JP5295792B2 - 車両用の被覆構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば乗用車等の車両が備える上下開閉ドアによって開閉される開口部の縁部を被覆する、車両用の被覆構造体に関する。
例えばハッチバック車やワゴン車等の乗用車の後部には、一般に、上下開閉ドア、いわゆるバックドアが設けられており、バックドアによって荷室の後部開口が開閉可能に構成されている。また、上下開閉ドアは、乗用車の後部のトランクを開閉するトランクリッドとしても用いられている。
この種の上下開閉ドア(以下、バックドアと称する)を用いる開閉構造では、バックドアが後部開口を閉じた状態にロックするためのロック機構がバックドアに設けられ、このロック機構が係合するストライカが後部開口に設けられている。このような開閉構造では、一般に、車体の後部開口の下端縁部のパネルが、荷室に荷物を出し入れする使用者の安全性や、荷物の搭載性を考慮し、また意匠性を付与するために、樹脂製のフィニッシュプレートによって被覆されている。
そして、このようなフィニッシュプレートには、ロック機構とストライカとの係合動作を妨げないために、ストライカを外部に露出させる開口部が設けられている。また、フィニッシュプレートの開口部には、この開口部を開閉可能にする遮蔽蓋が設けられた構成が採られている。バックドアが開かれたときに、遮蔽蓋がフィニッシュプレートの開口部を閉じることで、開口部からフィニッシュプレートの内部、つまりフィニッシュプレートの下方の空間が外方に露出するのを防ぎ、フィニッシュプレートの意匠性の低下を防止している。
例えば特許文献1には、ストライカが設けられた凹部を有するキッキングプレート(フィニッシュプレート)と、凹部の開口部を開閉するリッド(遮蔽蓋)とを備える構成が開示されている。リッドは、平板状に形成されており、開口部を閉じる開放位置と、開口部を閉じる閉塞位置とに回動可能に支持されている。リッドは、トーションコイルバネの弾性力によって、開口部を閉じる方向に付勢されており、開口部を閉じた状態で、開口部の縁部と同一平面上に位置する、いわゆる面一の形態になる。
この構成では、開口部からキッキングプレートの内部にドアロック装置が進入したときに、ドアロック装置によってリッドが押されて回動され、開口部を開く位置にリッドが回動され、ドアロック装置がストライカに係合されている。
また、特許文献2には、下方に設けられたストライカを露出させる横長開口(開口部)を有する外観板材(フィニッシュプレート)と、横長開口を開閉する一対の蓋体(遮蔽蓋)とを備える構成が開示されている。これら一対の蓋体は、外観板材の横長開口の下方に、ストライカと接触しないように所定の間隙をあけて、対向する位置に配置されている。この構成では、横長開口から外観板材の内部にロック機構が進入したときに、ロック機構によって一対の蓋体が押されて回動され、ロック機構がストライカに係合されている。
実開昭61−142625号公報 特許第4073642号公報
ところで、上述した特許文献1のように、フィニッシュプレートの開口部を閉じる遮蔽蓋と、開口部の縁部とが同一平面上に位置する面一の形態に構成した場合、開口部を開閉する遮蔽蓋が良好な開閉動作を考慮すると、遮蔽蓋の外周部と、開口部の内周部との間に隙間をあける必要がある。このため、この隙間を通して外部からフィニッシュプレートの内部が見えるので、良好な外観が損なわれ、意匠性の低下を招いてしまう。
特許文献2のように、遮蔽蓋の外周部とフィニッシュプレートの開口部との隙間が生じないように、開口部を閉じた遮蔽蓋と開口部の縁部とが面一の形態にせずに、遮蔽蓋が開口部を閉じたときに遮蔽蓋の外周部と開口部の縁部とが重なるように配置した場合、開口部を閉じた遮蔽蓋とフィニッシュプレートとが一体的に見えず、外観の統一感が損なわれ、意匠性の低下を招いてしまう。
