JP5396154B2 - 光学素子の製造方法 - Google Patents

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本発明は、成形した光学素子の光学性能に応じてその成形型を補正し、補正後の成形型により光学素子を成形する光学素子の製造方法に関する。
従来、成形型を用いて光学素子を製造するには、最初に暫定型(補正前の成形型)による光学素子の成形を行い、次に、その暫定型を用いて成形された光学素子の光学性能の測定を行う。さらに、光学素子の光学性能の測定結果に基づき、暫定型を補正加工し、補正後の正式型で光学素子の成形を行っていた。
例えば、特許文献1には、光学素子の有する内部屈折率分布を測定し、屈折率分布に起因して発生する収差を光学素子の形状に換算して成形型に反映させることにより、予め光学素子の屈折率分布を見込んだ成形型により成形を行う技術が開示されている。
特開2002−193627号公報
しかしながら、一般的に、光学素子の成形後には、芯取り加工(外径加工)や反射防止膜の形成が行われる。その際、光学素子に内部応力(屈折率分布)が残ったままでは、その後に芯取り加工等によって内部応力の一部が開放されると、光学素子の屈折率分布及び表面形状が変化してしまう。
或いは、光学素子の成形後に、光学素子に反射防止膜の形成等の新たな熱履歴を加えると、屈折率分布と表面形状の少なくとも一方が変化する。従って、これらを見込んで成形を行なわないと、最終性能を満足する光学素子を得ることができない。
ところが、前述した特許文献1では、芯取り加工や反射防止膜の形成を行うことによる影響については何ら考慮されていない。
本発明は、斯かる課題を解決するためになされたもので、暫定型で成形した光学素子に対し外径加工等を施した後の屈折率分布及び表面形状の変化等を見込んで設計した正式型により成形を行う光学素子の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明に係る光学素子の製造方法は、
暫定型を用いて光学素子素材を成形する1次工程と、
前記1次工程で成形された光学素子に対し、外径加工及び反射防止膜の形成の少なくとも一方を行う2次工程と、
前記2次工程後の光学素子の光学性能を測定する工程と、
測定された前記光学素子の光学性能と設計値との乖離を算出する算出工程と、
算出された乖離が許容される場合に、前記暫定型を正式型として決定する工程と、
前記正式型を用いて光学素子素材を予備成形する工程と、
予備成形された前記光学素子の光学性能を測定する第2の測定工程と、
前記第2の測定工程後、前記光学素子に対し、外径加工及び反射防止膜の形成の少なくとも一方を行う予備2次工程と、
前記予備2次工程後、前記光学素子の光学性能を測定する第3の測定工程と、
決定された正式型を用いて光学素子素材を成形する成形工程と、を有し、
前記算出工程により算出された乖離が許容されない場合には、前記暫定型を補正して前記1次工程まで戻ることを前記乖離が許容されるまで繰り返し、
前記第2の測定工程の測定結果と前記第3の測定工程の測定結果とから、前記予備2次工程による光学性能の変化を算出することを特徴とする。
また、本発明に係る光学素子の製造方法は、
さらに、前記2次工程の前に、前記1次工程で成形された前記光学素子の光学性能を測定する第1の測定工程を有し、
前記第1の測定工程の測定結果と前記第2の測定工程の測定結果とから、前記2次工程による光学性能の変化を算出することが可能である。
また、本発明に係る光学素子の製造方法は、
前記光学性能の変化は、前記光学素子の屈折率分布及び表面形状の少なくとも一方の変化によるものであり、
前記光学性能の測定は、透過波面測定法を用いて行うことが可能である。
本発明によれば、暫定型で成形した光学素子に対し外径加工等を施した後の屈折率分布及び表面形状の変化等を見込んで設計した正式型により成形を行う光学素子の製造方法を提供することができる。
光学素子の製造装置の断面図である。 型セットにガラス素材を組み込んだ状態の断面図である。 成形されたレンズの断面図である。 透過波面測定装置の概要を示す図である。 芯取り加工装置の概略構成を示す図である 芯取り加工後のレンズの断面図である 参考例1の暫定型から正式型を決定しその正式型で光学素子の生産を行うフローチャートを示す図である。 薄膜の形成装置の概要を示す図である。 参考例2の暫定型から正式型を決定しその正式型で光学素子の生産を行うフローチャートを示す図である。 実施の形態の暫定型から正式型を決定しその正式型で光学素子の生産を行うフローチャートを示す図である。
