩等の有機金属化合物、キレート化合物、アニオン性官能基を有する低分子量ポリマー等が挙げられる。これらの負帯電性の帯電制御剤は、単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。これらの負帯電性の帯電制御剤は、サリチル酸系金属錯体、モノアゾ金属錯体が好ましく用いられる。
帯電制御剤の添加量は、トナーに対して、通常、0.1〜5重量%の範囲で選択でき、好ましくは0.5〜4重量%、更に好ましくは1〜4重量%である。また、帯電制御剤は、カラートナー用には無色あるいは淡色であることが好ましい。
次に、磁性粉としては、例えば、コバルト、鉄、ニッケル等の金属、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、マグネシウム、スズ、亜鉛、金、銀、セレン、チタン、タングステン、ジルコニウム、その他の金属の合金、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化ニッケル等の金属酸化物、フェライト、マグネタイト等が使用できる。磁性粉の添加量は、トナーに対して、通常、1〜70重量%、好ましくは5〜50重量%、更に好ましくは10〜40重量%である。磁性粉の平均粒子径は、0.01〜3μmのものが好適に使用できる。
次に、添加剤としては、例えば、安定剤(例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤等)、難燃剤、防曇剤、分散剤、核剤、可塑剤(フタル酸エステル、脂肪酸系可塑剤、リン酸系可塑剤等)、高分子帯電防止剤、低分子帯電防止剤、相溶化剤、導電剤、充填剤、流動性改良剤の一種以上を添加してもよい。
次に、他の樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のα−オレフィン樹脂等)、ビニル系樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等)、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、テルペンフェノール樹脂、ポリ乳酸樹脂、水添ロジン、環化ゴム、熱可塑性ポリイミド等を結着樹脂の一部として添加してもよい。これらの樹脂の添加量は、結着樹脂100重量%に対して30重量%以下の範囲内から適宜選択できる。
外添剤
本最良形態のトナーは、流動性付与の観点から、無機微粒子が表面に付着していることが好ましい。無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、カーボンブラック粉末、磁性粉等が挙げられる。これらの無機微粒子は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。これらの無機微粒子のうち、シリカが特に好適に使用できる。シリカは、平均粒子径、BET比表面積、表面処理等特に制限されなく、用途に応じ適宜選択できるが、BET比表面積は50〜400m/gの範囲にあるのが好ましく、表面処理された疎水性シリカであるのが好ましい。
前記無機微粒子に加えて、本最良形態のトナーには更に、ポリ4フッ化エチレン樹脂粉末、ポリフッ化ビニリデン樹脂粉末等の樹脂微粉末を付着してもよい。トナーに対してこれらの無機微粒子や樹脂微粉末を添加する割合は、トナー100重量部に対して、0.01〜8重量部の範囲から適宜選択でき、好ましくは0.1〜5重量部、更に好ましくは0.1〜4重量部(特に0.3〜3重量部)である。添加する割合が前記範囲から外れると、トナーの流動性や帯電安定性が低下して、均一な画像が形成しにくい。
本最良形態のトナーは、現像方式に限定されるものではなく、非磁性一成分現像方式、磁性一成分現像方式、二成分現像方式、その他の現像方式に使用できる。磁性一成分現像方式用トナーは、前記の磁性粉を結着樹脂に混合し磁性トナーとして使用し、二成分現像方式用トナーはキャリアと混合して使用する。装置の簡便性やコスト的な観点から、非磁性一成分現像方式用トナーとして使用されることが好ましい。
二成分現像方式でのキャリアとしては、例えば、ニッケル、コバルト、酸化鉄、フェライト、鉄、ガラスビーズ等が使用できる。これらのキャリアは単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。キャリアの平均粒子径は20〜150μmであるのが好ましい。また、キャリアの表面は、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂等の被覆剤で被覆されていていてもよい。
本最良形態のトナーは、モノクロ用トナーであってもよくフルカラー用トナーであってもよい。モノクロ用トナーでは、着色剤として非磁性トナーには前記のカーボンブラック、磁性系トナーには前記のカーボンブラックの他、前記の磁性粉の内黒色のものが使用できる。フルカラー用トナーでは、着色剤として、前記のカラー用顔料が使用できる。
《製造方法》