また、特許文献2の構成では、バックドアを開けた際、遮蔽蓋が回動して開口部を閉じたときに遮蔽蓋の外周部が開口部の縁部に突き当てられるので、不快な打音(異音)が発生し、バックドア構造の品質の低下につながる。このような異音の発生を防ぐためには、遮蔽蓋を閉じる方向に付勢するトーションコイルバネ等の付勢部材の付勢力を小さくすることも考えられる。しかしながら、付勢部材の付勢力を小さくした場合には、車両の走行時に生じる振動によって、遮蔽蓋が開口部を開く位置に移動している遮蔽蓋がロック機構に対して確実に押し付けられずにばたつきが発生し、このばたつきによる異音の発生が問題になる。同様に、荷室に荷物を出し入れする際の荷物の接触によって、開口部を閉じている遮蔽蓋が開閉し、このばたつきによる異音の発生が問題になる。したがって、付勢部材の付勢力を調整することによって、遮蔽蓋とフィニッシュプレートとの間で生じる異音を抑えることが困難であった。
そこで、本発明は、上述した課題を鑑み、被覆部材の開口部近傍の外観を良好に保ち、被覆部材の意匠性を向上することができる車両用の被覆構造体を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明に係る車両用の被覆構造体は、車両の上下開閉ドアによって開閉されるドア開口の縁部を被覆する被覆部材を有する、車両用の被覆構造体において、上下開閉ドアに設けられたロック機構に係合するストライカを露出させる開口部を有する被覆部材と、被覆部材の前記開口部を開閉するための遮蔽蓋と、遮蔽蓋の一端部を回動可能に支持する回動軸と、遮蔽蓋によって被覆部材の開口部を閉じる方向に遮蔽蓋を付勢する付勢部材と、を備える。遮蔽蓋は、開口部を塞ぐ主面部を有し、主面部が開口部を閉じた状態で主面部の外周部と開口部の縁部とが同一平面上に位置するように構成され、主面部の外周部に、開口部の縁部の内面と重なるフランジ部が設けられている。一実施態様では、被覆部材には、回動軸を支持する複数の軸支持部が設けられ、少なくとも1つの軸支持部には、遮蔽蓋が開口部を閉じたときに、遮蔽蓋の端部に当接する突起が形成され、突起は、内部に中空部を有し、弾性変形可能に形成されている。他の実施態様では、遮蔽蓋のフランジ部、又は被覆部材の開口部の縁部におけるフランジ部に対向する位置に、緩衝材が設けられており、被覆部材の開口部の縁部には、フランジ部に向かって突出されたつば部が形成され、遮蔽蓋のフランジ部には、フランジ部の端部から開口部の縁部の内面に向かって突出され、遮蔽蓋が開口部を閉じたときに緩衝材に当接する当接部が形成されている。
本発明によれば、被覆部材の開口部が遮蔽蓋で閉じられた状態における開口部近傍の外観を良好に保ち、被覆部材の意匠性を向上することができる。
本実施形態の車両用の被覆構造体を備える自動車の後部を示す斜視図である。 前記車両用の被覆構造体を示す斜視図である。 前記車両用の被覆構造体を示す斜視図である。 前記車両用の被覆構造体を示す分解斜視図である。 遮蔽蓋を示す斜視図である。 図5におけるA−A方向から見た遮蔽蓋と開口部の縁部を示す断面図である。 図5におけるB−B方向から見た遮蔽蓋と開口部の縁部を示す断面図である。 ハウジングを示す斜視図である。 遮蔽蓋の端部がハウジングの軸支持部に当接している状態を示す断面図である。 フィニッシュプレートの軸支持部の軸孔を説明するための断面図である。 遮蔽蓋の軸孔部の軸穴を説明するための断面図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に、本実施形態の車両用の被覆構造体が採用された自動車の後部の斜視図を示す。なお、以下の説明において、自動車の前部及び後部に対する方向を前方及び後方とそれぞれ称する。
図1に示すように、自動車の後部には、上下開閉ドアとしてのバックドア3と、このバックドア3によって開閉されるドア開口としての後部開口2が設けられている。バックドア3の下縁部には、後部開口2を閉じた状態にロックするためのロック機構4が設けられている。後部開口2には、ロック機構4に対応する位置に、ロック機構4が係合するストライカ5が設けられている。ストライカ5は、金属材料によってU字状に成形されている。
また、自動車の後部における、リヤシート6と後部開口2との間には、後部開口2から出し入れする荷物を積載するための積載空間を構成する荷室7が配置されている。荷室7を構成する車体パネルの内側は、各種の内装材によって被覆されている。荷室7の床面には、荷物が積載されるデッキボード7aが設けられており、床面が平坦に構成されている。また、荷室7には、デッキボード7aの下部に収納空間が設けられており、デッキボード7aが、この収納空間を開閉するための蓋としての機能も有している。
