JP5296573B2 - 多孔質焼結体 - Google Patents

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Description

本発明は、茶碗・花瓶類などの陶磁器粉砕物、碍子粉砕物、耐火レンガ粉砕物、天然火成岩粉砕物などを原料とし、焼成方法により製造した多孔質焼結体に関する。
近時、地球温暖化、CO削減などのテーマを通して地球温暖化への問題意識と危機感が高まる中、その対策としての新技術に大きな期待と願望がよせられている。とりわけ卓越した物性などの特質を備えた有用資源の有効利用には期待がよせられている。
卓越した物性などの特質を備えた有用資源のひとつとして電信柱、送電塔などの送電設備とこれらに関連する変電設備等において電気絶縁に常用される碍子がある。碍子には、その使用目的上要求される機能、安全性、信頼性等から1300℃の還元雰囲気という物性上きわめて厳しい条件下で製造された焼成焼結体が使用されている。その製造条件により碍子は吸水率0%の緻密な構造を持つことから硬度・耐摩耗性がすこぶる高く、耐酸・耐アルカリ性に代表される耐薬品性にも卓抜して優れている。しかも、半永久的に物性変化がないため経年変化がほとんど認められないという注目すべき性質を有している。
このような碍子の際立った物性安定性に代表される特異な性質のおかげで、使用済みの碍子を回収してもこれを廃棄物として適切に処理する化学的あるいは物理的手段がなく、ましてや実用し得る再利用の技術もなかった。毎年膨大な量にのぼる回収された使用済み碍子は、その希有な注目すべき特質にもかかわらず、新たな価値を再生産することなく単なる廃材として回収された状態のままで埋め立て用などとして投棄されていた。
そこで、本願出願人は、碍子廃材の再利用のための碍子廃材を材料とする多孔性焼結体の製造方法を提案している(特許文献1)。
この先の提案は、碍子廃材を出発物質として碍子廃材を粉砕する工程、粉砕したものを分級する工程、分級した粉砕物を含む成形材料を調製する工程、次いで、混練する工程、混練物を成形する工程、その後、成形物焼成工程を経て溶融層により碍子粒部が相互に接合された構造と所定の空隙率を持つ容器状の多孔性焼結体を得るものであった。
これによって、空隙を有していて軽量で、通気性・通水性と保水性を併せ持つ多孔性焼結体の特性を生かした、多孔性焼結体からなる緑化基板や、海洋性藻類等付着基板を提供することができ、碍子廃材から有価物として経済価値を有するさまざまな実用品を製造し、碍子廃材の有効なリサイクル手段を提供することができた。
茶碗・花瓶類などの陶磁器、耐火レンガ類、また、陶石・サバに代表される珪石・長石混合物などの天然火成岩なども前述した碍子と同様に卓越した物性などの特質を備えた有用資源である。
しかし、天然窯業原料として使用中の原料以外の低品位で未利用の原料や、陶磁器製造工程での不合格製品や、廃棄対象になった茶碗・花瓶類などの陶磁器については、これまで有効な利用技術が確立されていなかった。また、耐火レンガ類に関しても製造工程での不合格製品や、撤去などにより廃棄対象になった製品についての有効な利用技術はこれまで確立されていなかった。
このため、製造工程で不合格となったこれらの製品や、撤去などにより廃棄対象になったこれらの製品の有効利用は少量で、毎年膨大な量が未利用のままとなっていたり、廃棄物として投棄されていた。
特開2006−16227号公報
この発明は、碍子だけでなく、茶碗・花瓶類などの陶磁器、耐火レンガ類、陶石・サバに代表される珪石・長石混合物などの天然火成岩などのように卓越した物性などの特質を備えた有用資源が廃棄対象などになったときに、これらから有価物として経済価値を有するさまざまな実用品を製造し、廃棄対象などになったこれらのものの有効なリサイクル手段を提供することを目的にしている。
本願の発明者は、特許文献1で提案した技術について更に検討を進める中で、碍子廃材だけでなく、廃棄対象などになった茶碗・花瓶類などの陶磁器、耐火レンガ類、陶石・サバに代表される珪石・長石混合物などの天然火成岩についても、これらの特性を生かし、有用資源として有効利用できることを見出して本願発明を完成させた。
前記目的を達成する請求項1記載の発明は、
陶磁器粉砕物、碍子粉砕物、耐火レンガ粉砕物、天然火成岩粉砕物の中のいずれか一種または複数種の粒径5ミクロン以上で300ミクロン未満のもの10〜27重量%と、粒径300〜1000ミクロンのもの63〜70重量%及び、
天然ガラス質鉱物の粒径5〜44ミクロンのもの10〜20重量%とを混合し、
これに所定量の水分及び有機バインダーを加えて混練し、
混練物を所定の形状に成形した後、
前記有機バインダーが粘着力を有している湿潤状態の間に、粒径が300ミクロンを超えない大きさで所定の粒径範囲に整粒されている、融点が1200℃より高いセラミック粒子を前記所定の形状に成形されている混練物の表面全体に振りかけてまぶし、
当該セラミック粒子が表面全体にまぶされた前記所定の形状に成形されている混練物を乾燥させ、その後、1000〜1200℃で焼成してなる
多孔質焼結体であって、
