JP4998403B2 - 成形型の劣化判定方法、石英ガラスの成形方法及び成形装置 - Google Patents

成形型の劣化判定方法、石英ガラスの成形方法及び成形装置 Download PDF

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Description

この発明は、加熱された石英ガラスを加圧成形するカーボン製成形型の劣化判定方法と、この判定方法を利用した石英ガラスの成形方法及び成形装置とに関する。
従来、リソグラフィ工程で使用されるフォトマスクや露光装置の投影レンズ等、各種の光学部品の素材などとして、合成石英ガラスの成形体が使用されている(例えば、下記特許文献1、2参照)。
合成石英ガラスの成形体は、例えば、合成石英ガラスのインゴットを所望の大きさに切り出し、カーボン製成形型を用いて高温下で加圧成形することで、所望の大きさや形状に成形されている。
カーボン製成形型は、例えばグラファイト等からなり、上型、下型、及び側板型等から成形空間が形成されている。成型時には、合成石英ガラスのインゴットを成形空間に収容して高温に昇温した後、上型と下型との間でインゴットを加圧する。すると、インゴットが型面で摺動しつつ上下方向に押し潰されて側方に広がるように変形し、インゴットの周囲の一部が型面の側面に到達する。更に、上下面間で加圧を継続すると、インゴットが上下方向に更に押し潰されて周囲が側面で摺動して変形し、インゴットの全ての面が型面の上面、下面、及び側面に密着することで成形が終了する。
特開2004−307264号公報 特開2006−1821号公報
しかしがら、フォトマスク等の光学部品は近年大型化しており、それに伴い、合成石英ガラスの成形体も大型化し、成形型の型面への負荷が増大している。そのため、成形型の型面で劣化が生じ易くなっている。成形型の型面が劣化すると、合成石英ガラスが型面で摺動して変形されるため、成形時に合成石英ガラスに割れなどの成形不良を引き起こし易く、多数回使用した成形型ほど成形不良が生じ易かった。ところが、成形型の型面の劣化の程度は把握し難く、劣化した成形型を適切な時期に交換することができなかった。
そこで、この発明は、成形型の劣化程度を容易に判定することが可能な石英ガラスの成形型の劣化判定方法を提供することを課題とし、そのような劣化判定方法を利用することで、割れなどの不良品の発生を抑えて複数の石英ガラスを成形し易い石英ガラスの成形方法と成形装置とを提供することを他の課題とする。
カーボン成形型では、加熱された石英ガラスを繰り返し成形すると、カーボン成形型の炭化珪素化が起こり、加熱された石英ガラスと直接接触する型面に炭化珪素の層が生じ、動摩擦係数が増加する。そして、この動摩擦係数の増加が成形時に石英ガラスの成形不良を引き起こす原因となっていた。本発明者らは、このような動摩擦係数の増加により成形不良が生じることに着目し、上記課題を解決するに至った。
そこで、この発明の成形型の劣化判定方法は、加熱された石英ガラスを加圧成形するカーボン製成形型の劣化判定方法であり、前記成形型の前記石英ガラスと接する型面の動摩擦係数に基づいて、前記成形型の劣化程度を判定することを特徴とする。
また、この発明の石英ガラスの成形方法は、加熱された石英ガラスをカーボン製成形型内で加圧成形することを繰り返して、複数の前記石英ガラスを成形する方法において、成形後の前記成形型の前記石英ガラスと接する型面の動摩擦係数が予め定められた限界値以上であるか否かを検出し、前記型面の動摩擦係数が前記限界値未満のとき、検出した前記成形型で次の成形を行い、前記型面の動摩擦係数が前記限界値以上のとき、前記成形型の一部又は全部を交換して次の成形を行うことを特徴とする。
更に、この発明の石英ガラスの成形装置は、上面と、下面と、側面とからなる型面を備え、加熱された石英ガラスを前記上面と前記下面との間で加圧することで、前記上面、前記下面、及び前記側面で前記石英ガラスを摺動させて変形させるカーボン製の成形型と、該成形型の何れかの前記型面の動摩擦係数が予め定められた限界値以上であるか否かを検出し、前記限界値以上の場合に、前記成形型を使用不可と判定する劣化判定手段とを備えたことを特徴とする。
