JP5294174B2 - 構造物 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、シート部材を有する構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、野球やテニス等の競技、コンサート及び演劇等のイベントを、大きな空間を有する大規模構造物内で行うことがある。このような構造物としては、例えば特許文献1に開示されているように、雨天等に対応できるように屋根を持ったものが知られている。この屋根は、複数の移動パネルを組み合わせることで構成されており、これら移動パネルを移動させて屋根の開閉が可能となっている。
【特許文献1】 特開2004−52322号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、特許文献1の構造物のように複数の移動パネルで開閉式の屋根を構成することで利便性は向上できるが、移動パネルのような板状の部材は重くなりがちで、屋根の重量が増加し、構造物の全体に亘って大規模な補強が必要となる。その結果、構造物のコストが高騰してしまう。
【0004】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、利便性が高い構造物を低コストで提供できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、第1の発明では、シート部材と、上記シート部材を支持する支持部と、上記シート部材を所定方向に案内する案内部と、上記シート部材を動かす駆動装置とを備え、上記シート部材は、建物の屋根を構成するように配置されており、上記駆動装置により、上記建物の内部空間を覆う状態と、開放する状態と、これら両状態の間の状態とを形成するように動くものであり、上記建物の内部空間を開放する状態にあるときに上記建物の外側で外部屋根を構成するように配置され、上記支持部は、上記シート部材の下方に配置される梁部材と、該梁部材に取り付けられて上記シート部材の弛みを調整する弛み調整装置とを有し、上記弛み調整装置は、上記シート部材と上記梁部材との間に配置されて流体の給排によって膨張収縮する膨張部材と、該膨張部材に流体を給排する流体供給装置とを備え、該流体供給装置により流体を上記膨張部材に供給して該膨張部材を膨張させることによって上記シート部材を上記梁部材から離れる方向に押して上記シート部材の弛みを調整する構成とする。
【0006】
この構成によれば、シート部材が支持部に支持された状態で、案内部によって所定方向に案内されて動くようになる。このシート部材を、例えば従来例の屋根の移動パネルに代えて使用すれば、軽量で開閉可能な屋根を構成することが可能になるので、構造物の大規模な補強が不要になる。
【0007】
また、シート部材を駆動装置により動かすことで、建物の屋根を開閉することが可能になる。
【0008】
また、シート部材を建物の外側で外部屋根として有効に利用することが可能になる。
【0009】
第4の発明では、第2の発明において、シート部材は、開放状態にあるときに格納される構成とする。
【0010】
また、例えば、夏場の直射日光が構造体に直接当たるのが回避され、構造体内の温度上昇を抑制することが可能になる。また、冬場の積雪時には、雪がシート部材に積もることになるので、構造体に直接積もるのを抑制することが可能になる。シート部材に積もった雪は、シート部材を案内部により所定方向に動かすことで落とすことも可能になり、構造体から雪を除去する作業が不要になる。
【0011】
また、シート部材が大きく弛まないようすることが可能になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シート部材を基台部に支持した状態で案内部によって所定方向に案内することができるので、構造物の利便性を高めながら、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、実施形態1に係るドーム型建物の斜視図である。
【図2】
図2は、ドーム型建物の屋根を開けた状態の図1相当図である。
【図3】
図3は、図1におけるE−E線断面図である。
【図4】
図4は、図1におけるF−F線断面図である。
【図5】
図5は、シート部材の平面図である。
【図6】
図6は、シート部材を端縁部から見た拡大図である。
【図7】
図7は、シート部材の端部の拡大平面図である。
【図8】
図8は、掴み機構の斜視図である。
【図9】
図9は、掴み機構の側面図である。
【図10】
図10は、ドーム型建物と風向風力計との位置関係を示す図である。
【図11】
図11は、シート部材の動きを制御する制御ブロック図である。
【図12】
図12は、実施形態1の変形例1に係る図8相当図である。
【図13】
図13は、実施形態1の変形例1に係る図9相当図である。
【図14】
図14は、実施形態1の変形例2に係る図3相当図である。
【図15】
図15は、実施形態1の変形例2に係り、シート部材の弛みを調整した状態の図14相当図である。
【図16】
図16は、実施形態1の変形例3に係る図1相当図である。
【図17】
図17は、実施形態1の変形例3に係るドーム型建物の正面図である。
【図18】
図18は、実施形態1の変形例4に係る構造物の斜視図である。
【図19】
図19は、実施形態1の変形例4に係る構造物の正面図である。
【図20】
図20は、実施形態1の変形例5に係る長辺梁部材の部分拡大図である。
【図21】
図21は、実施形態1の変形例6に係る構造物の一部を示す縦断面図である。
【図22】
図22は、実施形態1の変形例7に係る図21相当図である。
【図23】
図23は、実施形態1の変形例7に係り、シート部材を格納した状態を示す図22相当図である。
【図24】
図24は、実施形態2に係る構造物のシート部材を示す斜視図である。
【図25】
図25は、実施形態2に係る構造物の屋根を開放した状態の図24相当図である。
【図26】
図26は、実施形態2に係る構造物の一部を示す縦断面図である。
【図27】
図27は、実施形態2に係る構造物の屋根を開放した状態の図26相当図である。
【図28】
図28は、実施形態2の変形例に係る図24相当図である。
【図29】
図29は、実施形態2の変形例に係る図25相当図である。
【図30】
図30は、実施形態2の変形例に係る図26相当図である。
【図31】
図31は、実施形態2の変形例に係る図27相当図である。
【図32】
図32は、実施形態3に係る長辺梁部材の斜視図である。
【図33】
図33は、実施形態3に係るシート部材の斜視図である。
【図34】
図34は、実施形態3に係る長辺梁部材及びシート部材の断面図である。
【図35】
図35は、実施形態3に係るシート部材の端部の拡大図である。
【図36】
図36は、実施形態3の変形例に係る図35相当図である。
【図37】
図37は、実施形態4に係る長辺梁部材及びシート部材の位置関係を示す図である。
【図38】
図38は、実施形態4に係るシート部材の端部の拡大図である。
【図39】
図39は、実施形態4に係るシート部材の斜視図である。
【図40】
図40は、実施形態4の変形例1の図39相当図である。
【図41】
図41は、実施形態4の変形例1に係るシート部材の端部の拡大図である。
【図42】
図42は、実施形態4の変形例2に係るシート部材及び駆動装置の斜視図である。
【図43】
図43は、実施形態4の変形例2に係るシート部材の端部の拡大図である。
【図44】
図44は、実施形態5に係る構造物の縦断面図である。
【図45】
図45は、実施形態6に係る構造物の斜視図である。
【図46】
図46は、実施形態6に係る構造物の正面図である。
【図47】
図47は、実施形態6に係る構造物の側面図である。
【図48】
図48は、実施形態6の変形例1に係る構造物の図45相当図である。
【図49】
図49は、実施形態6の変形例1に係る構造物の図46相当図である。
【図50】
図50は、実施形態6の変形例1に係る構造物の図47相当図である。
【図51】
図51は、実施形態6の変形例1に係る構造物の平面図である。
【図52】
図52は、実施形態6の変形例2に係る構造物の図45相当図である。
【図53】
図53は、実施形態7に係る図1相当図である。
【図54】
図54は、実施形態7に係る構造物の平面図である。
【図55】
図55は、図54のG−G線断面図である。
【図56】
図56は、実施形態7に係るシート部材を裏側から見た図である。
【図57】
図57は、実施形態7の図3相当図である。
【図58】
図58は、図54のH−H線断面図である。
【図59】
図59は、実施形態7の変形例1に係る図54相当図である。
【図60】
図60は、実施形態7の変形例2に係る図55相当図である。
【図61】
図61は、変形例2の別形態を示す図である。
【図62】
図62は、実施形態7の変形例3に係るシート部材の端部の拡大図である。
【図63】
図63は、実施形態7の変形例3に係るシート部材の分解図である。
【図64】
図64は、実施形態7の変形例4に係るシート部材及び駆動装置を示す図である。
【図65】
図65は、実施形態7の変形例5に係る図63相当図である。
【図66】
図66は、実施形態7の変形例6に係るシート部材の端部及び駆動装置の斜視図である。
【図67】
図67は、実施形態7の変形例6に係るシート部材の端部及び駆動装置の断面図である。
【図68】
図68は、実施形態7の変形例7に係る図3相当図である。
【図69】
図69は、実施形態7の変形例8に係る図3相当図である。
【図70】
図70は、図71におけるI−I線断面図である。
【図71】
図71は、実施形態7の変形例9に係るシート部材の端部の平面図である。
【図72】
図72は、実施形態7の変形例9に係る図3相当図である。
【図73】
図73は、実施形態7の変形例10に係る構造物の部分断面図である。
【図74】
図74は、実施形態7の変形例10に係る構造物の一部を示す平面図である。
【図75】
図75は、実施形態7の変形例11に係るシート部材の平面図である。
【図76】
図76は、実施形態7の変形例12に係る図3相当図である。
【図77】
図77は、実施形態7の変形例13に係るシート部材及び長辺梁部材の上端部の拡大斜視図である。
【図78】
図78は、実施形態7の変形例13に係るシート部材の上端部の斜視図である。
【図79】
図79は、実施形態7の変形例13に係るシート部材の上端部の断面図である。
【図80】
図80は、実施形態7の変形例14に係るシート部材の上端部の斜視図である。
【図81】
図81は、実施形態7の変形例15に係るドーム型建物の側面図である。
【図82】
図82は、実施形態7の変形例16に係る長辺梁部材の構造を示す斜視図である。
【図83】
図83は、実施形態7の変形例17に係る図55相当図である。
