JP5293738B2 - 車両の制御装置 - Google Patents

車両の制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5293738B2
JP5293738B2 JP2010521147A JP2010521147A JP5293738B2 JP 5293738 B2 JP5293738 B2 JP 5293738B2 JP 2010521147 A JP2010521147 A JP 2010521147A JP 2010521147 A JP2010521147 A JP 2010521147A JP 5293738 B2 JP5293738 B2 JP 5293738B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
torque
steering
auxiliary torque
basic
turning
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2010521147A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2010082292A1 (ja
Inventor
好隆 藤田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Publication of JPWO2010082292A1 publication Critical patent/JPWO2010082292A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5293738B2 publication Critical patent/JP5293738B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B62LAND VEHICLES FOR TRAVELLING OTHERWISE THAN ON RAILS
    • B62DMOTOR VEHICLES; TRAILERS
    • B62D5/00Power-assisted or power-driven steering
    • B62D5/04Power-assisted or power-driven steering electrical, e.g. using an electric servo-motor connected to, or forming part of, the steering gear
    • B62D5/0457Power-assisted or power-driven steering electrical, e.g. using an electric servo-motor connected to, or forming part of, the steering gear characterised by control features of the drive means as such
    • B62D5/046Controlling the motor
    • B62D5/0472Controlling the motor for damping vibrations

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Transportation (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)

