JP5294938B2 - 膜厚測定方法およびガラス光学素子の製造方法 - Google Patents
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更に本発明は、前記膜厚測定方法を使用するガラス光学素子の製造方法に関する。
[1]基材上に形成された被膜の膜厚測定方法であって、
波長λnmの光に対して表面反射率R0を有するテスト用基材上にテスト用被膜を形成し、該テスト用被膜の前記波長λnmの光に対する表面反射率R'を測定することを、前記テスト用被膜の膜厚を変化させて2回以上行うことにより、前記テスト用被膜の膜厚と表面反射率変化量(R'−R0)との関係式を導出すること、
膜厚測定対象の被膜の前記波長λnmの光に対する表面反射率Rを測定し、該表面反射率Rと前記テスト用基材の表面反射率R0との差分(R−R0)を前記表面反射率変化量として前記関係式に適用することにより、前記膜厚測定対象の被膜の膜厚を求めること、
を含み、
前記膜厚測定対象の被膜が形成された基材は、ガラスからなり、
前記膜厚測定対象の被膜は、0.4〜6nmの範囲の膜厚を有する炭素含有膜であり、かつ、
前記関係式は、前記膜厚と前記表面反射率変化量(R'−R 0 )との間に相関係数の二乗R 2 が0.6以上の関係が成立する一次関数である、基材上に形成された被膜の膜厚測定方法。
[2]前記テスト用被膜の形成を、前記膜厚測定対象の被膜と同一材料を使用し、かつ同一成膜法を使用して行う[1]に記載の基材上に形成された被膜の膜厚測定方法。[3]前記膜厚測定対象の被膜が形成された基材は、前記テスト用基材と同一材料からなる[1]または[2]に記載の基材上に形成された被膜の膜厚測定方法。
[4]前記波長λnmは、400〜750nmの範囲である[1]〜[3]のいずれかに記載の基材上に形成された被膜の膜厚測定方法。
[5]前記差分(R−R0)は、0.01以上である[1]〜[4]のいずれかに記載の基材上に形成された被膜の膜厚測定方法。
[6]前記炭素含有膜の炭素含有率は、65原子%以上である[1]〜[5]のいずれかに記載の基材上に形成された被膜の膜厚測定方法。
[7]前記膜厚測定対象の被膜が形成された基材表面は、平面または曲面形状である[1]〜[6]のいずれかに記載の基材上に形成された被膜の膜厚測定方法。
[8]予備成形され、かつ表面に被膜を有するガラス素材を加熱軟化した状態でプレス成形することにより、成形型の成形面を転写する工程を含むガラス光学素子の製造方法であって、
前記被膜の膜厚を[1]〜[7]のいずれかに記載の方法によって測定し、測定された膜厚が予め設定した基準範囲内であったガラス素材を、前記プレス成形に付すことを特徴とするガラス光学素子の製造方法。
[9]予備成形され、かつ表面に被膜を有するガラス素材を複数含むガラス素材ロットを準備する工程と、
前記ロットから少なくとも1つのガラス素材を抽出する工程と、
前記抽出されたガラス素材表面の被膜の膜厚を[1]〜[7]のいずれかに記載の方法によって測定する工程と、
前記測定された膜厚が予め設定した基準範囲内であったガラス素材と同一ロット内のガラス素材を加熱軟化した状態でプレス成形することにより、成形型の成形面を転写する工程と、
を含むガラス光学素子の製造方法。
本発明は、基材上に形成された被膜の膜厚測定方法(以下、「膜厚測定方法」または「測定方法」ともいう)に関する。
本発明の測定方法は、
(1)波長λnmの光に対して表面反射率R0を有するテスト用基材上にテスト用被膜を形成し、該テスト用被膜の前記波長λnmの光に対する表面反射率R’を測定することを、前記テスト用被膜の膜厚を変化させて2回以上行うことにより、前記テスト用被膜の膜厚と表面反射率変化量(R’−R0)との関係式を導出すること(以下、「関係式導出工程」という)、
(2)膜厚測定対象の被膜(以下、「測定対象被膜」ともいう)の前記波長λnmの光に対する表面反射率Rを測定し、該表面反射率Rと前記テスト用基材の表面反射率R0との差分(R−R0)を前記表面反射率変化量として前記関係式に適用することにより、前記膜厚測定対象の被膜の膜厚を求めること(以下、「膜厚算出工程」という)、
を含むものである。
以下、各工程の詳細を順次説明する。