【図84】
図84は、実施形態7の変形例18に係る図77相当図である。
【図85】
図85は、シート部材が開いた状態の図84相当図である。
【図86】
図86は、図84におけるP−P線断面図である。
【図87】
図87は、図84におけるQ−Q線断面図である。
【図88】
図88は、実施形態7の変形例19に係る掴み機構の斜視図である。
【図89】
図89は、実施形態7の変形例19に係り、(a)はシート部材を掴み機構で掴む前の状態を示し、(b)はシート部材を掴み機構で掴んだ状態を示す図である。
【図90】
図90は、実施形態8に係る構造物の斜視図である。
【図91】
図91は、実施形態9に係る構造物の斜視図である。
【図92】
図92は、実施形態10に係る構造物の斜視図である。
【図93】
図93は、実施形態11に係る構造物の斜視図である。
【図94】
図94は、実施形態11に係り、シート部材を折り畳んだ状態を示す図である。
【符号の説明】
【0013】
1 ドーム型建物
3 構造物
7 長辺梁部材(支持部)
8 短辺梁部材(支持部)
9 シート部材
10 駆動装置
17 内側レール(案内部)
18 外側レール(案内部)
30 弛み調整装置
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0015】
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係るドーム型建物1である。このドーム型建物1の内部には大きな空間が形成されており、その内部においては、野球やテニス等の各種スポーツ競技をはじめ、コンサート、演劇等のイベントを行うことができるようになっている。
【0016】
ドーム型建物1は、平面視で長方形に近い形状をなしており、側壁2の上部には、開閉式の屋根を構成する構造物3が設けられている。側壁2の内側には、観客用の座席(図示せず)が設けられている。側壁2の外側には、複数の板状補強部5、5、…が側壁2の周方向に間隔をあけて設けられている。各補強部5は、側壁2の外方へ向けて突出し、かつ、上下方向に延びており、その下側へ行くほど外方への突出量が多くなるように形成されている。また、側壁2には、図示しないが、出入口が設けられている。
【0017】
構造物3は、側壁2の向かい合う長辺部同士を繋ぐように、かつ、上方へ湾曲して延びる複数のアーチ状の長辺梁部材7、7、…と、側壁2の各短辺部から上方へ湾曲して延びる複数の円弧状の短辺梁部材8、8、…と、複数のシート部材9、9、…と、シート部材9を駆動する駆動装置10、10、…と、側壁2の外部に屋根を形成するための外部屋根構成部材11とを備えている。
【0018】
シート部材9は、隣り合う長辺梁部材7、7の間、及び隣り合う短辺梁部材8、8の間をそれぞれ覆うように設けられており、各シート部材9は、対応する長辺梁部材7、7及び短辺梁部材8、8に支持されるようになっている。長辺梁部材7及び短辺梁部材8が本発明の支持部である。各シート部材9は、駆動装置10により駆動されて上下方向に移動し、これによって、図2に示すようにドーム型建物1の内部空間を開放する開放状態と、図1に示すように内部空間を覆う閉塞状態と、これら両状態の間の状態とを形成する。また、長辺梁部材7及び短辺梁部材8が上記のように上方へ湾曲しているので、野球等を問題なく行えるようになっている。尚、長辺梁部材7及び短辺梁部材8の形状は任意に設定することができる。
【0019】
長辺梁部材7は、側壁2の長辺部が延びる方向に略等間隔に配置されており、下端部が側壁2の上端部に結合されている。また、短辺梁部材8は、側壁2の短辺部が延びる方向に略等間隔に配置されている。短辺梁部材8の下端部は、長辺梁部材7と同様に側壁2の短辺部の上端部に結合され、上端部は、長辺梁部材7に結合されている。長辺梁部材7の下端部及び短辺梁部材8の下端部は、上記補強部5に対応するように配置されており、長辺梁部材7及び短辺梁部材8にかかる荷重を補強部5で受けることができるようになっている。長辺梁部材7の上部には、上方へ向けて尖った形状のカバー部材12が設けられている。
【0020】
また、長辺梁部材7と短辺梁部材8との隙間には、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)からなる閉塞板14が設けられている。この閉塞板14はFRP以外の材料で構成してもよい。また、閉塞板14の代わりに柔軟なシート部材で隙間を閉塞するようにしてもよい。
【0021】
図3及び図4に示すように、各長辺梁部材7は、ドーム型建物1の外側に位置する外側板部7aと、外側板部7aの幅方向中央部からドーム型建物1内へ向けて延びる中間板部7bと、中間板部7bの内端部に連続し、上記外側板部7aと平行に延びる内側板部7cとを有するH型鋼で構成されている。中間板部7bの中央部には、外側板部7aと略平行に延びるレール取付部材15が固定されている。このレール取付部材15には、外側板部7aと対向する面に、支持板16が固定されている。この支持板16は、外側板部7aと略平行に延びている。支持板16の外側板部7aに対向する面には、内側レール17が固定されている。この内側レール17は、外側板部7aへ向けて突出して該外側板部7aと平行に長辺梁部材7の長手方向に延びている。内側レール17と支持板16とは、レール取付部材15に対し共締めされている。また、長辺梁部材7には、雨水等を受けるための雨水受け部材19が設けられている。この雨水受け部材19は、長辺梁部材7の下端部まで延びており、シート部材9の端部からドーム型建物1の内側に浸入してきた雨水等を下側まで導くことができるようになっている。
【0022】
長辺梁部材7の外側板部7aには、内側レール17と対向する面に外側レール18が固定されている。尚、各長辺梁部材7のシート部材9を支持する部位には、上記したレール取付部材15、支持板16、内側レール17及び外側レール18が設けられている。また、図示しないが、短辺梁部材8におけるシート部材9を支持する部位にも、長辺梁部材7と同様なレール取付部材、支持板、内側レール及び外側レールが設けられている。内側レール17及び外側レール18が本発明の案内部である。
【0023】
図1及び図2に示すように、外部屋根構成部材11は、側壁2の長辺部側と、短辺部側とにそれぞれ設けられている。長辺部側の外部屋根構成部材11は、長辺梁部材7の下端部に連なって側壁2の外方へ向けて延びる上側棒材11aと、上側棒材11aの外端部から下方へ延びる支持棒材11bとを備えている。上側棒材11aの高さは、その下方に人の通行が可能な程度の空間を形成できるように設定されている。図示しないが、各上側棒材11aには、長辺梁部材7の内側レール17及び外側レール18にそれぞれ連なるように、一対のレールが設けられている。これらレールは、上側棒材11aに沿ってその外端部まで延びており、本発明の案内部である。また、短辺部側の外部屋根構成部材11も、長辺部側の外部屋根構成部材11と同様に構成されている。上側棒材11aも本発明の支持部を構成している。
【0024】
シート部材9は、例えばアラミド繊維等の強靱な繊維を編んでなる基材に防水性のある樹脂コーティングを施してなるものであり、移動方向に長い長方形状となっている。シート部材9の表面(ドーム型建物1の外面を構成する面)には、酸化チタン等からなる光触媒層が形成されている。このシート部材9の幅寸法は、十数メートルである。シート部材9の裏面には、スポンジ等からなる吸音材や防音材を設けるようにしてもよい。また、シート部材9は規格化することで低コスト化を図ることができる。また、予備を用意しておくことで、シート部材9が破れたり、汚れたりしても補修や交換を容易に行うことができる。また、シート部材9は複数枚の構成部材を厚み方向に重ね合わせて構成してもよい。
【0025】
シート部材9は、複数枚の構成部材を溶着によってつなぎ合わせてなるものである。各構成部材は、シート部材9の長手方向に延びている。シート部材9の幅方向中央部には、長手方向に延びる補強用ロープ20aが固着されている。シート部材9の幅方向両端部にも、長手方向に延びる補強用ロープ20b、20bがそれぞれ固着されている。シート部材9の幅方向両側は、補強用ロープ20bを囲むようにそれぞれ折り曲げられている。また、シート部材9の長手方向両端部にも、幅方向に延びる補強用ロープ20c、20cが上記ロープ20bと同様にして固着されている。補強用ロープ20a〜20cの代わりにワイヤーを設けてもよい。尚、複数枚の構成部材を縫製によりつなぎ合わせてシート部材9を構成するようにしてもよい。
【0026】
また、シート部材9の幅方向両側には、長辺梁部材7の内側レール17及び外側レール18に支持される支持構造が設けられている。各支持構造は、縦ローラー21、縦ローラー取付部材22、横ローラー23、横ローラー取付部材24及び内側ローラー25(図3及び図4に示す)で構成されている。
【0027】
縦ローラー取付部材22は、シート部材9の長手方向両端部にそれぞれ固定されている。図4に示すように、各縦ローラー取付部材22は、シート部材9を表裏方向から挟む一対の挟持板22a、22aと、挟持板22a、22aからシート部材9の幅方向外方へ突出する一対の支軸22bとを備えている。これら支軸22bは、シート部材9の長手方向に間隔をあけて配置されている。各挟持板22aは、ロープ20bも一緒に挟むように湾曲形成されている。各支軸22bには、縦ローラー21が回転可能に支持されている。縦ローラー21の外周面は、内側レール17の先端部と、外側レール18の先端部とに嵌り、かつ、これら先端部間でレール17、18の延びる方向に転動するように形成されている。縦ローラー21の外周面がレール17、18に嵌ることで、縦ローラー21が内側レール17及び外側レール18から外れないようになっている。
【0028】
縦ローラー取付部材22には、シート部材9の裏側(ドーム型建物1の内側)へ向けて延びる内側ローラー支持部22cが設けられている。この内側ローラー支持部22cには、上記支軸22bと平行に延びる支軸22dが設けられており、この支軸22dに内側ローラー25が回転可能に支持されている。また、図5に示すように、各縦ローラー取付部材22には、シート部材9を駆動するための駆動ワイヤー27が連結されている。これら駆動ワイヤー27は、シート部材9の長手方向に延びている。
【0029】
図3に示すように、横ローラー取付部材24は、シート部材9の長手方向両端にそれぞれ位置する縦ローラー取付部材22、22の間で、シート部材9の長手方向に連なるように複数設けられている。各横ローラー取付部材24は、縦ローラー取付部材22と同様にシート部材9を挟持する一対の挟持板24a、24aと、挟持板24aに連結される連結板24e(図6及び図7にも示す)と、挟持板24a、24aからシート部材9の表裏方向に突出する支軸24bとを備えている。シート部材9の長手方向に隣り合う連結板24eは、支軸24bによって回動可能に連結されており、横ローラー取付部材24はシート部材9の長手方向に延びるチェーン状となっている。