前記陶磁器粉砕物、碍子粉砕物、耐火レンガ粉砕物、天然火成岩粉砕物の中のいずれか一種または複数種の粒子が、前記焼成工程で熔化した前記天然ガラス質鉱物によって熔着されると共に、
前記セラミック粒子が、
前記多孔質焼結体の表面に露出している前記陶磁器粉砕物、碍子粉砕物、耐火レンガ粉砕物、天然火成岩粉砕物の中のいずれか一種または複数種の粒子の表面及び、
前記多孔質焼結体の表面を構成している前記天然ガラス質鉱物が前記焼成工程で熔化した後、固化した部分の表面、並びに、
前記焼成工程によって前記多孔質焼結体内に形成された空隙部内周壁の表面に
熔着されている
ことを特徴とする多孔質焼結体
である。
請求項2記載の発明は、
天然火成岩粉砕物は陶石の粉砕物、又は、サバの粉砕物、若しくはこれらの双方からなることを特徴とする請求項1記載の多孔質焼結体
である。
この発明によれば、廃棄対象となった碍子、茶碗・花瓶類などの陶磁器、耐火レンガ類、陶石・サバに代表される珪石・長石混合物などの天然火成岩を原料として、有価物として経済価値を有するさまざまな実用品を製造し、廃棄対象などになったこれらのものの有効なリサイクル手段を提供することができる。
本発明による多孔質焼結体をその表面上に植物が繁殖する植物定着基盤として使用すると、従来以上に優れた毛細管現象、吸水力、保水力を発揮し、植物の根の安定的な定着、繁殖に従来以上に優れた効果を発揮することができる。
本発明の多孔質焼結体の製造工程の一例を説明する流れ図。 (a)、(b)は、本発明の多孔質焼結体の原材料の一つとなる陶磁器の例を示す斜視図。 本発明の多孔質焼結体の原材料の一つとなる碍子の例を示す斜視図。 本発明の多孔質焼結体の原材料の一つとなる耐火レンガの例を示す斜視図。 (a)本発明の多孔質焼結体において表面に現れる陶磁器粉砕物、碍子粉砕物、耐火レンガ粉砕物、天然火成岩粉砕物などの粒子と、それらの間に形成される空隙部を説明する図、(b)図5(a)の一部を拡大し、一部を省略して表わした図。 本発明の多孔質焼結体において、陶磁器粉砕物、碍子粉砕物、耐火レンガ粉砕物、天然火成岩粉砕物などの粒子の表面にセラミック粒子が固着している状態を説明する一部を拡大し、一部を省略して表わした図。 球状に形成された本発明の多孔質焼結体の一例を表わす図。 円柱状に形成された本発明の多孔質焼結体の一例を表わす図。 板状に形成された本発明の多孔質焼結体の一例を表わす図。 植物を繁殖させる基盤として形成された本発明の多孔質焼結体の一例を表わす図。 板状に形成され、4つの頂点部に取り付け用の孔が設けられた本発明の多孔質焼結体の一例を表わす平面図。 板状に形成された本発明の多孔質焼結体が植物を繁殖させる基盤として使用される状態の一例を説明する斜視図。 本発明の多孔質焼結体が植物を繁殖させる基盤として使用される状態における毛細管現象吸水力を説明する図。 本発明の多孔質焼結体が植物を繁殖させる基盤として使用される状態における毛細管現象吸水力を説明する他の図。 (a)板状に形成された本発明の多孔質焼結体が装入される窪み部を中央に備えている基台を説明する断面図、(b)板状に形成された本発明の多孔質焼結体が図15(a)図示の基台に装入された状態の平面図。 円柱状に形成された本発明の多孔質焼結体が植物を繁殖させる基盤として使用され、複数並立されている状態を説明する正面図。 本発明の多孔質焼結体の表面の状態を説明する一部を省略した拡大側面図。
本発明の多孔質焼結体は、陶磁器粉砕物、碍子粉砕物、耐火レンガ粉砕物、天然火成岩粉砕物の中のいずれか一種または複数種の粒径5ミクロン以上で300ミクロン未満のもの10〜27重量%と、粒径300〜1000ミクロンのもの63〜70重量%及び、天然ガラス質鉱物の粒径5〜44ミクロンのもの10〜20重量%とを原料として用いるものである。
陶磁器粉砕物としては、天然窯業原料として使用中の原料以外の低品位で未利用の原料や、陶磁器製造工程での不合格製品や、廃棄対象になった茶碗・花瓶類などの陶磁器の粉砕物を使用することができる。
耐火レンガ粉砕物としては、耐火レンガ製造工程での不合格製品や、撤去などにより廃棄対象になった耐火レンガ製品などの粉砕物を使用することができる。
天然火成岩粉砕物としては、陶石・サバなどの粉砕物、すなわち、珪石・長石混合物の粉砕物を使用することができる。
天然ガラス質鉱物としては、軽石、真珠岩、シラス、黒曜石、ゼオライト系の天然火山ガラスのいずれか一種または複数種を使用することができる。
本発明の多孔質焼結体は、後述するように、植物を繁殖させる基盤として使用することに適している。この場合、本発明の多孔質焼結体からなる植物基盤に植物を植設した当初から、育成が進むまで、植物の安定した定着に適合する毛細管現象、吸水性を発揮させる上で、陶磁器粉砕物、碍子粉砕物、耐火レンガ粉砕物、天然火成岩粉砕物の中のいずれか一種または複数種の粒径5ミクロン以上で300ミクロン未満のものと、粒径300〜1000ミクロンのものとを用いることが望ましい。また、かかる粒径範囲のものを用いると、本発明の多孔質焼結体の製造工程で行われる、後述する、成形から焼成までの工程での全収縮率が3%以内におさまって、基盤寸法・形状精度を高くすることができるので有利である。
