JP6088380B2 - 浮体式水浄化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、水に浮いた状態で、この水を浄化処理する浮体式水浄化装置に関する。
微生物を利用して水を浄化させる水浄化装置が、従来から広く用いられている。この装置には、例えば、特許文献1、2に記載されているような、水を通過可能とする多孔性部材と、多孔性部材の内部に水を強制的に通過させるポンプとを備えたものがある。かかる多孔性の部材には微生物が生息しやすく、水がこの多孔性部材を通過する際に微生物によって水が浄化される。
特開平8−155477号公報 実用新案登録第3047163号公報
しかしながら、ポンプを使った水の供給には電力の消費が伴うため、コストの発生が問題となる。例えば、水浄化装置を、植物を育てるための水の供給に用いる場合、電力を継続的に供給し続ける必要があるため、大きなコストが発生する。また、例えば、水浄化装置を、川、湖、沼、池などの広い領域で使用する場合、ポンプを複数の個所に設置する必要があり、この場合にも大きなコストが発生してしまう。
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、ポンプを用いずに水を引き込むとともに、この水を浄化することが可能な浮体式水浄化装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を有する。
浮体と、前記浮体の上面と底面との間を貫通するように配された、連通孔を有する多孔質セラミック焼成体と、を備え
前記連通孔を構成する孔のうち、孔の長径がミリメーターオーダーの孔は横長の形状を有しているものがあり、前記多孔質セラミック焼成体は、前記横長の形状を有しているミリメーターオーダーの孔のうち、前記横長の長軸が前記浮体の上面から底面に向かう方向に向いた孔が多くなるように配置されていることを特徴とする浮体式水浄化装置。
前記浮体の上面に土壌が配され、その土壌は前記多孔質セラミック焼成体と接触していることが望ましい。
前記土壌は、前記多孔質セラミック焼成体と同じ焼成体からなるフラグメントを含んでいることが望ましい。
前記浮体の上面側に、植物が生育していることが望ましい。
本発明の浮体式水浄化装置においては、多孔質セラミック焼成体の一端が、浄化処理する水と接触する位置に配置され、かつ、浮体の上面にまで貫通して設置されている。これにより、多孔質セラミック焼成体内の連通孔において、水が毛細管現象によって上昇することを利用して、浮体の上面まで引き上げることができる。したがって、浮体の上面に植物が生育している場合、この植物に対して水を供給することが可能となる。この場合、従来用いられているポンプなどの動力を必要としないため、ポンプを用いた場合の電力の消費や、ポンプの設置に伴う費用によるコストの発生を抑えることができる。
そして、本発明の浮体式水浄化装置は、底面に多孔質セラミック焼成体や繊維状のバイオフリンジを接続して富栄養価源であるリンや窒素を除去して水浄化効果があるだけの浮体式水浄化装置ではなく、浮体式水浄化装置上で植物が育ち、植物があることにより、水浄化される川、湖、沼、池に本願発明の浮体式水浄化装置を用いても自然と一体化し美観を損ねない。また、自然の無い環境にある池や貯水池に設置しても植物により美観と安らぎを提供することができる。さらにこれらの植物に虫や鳥が生息することにより、自然の生態系を再現することができる。
(a)本発明の第1実施形態に係る浮体式水浄化装置の斜視図である。(b)本発明の第1実施形態に係る浮体式水浄化装置の底面側の平面図である。 本発明を構成する多孔質セラミック焼成体の上面から底面に向かって切断した断面写真である。 (a)本発明の第2実施形態に係る浮体式水浄化装置の上面側の写真である。(b)本発明の第2実施形態に係る浮体式水浄化装置の底面側の写真である。 本発明の第3実施形態に係る浮体式水浄化装置の斜視図である。 本発明の第3実施形態に係る浮体式水浄化装置の断面図である。 本発明の第3実施形態に係る浮体式水浄化装置を構成する多孔質セラミック焼成体の断面図である。
以下、本発明による浮体式水浄化装置の実施形態について図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る浮体式水浄化装置100の構成について、図1(a)、(b)を用いて説明する。図1(a)は、浮体式水浄化装置100の斜視図である。図1(b)は、図1(a)に示した浮体式水浄化装置100の裏側の平面図である。
浮体式水浄化装置100は、発泡スチロールなどの浮体102と、浮体の上面102aと底面102bとの間を貫通するように配された、連通孔を有する多孔質セラミック焼成体103と、を少なくとも備えている。
ここでの連通孔は、浮体の上面102aと底面102bとに連通する孔を意味している。かかる連通孔を有することにより、底面に接触する水が上面まで達することが可能となる。
浮体の上面102aは、浮体式水浄化装置100を水に浮かばせた際に、水上に露出する側の面であり、浮体の底面102bは、その反対側に位置する面である。