Description

本発明は、例えばEPS(Electronic controlled Power Steering:電子制御式パワーステアリング装置)或いはVGRS(Variable Gear Ratio Steering:可変ギア比ステアリング装置)等の各種操舵機構を備えた車両の制御装置の技術分野に関する。
この種の装置として、左右の転舵輪に独立した駆動トルクを付与可能な車両に適用されるものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された車両の操舵制御装置によれば、左右の転舵輪の駆動力偏差によって生じるトルクステアを低減するためのトルクステア補正値を基本アシストトルクに付加することにより、トルクステアに起因した操舵負荷の増加と操舵フィーリングの悪化が防止されるとされている。
尚、操舵トルクに応じて決まるアシスト量を左右駆動力差に応じて補正する電動パワーステアリング装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、駆動力左右差が生じた場合にトルクステア防止制御信号を電動パワーステアリング装置に出力するものも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2005−170116号公報 特開2007−168618号公報 特開平11−129927号公報
上記各種従来の技術によれば、左右駆動力差に起因するトルクステアの影響は低減されるものの、左右駆動力差が転舵輪の転舵を促すように付与される場合等、基本アシストトルクとトルクステア補正値の方向が異なる場合には、トルクステア補正値が大きくなり過ぎると、ドライバの操舵方向へのアシストが十分に得られなくなる可能性がある。即ち、従来の技術には、場合により操舵フィールが悪化する可能性があるという技術的な問題点がある。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、トルクステアに起因する操舵フィールの悪化を回避することが可能な車両の制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る車両の制御装置は、転舵輪の転舵を促す操舵力を補助する補助トルクを出力可能な補助トルク出力手段と、前記転舵輪に対し左右独立して制駆動トルクを付与可能な制駆動トルク付与手段とを備えた車両の制御装置であって、ドライバ操舵トルクに応じて前記補助トルクの基本値たる基本補助トルクを決定する基本補助トルク決定手段と、前記制駆動トルク付与手段を介して前記転舵輪に左右の駆動トルク偏差が付与される場合において、操舵方向への前記補助トルクが所定値未満とならない範囲で、前記左右の駆動トルク偏差によるトルクステアが打ち消されるように、前記駆動トルク偏差に応じて前記決定された基本補助トルクを補正する基本補助トルク補正手段と、前記補助トルクとして前記補正された基本補助トルクが出力されるように前記補助トルク出力手段を制御する補助トルク制御手段と、前記車両において追操舵がなされる場合に、該追操舵の方向と操舵速度とに基づいて前記補助トルク出力手段のダンピング制御量を補正するダンピング補正手段とを具備し、前記左右の駆動トルク偏差は、前記転舵輪の転舵を促す方向へ付与され、前記ダンピング補正手段は、前記追操舵として切り込み操舵がなされる場合に、前記操舵速度の大小が前記ダンピング制御量の大小に夫々対応するように、及び/又は、前記追操舵として切り戻し操舵がなされる場合に、前記操舵速度の大小が前記ダンピング制御量の小大に夫々対応するように、前記ダンピング制御量を補正することを特徴とする。
本発明に係る車両には、補助トルク出力手段と制駆動トルク付与手段とが少なくとも備わる。
本発明に係る補助トルク出力手段とは、ステアリングホイル(一般的に「ハンドル」とも称される)に直接的に又は間接的に連結される操舵入力軸に対しドライバから付与される人為的な操舵入力に相当するドライバ操舵トルクを補助する(尚、ここで述べられる「補助」とは、ドライバ操舵トルクよりも大きいトルクの存在を否定しない)トルクとしての補助トルクを出力し、直接的又は間接的の別を問わず転舵輪に伝達し得る手段を包括する概念である。この際、補助トルク出力手段における、補助トルクの付与対象は、各種態様を採り得る。
即ち、操舵トルク補助手段は、操舵入力軸に対し操舵トルクを直接補助する補助トルクを付与する構成を採ってもよいし、操舵入力軸に直接的に又は間接的に連結される操舵出力軸にこの種の補助トルクを付与する構成を有してもよいし、操舵系がラック&ピニオン式の操舵伝達機構を採用する場合において、ラックバーと噛合するピニオンギアの回転を補助する補助トルクを付与可能な構成を有してもよいし、或いはラックバーに対し当該ラックバーの往復運動を補助する駆動力に変換され得る補助トルクを付与可能に構成されてもよい。補助トルク出力手段によれば、各種伝達機構及び各種軸体等を含む物理的或いは機械的な伝達経路を経由して、最終的には操舵入力軸に対し操舵トルクが付与される形となるため、ドライバの操舵負担を軽減することも、またドライバに代わってステアリングホイルを保舵することも、或いはドライバの操舵操作とは無関係に操舵入力軸を回転させることも可能である。
一方、本発明に係る制駆動トルク付与手段とは、左右の転舵輪に対し夫々独立して制駆動トルクを付与可能な手段であり、例えば、インホイールモータ等、各転舵輪に対し独立に設置された駆動装置や、左右の駆動トルク配分が可能に構成されたデファレンシャル装置等を指す。尚、「制駆動力」とは、駆動力の他に制動力を含むことを暗に示唆するが、駆動力と制動力は、結局のところその作用方向が逆な関係にあり、例えば一方に制動力を与え、相対的に他方の駆動力を増加させることによって、左右の転舵輪に駆動トルク差が与えることもまた可能である。
本発明に係る車両の制御装置によれば、その動作時には、例えばECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る基本補助トルク決定手段によりドライバ操舵トルクに応じた基本補助トルクが決定される。
ここで、制駆動トルク付与手段を介して転舵輪に駆動トルク偏差が与えられている場合、係る駆動トルク偏差が転舵輪の転舵を促す方向に与えられていようが、当該転舵を阻害する方向へ与えられていようが、操舵入力軸及びステアリングホイル等には、所謂トルクステアと呼ばれる操舵力の逆入力が現れ、ドライバの操舵フィールを著しく悪化させる場合がある。
その点、本発明に係る車両の制御装置によれば、その動作時には、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る基本補助トルク補正手段により、この駆動トルク偏差に応じて、トルクステアが打ち消されるように基本補助トルクが補正されるため、トルクステアがドライブフィールに与える影響を好適に低減することが可能である。この際、基本補助トルクの補正は、この種の基本補助トルクと相殺されるべき補正トルクによりなされても、基本補助トルクに対し乗じるべき調整ゲインによりなされてもよく、最終的に補正可能である限りにおいて何ら限定されない趣旨である。
然るに、この種のトルクステアによる影響を低減する必要性の一方で、ドライバの操舵操作は、厳然と存在しており、係るドライバの操舵操作を無視した無制限な基本補助トルクの補正がなされた場合には、補助トルクの付与態様が、ドライバの意思から乖離して、かえって操舵フィールが低下する。
ここで特に、本発明に係る基本補助トルク補正手段は、操舵方向への補助トルクが所定値未満とならない範囲で基本補助トルクを補正する。即ち、基本補助トルクの補正に所定値に基づいた制約が与えられている。従って、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る補助トルク制御手段により、実際にこの補正された基本補助トルクが補助トルクとして出力されるように補助トルク出力手段が制御されたとしても、補助トルクの過度な低下が抑制される。即ち、操舵方向へある程度の補助トルクを作用させておくことにより、操舵フィールの低下が好適に防止されるのである。
また、本発明に係る車両の制御装置は、車両において追操舵がなされる場合に、該追操舵の方向と操舵速度とに基づいて補助トルク出力手段のダンピング制御量を補正するダンピング補正手段を更に具備する。
転舵角がゼロでない且つ有意な値を採る保舵状態においてなされる更なる操舵操作を意味する追操舵(即ち、好適には、切り込み又は切り戻しのいずれか操作となる)がなされるに際しても、転舵輪の駆動トルク偏差に起因するトルクステアは操舵フィールに影響を与え、特に操舵方向に対しては、一方がトルクステアの作用方向と同方向となり他方が逆方向となるため、操舵フィールの差が顕在化し易い。