本最良形態に係る静電荷像現像用トナーは、結着樹脂の主成分として脂環式オレフィン系樹脂、着色剤、その他の添加剤及びエマルジョンワックスを混合する、混合工程と、前記混合物を熱溶融して混練する、熱溶融混練工程と、前記混練物を粉砕する粉砕工程とを有する。更に、任意工程として、分級工程や、粉砕したトナーに外添剤を加える工程を有していてもよい。
混合工程における混合方法としては、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、リボンミキサー等の攪拌機による方法を用いることができる。ここで、混合に際しては、エマルジョンワックス以外の原料を先に乾式混合することが、作業効率の観点から好適である。当該エマルジョンに含まれる水系媒体の影響により他の成分の流動性が悪くなったり搬送性が悪くなったりせず、当該他の成分を良好に混合することができるからである。また、ワックスをエマルジョンの状態で混合することにより、ワックスによる光沢度改善及び離型性改良が可能となる。従来、脂環式オレフィン系樹脂を結着剤に用いたトナーは、固形のワックスを添加しても光沢度や離型性はほとんど改善されなかった。その理由は、当該樹脂とワックスとの相溶性が極めて高く、トナー中にワックスがドメインを形成することなく溶け込んでいるためである。しかし、本発明のように、エマルジョンとして微分散しているワックス粒子をトナー製造時に使用した場合、混合時、水で覆われたワックス粒子と脂環式オレフィンとは水を介して接することとなる。そして、後に説明する熱溶融混練の際、熱溶融混練での加熱によって介在する水が蒸発し、脂環式オレフィン系樹脂とワックスとの間には微細な空間が発生する。この微細な空間が、脂環式オレフィン系樹脂とワックスとの相溶化を妨げる(換言すれば、相溶化する前に熱溶融混練処理が終了する)。このような作用機序のため、ワックス粒子のエマルジョンの径を小さくしても、熱溶融混練時におけるワックスの相溶化を極力防止できる。その結果、トナー内部にワックスの微小ドメインを形成させることが可能となる。そのため、同量のワックスを使用した場合(従来法)と比較し、光沢度及び離型性により優れたトナーを得ることができる。
続いて、熱溶融混練方法としては、種々の方法、例えば、2軸押出機による方法、バンバリーミキサーによる方法、加圧ローラによる方法、加圧ニーダーによる方法等の慣用の方法を用いることができる。熱溶融混練方法としては、成形性及び汎用性の観点から2軸押出機による方法が好ましい。溶融混練物は、2軸押出機により溶融混練し、2軸押出機の先端部の口金(ダイ)より押出すことにより得られる。2軸押出機の混練温度は50〜220℃、好ましくは70〜200℃、更に好ましくは80〜180℃程度である。また、前記のエマルジョンワックスを加えることにより、着色剤の分散性が向上する。これは、エマルジョンに含まれる水分が熱溶融混練において、蒸発して樹脂の一部が冷却されるため、当該混練物が硬くなり、組成物が高いせん断応力を加えた状態で混練されたためと考えられる。もしくは、水溶性着色剤を用いた場合には、着色剤粒子が水によって非凝集化され、組成物中に高分散される為と考えられる。
粉砕工程における粉砕方法としては、ハンマーミル、カッターミルあるいはジェットミル等の粉砕機による粉砕方法が挙げられる。また、分級法としては、通常、乾式遠心分級機のような気流分級機が使用できる。このようにして得られたトナーの体積平均粒子径は、通常、6〜10μm程度であり、好ましくは6〜9μm、更に好ましくは6〜8μmである。体積平均粒子径は、粒度分布測定装置(マルチサイザーII、ベックマン・コールター社製)を用いて測定した体積50%径である。
更に、トナー表面には、タービン型攪拌機、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の攪拌機を用いて攪拌することにより、外添剤として前記の無機微粒子及び樹脂微粉末を付着させてもよい。
実施例1
下記原材料を30Lヘンシェルミキサーで2000rpmの回転速度で3分間、混合した後、二軸混練押出機で溶融混練し、混練物を放置冷却した。
・脂環式オレフィン系樹脂 100部
エチレン−ノルボルネン共重合体樹脂(ポリプラスチックス社製、商品名:「TOPAS COC」、数平均分子量Mn=5,000 90重量%、数平均分子量Mn=30、000 10重量%のブレンド樹脂)
・シアン顔料粉末 8.0部
(大日精化工業社製、商品名:「シアン No.4」)
次いで混練物をハンマーミルで粗粉砕し、着色粒子を得た。
そして、下記原材料を30Lヘンシェルミキサーで2000rpmの回転速度で3分間、混合した後、二軸混練押出機で溶融混練し、混練物を放置冷却した。
・着色粒子 108部
・ポリエステル樹脂 25部
(三菱レイヨン社製、商品名:「FC−1142」)
・帯電制御剤 1部
(日本カーリット社製、商品名:「LR−147」)
・エマルジョンワックス(フィッシャートロプシュ水系エマルジョン)
5部
(中京油脂社製、商品名:「P−577」、固形分濃度51wt%、粒子径0.36μm、粘度60Pa・s、pH8.2、融点80℃)
次いで混練物をハンマーミルで粗粉砕し、ジェットミルで微粉砕し、気流分級機で分級して、体積平均粒子径8.0μmの分級トナーを得た。
そして、分級トナー100部と下記の外添剤とをヘンシェルミキサーで均一に混合して実施例1のトナーを得た。