この発明の劣化判定方法によれば、成形型の石英ガラスと接する型面の動摩擦係数に基づいて成形型の劣化程度を判定するので、加熱された石英ガラスが加圧されて型面に押し付けられたときに、摺動し難い型面を判定することができる。そのため、この判定方法で劣化程度を判定すれば、成形時に石英ガラスに割れなどが生じ易い程度に成形型が劣化しているかどうかを評価することが容易で、劣化した成形型を適切な時期に交換することが可能である。
この発明の石英ガラスの成形方法によれば、加熱された石英ガラスをカーボン製成形型内で加圧成形することを繰り返して、複数の石英ガラスを成形する際、成形後の成形型の型面の動摩擦係数が予め定められた限界値以上であるか否かを検出し、その結果に基づいて成形型の交換を行うので、複数の石英ガラスを常時良好な摺動性の型面を有する成形型で成形することが可能であり、割れなどの不良品の発生を抑えて複数の石英ガラスを成形し易い成形方法を提供することが可能である。
この発明の石英ガラスの成形装置によれば、加熱された石英ガラスを成形型の型面の上面と下面との間で加圧することで、上面、下面、及び側面で石英ガラスを摺動させて変形させるカーボン製の成形型と、成形型の何れかの型面の動摩擦係数が予め定められた限界値以上であるか否かを検出して、限界値以上の場合に、成形型を使用不可と判定する劣化判定手段とを備えているので、石英ガラスの摺動性が良好な成形型で常時成形することが可能であり、割れなどの不良品の発生を抑えて石英ガラスを成形し易い成形装置を提供することができる。
以下、この発明の実施の形態について、図1乃至図3を用いて説明する。
この実施の形態の石英ガラスの成形装置は、図1に示すように、下型11、上型13、及び側板型14とを組み合わせて構成されるグラファイト製のカーボン成形型10と、図2に示すように、カーボン成形型10を型開きした際に各型11、13、14の型面の劣化を判定する劣化判定部30とを備える。
まず、カーボン成形型10は、下型11と、下型11と離間して対向配置され、加圧部12により下型11側へ加圧される上型13と、上型13と下型11との間の間隙の周囲を囲む側板型14とを備え、これらが組み立てられることで下型11の上面11a、上型13の下面13a、及び側板型14の側面14aからなる型面により、石英ガラス20を成形するための成形空間15が形成されている。
このような構成のカーボン成形型10を用いて、複数の石英ガラスの成形体を成形するには、予め作製された母材を切り出す等により所望の大きさの石英ガラス20を作製し、下型11、上型13及び側板型14により形成された成形空間15内に石英ガラス20を収容して型締めし、加熱及び加圧することで石英ガラス20を徐々に変形して成形する。
成形される石英ガラス20は、特に限定されるものではないが、この実施の形態では、OH基濃度が800ppm〜1200ppmのものを用いる。
成形時には、例えば、収容空間15に石英ガラス20を収容したカーボン成形型10を図示しないチャンバー内で変形可能な温度まで昇温し、加圧部12により上型13を加圧する。成形時の温度及び圧力は適宜選択可能であるが、この実施の形態では、温度は、例えば1600℃〜1750℃とし、圧力は、例えば5×10Pa〜2.5×10Paとしている。
成形を開始すると、図2(b)に実線で示すように、成形空間15内に周囲に空隙を有して配置された石英ガラス20を、下型11の上面11aと上型13の下面13aとの間で加圧する。すると、石英ガラス20は、上下方向に押し潰されつつ下面13aと上面11aで摺動して側方に徐々に広がるように変形し、図2(b)に仮想線で示すように、石英ガラス20の周囲の一部が型面の側面に到達する。
更に、下面13aと上面11a間で加圧を継続すると、石英ガラス20が上下方向に更に押し潰されつつ下面13aと上面11aで摺動すると共に、周囲が側面14aに押し付けられつつ摺動して変形する。そして、石英ガラス20の全ての面が下面13a、上面11a、及び側面14aに密着することで、成形空間15に対応した形状に成形される。その後、冷却して型開きし、石英ガラス20の成形体を取りだすことで、一つの石英ガラス20の成形を終了する。
そして、再度、カーボン成形型10の成形空間15を形成して内部に次の石英ガラス20を収容し、同様に成形することを繰り返すことで、複数の石英ガラス20を成形する。