【0030】
横ローラー取付部材24の各支軸24bには、2つの横ローラー23、23が、シート部材9の表側及び裏側にそれぞれ位置するように、かつ、回転可能に支持されている。シート部材9の表側に位置する横ローラー23は、外側レール18に対し、シート部材9とは反対側から接するようになっている。シート部材9の裏側の横ローラー23は、内側レール17に対し、シート部材9とは反対側から接するようになっている。
【0031】
横ローラー取付部材24には、シート部材9の裏側へ向けて延びる内側ローラー支持部24cが設けられている。この内側ローラー支持部24cには、上記内側ローラー支持部22cと同様に、内側ローラー25が回転可能に支持されている。
【0032】
長辺梁部材7の上部には、図8及び図9に示すように、シート部材9を上方に引っ張ってシート部材9の弛みを調整する弛み調整装置30が設けられている。弛み調整装置30は、シート部材9の上端部を掴む複数の掴み機構31と、掴み機構31を連結する連結軸32と、連結軸32を回転駆動する駆動機33とを備えている。掴み機構31は、シート部材9の幅方向に所定の間隔をあけて配置され、長辺梁部材7の上端部に固定されている。また、連結軸32は、シート部材9の幅方向に延びるように配置され、長辺梁部材7の上端部に軸受(図示せず)を介して支持されている。また、駆動機33も、長辺梁部材7の上端部に固定されている。
【0033】
各掴み機構31は、図9にも示すように、本体部34と、本体部34を貫通する主軸35と、本体部34に支持される可動爪36と、可動爪駆動シリンダ37と、可動爪ロック機構38とを備えている。本体部34は、連結軸32と直交する方向に延びる厚肉板状に形成されている。主軸35は、連結軸32の軸線方向に本体部34を貫通しており、本体部34に対し回転しないように固定されている。
【0034】
可動爪36は、本体部34の上部に配置されている。本体部34には、主軸35と平行に延びる支軸34aが回動可能に設けられている。この支軸34aに可動爪36の基端部が固定され、可動爪36は矢印X方向に回動するようになっている。可動爪36の先端側には、シート部材9のロープ20c部分の形状に沿うように窪みが形成されている。また、本体部34における可動爪36の先端側に対応する部分にも同様な窪みが形成されている。
【0035】
可動爪駆動シリンダ37のシリンダ部は、本体部34に取り付けられ、ロッド部は可動爪36に取り付けられている。この可動爪駆動シリンダ37を縮めると、可動爪36が支軸34a周りに上方へ回動して、可動爪36の先端側が本体部34から上方へ離れていき、また、可動爪駆動シリンダ37を伸ばすと、可動爪36が下方へ回動して可動爪36の先端側が本体部34に接近し、このとき、シート部材9の上端部が可動爪36の先端側と本体部34との間に位置していると、図8及び図9に示すように、シート部材9の上端部が掴み機構31によって掴まれた状態となる。また、本体部34には、シート部材9の上端部を可動爪36の先端側と本体部34との間へ案内する案内板部34bが窪みに連続するように設けられている。
【0036】
可動爪ロック機構38は、可動爪36を支持する支軸34aの端部に固定された歯車39と、歯車39の歯に係脱するように揺動可能に本体部34に支持されたロック爪40と、ロック爪40を歯車39の歯に係合する方向に付勢するスプリング41と、ロック爪40を歯車39の歯から離脱する方向に揺動させるロック爪駆動シリンダ42とを備えている。このロック爪40の揺動方向を矢印Yで示す。ロック爪駆動シリンダ42のシリンダ部が本体部34に取り付けられ、ロッド部がロック爪40に取り付けられている。ロック爪駆動シリンダ42を伸ばすと、ロック爪40が歯車39の歯に係合する方向に揺動して該歯に係合したロック状態となる。この状態では、可動爪36の支軸34aが回転不能になり、よって、可動爪36が開き方向に動かなくなる。一方、ロック爪駆動シリンダ42を縮めると、ロック爪40が歯車39の歯から離脱する方向に揺動して可動爪36がフリーとなるロック解除状態となる。上記シリンダ37、42は、図示しない油圧回路に接続される周知の構造のものである。
【0037】
尚、掴み機構31に、シート部材9の端部が接近したか否かを検出するセンサ(図示せず)を設けておき、このセンサによりシート部材9の端部が接近したことを検出したときに、可動爪36を掴み方向に回動させるように構成してもよい。このセンサとしては、例えば光学式のものを用いることができる。また、例えば、シート部材9にロープ等(図示せず)を設けておき、このロープを掴み機構31で掴むようにしてもよい。
【0038】
図8に仮想線で示すように、連結軸32は、隣り合う掴み機構31の主軸35同士を連結するものである。連結軸32の中途部には、ユニバーサルジョイント44が設けられている。また、駆動機33は、連結軸32の終端部に設けられた減速機33aとサーボモーター33bとで構成されている。サーボモーター33bを回転させることにより、掴み機構31を主軸35周りに回動させることができるようになっている。つまり、シート部材9を掴んだ状態の掴み機構31を、サーボモーター33bによってシート部材9を上方へ引っ張る方向(矢印Wで示す)に回動させることで、シート部材9の弛みが調整されて除去されるようになっている。
【0039】
尚、上記弛み調整装置31は、短辺梁部材8の上端部にも設けられている。また、弛み調整装置31を、長辺梁部材7の下端部及び短辺梁部材8の下端部に設けて、シート部材9の下端部を引っ張るようにしてもよい。また、弛み調整装置31は、長辺梁部材7の上下両端部及び短辺梁部材8の上下両端部に設けるようにしてもよい。
【0040】
駆動装置10は、シート部材9毎に設けられており、シート部材9を独立して駆動することができるようになっている。各駆動装置10は、図示しないが、長辺梁部材7の上端部に設けられた上側モーター及び巻き取りリールと、外部屋根構成部材11の上端部に設けられた下側モーター及び巻き取りリールとを備えている。また、図11に示すように、駆動装置10は、制御盤43が有する制御ユニット43aにより制御されるようになっている。上側巻き取りリールには、シート部材9の上側に連結された駆動ワイヤー27が巻き取られるようになっており、下側巻き取りリールには、シート部材9の下側に連結された駆動ワイヤー27が巻き取られるようになっている。駆動装置10によるシート部材9の移動速度は調節できるようになっている。
【0041】
制御ユニット43aには、ドーム型建物1の東側に位置するシート部材9を駆動する東側の駆動装置10、西側の駆動装置10、南側の駆動装置10、北側の駆動装置10の他、操作スイッチ45、複数の風向風力計46が接続されている。さらに、制御盤43はインターネット等の情報伝達網にも接続されており、気象情報等をリアルタイムに得ることができるようになっている。図10に示すように、風向風力計46は、ドーム型建物1の近隣、ドーム型建物1から離れた平野部、山、海上等に設置されている。風向風力計46から出力された風向及び風力は、情報伝達網を介してリアルタイムに制御ユニット43aに入力されるようになっている。制御ユニット43aに入力される気象情報としては、ドーム型建物1の周辺の雨量情報や、建物1から離れた隣接県の雨量情報、竜巻情報、突風情報、台風情報、集中豪雨情報、積雪情報、雪崩情報、気温、湿度、長期の天気予報等がある。そして、制御ユニット43aは、例えば、ドーム型建物1の付近で突風が吹いたことを検出すると、作動中の駆動装置10を停止したり、屋根が開放する方向に駆動装置10を作動させる。
【0042】
また、制御ユニット43aは、開放状態にあるときには、風上に位置するシート部材9を先に上方へ移動させてから、風下側に位置するシート部材9を上方に移動させるようにする。また、風が弱いときや無風状態のときにシート部材9を移動させることで、梁部材7、8にかかる負荷を低減させることが可能になる。風の強さに応じてシート部材9の移動速度を変化させることも可能となっている。
【0043】
また、制御ユニット43aには、情報伝達網により、ドーム型建物1の火災や地震速報、落雷情報、土石流情報等の災害情報も入力されるようになっている。制御ユニット43aは、ドーム型建物1に火災が発生している情報を得た場合には、シート部材9を下方へ動かすようにしてもよいし、上方へ動かすようにしてもよい。
【0044】
このように気象情報や災害情報を得ることで、シート部材9を状況に応じて安全に動かすことができる。
【0045】
尚、気象情報及び災害情報は、無線通信網から得るようにしてもよい。気象情報と災害情報の一方のみを得て、その情報に基づいてシート部材9を動かすようにしてもよい。また、駆動装置10を遠隔操作するようにしてもよい。
【0046】
また、図示しないが、ドーム型建物1には、雨音等の騒音を打ち消すための騒音抑制装置が設けられている。この騒音抑制装置は、長辺梁部材7や短辺梁部材8に設けられたスピーカーと、スピーカーに対し騒音と逆位相の音を出力させるスピーカー駆動部とを備えている。例えば、大粒の雨がシート部材9に当たった場合のように、ドーム型建物1内に雨音が響く状況にあるときに騒音抑制装置を作動させることで、雨音を打ち消す音がスピーカーから出力されて、ドーム型建物1内の騒音を抑制することができるようになっている。尚、スピーカーを配置する場所は梁部材7、8に限られるものではない。
【0047】
次に、上記のように構成されたドーム型建物1のシート部材9を動かす場合について説明する。まず、屋根を閉じた状態から開く場合について説明する。始めに、弛み調整装置30の可動爪36を開き方向に回動させてシート部材9の上端部を弛み調整装置30から外す。次いで、駆動装置10の上側巻き取りリールを緩み方向に回転させると同時に、下側巻き取りリールを巻き取り方向に回転させる。これにより、シート部材9の駆動ワイヤー27が下側の巻き取りリールに巻き取られていき、シート部材9が下方向へ動き出し、屋根が開く。このとき、シート部材9の幅方向両端部に設けられている縦ローラー21と横ローラー23とが、内側レール17及び外側レール18を転動し、さらに、内側ローラー17が支持部材16上を転動する。これにより、シート部材9の両端部が、長辺梁部材7の湾曲形状に沿って案内される。シート部材9の下側は、外部屋根構成部材11の上側棒材11aのレールに案内されて上側棒材11aの先端側まで移動していき、これにより、図2に示すように、側壁2の外方に外部屋根が形成されるとともに、ドーム型建物1の屋根は大きく開放される。短辺側のシート部材9も同様にして下側へ移動して側壁2の外方に外部屋根が形成される。外部屋根の下側は、各種イベントや駐車場として利用できる。
【0048】