図1に示す浮体式水浄化装置では、浮体の上面102aのうち、多孔質セラミック焼成体103が貫通した領域の周囲には壁部102cが設けられている。壁部102cで囲まれた各領域において、多孔質セラミック焼成体103同士や、多孔質セラミック焼成体103と壁部102cとが、炭素繊維を樹脂で一体化した炭素繊維(CFRP)ロッド104で接続されている。
そして、浮体102の周囲は別の浮体101によって囲まれている。図1に示す例では、4個の浮体101a、101b、101c、101dによって囲まれている。浮体101と浮体102は接着材105を介して接着されている。これにより、水との接触面積が大きくなり、浮体などが水に与える圧力を分散することによって、浮体式水浄化装置100の浮遊効果が高められるとともに、風雨などの外力負荷による振動が加わった際の安定性が増す。
なお、図1(a)、(b)では浮体102を2個備えた例を示しているが、備える個数に制限はない。
浮体101、102の材料としては水に浮かぶ材料であればよく、例えば、発泡スチロール、空気を入れたポリ容器、ウレタンなどを用いた発泡樹脂などが用いられる。
多孔質セラミック焼成体103の構造としては、浮体の上面102aと底面102bとの間を貫通するように配されたときに、上面102aと底面102bとの間に連通する連通孔を有するものであれば、特に制限はない。
このような多孔質セラミック焼成体103は例えば、後に説明する方法や含水組成物内で、金属アルミニウムにアルカリ溶液を加えて水素を発生させ、これを焼結することによって得られる。
図2は、多孔質セラミック焼成体103の上面103aから底面103bに向かって切断した断面写真である。多孔質セラミック焼成体103は、図2のように内部に孔が形成されたものである。
多孔質セラミック焼成体103は、ミリメートルオーダーの孔を少なくとも有する。多孔質セラミック焼成体103は、ミリメートルオーダーの孔以外に、マイクロメートルオーダーの孔、ナノメートルオーダーの孔を有してもよい。孔の少なくとも一部が浮体の上面102aから底面102bに連通している。
ミリメートルオーダーの孔は横長の形状を有していることが好ましい。「横長の形状」とは、様々とりえる径のうち、最も長い径がそれと直交する径に対して目視して明らかに長い形状をいい、例えば、最も長い径がそれと直交する径に対して1.5倍以上を有する形状をいう。ミリメートルオーダーの孔は横長の形状を有している場合、多孔質セラミック焼成体は、その横長の形状を有する孔のうち、横長の長軸が浮体の上面から底面に向かう方向に向いた孔が多くなるように配置することが好ましい。「横長の長軸が浮体の上面から底面に向かう方向に向いた」とは、横長の長軸が浮体の上面から底面に向かう方向に対して直交しない方向を向いていることをいい、「横長の長軸が浮体の上面から底面に向かう方向に向いた孔」としては横長の長軸が浮体の上面から底面に向かう方向に対して±45°の範囲内にあることが好ましい。その横長の形状を有する孔のうち、横長の長軸が浮体の上面から底面に向かう方向に対して±45°の範囲内にあるものが1/2以上であることが好ましい。かかる配置は目視によって行うことができる。
ミリメートルオーダーの孔は、孔径1mm超1000mm以下の孔である。ミリメートルオーダーの孔の孔径は、1mm超100mm以下が好ましい。
マイクロメートルオーダーの孔は、孔径1μm超1000μm以下の孔である。
多孔質セラミック焼成体103には、孔径1〜1000nmのナノメートルオーダーの孔が形成されているのが好ましい。さらにナノメートルオーダーの孔が形成されていることで、多孔質セラミック焼成体103の保水性をより高められる。
孔の孔径は、原料の組成や焼成条件を組み合わせることにより調節される。
なお、孔の孔径とは、孔の長径を指す。ミリメートルオーダーの孔の孔径は、多孔質セラミック焼成体103を浮体の上面102aから浮体の底面102bに向けて切断し、その断面に形成された開口部の孔径をスケールで測定した値である。ナノメートルオーダー及びマイクロメートルオーダーの孔の孔径は、断面に形成された開口部の孔径を電子顕微鏡で測定した値である。
多孔質セラミック焼成体103は、少なくとも一部の孔同士が連通していることが好ましい。連通する孔は、ミリメートルオーダーの孔同士でもよいし、マイクロメートルオーダーの孔同士でもよいし、ミリメートルオーダーの孔とマイクロメートルオーダーの孔とが連通していてもよい。またナノメートルオーダーの孔を有する場合は、ナノメートルオーダーの孔と、ミリメートルオーダーの孔およびマイクロメーターオーダーの孔のそれぞれと連通していてもよい。孔同士が連通していることで、多孔質セラミック焼成体103は、水がより吸い上がりやすい状態となっている。
多孔質セラミック焼結体103に含まれる気孔の体積割合は特に制限はないが、(気孔の体積)/(多孔質セラミック焼結体の体積)で表される気孔率が、好ましくは90体積%以下、より好ましくは40〜80体積%、さらにより好ましくは60〜70体積%である。気孔率が上記範囲内であれば、多孔質セラミック焼成体の強度を維持することができる。