本工程では、波長λnmの光に対して表面反射率R0を有するテスト用基材上にテスト用被膜を形成し、該テスト用被膜の前記波長λnmの光に対する表面反射率R’を測定することを、前記テスト用被膜の膜厚を変化させて2回以上行う。これにより、膜厚既知のテスト被膜の厚さと表面反射率変化量(R’−R0)との関係をグラフ上で2点以上プロットすることができるため、このグラフを、例えば最小二乗法によってフィッティングすることにより、テスト用被膜の膜厚と表面反射率変化量(R’−R0)との関係式を一次関数として求めることができる。こうして求められた関係式は、後述する膜厚算出工程において、膜厚未知の被膜についての膜厚と反射率との検量線として用いることができる。前述の特許文献6記載の方法では、複数の波長毎に反射率を検出してフィッティングを行う必要があるのに対し、本発明では単一波長の光に対する反射率のみを使用するため簡便であり、しかもフィッティング誤差がきわめて少ないため信頼性の高い測定を行うことが可能である。
式1 表面反射率変化量(R’−R0)=a×膜厚−b
[式1中、aおよびbは、それぞれフィッティングにより求められる定数である。]
0〜0.2ほとんど相関なし
0.2〜0.4やや相関あり
0.4〜0.7かなりの相関あり
0.7〜1強い相関あり
相関係数の二乗R 2 0.4以上で、2つの変数に関連性があると言える。通常、0.6未満の相関係数の二乗R 2 であった場合には"実験手法に問題がある"と経験的に判定されることが多い。ただし、"相関係数の二乗R 2 0.6以上"とは経験的な値であり、統計学的視点からは0.4以上でも問題がないと言える。本発明では、上記一次関数において、膜厚と表面反射率変化量(R'−R0)との間に、相関係数の二乗R 2 が0.6以上の関係が成立する。
本工程は、前述の関係式導出工程において得られた関係式を検量線として、反射率測定という簡便な手段によって膜厚未知の被膜の膜厚を求める工程である。測定対象被膜の波長λnmの光に対する表面反射率Rの測定は、前述と同様に行うことができる。そして、測定された表面反射率Rと前記テスト用基材の表面反射率R0との差分(R−R0)を、関係式導出工程において導出された関係式に前記表面反射率変化量、即ち(R’−R0)として適用することにより、測定対象被膜の膜厚を算出することができる。前記差分(R−R0)が大きいほど反射率測定の誤差が少なく高感度化が可能である。この観点から、前記差分(R−R0)は0.01以上であることが好ましく、0.1以上であることが更に好ましい。測定対象被膜および基材の材質にもよるが、通常の基材と被膜との組み合わせであれば、0.4nm以上の膜厚であれば前記好ましい差分となり得るため、本発明は膜厚0.4nm以上の被膜の膜厚測定方法として適用することが好ましい。また、測定精度の観点からは、膜厚40nm以下の被膜に対して本発明の測定方法を適用することが好ましい。高感度・高精度測定の観点からは、膜厚0.4〜20nmの被膜に対して、本発明の測定方法を適用することが好ましい。本発明の測定方法によれば、上記ナノメーターオーダーの膜厚測定が可能である。
本発明の第一の態様のガラス光学素子の製造方法は、
予備成形され、かつ表面に被膜を有するガラス素材を加熱軟化した状態でプレス成形することにより、成形型の成形面を転写する工程を含むガラス光学素子の製造方法であって、
前記被膜の膜厚を本発明の測定方法によって測定し、測定された膜厚が予め設定した基準範囲内であったガラス素材を、前記プレス成形に付すことを特徴とするガラス光学素子の製造方法(以下、「製法1」という)
である。
予備成形され、かつ表面に被膜を有するガラス素材を複数含むガラス素材ロットを準備する工程と、
前記ロットから少なくとも1つのガラス素材を抽出する工程と、
前記抽出されたガラス素材表面の被膜の膜厚を本発明の測定方法によって測定する工程と、
前記測定された膜厚が予め設定した基準範囲内であったガラス素材と同一ロット内のガラス素材を加熱軟化した状態でプレス成形することにより、成形型の成形面を転写する工程と、
を含むガラス光学素子の製造方法(以下、「製法2」という)
である。
以下において、製法1と製法2をあわせて、本発明の製造方法ということがある。
製法1、2のいずれにおいても、前記被膜は、離型性向上のために形成される薄膜であることができる。先に説明したように、ガラス素材上に離型性向上のために設けられる薄膜が所望の膜厚に形成されていない場合、成形されるガラス光学素子の種々の特性に悪影響を与えるおそれがある。これに対し、製法1、2のいずれにおいても、所望の膜厚の被膜が形成されていることを確認したうえでプレス成形を行うため、高品質のガラス光学素子を製造することができる。
