JP5292960B2 - 遠心鋳造用フラックス - Google Patents

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Description

本発明は、鉄鋼材料の遠心鋳造に好適なフラックス(以下、遠心鋳造用フラックスという)に関し、特にフッ素とボロンを含有しない遠心鋳造用フラックスに関するものである。
従来から鉄鋼材料の遠心鋳造を行なうにあたって、溶湯(すなわち溶鋼)の表面が酸化されるのを防止するために遠心鋳造用フラックスが使用される。遠心鋳造用フラックスは、フッ素(F)やボロン(B)を添加することによって融点を低下しかつ粘性を低下させたものが広く使用されている。たとえば、特許文献1にはフラックス中にCaF2,B25が含有され、特許文献2,3にはCaF2が含有され、特許文献4にはB25が含有されている。さらに特許文献5にはF単体が含有されている。
ただし、これらの遠心鋳造用フラックスは各種酸化物や鉱石あるいは化合物の粉体の混合物であるから、溶湯に添加されてそれらの粉体が溶融してガラス化した時点で、FやBがその低融点化効果を発揮する。そこで、遠心鋳造用フラックスに添加されたFやBの効果を短時間で発揮させるために、予め溶融しガラス化した後に粉砕した遠心鋳造用フラックスを使用する技術も検討されている(特許文献5参照)。
Fは、溶湯が凝固する際に非金属介在物等の滓化を促進する作用も有する。
ところが、Fを含有する遠心鋳造用フラックスを使用すると、耐火物やスラグ等の廃棄物にFが侵入する、あるいは大気中にFが揮発することによって環境汚染を引き起こし、人体に健康上の悪影響を及ぼす惧れがある。したがって、遠心鋳造によって発生する排ガスや粉塵の飛散防止、および廃棄物の無害化処理に多大な費用と労力を要するという問題がある。
そこで、Fの一部をボロン化合物(たとえばB23等)に代替して、F添加量を削減しつつ、低融点かつ低粘性を維持できる遠心鋳造用フラックスが検討されている。
本発明者らは、遠心鋳造用フラックス中のBの影響を種々検討した。その結果、Bを含有する遠心鋳造用フラックスを用いて鋳込んだ材料の強度と延性が大幅に劣化するという重大な現象を見出した。すなわちBを増加させた場合、共晶炭化物量の増加とともに引張強さが低下することになる。
また、遠心鋳造用フラックスに添加されたBは高温にて一部が揮発し、溶融した遠心鋳造用フラックス中に気泡を形成するので、溶湯表面の酸化を防止する効果が損なわれる惧れがある。
以上に述べたように、FやBが添加された遠心鋳造用フラックスには種々の問題がある。それにも関わらず、FやBを含有しない遠心鋳造用フラックスは未だ実用化されていない。
特開平8-300125号公報 特開平8-150455号公報 特開2000-42706号公報 特開2006-7316号公報 特開昭63-230259号公報
環境の向上と遠心鋳造用フラックスを用いて鋳込まれる鉄鋼材料の強度特性の向上を同時に解決するため、本発明は、FとBを含有せず、しかも低融点かつ低粘性の遠心鋳造用フラックスを提供するものである。
発明者らは、FとBを含有しない遠心鋳造用フラックスを実験的に試作し、外郭層−中間層−内層で構成される遠心鋳造複合ロールの鋳込み実験で使用した。得られた遠心鋳造複合ロールの超音波探傷を行なった結果、外郭層と内層(特に中間層に接する境界部)に欠陥が発生していることが判明した。
また、その遠心鋳造用フラックスを、外郭層のみで構成されるスリーブロール(すなわち内部が空洞の円筒状ロール)の鋳込み実験で使用した。その結果、鋳込み中に遠心鋳造用フラックスが溶落ちて、スリーブロールの内面が遠心鋳造用フラックスで覆われず、酸化され易いことが判明した。
さらに発明者らは、FとBを含有しない種々の成分の遠心鋳造用フラックスを試作し、FとBを含有しない遠心鋳造用フラックスの実用化に向けて鋭意研究を行なった。その結果、SiO2,Al23,CaO,Fe23,Na2O,MgO,MnOおよびLi2Oの含有量を規定することによって、上記の問題が解消することが分かった。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
すなわち本発明は、鉄鋼材料の遠心鋳造用フラックスであって、質量%でSiO2:40〜65%,Al23:0.5〜6%,CaO:4〜20%,Fe23:0.1〜3%,Na2O:10〜30%,MgO:0.5〜6%,MnO:0.5〜7%およびLi2O:6〜16%を含有し、残部が不可避的不純物からなる遠心鋳造用フラックスである。
本発明の遠心鋳造用フラックスにおいては、SiO2の含有量を[%SiO2]とし、Li2Oの含有量を[%Li2O]として、[%SiO2]と[%Li2O]が2≦[%SiO2]/[%Li2O]≦8を満足することが好ましい。さらに、CaOの含有量を[%CaO]とし、SiO2の含有量を[%SiO2]として、[%CaO]と[%SiO2]が0.05≦[%CaO]/[%SiO2]≦0.7を満足し、かつ軟化温度が700〜1000℃の範囲内であることが好ましい。