前述したように、陶磁器粉砕物、碍子粉砕物、耐火レンガ粉砕物、天然火成岩粉砕物の中のいずれか一種または複数種の粒径の下限は5ミクロンで、上限は1000ミクロンになっている。これは、後述するように、本発明の多孔質焼結体の製造工程では1000〜1200℃で焼成する焼成工程が採用されるが、5ミクロン以下が配合されると焼成品は緻密になる傾向となり吸水性が落ちてきて、全収縮率も大きくなるマイナスが生じる。一方、1000ミクロン以上が配合されると毛細管現象が落ちてくることになり毛細管現象と吸水性のバランスが崩れることを考慮したものである。
天然ガラス質鉱物の粒径5〜44ミクロンのものを用いるのは、陶磁器粉砕物、碍子粉砕物、耐火レンガ粉砕物、天然火成岩粉砕物の中のいずれか一種または複数種の粒径5ミクロン以上で300ミクロン未満のものと、粒径300〜1000ミクロンのものとを用いた配合物粒子表面に均一に安定して効率良く付着出来る粉末度を考慮したものである。また、本発明の多孔質焼結体の製造工程で行われる、後述する、焼成工程において1000〜1200℃で焼成することで、配合物粒子に均一に安定して効率良く熔着して適正な空隙を持つ多孔質焼結体とすることを考慮したものである。
前述したように、本発明においては、陶磁器粉砕物、碍子粉砕物、耐火レンガ粉砕物、天然火成岩粉砕物の中のいずれか一種または複数種の粒径5ミクロン以上で300ミクロン未満のもが10〜27重量%で、粒径300〜1000ミクロンのものが63〜70重量%、天然ガラス質鉱物の粒径5〜44ミクロンのもの10〜20重量%としている。これは、本発明の多孔質焼結体の製造工程で行われる、後述する、焼成工程において1000〜1200℃で焼成することで、本発明の多孔質焼結体からなる植物基盤に植物を植設した当初から、育成が進むまで、植物の安定した定着に適合する毛細管現象、吸水性を発揮させると共に、本発明の多孔質焼結体の製造工程で行われる、後述する、成形から焼成までの工程での全収縮率を3%以内におさめて、基盤寸法・形状精度を高くすることを考慮したものである。
本発明の多孔質焼結体は、前述した原料を混合し、これに所定量の水分及び有機バインダーを加えて混練し、混練物を所定の形状に成形した後、前記有機バインダーが粘着力を有している湿潤状態の間に、粒径が300ミクロンを超えない大きさで所定の粒径範囲に整粒されているセラミック粒子を前記所定の形状に成形されている混練物の表面全体に振りかけてまぶし、当該セラミック粒子が表面全体にまぶされた前記所定の形状に成形されている混練物を乾燥させ、その後、1000〜1200℃で焼成して製造される。
前記において、有機バインダーとしては、例えば、吸水性高分子、CMC(カルボキシメチルセルロース)、酢酸ビニル系接着剤などを用いることができる。
水分(例えば、水)及び、有機バインダーは配合した原料を混練し、所定の形状に成形する際の加工性、成形性、取扱容易性などを考慮して添加するもので、例えば、水分は前述した配合原料に対して20重量%を越えない程度、有機バインダーは前述した配合原料に対して3重量%を越えない程度の割合で配合することができる。
ただし、添加する水分と有機結合材は、いずれも焼成工程における焼成に伴って消失するため焼成物の主成分には影響をあたえないので、前記の添加割合を越えても差し支えない。
セラミック粒子としては、アルミナ、炭化珪素、窒化珪素、ムライト、シリマナイト、仮焼石英、仮焼蝋石、仮焼カオリン、陶磁器粉砕物、碍子粉砕物のいずれか一種の粒子、またはそれらの中の複数種の混合物を使用することができる。
このセラミック粒子は後述する焼成工程の後、前述した天然ガラス質鉱物が焼成工程で熔化することによって本発明の多孔質焼結体の表面に熔着される。
なお、焼成工程を経て形成される本発明の多孔質焼結体は、前述した陶磁器粉砕物、碍子粉砕物、耐火レンガ粉砕物、天然火成岩粉砕物の中のいずれか一種または複数種の粒子が、前述した焼成工程で熔化した天然ガラス質鉱物によって熔着されてなるものである。
そこで、本発明の多孔質焼結体の表面に熔着する前記のセラミック粒子は、多孔質焼結体の表面に露出している前記陶磁器粉砕物、碍子粉砕物、耐火レンガ粉砕物、天然火成岩粉砕物の中のいずれか一種または複数種の粒子の表面や、本発明の多孔質焼結体の表面を構成している前記天然ガラス質鉱物が焼成工程で熔化した後、固化した部分の表面に熔着している。
また、焼成工程によって本発明の多孔質焼結体内には空隙部が形成されるが、前述したセラミック粒子は、この空隙部内周壁の表面にも熔着される。
なお、この空隙部内周壁の表面も、前記天然ガラス質鉱物が焼成工程で熔化した後、固化した部分及び、この空隙部内周壁に露出する前記陶磁器粉砕物、碍子粉砕物、耐火レンガ粉砕物、天然火成岩粉砕物の中のいずれか一種または複数種の粒子の表面によって構成されている。そこで、前記のセラミック粒子は、この空隙部内周壁に露出している前記陶磁器粉砕物、碍子粉砕物、耐火レンガ粉砕物、天然火成岩粉砕物の中のいずれか一種または複数種の粒子の表面や、この空隙部内周壁の表面を構成している前記天然ガラス質鉱物が焼成工程で熔化した後、固化した部分の表面に熔着している。