また、荷室7の側部は、ラゲージサイドトリム7bによって被覆されており、荷室7の内部の意匠性、クッション性、吸音性などが付与されている。また、リヤシート6の背面部には、デッキボード7a上に載置された荷物を覆って車外から荷物を遮蔽するためのトノカバーを有するトノカバー装置8が設けられている。トノカバー装置8には、可撓性を有するシート材からなるトノカバーが巻取り可能に収納されている。
後部開口2の下縁部は、デッキボード7aが構成する床面の位置よりも一段高くなるように形成されており、この下縁部を被覆する被覆部材としてのフィニッシュプレート11が配設されている。フィニッシュプレート11は、樹脂材料によって成形されており、自動車の車幅と同程度の長さ有している。
フィニッシュプレート11は、車体パネルを被覆することで、荷室7に荷物を出し入れする際に使用者の安全性を確保し、荷室7の内部の意匠性を付与している。加えて、このフィニッシュプレート11は、荷物を一時的に載置可能な部分としても機能するので、荷室7の利便性を向上させている。また、フィニッシュプレート11は、荷室7を使用するときに使用者の足場としても利用されることもあるので、キッキングプレートとも呼ばれている。
図2及び図3に、車両用の被覆構造体の斜視図を示す。図4に、車両用の被覆構造体の分解斜視図を示す。図2及び図3に示すように、本実施形態の車両用の被覆構造体10は、フィニッシュプレート11を有して構成されている。フィニッシュプレート11は、後部開口を閉じたバックドア3の下縁部に対向するプレート部11aを有している。プレート部11aは、例えばポリプロピレンなどの熱可塑性を有する樹脂材料を用いて、射出成形などの各種成形方法で形成されている。このプレート部11aの略中央には、内部に配置されたストライカ5を露出させる開口部11bが形成されており、ロック機構4とストライカ5との係合が可能にされている。なお、プレート部は、車室内に露出する表面を例えば金属製の加飾プレートで被覆して装飾することによって、意匠性を高める加工が施されてもよい。
また、この被覆構造体10は、図2及び図4に示すように、フィニッシュプレート11の開口部11aを開閉するための遮蔽蓋12と、この遮蔽蓋12の一端部を回動可能に支持する回動軸13と、遮蔽蓋12によって開口部11aが閉じられる方向に遮蔽蓋12を付勢する付勢部材としてのトーションコイルバネ14と、遮蔽蓋12が回動する空間をフィニッシュプレート11の下方に構成するハウジング15と、を備えている。
図4に示すように、フィニッシュプレート11には、開口部11aの後方の縁部に、回動軸13を支持する複数の軸支持部17が一体に形成されている。回動軸13としては、例えばステンレスなどの所定の機械的強度と軽量性を兼ね備える材料からなる丸棒が用いられている。また、回動軸13は、開口部11bにおける、自動車の後方側の縁部近傍に、この縁部に沿って配置されている。
図5に、遮蔽蓋12の斜視図を示す。遮蔽蓋12は、例えばポリカーボネイトとポリエステルを混合してなる材料を用いて射出成形することによって形成されている。遮蔽蓋12は、図2及び図5に示すように、プレート部11aの開口部11bを塞ぐ主面部12aを有し、主面部12aが開口部11bを閉じた状態で主面部12aの外周部と開口部11bの縁部とがほぼ同一平面上に位置するように、すなわちほぼ面一になるように構成されている。なお、本実施形態における遮蔽蓋12は、意匠性を高めるために、主面部12aの外周部の一部が、開口部11bの縁部と面一となる位置よりも下方に窪んだ構成が採られているが、このような構成も、本発明における「主面部の外周部と開口部の縁部とが同一平面上に位置する」構成に含まれている。
図5に示すように、遮蔽蓋12の主面部12aの中央には、開口部11bを開く位置に移動したときにストライカ5が挿通される貫通口12bが設けられており、ストライカ5との接触が避けられている。また、遮蔽蓋12の一端部には、回動軸13に回動可能に支持される軸孔部18が一体に形成されている。
