JP5294141B2 - 表示素子の製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、液晶表示素子又は電界放出ディスプレイ(FED:フィールドエミッション・ディスプレイ)などフラットパネル表示素子に関する。またこの表示素子の製造方法及び製造装置に関する。
液晶表示素子などの表示素子は、小型、薄型、低消費電力、及び軽量という特徴を有するため、現在、各種の電子機器に広く用いられている。これら表示素子を駆動する駆動回路又は薄膜トランジスタは、一般にステッパと呼ばれる露光装置を用いて製造されている。
しかし、特に液晶表示素子は大型化が進み、第8世代以降になると製造コスト、装置輸
送制限など、今までのスケール・アップ延長線上の技術では対応できないところまで達しており、多くの難問を抱えている。また、製造コスト低減のために、基板サイズ拡大による高効率化に加えて装置コストの低減、ランニング・コストの低減、大型パネルの歩留まり向上が大きな課題になっている。
また、さらには有機ELや電界放出ディスプレイなどが市場に出始めており、これら次世代の表示素子の製造に関しても装置コストの低減、ランニング・コストの低減が大きな課題になっている。
特許文献1は、液晶表示素子の装置コストの低減、ランニング・コストの低減の対策としてロール形式で液晶表示素子を製造する方法を開示する。特許文献1の開示する実施例は、ロール状のベースフィルムを送りだし、そのベースフィルムにカラーフィルタを貼り付け、その後、ローラとローラとの間においてベースフィルム側からマスクのパターンを紫外線で露光している。
特開2005―292420号公報
しかし、ロール状のベースフィルムをロールとロールとの間で露光する場合には、ベースフィルムがたわんでしまい精度良く露光することが困難である。また、位置決め(アライメント)を正確に行わないと正しい位置で露光することも困難である。
そこで、本発明は高精度な駆動回路又は薄膜トランジスタを可撓性の基板に形成する表示素子用の製造装置を提供する。
第1の観点の表示素子の製造装置は、可撓性の長尺基材の上に表示素子を形成する製造装置である。そしてこの製造装置は、長尺基材を所定方向に搬送する搬送ローラと、長尺基材が搬送ローラの外周面に倣う領域を増やす領域増加手段と、長尺基材が搬送ローラの外周面に倣う領域で長尺基材に対して表示素子を構成する材料の液滴を塗布する液摘塗布装置と、を備える。
この構成により、長尺基材が搬送ローラの外周面に倣う領域で液摘塗布装置が長尺基材に液滴を塗布するため、長尺基材がたわんだりしておらずまた搬送ローラの外周面に倣って精度良い面が確保される。このため高精度に長尺基材に対して液滴を塗布することができる。
第2の観点の表示素子の製造装置は、長尺基材を所定方向に搬送する搬送ローラと、長尺基材が搬送ローラの外周面に倣う領域を増やす領域増加手段と、長尺基材が搬送ローラの外周面に倣う領域で長尺基材に対して処理を施す光学装置と、を備える。例えば、光学装置としては、アライメントカメラ、レーザー加工装置、又は露光装置などが挙げられる。
この製造装置は、長尺基材が搬送ローラの外周面に倣う領域で光学装置が長尺基材に処理を施すため、高精度に長尺基材に対して処理を施すことができる。
第3の観点の表示素子の製造装置は、長尺基材を所定方向に搬送する搬送ローラと、長尺基材を搬送ローラの外周面に倣う領域を増やすための領域増加手段と、長尺基材が搬送ローラの外周面に倣う領域で長尺基材に対して所定面積の光を露光する露光装置と、所定面積の光を搬送ローラの外周面に倣うように像面湾曲させる光学部材と、を備える。
この構成により、長尺基材が搬送ローラの外周面に倣う領域は精度よい面が形成されている。そして露光装置は像面湾曲させる光学部材でこの精度良い面に露光できるようにしているため、高精度に長尺基材に対して処理を施すことができる。
本発明の表示素子の製造装置は、高精度に表示素子を製造することができるために、製品の歩留まりが向上し、ランニング・コストの低減及び表示素子自体の価格の低減が可能となる。
本実施形態で説明する表示素子の製造装置は、有機EL素子、液晶表示素子又は電界放出ディスプレイに適用できる装置である。これらのうち代表して、有機EL素子の構造、有機EL素子の製造装置について説明する。
<電界効果型トランジスタの有機EL素子50>
図1(a)は、有機EL素子50の拡大上面図であり、図1(b)及び(c)は、図1(a)のb−b断面図及びc−c断面図である。有機EL素子50は、可撓性のシート基板FBにゲート電極G、ゲート絶縁層I1及びゲート絶縁層I2が形成され、さらにソース電極S、ドレイン電極D及び画素電極Pが形成された後、有機半導体層OSが形成されたボトムコンタクト型である。
図1(b)及び(c)から理解されるように、シート基板FBには隔壁BAが形状されている。(b)に示すように隔壁BA間にゲートバスラインGBLのゲート電極Gが形成されている。そのゲート電極Gの上に絶縁層I1が形成されている。絶縁層I1の上にソースバスラインSBLのソース電極Sが形成されるとともに、画素電極Pと接続したドレイン電極Dが形成される。ソース電極Sとドレイン電極Dとの間には有機半導体層OSが形成される。これで電界効果型トランジスタが完成することになる。また、画素電極Pの上には、(b)及び(c)に示すように、発光層IRが形成され、その発光層IRには透明電極ITOが形成される。
シート基板FBは、耐熱性の樹脂フィルムであり、具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレンビニル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂で光透過機能があるものを使うことができる。
<<実施形態1:有機EL素子の製造装置>>
有機EL素子50を製造するために、有機EL素子の製造装置100は搬送ローラRR上で隔壁BAを形成し、搬送ローラRR上で液滴塗布装置によりゲートバスラインGBL、ソースバスラインSBL、及び画素電極Pなどの配線電極を高精度に形成する。さらに有機EL素子の製造装置100は、搬送ローラRR上でレーザーにより配線電極を加工し、その後発光層IRを液滴塗布装置により形成する。このような有機EL素子50を量産的に製造する有機EL素子の製造装置100を以下に説明する。
図2は、可撓性のシート基板FBに、画素電極P及び発光層IRなど有する有機EL素子50を製造する有機EL素子の製造装置100の構成を示した概略図である。なお、連続した製造装置であるが紙面の都合上上下2段に分けて描いている。
有機EL素子の製造装置100は、ロール状に巻かれた帯状可撓性のシート基板FBを送り出すための供給ロールRLを備えている。供給ロールRLが所定速度の回転を行うことで、シート基板FBが搬送方向FDであるX軸方向に送られる。また、有機EL素子の製造装置100は複数個所に搬送ローラRRを備えており、この搬送ローラRRが回転することによってもシート基板FBがX軸方向に送られる。搬送ローラRRはシート基板FBを両面から挟み込むゴムローラであってもよいし、シート基板FBがパーフォレーションを有するものであれば爪付きの搬送ローラRRであってもよい。これらの搬送ローラRRのうちの一部の搬送ローラRRは搬送方向FDと直交するY軸方向に移動可能である。
シート基板FBは、隔壁形成工程61、電極形成工程62、配線電極の加工工程63、及び発光層形成工程64を通過することで加工処理され、有機EL素子50が完成する。以下はそれぞれの工程を順に従い説明する。
<隔壁形成工程61>
供給ロールRLから送り出されたシート基板FBは、最初にシート基板FBに隔壁BAを形成する隔壁形成工程61に入る。隔壁形成工程61では、インプリントローラ10でシート基板FBを押圧するとともに、押圧した隔壁BAが形状を保つように対向する熱転写ローラ15でシート基板FBをガラス転移点以上に熱する。このため、インプリントローラ10のローラ表面に形成された型形状がシート基板FBに転写される。
インプリントローラ10のローラ表面は鏡面仕上げされており、そのローラ表面にSiC、Taなどの材料で構成された微細インプリント用モールド11が取り付けられている。微細インプリント用モールド11は、薄膜トランジスタの配線用のスタンパーなどを形成している。また、帯状可撓性のシート基板FBの幅方向であるY軸方向の両側にアライメントマークAM(図3を参照)を形成するため、微細インプリント用モールド11は、アライメントマークAM用のスタンパーを形成している。インプリントローラ10の微細インプリント用モールド11は、アライメントマークAMを一定間隔で形成する。
<電極形成工程62>
シート基板FBは、さらにX軸方向に進むと電極形成工程62に入る。
薄膜トランジスタ(TFT)としては、無機半導体系のものでも有機半導体を用いたものでも良い。この有機半導体を用いて薄膜トランジスタを構成すれば、印刷技術や液滴塗布法技術を活用して薄膜トランジスタを形成できる。
また、有機半導体を用いた薄膜トランジスタの内、電界効果型トランジスタ(FET)が特に好ましい。シート基板FB上にゲート電極G、ゲート絶縁層I1とゲート絶縁層I2、ソース電極S、ドレイン電極D及び画素電極Pを形成した後、有機半導体層OSを形成する。
電極形成工程62では、ゲート用の液滴塗布装置20、絶縁層配線用の液滴塗布装置21、さらにソース・ドレイン用及び画素電極用の液滴塗布装置22(ソース・ドレイン用液滴塗布装置22という)を使用する。これらの液滴塗布装置は、インクジェット方式又はディスペンサー方式を採用することができる。またこれらの液滴塗布装置はシート基板FBに対して垂直にZ方向から液滴塗布する方式である。インクジェット方式としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換式、電気熱変換方式、静電吸引方式などが挙げられる。液滴塗布法は、材料の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の材料を的確に配置できる。
なお、液滴塗布法により塗布されるメタルインクなどの液滴の一滴の量は、1〜300ナノグラムである。またメタルインクは、粒子径が約5nmほどの導電体が室温の溶媒中で安定して分散をする液体であり、導電体として、カーボン、銀(Ag)又は金(Au)などが使われる。
ゲート用の液滴塗布装置20はシート基板FBが搬送ローラRRの外周面に倣っている領域においてZ方向からメタルインクを塗布しゲート電極Gを形成する。そして、熱処理装置BKで熱風又は遠赤外線などの放射熱などによりメタルインクを乾燥又は焼成させる。
絶縁層用の液滴塗布装置21は、電気絶縁性インクを搬送ローラRRと搬送ローラRRとの間でシート基板FBに塗布している。絶縁層用の液滴塗布装置21は前述のゲート用の液滴塗布装置20ほどの精度を必要としないので、必ずしもシート基板FBが搬送ローラRRの外周面に沿った領域で電気絶縁性インクを塗布する必要がないからである。その後、熱処理装置BKで熱風又は遠赤外線などの放射熱などによりメタルインクが乾燥又は焼成される。
次に、ソース・ドレイン用の液滴塗布装置22は、シート基板FBが搬送ローラRRの外周面に倣っている領域においてZ方向からメタルインクを塗布しソース電極S、ドレイン電極D及び画素電極Pを形成する。そして、熱処理装置BKで熱風又は遠赤外線などの放射熱などによりメタルインクを乾燥又は焼成させる。
<配線電極の加工工程63>
次に、互いにつながったソース電極Sとドレイン電極Dとを、切断装置30で切断する。ソース電極Sとドレイン電極Dとの切断間隔は薄膜トランジスタの性能を決めるため高精度に切断処理する必要がある。
次に、有機半導体の液滴塗布装置23は、切断処理したソース電極Sとドレイン電極Dとのチャンネル長の間のスイッチング部に有機半導体インクを塗布する。そして、熱処理装置BKで熱風又は遠赤外線などの放射熱などにより有機半導体インクを乾燥又は焼成させる。これらの処理で、図1に示した有機半導体層OSが形成される。有機半導体層OSの形成は絶縁層用の液滴塗布装置21と同様な精度の処理であるため、必ずしもシート基板FBが搬送ローラRRの外周面に沿った領域で有機半導体インクを塗布する必要がない。
以上のようにして、いわゆるフォトリソグラフィ工程を使用しなくても、印刷技術や液滴塗布法技術を活用して薄膜トランジスタ等を形成できる。印刷技術のみや液滴塗布法技術のみでは、インクのにじみや広がりのため精度よく薄膜トランジスタ等ができないが、隔壁形成工程61により、隔壁BAが形成されているためインクのにじみや広がりを防ぐことができる。
<発光層形成工程64>
有機EL素子の製造装置100は、画素電極P上に有機EL素子の発光層IRの形成工程を引き続き行う。発光層形成工程64では発光層用の液滴塗布装置24を使用する。
発光層IRは、ホスト化合物とリン光性化合物(リン光発光性化合物ともいう)が含有される。ホスト化合物とは、発光層IRに含有される化合物である。リン光性化合物は、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、室温においてリン光発光する。
赤色発光層用の液滴塗布装置24Rは、R溶液を画素電極P上に塗布し、乾燥後の厚み100nmになるように成膜を行う。R溶液は、ホスト材のポリビニルカルバゾール(PVK)に赤ドーパント材を1、2−ジクロロエタン中に溶解した溶液とする。
続いて、緑色発光層用の液滴塗布装置24Gは、G溶液を画素電極P上に塗布する。G溶液は、ホスト材PVKに緑ドーパント材を1、2−ジクロロエタン中に溶解した溶液とする。
さらに、青色発光層用の液滴塗布装置24Bは、B溶液を画素電極P上に塗布する。B溶液は、ホスト材PVKに青ドーパント材を1、2−ジクロロエタン中に溶解した溶液とする。
その後、熱処理装置BKで熱風又は遠赤外線などの放射熱などにより発光層溶液を乾燥し硬化させる。発光層IRの形成は塗布範囲が配線電極に比べ広いため、シート基板FBが搬送ローラRRの外周面に沿った領域でR溶液、G溶液及びB溶液を塗布する必要はない。
次に、絶縁層用の液滴塗布装置21は、ポリイミド系樹脂又はウレタン系樹脂の電気絶縁性インクを、後述する透明電極ITOとショートしないように、ゲートバスラインGBL又はソースバスラインSBLの一部に塗布して、ゲート絶縁層I2を形成する。そして、熱処理装置BKで熱風又は遠赤外線などの放射熱などにより電気絶縁性インクを乾燥し硬化させる。例えばゲート絶縁層I2は図1で示した位置に液滴塗布することで透明電極ITOとの絶縁処理を行っている。ゲート絶縁層I2はゲート絶縁層I1と同様に絶縁を確保できるよう大きめに液滴塗布するため、シート基板FBが搬送ローラRRの外周面に倣った領域で電気絶縁性インクを塗布する必要はない。
その後、透明電極用の液滴塗布装置25は、赤色、緑色及び青色発光層の上にITO(Indium Tin
Oxide インジウムスズ酸化物)インクを塗布することで透明電極層ITOを形成する。ITOインクは、酸化インジウム(In23)に数%の酸化スズ(SnO2)を添加した化合物であり、その電極は透明である。また、IDIXO(In23−ZnO)等非晶質の材料を用いて透明電極層ITOを作製してもよい。透明電極層ITOは、透過率が90%以上であることが好ましい。そして、熱処理装置BKで熱風又は遠赤外線などの放射熱などによりITOインクを乾燥し硬化させる。透明電極層ITOの形状は図1に示したように発光層IRの上部に形成され、透明電極層ITOと透明電極層ITOとを結ぶ配線電極も同時に形成する必要があるため、高精度に液滴塗布することが好ましい。このため本実施形態では、シート基板FBが搬送ローラRRの外周面に倣っている領域においてZ方向からITOインクを塗布する。
また、発光層形成工程64で使用する発光層用の液滴塗布装置24及び透明電極用の液滴塗布装置25は、すべてインクジェット方式又はディスペンサー方式を採用することができる。
なお、隔壁形成工程61から発光層形成工程64までを連続して製造しているが、シート基板FBは、隔壁形成工程61から電極形成工程62で一旦終了して巻き取りロールで巻き取りしても良い。一旦巻き取りを行う場合は、形成された電極の保護のため、巻き取り時にクッション層となる合紙等と同時に巻き取ることが好ましい。
図2で説明した有機EL素子の製造装置100は、図1の有機EL素子50を製造することができるが、有機EL素子にさらに正孔輸送層及び電子輸送層を設けられる場合がある。これらの層も印刷技術や液滴塗布法技術を活用し、これらを設けるための工程を有機EL素子の製造装置100に追加すればよい。
<アライメント>
次に有機EL素子の製造装置100で使用されるアライメントについて説明する。
有機EL素子の製造装置100は、速度&アライメント制御部90を有している。速度&アライメント制御部90は、供給ロールRL及び搬送ローラRRの速度制御を行う。また搬送ローラRRは、Y軸方向に移動可能になっており、速度&アライメント制御部90は、搬送ローラRRのY軸方向の移動制御を行う。また、速度&アライメント制御部90は、複数のアライメントカメラCA(CA1〜CA8)からアライメントマークAMの検出結果を受け取り、ゲート用の液滴塗布装置20から透明電極用の液滴塗布装置25までのインクなどの塗布位置とタイミング、切断装置30の切断位置及びタイミングを制御する。
アライメントカメラCAは可視光照明下でCCD又はCMOSで撮像し、その撮像画像を処理してアライメントマークAMの位置を検出してもよいし、レーザー光をアライメントマークAMに照射して、その散乱光を受光してもアライメントマークAMの位置を検出しても良い。
熱転写ローラ15及び熱処理装置BKを経ることにより、シート基板FBがX軸方向及びY軸方向に伸縮する。有機EL素子の製造装置100は、熱転写ローラ15の下流にはアライメントカメラCA1を配置し、熱処理装置BKの後にはアライメントカメラCA2からアライメントカメラCA8を配置する。
アライメントカメラCA1、アライメントカメラCA3、アライメントカメラCA4及びアライメントカメラCA8は、シート基板FBが搬送ローラRRの外周面に倣っている領域においてアライメントマークAMを撮像する。搬送ローラRRと搬送ローラRRとの間のシート基板FBは自重で撓んだりすることがあるため高精度にアライメントマークAMを撮像することが困難であるが、シート基板FBが搬送ローラRRの外周面に倣っている領域では高精度に撮像することができる。
速度&アライメント制御部90は、シート基板FBのX軸方向、Y軸方向、及びθ方向のずれを検出することで、液滴塗布装置20のメタルインクの塗布位置とタイミング、切断装置30の切断位置及びタイミングなどを正確に把握する。
<電極形成工程62の詳細>
図3(a)は代表してゲート用の液滴塗布装置20の側面図である。図3(b)は図3(a)の搬送ローラRR及び小型ローラSRの位置関係を示した上面図である。
ゲート用の液滴塗布装置20、並びにソース・ドレイン用及び電極配線用の液滴塗布装置22(以下、)は、メタルインクを高精度に塗布する必要がある。代表してゲート用の液滴塗布装置20の液滴塗布を説明する。
図3(a)で示すようにシート基板FBが搬送方向FDへ進み搬送ローラRRへ向かうと、シート基板FBが搬送ローラRRに進入する部位にはシート基板FBを適度に押さえるための小型の前部ローラSR1を備え、シート基板FBが搬送ローラRRから排出する部位にも小型の後部ローラSR2を備える。前部ローラSR1及び後部ローラSR2はシート基板FBが搬送ローラRRの外周面に倣う領域を増やしている。図3(b)で示すように小型の前部ローラSR1がシート基板FBを横切るように載置するのに対して、小型の後部ローラSR2はシート基板FBの外縁(端部)を適度に押さえてシート基板FBのたわみを除去している。ゲート用の液滴塗布装置20の塗布したメタルインクが乾いていないため小型の後部ローラSR2はシート基板FBの外縁のみを押さえている。
高精度なアライメントとメタルインクの塗布のため、1つの搬送ローラRR上においてアライメントカメラCA1でアライメントマークAMを撮像し、その撮像結果に基づいてゲート用の液滴塗布装置20がメタルインクを塗布するようにすることが好ましい。搬送ローラRRの外周面の面粗さなどは有機EL素子に要求される精度に応じて決めることが望ましい。
図4(a)は図3(b)の拡大上面図であり、ゲート用の液滴塗布装置20とシート基板FBとの位置関係を示した上面図である。図4(b)はアライメントマークAMと、ゲートバスラインGBL、ソースバスラインSBL及び画素電極Pとの位置関係を示した図である。なお隔壁BAは、理解しやすいように網目で表示してある。図4(a)に示すように一対のアライメントカメラCA1は、シート基板FBの両側のアライメントマークAMを撮像する。その撮像結果は、速度&アライメント制御部90に送られる。
ゲート用の液滴塗布装置20は、Y軸方向に配置されており、複数列のノズル29をY軸方向に配置している。また、X軸方向も複数行のノズル29が配置されている。ゲート用の液滴塗布装置20は、速度&アライメント制御部90から送られてくる位置信号に応じて、ノズル29からメタルインクを塗布するタイミング、メタルインクを塗布するノズル29を切り換える。つまり両側のアライメントマークAMからの相対位置でゲートバスラインGBLの位置情報を得ることができる。またアライメントマークAMを検出するアライメントカメラCA1とゲート用の液滴塗布装置20とは、シート基板FBが搬送ローラRRの外周面に倣っている領域において計測と液滴塗布とを行うため、たわみがなく高精度に処理することができる。
図4(b)に示すように、アライメントマークAMからの相対位置はY軸方向にゲートバスラインGBLとの所定距離PYが隔壁形成工程61で規定されており、X軸方向にソースバスラインSBLとの所定距離PXも隔壁形成工程61で規定されている。また、シート基板FBの送り速度が把握されている。
従って、速度&アライメント制御部90は、一対のアライメントマークAMを撮像することで、X軸方向のずれ、Y軸方向のずれ及びθ回転も検出され、このずれを加味してゲート用の液滴塗布装置20に伝える。図4では、アライメントマークAMが、X軸方向の数行の電界効果型トランジスタの隔壁BAに対して、一対設けられているが、1行の電界効果型トランジスタの隔壁BAに対して、一対のアライメントマークAMを設けても良い。また、スペースがあれば、シート基板FB両側だけでなく中央領域にアライメントマークAMを設けても良い。なお、一対のアライメントマークAMは十字形状を示したが、円形マーク、斜めの直線マークなど他のマーク形状であってもよい。
またソース・ドレイン用の液滴塗布装置22も高精度を要求される処理のために、アライメントカメラCA3とソース・ドレイン用の液滴塗布装置22とは、シート基板FBが搬送ローラRRの外周面に倣っている領域においてアライメントマークAMの検出とメタルインクの塗布とが行われる。
<配線電極の加工工程63の詳細>
図5(a)は小型の後部ローラSR2を備える切断装置30の側面図であり、図5(b)はソース電極Sとドレイン電極Dとがレーザー光LLで切断された様子を示した図である。後部ローラSR2は搬送ローラRRの下方に配置されており、シート基板FBが搬送ローラRRの外周面に倣う領域を大きくなるよう搬送方向を変えている。切断装置30は、フェムト秒レーザーを使用するため、サブミクロンオーダの加工が可能であり、電界効果型トランジスタの性能を決めるソース電極Sとドレイン電極Dと間隔(チャンネル長)を正確に切断する。ソース電極Sとドレイン電極Dと間隔は、3μm程度から30μm程度である。
3μm程度から30μm程度の切断処理は、シート基板FBが搬送ローラRRの外周面に倣う領域において高精度にレーザー加工する。また精度良くレーザー加工するためにアライメントカメラCA4は一対のアライメントマークAMをシート基板FBが搬送ローラRRの外周面に倣う領域で撮像する。これにより、速度&アライメント制御部90は、X軸方向のずれ、Y軸方向のずれ及びθ回転も検出する。速度&アライメント制御部90はこの検出結果から、このずれを加味して切断装置30に伝える。例えば、レーザー加工の位置は、図5(b)に示すアライメントマークAMからソース電極SまでのY軸方向の所定距離SYと、アライメントマークAMからソース電極SまでのX軸方向の所定距離SXとに、アライメントカメラCA4で取得したずれ量を加算して求められる。なお、切断部分には絶縁層用の液滴塗布装置21で形成したゲート絶縁層I1が現れる。
高精度に切断処理する切断装置30としては、切断する金属膜に対し、吸収する波長のレーザーが好ましく、波長変換レーザーで、YAGなどの2,3,4倍高調波がよい。またパルス型レーザーを用いることで熱拡散を防止し、切断部以外の損傷を低減することができる。チタンサファイアレーザーを使ったフェムト秒レーザー照射部は、レーザー光LLを10KHzから40KHzのパルスで照射する。レーザー光LLの光路に配置されるガルバノミラー31が回転することにより、レーザー光LLの照射位置が変化する。レーザー光LLは搬送ローラRRの外周面に対してX方向すなわち水平方向からシート基板FBに入射している。
レーザー光LLはフェムト秒レーザー以外に、炭酸ガスレーザーなどを使用することも可能である。また、レーザー以外にもダイシングソーなどで機械的に切断してもよい。
<<実施形態2>>
実施形態1ではシート基板FBが搬送ローラRRの外周面に倣う領域でアライメントマークAMの検出、メタルインクの塗布及びレーザー加工を行うことで、高精度に有機EL素子50を製造した。本実施形態ではさらに、撥液性加工及び親液性加工を設置することにより、安定した有機EL素子の製造を行うことのできる製造装置を提供することができる。
図6は、親液性形成工程65を隔壁形成工程61と電極形成工程62との間に配置した概念図であり、実施形態1で示した有機EL素子の製造装置100に親液性加工装置70を配置した例である。
親液性加工装置70は、エキシマレーザー又はエキシマキセノンランプ光源XLと、石英ガラスなどで形成されたマスクMKと、マスクMKを透過した紫外線を結像する投影光学レンズLと、トーリックレンズTLとから構成される。トーレックレンズTLは例えばシート基板FBの幅方向に伸びるシリンドリカルレンズであり、マスクMKの像を搬送ローラRRの外周面に倣うように像面湾曲させる役目を有している。つまりトーレックレンズTLは図6に示すように湾曲された像面COIを形成する。
アライメントカメラCA9はシート基板FBが外周面に倣った領域でアライメントマークAMを撮像し、速度&アライメント制御部90はシート基板FBのX軸方向、Y軸方向、及びθ方向のずれを検出する。親液性加工装置70は、検出されたずれ量に基づいて高精度にマスクMKでθ方向の回転及びY方向のずれを調整し、照射タイミングでX方向のずれを修正することができる。
親液性加工装置70は、メタルインクなどを塗布する前に親液性の処理を行うことが望ましい。このため、隔壁形成工程61によって形成された隔壁BAの上面(図4(b)の網目領域参照)以外、すなわち、ゲートバスラインGBL、ソースバスラインSBL及び画素電極Pの溝部分に親液性加工装置70により露光、すなわち親液性加工する。その後、親液性加工されたシート基板FBは電極形成工程62でメタルインクが塗布される。実施形態2では、一度にゲートバスラインGBL、ソースバスラインSBL及び画素電極Pの溝部分に紫外線を照射するが、ゲートバスラインGBL用の親液性加工装置70と画素電極P用の親液性加工装置70とを分けて配置してもよい。
親液性加工装置70は、例えばシート基板FBがエチレン基(−CH−CH−)を有している場合、エキシマレーザー又はエキシマキセノンランプから180nm前後の紫外線を照射することで、ゲートバスラインGBL及びソースバスラインSBLの溝部分に親液性を持たせることができる。
親液性加工装置70は、ゲートバスラインGBL、ソースバスラインSBL及び画素電極Pの溝部の透過形状が形成されたマスクMKに対して、エキシマレーザー又はエキシマキセノンランプ光源XLから紫外線を照射する。ソースバスラインSBLなどの透過形状を通過した紫外線は、投影光学レンズL及びトーリックレンズTLを経てシート基板FBに照射される。紫外線が照射された箇所は親液性を有することになる。
トーリックレンズTLの照射範囲の前後には小型の前部ローラSR1及び小型の後部ローラSR2を備えており、シート基板FBが搬送ローラRRの外周面に倣った面が確保されている。つまり、搬送ローラRRと搬送ローラRRとの間のシート基板FBとは異なり、シート基板FBのテンションが一定でシート基板FBがたわんだりすることがないため、面精度が確保される。マスクMKの像がトーリックレンズTLによって搬送ローラRRの外周面に倣うように像面湾曲させているため、シート基板FBの広い範囲に対して一度に親液機能を形成することができる。
図7は、親液性加工装置70を水平に配置した状態を示す図である。エキシマレーザー又はエキシマキセノンランプ光源XLから照射される紫外線はX方向からシート基板FBを照射する。
搬送ローラRRの上流側には小型の前部ローラSR1が配置されておらず、後部ローラSR2が搬送ローラRRの下方向で且つ搬送ローラRRよりもマイナスX方向に配置されている。このように後部ローラSR2を配置することでシート基板FBが搬送ローラRRの外周面に倣う領域を増大させている。
親液性加工装置70は光学的な処理であるため、メタルインクなど液摘の塗布と異なり、処理面が水平方向でなくてもよい。このため、紫外線は搬送ローラRRの外周面に対してX方向すなわち水平方向からシート基板FBを照射する。
図8は、図7に示した親液性加工装置70をZ方向から見た図であり、親液性加工装置70の像面湾曲と搬送ローラRRを示した図である。
紫外線が搬送ローラRRの外周面に対してX方向からシート基板FBを照射すると、搬送ローラRRの自重によるたわみを考慮しなくても良い。しかし、図8に示すように、特に口径の大きな投影光学レンズLの湾曲した像面(像面湾曲)COIは、光軸方向OXを中心に凸状に膨らみ易い。そこで、像面湾曲COIが平面になるように投影光学レンズL内に複数の光学素子をいれるのではなく、投影光学レンズLの像面湾曲COIに合わせて搬送ローラRRの外周面を凹状にへこませる。
シート基板FBが搬送ローラRRの外周面に倣っているため、シート基板FBも凹状にへこんだ状態になっている。したがってマスクMKの像が焦点深度DOFにシート基板FBの入ることになる。このため図8に示す親液性加工装置70及び搬送ローラRRは、親水性処理を高精度に行うことができる。搬送ローラRRの外周面を凹状にする方がコスト的に安く対応することができる。
図9は、トーリックレンズTLを有しない親液性加工装置72を配置した例である。図9において、親液性加工装置72は、投影光学レンズLの焦点深度DOFを有し、その焦点深度FDは湾曲していないと仮定している。そして親液性加工装置72は、シート基板FBが外周面に倣った領域で露光、すなわち親液加工を施さなければならない。
この親液性加工装置72の投影光学レンズLの焦点深度DOFは数式1で表現できる。
…数式1
ここで、Kは係数でありNAは開口数であり、搬送ローラRRが半径rの円筒形であり、搬送方向FDにおけるマスクMKの露光幅Wである場合、投影光学レンズLの焦点が合った状態で親液機能を施すことができる深度範囲δは以下の数式2で表現できる。
…数式2
図9において、露光幅W1のマスクMKと露光幅W2のマスクMKとを想定する場合、露光幅W1のマスクは焦点深度DOF内で露光することができるが、露光幅W2のマスクMKは一部が焦点深度DOFに入らない。図6で示したトーリックレンズTLが使用されない場合には、搬送ローラRRの半径及び投影光学レンズLの焦点深度DOFを考慮してマスクMKの露光幅Wを決定する。
なおトーリックレンズTLを有していても焦点深度DOFが浅い場合には、マスクMKの露光幅Wを調整しても良い。また、マスクMKの露光幅Wは、図8に示した搬送ローラRRを配置した際にも同様に決定してよい。
実施形態2では親液性加工装置72がシート基板FBに紫外線を照射することでその照射領域が親液性を有するようにしたが、シート基板FBが撥液性を有しており紫外線を照射することでその撥液領域を剥離するようにしてもよい。この技術に関しては例えば米国特許6,828,582などに開示がある。
<<実施形態3>>
図10は搬送ローラRRの形状及び重力変形を示した概念図である。
実施形態1で用いた搬送ローラRRは図10(a)に示すような円柱状の搬送ローラRRを用いていた。しかし、有機EL素子の外形サイズが大型化するに従い、シート基板FBの幅が広くなってきている。このため、搬送ローラRRの軸長は長くなる傾向にある。軸長が長い搬送ローラRRは図10(b)のように中心部が重力GRでたわんで凹形状となる。
上述したように、図5(a)において、切断装置30から照射されるレーザー光LLはX方向すなわち水平方向からシート基板FBに入射している。搬送ローラRRが重力GRでたわんでも、そのたわみの影響が一番少なくなる方向からレーザー加工することができる。また、図7において、親液性加工装置70から照射される紫外線がX方向からシート基板FBに照射される理由も同様である。
一方、ゲート用の液滴塗布装置20又はソース・ドレイン用液滴塗布装置22は、メタルインクをシート基板FBの上から塗布しないと、塗布したメタルインクが隔壁BAを越えて流れ出すおそれがある。このため、軸長が長い搬送ローラRRでシート基板FBに精度良くメタルインクを塗布する場合には、図10(c)に示すような中央が凸状に膨らんだ樽型の搬送ローラRRを用意する。このような樽型の搬送ローラRRは重力GRで図10(d)に示すように、搬送ローラRRがシート基板FBに接する上面がほぼ水平にすることができる。なお、樽型の搬送ローラRRは金属などを切削加工して円筒の外周面を製造する際に中央が凸状に膨らむように切削してもよいし、搬送ローラRRを中空構造にして内部を加圧することで凸状に膨らむようにしてもよい。
<搬送ローラの構造>
実施形態1から実施形態3では、シート基板FBが搬送ローラRRの外周面に倣っている領域を増大させるために、小型の前部ローラSR1又は後部ローラSR2を搬送ローラRRの前後に配置した。図11及び図12は、シート基板FBが搬送ローラの外周面に倣っている領域を増大させる搬送ローラの別の構造を示している。
<<ガス圧タイプ>>
図11(a)は非接触でシート基板FBを搬送方向FDへ搬送する非接触搬送ローラ75の斜視図である。図11(b)は非接触搬送ローラ75の側面図である。
図11(a)で示すように、非接触搬送ローラ75の外周には複数の穴が開いている。穴には、空気を排出する排出口OLと、空気を吸入する吸入口APとが設けられている。空気の排出口OLは、空気導入配管AIとつながり、不図示の空気圧縮装置で圧縮空気を送っている。また吸入口APは真空引き配管AOとつながっていて不図示の真空ポンプで真空引きを行っている。空気導入配管AI及び真空引き配管AOには不図示のバルブを備えることでそれぞれ、空気圧を調整することができる。なお非接触搬送ローラ75と、空気導入配管AI及び真空引き配管AOとの接続部は磁気シールMSで空気漏れを防いでいる。
非接触搬送ローラ75はシート基板FBを吸着しようとする吸入圧IPと、シート基板FBを離そうとする排出圧OPのバランスで非接触状態を保っている。非接触搬送ローラ75は不図示の距離センサーを備えてシート基板FBとの距離を計測し、一定の距離を保つように吸入圧IPと排出圧OPとを調節する。非接触搬送ローラ75は非接触搬送ローラ75を回転させることでシート基板FBを搬送することができる。
図11(b)の左側の非接触搬送ローラ75にはカバーCVが設置されていないが、右側の非接触搬送ローラ76にはシート基板FBに面していない部分にカバーCVを付けている。非接触搬送ローラ75は、非接触搬送ローラ76と比べ空気の吸入圧IP及び排出圧OPを上げる必要がある。非接触搬送ローラ76ではカバーCVを付けることでシート基板FBに近接する面以外の漏れ出す空気量が少なくて済み、空気の吸入圧IP及び排出圧OPを下げることができるため、空気圧の微調整を行いやすい利点がある。
非接触搬送ローラ75及び非接触搬送ローラ76はシート基板FBとの接触面を減らすことによりシート基板FBの傷を防ぐことができる。
<<帯電タイプ>>
本実施形態では静電気を用いた静電気搬送ローラ77を示す。静電気搬送ローラ77は図12(a)に示すように、搬送ローラRRの内部の外周面の近傍に帯電板を有している。帯電板は不図示の荷電装置で荷電させることで、プラス極で帯電させるプラス極帯電板SB+とマイナス極で帯電させるマイナス極帯電板SB−とを装備している。
例えば、シート基板FBはプラス極帯電板SB+に近接することで、シート基板FBがマイナス極に帯電して、互いが引き合う。次に静電気搬送ローラ77が回転することでシート基板FBは搬送される。なお静電気搬送ローラ77はシート基板FBと引き合うために、小型の前部ローラSR1及び小型の後部ローラSR2を必要としない。シート基板FBと静電気搬送ローラ77とを分離させるためには、分離させたい部分でシート基板FBの帯電極性と同じ極性にすることで分離できる。
図12(b)に示す静電気搬送ローラ78は実施形態5で示した空気を排出する排出口OLを備え、排出圧OPを調整することで、静電気と空気圧により非接触状態を保ちながらシート基板FBを搬送する装置を示している。
例えば、静電気搬送ローラ78はプラス極帯電板SB+及びマイナス極帯電板SB−の間に、図11(a)に示したような排出口OLを搬送ローラRRの外周面に形成している。図12(b)に示すように、排出口OLに向けて空気を適度な排出圧OPで加圧することでシート基板FBを浮上させ、プラス極帯電板SB+及びマイナス極帯電板SB−を適度に荷電させることで、シート基板FBを引きつける。静電気搬送ローラ78は排出圧OPと荷電電圧を調整することで、シート基板FBを浮上させた状態を保ちながら静電気搬送ローラ78を回転させることでシート基板FBを搬送することができる。
有機EL素子の製造方法について説明してきたが、本発明の製造装置は、電界放出ディスプレイ又は液晶表示素子などにも適用できる。例えば、図2に示した配線電極加工工程63の終了後に液晶の封止壁を形成し、液晶の供給及びカラーフィルタCFの貼り合わせることで液晶表示素子を製造することが可能となる。
また、実施形態の製造装置には熱処理装置BKを設けたが、メタルインク又は発光層溶液などの改良によって熱処理が必要でないインク又は溶液が提案されている。このため、本実施形態においても熱処理装置BKを必ず設ける必要はない。
また、図2において最初にインプリントローラ10を配置したが、インプリントローラ10の代わりに印刷ローラで隔壁BAを形成してもよい。
(a)は有機EL素子50の上面図である。 (b)及び(c)は、(a)のb−b断面図及びc−c断面図である。 可撓性の基板に、画素電極及び発光層など有する有機EL素子の製造装置100の構成を示した概略図である。 (a)は、ゲート用の液滴塗布装置20の側面図である。 (b)は、(a)の搬送ローラRR及び小型ローラSRの位置関係を示した上面図である。 (a)は、ゲート用の液滴塗布装置20、シート基板FB、及び有機EL素子との位置関係を示した上面図である (b)は、アライメントマークAMと、ゲートバスラインGBL及びソースバスラインSBLとの位置関係を示した図である。 (a)は、小型の前部ローラSR1及び小型の後部ローラSR2を備える切断装置30の側面図である。 (b)は、ソース電極Sとドレイン電極Dとがレーザー光LLで切断された様子を示した図である。 親液性加工装置70が隔壁形成工程61と電極形成工程62との間に配置された概念図である。 親液性加工装置70を水平に設置した図である。 親液性加工装置70の像面湾曲を示した図である。 トーリックレンズTLを有しない親液性加工装置72を配置した図である。 (a)は、円柱状の搬送ローラRRを示した図である。 (b)は、重力GRでたわんだ円柱状の搬送ローラRRを示した図である。 (c)は、樽型の搬送ローラRRを示した図である。 (d)は、重力GRでシート基板FBと接する面が水平となる樽型の搬送ローラRRを示した図である。 (a)は、空気圧で動作する非接触搬送ローラ75の斜視図である。 (b)は、(a)の側面図である。 (a)は、静電気搬送ローラ77の側面図である。 (b)は、空気圧も利用した非接触型の静電気搬送ローラ78を示した側面図である。
符号の説明
10 … インプリントローラ
11 … 微細インプリント用モールド、15 … 熱転写ローラ
20 … ゲート用の液滴塗布装置、29 … ノズル
21 … 絶縁層用の液滴塗布装置
22 … ソース用及びドレイン用並びに画素電極用の液滴塗布装置
23 … 有機半導体の液滴塗布装置
24 … 発光層用の液滴塗布装置
24R,24G,24B … 赤色発光層用,緑色発光層用,青色発光層用の液滴塗布装置
25 … 透明電極用の液滴塗布装置
26 … 接着剤ディスペンサー
30 … 切断装置、31 … ガルバノミラー
50 … 有機EL素子
61 … 隔壁形成工程、62 … 電極形成工程、63 … 配線電極の加工工程
64 … 発光層形成工程
70 … 親液性加工装置
75 … 非接触搬送ローラ、76 … 非接触搬送ローラ、77 … 静電気搬送ローラ
78 … 静電気搬送ローラ90 … 速度&アライメント制御部
100 有機EL素子の製造装置
AI … 空気導入配管
AM … アライメントマーク
AO … 真空引き配管
AP … 吸入口
BA … 隔壁
BK … 熱処理装置
CA … アライメントカメラ
CF … カラーフィルタ
COI … 像面湾曲の面
CV … カバー
D … ドレイン電極
FB … シート基板
G … ゲート電極
GBL ゲートバスライン
GR … 重力
I … 絶縁層
IP … 吸入圧
IR … 発光層
ITO 透明電極
L … レンズ
LL … レーザー光
MK … マスク
MS … 磁気シール
OP … 排出圧
OS … 有機半導体層
OL … 排出口
P … 画素電極
RL … 供給ロール
RR … ローラ
S … ソース電極
SR1 前部ローラ、SR2 後部ローラ
SBL ソースバスライン
SB+ プラス極帯電板
SB− マイナス極帯電板
TL … トーリックレンズ
XL … 露光装置

Claims (13)

  1. 可撓性の長尺基材の上に表示素子を形成する表示素子の製造装置において、
    長尺方向に複数のマークが所定間隔で形成された長尺基材を、前記長尺方向に搬送する際に、前記長尺基材の一部を長尺方向に湾曲させて支持する搬送ローラと、
    前記長尺基材が前記搬送ローラの外周面に倣って湾曲する領域を増やす領域増加手段と、
    前記長尺基材前記搬送ローラの外周面に倣う領域のうち、前記長尺方向に関する上流側の領域において、前記マークの位置を検出する光学装置と、
    前記長尺基材の前記搬送ローラの外周面に倣う領域のうち、前記長尺方向に関する下流側の領域において、前記光学装置による検出結果に基づいて、前記長尺基材上に前記表示素子を形成する為の処理を位置合せして施す処理装置と、
    を備えることを特徴とする表示素子の製造装置。
  2. 前記領域増加手段は、前記光学装置と前記処理装置前記長尺方向に挟むように上流側と下流側とに配置される一対の押さえローラを含み、下流側の押さえローラは前記長尺基材の前記長尺方向と交差する幅方向の外縁のみを押さえることを特徴とする請求項に記載の表示素子の製造装置。
  3. 前記搬送ローラはその自重で撓む量だけ、この搬送ローラの外周面が凸状に膨らんで形成されていることを特徴とする請求項に記載の表示素子の製造装置。
  4. 前記処理装置は、前記長尺基材の前記搬送ローラの外周面に倣う領域のうちの前記下流側の領域に、光学的に処理を施す光学処理装置を備えることを特徴とする請求項1に記載の表示素子の製造装置。
  5. 前記領域増加手段は、前記搬送ローラの外周面に設けられた吸引孔から気体を吸引する吸引装置を含むことを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の表示素子の製造装置。
  6. 前記領域増加手段は、前記長尺基材と前記搬送ローラとの間を所定距離にするため、前記搬送ローラの外周面に設けられた噴出孔から気体を噴出する噴出装置を含むことを特徴とする請求項5に記載の表示素子の製造装置。
  7. 前記領域増加手段は、前記長尺基材と前記搬送ローラとの吸引力を高めるため、前記搬送ローラの外周面の一部にカバーを設けることを特徴とする請求項5に記載の表示素子の製造装置。
  8. 前記領域増加手段は、前記搬送ローラの外周面を帯電させる帯電装置を含むことを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の表示素子の製造装置。
  9. 前記光学処理装置は、前記長尺基材の前記搬送ローラの外周面に倣う領域のうちの前記下流側の領域で、加工用のレーザー光を前記光学装置による検出結果に基づいて位置合せして照射するレーザー加工装置を含むことを特徴とする請求項4に記載の表示素子の製造装置。
  10. 前記光学処理装置は、投影光学レンズを使って前記長尺基材の前記搬送ローラの外周面に倣う領域のうちの前記下流側の領域で、所定面積の光を前記長尺基材に露光する露光装置を含み、前記投影光学レンズの像面湾曲前記搬送ローラの軸方向に伸びる外周面とを合わせることを特徴とする請求項4に記載の表示素子の製造装置。
  11. 前記光学処理装置は、投影光学レンズを使ってマスク像を、前記長尺基材の前記搬送ローラの外周面に倣う領域のうちの前記下流側の領域で、前記光学装置による検出結果に基づいて位置合せして露光する露光装置を含み、前記長尺方向における前記マスク像の露光幅を前記投影光学レンズの焦点深度に応じて決定することを特徴とする請求項4に記載の表示素子の製造装置。
  12. 前記露光装置は、前記所定面積の光を前記搬送ローラの外周面に倣うように前記投影光学レンズの像面を湾曲させる光学部材を備えることを特徴とする請求項11に記載の表示素子の製造装置。
  13. 前記光学部材は前記搬送ローラの幅方向に伸びるトーリックレンズであることを特徴とする請求項12に記載の表示素子の製造装置。
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