ここで、粒径が300ミクロンを超えない大きさで所定の粒径範囲に整粒されているセラミック粒子を用いるのは、前述したように、陶磁器粉砕物、碍子粉砕物、耐火レンガ粉砕物、天然火成岩粉砕物の中のいずれか一種または複数種の粒径300〜1000ミクロンのものが配合原料の中に必ず含まれていることを考慮したものである。本発明の多孔質焼結体の製造工程では、前述したように、原料の混合、所定量の水分及び有機バインダーを加えた混練、混練物の所定形状への成形、乾燥、1000〜1200℃での焼成工程が採用される。これによって、粒径が300ミクロンを超えない大きさのセラミック粒子を用いると、少なくとも、粒径300〜1000ミクロンを有する陶磁器粉砕物、碍子粉砕物、耐火レンガ粉砕物、天然火成岩粉砕物の中のいずれか一種または複数種の表面に、粒径が300ミクロンを超えない大きさのセラミック粒子が溶着できる。
前述したように、セラミック粒子は本発明の多孔質焼結体の表面や、本発明の多孔質焼結体内に形成されている空隙部の内周壁表面に熔着され、これによって表面凸部が形成される。この表面凸部は、本発明の多孔質焼結体が植物を繁殖させる植物基盤として使用されるときの、植物の根付き、安定的な定着、本発明の多孔質焼結体が発揮する毛細管現象の効率に影響を与える。
そこで、陶磁器粉砕物、碍子粉砕物、耐火レンガ粉砕物、天然火成岩粉砕物の中のいずれか一種または複数種の粒径300〜1000ミクロンのものが配合原料の中に必ず含まれていることを考慮し、粒径が300ミクロンを超えない大きさで所定の粒径範囲に整粒されているセラミック粒子を用いることが望ましい。
なお、粒径が300ミクロンを超えない大きさで所定の粒径範囲に整粒されているセラミック粒子については、本発明の多孔質焼結体の使用用途に応じて、セラミック粒子の粒径を選択して使用することができる。例えば、粒径40ミクロン以上50ミクロン未満、粒径50ミクロン以上60ミクロン未満、粒径60ミクロン以上70ミクロン未満、粒径70ミクロン以上80ミクロン未満、粒径80ミクロン以上90ミクロン未満、粒径90ミクロン以上100ミクロン未満、粒径100ミクロン以上200ミクロン未満、粒径200ミクロン以上300ミクロン未満のように、分級、整粒し、所定の粒径範囲のものを使用したり、一の所定粒径範囲のものと、他の所定粒径範囲のものとを所定の割合で配合して使用することができる。
すなわち、本発明の多孔質焼結体の使用用途に応じて、前記のように、所定の粒径範囲に整粒されているものを選択して使用したり、一の所定粒径範囲のものと、他の所定粒径範囲のものとを所定の割合で配合して使用することが望ましい。
前述したように、セラミック粒子は本発明の多孔質焼結体の表面や、本発明の多孔質焼結体内に形成されている空隙部の内周壁表面に熔着されるので、粒径の大きさに応じてセラミック粒子によって形成される表面凸部の大きさが変動する。また、本発明の多孔質焼結体内に形成されている空隙部の内周壁表面に熔着されるセラミック粒子の粒径(大きさ)に応じてセラミック粒子によって形成される表面凸部の大きさが変動すると共に、当該空隙部が存在することによって本発明の多孔質焼結体が発揮する毛細管現象の効率も変動する。
そこで、本発明の多孔質焼結体の用途を考慮して、前述したように、粒径が300ミクロンを超えない大きさで所定の粒径範囲に整粒されているセラミック粒子については、所定の粒径範囲に整粒されているものを選択して使用したり、一の所定粒径範囲のものと、他の所定粒径範囲のものとを所定の割合で配合して使用することが望ましい。
例えば、本発明の多孔質焼結体で植物を繁殖させる基台・基板・基盤として利用する場合、植物の種類によって、本発明の多孔質焼結体の表面や、多孔質焼結体内に形成されている空隙部の内周壁表面にセラミック粒子によって形成される表面凸部の大きさを変動させることができる。
前述したように、前記のセラミック粒子は、前述した原料に所定量の水分及び有機バインダーを加えて混練し、混練物を所定の形状に成形して前記有機バインダーが粘着力を有している湿潤状態の間に、当該所定の形状に成形されている混練物の表面全体に振りかけてまぶされる。そして、セラミック粒子が表面全体にまぶされた前記所定の形状に成形されている混練物を乾燥させ、その後、1000〜1200℃で焼成して、本発明の多孔質焼結体が製造される。
前記の所定形状に成形した混練物において、有機バインダーが粘着力を有している湿潤状態の間に、セラミック粒子を混練物の表面全体に振りかけてまぶすことにより、これを乾燥、焼成すると、セラミック粒子が、焼成工程で熔化した後、固化する天然ガラス質鉱物の働きにより、多孔質焼結体の表面に露出している前記陶磁器粉砕物、碍子粉砕物、耐火レンガ粉砕物、天然火成岩粉砕物の中のいずれか一種または複数種の粒子の表面や、本発明の多孔質焼結体の表面を構成している前記天然ガラス質鉱物が焼成工程で熔化した後、固化した部分の表面、そして、多孔質焼結体内に形成される空隙部の内周壁に露出している前記陶磁器粉砕物、碍子粉砕物、耐火レンガ粉砕物、天然火成岩粉砕物の中のいずれか一種または複数種の粒子の表面や、この空隙部内周壁の表面を構成している前記天然ガラス質鉱物が焼成工程で熔化した後、固化した部分の表面に、満遍なく、熔着する。