多孔質セラミック焼成体の形状は、板状、直方体、直方体、角柱、円柱など浮体の上面から底面に設置できるものであれば特に制限はない。球状であってもよい。
多孔質セラミック焼成体は、表面が研削されていることが好ましい。表面が研削されていることにより、浮体の上面への水の供給がスムーズになるためである。
浮体102に対する多孔質セラミック焼成体103の貫通の程度について説明する。
浮体の上面102a側においては、浮体の上面に土壌を有する場合にはその土壌と接触させるために、多孔質セラミック焼成体103は、その上面103aが浮体の上面102aから約1cm以上突出していることが望ましい。
浮体の底面102b側においては、多孔質セラミック焼成体103を水と接触させる必要がある。そのため、例えば、浮体102が発泡スチロールで、当発泡スチロールに穴を開けて多孔質セラミック焼成体103を取り付ける場合には、発泡スチロールの底面の穴から少なくとも1cm程度、多孔質セラミック焼成体103の底面103bが突出していることが好ましい。ただし、浮体102がある程度水に沈む場合には、当該穴から出ていなくてもよい。水に接触すればマイナス数cmでもよい。
多孔質セラミック焼成体103は連通孔を備えているため、内部の空気が抜け出せる構造となっている。したがって、浮体の底面102bから突出していなくても、多孔質セラミック焼成体103が水に接触することが可能である。浮体の上面102aと底面102bとの距離は限定されないが、1〜30cm程度であると好ましい。
なお、図1(a)、(b)に示した浮体式水浄化装置100は、単体で用いることができるが、複数連結し、筏状にして用いることもできる。連結する数や連結の仕方などについては、設置場所の大きさ、外観を見て、任意の数をつないだ方が状況に応じてフレキシブルに対応させることができる。浮体式水浄化装置100同士の連結は任意の部材を用いて行うことができる。例えば、炭素繊維を樹脂で一体化させた炭素繊維(CFRP)ロッドを用いることができる。
[浮体式水浄化装置の製造方法]
第1実施形態に係る浮体式水浄化装置の製造方法の一例について説明する。ただし、浮体式水浄化装置の製造方法は、下記例の製造方法に限定されるものではない。
まず、多孔質セラミック焼成体を製造する。多孔質セラミックス焼成体の製造方法としては例えば、多孔質セラミックス焼成体用の原料を混合して混合物(以下、単に「混合物」ということがある)を調製し(混合工程)、該混合物を成形して成形体を作製し(成形工程)、該成形体を焼成して多孔質セラミックス焼成体を得る(焼成工程)ものが挙げられる。
(混合工程)
混合工程は、粘土を含む原料を混合して混合物を得る工程である。
混合物としては、例えば、発泡剤と粘土とを含むものが好ましく、発泡剤、有機汚泥及び粘土を含むものがより好ましい。発泡剤と粘土を用いることで大きなミリメートルオーダーの気孔やマイクロメートルオーダーの気孔また多孔質セラミックス焼成体の表面にミリメートルオーダー、マイクロメートルオーダーの凹凸を形成することができる。さらに、有機汚泥を用いることでより多くのマイクロメートルオーダーの気孔と、さらに小さなナノメートルオーダーの気孔を形成することができる。このような混合物を焼成して得られた多孔質セラミックス焼成体は、相互の気孔が連通した孔を有するものとなる。
発泡剤は、焼成時に発泡するものであり、例えば、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、炭酸マグネシウム、スラグ等の公知のセラミックス用の発泡剤を用いることができる。これら発泡剤の中でも、スラグが好ましい。スラグは、特に限定されず、例えば、金属精錬時に発生する高炉スラグ、都市ゴミの溶融時に発生する都市ゴミ溶融スラグ、下水汚泥の溶融時に発生する下水汚泥溶融スラグ、ダクタイル鋳鉄等の鋳鉄時に発生する鋳鉄スラグ等のガラス質スラグ等が挙げられ、中でも、組成が安定しているため安定した発泡状態が得られると共に、他のスラグに比べ1.5〜2倍程度の発泡率である鋳鉄スラグがより好ましい。
また、鋳鉄スラグは、SiO、Al、CaO、Fe、FeO、MgO、MnO、KO、NaOなどの成分を含み、得られる多孔質セラミックス焼成体は、塩基性物質を担持させなくとも優れた酸性物質除去性を有している。
配合物中のスラグの配合量は、混合物の成形性を勘案して決定することができ、例えば、80質量%以下が好ましく、20〜75質量%がより好ましく、30〜65質量%がさらに好ましい。上記範囲内であれば、混合物の成形性を損なわず、かつ円滑に成形できると共に、多孔質セラミックス焼成体の見かけ密度、気孔率(飽和含水率)を好適な範囲にすることができる。
有機汚泥は、主成分として有機物を含有する汚泥である。有機汚泥は、任意のものを用いることができ、下水や工場等の排水処理に由来する活性汚泥が特に好ましい。活性汚泥は、活性汚泥法を用いた排水処理設備から、凝集・脱水工程を経て排出される。このような有機汚泥を用いることで、マイクロメートルオーダーの気孔を効率的に形成でき、さらに、ナノメートルオーダーの気孔を形成できる。ナノメートルオーダーの気孔が形成されることで、多孔質セラミックス焼成体の見かけ密度を小さく、気孔率(飽和含水率)をより高めることができ、水との接触機会を増加させることができる。さらに、廃棄物の位置付けであった排水処理由来の活性汚泥を原料として利用することができる。