この成形装置では、前の成形が完了し、次の成形が開始される前の時点で、型開きした状態、或いは、必要に応じてカーボン成形型10の一部又は全部分解した状態で、劣化判定部30により型面11a、13a、14aの劣化を判定する。
劣化判定部30では、カーボン成形型10の石英ガラス20と接する型面11a、13a、14aの動摩擦係数に基づいて、成形型の劣化程度を判定する。ここでは、型面11a、13a、14aの動摩擦係数が予め定められた限界値以上か否かで、カーボン成形型10が成形不良を発生し易い程度に劣化したか否かを判定し、限界値以上のとき、カーボン成形型10を使用不可と判定する。
カーボン成形型10では、加熱された石英ガラス20と直接接触して加圧することで、次式のようなカーボンのケイ化反応が起こり、型面11a、13a、14aの炭化珪素化が進行する。ここで、式中、Cはカーボン成形型10に由来するカーボンであり、SiOは石英ガラス20からの揮発成分である。
(化1) 2C+SiO → SiC+CO ・・・(1)
カーボン成形型10は、層状の構造を有するグラファイトを含むために自己潤滑性を有している。ところが、SiCは立体的な結晶構造であり、グラファイト等に比べて自己潤滑性が低い。そのため、型面11a、13a、14aのカーボンが炭化珪素化し、この量が増加することで、型面11a、13a、14aの動摩擦係数が増加することになる。後述する実施例から明らかなように、型面11a、13a、14aの動摩擦係数と炭化珪素濃度とには相関があり、繰り返し石英ガラスを成形することで、動摩擦係数が増加する。そして、この型面11a、13a、14aは、加熱された石英ガラス20が加圧されることで摺動して変形する部位であるため、動摩擦係数が増加すると、成形時に石英ガラス20が摺動し難くなり、その結果、成形時に割れなどの成形不良が生じ易くなる。それ故、型面11a、13a、14aの動摩擦係数が予め定められた限界値以上か否かで、カーボン成形型10の劣化程度が判定できる。
なお、本発明において成形型の劣化程度を判定するための動摩擦係数としては、型面11a、13a、14aと石英ガラスとの間の動摩擦係数を採用することが適当であるが、石英ガラスの代わりに例えばステンレス球を用い、型面11a、13a、14aとステンレス球との間の動摩擦係数に基づいて劣化程度を判定しても良い。型面11a、13a、14aの炭化珪素化による自己潤滑性の低下は、摩擦対象物が石英ガラスであるかステンレス球であるかによらず同様に生じるため、型面11a、13a、14aの炭化珪素化が進行するとステンレス球との間の動摩擦係数も増大する。したがって予めステンレス球との間の動摩擦係数に関して限界値を定めておけば、カーボン成形型10の劣化程度を判定することができる。
ところで、カーボン成形型10の動摩擦係数を直接に測定することは、例えば、カーボン成形型10を完全に分解し、各種の測定条件を満たすようにした上で測定しなければならないなどの理由で容易でない。特に、大型のカーボン成形型10の場合には直接に動摩擦係数を測定することは困難である。そのため、劣化判定部30では、型面11a、13a、14aの炭化珪素量を測定し、この炭化珪素量に基づいて型面11a、13a、14aの動摩擦係数を推定してもよい。
更に、型面11a、13a、14aの炭化珪素濃度をSEM−EDX測定や化学分析により測定する場合、測定用サンプルを型面11a、13a、14aの一部を破壊して採取する必要がある。即ち、カーボン成形型10の劣化程度の判定を行うために型面11a、13a、14aに傷等が形成されることになる。そのため、この実施の形態の劣化判定部30では、型面11a、13a、14aの表面の電気抵抗値を測定し、この電気抵抗値に基づいて型面11a、13a、14aの動摩擦係数を推定する。
ここでは、カーボン成形型10を構成するグラファイト等のカーボンと、炭化珪素とは電気抵抗値が異なるため、型面11a、13a、14aに炭化珪素が増加することにより、型面11a、13a、14aの表面の電気抵抗値が変化する。後述する実施例から明らかなように、型面11a、13a、14aの表面の電気抵抗値と炭化珪素濃度とには相関がある。そのため、この表面の電気抵抗値により炭化珪素濃度が推定でき、動摩擦係数を推定することができる。