次に屋根を閉じる場合には、駆動装置10の上側巻き取りリールを巻き取り方向に回転させると同時に、下側巻き取りリールを緩み方向に回転させる。これにより、シート部材9の駆動ワイヤー27が上側の巻き取りリールに巻き取られていき、シート部材9が長辺梁部材7の湾曲形状に沿って案内されて上方向へ動く。シート部材9の上端部が長辺梁部材7の上端部に達したタイミングで、弛み調整装置30のロック機構38をロック解除状態にして可動爪36を開き、さらに、駆動機33を作動させて掴み機構31を主軸35周りに回動させることにより、可動爪36をシート部材9の上端部に近づけていく。これにより、シート部材9の上端部が案内板部34bにより案内されて、可動爪36の先端側と本体部34の窪みとの間に入り込む。そして、可動爪36を閉じる方向に回動させると、図8及び図9に示すように、シート部材9の上端部が可動爪36と本体部34とで掴まれる。その後、ロック機構39をロック状態にする。しかる後、駆動機33を上記とは反対方向に作動させて、掴み機構31を、シート部材9を上方へ引っ張る方向(図9に矢印Wで示す方向)に回動させる。これにより、シート部材9の弛みが調整される。
【0049】
シート部材9の弛みを調整して張り気味にすれば、風を受けた際のばたつき(フラッタリング)を抑えることができ、シート部材9の耐久性を高めることができる。
【0050】
また、シート部材9は、駆動装置10によって、屋根を閉じた状態から僅かに開いた状態とすることもできる。
【0051】
以上説明したように、この実施形態1によれば、シート部材9を用いて開閉式の屋根を構成したので、屋根を軽量にすることができ、ドーム型建物1への大規模な補強が不要になる。これにより、ドーム型建物1の利便性を高めながら、低コスト化を図ることができる。
【0052】
また、シート部材9毎に駆動装置10が設けられているので、シート部材9は独立して動かすことができるようになっている。すなわち、例えば、長辺方向両側のシート部材9、9のみを開き、それ以外のシート部材9を閉じておくパターンや、その逆のパターンも可能となっている。
【0053】
また、内側レール17及び外側レール18の形状を、シート部材9の中間部を幅方向に引っ張るように湾曲させてもよいし、シート部材9の上側を幅方向に引っ張るように湾曲させてもよい。
【0054】
尚、上記実施形態1では、弛み調整装置30の掴み機構31を主軸35周りに回動させるようにしているが、これに限らず、例えば、図12、13に示す変形例1のように、シリンダ48によって移動させるようにしてもよい。変形例1の弛み調整装置50は、長辺梁部材7の上部に固定されるベース板51と、ベース板51上を摺動する掴み機構52と、上記シリンダ48とを備えている。掴み機構52は、上記実施形態1のものと同様に、本体部53、本体部53に支持される可動爪54、可動爪駆動シリンダ55と、可動爪ロック機構56とを備えている。シート部材9を掴む構造は、上記した実施形態1と同様であるため説明を省略する。ロック機構38は、歯車57と、ロック爪58と、スプリング59と、図示しないロック爪駆動シリンダとを備えており、上記したロック機構38と同様に作動するようになっている。
【0055】
本体部53は、ベース板51に対し、シート部材9の上端部に引張力を与える方向に移動可能に取り付けられている。シリンダ48は、その両端がベース板51と本体部53とにそれぞれ取り付けられている。このシリンダ48を縮めると、掴み機構52がシート部材9を張る方向に移動し、伸ばすと、シート部材9が弛む方向に移動する。この変形例2の弛み調整装置50も、短辺梁部材8に設けることができる。尚、符号53aは、可動爪54を支持する支軸であり、符号53bは、案内板部である。
【0056】
また、図示しないが、弛み調整装置としては、磁石の吸引力を利用したものであってもよい。すなわち、シート部材9の上側の端部に磁性体を設けておき、長辺梁部材7の上端部に電磁石を設けておく。そして、シート部材9の磁性体が電磁石に近づいたときに電磁石に電流を流すと、シート部材9の上側の端部が上方へ引っ張られ、これにより、シート部材9の弛みが調整される。
【0057】
また、シート部材9の上側の端部に棒材等を設けておき、この棒材を掴んで引っ張ることにより、シート部材9の弛みを調整するようにしてもよい。
【0058】
また、例えば、図14、15に示す変形例2のように、シート部材9をドーム型建物1の外方へ押すことによってシート部材9の弛みを調整する弛み調整装置61を設けてもよい。この弛み調整装置61は、長辺梁部材7の内側板部7cに固定されてドーム型建物1の外方へ向けて開放する固定チャンネル部材62と、固定チャンネル部材62の開放側を覆うように形成された可動チャンネル部材63と、これらチャンネル部材62、63の間に設けられた膨張部材64と、膨張部材64に流体を供給する流体供給装置(図示せず)とを備えている。固定チャンネル部材62と可動チャンネル部材63とは、長辺梁部材7に沿うように延びている。可動チャンネル部材63の外面がシート部材9の内面に対向するようになっている。また、膨張部材64はゴムチューブ等で構成されており、流体供給装置にホース(図示せず)を介して接続されている。そして、流体供給装置により、例えば、空気を膨張部材64に供給すると、図15に示すように、該膨張部材64が固定チャンネル部材62内で膨張して可動チャンネル部材63をシート部材9の裏面へ向けて押し付ける。これにより、シート部材9がドーム型建物1の外方へ向けて押されるので、シート部材9の弛みが調整される。この変形例2の弛み調整装置61を長辺梁部材7の下端部や、短辺梁部材8の上端部、下端部に設けてもよい。
【0059】
また、図16、17に示す変形例3のように、ドーム型建物1の外側に複数の支柱67、67、…を設け、各支柱76と長辺梁部材7とをワイヤー68で連結して長辺梁部材7を上側から支えて補強するようにしてもよい。支柱76は、長辺梁部材7に対応するように配置されており、図17に示すように、上側へ行くほどドーム型建物1から離れる方向に傾斜している。各支柱76の上端部には2本のワイヤー68、68が連結されている。一方のワイヤー68は長辺梁部材7の上端部に連結され、他方のワイヤー68は、長辺梁部材7の上下方向中間部に連結されている。ワイヤー68の本数は、任意である。
【0060】
また、図18、19に示す変形例4のように、ドーム型建物1の上方に、短辺方向に延びる複数のトラス構造物70、70、…を設け、このトラス構造物70から延びるワイヤー71、71、…を長辺梁部材7に連結して長辺梁部材7を補強するようにしてもよい。トラス構造物70の長手方向両端部は、支柱72、72によりそれぞれ支持されている。また、トラス構造物70は、長辺梁部材7の直上方に位置付けられている。
【0061】
また、図20に示す変形例5のように、長辺梁部材7や短辺梁部材8は、3本のH型鋼74、75、76と、それらを連結する棒材77、77、…とを組み合わせて構成するようにしてもよい。すなわち、3本のH型鋼74、75、76のうち、2本のH型鋼74、75は、ドーム型建物1の外側において互いに間隔をあけて配置されており、残りの1本のH型鋼76は、内側に配置されている。棒材77は、3本のH型鋼74、75、76と共に、トラス構造を構成するように配置されている。
【0062】
また、図21に示す変形例6のように、2枚のシート部材9、78をドーム型建物1の内外方向に2重になるように配置してもよい。この場合、駆動装置10も、外側のシート部材9用と、内側のシート部材78用とで別々に設ける。外側のシート部材9には、防水性のある素材が用いられている。内側のシート部材78には、外側のシート部材9よりも吸音性のある素材が用いられている。これにより、例えば雨音等をやわらげることが可能になる。また、内側のシート部材78には吸音材を貼り付けるようにしてもよい。この変形例6では、外側のシート部材9のみを下方向に動かせば、ドーム型建物1の屋根を開くことなく外部屋根を形成できる。もちろん、両シート部材9、78を動かせば屋根を開くことができる。シート部材78のみを下方向に動かすようにしてもよい。シート部材9にスポンジ等からなる吸音材や防音材を設けてもよい。
【0063】
また、図22、23に示す変形例7のように、長辺梁部材7の下方にシート部材9を格納する格納部80を設けてもよい。この格納部80内には、上下に間隔をあけて配置された複数の棒材81、81、…がシート部材9の幅方向に延びるように設けられている。駆動ワイヤー27は、これら棒材81、81、…に掛けられて駆動装置10が有する巻き取りリール(図示せず)に連結されている。よって、屋根が閉じている状態(図22に示す)から、矢印で示すように駆動ワイヤー27を巻き取りリールに巻いていくと、図23に示すようにシート部材9が棒材81、81、…に巻き掛けられるようになって格納部80に格納される。尚、図22、23における符号5は、ドーム型建物1の内部にある客席である。
【0064】
また、シート部材9は、晴れた日に展開して乾燥させるようにしてもよい。
【0065】
《発明の実施形態2》
図24〜27は、本発明の実施形態2に係るものであり、この実施形態2に係るドーム型建物1は、シート部材9が折り畳み可能となっている点で実施形態1のものと異なっており、他の部分は実施形態1と同様であるため、以下、実施形態1と異なる部分を詳細に説明する。
【0066】
シート部材9は、幅方向に延びる複数の構成部材9a、9a、…を同方向に延びる連結棒83を介して繋ぐことによって構成されており、構成部材9aの繋がれた部分が起点となって折り畳まれるようになっている。連結棒83は、例えばカーボンファイバー等で構成することができる。また、連結棒83の両端部には、滑車84がそれぞれ取り付けられている。シート部材9の上端部には、上側の巻き取り機構88、88にそれぞれ巻き取られる第1駆動ワイヤー85、85と、下側の巻き取り機構89、89に巻き取られる第2駆動ワイヤー86、86とが連結されている。これら巻き取り機構88、89により駆動装置10が構成されている。
【0067】
長辺梁部材7には、シート部材9の幅方向両端部を案内する案内部としての案内ワイヤー87が該長辺梁部材の長手方向に延びるように設けられている。この案内ワイヤー87の下側は、外部屋根構成部材11の上側棒材11aの外端部まで延びている。案内ワイヤー87には、シート部材9の滑車84が係合している。
【0068】
この実施形態2のシート部材9を、図24及び図26に示す展開状態から図25及び図27に示す格納状態に切り替える場合には、駆動装置10の上側巻き取り機構88を緩み方向に作動させると同時に、下側巻き取り機構89を巻き取り方向に回転させる。これにより、シート部材9が案内ワイヤー87に案内されて下方向へ動き、外部屋根構成部材11の上側棒材11aに対応する部位まで下がり、外部屋根が形成される。このとき、下側の巻き取り機構89に巻き取られる第2駆動ワイヤー86がシート部材9の上端部に連結されているので、シート部材9を折り畳みながら上側棒材11aの外端部に対応する部位まで下げることも可能になり、シート部材9をコンパクトに格納できる。