有機汚泥の含水率は、例えば、5〜90質量%が好ましく、65〜85質量%がより好ましい。上記範囲内であれば、均質な混合物が得られると共に、良好な成形性を維持しやすい。
有機汚泥中の有機物の含有量は、特に限定されないが、例えば、有機汚泥の固形分中の有機物の含有量(有機物含有量)として70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。前記有機物含有量が多いほど、マイクロメートルオーダーの気孔を容易に形成でき、さらに、ナノメートルオーダーの気孔を形成できる。なお、有機物含有量は、乾燥後の汚泥をJIS M8812−1993に準じ、炭化温度700℃で灰分(質量%)を測定し、下記(1)式により求まる値である。
有機物含有量(質量%)=100(質量%)−灰分(質量%) ・・・(1)
有機汚泥の平均粒子径は、好ましくは1〜5μm、より好ましくは1〜3μmとされる。有機汚泥は、焼成により焼失し、その部分に気孔を形成するため、平均粒子径が小さいほど、マイクロメートルオーダーの気孔を容易に形成でき、さらに、ナノメートルオーダーの気孔を形成できる。なお、平均粒子径は、粒度分布測定装置(LA−920、株式会社堀場製作所製)により測定される体積基準のメディアン径(体積50%径)である。
混合物中の有機汚泥の含有量は、混合物の成形性等を勘案して決定することができ、例えば、1〜60質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、5〜30質量%がさらに好ましい。上記範囲内であれば混合物は適度な流動性と可塑性とを備え、成形性が向上し、成形装置を閉塞することなく円滑に成形できる。
粘土は、一般的に窯業原料として用いられる粘土状の性状を示す鉱物材料である。
粘土は、セラミックスに用いられる公知のものを用いることができ、石英、長石、粘土系等の鉱物組成で構成され、構成鉱物はカオリナイトを主とし、ハロイサイト、モンモリロナイト、イライト、ベントナイト、パイロフィライトを含むものが好ましい。このような粘土としては、例えば、蛙目粘土等が挙げられる。粘土は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて配合できる。これらの粘土に含まれる成分もガスに含まれる悪臭物質、有害物質の除去に効果を発揮する。
混合物中の粘土の含有量は、多孔質セラミックス焼成体に求める強度や成形性等を勘案して決定でき、例えば、5〜60質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、10〜40質量%がさらに好ましい。上記範囲内であれば混合物の成形性を損なわず、かつ円滑に成形できると共に、多孔質セラミックス焼成体の強度を充分なものにできる。
混合物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、任意成分を含有してもよい。任意成分としては、例えば、マイティ2000WH(商品名、花王株式会社製)等のナフタリン系の流動化剤、メルメントF−10(商品名、昭和電工株式会社製)等のメラミン系の流動化剤、ダーレックススーパー100pH(商品名、グレースケミカルズ株式会社製)等のポリカルボン酸系の流動化剤、銀、銅、亜鉛等の抗菌剤、塩化アンモニウム、塩化亜鉛等の消臭剤、ゼオライト、アパタイト等の吸着剤、長さが1mm〜5cmの炭素繊維、バサルト繊維、ロックウールなどの強度向上剤、また、金属アルミニウム等が挙げられる。
混合物に任意成分を配合する場合、任意成分の配合量は、例えば、5〜10質量%の範囲で決定することが好ましい。
また、成形性の観点より、混合物の流動性の調整等を目的として、適宜、水を配合してもよいが、有機汚泥が好適な配合比で配合されている場合には、混合工程にて水を添加しなくてもよい。
また、水分が多い場合には、例えば、ガラス、瓦、フライアッシュ、クリンカーアッシュなどの破砕物を含むことが好ましい。特に瓦の破砕物を配合することにより、過剰な水分を吸収し、配合物の流動性を調整でき、成形性を向上させることができる。
ガラスを用いる場合には、好ましくは、溶融温度が900℃以上の高融点ガラスの粒子状フィラーがより好ましい。高融点ガラスの粒子を用いることで、多孔質セラミックス焼成体に形成される気孔を維持しながら水分調整が可能である。また、高融点ガラスやフライアッシュは強度向上剤としても用いることができる。
高融点ガラスや瓦の粒子の粒子径は、0.1〜5mmが好ましい。粒子径が0.1mm未満であると、多孔質セラミックス焼成体における気孔の形成が不充分になるおそれがある。気孔の形成が不充分であると、ガス中に含まれる不要物質の除去性能、多孔質セラミックス焼成体の耐久性が低下することがある。