そして、遮蔽蓋12の主面部12aの外周部には、この外周部から下方、つまり遮蔽蓋12の厚み方向に向かって延ばされて、主面部12aとほぼ平行に断面L字状に曲げられることによって、開口部11bの縁部の内面に重なるフランジ部20が一体に設けられている。フランジ部20は、遮蔽蓋12の外周部にわたって形成されている。したがって、遮蔽蓋12は、主面部12aが開口部11bを閉じたときに、フランジ部20によって主面部12aの外周部と開口部11bの内周部との間に生じる隙間が遮られ、隙間からフィニッシュプレート11の内部が見えなくなるので、フィニッシュプレート11の外観が良好に保たれる。
図6は、図5におけるA−A方向から見た遮蔽蓋12と開口部11bの縁部を示す断面図である。図7は、図5におけるB−B方向から見た遮蔽蓋12と開口部11bの縁部を示す断面図である。
また、図6及び図7に示すように、フィニッシュプレート11のプレート部11aには、開口部11bの縁部におけるフランジ部20に対向する位置に、緩衝材22、23がそれぞれ接着されて設けられている。
遮蔽蓋12が開口部11bを閉じたときに、フランジ部20が緩衝材22、23に当接することで、フランジ部20が開口部11bの縁部の内面に当接するときに生じる打音が低減されている。なお、緩衝材22、23は、プレート部11aの内面に接着される構成にされたが、遮蔽蓋12のフランジ部20に取り付けられる構成が採られてもよい。また、遮蔽蓋12のフランジ部20は緩衝材によって形成されてもよい。
図6に示すように、フィニッシュプレート11の開口部11bの縁部には、フランジ部20に向かって下方に突出されたつば部24が形成されている。このつば部24は、開口部11bの内周部にわたって形成されている。フィニッシュプレート11は、開口部11bにつば部24が形成されることで、外観の意匠性が高められている。
ここで、上述したフランジ部20は、下方に延ばされた部分が、このつば部24との干渉を回避するような寸法をもって、断面L字状に形成されている。具体的には、回動軸13回りに回動する遮蔽蓋12の主面部12aの回転軌跡と、つば部24との間に、図6中に示す隙間Cが確保されるように形成されている。なお、隙間Cは、例えば1mm程度に設定されている。このように隙間Cが確保されることで、遮蔽蓋12と開口部11bの縁部との干渉を防ぎ、遮蔽蓋12が開口部11bを閉じたときに、打音が発生するおそれが更に低減されている。
また、このように構成されることで、遮蔽蓋12が開口部11bを閉じたときに、遮蔽蓋12のフランジ部20と開口部11bのつば部24とが接触することなく、遮蔽蓋12の外周部と開口部11bの内周部との間に僅かに生じる隙間が、フランジ部20とつば部24で良好に遮られ、隙間からフィニッシュプレート11の内部が見えないように遮断することができる。
また、遮蔽蓋12の前方側のフランジ部20には、フランジ部20の端部から開口部11bの縁部の内面に向かって上方に突出された、緩衝材22に当接する当接部25が形成されている。この当接部25は、遮蔽蓋12が開口部11bを閉じたときに、フランジ部20がつば部24に接触する前に緩衝材22に当接するので、打音が生じるのを可及的に低減することができる。
また、フランジ部20は、当接部25が緩衝材22に当接して、遮蔽蓋12が開口部11bを閉じた状態で、遮蔽蓋12の下方に対して、図6中に示す隙間Dが確保されるように形成されている。なお、隙間Dは、例えば2mm程度に設定されている。
図7に示すように、遮蔽蓋12のフランジ部20には、このフランジ部20の端部が延ばされた拡張部26が形成され、遮蔽蓋12が開口部11bを閉じたときに拡張部26が緩衝材23に当接する。このため、遮蔽蓋12が開口部11bを閉じたときに各緩衝材23に当接する面積が増やされており、面積が比較的大きく形成された各拡張部26が各緩衝材23に当接することで、打音が生じるのを可及的に低減することができる。
また、拡張部26は、図5に示すように、遮蔽蓋12の各軸穴部18に隣接する位置にそれぞれ設けられている。したがって、この拡張部26が当接する位置に配置された緩衝材23は、回動軸13の近傍に配置されている。また、図6に示すように、プレート部11aには、回動軸13が配置された側の反対側の開口部11bの縁部の内面に、緩衝材22が配置されている。