【0069】
したがって、この実施形態2によっても、シート部材9を用いて開閉式の屋根を構成したので、実施形態1と同様な効果を得ることができる。
【0070】
尚、図28〜図31に示す変形例のように、長辺梁部材7における建物1の内外方向の寸法を下側へ行くほど広くして、長辺梁部材7の下側にシート部材9を格納する格納部91を設けてもよい。シート部材9の幅方向両端部は、長辺梁部材7の外側板部7a及び内側板部7cの間で、該長辺梁部材7により案内されるようになっている。
【0071】
この変形例では、シート部材9を下方向へ動かしていくと、シート部材9が長辺梁部材7により格納部91に案内され、外部屋根を形成することなく、格納部91に格納されることになる。尚、図示しないが、短辺梁部材8に格納部を設けることも可能である。
【0072】
《発明の実施形態3》
図32〜図35は、本発明の実施形態3に係る長辺梁部材7の一部を示すものである。この実施形態3は、シート部材9を磁力によって動かすようにした点で実施形態1のものとは異なっており、他の部分は実施形態1と同様であるため、以下、実施形態1と異なる部分を詳細に説明する。
【0073】
図34にも示すように、長辺梁部材7の外側板部7aには、幅方向の外端部に第1電磁石93が設けられ、この第1電磁石93よりも中間板部7bに接近した部位に第2電磁石94が設けられている。また、長辺梁部材7の内側板部7cには、幅方向の外端部に第3電磁石95が設けられ、この第3電磁石95よりも中間板部7bに接近した部位に第4電磁石96が設けられている。さらに、中間板部7bには、中間電磁石97が設けられている。これら電磁石93〜97は、それぞれ、長辺梁部材7の長手方向に並ぶように複数個配置されており、図示しないが、制御装置に接続されて所定タイミングで磁極が切り替えられるようになっている。
【0074】
一方、図33に示すように、シート部材9の幅方向両端部には、複数の永久磁石98がシート部材9の長手方向に並ぶように配設されている。図35に示すように、この永久磁石98は、シート部材9を挟むように配置されるL型部材99、99によりシート部材9に固定されており、図34に示すように、電磁石93〜97で囲まれた空間に配置されるようになっている。
【0075】
制御装置によって電磁石93〜97に流れる電流をコントロールすることで、永久磁石97がどの電磁石93〜97にも接触しない状態で保持される。そして、電磁石93〜97の磁極を切り替えることで、リニアモーターの原理によってシート部材9が長辺梁部材7の長手方向に沿って動く。これにより、シート部材9を展開状態と開放状態とに切り替えることが可能になる。長辺梁部材7は本発明の支持部であり、電磁石93〜97が案内部である。
【0076】
したがって、この実施形態3によっても、シート部材9を用いて開閉式の屋根を構成したので、実施形態1と同様な効果を得ることができる。
【0077】
尚、図36に示す変形例のように、シート部材9の端部に設けられたロープ20cを省略してもよい。
【0078】
《発明の実施形態4》
図37は、本発明の実施形態4に係るシート部材9及び長辺梁部材7を示すものである。この実施形態4は、シート部材9に係合するように構成された回転体を回転させることでシート部材9を動かすようにした点で実施形態1のものとは異なっており、他の部分は実施形態1と同様であるため、以下、実施形態1と異なる部分を詳細に説明する。
【0079】
図38及び図39に示すように、シート部材9の幅方向両端部には、長手方向に延びる歯付ベルト100が固定されている。この歯付ベルト100はループ状に連続したものである。一方、長辺梁部材7の下端部には、図示しないが、駆動装置が設けられている。この駆動装置は、歯付ベルト100に噛み合う回転体としての駆動歯車101と、駆動歯車101を回転させるサーボモーター(図示せず)とを備えている。駆動歯車101の回転軸は、シート部材9の幅方向に延びるように配置されている。また、長辺梁部材7の上端部及び上下方向中間部の複数箇所には、図41に示すように、歯付ベルト100に噛み合う従動歯車102が設けられている。これら従動歯車102の回転軸は、駆動歯車101の回転軸と平行に延びており、シート部材9は、従動歯車102によって案内されるようになっている。長辺梁部材7が本発明の支持部であり、駆動歯車101及び従動歯車102が案内部である。
【0080】
駆動装置のサーボモーターを回転させることで、駆動歯車101が歯付ベルト100に噛み合いながら回転し、これにより、シート部材9を動かして屋根を開閉することができる。
【0081】
したがって、この実施形態4によっても、シート部材9を用いて開閉式の屋根を構成したので、実施形態1と同様な効果を得ることができる。
【0082】
尚、図40、41に示す変形例1のように、シート部材9の表面及び裏面に歯付ベルト104、105をそれぞれ設けてもよい。長辺梁部材7には、表側及び裏側の歯付ベルト104、105にそれぞれ噛み合う表側及び裏側駆動歯車106、107が設けられており、これら駆動歯車106、107は同期して回転するようになっている。また、長辺梁部材7には、表側及び裏側歯付ベルト104、105にそれぞれ噛み合う複数の表側及び裏側従動歯車108、109が設けられている。表側駆動歯車106を矢印A方向に回転させ、裏側駆動歯車107を矢印A方向に回転させると、シート部材9は上方に動き、表側及び裏側駆動歯車106、107を矢印B方向に回転させると、シート部材9は下方向に動くようになっている。この場合、歯付ベルト104、105はループ状に形成しなくてもよい。
【0083】
また、図42、43に示す変形例2ように、シート部材9を表側及び裏側スプロケット111、112で動かすようにしてもよい。シート部材9の幅方向両端部には、ローラーチェーン113が取付板110によって固定されている。表側及び裏側スプロケット111、112を支持する支軸114、115は、長辺梁部材7に取り付けられており、これら支軸114、115には、歯車116、117がそれぞれ設けられている。これら歯車116、117には、歯付ベルト118が巻き掛けられている。また、一方の支軸115にサーボモーターの出力軸119が連結されている。したがって、サーボモーターの回転力は歯車117から歯付ベルト118を介して他方の歯車116に伝達され、これにより、表側及び裏側スプロケット111、112がローラーチェーン113に噛み合いながら同期して回転する。よって、シート部材9を動かすことができる。
【0084】
《発明の実施形態5》
図44は、本発明の実施形態5に係る構造物120を示すものである。この実施形態5の構造物120は、既存の屋根の無い野球場施設Aに設置可能に構成されている点で、実施形態1のもの異なっており、他の部分は同じであるため、以下、実施形態1と異なる部分について詳細に説明する。
【0085】
すなわち、構造物120の下部には基礎121が設けられている。この基礎121は、野球場施設Aの周囲を囲む環状をなしており、地中杭122の上端部に結合されている。基礎121の内部には空洞部123が設けられており、この空洞部123には店舗や事務所等の施設が設けられている。また、基礎121には、空洞部123への出入口(図示せず)が設けられており、この出入口を介して野球場施設Aにも出入りできるようになっている。
【0086】
また、構造物120は、実施形態1の構造物1と同様に構成されており、シート部材9により屋根が開閉できるようになっている。このものでは、屋根を開けた状態で、シート部材9を折り畳むようにして外部屋根が形成されるようになっている。
【0087】
したがって、この実施形態5によっても、シート部材9を用いて開閉式の屋根を構成したので、実施形態1と同様な効果を得ることができる。
【0088】
尚、この構造物120は、野球場施設以外にも各種競技施設等に設置することができる。
【0089】
《発明の実施形態6》
図45は、本発明の実施形態6に係る構造物130を示すものである。この実施形態6の構造物130は、建物等の構造体に別に設置するように構成されている点で、実施形態1のもの異なっている。
【0090】
すなわち、構造物130は、図46及び図47にも示すように、既存の戸建て住宅Bの屋根を覆うように配置される2枚のシート部材9、9と、各シート部材9を動かす駆動装置131と、シート部材9及び駆動装置131を支持する複数の支柱132と、これら支柱132を連結する連結材133とを備えている。支柱132は、住宅Bを取り囲むように互いに間隔をあけて配置され、下端部が地中に埋め込まれている。連結材133は略水平に延びている。また、この住宅Bは切妻屋根となっているが、他の形の屋根であってもよい。
【0091】
シート部材9は、無端状に繋がっており、幅は住宅Bの屋根の幅よりも若干広く設定されている。また、シート部材9の長さは、屋根の棟部から一方の軒部までを覆うことができるように設定されている。
【0092】
駆動装置131は、屋根の軒部側において該軒部の延びる方向に長く延びる軒側ローラー134と、棟部側において軒側ローラー134と平行に延びる棟側ローラー135と、棟側ローラー135を回転駆動するサーボモーター136とを備えている。軒側ローラー134及び棟側ローラー135の両端部は支柱132に対し回転可能に支持されている。また、棟側ローラー135と支柱132との連結部分には、シート部材9の弛みを調整するための弛み調整装置129が設けられている。この弛み調整装置129は、棟側ローラー135を軒側ローラー134に接離する方向に移動可能に構成されている。
【0093】
軒側ローラー134及び棟側ローラー135には、電熱線等の発熱体を有するヒーターが内蔵されており、外周面が加熱されるようになっている。屋根の他方の軒部側にも同様な駆動装置が設けられている。棟側ローラー135の回転速度は任意に調節できるようになっている。尚、軒側ローラー134を回転駆動するようにしてもよいし、軒側ローラー134及び棟側ローラー135の両方を回転駆動するようにしてもよい。
【0094】
一方のシート部材9は、屋根の一方の軒部側に位置する軒側ローラー134及び棟側ローラー135に巻き掛けられ、また、他方のシート部材9は、屋根の他方の軒部側に位置する軒側ローラー134及び棟側ローラー135に巻き掛けられている。支柱132が本発明の支持部であり、軒側ローラー134及び棟側ローラー135が本発明の案内部である。また、シート部材9、9の棟部側は、カバー部材137で上方から覆われるようになっている。このカバー部材137には、下方へ向けて放熱する放熱器が設けられている。
【0095】