粒子径が5mm超であると、成形性が低下したり、成形時に押出し口の金具が破損するおそれがある。
また、クリンカーアッシュやフライアッシュは、火力発電所から排出されるものであって、廃棄物の有効活用の観点より好ましい。
混合物中の高融点ガラス、瓦の粒子、フライアッシュ、クリンカーアッシュの含有量は、本発明の目的を逸脱しない範囲で配合物の目的とする流動性にあわせて適宜選択すればよいが、高融点ガラスや瓦以外の原料の合計100質量部に対し、3〜40質量部が好ましく、10〜30質量部がより好ましい。
混合工程に用いられる混合装置は特に限定されず、公知の混合装置を用いることができる。
混合装置としては、例えば、ミックスマラー(東新工業株式会社製)等の混練機や、ニーダー(株式会社モリヤマ製)、混合機(日陶科学株式会社製)等が挙げられる。
(成形工程)
成形工程は、混合工程で得られた混合物を任意の形状に成形する工程である。
成形方法は、公知の成形方法を用いることができ、混合物の性状や所望する成形体の形状を勘案して決定することができる。具体的な成形方法としては、成形機を用いて、押し出し成形し、ペレットなどを含めた板状、粒状又は柱状等の成形体を得る方法、混合物を任意の形状の型枠に充填して成形体を得る方法、あるいは、混合物を押し出し、延伸又は圧延した後、任意の寸法に切断する方法等が挙げられる。成形工程にて混合物を押し出し及び/又は延伸及び/または圧延することにより発泡剤が配向されるなどして横長の孔を形成しやすくなる。
成形機としては、真空土練成形機、平板プレス成形機、平板押出し成形機等が挙げられ、中でも、真空土練成形機が好ましい。
(焼成工程)
焼成工程は、成形体を焼成し(焼成操作)、粘土等を焼成して多孔質セラミックス焼成体を得る工程である。
成形体を乾燥する場合には、成形体を自然乾燥してもよいし、50〜220℃の熱風乾燥炉で任意の時間処理して乾燥してもよい。焼成時の割れを防ぐという成形性の観点から、乾燥により、成形体の含水率を好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下とする。
焼成操作は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、ローラーハースキルン等の連続式焼結炉、シャトルキルン等の回分式焼結炉を用い、任意の温度で焼成する方法が挙げられる。中でも、焼成操作には、生産性の観点から連続式焼結炉を用いることが好ましい。
焼成温度(最高到達温度)は、混合物の性状等に応じて決定でき、例えば、850℃〜1200℃とされる。上記下限値以上であれば、有機汚泥中の有機物の大部分が揮発して減量する。上記上限値超であると、セラミックス焼成体の組織全体のガラス化が進み、気孔が閉塞するおそれがある。
上記の製造方法によりミリメートルオーダーの気孔、マイクロメートルオーダーの気孔及びナノメートルオーダーの気孔を有する多孔質セラミックス焼成体が得られる。多孔質セラミック焼成体の形状が板状および柱状に成形すると、ミリメートルオーダーの孔を形成しやすい。その際に混合物を押し出し及び/又は延伸及び/または圧延することにより、ミリメートルオーダーの横長の孔を形成することができる。
以上の混合工程、成形工程、焼成工程を経ることによって、多孔質セラミック焼成体を得ることができる。
そして、発泡スチロール等からなる浮体に対し、その上面から底面に向けて、得られた多孔質セラミック焼成体を挿入するなどして貫通させることによって、第1実施形態に係る浮体式水浄化装置が得られる。
以上説明した第1実施形態に係る浮体式水浄化装置においては、多孔質セラミック焼成体の一端が、浄化処理する水と接触する位置に配置され、かつ、浮体の上面にまで貫通して設置されている。これにより、多孔質セラミック焼成体内の連通孔において、水が毛細管現象によって上昇することを利用して、浮体の上面まで引き上げることができる。また、浮体の上面に水が多いときには、連通孔より水を排水することができる。したがって、浮体の上面に植物が生育している場合、多孔質セラミック焼成体により水の量が調整されることで、この植物に対して適度に水を供給することが可能となる。この場合、従来用いられているポンプなどの動力を必要としないため、ポンプを用いた場合の電力の消費や、ポンプの設置に伴う費用によるコストの発生を抑えることができる。
そして、本発明の浮体式水浄化装置は、底面に多孔質セラミック焼成体や繊維状のバイオフリンジを接続して富栄養価源であるリンや窒素を除去して水浄化効果があるだけの浮体式水浄化装置ではなく、浮体式水浄化装置上で植物が育ち、植物があることにより、水浄化される川、湖、沼、池に本願発明の浮体式水浄化装置を用いても自然と一体化し美観を損ねない。また、自然の無い環境にある池や貯水池に設置しても植物により美観と安らぎを提供することができる。さらにこれらの植物に虫や鳥が生息することにより、自然の生態を再現することができる。