この点、本発明に係る車両の制御装置によれば、ステアリングホイルを操作する際の抵抗或いは反力に影響する制御量としての、補助トルク出力手段のダンピング制御量が、この操舵方向と操舵速度とに基づいて補正される。従って、操舵方向及び操舵速度に対する操舵フィールの変化を抑制することが可能となる。
ここで特に、本発明に係る車両の制御装置では、上述した左右の駆動トルク偏差が、転舵輪の転舵を促す方向へ付与される場合において、上述したダンピング補正手段が、(1)追操舵として切り込み操舵がなされる場合に、操舵速度の大小がダンピング制御量の大小に夫々対応するように、及び/又は、(2)追操舵として切り戻し操舵がなされる場合に、操舵速度の大小がダンピング制御量の小大に夫々対応するように、ダンピング制御量を補正する。
転舵輪の転舵を促す方向へ駆動トルク偏差が付与される状況では、切り込み操舵は、トルクステアと同方向への操舵操作となるため、所謂「ハンドルが軽い」状態となって、操舵角がドライバの意図する値よりも大きくなる可能性がある。従って、上記(1)の如くに、操舵速度の大小とダンピング制御量の大小とが対応するようにダンピング制御量が補正されることにより、この種の切り込み過多による操舵フィールの低下を好適に抑制することが可能となる。
また、転舵輪の転舵を促す方向へ駆動トルク偏差が付与される状況では、切り戻し操舵は、トルクステアと逆方向への操舵操作となるため、所謂「ハンドルが重い」状態となって、操舵角がドライバの意図する値よりも小さくなる可能性がある。従って、上記(2)の如くに、操舵速度の大小とダンピング制御量の小大とが対応するようにダンピング制御量が補正されることにより、この種の切り戻し不足による操舵フィールの低下を好適に抑制することが可能となる。
本発明に係る車両の制御装置の一の態様では、前記左右の駆動トルク偏差は、前記転舵輪の転舵を促す方向へ付与され、前記基本補助トルク補正手段は、前記決定された基本補助トルクを減少側に補正する。
この態様によれば、基本補助トルクが減少側に補正されるため、基本補助トルクの補正に何らの指針もなければ、補助トルクがゼロ或いは負値(逆アシスト)を採る可能性が高くなる。従って、所定値による制約が実践上極めて有益に作用する。
本発明に係る車両の制御装置の他の態様では、前記基本補助トルク補正手段は、ゼロ未満とならない範囲で前記決定された基本補助トルクを補正する。
この態様によれば、ドライバ操舵トルクの方向と補助トルクの方向とが逆になる逆アシスト状態の発生は回避されるため、所定値の現実解として合理的である。
尚、本発明に係る車両の制御装置が適用される車両には、ステアリングホイル或いは操舵入力軸の回転角たる操舵角と、転舵輪の実舵角たる転舵角との関係を、段階的に又は連続的に可変とし得る物理的、機械的、電気的又は磁気的な各種装置を包括する概念としての舵角可変手段が備わっていてもよい。即ち、舵角可変手段によれば、操舵角と転舵角との関係が一義的に規定されず、例えば操舵角と転舵角との比を変化させることが可能となる。或いは、操舵角に無関係に舵角を変化させることが可能となる。舵角可変手段は、例えば、好適な一形態としてVGRS或いはSBW(Steer By Wire)等として構成されてもよい
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
以下、適宜図面を参照して本発明の車両の制御装置に係る各種実施形態について説明する。
本発明の第1実施形態に係る車両の構成を概念的に表してなる概略構成図である。 第1実施形態に係り、図1の車両においてなされる操舵フィール補償制御のフローチャートである。 第1実施形態に係り、基本アシストトルクTABと操舵トルクMTとの関係を例示してなる模式的な特性図である。 第1実施形態に係り、補償ゲインGNと左右駆動トルク偏差Th_diffとの関係を例示してなる模式的な特性図である。 本発明の第2実施形態に係り、補償トルクTRと左右駆動トルク偏差Th_diffとの関係を例示してなる模式的な特性図である。 第2実施形態に係り、基本アシストトルクTABと補償トルクTRとの和と、最終補償トルクTRfとの関係を例示する模式図である。 本発明の第3実施形態に係り、操舵角速度ωと補償ダンピング制御量DPとの関係を例示してなる模式的な特性図である。 本発明の第4実施形態に係る車両の構成を概念的に表してなる概略構成図である。 第4実施形態に係り、補償舵角δと左右駆動トルク偏差Th_diffとの関係を例示してなる模式的な特性図である。
FL、FR…車輪、10…車両、11…ステアリングホイル、12…ステアリングシャフト、13…ラックアンドピニオン機構、14…操舵トルクセンサ、100…ECU、200…EPS、300FL…インホイールモータ、300FR…インホイールモータ。
<第1実施形態>
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る車両10の構成について説明する。ここに、図1は、車両10の基本的な構成を概念的に表してなる概略構成図である。
図1において、車両10は、転舵輪として左右一対の前輪FL及びFRを備え、これら前輪が転舵することにより所望の方向に進行可能に構成されている。
車両10は、ステアリングホイル11、ステアリングシャフト12、ラックアンドピニオン機構13、操舵トルクセンサ14及び車速センサ15を備える。
ステアリングホイル11は、ドライバが操舵操作を行うためのインターフェイスとして機能する回転操作可能な操作手段である。
ステアリングシャフト12は、ステアリングホイル11と連結された回転軸体であり、ステアリングホイル11の回転と同方向に回転可能に構成されている。
ラックアンドピニオン機構13は、ステアリングシャフト12の端部に接続されたピニオンシャフト、当該ピニオンシャフトの端部に設置されたピニオンギア及び当該ピニオンギアのギア歯と噛合するギア歯が形成されたラックバー等(いずれも不図示)から構成された操舵伝達機構である。
ラックアンドピニオン機構13においては、ステアリングシャフト12の回転に応じたピニオンシャフトの回転によりピニオンギアが回転し、このピニオンギアの回転がラックバーの車両左右方向への往復運動に変換される構成となっている。尚、この際、固定又は可変な減速比を有する減速ギア等を適宜介することによって、ステアリングシャフト12の回転速度が適宜減速された状態でピニオンギアに伝達されてもよい。
ラックバーの端部には、タイロッド(符合省略)の一端部が接続されている。タイロッドは、左右一対の連結部材であり、夫々他端部が不図示のナックル等を介して左右の転舵輪に連結される構成となっている。その結果、上述したラックバーの往復運動は、タイロッドの往復運動に変換される。タイロッドが往復運動を行うのに伴い、転舵輪は夫々左右方向に転舵する。
操舵トルクセンサ14は、ステアリングシャフト12に連結され、或いはステアリングシャフト12に内包され、ステアリングシャフト12と一体に回転可能な不図示のトーションバーに設けられたセンサである。トルクセンサ14は、このトーションバーの捩れ量を、ステアリングホイル11を介して付与された操舵トルクMTとして検出可能に構成されている。操舵トルクセンサ14は、ECU100と電気的に接続されており、検出された操舵トルクMTは、ECU100により、一定又は不定の周期で参照される構成となっている。尚、操舵トルクセンサ14は、操舵トルクMTを、正負の符号により規定される操舵方向の概念を含んで検出可能である。即ち、操舵トルクセンサ14は、ステアリングホイル11の回動方向が右(或いは左)である場合に正の符号で、また当該回動方向が左(或いは右)である場合に負の符号を伴って操舵トルクMTを検出する構成となっている。
車速センサ15は、車両10の車速Vを検出可能に構成されたセンサである。車速センサ15は、ECU100と電気的に接続されており、検出された車速Vは、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。尚、車両10には、これらの他に、車両10の各種動作を支援する各種のセンサが備わるが、ここでは、逐次の図示は省略することとする。
また、車両10は、ECU100、EPS200、インホイールモータ300FL及び300FRを備える。