この実施形態6の構造物130を設置することで、例えば、降雪時に、駆動装置131を作動させてシート部材9をその表側の部分が下方向へ動くように循環駆動すると、シート部材9上に積もった雪が軒側ローラー134に対応する部分まで来たときに軒下に落ちる。これにより、屋根の除雪作業が不要になり、利便性が向上する。
【0096】
また、軒側ローラー134及び棟側ローラー135のヒーターと、カバー部材137の放熱器とにより、シート部材9を循環駆動しながら加熱することができるので、シート部材9が凍りつくのを抑制できるとともに、シート部材9に氷が貼り付いたままになるのも抑制できる。軒側ローラー134及び棟側ローラー135の回転速度は、降雪量が多い場合には、少ない場合に比べて速めるようにする。
【0097】
一方、夏季の炎天下時には、屋根がシート部材9で覆われていることにより、屋根に直射日光が当たらなくなり、屋根の温度上昇が抑制される。その結果、屋内の温度上昇を抑制できる。さらに、シート部材9を循環駆動することで、屋根の上方で空気が攪拌されて屋根上の高温の空気を逃がすことができる。これらのことにより、住宅Bの快適性を向上させることができる。
【0098】
また、シート部材9で住宅Bの壁を覆うようにしてもよい。
【0099】
したがって、この実施形態6によれば、建物Bの快適性を向上させる場合に、シート部材9を有する構造物130を用いているので、構造物130を軽量にすることができる。これにより、建物Bへの大規模な補強が不要になり、低コスト化を図ることができる。また、除雪作業が不要になるので、住宅Bの利便性を高めることができる。
【0100】
尚、図48〜図52に示す変形例1のように、構造物130を学校の校舎や病院等のいわゆる陸屋根の建物Cに設置するようにしてもよい。この変形例1ではシート部材9が1枚であり、また、駆動装置140は、陸屋根の長手方向両端部にそれぞれ配置された第1及び第2ローラー141、142と、これらローラー141、142の間に配置された第3及び第4ローラー143、144と、第1ローラー141を回転駆動するサーボモーター145とを備えている。また、第3ローラー143が他のローラー141、142、144に比べて若干高い位置に配置されている。これにより、シート部材9の上面には、第3ローラー143から第1ローラー141側へ向けて下降する勾配が形成されるとともに、第3ローラー143から第2ローラー142側へ向けても同様な勾配が形成されることになる。この変形例1においても、弛み調整装置146が設けられている。
【0101】
また、図52に示す変形例2のように、支柱132及び連結材133を省略して、駆動装置140を陸屋根に取付部材147、147、…を介して取り付けるようにしてもよい。この変形例2では、取付部材147が本発明の支持部である。
【0102】
また、構造物130は、建物Bの建築時に同時に設置するようにしてもよい。
【0103】
《発明の実施形態7》
図53、54は、本発明の実施形態7に係るドーム型建物150を示すものである。以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0104】
この実施形態7のドーム型建物150には、側壁2の長辺部の上部、及び短辺部の上部に、それぞれ、シート部材9を格納するための格納庫151が設けられている。
【0105】
図55に示すように、長辺側の格納庫151の底部には、長辺梁部材7に連結されて外方へ延びるフレーム153が設けられている。このフレーム153には、ドーム型建物1の長辺方向に延びる回転軸154を有する巻き取りドラム155が支持されている。また、フレーム153には、巻き取りドラム155を回転駆動するための減速機付きサーボモーター156が取り付けられている。さらに、フレーム153には、シート部材9の歯付ベルト(後述する)に噛み合う歯車157と、歯車157を回転駆動するサーボモーター158とが設けられている。また、フレーム153には、シート部材9を歯車157に押し付けるためのテンション調整用アイドルプーリー159、159が設けられている。
【0106】
格納庫151内には、歯車157と巻き取りドラム155との間のシート部材9(図55に仮想線で示す)の傾斜角度を計測するための一対のセンサ161、161が設けられている。これらセンサ161、161はシート部材9に光を照射し、シート部材9から反射した光を検出することで、センサ161とシート部材9との離間距離を計測するように構成された周知のものである。2つのセンサ161、161の光をシート部材9の長手方向に離れた部位に照射することで、それら照射点の位置関係を検出でき、これにより、歯車157と巻き取りドラム155との間のシート部材9の傾斜角度を算出できるようになっている。この傾斜角度は、巻き取りドラム155が巻始めの状態にある場合(α1で示す)と、巻き終わりにある場合(α2で示す)とで異なることになる。
【0107】
ここで、巻き取りドラム155が巻始めにある状態と、巻き終わりにある状態とで巻き取りドラム155の回転数を同じにしていると、径が大きくなっている分、巻き終わりの方がシート部材9の巻き取り速度が速くなってしまう。
【0108】
つまり、歯車157と巻き取りドラム155との間のシート部材9の傾斜角度を算出することで、シート部材9をどのくらい巻いているか検出して、巻き取りドラム155及び歯車157の回転速度を、シート部材9の巻き取り速度が一定となるように調整することが可能になっている。尚、巻き取りドラム155を回転させる際のトルクを検出して、このトルクに基づいて巻き取りドラム155及び歯車157の回転数を制御してもよい。
【0109】
尚、側壁2の短辺側にも同様に構成された巻き取りドラム155等が設けられている。
【0110】
また、格納庫151の壁部には、通風孔を設けるのが好ましい。これにより、シート部材9が濡れている場合に、該シート部材9を乾燥させることが可能になる。
【0111】
図56及び図57に示すように、シート部材9の幅方向両端部の表側及び裏側には、それぞれ長手方向に延びる補強ベルト163、163が固定されている。これら補強ベルト163、163の長さは、シート部材9の長手方向の寸法よりも長く設定されている。シート部材9の裏側の補強ベルト163には、長手方向に延びる歯付ベルト164が固定されている。歯付ベルト164の長さもシート部材9の長手方向の寸法よりも長く設定されている。
【0112】
図57に示すように、長辺梁部材7の中間板部7bには、シート部材9の幅方向端部を裏側から支持する内側レール165が取り付けられている。また、長辺梁部材7の外側板部7aには、シート部材9の幅方向端部を表側から支持する外側レール166が取り付けられている。内側レール165には、シート部材9の歯付ベルト164が摺接する摺接部材167が長手方向両端に亘って設けられている。また、内側レール165には、歯付ベルト164の側面に対向するように突出して長辺梁部材7の長手方向に延びるベルト脱落防止部168が設けられている。歯付ベルト164がシート部材9の幅方向に引っ張られた際に歯付ベルト164の側面がベルト脱落防止部168に当接することで、歯付ベルト164が内側レール165から脱落するのを防止できるようになっている。また、外側レール166には、表側の補強ベルト163に摺接する摺接部材169が上記摺接部材167と同様に設けられている。これら摺接部材167、169及びベルト脱落防止部168は、硬質樹脂材で構成されている。
【0113】
尚、内側レール165及び外側レール166は、上側へ行くほど互いに離れるように形成してもよい。こうすることで、シート部材9を上方向に動かしていったときに、シート部材9の上側を張ることができる。また、内側レール165及び外側レール166の上下方向中間部を他の部分に比べて互いに離すようにしてもよい。
【0114】
図58に示すように、長辺梁部材7の上端部には、シート部材9の歯付ベルト164に噛み合う歯車170と、歯車170を回転駆動する減速機付きサーボモーター171とが、シート部材9に対応して設けられている。このサーボモーター171は、上記サーボモーター156、158と連動するようになっている。これら歯車170及びサーボモーター171と、上記巻き取りドラム155と、サーボモーター156と、歯車157と、サーボモーター158とで、駆動装置が構成されており、この駆動装置により、シート部材9を上下方向に動かすことができるようになっている。
【0115】
シート部材9の上側に位置する補強ベルト163の端部には、台車173が連結されている。長辺梁部材7には、台車173を長辺梁部材7に沿って下側へ案内するレール174が設けられている。このレール174は、長辺梁部材7の下側まで延びている。この台車173によって補強ベルト164に対し下側への引っ張り力を作用させて、歯付ベルト164を歯車170に巻き付けておくことが可能になる。
【0116】
この実施形態7では、屋根を開くと、シート部材9を格納庫151内で巻き取って格納することができる。
【0117】
この実施形態7によっても、シート部材9を用いて開閉式の屋根を構成したので、実施形態1と同様な効果を得ることができる。
【0118】
また、シート部材9を格納する前に、例えばエアー吹き付け装置(図示せず)から吹き出すエアーを利用して、シート部材9の表面側にあるゴミや埃等を吹き飛ばすようにしてもよい。
【0119】
また、シート部材9の下側は網状にしてもよい。これにより、シート部材9で屋根を閉じた状態にしているときに、ゴミ等がシート部材9の表面を伝って下側へ落ちた際に、網状の部分からシート部材9の下方へ落下させることができ、シート部材9の表面にゴミ等が溜まり難くなる。
【0120】
尚、図59に示す変形例1のように、長辺梁部材7に沿って動くシート部材9の上端部と、短辺梁部材8に沿って動くシート部材9上端部とを突き合わせるようにしてもよい。これらシート部材9の上端部は、移動方向に対し傾斜して延びるように形成してもよいし、移動方向に対し直交して延びるように形成してもよい。
【0121】
また、図60に示す変形例2のように、シート部材9には、幅方向に延びる複数の骨177、177、…を設けるようにしてもよい。この変形例2では、格納庫151がドーム型建物150の内側に配置されている。骨177は、シート部材9の長手方向に間隔を開けて配置されている。
【0122】
また、巻き取りドラム155の上方には、シート状のクッション材178を格納する格納庫180が設けられている。この格納庫180には、クッション材178を巻き取るドラム179が設けられており、このドラム178は、図示しない駆動装置により、巻き取りドラム155と同期して回転するようになっている。そして、シート部材9を巻き取る際に、クッション材178が巻き取りドラム155に一緒に巻き取られるようになっている。これにより、シート部材9を巻き取った際に骨177の跡がシート部材9に付くのを防止することができる。また、骨177の形状は、ドーム型建物150の外側へ向けて湾曲する形状としてもよい。これにより、シート部材9に張りを持たせることができる。尚、図61に示すように、格納庫180をドーム型建物150の外側に配置してもよい。