具体的に、この実施の形態の劣化判定部30の構成は、図2に示すように、カーボン成形型10を型開きした状態、或いは、各型11、13、14を分解した状態で、各型11、13、14の型面11a、13a、14aに接触させる探針31を備えた検出部32と、この検出部32の検出値により型面11a、13a、14aの表面の電気抵抗値を取得し、これに基づいてカーボン成形型10の劣化程度を判定し、その結果を表示したり伝達する制御部33とを備えている。
型面11a、13a、14aの表面の電気抵抗値の測定は、動摩擦係数との相関を有する値を測定可能な範囲であれば、適宜な方法で行うことが可能であるが、ここでは、図3に示すような検出部32により、直流4探針法にて行う。各探針31はオスミウム合金製であり、先端半径が200μmであり、4本の探針は1mmの間隔で直線上に配列されている。それぞれの探針31は保持部32aにバネ常数200g/mmの図示しないスプリングにより進退可能に保持されており、各型面11a、13a、14aに対する接触圧が一定に保たれるように構成されている。
そして、測定を実施するには、探針4本を備えた検出部32を各型面11a、13a、14aの表面に接触させ、検出部32全体に200gの荷重を加えた状態で、外側の探針31間に100mAの測定電流を流し、内側の探針31間の電位差Vを測定し、R=V/Iから型面11a、13a、14aの表面の電気抵抗値を測定する。
なお、この実施の形態の劣化判定部30では、各型11、13、14のうち、下型11又は上型13の一方だけの表面の電気抵抗値を測定し、この値に基づいてカーボン成形型10の劣化程度を判定してもよい。下型11又は上型13は側板型14に比べてより多く加熱された石英ガラス20と接触して、より速く劣化され易いためである。
劣化判定部30の制御部33では、このようにして測定された型面11a、13a、14aの表面の電気抵抗値に基づいて型面11a、13a、14aの動摩擦係数を推定し、この動摩擦係数が予め設定されている限界値未満のとき、検出したカーボン成形型10を用いて次の石英ガラス20の成形を行うことを許容し、一方、型面11a、13a、14aの動摩擦係数がその限界値以上のときには、検出したカーボン成形型10を使用不可と判定し、カーボン成形型10の一部又は全部を交換して次の成形を行うための表示や信号を伝達する。
この動摩擦係数の限界値は、その値以上のカーボン成形型10では成形時に石英ガラス20の割れが生じ易くなるという値である。そのため、この限界値を動摩擦係数として設定される必要はなく、そのような動摩擦係数の限界値に相当する量で設定することも可能であり、例えば、動摩擦係数の限界値に対応する炭化珪素量として設定されていてもよく、動摩擦係数の限界値に対応する型面11a、13a、14aの表面の電気抵抗値として設定されていてもよい。
炭化珪素量や表面の電気抵抗値は動摩擦係数に相関を有するため、これらの限界値に到達することで、動摩擦係数の限界値に到達することが推定できるからである。例えば、前述のように石英ガラスを成形する場合には、型面11a、13a、14aにおける炭化珪素量が15原子%未満としてもよく、また、型面11a、13a、14aの表面の電気抵抗値が2.44mΩとしてもよい。
なお本発明において炭化珪素の原子%とはSiC/(Si+C)×100を意味し、その値は珪素の原子%に等しい。これは型面に存在する珪素が全て炭化珪素となっているためである。
この実施の形態では、限界値として電気抵抗値が設定されており、劣化判定部30の検出部32により検出された電気抵抗値が予め設定されている電気抵抗値の限界値に達したとき、動摩擦係数が成形時に石英ガラス20に割れなどが生じ易い程度となり、成形型が劣化しているとして、成形型を使用不可と判定している。そして、そのような限界値に到達することで、カーボン成形型10の交換を実施し、次の石英ガラス20の成形に供する。
以上のようにして石英ガラス20のカーボン成形型10の劣化を判定すれば、カーボン成形型10の石英ガラス20と接する型面11a、13a、14aの動摩擦係数に基づいてカーボン成形型10の劣化程度を判定するので、加熱された石英ガラス20が加圧されて型面11a、13a、14aに押し付けられた際、摺動し難くなった型面11a、13a、14aを判定することができる。そのため、この判定方法で劣化程度を判定すれば、成形時に石英ガラス20に割れなどが生じ易い程度にカーボン成形型10が劣化しているかどうかを評価することが容易で、劣化したカーボン成形型10を適切な時期に交換することが可能である。
