以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、図1〜図4を参照して、本発明の一実施形態によるウエハアライメント装置100の構造について説明する。
図1および図2に示すように、本実施形態によるウエハアライメント装置100は、シリコンウエハ111およびウエハ支持ガラス基板112を含む貼り合わせウエハ110のエッジ(外周縁部)の位置を検出して、貼り合わせウエハ110の中心位置や、貼り合わせウエハ110に設けられたノッチ(切欠部)またはオリエンテーションフラットの位置を求め、貼り合わせウエハ110(シリコンウエハ111)の位置決め(アライメント)を行うための装置である。
貼り合わせウエハ110は、円板形状を有するシリコンウエハ111が円板形状を有する補強用のウエハ支持ガラス基板112の表面に貼り合わされることにより形成されている。図1および図2に示すように、シリコンウエハ111は、直径d1(たとえば、300mm)および厚みt1(約30μm〜約100μm)を有する不透明なウエハである。シリコンウエハ111はこの小さな厚みt1(約30μm〜約100μm)のために機械的な強度が弱いため、シリコンウエハ111に対する各種の半導体デバイスの製造プロセスは、ウエハ支持ガラス基板112により補強された状態で実施される。ウエハ支持ガラス基板112は、シリコンウエハ111の厚みt1よりも大きな厚みt2を有するとともに、シリコンウエハ111の直径d1よりも一回り大きな直径d2を有する透明なガラス基板である。
図2に示すように、シリコンウエハ111およびウエハ支持ガラス基板112には、外周部の所定位置にノッチ111aおよび112aがそれぞれ形成されている。なお、ウエハの種類により、ノッチ111aおよび112aに代えて、外周部の所定位置に平坦部(オリエンテーションフラット、図示せず)を形成する場合がある。そして、シリコンウエハ111とウエハ支持ガラス基板112とは、水平方向の位置(中心位置O)および回転方向の位置(ノッチまたはオリエンテーションフラットの回転角度位置)を一致させた状態で貼り合わされている。したがって、貼り合わせウエハ110は、平面的に見ると、内側(中心側)にシリコンウエハ111のエッジ111bが配置され、外側にウエハ支持ガラス基板112のエッジ112bが配置されるように構成されている。なお、シリコンウエハ111およびウエハ支持ガラス基板112は、それぞれ、本発明の「半導体ウエハ」および「ウエハ支持基板」の一例である。
図1に示すように、ウエハアライメント装置100は、貼り合わせウエハ110が載置される回転ステージ10と、エッジ検出部20と、センサ処理部30と、コントローラ40とを備えている。なお、回転ステージ10およびコントローラ40は、それぞれ、本発明の「ウエハ回転部」および「制御部」の一例である。
回転ステージ10は、貼り合わせウエハ110を回転ステージ10上に載置した状態で把持(チャック)して、図2に示すように、鉛直方向の回転軸(回転中心)10a回りに貼り合わせウエハ110を回転させる機能を有する。図1に示すように、回転ステージ10は、貼り合わせウエハ110を回転させるためのモータ11と、モータ11の回転位置(回転角度位置)を検出するためのエンコーダ12とを含んでいる。これにより、回転ステージ10は、コントローラ40からの回転位置指令に基づき、貼り合わせウエハ110を水平面上で回転させて任意の回転位置に配置することが可能なように構成されている。また、エンコーダ12は、検出したモータ11の回転位置(すなわち、貼り合わせウエハ110の回転位置)の情報(回転位置情報)をセンサ処理部30に出力するように構成されている。
また、エッジ検出部20は、貼り合わせウエハ110のエッジ位置を検出する機能を有する。エッジ検出部20は、上側に設けられたラインセンサ21と、下側に設けられた光源22とを含んでいる。これらのラインセンサ21と光源22とは、貼り合わせウエハ110が回転ステージ10上に載置された状態で、貼り合わせウエハ110を挟んでラインセンサ21と光源22とが対向するように、鉛直方向に所定の間隔を隔てて配置されている。
ラインセンサ21は、図2に示すように、複数の画素が直線状に配列された1列の画素列を有するCCDラインセンサであり、画素毎に受光した光量に応じた電荷を蓄積するように構成されている。各画素に蓄積された電荷は、センサ処理部30からの転送パルス信号によって、開始端21aの1番目の画素から順に画素毎にセンサ処理部30に読み出される。また、ラインセンサ21は、貼り合わせウエハ110の半径方向に沿って、貼り合わせウエハ110の中心側に開始端21a(1番目の画素)が位置するとともに、シリコンウエハ111のエッジ111bおよびウエハ支持ガラス基板112のエッジ112bを跨いで外側に終端21b(最終の画素)が位置するように固定的に配置されている。ラインセンサ21は、貼り合わせウエハ110の中心側の開始端21aから終端21bに向かう矢印A方向に走査して、光源22から各画素に入射した光量に応じた信号を出力するように構成されている。なお、開始端21aは、本発明の「走査開始端」の一例である。
図1に示すように、光源22は、センサ処理部30から入力される制御信号に基づいて発光し、貼り合わせウエハ110の下側からラインセンサ21に対して平行光を照射することが可能なように構成されている。すなわち、光源22は、シリコンウエハ111のエッジ111bおよびウエハ支持ガラス基板112のエッジ112bを含む領域に光を投光するように構成されている。
また、図1に示すように、センサ処理部30は、ラインセンサ21から検出信号の読み出しを行う信号処理部31と、光源22の点灯および消灯の制御を行う発光制御部32と、データ処理部33と、メモリ34とを含んでいる。なお、メモリ34は、本発明の「記憶部」の一例である。
信号処理部31は、コントローラ40から入力される制御信号に基づいて、ラインセンサ21から検出信号の読み出しを行うとともに、検出信号に基づいて貼り合わせウエハ110のエッジ位置を検出するように構成されている。具体的には、信号処理部31は、ラインセンサ21に対して、画素に蓄積された電荷を電気信号に変換する際のタイミング信号であるリードアウトゲートパルス(ROG)信号を出力するとともに、転送パルス信号を出力することによって、ラインセンサ21の1番目の画素(開始端21a)から順次、検出信号を読み出すように構成されている。
また、図3に示すように、信号処理部31は、シリコンウエハ111のエッジ位置P1、または、ウエハ支持ガラス基板112のエッジ位置P2を検出する機能を有するとともに、シリコンウエハ111のエッジ位置P1およびウエハ支持ガラス基板112のエッジ位置P2のいずれを検出するかを設定可能に構成されている。そして、検出されたエッジ位置P1(エッジ位置P1に対応する画素)またはエッジ位置P2(エッジ位置P2に対応する画素)は、貼り合わせウエハ110のエッジ情報として、データ処理部33に出力されるように構成されている。
また、図1に示すように、発光制御部32は、コントローラ40からの制御信号に基づき、光源22のオン(点灯)およびオフ(消灯)を制御するように構成されている。
データ処理部33は、信号処理部31により検出された貼り合わせウエハ110のエッジ情報(エッジ位置P1またはP2に対応する画素の情報)を取得するとともに、エッジ情報に対応する回転ステージ10のエンコーダ12の回転位置情報を取得するように構成されている。すなわち、データ処理部33は、ラインセンサ21へタイミング信号(ROG信号)が出力された時点におけるエンコーダ12の回転位置情報を取得することにより、エッジ情報とエッジ検出時点における貼り合わせウエハ110の回転位置情報とを対応付けて取得するように構成されている。
そして、データ処理部33は、取得したエッジ情報と回転位置情報とを対応付けて、ウエハエッジデータとしてメモリ34に格納するように構成されている。つまり、ウエハエッジデータは、貼り合わせウエハ110の回転位置情報と、貼り合わせウエハ110のエッジ情報(シリコンウエハ111のエッジ位置P1またはウエハ支持基板112のエッジ位置P2)とを含む情報である。また、メモリ34に格納されたウエハエッジデータは、コントローラ40により読み出されるように構成されている。
コントローラ40は、アライメント演算部41を有し、センサ処理部30(信号処理部31)のエッジ検出設定を送信するとともに、センサ処理部30および回転ステージ10に各種制御信号を出力することによってアライメント動作制御を行うように構成されている。コントローラ40は、回転ステージ10により貼り合わせウエハ110を回転させ、エッジ情報と回転位置情報とを対応付けたウエハエッジデータを貼り合わせウエハ110の全周にわたって取得することによって、貼り合わせウエハ110の外周形状の情報(外周データ)を取得するように構成されている。
また、コントローラ40は、所定の場合に、信号処理部31のエッジ検出の設定を切り替えるように構成されている。具体的には、図3に示すように、信号処理部31がシリコンウエハ111のエッジ位置P1を検出する設定(検出設定=「シリコンウエハ」)で、エッジ位置P1を正常に検出できない場合に、エッジ検出の設定をウエハ支持ガラス基板112のエッジ位置P2を検出する設定(検出設定=「ウエハ支持ガラス基板」)に切り替えるように構成されている。また、コントローラ40は、エッジ検出の設定を切り替えて再度エッジ検出を行うリトライ動作を実行するか否かを設定可能に構成されている。
アライメント演算部41は、センサ処理部30のメモリ34に記憶された貼り合わせウエハ110の全周にわたるウエハエッジデータ(外周データ)に基づいて、貼り合わせウエハ110の中心位置Oおよびノッチ位置(またはオリエンテーションフラット位置)を算出するように構成されている。このアライメント演算部41によって算出された貼り合わせウエハ110の中心位置Oおよびノッチ位置(またはオリエンテーションフラット位置)に基づいて、貼り合わせウエハ110の位置決め(アライメント)が行われるように構成されている。
次に、図3を参照して、本実施形態によるウエハアライメント装置100を用いて貼り合わせウエハ110のエッジ位置を検出する方法について詳細に説明する。
上記のように貼り合わせウエハ110は不透明なシリコンウエハ111と透明なウエハ支持ガラス基板112とから構成されているため、光源22からラインセンサ21に投光される光は、シリコンウエハ111が存在する領域では遮光される。また、ウエハ支持ガラス基板112の端面(エッジ)近傍の部分では所定の曲面または傾斜面形状の面取部が形成されるため、このエッジ近傍の領域(面取部)では光源22からの光が遮光される。一方、光源22からの光は、シリコンウエハ111の外側で、かつ、ウエハ支持ガラス基板112の平坦領域(面取部以外の領域)では、ウエハ支持ガラス基板112を透過してラインセンサ21により受光される。また、光源22からの光は、ウエハ支持ガラス基板112の外側の領域では遮光されずにラインセンサ21により受光される。
このため、ラインセンサ21の各画素の検出信号は、図3に示すように、シリコンウエハ111が存在する遮光領域D1では、遮光レベルの信号強度となる。そして、検出信号の強度は、シリコンウエハ111のエッジ位置P1に対応する画素N1で立ち上がるとともに、ウエハ支持ガラス基板112のみが存在する平坦領域D2では、ウエハ支持ガラス基板112を透過する際の損失分だけ強度の低下した所定の閾値以上の強度となる。一方、ウエハ支持ガラス基板112のエッジ位置P2の直前の面取部に対応する画素(画素N2の直前の画素)では反射などのため、検出信号の強度が閾値以下に立ち下る。また、エッジ位置P2(画素N2)では、検出信号の強度が閾値を超えて再び立ち上がり、損失のない入光レベルの信号強度となる。なお、エッジ位置P2(画素N2)よりも外側の領域D3においても、検出信号の強度は損失のない入光レベルの信号強度となる。
以上から、検出信号の信号強度が閾値を超える変化点(立ち上がり点)に着目すれば、遮光領域D1内にある1番目の画素(開始端21a)に最も近い変化点(画素N1)が、シリコンウエハ111のエッジ位置P1である。また、ウエハ支持ガラス基板112のエッジ位置P2およびエッジ位置P2よりも外側の領域D3では検出信号の強度が入光レベルとなるため、最終の画素(終端21b)に最も近い変化点(画素N2)がウエハ支持ガラス基板112のエッジ位置P2である。したがって、信号処理部31は、開始端21aから終端21bまで走査して検出信号を読み出した場合に、最初の変化点の画素N1をシリコンウエハ111のエッジ位置P1として検出し、最後の変化点の画素N2をウエハ支持ガラス基板112のエッジ位置P2として検出することが可能である。
ここで、製造プロセスが進行すると、シリコンウエハ111のエッジに欠け(損傷)が発生する場合や、シリコンウエハ111のエッジ近傍に貫通孔(ピンホール)が形成される場合がある。また、ウエハ支持ガラス基板112上には、パーティクルなどの汚れが付着する。したがって、プロセスの進行に伴って、シリコンウエハ111のエッジ111bの状態(形状)や、ウエハ支持ガラス基板112の汚れ具合は変化する。なお、ウエハ支持ガラス基板112は各製造プロセスによる加工対象ではないため、シリコンウエハ111と異なりエッジ112bの損傷などは生じないと考えてよい。
図3に示すように、初期の製造プロセスにおいては、シリコンウエハ111のエッジの損傷やウエハ支持ガラス基板112への汚れの付着などがほとんど発生しないため、この段階における貼り合わせウエハ110のアライメントを行う場合には、センサ信号状態1に示すような検出信号が得られる。この場合、検出信号の最初の変化点の画素N1を検出することにより、シリコンウエハ111のエッジ位置P1を正確(高精度)に検出することができる。
一方、製造プロセスが進行して、シリコンウエハ111のエッジ近傍に貫通孔が形成された貼り合わせウエハ110のアライメントを行う場合、その部分ではセンサ信号状態2(図3参照)に示すように、遮光領域D1にも閾値を超えるレベルの部分が生じた検出信号が得られる。この場合、検出信号の最初の変化点(立ち上がり点)の画素を検出すると、シリコンウエハ111の貫通孔の位置P3をエッジ位置P1と誤認識してしまう。この場合には、計測位置におけるシリコンウエハ111のエッジ111bが実際よりも内側と認識される。また、シリコンウエハ111のエッジ111bに欠けが発生すると、エッジ位置P1自体がずれる。この場合でも、検出信号の最後の変化点(立ち上がり点)の画素N2を検出することにより、ウエハ支持ガラス基板112のエッジ位置P2を検出することが可能である。
また、ウエハ支持ガラス基板112上に汚れが付着すると、領域D2にも汚れに起因する遮光部分が発生することになる。このため、その部分ではセンサ信号状態3(図3参照)に示すような検出信号が得られる。この場合にも、検出信号の最後の変化点(立ち上がり点)の画素N2を検出することにより、ウエハ支持ガラス基板112のエッジ位置P2を検出することが可能である。ただし、ウエハ支持ガラス基板112のエッジ位置P2を検出した場合にはシリコンウエハ111とウエハ支持ガラス基板112との貼り合わせ精度の問題が存在するため、貼り合わせウエハ110(シリコンウエハ111)の位置検出としては、シリコンウエハ111のエッジ位置P1を直接検出する場合の方が高精度な検出を行うことができる。
次に、コントローラ40により取得される貼り合わせウエハ110の1周分の外周データ(ウエハエッジデータ)について図4を用いて説明する。
図4では、縦軸にエッジ情報(ラインセンサ21の画素)、横軸に回転位置情報(貼り合わせウエハ110の回転位置:回転角度)をとり、各回転位置において検出されたエッジ位置P1(画素N1)をプロットしたグラフを示している。外周データ中、エッジ位置P1が大きく変化している部分がノッチ111aに相当する部分である。また、エッジ位置P1を示す画素N1が回転角度に応じて波うつように変動するのは、回転ステージ10の回転中心10aと、貼り合わせウエハ110の中心位置Oとが完全には一致していないことを示しており、両者が完全に一致した理想的な場合には、略直線状(ノッチ111aを除く)のグラフとなる。なお、図2においては、回転中心10aと、貼り合わせウエハ110の中心位置Oとが一致するように図示している。また、図3のセンサ信号状態2およびセンサ信号状態3の場合にシリコンウエハ111のエッジ検出を行うと、得られるシリコンウエハ111の外周データは、エッジ位置P1が大きく変化する部分が広範囲にわたって複数検出される場合や、全体として歪んだ外形形状となる場合が生じ得る。
次に、図3〜図5を参照して、本発明の一実施形態によるウエハアライメント装置100のアライメント動作処理について説明する。なお、以下に示すアライメント動作においては、コントローラ40がウエハアライメント装置100の各部を制御することにより行われる。
まず、図5に示すように、ステップS1において、アライメント動作が開始される。すなわち、アライメント動作も含む製造プロセス全体の制御を行う図示しない上位機器(制御装置)からの指令信号に基づき、コントローラ40から、回転ステージ10およびセンサ処理部30に制御信号が出力される。
回転ステージ10により貼り合わせウエハ110が吸着され、回転軸を中心に回転されるとともに、光源22が点灯される。そして、エッジ検出部20のラインセンサ21により貼り合わせウエハ110の中心側からエッジ側に向かって走査され、検出信号がセンサ処理部30の信号処理部31により読み出される。
読み出された検出信号から、信号処理部31により貼り合わせウエハ110のエッジ位置が検出される。この際、信号処理部31は、コントローラ40により設定されたエッジ検出設定(図3参照)に基づき、検出信号の最初の変化点の画素N1(シリコンウエハ111のエッジ位置P1)、または、最後の変化点の画素N2(ウエハ支持ガラス基板112のエッジ位置P2)を検出する。そして、検出されたエッジ情報が、信号処理部31からデータ処理部33に出力される。また、データ処理部33には、並行してエンコーダ12から回転位置情報が入力される。これにより、データ処理部33によって、エッジ情報と、対応する回転位置情報とを含むウエハエッジデータがメモリ34に格納される。上記のウエハエッジデータの取得が貼り合わせウエハ110の1周分(約360度)行われることにより、貼り合わせウエハ110の外周データ(図4参照)が取得される。また、1周分の貼り合わせウエハ110のウエハエッジデータ(外周データ)が、メモリ34からコントローラ40により読み込まれる。
次に、得られた1周分の貼り合わせウエハ110のウエハエッジデータ(外周データ)に基づき、コントローラ40のアライメント演算部41により、貼り合わせウエハ110の中心位置Oおよびノッチ位置(またはオリエンテーションフラット位置)が算出される。ここでは、エッジ検出設定が「シリコンウエハ」の場合の中心位置Oおよびノッチ位置の算出方法の一例を説明する。
まず、図4に示す1周分のウエハエッジデータ(外周データ)のうちエッジ位置P1の変化量の大きい部分を検出する。このとき、エッジ位置P1の変化量の大きい部分は、概ねノッチ111aに相当する。したがって、このエッジ位置P1の変化量の大きい部分の両端の回転位置θ1と回転位置θ2との間にノッチ111aが存在すると仮定する。次に、仮定したノッチ部分を除いたウエハエッジデータから、代表点として等角度間隔で複数のエッジ位置P1を抽出し、これら複数の代表点を用いてノッチ部分を除いた外周データの重心位置(幾何学的な重心位置)を求めることにより、シリコンウエハ111(貼り合わせウエハ110)の中心位置Oを算出する。そして、中心位置Oを中心とする円(直径d1)を求め、シリコンウエハ111の外形の理論値とする。この理論値(円)と実際のウエハエッジデータとの差分を求めると、ノッチ111aに対応する部分の差分が大きくなるので、この差分の大きくなる部分がノッチ111aと判断される。最後に、ノッチ111aと判断した部分のウエハエッジデータに放物線近似などを行い、ノッチ111aの最深部(最も中心に近い位置)の位置θ3を取得する。これにより、シリコンウエハ111(貼り合わせウエハ110)の中心位置Oおよびノッチ111aの位置(回転位置)θ3を求めることができる。
以上の演算によって貼り合わせウエハ110(シリコンウエハ111)のノッチ111aの位置θ3が取得されると、得られたノッチ111aの位置θ3を所定の位置に配置するべく回転ステージ10が駆動され、ノッチ111aの位置決め(回転位置決め)が行われる。ノッチ111aの位置決め(回転位置決め)が終了すると、アライメント動作が終了する。なお、貼り合わせウエハ110の中心位置O(中心位置のズレ)は、コントローラ40から上位機器に出力され、後続のプロセスへの搬送工程などの際に補正することが可能である。また、オリエンテーションフラットを有する貼り合わせウエハの場合も、略同様の処理が行われる。
なお、アライメント動作中、ノッチ111aの位置θ3が算出されるまでの各段階において、ノッチ部分を特定できない場合、中心位置Oが検出できない場合などには、アライメントエラーと判断されるとともにアライメント動作が中断されて、アライメント動作が正常に終了していない状態となる。
つまり、図3に示すように、シリコンウエハ111がセンサ信号状態2やセンサ信号状態3に示すような状態で、かつ、エッジ検出設定が「シリコンウエハ」の場合には、シリコンウエハ111の欠け(損傷)および貫通孔(ピンホール)の発生に起因して、1周分のウエハエッジデータにエッジ位置P1の変化量の大きい部分が広角度範囲に離れて存在する場合や、ノッチ部分を特定することができない場合が生じることになる。このような場合には、アライメントエラー(正常に検出できない)と判断されるとともにアライメント動作が中断されて正常に終了していない状態となる。
本実施形態では、ステップS2において、コントローラ40により、アライメント動作が正常に終了したか否かが判断される。ノッチ111aの位置決めが終了し、アライメント動作が正常に終了した場合には、アライメント動作は終了する。上記のようにアライメントエラーと判断されて正常に終了していない場合には、ステップS3に移行する。
ステップS3では、コントローラ40により、現在のエッジ検出設定がシリコンウエハ111に設定されているか否かが判定される。センサ処理部30(信号処理部31)に設定されたエッジ検出設定が「シリコンウエハ」である場合には、ステップS1で行われたアライメント動作におけるエッジ検出が、検出信号の最初の変化点の画素N1(シリコンウエハ111のエッジP1)を検出する設定で行われていたことになる。このため、図3に示すようにセンサ信号状態2またはセンサ信号状態3となってシリコンウエハ111のエッジ位置P1を正常に検出できないことに起因して、アライメントエラーと判断された可能性がある。この場合には、ステップS4に進む。一方、エッジ検出設定がウエハ支持ガラス基板112である場合には、他のエラー要因が考えられるので、アライメント動作を中断してエラー終了する。
ステップS4において、コントローラ40により、リトライ機能が有効に設定されているか否かが判断される。リトライ機能が有効に設定されている場合には、ステップS5に進む。一方、リトライ機能が無効に設定されている場合には、アライメント動作を中断してエラー終了する。
ここで、本実施形態では、ステップS5において、図3に示すように、「シリコンウエハ」に設定されていたセンサ処理部30(信号処理部31)のエッジ検出設定が、コントローラ40により、「ウエハ支持ガラス基板」設定に変更される。これにより、信号処理部31は、検出信号の最後の変化点の画素N2(ウエハ支持ガラス基板112のエッジ位置P2)を検出する設定に自動的に切り替えられる。
次に、ステップS6において、コントローラ40により、アライメント動作のリトライが行われる。すなわち、検出信号の最後の変化点の画素N2(ウエハ支持ガラス基板112のエッジ位置P2)を検出することによりウエハエッジデータが取得されるとともに、このウエハエッジデータに基づいて貼り合わせウエハ110のアライメント動作が行われる。この場合、検出信号がセンサ信号状態2またはセンサ信号状態3となる場合にも、検出信号の最後の変化点の画素N2を検出することにより、ウエハ支持ガラス基板112のエッジ位置P2を正常に検出することができる。なお、エッジ検出設定が「ウエハ支持ガラス基板」の場合も、ウエハエッジデータ(外周データ)が異なるのみで、アライメント動作の内容は上記ステップS1と同様である。製造プロセスの初期以外は、製造プロセスの初期に比べて必要となるエッジ検出精度が比較的高くないので、貼り合わせ精度の限界から高精度のエッジ検出精度を得るのが困難なウエハ支持ガラス基板112のエッジ検出でも必要とされるエッジ検出精度を確保することは可能である。
そして、ステップS7では、コントローラ40により、アライメント動作が正常に終了したか否かが判断される。ノッチ位置の位置決めが終了し、アライメント動作が正常に終了した場合には、正常終了してアライメント動作は終了する。ステップS6におけるリトライ動作においてもアライメントエラーと判断される場合には、アライメント動作を中断してエラー終了する。
以上のようにして、ウエハアライメント装置100のアライメント動作処理が行われる。
本実施形態では、上記のように、ラインセンサ21による貼り合わせウエハ110のエッジの検出時に、ラインセンサ21を貼り合わせウエハ110の中心側からエッジ側に向かう矢印A方向に走査するとともに、所定の場合に、シリコンウエハ111のエッジ検出と、ウエハ支持ガラス基板112のエッジ検出とを切り替えるように制御するコントローラ40を設けることによって、シリコンウエハ111のエッジ111bの損傷などが発生して正常なエッジ検出ができなくなった場合などの所定の場合に、ウエハアライメント装置100の稼動(エッジ検出動作)を中断させることなくシリコンウエハ111のエッジ検出と、ウエハ支持ガラス基板112のエッジ検出とをコントローラ40により自動的に切り替えることができる。これにより、シリコンウエハ111のエッジ111bの損傷などが発生していない製造プロセスの初期段階(センサ信号状態1)では、製造プロセス(加工)が行われるシリコンウエハ111のエッジ111b(エッジ位置P1)を直接検出して高精度なエッジ検出を行うことができるとともに、製造プロセスの進行に伴いシリコンウエハ111のエッジ検出が行えなくなった場合(センサ信号状態2または3)には、ウエハ支持ガラス基板112のエッジ検出に自動的に切り替えられて製造プロセスの初期以外で必要とされる精度でエッジ検出を継続して行うことができる。これらの結果、エッジ検出動作(ウエハアライメント装置100の稼動)を中断することなく、貼り合わせウエハ110の製造プロセス全体にわたって必要とされるエッジ検出精度を確保することができる。
また、本実施形態では、上記のように、コントローラ40を、ラインセンサ21を貼り合わせウエハ110の中心側からエッジ側に向かう矢印A方向に走査するとともに、シリコンウエハ111のエッジ111b(エッジ位置P1)が正常に検出できなかったと判断した場合に、ウエハ支持ガラス基板112のエッジ112b(エッジ位置P2)を検出する制御に切り替えるように構成することによって、製造プロセスの進行に伴いシリコンウエハ111のエッジ111b(エッジ位置P1)が正常に検出できなくなった場合に、容易に、エッジ検出動作を中断することなく自動的にウエハ支持ガラス基板112のエッジ112b(エッジ位置P2)を検出する制御に切り替えてエッジ検出を継続することができる。
また、本実施形態では、上記のように、コントローラ40を、シリコンウエハ111のエッジ111b(エッジ位置P1)が正常に検出できたと判断した場合には、シリコンウエハ111のエッジ111b(エッジ位置P1)を貼り合わせウエハ110のエッジ(ウエハエッジデータ)として採用し、シリコンウエハ111のエッジ111b(エッジ位置P1)が正常に検出できなかったと判断した場合には、ウエハ支持ガラス基板112のエッジ112b(エッジ位置P2)を検出する制御に切り替えるとともにウエハ支持ガラス基板112のエッジ112b(エッジ位置P2)を貼り合わせウエハ110のエッジ(ウエハエッジデータ)として採用するように構成することによって、製造プロセス初期および初期以降の製造プロセス全体にわたって、容易に、必要とされる検出精度を満たすウエハエッジデータを採用することができる。
また、本実施形態では、上記のように、エッジ検出設定を予め設定可能に構成するとともに、コントローラ40を、エッジ検出設定が「シリコンウエハ」に設定されている場合で、かつ、シリコンウエハ111のエッジ111b(エッジ位置P1)が正常に検出できなかったと判断した場合に、ウエハ支持ガラス基板112のエッジ112b(エッジ位置P2)を検出する制御(エッジ検出設定=「ウエハ支持ガラス基板」)に切り替えるようにすることによって、ユーザは、シリコンウエハ111の種類やエッジ検出の要求精度などに応じてシリコンウエハ111またはウエハ支持ガラス基板112のエッジの検出設定を選択することができるとともに、エッジ検出設定が「シリコンウエハ」に設定されている場合で、かつ、シリコンウエハ111のエッジ111bが正常に検出できなかったと判断した場合にのみ、エッジ検出設定を「ウエハ支持ガラス基板」に自動的に切り替えることができる。
また、本実施形態では、上記のように、リトライ機能を有効にするか無効にするかを予め設定可能に構成するとともに、コントローラ40を、リトライ機能が有効に設定されている場合で、かつ、シリコンウエハ111のエッジ111b(エッジ位置P1)が正常に検出できなかったと判断した場合に、ウエハ支持ガラス基板112のエッジ112bを検出する制御(エッジ検出設定=「ウエハ支持ガラス基板」)に切り替えるように構成することによって、ユーザはリトライを行うか否かを選択することができるとともに、リトライを行う場合には予めリトライ機能を有効に設定しておくことにより、シリコンウエハ111のエッジ111b(エッジ位置P2)が正常に検出できなかった場合に、エッジ検出設定を「ウエハ支持ガラス基板」に自動的に切り替えてエッジ検出をリトライすることができる。
また、本実施形態では、上記のように、コントローラ40を、シリコンウエハ111のエッジ111b(エッジ位置P1)が正常に検出できたと判断した場合には、ウエハ支持ガラス基板112のエッジ112b(エッジ位置P2)を検出する制御(エッジ検出設定=「ウエハ支持ガラス基板」)に切り替えないように構成することによって、製造プロセスの進行に伴いシリコンウエハ111のエッジ111bが正常に検出できなくなるまで、高精度なシリコンウエハ111のエッジ検出を継続することができる。
また、本実施形態では、上記のように、コントローラ40を、メモリ34に記憶されたウエハエッジデータ(貼り合わせウエハ110の回転位置情報および貼り合わせウエハ110のエッジ情報)に基づいて、貼り合わせウエハ110のノッチ位置θ3(またはオリエンテーションフラットの位置)および中心位置Oを検出することにより、貼り合わせウエハ110の位置決めを行うように構成することによって、エッジ検出設定を「シリコンウエハ」または「ウエハ支持ガラス基板」のいずれに切り替えた場合にも、ウエハエッジデータ(回転位置情報および貼り合わせウエハ110のエッジ情報)に基づいて貼り合わせウエハ110の位置決め(アライメント)を行うことができる。
また、本実施形態では、上記のように、コントローラ40を、メモリ34に記憶されたウエハエッジデータ(貼り合わせウエハ110の回転位置情報および貼り合わせウエハ110(シリコンウエハ111)のエッジ情報)に基づいて、シリコンウエハ111のエッジ111bが正常に検出できたか否かを判断するように構成することによって、ウエハエッジデータ(貼り合わせウエハ110の回転位置情報および貼り合わせウエハ110(シリコンウエハ111)のエッジ情報)から、貼り合わせウエハ110の全周に渡る外周形状(外周データ)を特定することができるので、容易に、シリコンウエハ111のエッジ111b(エッジ位置P1)が正常に検出できたか否か(正しい外周データが取得できたか否か)を判断することができる。
また、本実施形態では、上記のように、不透明なシリコンウエハ111と透明なウエハ支持ガラス基板112との貼り合わせウエハ110を用いる場合にも、コントローラ40による切替制御により、容易に、エッジ検出動作を中断することなく、製造プロセス全体にわたって必要とされるエッジ検出精度を確保することができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、ラインセンサ21をCCDラインセンサにより構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ラインセンサをCMOSラインセンサにより構成してもよい。
また、上記実施形態では、シリコンウエハ111およびウエハ支持ガラス基板112からなる貼り合わせウエハ110のアライメントを行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、シリコンウエハ以外の半導体ウエハにも適用可能である。また、本発明は、ガラス基板以外のウエハ支持基板にも適用可能である。
また、上記実施形態では、エッジ検出設定が「シリコンウエハ」に設定されている場合で、かつ、シリコンウエハ111のエッジ111bが正常に検出できなかったと判断した場合にエッジ検出設定を「ウエハ支持ガラス基板」に切り替えるように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば製造プロセスの段階に応じて、製造プロセス初期の高精度な位置決めが必要な所定プロセスではエッジ検出設定を「シリコンウエハ」に設定し、それ以降のプロセスではエッジ検出設定を「ウエハ支持ガラス基板」に切り替えるように構成してもよい。
また、上記実施形態では、リトライ機能を有効にするか無効にするかを設定可能に構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、シリコンウエハ111のエッジ111bが正常に検出できなかったと判断した場合に、常にリトライを実行するように構成してもよい。また、リトライを実行することなく、エッジ検出設定を「ウエハ支持ガラス基板」に切り替えるとともに、ユーザに通知するべくエラー終了するように構成してもよい。
また、上記実施形態では、エッジ検出設定を「シリコンウエハ」または「ウエハ支持ガラス基板」のいずれかに設定可能に構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、エッジ検出設定を「シリコンウエハ」に固定しておき、シリコンウエハ111のエッジ111bが正常に検出できなかったと判断した場合にのみ、エッジ検出設定を「ウエハ支持ガラス基板」に切り替えるように構成してもよい。
また、上記実施形態で説明した中心位置Oおよびノッチ位置θ3の算出方法は一例であり、本発明はこれに限られない。本発明では、上記した中心位置Oおよびノッチ位置θ3の算出方法以外のどのような方法を用いて貼り合わせウエハの中心位置およびノッチ(またはオリエンテーションフラット)位置を算出してもよい。
また、上記実施形態では、アライメント動作において貼り合わせウエハ110の中心位置Oとノッチ位置θ3(またはオリエンテーションフラット位置)とを検出するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、貼り合わせウエハのノッチ位置、オリエンテーションフラット位置および中心位置の少なくとも1つを検出してアライメントを行うように構成すればよい。
また、上記実施形態では、アライメント動作において貼り合わせウエハ110のノッチ位置θ3の回転位置(1軸)のアライメントを行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば回転ステージを水平方向に移動可能に構成して、貼り合わせウエハの回転位置と中心位置(XY方向位置)との3軸のアライメントを行うように構成してもよい。
また、上記実施形態では、ウエハエッジデータを取得するセンサ処理部30とコントローラ40とを別個に設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、コントローラにセンサ処理部を設けてもよい。この場合、ウエハエッジデータをメモリに記憶させてコントローラが読み出す必要はなく、ウエハエッジデータをデータ処理部からアライメント演算部に直接出力してもよい。
また、上記実施形態では、不透明なシリコンウエハ111および透明なウエハ支持ガラス基板112からなる貼り合わせ基板110のアライメントを行うように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、本発明は、不透明な半導体ウエハおよび透明なウエハ支持基板に限らず、透過率が異なる半導体ウエハおよびウエハ支持基板であれば適用可能である。