【0123】
また、図62に示す変形例3のように、歯付ベルト164の代わりに、独立した複数の歯182、182、…をシート部材9にボルト183によって締結固定するようにしてもよい。この変形例3では、図63にも示すように、シート部材9の幅方向の端部に、長手方向に延びる2本のワイヤー184が幅方向に間隔をあけて固定されている。また、このシート部材9の幅方向の端部は、樹脂製の被覆材185で覆われている。この被覆材185は、シート部材9に一体成形されたものであり、ボルト183の挿通孔185aが形成されている。挿通孔185aは、シート部材9の幅方向について対応するワイヤー184よりも内側に位置している。歯182のシート部材9側には、ボルト183が螺合する雌ねじ孔182aが形成されている。
【0124】
また、図64に示す変形例4のように、シート部材9の表側及び裏側の両方に歯182、182を設け、これら表側及び裏側の歯182、182にそれぞれ係合するベルトタイプの環状部材186、186をサーボモーター等で循環駆動することにより、シート部材9を動かすようにしてもよい。
【0125】
また、図65に示す変形例5のように、シート部材9の幅方向両端部に補強ベルト163の代わりにローラーチェーン189を取り付け、このローラーチェーン189をスプロケット190、190で駆動するようにしてもよい。
【0126】
また、図66、67に示す変形例6のように、シート部材9の歯付ベルト164を省略して、シート部材9の幅方向両端部に、補強ベルト163を貫通する複数の貫通孔192をシート部材9の長手方向に等間隔に形成するようにしてもよい。この変形例では、環状の駆動部材193、193を循環させることで、シート部材9を動かすことができるようになっている。すなわち、図67に示すように、駆動部材193は、シート部材9の表側と裏側の両方に配置されており、表側の駆動部材193には、貫通孔192の間隔に対応して、該貫通孔192に挿通するピン194、194、…が設けられ、裏側の駆動部材193には、ピン194が入る孔部195が設けられている。これらピン194がシート部材9の貫通孔192に入ることで駆動部材193、193とシート部材9とが係合し、駆動部材193、193の循環動作によってシート部材9が動くようになっている。
【0127】
また、図68に示す変形例7のように、長辺梁部材7に、該長辺梁部材7の長手方向に延びる箱状に形成された案内部198を設け、この案内部198の内部にシート部材9の端部を挿入して長辺梁部材7の長手方向に案内するようにしてもよい。案内部198の側板部199には、長辺梁部材7に沿って延びるスリット199aが形成されており、このスリット199aにシート部材9の端部が挿入されるようになっている。シート部材9の端部には、上記実施形態7の変形例3と同様に2本のワイヤー184、184と樹脂製の被覆材185とが設けられている。被覆材185におけるシート部材9の表側及び裏側には、それぞれブロック部材200、200が固定されている。ブロック部材200、200には、シート部材9の表裏方向に延びる支軸201と、この支軸201に回転可能に支持されて、案内部198の内面を転動する2つの側部ローラー202、202と、シート部材9の幅方向に延びる支軸203と、支軸203に回転可能に支持されて、案内部198の内面を転動する表側及び裏側ローラー204、204とを備えている。尚、符号205はリブである。
【0128】
また、図69に示す変形例8のように、案内部198の内部に雨水通路206を形成するようにしてもよい。案内部198の内部には、裏側ローラー204が転動する板部207が設けされている。この板部207には、雨水通路206に連通する排水孔207aが形成されており、シート部材9を伝って案内部198に浸入した雨水を排水孔207aから雨水通路206に流して外部に排水することができるようになっている。
【0129】
また、図70〜図72に示す変形例9のように、シート部材9の端部に、シート部材9の長手方向に延びる2本のワイヤー184、184を配置し、該端部を被覆部材209で覆った後、挟持部材210、210で挟むようにしてシート部材9の端部を補強してもよい。挟持部材210、210の幅方向両側には、シート部材9の表裏方向に延びる支軸211がナット212によりそれぞれ締結固定されている。これら支軸211及びナット212により、挟持部材210、210が一体化されている。各支軸211には、ローラー213、213が回転可能に支持されており、図72に示すように、これらローラー213が変形例8の案内部198の内面を転動するようになっている。また、支軸211の間には、挟持部材210、210を一体化するためのボルト215及びナット216が設けられている。符号214は、スペーサーである。また、図72における符号271は、挟持部材210が摺動する樹脂板である。
【0130】
また、図73、74に示す変形例10のように、長辺梁部材7の案内部198を、長辺梁部材7とは別体にして、シート部材9の幅方向に移動可能にしてもよい。長辺梁部材7には、案内部198が収まる形状の支持部材220が設けられている。支持部材220は、長辺梁部材7の長手方向に延びている。支持部材220の側壁には、シート部材9の端部が挿入されるスリット220aが形成されている。支持部材220の内部には、シート部材9の幅方向に伸縮する流体圧シリンダ221と、案内部198を支持するスライドレール222とが設けられている。そして、シリンダ221により案内部198のシート部材9側が支持されている。また、スライドレール222は、シート部材9の幅方向に延びている。シリンダ221を縮めるとシート部材9の端部がシート部材9の幅方向内側に移動してシート部材9の張りが弱められる一方、シリンダ221を伸ばすとシート部材9の端部がシート部材9の幅方向外側に移動してシート部材9の弛みが調整される。シート部材9を張る際には、図74に示すように上側から下側へ向けて順に張るようにしてもよい。図74の符号223は、シート部材9の幅方向中間部を支持する部材である。
【0131】
また、シート部材9の幅方向両端部を案内するレールの形状を、シート部材9への幅方向の引張力が図74に示すような形態で作用するように形状設定してもよい。
【0132】
また、図75に示す変形例11のように、シート部材9の幅を上側及び下側へ行くほど広くしてもよい。
【0133】
また、図76に示す変形例12のように、案内部198をねじ棒225の回転によってシート部材9の幅方向に移動可能にしてもよい。この変形例2の長辺梁部材7には、上記ねじ棒225がシート部材9の幅方向に延びるように、かつ、回転可能に支持され、さらに、ねじ棒225を回転駆動するサーボモーター226と、案内部198に固定されてねじ棒225に螺合するナット227とが設けられている。このナット272は、図示しないスライドレールによってねじ棒225の軸方向に移動可能に長辺梁部材7に取り付けられている。ねじ棒225をサーボモーター226で回転させると、ナット227がねじ棒225の軸方向に移動し、これにより、シート部材9の弛みを調整することができる。この変形例12では、ねじ棒225を長辺梁部材7の外側板部7aの内側に固定するようにしているが、これに限らず、外側板部7aの外側に固定するようにしてもよい。この場合、サーボモーター226、ナット227及び案内部198と、シート部材9も外側板部7aの外側に位置付けるようにする。
【0134】
また、図77〜図79に示す変形例13のように、シート部材9の上端部の表側及び裏側に、L字型の補強部材230、230を設けるようにしてもよい。シート部材9の上端部には、幅方向に延びる2本のワイヤー231、231が固定されている。図79に示すように、補強部材230、230は、シート部材9の上端部を挟むように配置され、ボルト232及びナット234によって一体化されている。これにより、シート部材9に幅方向に引張力が作用した場合に破れ難くなる。符号235は、ゴム材である。
【0135】
図80に示す変形例14のように、シート部材9の端部にワイヤー239、239、…を設け、さらに、長辺梁部材7の上端部にワイヤー239を巻き取る巻き取り装置(図示せず)を設け、ワイヤー239を巻き取り装置で巻き取ることによってシート部材9を動かすようにしてもよい。
【0136】
また、図81に示す変形例15のように、シート部材9を巻き取ることなく、折り曲げるようにして格納する格納部236をドーム型建物150に設けてもよい。この格納部236は、下方へ湾曲している。格納部236の上部にシート部材9が入る開口が形成されており、この開口は網等によって覆われて鳥等の動物やゴミ等が格納部236に入らないようになっている。シート部材9が入る開口を網で覆うことにより、通気性を確保することができ、シート部材9が濡れた場合に乾燥させることができる。符号235は、シート部材9を下へ引っ張るための部材である。
【0137】
また、図82に示す変形例16のように、長辺梁部材7の外側板部7aと内側板部7bとに2つのラック237、237を互いに対向するように設け、これらラック237、237の間に複数のピニオン238、238、…を配置し、これらピニオン238、238、…をシート部材9に取り付けるようにしてもよい。シート部材9には、ピニオン238、238、…を回転駆動するサーボモーター(図示せず)が設けられている。ピニオン238、238、238を回転させることで、シート部材9を動かすことができるようになっている。
【0138】
また、図83に示す変形例17のように、アイドルプーリー159及び歯車157の両方を巻き取りローラー155よりも上方に位置付けるようにしてもよい。これにより、シート部材9の長手方向中途部が下方へ向けて湾曲しなくなるので、ゴミや雨水等がシート部材9の中途部に溜まり難くなる。この変形例16では、歯車157の上方に、シート部材9を歯車157に押さえるための押さえプーリー162が設けられている。
【0139】
また、図84〜図87に示す変形例18のように、シート部材9の幅方向中間部を下方へ引っ張ることにより、シート部材9の弛みを調整するようにしてもよい。この変形例18のシート部材9の裏面における幅方向中央部には、長手方向に延びるロープ280が設けられている。ロープ280の中途部は、シート部材9の裏面から離れている。長辺梁部材7には、シート部材9の幅方向に延びる小梁281が設けられている。この小梁281には、ロープ280に引っ掛かる形状のフック282がフック駆動装置283を介して取り付けられている。フック駆動装置283は、フック282を倒した状態(図86に仮想線で示す)と起立した状態とに切り替え駆動できるようになっており、シート部材9を動かすときには、フック282をロープ280から外して倒しておき、シート部材9が屋根を閉じたときに起立させてロープ280に引っ掛けることができるようになっている。そして、フック282をロープ280に引っ掛けた状態で倒していくと、ロープ280が引っ張られていき、これにより、シート部材9の幅方向中間部が下方へ引っ張られて弛みが調整される。