ECU100は、夫々不図示のCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備え、車両10の動作全体を制御可能に構成された電子制御ユニットであり、本発明に係る「車両の制御装置」の一例である。ECU100は、ROMに格納された制御プログラムに従って、後述する操舵フィール補償制御を実行可能に構成されている。
尚、ECU100は、本発明に係る「基本補助トルク決定手段」、「基本補助トルク補正手段」、「補助トルク制御手段」及び「ダンピング補正手段」の夫々一例として機能するように構成された一体の電子制御ユニットであり、これら各手段に係る動作は、全てECU100によって実行されるように構成されている。但し、本発明に係るこれら各手段の物理的、機械的及び電気的な構成はこれに限定されるものではなく、例えばこれら各手段は、複数のECU、各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成されていてもよい。
EPS200は、所謂電子制御式パワーステアリング装置であり、ドライバが操舵操作を行うのに要する負担を軽減する、本発明に係る「補助トルク」の一例としてのアシストトルクTAを出力可能に構成された、本発明に係る「補助トルク付与手段」の一例である。EPS200は、例えば三相同期式永久磁石モータ等(無論、他の駆動方式のモータであってもよい)として構成されるEPSモータ(不図示)を備えており、このEPSモータからアシストトルクTAを出力する構成となっている。尚、アシストモータは、例えばインバータ等を含む不図示のモータ制御系を介してECU100と電気的に接続されており、その動作状態がECU100により制御される構成となっている。
EPS200から出力されるアシストトルクTAは、不図示の減速ギアを介して上述したピニオンシャフトに付与され、ピニオンギアの回転がアシストされる。ピニオンギアは、上述したようにラックバーと噛合しており、ピニオンギアの回転がアシストされることにより、最終的に転舵輪たる前輪の転舵が促される。但し、このようなピニオンアシスト方式は、EPS等と称される操舵補助装置の採り得る方式の一例に過ぎず、アシストトルクTAは、ラックアンドピニオン機構13を構成するラックバーに対し当該ラックの往復運動をアシストすべく付与されてもよいし、ステアリングシャフト12に対し、ステアリングシャフト12の回転をアシストすべく付与されてもよい。即ち、アシストモータから出力されるアシストトルクTAが、最終的に転舵輪を転舵させる力の少なくとも一部として供される限りにおいて、本発明に係る補助トルク付与手段の態様は何ら限定されない趣旨である。
インホイールモータ300FL及び300FRは、夫々前輪FL及びFRに内蔵された、本発明に係る「制駆動トルク付与手段」の一例たるDCブラシレスモータである。インホイールモータ300FL及び300FRのロータは、夫々前輪FL及びFRのホイール内部に不図示の減速機構を介して連結されており、当該ロータの回転に伴って、前輪FL及びFRが夫々全く独立して回転駆動される。このため、インホイールモータ300FL及び300FRによれば、転舵輪たる左右前輪に夫々全く独立して駆動トルクを付与可能であり、後述するように、左右前輪の駆動トルク偏差により、左右前輪のキングピン軸周りに回転モーメントを生じさせることによって、車両10の旋回時に、車両の旋回動作を補助することが可能となる。即ち、右旋回時には、左前輪FLに作用する駆動トルクを右前輪FRに作用する駆動トルクよりも大きくして右旋回方向のモーメントにより右旋回をアシストし、左旋回時には、右前輪FRに作用する駆動トルクを左前輪FLに作用する駆動トルクよりも大きくして左旋回方向のモーメントにより左旋回をアシストするといった構図である。尚、インホイールモータ300FFL及び300FRは、不図示のバッテリ及びインバータを介して供給される電力により駆動される。このインバータは、ECU100と電気的に接続されており、左右前輪に付与される駆動力は、ECU100の制御により、左右独立して制御される。
尚、車両10には、動力源としてエンジンが備わる。エンジンの構成は、少なくとも一つの気筒(好適には複数)を備え、当該気筒の各々における燃焼室において、例えばガソリン、軽油或いは各種アルコール等の燃料、又は当該燃料を含む混合気が爆発或いは燃焼した際に生じる力を、例えばピストン、コネクティングロッド及びクランク軸等の物理的な又は機械的な伝達経路を経て駆動力として取り出すことが可能に構成される限りにおいて何ら限定されるものではなく、直列型、V型或いは水平対向型等の各種気筒配列形態を有し得る。
<実施形態の動作>
次に、図2を参照し、本実施形態の動作として操舵フィール補償制御について説明する。ここに、図2は、操舵フィール補償制御のフローチャートである。
図2において、ECU100は、エンジンのスロットル開度thrがゼロよりも大きいか否かを判別する(ステップS101)スロットル開度thrは、エンジンの吸気通路に配設されたスロットルバルブの開度であり、ゼロである場合、吸気通路が閉塞状態にあることを意味する。即ち、ステップS101では、エンジンが駆動状態にあるか否かが判別される。
スロットル開度thrがゼロより大きい場合(ステップS101:YES)、ECU100は、前輪の左右駆動トルク偏差Th_diffを算出すると共に、算出された左右駆動トルク偏差Th_diffが基準値Th_thよりも大きいか否かを判別する(ステップS102)。ここで、基準値Th_thは、それよりも高い領域において、係る左右駆動トルク偏差Th_diffに起因するトルクステアが、ドライバの操舵フィールを実践上看過し難い程度に低下させる旨を規定する、予め実験的な適合により得られた制御閾値である。
左右駆動トルク偏差Th_diffが基準値Th_thよりも大きい場合(ステップS102:YES)、ECU100は更に、車両10の横方向加速度Gyの絶対値|Gy|が、基準値Gythよりも大きいか否かを判別する(ステップS103)。ここで、横方向加速度Gyは、車速センサ15により検出される車速Vと、図1において不図示の舵角センサにより検出される前輪の転舵角δfとに基づいて算出される。尚、車両10に横方向加速度センサ等横方向加速度Gyを直接検出可能な検出手段が備わる場合には、係る検出手段から横方向加速度Gyが取得されてもよい。
横方向加速度Gyの絶対値|Gy|に係る基準値Gythは、車両10が旋回状態にあるか否かを規定し得るように予め実験的に定められている。尚、絶対値が参照されるのは、右旋回時と左旋回時とを区別するためである。横方向加速度Gyの絶対値|Gy|が基準値Gythよりも大きい場合(スッテプS103:YES)、ECU100は、処理をステップS104に移行する。一方で、スロットル開度thrが0であるか(ステップS101:NO)、左右駆動トルク偏差Th_diffが基準値Th_th以下であるか(ステップS102:NO)、又は横方向加速度の絶対値|Gy|が基準値Gyth以下である場合(ステップS103:NO)、ステップS104はスキップされ、処理はステップS105に移行される。
ここで、ステップS101乃至103に係る判別結果が全て「YES」側に分岐した状態とは、結局、車両10が走行中に旋回状態にあり、且つその旋回を補助すべく前輪に対し左右駆動トルク偏差が与えられている状態を意味する。ECU100は、車両10の旋回時に(常時であっても所定の条件が満たされた場合であってもよいが)、転舵方向に前輪の左右駆動トルク偏差に起因するモーメントが作用するように、インホイールモータ300FL及び300FRを適宜駆動制御している。
一方、この左右駆動トルク偏差により惹起される車両転舵方向のモーメントにより、車両10の旋回動作によりシャープな特性を与えることが可能となるものの、この左右駆動トルク偏差Th_diffは、ステアリングホイル11に操舵反力として伝達されるため、所謂トルクステアを誘発する。特に、この左右駆動トルク偏差Th_diffは、ドライバの関知しないところで付与されるものであるから、この種のトルクステアは、元々車両10を旋回させるべく操舵操作を行っているドライバに対し、操舵フィールの低下となって知覚される。このため、このようなトルクステアによる操舵フィールの低下が懸念される場合には、ステップS104において、トルクステアの影響を補償するための各種制御量が算出され、EPS200との協調が図られるのである。尚、ステップS101乃至S103に係る判別条件のうち少なくとも一が満たされない場合には、この種のトルクステアの影響を補償する必要はないとの判断によりステップS104がスキップされるのである。
次に、ステップS104に係る制御の内容について説明する。