焼成温度は1000〜1200℃であることが望ましい。焼成温度が1000℃以下の場合、天然ガラス質鉱物が熔化不十分となり多孔質焼結体が強度不足となる。一方、1200℃以上になると過熔化状態となり粒子間の空隙部が埋まって毛細管現象及び吸水性が低下すると共に寸法・形状精度が低下するので好ましくない。
この温度範囲で焼成することにより、前記天然ガラス質鉱物が焼成工程で熔化した後、固化し、本発明の多孔質焼結体は内部に空隙部を有するものになる。この空隙部の存在により、本発明の多孔質焼結体は毛細管現象を有する多孔質焼結体となる。
この毛細管現象は、例えば、φ100mm、高さ300mmの円柱形状体の本発明の多孔質焼結体の場合、毛細管現象により高さ300mmまで水を吸いあげることができる毛細管現象吸水力を発揮できるものとなる。
以下、添付図面を参照して本発明の多孔質焼結体を製造する工程の一例を説明する。
図1のS101工程における出発物質、すなわち、本発明の多孔質焼結体の原料としては、天然窯業原料として使用中の原料以外の低品位で未利用の原料や、陶磁器製造工程での不合格製品や、廃棄対象になった茶碗・花瓶類などの陶磁器1、2(図2(a)、(b))、碍子製造工程での不合格製品や、廃棄対象になった碍子3(図3)、耐火レンガ製造工程での不合格製品や、撤去などにより廃棄対象になった耐火レンガ4(図4)、陶石・サバ、等、すなわち、珪石・長石混合物である天然火成岩を用いることができる。
これらを、図1のS102の工程である粉砕工程において粉砕する。粉砕は、粉砕機による機械的な粉砕方法として、まず粗粉砕段階においてクラッシングで粉砕し、引き続く中・微粉砕段階において、衝撃式などの微粉砕式の粉砕機による粉砕方法を用いる。
なお、陶磁器、碍子、耐火レンガ、天然火成岩(シラス、陶石)の一般的な化学成分組成を示すと以下のようになる。
Figure 0005296573
このように陶磁器、碍子、耐火レンガ、天然火成岩にはSiO、Al、Feが含有されている。そこで、本発明の多孔質焼結体には遠赤外線効果も期待できる。
一方、同じく、図1のS102の工程である粉砕工程において、軽石、真珠岩、シラス、黒曜石、ゼオライト系の天然火山ガラスのいずれか一種または複数種からなる天然ガラス質鉱物を、クラッシング及び、衝撃式などの微粉砕式の粉砕機によって粉砕する。
この天然ガラス質鉱物はSiOとAlを主成分としFe、KO、NaOなどを含有する物質である。
本発明の多孔質焼結体においては、図5に例示するように、符号10で示す陶磁器粉砕物、碍子粉砕物、耐火レンガ粉砕物、天然火成岩粉砕物の粒子の周囲に、後述する焼成工程で溶融し、その後、固化した天然ガラス質鉱物からなる符合11で示す溶融層が形成されると共に、後述する焼成工程で天然ガラス質鉱物が溶融することにより形成された符号12で示す空隙部を備えたものとなる。
後述する焼成工程によってこの空隙部12が形成されることにより、本発明の多孔質焼結体は良好な毛細管現象吸水力を発揮することができる。
更に、図1のS102の工程である粉砕工程において、アルミナ、炭化珪素、窒化珪素、ムライト、シリマナイト、仮焼石英、仮焼蝋石、仮焼カオリン、陶磁器・碍子不合格品などのセラミックを、クラッシング及び、衝撃式などの微粉砕式の粉砕機によって粉砕する。
次に、前記のように粉砕した粒子の粒径を、図1のS103の工程である粉砕分級工程において整える。
ここでは、振動式の篩い装置等による機械的な分級方法を用い、陶磁器粉砕物、碍子粉砕物、碍子粉砕物、耐火レンガ粉砕物、耐火レンガ粉砕物、天然火成岩粉砕物を、粒径5ミクロン以上で300ミクロン未満のものと、粒径300〜1000ミクロンのものに分級する。
一方、同じく、前記のように粉砕した天然ガラス質鉱物粉砕物を、振動式の篩い装置等による機械的な分級方法を用い、粒径5〜44ミクロンに分級する。
また、前記のように粉砕したセラミック粉砕物を、振動式の篩い装置等による機械的な分級方法を用い、粒径が300ミクロンを超えない大きさで所定の粒径範囲に整粒する。例えば、粒径40ミクロン以上50ミクロン未満、粒径50ミクロン以上60ミクロン未満、粒径60ミクロン以上70ミクロン未満、粒径70ミクロン以上80ミクロン未満、粒径80ミクロン以上90ミクロン未満、粒径90ミクロン以上100ミクロン未満、粒径100ミクロン以上200ミクロン未満、粒径200ミクロン以上300ミクロン未満のように、分級、整粒する。
次に、前記のようにして分級した陶磁器粉砕物、碍子粉砕物、耐火レンガ粉砕物、天然火成岩粉砕物の中のいずれか一種または複数種の粒径5ミクロン以上で300ミクロン未満のもの10〜27重量%、粒径300〜1000ミクロンのもの63〜70重量%及び、天然ガラス質鉱物の粒径5〜44ミクロンのもの10〜20重量%とを、図1のS104の工程である成形材料調整工程において混合する。
次に、前述のように成形材料調整したものに所定量の水分及び有機バインダーを加えて、図1のS105の工程である成形材料混練工程において混練する。混練は、ニーダ等の混練機を利用することができる。
本工程においては後続する混練物成形工程において成形時の加工性と成形物のハンドリングを容易にするため、水分(例えば、水)及び、吸水性高分子、CMC、酢酸ビニル系接着剤などの有機結合材からなる有機バインダーを加えて混練する。