以下、本発明の製造方法について、更に詳細に説明する。
(1)関係式導出工程
まず、研磨平面を有するガラス基板の該研磨平面において、可視光領域における反射率スペクトルを得た。
次いで、上記ガラス基板の研磨平面上に、アルゴンを用いたDCスパッタ法により炭素薄膜を成膜する操作を4回繰り返し、各成膜後に成膜された炭素薄膜表面の可視光領域における反射率スペクトルの測定およびXPSによる膜厚測定を行った。
得られた反射率スペクトルから、波長500nm、600nm、700nmにおける反射率を読み取り、各波長におけるガラス基板の研磨平面における反射率との差分を反射率変化量として算出した。
以上により得られた反射率変化量と炭素薄膜の膜厚との関係を、図1に示す。図1の結果から、測定波長にかかわらず、膜厚と反射率変化量には直線関係が成り立つことがわかる。
そこで、図1中の波長500nmのプロットを最小二乗法によってフィッティングしたところ、以下の関係式(式A')が得られた。同様に波長600nm、波長700nmのプロットを最小二乗法によってフィッティングした結果を図1中の右表に示す。
式A'反射率変化量=0.4651×膜厚−0.3583
図1中の右表に示すように、各測定波長における膜厚と反射率変化量と関係式は、良好な相関関係が成立すると判断できる相関係数の二乗R 2 が0.6以上の一次関数となった。
次いで、上記式A'を変形し、以下の関係式(式A)を得た。
式A 膜厚[nm]=2.15×反射率変化量[point]+0.77
上記ガラス基板と同一材料からなり、同一の研磨処理を行ったガラス基板の研磨面上に、上記(1)と同一成膜材料を使用してDCスパッタ法によって、成膜時間を変えることにより異なる膜厚の炭素薄膜を形成した。各炭素薄膜について、反射率スペクトルを測定し、得られたスペクトル上で波長500nmでの反射率を読み取った。次いで、読み取った反射率から、上記(1)で測定したガラス基板の研磨平面上の波長500nmの光に対する反射率を差し引き差分を算出した。算出した差分を、式A中に「反射率変化量」として代入し、膜厚を算出した。算出された膜厚と成膜時間との関係を図2に示す。
一般に、スパッタ法において膜厚は成膜時間と直線関係を示すことが知られている。図2に示すように、式Aを用いて得られた膜厚は、成膜時間に対して正の相関を示し、その相関係数の二乗R 2 は0.995ときわめて良好な値を示した。この結果から、本発明の測定方法により、信頼性の高い膜厚測定が可能であることが確認できる。
(1)関係式導出工程
成膜法をスパッタ法から真空蒸着法に変えた点以外、実施例1と同様の操作を行い、波長500nmにおける炭素薄膜の反射率変化量と膜厚との関係を求めた。得られた結果を図3に示す。図3に示すように、スパッタ法を用いた実施例1と同様に、反射率変化量と膜厚には直線関係が成り立った。図3中のプロットを最小二乗法によってフィッティングしたところ、以下の関係式(式B')が得られた。
式B'反射率変化量=0.7194×膜厚−0.2374
図3に示すように、上記式B'の相関係数は0.6以上(相関係数:1)であるため、膜厚と反射率変化量との間に良好な相関係数の二乗R 2 が成立していると判断することができる。
次いで、上記式B'を変形し、以下の関係式(式B)を得た。
式B 膜厚[nm]=1.39×反射率変化量[point]+0.33
上記(1)で反射率測定を行ったガラス基板と同一材料からなり、同一の研磨処理を行ったガラス基板の研磨面上に、上記(1)と同一成膜材料を使用して真空蒸着法によって、成膜時間を変えることにより異なる膜厚の炭素薄膜を形成した。各炭素薄膜について、AFMによる膜厚測定を行った後、反射率スペクトルを測定し、得られたスペクトル上で波長500nmでの反射率を読み取った。次いで、読み取った反射率から、上記(1)で測定したガラス基板の研磨平面上の波長500nmの光に対する反射率を差し引き差分を算出した。算出した差分を、式B中に「反射率変化量」として代入し、膜厚を算出した。算出された膜厚とAFMによる膜厚測定値との関係を、図4に示す。図4中、横軸がAFMによる膜厚測定値、縦軸が式Bにより算出された膜厚である。図4から、両者の間に1:1の関係が成り立ち、その相関係数の二乗R 2 が0.975ときわめて良好な相関関係を示していることがわかる。この結果からも、本発明の測定方法により、信頼性の高い膜厚測定が可能であることが確認できる。