ステップS104では、先ず、ドライバの操舵トルクMTに応じてEPS200の基本アシストトルクTABが決定される。この際、ECU100は、予めROMに格納された基本アシストトルクマップを参照する。ここで、図3を参照し、基本アシストトルクマップの詳細について説明する。ここに、図3は、基本アシストトルクTABと操舵トルクMTとの関係を例示してなる模式的な特性図である。尚、基本アシストトルクTABは、アシストトルクTAの基本値であり、本発明に係る「基本補助トルク」の一例である。
図3において、基本アシストトルクTABは、操舵トルクMTが相対的に低い領域で設定された不感帯領域ではゼロであり、操舵トルクMTが相対的に高い領域で設定された飽和領域では、最大トルク値を採る。それ以外の領域においては、操舵トルクMTに対してリニアに増加する特性が与えられている。尚、基本アシストトルクTABは、正値(図示0より上側の領域)が右転舵方向、負値(図示0より下側の領域)が左転舵方向を意味し、操舵トルクMTは、正値(図示0より右側の領域)が右転舵方向、負値(図示0より左側の領域)が左転舵方向を意味する。即ち、基本アシストトルクTABは、転舵方向と同一方向に設定される。尚、図3は、実際の基本アシストトルクマップの構成を示すものではなく、実際の基本アシストトルクマップには、図3に示された関係が数値化された状態で格納されている。
基本アシストトルクTABが決定されると、トルクステア補償制御量として、左右駆動トルク偏差Th_diffに応じて補償ゲインGNが決定される。尚、補償ゲインGNは、基本アシストトルクTABに対し乗じられる補正係数であり、最大値が1であり、最小値が0である。この際、ECU100は、予めROMに格納された補償ゲインマップを参照する。ここで、図4を参照し、補償ゲインマップの詳細について説明する。ここに、図4は、補償ゲインGNと左右駆動トルク偏差Th_diffとの関係を例示してなる模式的な特性図である。
図4において、補償ゲインGNは、左右駆動トルク偏差Th_diffがゼロ近傍である極限定された不感帯領域では1であり(補償ゲインGN=1であるとは、即ち、基本アシストトルクTABが補正されないことを意味するから、この種の不感帯領域は必ずしも存在する必要はない)、左右駆動トルク偏差Th_diffが相対的に高い領域で設定された飽和領域ではゼロである。また、それ以外の領域においては、左右駆動トルク偏差Th_diffに対してリニアに減少する特性が与えられている。尚、左右駆動トルク偏差Th_diffは、正値を採る場合に(図示0より右側の領域)、右転舵方向にトルクステアが生じることを意味し、負値を採る場合に(図示0より左側の領域)、左転舵方向にトルクステアが生じることを意味する。尚、図4は、実際の補償ゲインマップの構成を示すものではなく、実際の補償ゲインマップには、図4に示された関係が数値化された状態で格納されている。
次に、ステップS105に係る制御の内容について説明する。
ステップS105では、下記(1)式に従って、EPS200の最終的なアシストトルクTAが決定される。
TA=TAB×GN・・・(1)
ここで、GNは、ステップS104で取得された補償ゲインであり、ステップS104がスキップされた場合には、初期値たる「1」を採る。即ち、アシストトルクTAは、トルクステアの影響を補償する必要がない場合には基本アシストトルクTABに等しく、トルクステアの影響を補償する必要がある場合には、最小値をゼロ(即ち、EPS200によるアシスト無し)として、トルクステアの影響の度合いに応じてTABが減少補正された値を採る。
最終的なアシストトルクTAが決定されると、ECU100は、この最終的なアシストトルクTAが得られるように、EPS200を駆動制御する(ステップS106)。ステップS106が実行されると、処理はステップS101に戻される。操舵フィール補償制御は、以上の如くに実行される。
ここで、このようにステップS104において算出されたトルクステア補償制御量が適用される場合、アシストトルクTAは、本来付与されるべき基本アシストトルクTABに対して減少側に補正される。このため、実質的に、転舵方向へ作用するトルクステアを打ち消す方向へ補正トルクが付与された状態となり、トルクステアによる所謂「ハンドル取られ」を未然に防ぐことが可能となる。即ち、操舵フィールの低下を抑制することが可能となる。また特に、本実施形態において、アシストトルクTAは負値を採らない構成となっている。アシストトルクTAが負値を採ると、ドライバの操舵方向とアシストトルクTAの付与方向が逆となる所謂逆アシスト状態となり、トルクステアによる操舵フィールとは別種の操舵フィールの低下を招く可能性がある。即ち、トルクステア補償制御量に、過度な補償による新たな操舵フィールの低下を抑制すべく制限が設けられる点において、本実施形態に係る操舵フィール補償制御は、操舵フィールの低下を確実に抑制し得る旨の実践上極めて有益な効果を呈する。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態として、第1実施形態と異なる手法でトルクステアによる操舵フィールの低下を抑制する操舵フィール補償制御について説明する。尚、フローチャートについては、第1実施形態と同様であるため、ここではその図示を省略することとする。
第2実施形態に係る操舵フィール補償制御では、ステップS104において、トルクステア補償制御量として、左右駆動トルク偏差Th_diffに応じて補償トルクTRが決定される。ここで、補償トルクTRは、基本アシストトルクTABから減じられる補正項である。この際、ECU100は、予めROMに格納された補償トルクマップを参照する。ここで、図5を参照し、補償トルクマップの詳細について説明する。ここに、図5は、補償トルクTRと左右駆動トルク偏差Th_diffとの関係を例示してなる模式的な特性図である。
図9において、左右駆動トルク偏差Th_diffは、正値を採る場合に(図示0より右側の領域)、右転舵方向にトルクステアが生じることを意味し、負値を採る場合に(図示0より左側の領域)、左転舵方向にトルクステアが生じることを意味する。
ここで、補償トルクTRは、左右駆動トルク偏差Th_diffの絶対値が大きい領域で規定される最大領域を除けば、左右駆動トルク偏差Th_diffが増加するのに応じて絶対値が増加する特性を与えられている。また、その符合は、左右駆動トルク偏差Th_diffによって生じるトルクステアに対しアシストトルクTAを減じる方向である。即ち、右転舵(正側)であれば左転舵方向(負側)に、左転舵(負側)であれば右転舵方向(正側)に設定される。尚、図5は、実際の補償トルクマップの構成を示すものではなく、実際の補償トルクマップには、図5に示された関係が数値化された状態で格納されている。
図5において、補償トルクTRは、左右駆動トルク偏差Th_diffがゼロである場合を除き、絶対値がゼロより大きい負値を採る。即ち、右転舵であれば左転舵方向に、左転舵であれば右転舵方向に設定される。尚、
第2実施形態におけるステップS105では、下記(2)式に従って、EPS200の最終的なアシストトルクTAが決定される。
TA=TAB−TRf・・・(2)
上記(2)式において、TRfは、補償トルクTRに基づいて決定される最終補償トルクである。尚、最終補償トルクTRfは、基本アシストトルクTABと補償トルクTRとの和(補償トルクTRは、転舵方向と逆方向に付与されるトルクであるため、和を取ることにより減少する。尚、これ以降、適宜この和を「当該和」と称する)に応じて設定され、当該和がゼロ以下となる(補償トルクTRの絶対値が基本アシストトルクTAB以上となる)場合には、その時点の基本アシストトルクTABの値に制限される。即ち、最終補償トルクTRfの最大値は、基本アシストトルクTABであり、第1実施形態と同様にアシストトルクTAが転舵方向と逆方向に付与されることが防止されている。
一方、当該和がゼロより大きくなる場合(補償トルクTRの絶対値が基本アシストトルクTAB未満である場合)、上記(2)式に従って算出されるアシストトルクTAの連続性を担保するため、最終補償トルクTRfの漸減処理が実行される。ここで、図6を参照し、当該和と最終補償トルクTRfとの関係について説明する。ここに、図6は、当該和と最終補償トルクTRfとの関係を例示する模式図である。
図6において、縦軸及び横軸に、夫々最終補償トルクTRf及び当該和(TAB+TR)が表されている。図6に示すように、最終補償トルクTRfは、当該和が増加する(補償トルクTRが減少する)のに伴い、最大値TABから最小値0まで滑らかに減衰する特性を与えられている。ECU100は、ステップS104において補償トルクTRを決定すると、基本アシストトルクTABの値に応じて適宜この漸減処理を実行し、アシストトルクTAの不連続な変化を抑制する構成となっている。