かかる目的から、水分は前述した配合原料に対して20重量%を越えない程度、有機バインダーは前述した混合原料に対して3重量%を越えない程度の割合で配合することができる。ただし、添加する水分と有機結合材は、いずれも焼成工程における焼成に伴って消失するため焼成物の主成分には影響をあたえないので、前記の添加割合を越えても差し支えない。
次に、図1のS106の工程である混練物成形工程において、混練物を所定の形状に成形する。ここでは、金型及び、プレス成形機を最終的な多孔質焼結体の形状に応じて使用することができる。
こうして混練物を所定の形状に成形した後、同じく、図1のS106の工程である混練物成形工程において、前記有機バインダーが粘着力を有している湿潤状態の間に、前記のように、粒径が300ミクロンを超えない大きさで所定の粒径範囲に整粒されているセラミック粒子を前記所定の形状に成形されている混練物の表面全体に振りかけてまぶす。
最後に、図1のS107の工程である成形物焼成工程において、セラミック粒子が表面全体にまぶされた所定の形状に成形されている混練物を乾燥させ、その後、1000〜1200℃で焼成して本発明の多孔質焼成体を製造する(S108)。
図6に示すように、セラミック粒子13は、符号10で示す陶磁器粉砕物、碍子粉砕物、耐火レンガ粉砕物、天然火成岩粉砕物の粒子の表面に、焼成工程で溶融し、その後、固化した天然ガラス質鉱物によって熔着される。
前記の成形物焼成工程は、表面全体に表面全体にセラミック粒子が振りかけられてまぶされている所定の形状に成形されている混練物を焼成して本発明の多孔質焼結体にする工程である。電気窯や火炎式の焼成窯で適用可能である。
本発明の多孔質焼結体においては、焼成工程によって天然ガラス質鉱物が溶融し、その後、固化することにより、図5に符号12で示すように空隙部が形成され、これによって、本発明の多孔質焼結体が発揮する良好な毛細管現象吸水力が得られる。
この空隙部12が存在することによる本発明の多孔質焼結体の空隙率(気孔径・気孔率)は、陶磁器粉砕物、碍子粉砕物、耐火レンガ粉砕物、天然火成岩粉砕物の粒子の粒径、セラミック粒子の粒径、天然ガラス質鉱物の粒子の粒径及び、これらの配合割合、焼成温度によって調整される。
そこで、これらの条件を変えることにより本発明の多孔質焼結体の空隙率(気孔径・気孔率)をある一定の範囲内、例えば、気孔径:0.5〜300ミクロン、気孔率:30〜60%に調整することができる。
気孔径:0.5〜300ミクロン、気孔率:30〜60%の場合、本発明の多孔質焼結体は優れた毛細管現象、例えば、φ100mm、高さ300mmの円柱形状体の本発明の多孔質焼結体の場合に、毛細管現象により高さ300mmまで水を吸いあげることができる毛細管現象吸水力を発揮できる。
本発明の多孔質焼結体の空隙率を、気孔径:0.5〜300ミクロン、気孔率:30〜60%に調整する上で、前述したように、
陶磁器粉砕物、碍子粉砕物、耐火レンガ粉砕物、天然火成岩粉砕物の中のいずれか一種または複数種の粒径5ミクロン以上で300ミクロン未満のもの10〜27重量%と、粒径300〜1000ミクロンのもの63〜70重量%及び、
天然ガラス質鉱物の粒径5〜44ミクロンのもの10〜20重量%とを混合し、
これに所定量の水分及び有機バインダーを加えて混練し、
混練物を所定の形状に成形した後、
前記有機バインダーが粘着力を有している湿潤状態の間に、粒径が300ミクロンを超えない大きさで所定の粒径範囲に整粒されているセラミック粒子を前記所定の形状に成形されている混練物の表面全体に振りかけてまぶし、
当該セラミック粒子が表面全体にまぶされた前記所定の形状に成形されている混練物を乾燥させ、その後、1000〜1200℃で焼成する
ことが望ましい。
なお、前述したように、有機バインダーは焼成工程における焼成に伴って消失するので、有機バインダーの使用は本発明の多孔質焼結体の成分に影響をあたえないが、有機バインダーの混合量が多くなると、空隙率の多寡に影響が生じるおそれがある。そこで、有機バインダーは、前述した混合原料に対して3重量%を越えない程度の割合で配合することが望ましい。
本発明の多孔質焼結体の表面には、粒径が300ミクロンを超えない大きさで所定の粒径範囲に整粒されているセラミック粒子13(図6)が付着している。
また、本発明の多孔質焼結体は、図5に符号12で示すように、その内部に数ミクロン以下〜数百ミクロンの微細孔径の無数の連通した微細孔(空隙部)を有している。そして、この無数の空隙部12によって、本発明の多孔質焼結体の前面と背面(例えば、図17に例示される本発明の多孔質焼結体14の前面(図17中、上側面)と、背面(図17中、下側面)とは連通されている。
この結果、本発明の多孔質焼結体をその表面上に植物が繁殖する植物定着基盤として使用すると、植物が根を張って当該基盤上に定着し、葉を伸長させたときに自己を安定的に固定することができ、また、付着面の下部である当該基盤内に存在している細孔より毛細管現象を利用して水分補給・栄養分を摂取可能である。
実際に、本発明の多孔質焼結体を植物定着基盤として使用すると、構造上、植物が定着して根や葉を伸長させ成育するのにきわめて適していることが確認されている。平地だけでなく垂直面や斜面の緑地への応用では著しい効果がみとめられている。