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
[発明の概要]
図1は、光学素子の製造装置10の断面図、図2は、型セット17にガラス素材23を組み込んだ状態の断面図、図3は、成形されたレンズ35の断面図である。
図1において、光学素子の製造装置10は、床面に敷設された断熱プレート11と、その上部を覆うような筐体12とで区画された成形室14を有している。この成形室14は、大気圧下、不活性ガス(Arガス又は窒素ガス等)の置換下、あるいは真空圧下で稼動するようになっている。
このように、成形室14を不活性ガス等の置換下で稼動させることで、後述する型セット17などの酸化を防止することができる。一般に、成形室14内は加熱等により高温になっていて酸化が促進されるおそれがあるためである。なお、成形室14には、気体の流入、流出が可能な不図示の管路が設けられていて、成形室14内を不活性ガス等により置換可能な構造になっている。
成形室14の入口には、型セット17を水平な矢印A方向に搬入が可能なように、搬入シャッタ15が設けられている。同様に、成形室14の出口には、型セット17を矢印A方向に搬出が可能なように、搬出シャッタ16が設けられている。
これら搬入、搬出シャッタ15,16は、矢印A方向と略直交方向(図1の表裏面方向)に開閉可能なようにベースブロック18,19に取り付けられている。このベースブロック18,19は、断熱プレート11の上面からの高さが、後述する加熱ステージ20等における下プレート25の高さと略同一高さとなっている。これにより、型セット17の搬送をスムーズに行えるようにしている。
成形室14内には、加熱ステージ20、プレスステージ21、及び冷却ステージ22が、型セット17の搬送方向(矢印A方向)に沿って配設されている。これらの各ステージでは、個別に加熱時間やプレス時間等の制御が可能となっている。これらの制御は、装置全体の制御をつかさどる制御装置30によって行われる。
なお、本実施の形態では、成形室14内に3つのステージを有する場合について説明するが、これに限らない。例えば、より細かな制御を行うために、各ステージをさらに細分化することもできるし、統合することもできる。
加熱ステージ20は、上下方向(矢印A方向と直交する矢印B方向)に対向する一対の上プレート24及び下プレート25と、作動ロッド27を介して上プレート24を上下方向(矢印B方向)に駆動するエアシリンダ26と、を有している。このエアシリンダ26は、保持部材13を介して筐体12に固定されている。
上プレート24及び下プレート25には、夫々上カートリッジヒータ28及び下カートリッジヒータ29が内蔵されている。これらの上・下カートリッジヒータ28,29により、型セット17及び内部のガラス素材23が加熱される。
型セット17は、不図示の搬送装置により、矢印A方向に成形室14内に搬入される。そして、搬入された型セット17は、加熱ステージ20の上プレート24と下プレート25との間に移載される。次いで、エアシリンダ26による上プレート24の下降動作により、型セット17の挟持、挟圧等の動作が行われる。
プレスステージ21と冷却ステージ22も、加熱ステージ20と同様の構成を有している。このプレスステージ21では、型セット17を挟持して、内部のガラス素材23が成形可能な粘度になるまで加熱する。また、冷却ステージ22では、型セット17を挟持して、成形後の中間レンズ31を形状安定化し、取り出せる温度にまで冷却する。
なお、加熱ステージ20、プレスステージ21、及び冷却ステージ22において、同一又は相当する部材には、夫々の符号に1、2、3の下付き符号を付してその説明を省略する。
プレスステージ21では、型セット17内のガラス素材23は、エアシリンダ26の下降動作によりプレスされて所定形状の中間レンズ31に成形される。
また、プレスステージ21で成形完了した型セット17は、次に冷却ステージ22に移載され、ここで所望の形状に成形された中間レンズ31を所定の温度に冷却して形状安定化する。冷却された後の型セット17は、搬出シャッタ16を開いて矢印A方向に成形室14から外部に搬出される。
なお、以上説明した加熱ステージ20、プレスステージ21、及び冷却ステージ22での加熱温度やプレス量は、制御装置30によって制御されるようになっている。