最終的なアシストトルクTAが決定されると、ECU100は、この最終的なアシストトルクTAが得られるように、EPS200を駆動制御する(ステップS106)。ステップS106が実行されると、処理はステップS101に戻される。第2実施形態に係る操舵フィール補償制御は、以上の如くに実行される。
このように、第2実施形態においても、ステップS104において算出された、転舵方向と異なる符合を有する補償トルクTRにより、アシストトルクTAは、本来付与されるべき基本アシストトルクTABに対して減少側に補正される。即ち、転舵方向へ作用するトルクステアを打ち消す方向へ補正トルクが付与される。このため、第1実施形態と同様に、操舵フィールの低下を抑制することが可能となる。また本実施形態においても、アシストトルクTAは負値を採らない構成となっている。このため、第1実施形態と同様に、操舵フィールの低下を確実に抑制し得る旨の実践上極めて高い利益が提供される。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態として、第1及び第2実施形態と異なる手法でトルクステアによる操舵フィールの低下を抑制する操舵フィール補償制御について説明する。尚、フローチャートについては、第1実施形態と同様であるため、ここではその図示を省略することとする。
第3実施形態に係る操舵フィール補償制御におけるステップS104では、先ず操舵方向が判定される。操舵方向は、操舵角の時間変化量たる操舵角速度ωと、操舵トルクMTとに基づいて公知の手法により判定可能である。操舵方向が判定されると、ECU100は、この操舵方向と、操舵角速度ω(図1には不図示の操舵角センサにより検出される操舵角の時間微分値であり、操舵速度を規定する指標値である)とに基づいて、EPS200の補償ダンピング制御量DPを決定する。
続くステップS105では、下記(3)式に従って、最終的なダンピング制御量DPGが算出される。
DPG=DPGB−DP・・・(3)
ここで、DPGBは、ダンピング制御量DPGの基本値たる基本ダンピング制御量であり、予めEPS200の基本動作特性として決定されている値である。
補償ダンピング制御量DPは、基本ダンピング制御量DPGBに対する補正量である。ECU100は、補償ダンピング制御量DPを決定するにあたり、予めROMに格納された補償ダンピング制御量マップを参照する。ここで、図7を参照し、補償ダンピング制御量マップの詳細について説明する。ここに、図7は、操舵角速度ωと補償ダンピング制御量DPとの関係を例示してなる模式的な特性図である。
図7において、補償ダンピング制御量DPは、操舵方向が、転舵方向への追操舵に相当する切り込み方向であるか、転舵方向と逆方向への追操舵に相当する切り戻し方向であるかによって異なる特性を与えられている。切り込み方向である場合(実線参照)、補償ダンピング制御量DPは、操舵角速度ωの上昇に応じて右転舵時には負側で、左転舵時には正側で、その絶対値が大きくなる特性を与えられている。即ち、切り込み側のダンピング制御量は、操舵角速度ωが大きくなる程、トルクステアによる、転舵方向への操舵され易さを打ち消す方向に大きくなり、ドライバに付与される操舵抵抗が大きくなる。その結果、左右駆動トルク偏差Th_diffによって生じるトルクステアの方向へ更にステアリングを切り込む場合には、操舵フィールは重くなる。
一方、切り戻し方向である場合(破線参照)、補償ダンピング制御量DPは、操舵角速度ωの上昇に応じて右転舵時には正側で、左転舵時には負側で、その絶対値が大きくなる特性を与えられている。但し、その絶対値の変化幅は、切り込み時と較べると小さいものとされている。このように、切り戻し側のダンピング制御量は、操舵角速度ωが大きくなる程、トルクステアによる、転舵方向への操舵され難さを打ち消す方向に大きくなり、ドライバに付与される操舵抵抗が小さくなる。その結果、左右駆動トルク偏差Th_diffによって生じるトルクステアの方向とは逆方向へステアリングを切り戻す場合に、操舵フィールが軽くなる。
このように、第3実施形態によれば、EPS200のダンピング制御量DPGが、トルクステアによる操舵フィールへの影響を補償する方向へ補正され、切り込み時の操舵フィールの軽さと、切り戻し時の操舵フィールの重さが同時に緩和される。即ち、切り込み時と切り戻し時とで、操舵フィールに顕著な差が現れ難くなり、ドライバに対し好適な操舵フィールが与えられるのである。
尚、図7は、実際の補償ダンピング制御量マップの構成を示すものではなく、実際の補償ダンピング制御量マップには、図7に示された関係が数値化された状態で格納されている。
<参考形態>
次に、図8を参照し、本発明の参考形態に係る車両20の構成について説明する。ここに、図8は、車両20の構成を概念的に表してなる概略構成図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には、同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図8において、車両20は、ステアリングシャフト12の代わりにアッパーステアリングシャフト21とロアステアリングシャフト22とを有し、それらの間に、本発明に係る「舵角可変手段」の一例としてのVGRS400を備える。また、図8には、車両20に備わる各種センサの一部として、新たに操舵角MAを検出可能な操舵角センサ23が示されている。操舵角センサ23は、ECU100と電気的に接続されており、検出された操舵角MAは、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
ここで、VGRS400について、簡単に説明すると、VGRS400は、ハウジング、VGRSモータ及び減速機構を備える。このハウジングは、アッパーステアリングシャフト21に固定されており、また、遊星歯車機構として構成される減速機構の出力回転要素は、ロアステアリングシャフト22に接続されている。従って、減速機構の一回転要素にロータが連結されたVGRSモータから適宜トルクを付与することによって、ロアステアリングシャフト22をアッパーステアリングシャフト21に対し相対回転させることが可能である。この相対回転は、操舵角MAと転舵角δfとの関係を変化させるから、VGRS400によれば、転舵角δfを直接制御量として操舵フィール補償制御を実行することができる。
ここで、参考形態に係る操舵フィール補償制御について説明する。但し、フローチャートは、第1実施形態と同様であり、ここでは省略することとする。
ECU100は、ステップS104において、トルクステア補償制御量として、補償舵角δを決定する。補償舵角δが決定されると、ECU100は、下記(4)式に従って、車両10の転舵角δfを補正する(ステップS105)。
δf=δfb+δ・・・(4)
ECU100は、ステップS104において、予めROMに格納された補償舵角マップ参照して、この補償舵角δを決定する。ここで、図9を参照し、補償舵角マップの詳細について説明する。ここに、図9は、補償舵角δと左右駆動トルク偏差Th_diffとの関係を例示してなる模式的な特性図である。
図9において、補償舵角δは、左右駆動トルク偏差Th_diffの絶対値が大きい領域で規定される最大領域を除けば、左右駆動トルク偏差Th_diffが増加するのに応じて絶対値が増加する特性を与えられている。また、その符合は、左右駆動トルク偏差Th_diffによって生じるトルクステアに対し転舵角を減じる方向である。即ち、右転舵(正側)であれば左転舵方向(負側)に、左転舵(負側)であれば右転舵方向(正側)に設定される。尚、図9は、実際の補償舵角マップの構成を示すものではなく、実際の補償舵角マップには、図9に示された関係が数値化された状態で格納されている。
このように、参考形態によれば、転舵角を可変とし得るVGRS400により、左右駆動トルク偏差Th_diffによるトルクステアを打ち消す方向への転舵角の変化が促される。このため、係るトルクステアによる操舵フィールの低下を効果的に防止することが可能となる。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う車両の操舵支援装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明は、例えば、左右転舵輪に独立して駆動力を付与可能な車両に適用可能である。