・疎水性シリカ 0.2部
(日本エアロジル社製、平均一次粒子径30nm、BET比表面積48m/g)
・疎水性シリカ 0.8部
(キャボット社製、平均一次粒子径8nm、BET比表面積200m/g)
・酸化チタン 0.5部
(日本エアロジル社製、平均一次粒子径10nm、BET比表面積65±10m/g)
実施例2
ポリエステル樹脂をスチレンアクリル樹脂に変えた。それ以外は実施例1と同様にして実施例2のトナーを得た。
実施例3
脂環式オレフィン系樹脂添加量を100部から125部にするとともに、ポリエステル樹脂添加量を25部から0部にした。それ以外は実施例1と同様にして実施例3のトナーを得た。
実施例4
フィッシャートロプシュ水系エマルジョンを酸性ポリエチレン水系エマルジョン(ワックス径0.5μm)に変えた。それ以外は実施例1と同様にして実施例4のトナーを得た。
実施例5
フィッシャートロプシュ水系エマルジョンをエステル水系エマルジョン(ワックス径0.6μm)に変えた。それ以外は実施例1と同様にして、実施例5のトナーを得た。
比較例1
フィッシャートロプシュ水系エマルジョンに変えて固形粒状のフィッシャートロプシュワックスを用いた。それ以外は実施例1と同様にして比較例1のトナーを得た。
比較例2
フィッシャートロプシュ水系エマルジョンに変えて固形粒状のフィッシャートロプッシュワックスを用いた。それ以外は実施例3と同様にして比較例2のトナーを得た。
比較例3
フィッシャートロプシュ水系エマルジョンに変えて固形粒状のフィッシャートロプシュワックスと水の混合物を用いた。フィッシャートロプシュワックスと水の量は、それぞれ水系エマルジョンと同量添加した。それ以外は実施例1と同様にして比較例3のトナーを得た。
耐巻付き試験
市販の非磁性−成分フルカラー用プリンタに15000枚分に相当するトナーを供給し、A4(タテ目)の転写紙(日本製紙社製PPC用紙64g/m)に印字率6%にて、10000枚印字した。
その後、トナーを補充せずにA4(タテ目)の転写紙(日本製紙社製PPC用紙64g/m)に縦横4mmの余白を残したベタ未定着画像を10枚作成した。
転写紙上のトナー付着量は、トナー濃度、感光体の表面電位、現像電位、露光量、転写条件等により、およそ2.0mg/cm(トナー3色、トナー厚さ約20μmに相当)に調整した。
ついで、表層がポリ4フッ化エチレンで形成された熱定着ローラと、表層がシリコーンゴムで形成された圧力定着ローラとが、対になって回転するオイルレス方式定着機を、ローラ圧力が1Kgf/cm、ローラスピードが125mm/secになるように調節した。
そして、熱定着ローラの表面温度を180℃として上記未定着画像の定着を行い、巻き付きが発生した回数をカウントした。これが1回以下のとき○とし、2回以上は×とした。なお、回数が1回以下であれば実用に耐え得る。
光沢度試験
光沢度は、耐巻付き試験で印刷したベタ画像を用いて、日本電色工業社製GLOSS METER(VGS−SENSOR)で60°鏡面光沢を測定した。試験回数は3回とし、平均値を算出した。この光沢度が5以上ならば○とし、5未満ならば×とした。
Figure 2010026338

Claims (10)

  1. 結着樹脂、着色剤及びワックスを含有する静電荷像現像用粉砕法トナーにおいて、
    前記ワックス源としてエマルジョンワックスを用いて製造されたことを特徴とする静電荷像現像用粉砕法トナー。
  2. 前記結着樹脂が、脂環式オレフィン系樹脂である、請求項1記載の静電荷像現像用粉砕法トナー。
  3. 前記エマルジョンワックスが、水系エマルジョンワックスである、請求項1又は2記載の静電荷像現像用粉砕法トナー。
  4. 前記エマルジョンワックスの粒子径が、0.05〜3μmの範囲である、請求項1〜3のいずれか一項記載の静電荷像現像用粉砕法トナー。
  5. 前記エマルジョンワックスのワックス成分が、フィッシャートロプシュワックス、酸性オレフィンワックス又はエステルワックスである、請求項1〜4のいずれか一項記載の静電荷像現像用粉砕法トナー。
  6. 結着樹脂、着色剤及びワックスを含有する静電荷像現像用粉砕法トナーの製造方法において、
    前記結着樹脂、前記着色剤及びワックス源としてエマルジョンワックスを含む混合物を熱溶融混練して溶融物を得る工程と、前記溶融物を粉砕する工程と、を含むことを特徴とする静電荷像現像用粉砕法トナーの製造方法。
  7. 前記結着樹脂が、脂環式オレフィン系樹脂である、請求項6記載の静電荷像現像用粉砕法トナーの製造方法。
  8. 前記エマルジョンワックスが、水系エマルジョンワックスである、請求項6又は7記載の静電荷像現像用粉砕法トナーの製造方法。
  9. 前記エマルジョンワックスの粒子径が、0.05〜3μmの範囲である、請求項6〜8のいずれか一項記載の静電荷像現像用粉砕法トナーの製造方法。
  10. 前記エマルジョンワックスのワックス成分が、フィッシャートロプシュワックス、酸性オレフィンワックス又はエステルワックスである、請求項6〜9のいずれか一項記載の静電荷像現像用粉砕法トナーの製造方法。
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