したがって、遮蔽蓋12の前方側に配置された緩衝材22と、遮蔽蓋12の後方側の近傍に配置された各緩衝材23は、遮蔽蓋12が開口部11bを閉じたときに、それぞれの緩衝作用が合成されるので、打音を相乗的に低減する効果が得られる。
トーションコイルバネ14は、図4に示すように、回動軸13の両端部にそれぞれ配置されており、一端14aが遮蔽蓋12に当接されており、他端14bがハウジング15の後板部15bに当接されている。
図8にハウジング15の斜視図を示す。ハウジング15は、例えばポリプロピレンなどの熱可塑性を有する樹脂材料を用いて、射出成形によって形成されている。なお、ポリプロピレンに例えばタルクなどの充填材を混入することによって、ハウジング15の機械的強度や耐久性の向上が図られるのが好ましい。
図8に示すように、ハウジング15には、一対の前板部15a及び後板部15bと、一対の側板部15cとによって、遮蔽蓋12が回動する空間が構成されている。ハウジング15の前板部15aには、フィニッシュプレート11の開口部11aに対応する位置にハウジング15を位置決めするための位置決め孔31が設けられている。フィニッシュプレート11の下端部の内面には、位置決め孔31に係合される係合片34が形成されている。ハウジング15の側板部15cには、フィニッシュプレート11に固定するための固定部32が設けられており、この固定部32が固定ネジ33によってフィニッシュプレート11に固定されている。
ハウジング15の後板部15bは、図6及び図8に示すように、鉛直方向に対して自動車の後方側に傾斜して形成されている。また、後板部15bの中央部には、ストライカ5をハウジング15の空間内に収容するための挿通穴34が設けられている。
また、ハウジング15の後板部15bには、遮蔽蓋12が開口部11aを開く位置に移動したときに遮蔽蓋12が当接する当接面部として機能している。この後板部15bには、開口部11aを開く位置に移動した遮蔽蓋12の前方側の角部との接触を避けるための切り欠き部35が、遮蔽蓋12の角部とほぼ同じ外形形状で形成されている。この切り欠き部35によって、開口部11aを開く位置に移動した遮蔽蓋12が後板部15bに当接したときに遮蔽蓋12の角部が当接することがないので、打音が発生することが防止されている。
また、遮蔽蓋12の裏面には、開口部11bを開く位置に移動したとき後板部15bに当接する位置に、図4に示すように、ブロック状の緩衝材36が例えばホットメルトなどの接着剤で接着されて設けられており、後板部15bに当接したときに打音が発生することが防止されている。
なお、本実施形態では、上述した緩衝材22、23、36として、ウレタンスポンジを採用しているが、このようなスポンジに限定されるものではなく、例えば不織布やゴム材料などのクッション性を有するものであれば、他の緩衝材が代用されてもよい。
また、ハウジング15の後板部15bは、鉛直方向に対して自動車の後方側に傾斜されて形成されたことによって、遮蔽蓋12の回動角度が小さくなるので、付勢力が比較的小さなトーションコイルバネ14を用いることが可能になり、遮蔽蓋12が開口部11aを閉じたときに生じる打音を更に低減することが可能になる。
加えて、後板部15bが鉛直方向に対して自動車の後方側に傾斜されて形成されたことによって、自動車の走行時に主に作用する自動車の前後方向の慣性力、特に加速時に作用する慣性力で遮蔽蓋12が後板部15bに安定的に押し付けられ、遮蔽蓋12がロック機構4と後板部15bとの間に安定的に保持される。
また、ハウジング15の後板部15bの上縁部には、回動軸13を支持する複数の軸支持部37がそれぞれ形成されている。これら軸支持部37は、断面J字状に形成されており、回動軸13の軸径と同じ、又は回動軸13の軸径よりも孔径が小さい軸孔を有している。
ハウジング15は、遮蔽蓋12の軸孔部18及びプレート部11aの軸支持部17に支持された回動軸13を、軸支持部37で支持することで、ハウジング15、遮蔽蓋12及びフィニッシュプレート11のプレート部11aが一体に構成される。ハウジング15は、図6に示すように、前板部15aの位置決め孔31が、フィニッシュプレート11の係合片34に係合され、固定部32が固定ネジ33でフィニッシュプレート11に固定されている。
次に、ハウジング15の軸支持部37、フィニッシュプレート11の軸支持部17、遮蔽蓋12の軸孔部18の構造の詳細について図面を参照して説明する。