【0140】
また、図88及び図89に示す変形例19のように、シート部材9の上側の端部に設けられた幅方向に延びる棒材295を掴み機構290で掴んで引っ張ることにより、シート部材9の弛みを調整するようにしてもよい。掴み機構290は、上側部材291と、下側部材292と、これら部材291、292を駆動する駆動装置(図示せず)とを備えている。上側部材291はシート部材9の幅方向両端に亘るように延びる長尺状をなしている。上側部材291の長手方向両端部はシート部材9が接近してくる側へ向けて突出している。下側部材292も上側部材291と同様に形成されている。上側部材291と下側部材292との基端側同士は、長手方向に延びる軸293により回動可能に連結されており、上側部材291と下側部材292とは先端側が互いに離れる方向に回動するようになっている。また、駆動装置は、上側部材291と下側部材292とを、先端側同士が接近する方向に回動させるようになっている。このものでは、シート部材9が接近してくると、棒材295の幅方向両端部が、上側部材291及び下側部材292の突出部分の間に入り込み、これら部材291、292が互いに離れる方向に回動する。その後、棒材295の長手方向中間部が、上側部材291及び下側部材292の長手方向中間部の間に入り込み、このとき駆動装置を作動させることで、棒材295の全体を上側部材291及び下側部材292で挟むことができる。そして、掴み機構290を図示しない流体圧シリンダ等で上側へ移動させることで、シート部材9の弛みを調整することが可能になる。
【0141】
《発明の実施形態8》
図90は、本発明の実施形態8に係る構造物240を示すものである。この実施形態8の構造物240は、例えば、テニスコートを屋内化するためのものである。以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0142】
構造物240は、平面視で長方形に近い形状をなしており、下部には、出入口241が設けられている。構造物240には、複数の柱241が設けられている。柱241の上部には梁242が連結されている。構造物240には、隣り合う柱241、241の間を塞ぐように複数のシート部材9が設けられている。これらシート部材9のうち、構造物240の長手方向に延びる側壁に位置するシート部材9は、梁242、242の間も塞ぐように建物240の屋根まで延びている。シート部材9及び梁242は、基本的には、実施形態1のものと同様に構成されており、シート部材9は、梁242に設けられたレールにより案内されるようになっている。また、柱241には、梁242が有するレール(図示せず)に連続する柱側レール(図示せず)が設けられている。
【0143】
構造物240の上部及び下部には、シート部材9を格納する格納庫243が設けられている。これら格納庫243は、実施形態7のものと同様に構成されており、図示しないが、シート部材9を巻き取る巻き取りローラーやサーボモーター等を内蔵している。これら巻き取りローラーはサーボモーターによって回転駆動されるようになっている。尚、図90の符号244は、換気口であり、符号245は、カバー部材である。
【0144】
上側の巻き取りローラーを巻き取り方向に回転させ、かつ、下側の巻き取りローラーを緩み方向に回転させると、シート部材9が上側の巻き取りローラーに巻き取られて上側の格納庫243に格納される。これにより、構造物240の屋根と側壁が開放される。このとき、下側の巻き取りローラーには、シート部材9から延びる駆動ワイヤー(図示せず)が連結されており、したがって、下側の巻き取りローラーを巻き取り方向に回転させ、かつ、上側の巻き取りローラーを緩み方向に回転させると、駆動ワイヤーが下側の巻き取りローラーに巻き取られながら、シート部材9が下方向に動いていき、やがて、シート部材9が下側の巻き取りローラーに巻き取られて下側の格納庫243に格納される。このことによっても、構造物240の屋根と側壁が開放される。このとき、上側の巻き取りローラーには、シート部材9から延びる駆動ワイヤーが連結されているので、シート部材9を再び上方向に動かすことが可能である。尚、格納庫243は、上側と下側の一方にのみ設けるようにしてもよい。
【0145】
つまり、この実施形態8では、柱241及び梁242で構成された構造体の屋根及び壁がシート部材9で構成されている。
【0146】
したがって、この実施形態8によっても、シート部材8を用いて開閉式の屋根を構成したので、実施形態1と同様な効果を得ることができる。
【0147】
尚、構造物240は、テニスコートを屋内化する場合以外にも、各種施設を屋内化する場合に用いることができる。
【0148】
《発明の実施形態9》
図91は、本発明の実施形態9に係る構造物250を示すものである。この実施形態9の構造物は、例えば車庫として利用されるものである。
【0149】
すなわち、構造物250は、平面視で長方形に近い形状をなしており、長手方向一側の端壁部が開放されている。また、屋根は開放可能となっている。この屋根には、第1〜第3シート部材251〜253が構造物250の長手方向に並ぶように設けられている。構造物250の内壁面には、第1〜第3シート部材251〜253の幅方向両側をそれぞれ案内する案内部としての第1〜第3レール254〜256が設けられている。これらレール254〜256内には、シート部材251〜253に連結された駆動ワイヤー251a〜253aが通るようになっている。また、構造物250の上部及び下部には、駆動ワイヤー251a〜253aを巻き取る巻き取り装置257、258がそれぞれ設けられている。上側の巻き取り装置257を作動させると、第1〜第3シート部材251〜253が構造物250の上部に移動して図91に示すように、構造物250の屋根を閉じた状態となる。一方、下側の巻き取り装置258を作動させると、第1〜第3シート部材251〜253が構造物250の長手方向一側の端壁部の開放部分を覆うように移動して、該開放部分が覆われる。尚、本発明の支持部は、構造物250の側壁で構成されている。
【0150】
したがって、この実施形態9によっても、シート部材251〜253を用いて開閉式の屋根を構成したので、実施形態1と同様な効果を得ることができる。
【0151】
尚、構造物250は車庫以外にも、各種倉庫等として利用できる。
【0152】
《発明の実施形態10》
図92は、本発明の実施形態10に係る構造物260を示すものである。この実施形態10の構造物260は、実施形態9と同様に車庫として利用されるものである。
【0153】
構造物260は、平面視で矩形の基礎部261と、基礎部261に長手方向に並ぶように設けられた複数のスライド壁262、262、…とを備えている。これらスライド壁262は、上方へ湾曲した梁263と、梁263に取り付けられたシート部材264とで構成されている。スライド壁262の外形は、長手方向一側に位置するものほど小さくなるなるように設定されている。基礎部261が支持部である。
【0154】
基礎部261には、各スライド壁262の下端部を長手方向に案内する案内部としてのレール261a、261a、…が設けられており、スライド壁262は、基礎部261を長手方向に移動可能となっている。外形の小さいスライド壁262を基礎部261の長手方向に移動させて外形の大きいスライド壁262内に収めることで、構造物260の屋根を開放することが可能になる。
【0155】
したがって、この実施形態10によっても、シート部材264を用いて開閉式の屋根を構成したので、実施形態1と同様な効果を得ることができる。
【0156】
尚、構造物260は車庫以外にも、各種倉庫等として利用できる。
【0157】
《発明の実施形態11》
図93は、本発明の実施形態11に係る構造物270を示すものである。この実施形態11の構造物270は、例えばブドウ畑等の傾斜地に設置されるものである。
【0158】
構造物270は、柱271と、梁272、272と、梁272、272の間に配置されるシート部材9と、シート部材9を動かすための駆動装置274とを備えている。梁272には、梁272の延びる方向に案内する案内部としての案内ワイヤー275が設けられている。シート部材9の幅方向両端部には、案内ワイヤー275に吊り下げられる滑車276、276が取り付けられている。この実施形態11では、実施形態2のようにしてシート部材9を動かすことができ、梁272、272の間を開放した状態では図94に示すようにシート部材9が折り畳まれるようになっている。梁272が本発明の支持部である。また、この構造物270は、複数を連結して使用することができるようになっている。
【0159】
したがって、この実施形態11によっても、シート部材を用いて開閉式の屋根を構成したので、実施形態1と同様な効果を得ることができる。
【0160】
尚、本発明は、野球場の屋根やコンサート会場等の大型施設を始め、造船ヤードにおいて臨時に設置される屋根として用いる中型施設、マンションの屋上に設置される開閉式テラス等として用いる小型施設に適用することも可能である。また、プールの屋根として用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0161】
以上説明したように、本発明に係る構造物は、例えば開閉式の屋根を構成する場合に適している。
Claims (1)
- シート部材と、
上記シート部材を支持する支持部と、
上記シート部材を所定方向に案内する案内部と、
上記シート部材を動かす駆動装置とを備え、
上記シート部材は、建物の屋根を構成するように配置されており、上記駆動装置により、上記建物の内部空間を覆う状態と、開放する状態と、これら両状態の間の状態とを形成するように動くものであり、上記建物の内部空間を開放する状態にあるときに上記建物の外側で外部屋根を構成するように配置され、
上記支持部は、上記シート部材の下方に配置される梁部材と、該梁部材に取り付けられて上記シート部材の弛みを調整する弛み調整装置とを有し、
上記弛み調整装置は、上記シート部材と上記梁部材との間に配置されて流体の給排によって膨張収縮する膨張部材と、該膨張部材に流体を給排する流体供給装置とを備え、該流体供給装置により流体を上記膨張部材に供給して該膨張部材を膨張させることによって上記シート部材を上記梁部材から離れる方向に押して上記シート部材の弛みを調整することを特徴とする構造物。
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