Claims (3)

  1. 転舵輪の転舵を促す操舵力を補助する補助トルクを出力可能な補助トルク出力手段と、
    前記転舵輪に対し左右独立して制駆動トルクを付与可能な制駆動トルク付与手段と
    を備えた車両の制御装置であって、
    ドライバ操舵トルクに応じて前記補助トルクの基本値たる基本補助トルクを決定する基本補助トルク決定手段と、
    前記制駆動トルク付与手段を介して前記転舵輪に左右の駆動トルク偏差が付与される場合において、操舵方向への前記補助トルクが所定値未満とならない範囲で、前記左右の駆動トルク偏差によるトルクステアが打ち消されるように、前記駆動トルク偏差に応じて前記決定された基本補助トルクを補正する基本補助トルク補正手段と、
    前記補助トルクとして前記補正された基本補助トルクが出力されるように前記補助トルク出力手段を制御する補助トルク制御手段と
    前記車両において追操舵がなされる場合に、該追操舵の方向と操舵速度とに基づいて前記補助トルク出力手段のダンピング制御量を補正するダンピング補正手段と
    を具備し、
    前記左右の駆動トルク偏差は、前記転舵輪の転舵を促す方向へ付与され、
    前記ダンピング補正手段は、
    前記追操舵として切り込み操舵がなされる場合に、前記操舵速度の大小が前記ダンピング制御量の大小に夫々対応するように、及び/又は、前記追操舵として切り戻し操舵がなされる場合に、前記操舵速度の大小が前記ダンピング制御量の小大に夫々対応するように、前記ダンピング制御量を補正する
    ことを特徴とする車両の制御装置。
  2. 前記左右の駆動トルク偏差は、前記転舵輪の転舵を促す方向へ付与され、
    前記基本補助トルク補正手段は、前記決定された基本補助トルクを減少側に補正する
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
  3. 前記基本補助トルク補正手段は、ゼロ未満とならない範囲で前記決定された基本補助トルクを補正する
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
JP2010521147A 2009-01-13 2009-01-13 車両の制御装置 Expired - Fee Related JP5293738B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2009/050298 WO2010082292A1 (ja) 2009-01-13 2009-01-13 車両の制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2010082292A1 JPWO2010082292A1 (ja) 2012-06-28
JP5293738B2 true JP5293738B2 (ja) 2013-09-18