図9に、遮蔽蓋12の端部がハウジング15の軸支持部37に当接している状態の断面図を示す。図10に、フィニッシュプレート11の軸支持部17を説明するための断面図を示す。図11に、遮蔽蓋12の軸孔部18を説明するための断面図を示す。
図9に示すように、ハウジング15の軸支持部37の外部には、遮蔽蓋12が開口部11bを閉じたときに、遮蔽蓋12の端部に当接する突起40が一体に形成されている。突起40は、遮蔽蓋12と当接する先端から二叉に分岐して形成されて、この突起40の内部に、軸支持部37の内部と連通する中空部40aを有している。このため、突起40は、遮蔽蓋12の端部が突起40に当接したときに、容易に弾性変形するように形成されている。したがって、突起40は、遮蔽蓋12が開口部11bを閉じたときに、回動する遮蔽蓋12の端部に干渉して容易に弾性変形することによって、遮蔽蓋12の回動を妨げないので、遮蔽蓋12が開口部11bを閉じる前に遮蔽蓋12の回動が停止させられることを防ぐことができる。
本実施形態では、遮蔽蓋12が開口部11bを閉じたときに遮蔽蓋12の端部と突起40とが0.5mm程度干渉するように設定されている。このように遮蔽蓋12の端部と突起40が当接することで、遮蔽蓋12は、突起40の突出方向に押されると共に、突起40を介して軸支持部37が回動軸13に押し付けられ、軸支持部37によって回動軸13の回動が制動される。すなわち、遮蔽蓋12が開口部11bを閉じるときに、遮蔽蓋12が突起40によって押さえられ、かつ、軸支持部37によって回動軸13が制動される緩衝作用が働く。したがって、この構成によれば、遮蔽蓋12が開口部11bを閉じたときに、遮蔽蓋12のフランジ部20がプレート部11aの開口部11bの縁部に当接して生じる打音を抑えることができる。
また、軸支持部37と回動軸13との間には、回動軸13の軸径方向に対する隙間Eが0.25mm程度に設定されているので、遮蔽蓋12の端部と突起40とが干渉したときに軸支持部37が回動軸13に当接することで、回動軸13のガタツキによって生じる異音の発生を防ぐことができる。
また、図10に示すように、プレート部11aの軸支持部17における軸孔17aの孔径は、直径が2.5mmの回動軸13に対して、この回動軸13との間に、0.25mm程度の隙間Fが設定されており、軸孔17aに対して回動軸13を容易に挿入することを可能にする挿入性が確保されている。また、軸支持部17の軸孔17aの一部には、回動軸13が前方に移動するのを規制するための規制面43が形成されている。この規制面43に回動軸13が当接して移動が規制されることによって、遮蔽蓋12が前方に移動することが規制される。したがって、遮蔽蓋12は、回動軸13回りに回動したときに、図6中に示した隙間Cが安定的に確保され、遮蔽蓋12の主面部12aの縁部と開口部11bのつば部24とが接触することを防ぐことができる。
また、図11に示すように、遮蔽蓋12の軸孔部18の軸孔18aの孔径は、直径が2.5mmの回動軸13に対して、2.75mmに設定されおり、軸孔18aに対して回動軸13を容易に挿入することを可能にする挿入性が確保されている。また、この軸孔部18は、軸孔18aの中心の位置が、回動軸13の中心の位置に対して、前方にずらして形成されている。このため、軸孔部18の軸孔18aの後方側の内面が回動軸13と当接し、遮蔽蓋12は、回動軸13によって前方に移動することが規制されている。したがって、遮蔽蓋12は、回動軸13回りに回動したときに、図6中に示した隙間Cが安定的に確保され、遮蔽蓋12の主面部12aの縁部と開口部11bのつば部24とが接触することを更に防ぐことができる。
以上のように構成された被覆構造体10について、遮蔽蓋12が回動して開口部11bが開閉される動作を簡単に説明する。
まず、被覆構造体10は、バックドア3が開かれたとき、遮蔽蓋12がトーションコイルバネ14の付勢力によってフィニッシュプレート11の開口部11bを閉じる位置に移動され、開口部11bを閉じたときにフランジ部20が緩衝材22、23にそれぞれ当接することで、打音が発生することが防止される。