図2において、型セット17は、下型32、上型33、及びスリーブ(胴型)34を有している。下型32及び上型33は、スリーブ34の内部で、それぞれの成形面32a,32b、33a、33bが対向するようにスリーブ34の両端側から嵌挿されている。
下型32は、円柱形状をなしている。下型32の中央の成形面32aは、例えば凹球面状または凹非球面状に形成されている。この成形面32a上に、球状のガラス素材23が載置される。また、成形面32aの外周部は平坦な成形面32bに形成されている。
上型33も、円柱形状をなしている。この上型33は、スリーブ34の内側上部に嵌挿されている。また、上型33の中央の成形面33aは、例えば凹球面状又は凹非球面状に形成されている。この成形面33aの外周部は平坦な成形面33bに形成されている。
スリーブ34は円筒形状をなしている。このスリーブ34の中心軸は、型中心線O−Oと一致している。また、上型33は、スリーブ34の軸方向(型中心線O−O方向)、すなわち上下方向に摺動自在に嵌挿されている。
なお、本実施の形態では、下型32、上型33、及びスリーブ34は、タングステンカーバイド(WC)等の超硬合金を研削・研磨して仕上げられている。また、ガラス素材23は、市販の球状の光学ガラスが用いられている。また、本実施の形態では、光学素子素材としてガラス素材23を例として説明するが、これに限らない。例えば、ポリカーボネート等の合成樹脂であってもよい。
図3は、成形された光学素子としてのレンズ35の断面図を示している。
図3において、成形室14から搬出された型セット17を分解することにより、成形されたレンズ35が得られる。このレンズ35は、光学機能面35a,35bが両凸状の光学レンズで外周に薄肉の鍔部35cを有している。
次に、図4は、透過波面測定装置40の概要を示す図である。
この透過波面測定装置40により、成形されたレンズ35の光学性能を測定することができる。
すなわち、この透過波面測定装置40は、光の干渉を利用し、被検レンズの入射光と出射光の位相差から生じた干渉縞を捉え、被検レンズの透過波面収差を測定する装置である。この透過波面測定装置40を用いることで、被検レンズから得られる透過波面が、所望の光学素子から得られる透過波面に対し、どの程度ずれているかを測定することができる。
本実施の形態の透過波面測定装置40は、干渉計41と干渉縞解析用の縞解析装置42とを組み合わせたものである。この縞解析装置42は、画像処理用PC(パソコン)43と表示装置44とを有している。
干渉計41は、装置本体内に収容されたコリメータレンズ45と、昇降自在な載置台49に載置されたミラー46とを有し、光源としてレーザ光を使用している。被検レンズ47は、コリメータレンズ45とミラー46との間に配置されている。
透過波面測定に際しては、不図示の光源から出射されてコリメータレンズ45を透過した平面波(平行光)は、被検レンズ47に入射する。この被検レンズ47を透過した光は、ミラー46で折り返される。そして、入射光とミラーで折り返された光とによって生じた干渉縞48が表示装置44に表示される。
こうして、被検レンズ47が理想状態の場合の干渉縞(図示せず)と、実測された干渉縞48との差が、被検レンズ47が持っている波面収差となる。この波面収差を、画像処理用PC43で解析することにより、被検レンズ47の光学性能が、設計値とどの程度ずれているかを高精度に測定することができる。
なお、本発明では、暫定型(金型)を用いてレンズ35を成形することを1次工程(1次加工ともいう)という。また、本発明では、成形されたレンズ35に対し、外径加工としての芯取り加工および反射防止膜の形成のうちの少なくとも一方を行うことを2次工程(2次加工ともいう)という。なお、2次工程には、アニール処理は含まれない。

参考例1]
次に、本参考例による光学素子の製造方法を説明する。
参考例では、2次加工の一例として、芯取り加工(外径加工)を行う場合について説明する。
図5は、芯取り加工装置50の概略構成を示す図であり、図6は、芯取り加工後のレンズ36の断面図である。
図5において、芯取り加工装置50は、レンズ35を光軸方向の両側から挟んで保持するホルダー51,51と、レンズ35を研磨するダイヤモンドホイール52と、研磨液を供給する供給管53と、を有している。そして、レンズ35に研磨液を噴射しながら回転するダイヤモンドホイール52で外周部の芯取り加工を行う。