スパッタ法によって成膜した異なる膜厚を有する炭素薄膜の可視光領域における反射率スペクトルを、図5に示す。図5中、凡例はXPSにより測定した炭素薄膜の膜厚である。図5から、炭素薄膜の膜厚によって、各波長における反射率が異なることがわかる。また、図5に示すスペクトルには、測定領域において極小値が存在しないため、前述の特許文献4に記載された方法では膜厚測定は不可能である。
以下の方法により、コバ厚0.6mmの凸メニスカスレンズを製造した。
硝材としてホウ酸ランタン系ガラス(HOYA(株)製硝種M−LAC130)を使用し、熱間成形により曲面を有する所望の形状に成形したプリフォームを作製した。
プリフォームの作製とは別に、プリフォームと同じ硝材からなる平板(ガラス基板)をテスト用基材としてスパッタ法により異なる膜厚の炭素薄膜(テスト用被膜)を形成し、実施例1、2と同様の方法で膜厚と反射率変化量(波長500nmにおける表面反射率を評価した)との関係式を導出した。なおテスト用基材の波長500nmの光に対する表面反射率が、プリフォーム表面の波長500nmの光に対する表面反射率と同じ値を示すことを確認した。
次に、作製したプリフォーム表面に、テスト用被膜と同一成膜材料を使用してスパッタ法によって炭素薄膜を形成した。成膜時間を変えることにより膜厚を調整し、同一成膜時間あたり10個ずつプリフォームを作製した。各プリフォームについて、波長500nmにおける表面反射率を測定し、(測定された表面反射率−テスト用基材の表面反射率)の値を上記関係式に代入することにより、各プリフォーム上の炭素薄膜の膜厚を算出した。図6に、炭素薄膜の膜厚分布を示す。なお、得られた膜厚算出値および上記レンズにおける適切な被膜の膜厚範囲から算出した膜厚の工程能力指数は0.171であった。
その後、各プリフォームをプレスし、コバ厚0.6mmの凸メニスカスレンズを製造したところ、炭素薄膜の厚さが2nm未満ではレンズにワレが発生し、5nm超では得られたレンズにクモリが発生した。したがって、本態様ではプレス工程に付すに適した炭素薄膜の厚さは2〜5nmであると言える。一方、図6に示すように、炭素薄膜の膜厚範囲は1〜6nmであった。成膜時間毎に10個ずつプリフォームに成膜処理を施したにもかかわらず、図6に示すように膜厚3nmのものが最も多かったうえに、一部のプリフォームでは炭素薄膜の厚さがプレス工程に付すに適した範囲を超えていることから、本態様ではプレス工程に先立ち全数検査を行うことが好ましいことがわかる。
そこで、上記と同様の方法でプリフォームの作製、炭素薄膜の成膜および関係式を用いた膜厚の算出(全数検査)を行い、膜厚算出値が2〜5nmであったプリフォームのみを選別しプレス工程に付したところ、いずれも成形後のレンズにはワレもクモリも観察されなかった。参照のため、選別しなかったプリフォームをプレスしたところ、膜厚2nm未満ではレンズにワレが発生しプレスの継続が困難であり、膜厚5nm超ではレンズにクモリが発生し、製品として出荷するためにはクモリ落としの工程が必要となった。
以下の方法により、中心肉厚2.6mmの両凸レンズを製造した。
硝材としてホウ酸シリケート系ガラス(HOYA(株)製硝種M−BACD12)を使用し、熱間成形により曲面を有する所望の形状に成形したプリフォームを作製した。
プリフォームの作製とは別に、プリフォームと同じ硝材からなる平板(ガラス基板)をテスト用基材としてスパッタ法により異なる膜厚の炭素薄膜(テスト用被膜)を形成し、実施例1、2と同様の方法で膜厚と反射率変化量(波長500nmにおける表面反射率を評価した)との関係式を導出した。なおテスト用基材の波長500nmの光に対する表面反射率が、プリフォーム表面の波長500nmの光に対する表面反射率と同じ値を示すことを確認した。
次に、作製したプリフォーム表面に、テスト用被膜と同一成膜材料を使用してスパッタ法によって炭素薄膜を形成した。成膜時間を変えることにより膜厚を調整し、同一成膜時間あたり10個ずつプリフォームを作製した。各プリフォームについて、波長500nmにおける表面反射率を測定し、(測定された表面反射率−テスト用基材の表面反射率)の値を上記関係式に代入することにより、各プリフォーム上の炭素薄膜の膜厚を算出した。図7に、炭素薄膜の膜厚分布を示す。図7に示すように、炭素薄膜の膜厚範囲は2〜6nmであった。なお、得られた膜厚算出値および上記レンズにおける適切な被膜の膜厚範囲から算出した膜厚の工程能力指数は1.409であった。