(本発明の多孔質焼結体の製造)
(碍子の粉砕及び、碍子粉砕物粒子の整粒)
碍子製造工程での不合格製品や、廃棄対象になった碍子3(図3)をクラッシングで粗粉砕し、引き続き、衝撃式などの微粉砕式の粉砕機によって微粉砕した。
振動式の篩い装置を用い、微粉砕した碍子を、粒径5ミクロン以上で300ミクロン未満のものと、粒径300〜1000ミクロンのものに分級した。
(天然ガラス質鉱物の粉砕及び、天然ガラス質鉱物粉砕物粒子の整粒)
黒曜石をクラッシングで粗粉砕し、引き続き、衝撃式などの微粉砕式の粉砕機によって微粉砕した。
振動式の篩い装置を用い、微粉砕した黒曜石粉砕物粒子から、粒径5〜44ミクロンの微粉砕した黒曜石を分級した。
(セラミックの粉砕及び、セラミック粉砕物粒子の整粒)
アルミナをクラッシングで粗粉砕し、引き続き、衝撃式などの微粉砕式の粉砕機によって微粉砕した。
振動式の篩い装置を用い、微粉砕したアルミナ粉砕物粒子を、粒径40ミクロン以上50ミクロン未満に分級した。
(成形材料調整)
碍子粉砕物の粒径5ミクロン以上で300ミクロン未満のもの25重量%、粒径300〜1000ミクロンのもの65重量%及び、黒曜石粉砕物の粒径5〜44ミクロンのもの10重量%とを混合した。
(成形材料混練)
前述のように成形材料調整したものに対して10重量%の水、3重量%のCMC(カルボキシメチルセルロース)を添加し、ニーダで混練した。
(混練物成形)
前記のように混練した成形材料を、金型を用い、最終的に、図7〜図10に例示されている成形体(本発明の多孔質焼結体15、16、17、18)が形成されるように成形した。
次に、CMC(カルボキシメチルセルロース)が粘着力を有している湿潤状態の間に、粒径40ミクロン以上50ミクロン未満のアルミナ粉砕物粒子を前記所定の形状に成形されている混練物の表面全体に振りかけてまぶした。
(成形物焼成)
アルミナ粉砕物粒子が表面全体にまぶされた所定の形状に成形されている混練物を乾燥させ、その後、1000〜1200℃の温度範囲で12(9〜13時間の範囲でも良い)時間かけて焼成した。
こうして、図7〜図10に外観が表わされている本発明の多孔質焼成体15、16、17、18を製造した。
実施例1のようにして製造した、図8図示の本発明の多孔質焼成体16(φ100mm、高さ300mmの円柱形状体、重さ3061g)について、毛細管現象吸水力を確認した。
水を張った水盤にφ100mm、高さ300mmの円柱形状体である本発明の多孔質焼成体16を立てておいたところ、3時間で頂面(高さ300mm)まで水が吸い上げられ、その後、その状態が維持された。
その一方、この状態で、10時間経過した後、水盤に張られている水の成分を分析したところ、セメント製品類にみられる可溶性アルカリ分の溶出は確認できなかった。
このように、本発明の多孔質焼成体は高い毛細管現象吸水力と、保水力を発揮できるので、本発明の多孔質焼成体を植物を繁殖させる基盤に使用すると、植物との親和性に優れていると考えられた。
そこで、図16図示のように、実施例1のようにして製造した発明の多孔質焼成体16、16a、16b、16c(いずれもφ100mm、高さ300mmの円柱形状体、重さ3061g)を、植物を繁殖させる基盤に使用したところ、植物の根腐れという欠陥が生じないことを確認できた。これにより、発明の多孔質焼成体は、通気性と毛細管現象吸水力による吸水性・保水性等の面で好適な植物成育環境を形成できることを確認できた。
また、図16図示のように、本発明の多孔質焼成体16、16a、16b、16c(いずれもφ100mm、高さ300mmの円柱形状体、重さ3061g)を、植物30を繁殖させる基盤に使用し、多孔質焼成体が立設される水盤に張る水22を窒素、リンに富んでいる水にして実験を行った。多孔質焼成体16、16a、16b、16cからの気化熱現象と、植物30からの気化熱現象及び、植物30による吸着により空気浄化と、水質浄化の役割も十分はたせることを確認できた。
この図16図示の実験では、4本の多孔質焼成体16、16a、16b、16c(いずれもφ100mm、高さ300mmの円柱形状体)を用い、水盤に窒素、リンに富んでいる水22を張って30日間静置したところ、最大で窒素吸着率12%、リン吸着率30%であった。
本発明の多孔質焼成体はφ100mm、高さ300mmの円柱形状体であっても、僅か3061gと軽量であって、コンパクトであり、前述したように、多孔質焼成体からの気化熱現象による湿度調節作用と、植物からの気化熱現象により空気浄化機能とを発揮できるので、室内に置けば湿度調節作用と、空気浄化機能を併せて期待できる機能性と柔軟性に富む。
また、実施例1のようにして、縦横300mm、厚み20mmの平板状の本発明の多孔質焼成体17(図9)、縦横300mm、厚み100〜300mmの厚板状の本発明の多孔質焼成体を製造し、図12のように、植物20を繁殖させる基盤に使用したところ、同じく、植物の根腐れという欠陥が生じないことを確認できた。更に、図10図示のような形状の人工石となる本発明の多孔質焼成体18や、図13図示のような形状の人工石となる本発明の多孔質焼成体23を製造し、植物を繁殖させる基盤に使用したところ、同じく、植物の根腐れという欠陥が生じないことを確認できた。
そこで、本発明の多孔質焼成体の良好な毛細管現象吸水力を利用して、軽量で耐久性に優れた水質浄化基盤を提供し、工業廃水や生活排水の処理、湖沼・河川水の浄化など基本的な環境問題への適用することが可能である。
産業上の利用の可能性
本発明の多孔質焼成体は高い毛細管現象吸水力と、保水力を発揮できる。そこで、本発明の多孔質焼成体を、植物を繁殖させる基盤に使用することが、環境緑化と鑑賞栽培の観点から期待される。また、発明の多孔質焼成体を、植物を繁殖させる基盤に使用することが、近時、市街地で問題になっているヒートアイランド現象の緩和策としても注目される。
縦横300mm、厚み10〜30mm程度の平板状の本発明の多孔質焼結体を用い、必要な緑化面積に応じて平板状多孔質焼結体の数を調節して並置すれば、所望の広さの範囲をカバーすることができる。
この場合、本発明の多孔質焼結体は、軽量でコンパクトであることから機能性と柔軟性に富む。また、本発明の多孔質焼結体は、軽量でコンパクトであることから、垂直面や傾斜面の緑地化への応用も可能である。
なお、図11図示のように、平面視で矩形状の本発明の多孔質焼成体25を作製し、この四隅に透孔26a〜26dを設け、この透孔26a〜26dを介してボルトなどの止め具を用いて、本発明の多孔質焼成体25を所望の箇所に取り付けることもできる。
本発明の多孔質焼成体が発揮する高い毛細管現象吸水力と、保水力を利用して、これを植物定着基盤として用いると、自然環境の保全という観点からきわめて有用である。
本発明での多孔質焼結体は必要に応じて各種形状に成形して、植物の定着および成育促進に供することができる。
図14図示のように、植物20の定着および成育促進用の基盤として本発明の多孔質焼成体19を用いつつ、これを発泡材21、21などを利用して、水質浄化処理を施す水22に浮かべて使用することができる。このようにすると、植物による窒素、リン吸着により水質浄化の役割も十分はたせることができる。
更に、図15(a)、(b)図示のように、中央に矩形の凹部27を有する支持盤28を形成し、この凹部27に本発明の多孔質焼成体29を装入し、水分を供給しながら多孔質焼成体29の上に植物を繁殖させることもできる。
本発明の多孔質焼結体は窯業原料とその焼成製品を出発物質として一部廃材となるのに、有効なリサイクル手段となり有価物として経済価値を有する様々な実用品の製造に利用できる。実用品の種類は各種形状植物基盤、容器、緑化基盤、プランター、植木鉢、水草基盤などの鑑賞栽培やガーデニングにかかわる製品等多岐にわたって適用し得る。
以上、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態・実施例を説明したが、本発明はかかる実施形態・実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々の形態に変更可能である。
10 碍子粉砕物・碍子粉砕物・耐火レンガ粉砕物・天然火成岩粉砕物の粒子
11 溶融層
12 空隙部
13 セラミック粒子
14、15、16、16a〜16c、17、18、19、23、25、29 多孔質焼結体
20、30 植物
21 発泡材
22 水

Claims (2)

  1. 陶磁器粉砕物、碍子粉砕物、耐火レンガ粉砕物、天然火成岩粉砕物の中のいずれか一種または複数種の粒径5ミクロン以上で300ミクロン未満のもの10〜27重量%と、粒径300〜1000ミクロンのもの63〜70重量%及び、
    天然ガラス質鉱物の粒径5〜44ミクロンのもの10〜20重量%とを混合し、
    これに所定量の水分及び有機バインダーを加えて混練し、
    混練物を所定の形状に成形した後、
    前記有機バインダーが粘着力を有している湿潤状態の間に、粒径が300ミクロンを超えない大きさで所定の粒径範囲に整粒されている、融点が1200℃より高いセラミック粒子を前記所定の形状に成形されている混練物の表面全体に振りかけてまぶし、
    当該セラミック粒子が表面全体にまぶされた前記所定の形状に成形されている混練物を乾燥させ、その後、1000〜1200℃で焼成してなる
    多孔質焼結体であって、
    前記陶磁器粉砕物、碍子粉砕物、耐火レンガ粉砕物、天然火成岩粉砕物の中のいずれか一種または複数種の粒子が、前記焼成工程で熔化した前記天然ガラス質鉱物によって熔着されると共に、
    前記セラミック粒子が、
    前記多孔質焼結体の表面に露出している前記陶磁器粉砕物、碍子粉砕物、耐火レンガ粉砕物、天然火成岩粉砕物の中のいずれか一種または複数種の粒子の表面及び、
    前記多孔質焼結体の表面を構成している前記天然ガラス質鉱物が前記焼成工程で熔化した後、固化した部分の表面、並びに、
    前記焼成工程によって前記多孔質焼結体内に形成された空隙部内周壁の表面に
    熔着されている
    ことを特徴とする多孔質焼結体。
  2. 天然火成岩粉砕物は陶石の粉砕物、又は、サバの粉砕物、若しくはこれらの双方からなることを特徴とする請求項1記載の多孔質焼結体。
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