なお、図5に示したレンズ35の形状は、図3に示したものと相違するが、ここでは、説明の便宜上、同じ形状のレンズとして説明する。
図6に示すように、芯取り加工後のレンズ36は、光軸中心O−Oを中心として外周部が同心状に高精度に加工された両凸形状をなしている。
次に、図7は、暫定型を補正して正式型を決定しその正式型で光学素子の生産を行うフローチャートを示す図である。
先ず、S(ステップ)1において、暫定型(構成は、前述した型セット17と同じである)を用いて光学素子としてのレンズ35の成形を行う(1次加工工程)。ここでの、暫定型とは、設計図に基づいて切削加工され作製された金型のことである。なお、この暫定型を用いて成形されたレンズ35の光学性能の良否は現時点ではわからない。
レンズ35の成形では、前述した光学素子の製造装置10を用いて行う。
すなわち、ガラス素材23を組み込んだ型セット17を成形室14内に搬送し、加熱ステージ20、プレスステージ21、冷却ステージ22を経てレンズ35が成形される。なお、これらの工程については既に説明したので、ここではその説明を省略する。
次いで、S2において、成形されたレンズ35に対し2次加工(芯取り加工)を行う(2次加工工程)。
次に、S3では、2次加工後のレンズ36の光学性能の測定及び設計値との乖離を算出する(測定工程、算出工程)。これは、レンズ36の光学性能が、設計者の意図した光学性能に合致しているか否か(OKか否か)を判断するためである。なお、本発明において、設計値は、許容範囲を有することができる。
ここでの光学性能の測定では、レンズ36の中心肉厚をマイクロメータで測定したり、レンズ36の光学面の形状を接触式の形状測定機で測定したり、或いは、レンズ36の中心の屈折率を屈折計又は分光計などを用いて測定する。さらに、屈折率分布(径方向の不均一性)を、オイルオンプレート法や研磨法により測定する。
なお、オイルオンプレート法や研磨法は、一般の干渉計を用いて行うことができる。例えば、被測定物として平面度のよい試料を作成し、それを透過した光束の波面をもとに、試料の材質の屈折率分布を測定するものである。
このS3において、レンズ36の光学性能を測定した結果、設計値に合致しなかった場合(No)は、S4に移行して、暫定型の補正(型補正)を行い(型作製工程)、S1に戻る。
ここでの型補正とは、S3でのレンズ36の光学性能の測定項目を基に、設計値からの乖離を算出し、2次加工後に光学性能が設計値に合致するよう(2次加工後の変化もふまえて)、暫定型の形状を研削加工等して補正することをいう。
また、S3で、レンズ36の光学性能の測定の結果、設計値に合致した場合(Yes)は、S5に移行して、正式型が決定される。
正式型が決定されると、次に、S6で、正式型による成形を行い(成形工程)、正式レンズを得る。さらに、S7で、この正式レンズに対し2次加工(芯取り加工)を行う。
次に、S8で、前述したと同様に、正式レンズの光学性能の測定を行う。ここで、光学性能が設計値に対し許容できる乖離か否かを判断し、Yesなら、S9に移行して最終的に良品のレンズが得られる。また、Noなら、そのレンズを廃棄処分とする。なお、S8での光学性能の測定は、型修正にフィードバックするためのものではなく、レンズの良否を判定する意味を有する。
参考例によれば、芯取り加工等の2次加工後にレンズ36の光学性能の測定を行い、その結果に基づいて暫定型の補正を行うようにしたため、2次加工に伴う光学素子の屈折率分布及び表面形状の変化など(光学性能の変化)を考慮した型設計を行うことができる。こうして得た正式型を用いて光学素子を成形することにより、所望の光学性能を満足する正式レンズを大量に得ることができる。
参考例2]
参考例では、暫定型から正式型を決定するまでに、2回の光学性能の測定を行う点が参考例1と異なっている。
なお、参考例1と同一又は相当する部材には同一の符号を付してその説明を省略する。また、参考例1で定義した内容は、本参考例でも同様の意味で用いるものとする。
参考例では、2次加工の一例として、薄膜(反射防止膜)の形成を行う場合について説明する。
図8は、薄膜の形成装置60の概要を示す図である。
この薄膜の形成装置60により、レンズ35に2次加工として薄膜を形成することができる。
図8において、薄膜の形成装置60は、真空室61と、真空室61内で加熱プレート62上に載置された原料(蒸着材料)63と、その上方のホルダー64に支持されたレンズ35と、レンズ35の上方に配置された加熱ヒータ65と、を有している。
参考例では、真空蒸着によりレンズ35に反射防止用の薄膜を形成する。この真空蒸着は、真空中で金属や化合物などを加熱蒸発させ、その蒸気を物体表面に薄膜状に形成することにより行われる。
参考例では、原料63を加熱して蒸発させ、その蒸気をレンズ35の一方の光学面に付着させて薄膜を形成するものである。
図9は、参考例2の暫定型から正式型を決定しその正式型で光学素子の生産を行うフローチャートを示す図である。
参考例では、光学性能の測定方法と、暫定型の補正フローにおいて2次加工の前後(S12,S14)で光学性能の測定を行っている点が、参考例1と相違している。
先ず、S11において、暫定型を用いて光学素子としてのレンズ35の成形を行う(1次加工工程)。このレンズ35の成形では、前述した光学素子の製造装置10を用いて行う。その製造工程については、既に説明したので、ここではその説明を省略する。
次に、S12において、成形されたレンズ35の第1の光学性能の測定を行う(第1の測定工程)。
ここでの光学性能の測定では、前述した透過波面測定装置40を用いてレンズの光学性能を総合的に測定する。例えば、屈折率分布の測定において、オイルオンプレート法や研磨法によっては、検査すべきレンズ35を測定試料の形状に加工する必要がある。
このため、ここでも屈折率分布の変化が起こる可能性があり、正確に測定することが難しい。これに対し、透過波面測定装置40を用いれば、レンズ35を加工することなく測定することができるため、正確に測定することができる。
さらに、透過波面測定装置40を用いれば、レンズ35の表面形状、屈折率分布等、全ての影響を含む総合性能として評価が可能であり、測定項目を減らすことができる。
なお、透過波面測定装置40による測定原理も既に説明したので、ここではその説明を省略する。
次いで、S13で、2次加工(反射防止膜の形成)を行う(2次加工工程)。
次いで、S40では、レンズ35に薄膜を形成した後のレンズ36の第2の光学性能の測定を行う(測定工程)。この光学性能の測定は、透過波面測定装置40を用いて行う。
次に、S14では、第2の光学性能の測定S40の結果を基に、設計値との乖離の算出を行う(算出工程)。その結果、設計値に合致しなかった場合(No)は、S15に移行して、暫定型の補正(型補正)を行い、S11に戻る。
参考例では、S12でのレンズ35の光学性能の測定を行うことにより、2次加工(S13)を経た後のレンズ36の、S14での光学性能の測定結果との差を比較することができる。この比較データを利用することにより、例えば、良品型(正式型)を得るためには、暫定型で成形したレンズ35の光学性能の測定値(S12)がどの程度の範囲内ならば、良品のレンズ36を成形可能な正式型を得ることができるかの予測を行うことができる。
こうして、S15における型補正では、S12での光学性能の測定項目を基に、設計値からの乖離を算出し、2次加工後に光学性能が設計値に合致するよう(2次加工後の変化もふまえて)、暫定型の形状を研削加工等により補正することができる。従って、上記比較データを得た後は、第1の光学性能の測定(S12)後、2次加工(S13)及び第2の光学性能の測定(S40)を行わずに(図9の破線矢印A参照)、レンズ35の光学性能と設計値との乖離が許容されるか否かを判断することができる(S14)。
上記の比較データは、多数蓄積されることが好ましい。これにより、S12での光学性能の測定結果のみを見て暫定型の必要な補正量や補正箇所を推定することがより確実となる。なお、比較データは、実際の測定値から得ても良いし、シミュレーションから得ても良い。また、1つの比較データを得るためのサンプル数(n数)は、適宜設定されることができる。
なお、S14で、2次加工を経た後のレンズ36の光学性能の測定の結果、設計値に合致した場合(Yes)は、S16に移行して、正式型が決定される。
次に、S17では、この正式型によるレンズ35の成形を行う(成形工程)。
さらに、S13’で、前述のS13と同様の2次加工(反射防止膜の形成)を行う(2次加工工程)。
次いで、S18では、成形されたレンズ35の光学性能の測定を行う。ここでの光学性能の測定では、前述した透過波面測定装置40を用いて光学性能を総合的に測定する。ここで、光学性能が設計値に対し許容できる乖離か否かを判断し、Yesなら、S19に移行して良品のレンズが得られる。また、Noなら、そのレンズ35は廃棄処分される。
こうして、S19において、光学性能を測定した後の良品のレンズ35を得ることができる。
参考例によれば、2次加工の前後でレンズの光学性能の測定を行い、その差を比較することで、暫定型で成形したレンズ35の光学性能の測定値がどの程度の範囲内ならば良品のレンズ36を成形可能な正式型を得ることができるかという予測を行うことができる。従って、正式型を得るまでの工数を削減することができる。
なお、レンズを芯取り加工(2次加工)することによる光学性能の変化は、レンズ内部に応力(屈折率分布)があるため、それが開放されて生じる。そこで、芯取り加工の前に、アニール処理を行うことで、レンズの内部応力を予め開放しておけば、芯取り加工による光学性能の変化は生じないようになる。
しかし、薄膜(反射防止膜)の形成(2次加工)では、光学性能の変化は薄膜の形成時にレンズが加熱されることで起きると考えられる。従って、アニール処理を施したレンズ(内部応力がない)においても、2次加工による光学性能の変化は起こり得るが、本参考例によれば、2次加工後の光学性能を基に、あるいは2次加工による光学性能の変化を考慮して、型補正を行っているため、その不具合も解決することができる。
[実施の形態]
図10は、暫定型から正式型を決定しその正式型で光学素子の量産を行うフローチャートを示す図である。
なお、参考例1と同一又は相当する部材には同一の符号を付してその説明を省略する。また、参考例1で定義した内容は、本実施の形態でも同様の意味で使用する。
本実施の形態では、正式型で成形したレンズの2次加工前後の変化量を算出して比較データを取得する工程(S26,S27,S29,S30,S32)を追加した点と、量産段階の正式型による成形では、2次加工後の光学性能の測定を省略している点が、参考例1,2と相違している。
先ず、S21において、暫定型を用いて光学素子としてのレンズ35の成形を行う(1次加工工程)。この成形では、前述した光学素子の製造装置10を用いて行う。その製造工程については説明を省略する。
次いで、S22において、成形されたレンズ35の2次加工を行う(2次加工工程)。ここでの2次加工は、例えば薄膜(反射防止膜)の形成のことである。
この薄膜(反射防止膜)の形成方法は、図9で説明した通りである。
S23では、2次加工後のレンズ36の光学性能の測定及び設計値との乖離の算出を行い、設計値に合致するか否か(OKか否か)を判断する(測定工程、算出工程)。ここでの光学性能の測定では、透過波面測定装置40により光学性能を総合的に測定することができる。
若しも、このS23において、光学性能の測定の結果、設計値に合致しなかった場合(No)は、S24に移行して、暫定型の補正(型補正)を行い(型作製工程)、S21に戻る。この型補正では、S23での光学性能の測定項目を基に、設計値からの乖離を算出し、2次加工後に光学性能が設計値に合致するよう(2次加工後の変化もふまえて)、暫定型の形状を研削加工等により補正する。
また、S23で、光学性能の測定の結果、設計値に合致した場合(Yes)は、S25に移行して、正式型が決定される。
次に、S26では、この正式型を用いてレンズ35の予備成形を行う(成形工程)。
続いて、S27で、予備成形されたレンズ35の第3の光学性能の測定を行った後、S29で2次加工による薄膜(反射防止膜)の形成を行う(予備2次加工工程)。さらに、S30で、2次加工後のレンズ36の第4の光学性能の測定を行う。S27とS30での光学性能の測定結果の差により、2次加工によるレンズ36の光学性能の変化量を把握することができ、比較データを取得することができる。なお、比較データの取得・利用については、参考例2で述べた内容と同様であるので、詳細な説明を省略する。
本実施の形態によれば、2次加工(S29)の前後でレンズ36の光学性能の測定を行うことで、2次加工を行ったことによる光学性能の変化量を把握することができる。これにより、量産段階の2次加工を行う前に、製品の良否判定を行うことができる(2次加工後の良否判定を省略することができる)。
即ち、図10の破線に示す方向への工程(量産段階)が実現する。
量産段階では、まず、S26’で、正式型を用いてレンズ35の成形を行う(成形工程)。
次に、S30’では、成形されたレンズ35の光学性能の測定を行う。ここでの光学性能の測定では、透過波面測定装置40により光学性能を総合的に測定する。次に、光学性能の測定結果と上述した比較データを基に2次加工後の光学性能を予測し、予測された光学性能が設計値に対し許容できる乖離か否かを判断する(S27’)。その結果、Yesなら、S28’に移行して良品のレンズ35が得られる。さらに、この後、成形されたレンズ35に対し、2次加工による薄膜(反射防止膜)の形成を行うことになる。また、S27’において、Noなら、そのレンズを廃棄処分とする。
本実施の形態によれば、量産段階の正式型による成形では、良品のレンズ35(S28’)が得られた後に薄膜(反射防止膜)の形成等の2次加工を行うので、不良品が2次加工に流れるのを防止し、無駄な工数の削減を図ることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、参考例2と実施の形態を組み合わせることも可能である。
10 光学素子の製造装置
11 断熱プレート
12 筐体
13 保持部材
13 保持部材
13 保持部材
14 成形室
15 搬入シャッタ
16 搬出シャッタ
17 型セット
18 ベースブロック
19 ベースブロック
20 加熱ステージ
21 プレスステージ
22 冷却ステージ
23 ガラス素材
24 上プレート
24 上プレート
24 上プレート
25 下プレート
25 下プレート
25 下プレート
26 エアシリンダ
26 エアシリンダ
26 エアシリンダ
27 作動ロッド
27 作動ロッド
27 作動ロッド
28 上カートリッジヒータ
28 上カートリッジヒータ
28 上カートリッジヒータ
29 下カートリッジヒータ
29 下カートリッジヒータ
29 下カートリッジヒータ
30 制御装置
31 中間レンズ
32 下型
32a 成形面
32b 成形面
33 上型
33a 成形面
33b 成形面
34 スリーブ
35 レンズ
35a 光学機能面
35b 光学機能面
35c 鍔部
36 レンズ
40 透過波面測定装置
41 干渉計
42 縞解析装置
43 画像処理用PC
44 表示装置
46 ミラー
47 被検レンズ
48 干渉縞
49 載置台
50 芯取り加工装置
51 ホルダー
52 ダイヤモンドホイール
53 供給管
60 薄膜の形成装置
61 真空室
62 加熱プレート
63 原料
64 ホルダー
65 加熱ヒータ

Claims (3)

  1. 暫定型を用いて光学素子素材を成形する1次工程と、
    前記1次工程で成形された光学素子に対し、外径加工及び反射防止膜の形成の少なくとも一方を行う2次工程と、
    前記2次工程後の光学素子の光学性能を測定する第2の測定工程と、
    測定された前記光学素子の光学性能と設計値との乖離を算出する算出工程と、
    算出された乖離が許容される場合に、前記暫定型を正式型として決定する工程と、
    前記正式型を用いて光学素子素材を予備成形する工程と、
    予備成形された前記光学素子の光学性能を測定する第3の測定工程と、
    前記第3の測定工程後、前記光学素子に対し、外径加工及び反射防止膜の形成の少なくとも一方を行う予備2次工程と、
    前記予備2次工程後、前記光学素子の光学性能を測定する第4の測定工程と、
    決定された正式型を用いて光学素子素材を成形する成形工程と、を有し、
    前記算出工程により算出された乖離が許容されない場合には、前記暫定型を補正して前記1次工程まで戻ることを前記乖離が許容されるまで繰り返し、
    前記第3の測定工程の測定結果と前記第4の測定工程の測定結果とから、前記予備2次工程による光学性能の変化を算出することを特徴とする、光学素子の製造方法。
  2. 請求項1に記載の光学素子の製造方法において、
    さらに、前記2次工程の前に、前記1次工程で成形された前記光学素子の光学性能を測定する第1の測定工程を有し、
    前記第1の測定工程の測定結果と前記第2の測定工程の測定結果とから、前記2次工程による光学性能の変化を算出することを特徴とする、光学素子の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の光学素子の製造方法において、
    前記光学性能の変化は、前記光学素子の屈折率分布及び表面形状の少なくとも一方の変化によるものであり、
    前記光学性能の測定は、透過波面測定法を用いて行われることを特徴とする、光学素子の製造方法。
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