なお、浮体にポンプなどを設置し、処理される水を汲み上げ噴水装置をつけることにより、外観や植物に対する水の供給能力がさらに向上する。ポンプには太陽電池などを用いて電気を供給することができる。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る浮体式水浄化装置110の構成について、図3(a)、(b)を用いて説明する。図3(a)は、浮体式水浄化装置110の上面側の写真である。図3(b)は、図3(a)に示した浮体式水浄化装置100の裏側の写真である。
浮体式水浄化装置110は、第1実施形態と同様に、浮体と、浮体の上面と底面との間を貫通するように配された、連通孔を有する多孔質セラミック焼成体113と、を備え、浮体の上面の周囲には壁部が設けられている。
さらに、浮体式水浄化装置110は、浮体の上面において、壁部で囲まれた領域に土壌(土)117が配され、その土壌117は、多孔質セラミック焼成体113と接触している。土壌117は、水を供給することによって、植物が育成可能な状態となる。
多孔質セラミック焼成体は、優れたpF値を有するため、植物を育てるのに適している。土壌117には、多孔質セラミック焼成体のフラグメントが含まれていてもよい。ここで、多孔質セラミック焼成体のフラグメントとは、多孔質セラミック焼成体からなる粒状物や板状物等であって、特に形状、大きさを限定しない多孔質セラミック焼成体片を意味する。その場合、フラグメントの含まれる割合(配合)は100%であってもよい。
土壌117に多孔質セラミック焼成体のフラグメントが含まれている場合、浮体に設置された多孔質セラミック焼成体からの水の供給を受けやすく、保水性が高まり、雨が降らない日が続いても植物を育成できる環境を提供することができる。また、適度な排水性と通気性も有するため植物の根腐れを抑制することができる。
多孔質セラミック焼成体のフラグメントとして粒状物を用いる場合(ここで、粒状物の粒子径は、粒子径が5cm以下のものをいう。)、水耕栽培を除く植物の育成の観点からは、好ましくは3cm以下、より好ましくは2cm以下、さらに好ましくは1cm以下、さらにより好ましくは5mm以下が良い。下限は特に限定されないが、多孔質セラミックスに形成されている気孔の活用の観点、気相割合の観点および粉立ちなどの粒状物の取り扱い性の観点より0.02mm以上が好ましい。
また、粒状物は、種々の大きさの粒状物を準備し、任意の割合で配合して用いてもよい。たとえば粒子径5mm超の粒状物、1mm超5mm以下の粒状物、1mm以下の粒状物をそれぞれ任意の割合で配合して用いてもよい。なお、粒子径は篩分けにより測定される値であり、例えば、1mm超5mm以下の粒状物とは、目開き5mmの篩を通過し、目開き1mmの篩を通過できないものを意味する。
粒子径が5mm超と大きいと、透水性を著しく向上させることが可能である。
粒子径が1mm超〜5mm以下であると、保水性を向上させ、かつ、気相も増やすことができる。
粒子径が0.02mm超〜1mm以下であると、一般的には水分等により絞め固まり、食物の育成に好ましくない状態となるが、本発明の微粒子ではこのような絞め固まり現象を抑制し、土壌改良したい土と混ざりやすく、また、微粒子にはマイクロメートルオーダー、さらに好ましい形態ではナノメートルオーダーの気孔をも有するため、気相を有し、植物の好ましい育成環境を提供できる。
多孔質セラミック焼成体のフラグメントは、微多孔質であるため、水を浄化する微生物により生体膜を形成し、生体膜の中にはリンや窒素などが吸着されている。そのため、後に、この多孔質セラミックのフラグメントを土壌に混ぜて、農業、園芸用の肥料として再利用することができる。
また、土壌117としては、多孔質セラミック焼成体の粒状物のみまたは板状物のみ含んでいてもよい。板状物の表面に通常の土や多孔質セラミック焼成体の粒状物を敷いたものを用いることもできる。
土壌117としては、植物が育つものであれば何でもよく、例えば、腐葉土や赤玉土、鹿沼土や市販の植物栽培用の培土を用いたものであってもよい。
また、さらに、図3に示す浮体式水浄化装置は、図3(b)に示すように、浮体の底面に、後述するらせん状CFRPロッドと、多孔質セラミック焼成体の粒状物を収容したネットを吊り下げるためのリング112cを備えている。
また、さらに、浮体式水浄化装置110は、図3(a)、(b)に示すように、浮体の周囲は別の浮体111によって囲まれており、この別の浮体は保護材116によって覆われている。保護材116は、浮体の表面に苔を敷きつめ、敷きつめられた苔に対してネットを被せて固定したものである。これにより、浮体式水浄化装置110を、例えば、川、湖、沼、池などに設置した際に、周囲の景観に馴染ませることができる。
第2実施形態に係る浮体式水浄化装置においても、多孔質セラミック焼成体の一端が、浄化処理する水と接触する位置に配置され、かつ、浮体の上面にまで貫通して設置されている。これにより、多孔質セラミック焼成体内の連通孔において、水が毛細管現象によって上昇することを利用して、浮体の上面まで引き上げることができる。また、浮体の上面に水が多いときには、連通孔より排水することができる。したがって、浮体の上面に植物が生育している場合、多孔質セラミック焼成体により水の量が調整されることで、この植物に対して適度に水を供給することが可能となる。この場合、従来用いられているポンプなどの動力を必要としないため、ポンプを用いた場合の電力の消費や、ポンプの設置に伴う費用によるコストの発生を抑えることができる。
なお、浮体にポンプなどを設置し、処理される水を汲み上げ噴水装置をつけることにより、外観や植物に対する水の供給能力がさらに向上する。ポンプには太陽電池などを用いて電気を供給することができる。また、汲み上げられた水と土壌として用いられた多孔質セラミックの粒状物や板状物、浮体に設置された多孔質セラミック焼成体とが接触することにより、水の中に含まれているリン、窒素を回収する。また、処理される水を汲み上げることにより処理される池等の水の循環を促進し、より浄化性が向上する。
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態に係る浮体式水浄化装置120の構成について、図4、図5を用いて説明する。図4は、浮体式水浄化装置120の構成を模式的に示す斜視図である。
浮体式水浄化装置120は、第1実施形態と同様に、浮体122と、浮体122の上面と底面との間を貫通するように配された、連通孔を有する多孔質セラミック焼成体と、を備え、浮体の上面の周囲には壁部が設けられている。
さらに、浮体式水浄化装置120は、浮体122の下には、ネット128などに入れた多孔質セラミック焼成体の粒状物(フラグメント)128aが吊り下げられている。図示していないが、浮体122の下には、多孔質セラミック焼成体の板状物(フラグメント)が吊り下げられていてもよい。
また、浮体122の下には、炭素繊維からなり、表面積を稼ぐことができるスパイラル状物や、ポリプロピレン製のバイオフリンジ(TBR株式会社「バイオコードSPタイプ」、「バイオコードMKタイプ」(登録商標)などの水を浄化する微生物の住処となる水浄化材129が設置されている。
水浄化材129は、スパイラル形状とすることによりスパイラルの中心部の空間やスパイラルを形成する炭素繊維と炭素繊維間に水流が発生するため、水浄化の機能がより向上する。また、スパイラル形状の内径を1cm以上とすることにより、生物膜でスパイラルの中心部が閉塞されるのを抑制することができる。また、スパイラルを形成する炭素繊維同士の間隔を1cm以上とすることにより、炭素繊維同士の間が生物膜で閉塞されるのを抑制することができる。内径、繊維の間隔ともに上限はないが、50cm程度とするのが望ましい。
炭素繊維からなるスパイラル状物(らせん状CFRP)は、炭素繊維を樹脂で一体化させた後に、スパイラル状とされたものである。一体化は、炭素繊維に樹脂を含浸させて行うのが望ましい。樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができる。炭素繊維に樹脂を付与した後、スパイラル形状にするには、熱可塑性樹脂が好ましく、耐久性等の観点からは熱可塑性のエポキシ樹脂が好ましく用いられる。
炭素繊維については、すべて樹脂に埋没していてもよい。炭素繊維が、すべて樹脂からむき出しになっていると、むき出ている部分の炭素繊維が、水流等によって切れる虞がある。すべての炭素繊維が樹脂に埋没している場合、樹脂の表面をサンドペーパーなどで研磨し、炭素繊維の表面の一部を露出させると水浄化の観点からはより好ましくなる。
また、さらに、浮島として水面に浮かべた浮体式水浄化装置120が、水流や風雨などの外力負荷によって不用意に移動するのを防止するため、浮体122の底面が、ロープなどを介してコンクリートアンカー130に接続(接合)されている。
発泡スチロールなどによって構成される浮体122は、障害物にぶつかると破損する虞があるため、浮体122の保護カバーとして、直径14mm(φ14)程度のCFRP(炭素繊維強化プラスチック)ロッド132が取り付けられている。CFRPロッド132は軽量であるため、浮体式水浄化装置120に対する重量負荷を軽減することができる。また、CFRPロッド132は錆びにくく、高強度であり、ハンドリングが容易であるという利点を有している。CFRPロッド132同士の連結箇所には、連結を補強する部材133が配されている。
また、浮体122の上面(不図示)は、発砲スチロールなどからなる厚さ10cm程度の蓋体131で覆われている。
なお、浮体式水浄化装置120は、第1実施形態のように、浮体122の周囲を別の浮体で囲んでもよいし、さらにその別の浮体を苔などで覆ってもよい。また、浮体122の上面を蓋体131で覆わずに、第2実施形態のように、浮体122の上面に多孔質セラミック焼成体のフラグメント等の土壌127を配し、植物を育成してもよい。
発泡スチロールなどによって構成される浮体122は、外部から飛来した障害物が衝突すると崩れて飛散する虞があるため、それを防止するためにネットで覆うことが望ましい。
多孔質セラミック焼成体のフラグメント128は、微多孔質であるため、生物膜を多数形成することができ、水質汚染物質となる過剰のリンや窒素などを吸着して水質浄化効果を発揮する。多孔質セラミック焼成体に吸着したリンは、農芸・園芸用の肥料となり、再利用することが出来る。発泡スチロールは、土壌に長期間さらすと風化する。
浮体式水浄化装置120は、例えば、河川の流入口などのBOD(生物化学的酸素要求量)、COD(化学的酸素要求量)の負荷の高い水域に適用した場合に大きな効果を発揮する。
CFRPは、水中の微生物との親和性が良く、表面に生物膜を形成して水質を浄化する効果を発揮する。プラスチックス化しているので、水中で劣化したり、光が当たる環境で劣化したりする虞がなく、軽量でハンドリングしやすく、炭素繊維飛散による二次被害の虞がない。
図5は、図4に示した浮体式水浄化装置120を、多孔質セラミック焼成体の断面が露出するように、A−A線に沿って切断した際の断面図である。水中の水が毛細管現象によって、多孔質セラミック焼成体123が有する連通孔を底面123bから上面123aに向かって上って行き、染み出すようにして土壌127の各箇所に供給されるように構成されている。また、土壌127の水が過度に多い場合は連通孔を下って行き、水が排出される。
図6は、図5に示した多孔質セラミック焼成体の一部の領域B(図5参照)を拡大した断面図である。浮体の上面と底面の間の連通孔を構成する孔は、ミリメートルオーダーの孔とマイクロメートルオーダーの孔とを少なくとも有する。さらにナノメートルサイズの孔を有することが好ましい。なお、孔の孔径とは、孔の長径を指す。各孔のうち、ミリメートルオーダーの孔123cは、横長の形状(例えば楕円形状)を有し、横長の長軸が浮体の上面から底面に向かう方向(図6のd)に向いた孔が多くなるように、多孔質セラミック焼成体123が配置されているのが望ましい。マイクロメーターオーダーの孔とナノメートルオーダーの孔は、長軸がどちらの方向を向いていてもよいが、好ましくは横長の長軸が浮体の上面から底面に向かう方向(図6のd)に向いた孔が多くなるように、多孔質セラミック焼成体123が配置されているのが望ましい。
ミリメートルオーダーの孔123cが横長の形状を有し、横長の長軸が浮体の上面から底面に向かう方向に向いた孔を多く有している場合、孔123cを通過する水のうち、横長方向への水の拡散速度が相対的に速くなる。したがって、横長の孔が縦方向(図6のd)に沿って配置されていることにより、浮体の底面から上面に向けて、水がより吸い上がりやすい状態となっている。マイクロメータサイズの孔およびナノメートルサイズの孔についても同様のことが言える。
第3実施形態に係る浮体式水浄化装置においても、多孔質セラミック焼成体の一端が、浄化処理する水と接触する位置に配置され、かつ、浮体の上面にまで貫通して設置されている。これにより、多孔質セラミック焼成体内の連通孔において、水が毛細管現象によって上昇することを利用して、浮体の上面まで引き上げることができる。また、浮体上面に水が多いときには、連通孔より排水することができる。したがって、浮体の上面に植物が生育している場合、多孔質セラミック焼成体により水の量が調整されることで、この植物に対して水を適度に供給することが可能となる。この場合、従来用いられているポンプなどの動力を必要としないため、ポンプを用いた場合の電力の消費や、ポンプの設置に伴う費用によるコストの発生を抑えることができる。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態1〜3における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
100、110、120 浮体式水浄化装置
101、111、102、122 浮体 101a、102a 上面
101b 102b 底面 103、113、123 多孔質セラミック焼成体
104、132 CFRPロッド 105 接着剤 112c リング
117、127 土壌 123c 孔 128 ネット 128a 粒状物
129 スパイラル状物 130 コンクリートアンカー 131 蓋体 133 部材
d 方向

Claims (4)

  1. 浮体と、
    前記浮体の上面と底面との間を貫通するように配された、連通孔を有する多孔質セラミック焼成体と、を備え
    前記連通孔を構成する孔のうち、孔の長径がミリメーターオーダーの孔は横長の形状を有しているものがあり、前記多孔質セラミック焼成体は、前記横長の形状を有しているミリメーターオーダーの孔のうち、前記横長の長軸が前記浮体の上面から底面に向かう方向に向いた孔が多くなるように配置されていることを特徴とする浮体式水浄化装置。
  2. 前記浮体の上面に土壌が配され、その土壌は前記多孔質セラミック焼成体と接触していることを特徴とする請求項1に記載の浮体式水浄化装置。
  3. 前記土壌は、前記多孔質セラミック焼成体と同じ焼成体からなるフラグメントを含んでいることを特徴とする請求項に記載の浮体式水浄化装置。
  4. 前記浮体の上面側に、植物が生育していることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の浮体式水浄化装置。
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