また、被覆構造体10は、バックドア3が閉じられたとき、ロック機構4によって遮蔽蓋12がトーションコイルバネ14の付勢力に抗して回動され、開口部11bを開く位置に移動され、開口部11bを開いたときに緩衝材36に当接して押し潰すことで、打音が発生することが防止される。また、ロック機構4は、遮蔽蓋12の貫通口12bを通ったストライカ5に係合し、バックドア3がロックされる。このとき、遮蔽蓋12は、ハウジング15の後板部15bとロック機構4とに挟まれて、開口部11bを開いた位置に保持されている。
上述したように、被覆構造体10は、フィニッシュプレート11の開口部11bを開閉する遮蔽蓋12に、フランジ部20が設けられたことによって、フィニッシュプレート11の開口部11b近傍の外観を良好に保ち、フィニッシュプレート11の意匠性を向上することができる。
加えて、本実施形態によれば、遮蔽蓋12にフランジ部20が設けられたことによって、荷室7を使用するときなどにフィニッシュプレート11の開口部11bから塵埃が進入するのが抑えられるので、フィニッシュプレート11の内部が汚れるのを防ぐことができる。
なお、上述した実施形態の車両用の被覆構造体は、バックドアによって開閉される後部開口の下縁部に設けられる構成にされたが、上下開閉ドアがバックドアに限定されるものではなく、例えばトランクを開閉するトラックリッドや、上下開閉構造のサイドドアによって開閉される側部開口に適用されてもよいことは勿論である。
2 後部開口
3 バックドア
4 ロック機構
5 ストライカ
10 車両用の被覆構造体
11 フィニッシュプレート
11a 主面部
11b 開口部
12 遮蔽蓋
13 回動軸
14 トーションコイルバネ
20 フランジ部

Claims (2)

  1. 車両の上下開閉ドアによって開閉されるドア開口の縁部を被覆する被覆部材を有する、車両用の被覆構造体において、
    前記上下開閉ドアに設けられたロック機構に係合するストライカを露出させる開口部を有する前記被覆部材と、
    前記被覆部材の前記開口部を開閉するための遮蔽蓋と、
    前記遮蔽蓋の一端部を回動可能に支持する回動軸と、
    前記遮蔽蓋によって前記被覆部材の前記開口部を閉じる方向に前記遮蔽蓋を付勢する付勢部材と、を備え、
    前記遮蔽蓋は、前記開口部を塞ぐ主面部を有し、該主面部が前記開口部を閉じた状態で該主面部の外周部と前記開口部の縁部とが同一平面上に位置するように構成され、前記主面部の外周部に、前記開口部の前記縁部の内面と重なるフランジ部が設けられており、
    前記被覆部材には、前記回動軸を支持する複数の軸支持部が設けられ、
    少なくとも1つの前記軸支持部には、前記遮蔽蓋が前記開口部を閉じたときに、前記遮蔽蓋の端部に当接する突起が形成され、
    前記突起は、内部に中空部を有し、弾性変形可能に形成されていることを特徴とする、車両用の被覆構造体。
  2. 車両の上下開閉ドアによって開閉されるドア開口の縁部を被覆する被覆部材を有する、車両用の被覆構造体において、
    前記上下開閉ドアに設けられたロック機構に係合するストライカを露出させる開口部を有する前記被覆部材と、
    前記被覆部材の前記開口部を開閉するための遮蔽蓋と、
    前記遮蔽蓋の一端部を回動可能に支持する回動軸と、
    前記遮蔽蓋によって前記被覆部材の前記開口部を閉じる方向に前記遮蔽蓋を付勢する付勢部材と、を備え、
    前記遮蔽蓋は、前記開口部を塞ぐ主面部を有し、該主面部が前記開口部を閉じた状態で該主面部の外周部と前記開口部の縁部とが同一平面上に位置するように構成され、前記主面部の外周部に、前記開口部の前記縁部の内面と重なるフランジ部が設けられており、
    前記遮蔽蓋の前記フランジ部、又は前記被覆部材の前記開口部の縁部における前記フランジ部に対向する位置に、緩衝材が設けられており、
    前記被覆部材の前記開口部の前記縁部には、前記フランジ部に向かって突出されたつば部が形成され、
    前記遮蔽蓋の前記フランジ部には、前記フランジ部の端部から前記開口部の前記縁部の内面に向かって突出され、前記遮蔽蓋が前記開口部を閉じたときに前記緩衝材に当接する当接部が形成されていることを特徴とする、車両用の被覆構造体。
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