しかも、このようにカーボン成形型10の劣化を簡便に評価することで、石英ガラス20を成形する際に成形不良を生じ易いカーボン成形型10の一部又は全部の使用を予め回避することができるため、石英ガラス20の成形体の成形不良を未然に回避することが可能で、歩留まりも向上できる。
また、このような判定方法を利用した成形方法によれば、加熱された石英ガラス20をカーボン成形型10内で加圧成形することを繰り返して、複数の石英ガラス20を成形する際、成形後のカーボン成形型10の型面11a、13a、14aの動摩擦係数が予め定められた限界値以上であるか否かを検出し、その結果に基づいてカーボン成形型10の一部又は全部を交換するので、複数の石英ガラス20を常時良好な摺動性の型面11a、13a、14aを有するカーボン成形型10で成形することが可能であり、割れなどの不良品の発生を抑えて複数の石英ガラス20を成形し易い。
更に、このような判定方法を利用した成形装置によれば、加熱された石英ガラス20をカーボン成形型10の型面11a、13a、14aの下面13aと上面11aとの間で加圧することで、下面13a、上面11a、及び側面14aで石英ガラス20を摺動させて変形させるカーボン成形型10と、カーボン成形型10の何れかの型面11a、13a、14aの動摩擦係数が予め定められた限界値以上であるか否かを検出して、限界値以上の場合に、カーボン成形型10を使用不可と判定する劣化判定部30とを備えているので、石英ガラス20の摺動性が良好のカーボン成形型10で常時成形することが可能であり、割れなどの不良品の発生を抑えて石英ガラス20を成形し易い成形装置を提供することができる。
なお、上記実施の形態は、この発明の範囲内において適宜変更可能である。例えば、上記では、劣化判定部30では、型面11a、13a、14aの表面の電気抵抗値を測定し、この電気抵抗値に基づいて、型面11a、13a、14aの劣化程度を判定したが、型面11a、13a、14aの動摩擦係数が測定可能であれば、直接的に動摩擦係数を測定して劣化程度を判定することは可能である。また、型面11a、13a、14aを破壊することなく炭化珪素量が測定可能であれば、或いは、目的の石英ガラスの成形体に使用時に利用されない部位等が存在するのであれば、型面11a、13a、14aの炭化珪素量を測定して劣化程度を判定することも可能である。これらの場合には、何れも型面の表面の電気抵抗値を測定することなく、劣化程度をの判定を行うことができる。
また、上記では、カーボン成形型10の交換を実施する際、全ての下型11、上型13、及び側板型14の全てのカーボン成形型10を交換する例について説明したが、一部を交換するようにしてもよい。
更に、上記では、一つの成形体の成形が終了する毎に劣化判定部30により劣化を判定したが、複数個の成形体毎に定期的に行うことも可能である。
以下、実施例について説明する。
実施例1
[動摩擦係数]
平面視四角形の成形空間15を有するグラファイト製のカーボン成形型10を用い、石英ガラス20を加熱加圧して成形体を繰り返し作製した。
得られた成形体の大きさは約1m四方の平板であり、成形空間に収容した石英ガラス20の大きさは約500mmφ×約200mmの円柱状で、OH基濃度が約1000ppmであった。
また、成形時の温度は1620℃とし、圧力は1.2×10Paとした。
このような条件で複数の石英ガラス20の成形体を割れが生じるまで繰り返し、割れが生じたカーボン成形型10を得た。
割れが生じたカーボン成形型10について、下型11の型面の動摩擦係数を測定した。動摩擦係数の測定には新東科学(株)製HeidonTYPE14DR型測定器を使用し、ステンレスボールを用いるボールオンディスク法により測定した。測定条件は荷重200g、移動速度600mm/min、移動速度2cmとし、各試料について3回測定を行なってその平均値を求めた。その結果、割れが生じたカーボン成形型の動摩擦係数の平均は1.6であった。そのため、動摩擦係数が1.6以上であると石英ガラス20の成形体に割れが生じ易いことが分かった。
[炭化珪素濃度]
割れを生じたカーボン成形型10の型面の炭化珪素濃度を成形初期の段階から複数回測定し、動摩擦係数との相関を調べた。結果を図4に示す。