Family

ID=42339561

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010521147A Expired - Fee Related JP5293738B2 (ja) 2009-01-13 2009-01-13 車両の制御装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5293738B2 (ja)
WO (1) WO2010082292A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3056409A1 (en) * 2015-02-13 2016-08-17 Steering Solutions IP Holding Corporation Torque steering mitigation for electric power steering

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014175052A1 (ja) * 2013-04-23 2014-10-30 日本精工株式会社 電動パワーステアリング装置

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005112285A (ja) * 2003-10-10 2005-04-28 Toyoda Mach Works Ltd 車両用操舵制御装置
JP2005263067A (ja) * 2004-03-19 2005-09-29 Nissan Motor Co Ltd 車両の舵角比制御装置
JP2007125944A (ja) * 2005-11-01 2007-05-24 Nsk Ltd 電動パワーステアリング装置の制御装置

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6085860A (en) * 1997-03-22 2000-07-11 Robert Bosch Gmbh Method and apparatus for operating a steering system for a motor vehicle
JP4291924B2 (ja) * 1999-09-13 2009-07-08 本田技研工業株式会社 車両の協調制御装置
JP2004161079A (ja) * 2002-11-11 2004-06-10 Koyo Seiko Co Ltd 電動パワーステアリング装置
JP2005262936A (ja) * 2004-03-17 2005-09-29 Hitachi Ltd 電動パワーステアリング装置
JP4810940B2 (ja) * 2005-09-16 2011-11-09 トヨタ自動車株式会社 車輌の操舵補助力制御装置
JP4572915B2 (ja) * 2007-07-11 2010-11-04 トヨタ自動車株式会社 車輌用操舵制御装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005112285A (ja) * 2003-10-10 2005-04-28 Toyoda Mach Works Ltd 車両用操舵制御装置
JP2005263067A (ja) * 2004-03-19 2005-09-29 Nissan Motor Co Ltd 車両の舵角比制御装置
JP2007125944A (ja) * 2005-11-01 2007-05-24 Nsk Ltd 電動パワーステアリング装置の制御装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3056409A1 (en) * 2015-02-13 2016-08-17 Steering Solutions IP Holding Corporation Torque steering mitigation for electric power steering
US10322745B2 (en) 2015-02-13 2019-06-18 Steering Solutions Ip Holding Corporation Torque steering mitigation for electric power steering

Also Published As

Publication number Publication date
WO2010082292A1 (ja) 2010-07-22
JPWO2010082292A1 (ja) 2012-06-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4609515B2 (ja) 車両の操舵制御装置
JP5036780B2 (ja) 車両の制御装置
US8892309B2 (en) Vehicle steering control apparatus
EP1975041B1 (en) Steering system
JP4470565B2 (ja) 車両用操舵装置
WO2018055805A1 (ja) パワーステアリング装置の制御装置
WO2010073400A1 (ja) 車両の走行支援装置
US8229627B2 (en) Vehicle steering apparatus
JP6213904B1 (ja) 車両用挙動制御装置
JP6270251B1 (ja) 車両用挙動制御装置
JP6270250B1 (ja) 車両用挙動制御装置
JP5445485B2 (ja) 車両の走行制御装置
JP4639146B2 (ja) パワーステアリング装置
JP2011201366A (ja) 車両の制御装置
JP5293738B2 (ja) 車両の制御装置
JP4368900B2 (ja) 操舵システム
JP2006213085A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2007314094A (ja) 電動ポンプ装置及びパワーステアリング装置
JP2008126808A (ja) 車両の制御装置
JP5012314B2 (ja) 車両用操舵装置
JP2007283954A (ja) 操舵装置
JP2009255855A (ja) 後輪トー角制御装置
JP6388258B2 (ja) 車両用挙動制御装置
JP5144320B2 (ja) エンジン制御装置
JP4930326B2 (ja) 電動パワーステアリング装置

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130212

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130412

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130514

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130527

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5293738

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees