JP5296584B2 - 鍵盤楽器の鍵盤装置 - Google Patents
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Description
しかし、このような鍵盤楽器の鍵盤装置においては、バランスピンによる支持点から後端部までの寸法が白鍵と黒鍵とで異なるため、白鍵によって動作されるハンマーと黒鍵によって動作されるハンマーの動作角度を合わせるように両者を区別して設計する必要があった。
また、請求項2に係る鍵盤楽器の鍵盤装置は、請求項1に記載の鍵盤楽器の鍵盤装置において、前記対向面は、押鍵時の黒鍵の下面と略平行に形成されていることを特徴とする(図2参照)。
[1.鍵盤装置1の構成の説明]
図1に示す本実施形態の電子ピアノの鍵盤装置1は、左右方向に並んだ多数の鍵3(白鍵3aおよび黒鍵3bを各1つのみ図示)と、これらの鍵3を支持する下シャーシ2aと、この下シャーシ2aの後端部に取り付けられた後シャーシ2bと、各鍵3の押鍵に伴って調整ネジ14を介して回動する多数のハンマー40(1つのみ図示)を備えている。次に、下シャーシ2a、鍵3、ハンマー40、および後シャーシ2bの順に説明する。
下シャーシ2aは、プレスにより打抜き及び折り曲げ加工された金属製の板材からなり、多数の鍵3を支持するように構成されている。下シャーシ2aの前後方向の中央部には、下シャーシ2aの上方にネジ2hで固定した複数個の筬中15上に多数のバランスピン12が左右方向に2列に並んで立設されており(各1つのみ図示)、各鍵3は、その中央部がバランスピン12に回動可能に支持されている。
なお、筬中15およびバランスピン12の詳細な構成については後述する。
各鍵3は、断面矩形の木製の鍵本体(鍵盤材)3cと、その上面前部に接着された合成樹脂製の鍵カバー3dで構成されている。鍵本体3cの中央部にはバランスピン孔3eが形成されている。鍵3は、そのバランスピン孔3eにバランスピン12が挿入されることにより、バランスピン12に回動可能に支持される。そして、鍵本体3cの上面後端部には、鍵本体3cの上面前部の面より下方へ鍵本体3cの上面前部の面に略平行な段差面3gが形成されている。そして、この段差面3gには、平坦部3fが貼着されている。この平坦部3fは、この段差の上面に貼着される発砲ウレタンと、このウレタンの上面に貼着された摺動しやすいテープとから構成されている。
ハンマー40は、鍵3ごとに設けられ、屈曲した棒状の合成樹脂製のハンマー本体42と、その両側面の前部に取り付けられたおもり板46(1つのみ図示)を備えている。ハンマー本体42の後端部には、後方に開放する円弧状の軸孔48が形成されており、ハンマー40は、この軸孔48に後述の後シャーシ2bの支点軸部2cが係合されることによって、後シャーシ2bに回動可能に支持されている。そのため、ハンマー本体42は、その軸孔48の内径寸法が、支点軸部2cの外径寸法よりも大きく形成されている。また、ハンマー本体42には、その下面の軸孔48付近の位置に調整ネジ14が進退可能に取り付けられている。
後シャーシ2b(シャーシ)は、中空のアルミニウムの1つの押出成形品で構成され、すべてのハンマー40を支持可能なように左右方向に延びていて、ネジ13により下シャーシ2aに連結されているとともに、ネジ(図示せず)で棚板(図示せず)に固定されている。また、後シャーシ2bの後部には、補強板10がネジ11によって取り付けられている。後シャーシ2bは、上下方向に延びるとともに、その上端から前側上方に斜めに延びる基板取付部2eを有し、この基板取付部2eの先端部には、ハンマー40の上方への回動を規制するためのストッパ9が設けられている。このストッパ9もすべてのハンマー40にわたるように左右方向に延びている。さらに、ハンマー40の上方には、各鍵3の押鍵情報を検出するための鍵スイッチ5が設けられている。
このうちの基板6は、後端部を後シャーシ2bの中間部に形成された係合凹部2dに差し込んだ状態で、スペーサ8cを介し、第1ネジ8aおよび第2ネジ8bにより基板取付部2eに取り付けられている。
次に、筬中15の構成について説明する。
筬中15は合成樹脂の射出成形品であり、略直方体の筬中本体15aの前後方向の前方縁部よりも後方にバランスピン12aが立設される構成を有している。より具体的には、図2(a)に示すように、筬中本体15aの前後方向の前方縁部よりも後方には白鍵用のバランスピン12aが左右方向に一列に並んで立設されており、筬中本体15aの白鍵用のバランスピン12aが立設される位置よりも後方には、黒鍵用のバランスピン12bが左右方向に一列に並んで立設されている。このことにより、筬中本体15aには、バランスピン12前方の部分(上面)15bおよびバランスピン12後方の部分(上面)15cが形成されている。なお、筬中本体15aの上下方向の厚み寸法は、筬中15が下シャーシ2aに取り付けられた際に、筬中本体15aの上面15bのバランスピン12前方の部分が押鍵時の白鍵3aの下面と当接せずに対向するように設定されている。
[2.鍵盤装置1の動作の説明]
次に、本実施形態の鍵盤装置1の動作を説明する。具体的には、黒鍵3bを押鍵および離鍵した際の動作について説明する。なお、白鍵3aを押鍵および離鍵した際の動作については、公知技術に従っているのでここではその詳細な説明は省略する。
(1)このように本実施形態の鍵盤装置1によれば、筬中本体15aの黒鍵用バランスピン12b前方には凹部15fが形成されており、この凹部15fは、押鍵時に黒鍵3bが黒鍵用の鍵下限ストッパ18bに当接するまで前方向に回動した際に、押鍵時の黒鍵3bの下面(図中に一点鎖線で図示)と当接せずに対向するよう設定された面(対向面)15gを有する。なお、対向面15gは、筬中15が下シャーシ2aに取り付けられた際に、押鍵時の黒鍵3bの下面と略平行となるように設定されている。また、凹部15fは、図2(b)に示すように、左右の壁面15h,15iの間の幅寸法が黒鍵3bの幅寸法よりも若干大きく設定されている。よって、この凹部15fは、押鍵時の黒鍵3bの下部を内包可能である。
(2)また、本実施形態の鍵盤装置1によれば、対向面15gが、筬中15が下シャーシ2aに取り付けられた際に、押鍵時の黒鍵3bの下面と略平行となるように設定されている。このことにより、押鍵時に黒鍵3bが筬中15の対向面15gにより確実に当接しなくなる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような様々な態様にて実施することが可能である。
筬中115は合成樹脂の射出成形品であり、略直方体の筬中本体115aの前後方向の前方縁部よりも後方にバランスピン12aが立設される構成を有している。より具体的には、図3に示すように、筬中本体115aの前後方向の前方縁部よりも後方には白鍵用のバランスピン12aが左右方向に一列に並んで立設されており、筬中本体115aの白鍵用のバランスピン12aが立設される位置よりも後方には、黒鍵用のバランスピン12bが左右方向に一列に並んで立設されている。このことにより、筬中本体115aには、バランスピン12前方の部分(上面)115bおよびバランスピン12後方の部分(上面)115cが形成されている。なお、筬中本体115aの上下方向の厚み寸法は、筬中115が下シャーシ2aに取り付けられた際に、筬中本体115aの上面15bのバランスピン12前方の部分が押鍵時の白鍵3aの下面と当接せずに対向するように設定されている。
Claims (4)
- 演奏者に対向して左右方向に並ぶ木製の鍵盤材を用いた鍵がシャーシに固定された筬中に立設されるバランスピンを介して前後方向に回動可能に支持され、押鍵時に上方に回動する前記鍵の後端部がハンマーを回動動作させる鍵盤楽器の鍵盤装置において、
前記筬中は、成形品であり、当該筬中の前後方向の前方縁部よりも後方に前記バランスピンが立設されることで当該筬中に前記バランスピン前方の部分が形成され、当該筬中の前記バランスピン前方の部分が押鍵時の白鍵の下面と当接せずに対向するとともに、黒鍵を支持する黒鍵用のバランスピンが立設する位置が、白鍵を支持する白鍵用のバランスピンが立設する位置よりも後方となるように設定されており、
さらに、前記筬中の前記黒鍵用バランスピン前方には、左右方向の幅寸法が黒鍵の幅寸法よりも若干大きく設定されるとともに押鍵時の黒鍵の下面と当接せずに対向する対向面を有することで、押鍵時の黒鍵の下部をその内部に内包可能な凹部が形成されていること
を特徴とする鍵盤楽器の鍵盤装置。 - 請求項1に記載の鍵盤楽器の鍵盤装置において、
前記対向面は、押鍵時の黒鍵の下面と略平行に形成されていることを特徴とする鍵盤楽器の鍵盤装置。 - 請求項1または請求項2に記載の鍵盤楽器の鍵盤装置において、
前記筬中の前記バランスピン周囲には、前記バランスピンに回動可能に支持された前記鍵が載置されてその鍵盤高さを保持する保持面が形成されていることを特徴とする鍵盤楽器の鍵盤装置。 - 演奏者に対向して左右方向に並ぶ木製の鍵盤材を用いた鍵がシャーシに固定された筬中に立設されるバランスピンを介して前後方向に回動可能に支持され、押鍵時に上方に回動する前記鍵の後端部がハンマーを回動動作させる鍵盤楽器の鍵盤装置において、
前記筬中は、成形品であり、当該筬中の前後方向の前方縁部よりも後方に前記バランスピンが立設されることで当該筬中に前記バランスピン前方の部分が形成され、当該筬中の前記バランスピン前方の部分が押鍵時の白鍵の下面と当接せずに対向するとともに、黒鍵を支持する黒鍵用のバランスピンが立設する位置が、白鍵を支持する白鍵用のバランスピンが立設する位置よりも後方となるように設定されており、
さらに、前記筬中の黒鍵用のバランスピン周囲には、黒鍵が載置されてその高さを保持しながら回動可能とする保持面が形成され、前記保持面は、押鍵時に当該保持面によってその高さを保持されながら回動する黒鍵の下面が、前記筬中の前側の上面よりも上方に位置するように設定されていること
を特徴とする鍵盤楽器の鍵盤装置。
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