この結果から明らかなように、炭化珪素濃度と動摩擦係数とは相関があり、動摩擦係数1.6に対応する炭化珪素濃度は23.6原子%であった。そのため、炭化珪素濃度が23.6原子%以上であると石英ガラス20の成形体に割れが生じ易いことが分かった。
[電気抵抗値]
割れを生じたカーボン成形型10の型面を図3に示す直流4探針法にて成形初期の段階から複数回測定し、炭化珪素濃度との相関を調べた。結果を図5に示す。
この結果から明らかなように、カーボン成形型10の型面の電気抵抗値と炭化珪素濃度とは相関があり、炭化珪素濃度23.6%に対応する電気抵抗値は2.44mΩであった。そのため、電気抵抗値が2.44mΩ以上だと石英ガラス20の成形体に割れが生じ易いことが分かった。
実施例2
同じカーボン成形型10を繰り返し使用して複数の石英ガラス20の成形体を成形し、成形回数が5回、10回、20回、30回の時点で型面表面の電気抵抗値を測定した。結果を図6に示す。
この成形では、成形回数が20回で成形体に割れを生じた。この20回のときに測定された電気抵抗値は2.44mΩであった。従って、電気抵抗値2.44mΩ以上では石英ガラス20の成形体に割れが生じることが確認できた。
この発明の実施の形態のカーボン成形型の一部を示し、(a)は縦断面概略図、(b)は横断面概略図である。 この発明の実施の形態の劣化判定部を示す概略図である。 この発明の実施の形態の劣化判定部の検出部を示す概略図である。 実施例1の結果を示すグラフであり、動摩擦係数と炭化珪素濃度との関係を示す。 実施例1の結果を示すグラフであり、炭化珪素濃度と電気抵抗値の関係を示す。 実施例2の結果を示すグラフであり、成形回数と電気抵抗値との関係を示す。
符号の説明
10 カーボン成形型
11 下型
11a 上面
13 上型
13a 下面
14 側板型
14a 側面
15 成形空間
20 石英ガラス
30 劣化判定部

Claims (7)

  1. 加熱された石英ガラスを加圧成形するカーボン製成形型の劣化判定方法であり、
    前記成形型の前記石英ガラスと接する型面の動摩擦係数に基づいて、前記成形型の劣化程度を判定することを特徴とする成形型の劣化判定方法。
  2. 前記型面の動摩擦係数が予め定められた限界値以上の場合に、前記成形型を使用不可と判定することを特徴とする請求項1に記載の成形型の劣化判定方法。
  3. 前記型面は、上面と、下面と、側面とを備え、前記成形型は、前記石英ガラスを前記上面と前記下面との間で加圧することで、該石英ガラスを前記上面、前記下面、及び前記側面で摺動させて変形させるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の成形型の劣化判定方法。
  4. 前記型面の炭化珪素量を測定し、前記炭化珪素量に基づいて前記型面の動摩擦係数を推定することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の成形型の劣化判定方法。
  5. 前記型面の表面の電気抵抗値を測定し、前記電気抵抗値に基づいて前記型面の動摩擦係数を推定することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の成形型の劣化判定方法。
  6. 加熱された石英ガラスをカーボン製成形型内で加圧成形することを繰り返して、複数の前記石英ガラスを成形する方法において、
    成形後の前記成形型の前記石英ガラスと接する型面の動摩擦係数が予め定められた限界値以上であるか否かを検出し、
    前記型面の動摩擦係数が前記限界値未満のとき、検出した前記成形型で次の成形を行い、
    前記型面の動摩擦係数が前記限界値以上のとき、前記成形型の一部又は全部を交換して次の成形を行うことを特徴とする複数の石英ガラスの成形方法。
  7. 上面と、下面と、側面とからなる型面を備え、加熱された石英ガラスを前記上面と前記下面との間で加圧することで、前記上面、前記下面、及び前記側面で前記石英ガラスを摺動させて変形させるカーボン製の成形型と、
    該成形型の何れかの前記型面の動摩擦係数が予め定められた限界値未満であるか否かを検出し、前記限界値以上の場合に、前記成形型を使用不可と判定する劣化判定手段とを備えたことを特徴とする石英ガラスの成形装置。
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