その後、各プリフォームをプレスし、中心肉厚2.6mmの両凸レンズを製造したところ、いずれのレンズにおいてもワレやクモリは観察されなかった。このように上記成膜条件によれば、ワレやクモリが発生しない膜厚の炭素薄膜を成膜することができ、工程能力指数も良好と判断できる一般的な基準値である1.33を超えていることから、本態様では全数検査による膜厚測定を行わずサンプリング検査を行えばよいことがわかる。
そこで、上記と同様の方法でプリフォームの作製および炭素薄膜の成膜を行い、同一ロットから数個のプリフォームを抜き取り前記関係式を用いた膜厚算出を行い2〜5nmの膜厚の炭素被膜が形成されていることを確認したうえで、各プリフォームをプレス工程に付したところ、いずれも成形後のレンズにはワレもクモリも観察されなかった。
Claims (9)
- 基材上に形成された被膜の膜厚測定方法であって、
波長λnmの光に対して表面反射率R0を有するテスト用基材上にテスト用被膜を形成し、該テスト用被膜の前記波長λnmの光に対する表面反射率R'を測定することを、前記テスト用被膜の膜厚を変化させて2回以上行うことにより、前記テスト用被膜の膜厚と表面反射率変化量(R'−R0)との関係式を導出すること、
膜厚測定対象の被膜の前記波長λnmの光に対する表面反射率Rを測定し、該表面反射率Rと前記テスト用基材の表面反射率R0との差分(R−R0)を前記表面反射率変化量として前記関係式に適用することにより、前記膜厚測定対象の被膜の膜厚を求めること、
を含み、
前記膜厚測定対象の被膜が形成された基材は、ガラスからなり、
前記膜厚測定対象の被膜は、0.4〜6nmの範囲の膜厚を有する炭素含有膜であり、かつ、
前記関係式は、前記膜厚と前記表面反射率変化量(R'−R 0 )との間に相関係数の二乗R 2 が0.6以上の関係が成立する一次関数である、基材上に形成された被膜の膜厚測定方法。 - 前記テスト用被膜の形成を、前記膜厚測定対象の被膜と同一材料を使用し、かつ同一成膜法を使用して行う請求項1に記載の基材上に形成された被膜の膜厚測定方法。
- 前記膜厚測定対象の被膜が形成された基材は、前記テスト用基材と同一材料からなる請求項1または2に記載の基材上に形成された被膜の膜厚測定方法。
- 前記波長λnmは、400〜750nmの範囲である請求項1〜3のいずれか1項に記載の基材上に形成された被膜の膜厚測定方法。
- 前記差分(R−R0)は、0.01以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の基材上に形成された被膜の膜厚測定方法。
- 前記炭素含有膜の炭素含有率は、65原子%以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の基材上に形成された被膜の膜厚測定方法。
- 前記膜厚測定対象の被膜が形成された基材表面は、平面または曲面形状である請求項1〜6のいずれか1項に記載の基材上に形成された被膜の膜厚測定方法。
- 予備成形され、かつ表面に被膜を有するガラス素材を加熱軟化した状態でプレス成形することにより、成形型の成形面を転写する工程を含むガラス光学素子の製造方法であって、
前記被膜の膜厚を請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法によって測定し、測定された膜厚が予め設定した基準範囲内であったガラス素材を、前記プレス成形に付すことを特徴とするガラス光学素子の製造方法。 - 予備成形され、かつ表面に被膜を有するガラス素材を複数含むガラス素材ロットを準備する工程と、
前記ロットから少なくとも1つのガラス素材を抽出する工程と、
前記抽出されたガラス素材表面の被膜の膜厚を請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法によって測定する工程と、
前記測定された膜厚が予め設定した基準範囲内であったガラス素材と同一ロット内のガラス素材を加熱軟化した状態でプレス成形することにより、成形型の成形面を転写する工程と、
を含むガラス光学素子の製造方法。
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