また、遠心鋳造用フラックスを一旦溶融して凝固させ、さらに粉砕して使用することが好ましい。
本発明によれば、FとBを含有せず、環境の向上を図り、しかも低融点かつ低粘性の遠心鋳造用フラックスを得ることができ、さらに強度特性の向上を図ることができる。
本発明の遠心鋳造用フラックスは、鉄鋼材料の遠心鋳造に好適である。遠心鋳造は、回転する円筒状の鋳型や金型内に溶湯を注入し、遠心力によって溶湯を鋳型や金型の内壁に張り付かせて凝固させる。なお、ここでは鋳型や金型を総称して、鋳型と記す。
このようにして円筒状の鋳物を製造することができる。たとえば2層構造の遠心鋳造複合ロールを製造する際には、外郭層を遠心鋳造し、その外郭層がほぼ凝固(あるいは完全に凝固)した後、鋳型の回転を停止し、鋳型を直立させて内層を静止鋳造する。また3層構造の遠心鋳造複合ロールを製造する際には、外郭層がほぼ凝固(あるいは完全に凝固)した後、中間層を遠心鋳造し、その中間層がほぼ凝固(あるいは完全に凝固)した後、鋳型の回転を停止し、鋳型を直立させて内層を静止鋳造する。
遠心鋳造用フラックスは、外郭層の溶湯を注入した後、あるいは外郭層が凝固する前に、鋳型に張り付いた外郭層の内面に添加される。3層構造の遠心鋳造複合ロールでは、中間層の内面にも遠心鋳造用フラックスを添加する場合がある。
遠心鋳造用フラックスを添加すると、溶湯の表面を溶融した遠心鋳造用フラックスが覆うことによって、
(A)酸化性ガス(たとえば大気,炭酸ガス等)との接触に起因する外郭層や中間層の内面の酸化防止
(B)外郭層や中間層から排出された非金属介在物および酸化物の溶融滓化
(C)遠心鋳造中に鋳型から脱落した耐火物小片の溶融滓化
(D)外郭層や中間層の内面の急冷防止
(E) 外郭層や中間層の内面の清浄化
等の効果が発揮される。その結果、外郭層,中間層,内層の界面が速やかに溶融して、欠陥(たとえば溶着不良等)のない良好な金属接合が得られる。
つまり遠心鋳造用フラックスは、速やかに溶融して、鋳型内で回転する溶湯の内面を覆う、また非金属介在物や酸化物を容易に滓化する作用を発揮する必要がある。そのため、従来からFやBを添加して、遠心鋳造用フラックスの融点を低下しかつ粘性を低下させていた。これに対して本発明では、FやBを添加せず、SiO2,Al23,CaO,Fe23,Na2O,MgO,MnOおよびLi2Oの含有量を規定することによって、上記の(A)〜(E)の効果を発揮できる低融点かつ低粘性の遠心鋳造用フラックスを得ることができる。
次に、本発明の遠心鋳造用フラックスの成分を限定する理由を説明する。なお、各成分の含有量の単位(%)は、いずれも質量%である。
SiO2:40〜65%
SiO2は、非金属介在物や酸化物の滓化を促進する成分である。SiO2の含有量が40%未満では、溶湯から遠心鋳造用フラックスへのSiのピックアップが増大し、遠心鋳造用フラックスが持つ適度な融点や粘性を維持できないので、滓化を促進する効果が十分に得られない。一方、65%を超えると、遠心鋳造用フラックスに占める他の成分が減少し、遠心鋳造用フラックスが持つ適度な融点や粘性を維持できないので、滓化を促進する効果が十分に得られない。したがって、SiO2は40〜65%の範囲内とする。
Al23:0.5〜6%
Al23は、遠心鋳造用フラックスの融点を低下しかつ粘性を低下させる成分である。Al23の含有量が0.5%未満では、融点を低下する効果が得られない。一方、6%を超えると、粘性を低下する効果が得られない。したがって、Al23は0.5〜6%の範囲内とする。
CaO:4〜20%
CaOは、遠心鋳造用フラックスの融点を低下しかつ粘性を適度に低下させるとともに、溶湯を清浄化する成分である。CaOの含有量が4%未満では、融点を低下する効果が得られず、しかも溶湯を清浄化する効果が十分に得られない。一方、20%を超えると、粘性が過剰に低下して、鋳型内の溶湯に添加しても流落ちてしまうので、溶湯表面を覆う効果が得られない。したがって、CaOは4〜20%の範囲内とする。好ましくは4〜15%である。
Fe23:0.1〜3%
Fe23は、遠心鋳造用フラックスの原料(たとえば珪酸ソーダ等)から混入する成分であるが、遠心鋳造用フラックスの融点を低下しかつ粘性を低下させる作用を有する。Fe23の含有量が0.1%未満では、遠心鋳造用フラックスの融点を低下しかつ粘性を低下する効果が得られない。一方、3%を超えると、溶湯表面の酸化を防止する効果が得られず、しかも溶湯が汚染される。したがって、Fe23は0.1〜3%の範囲内とする。
Na2O:10〜30%
Na2Oは、遠心鋳造用フラックスの融点を低下しかつ粘性を低下させる成分である。Na2Oの含有量が10%未満では、遠心鋳造用フラックスの融点を低下しかつ粘性を低下する効果が得られない。一方、30%を超えると、粘性が過剰に低下して、鋳型内の溶湯に添加しても流落ちてしまうので、溶湯表面を覆う効果が得られない。したがって、Na2Oは10〜30%の範囲内とする。
MgO:0.5〜6%
MgOは、遠心鋳造用フラックスの原料(たとえば珪酸ソーダ等)から混入する成分であるが、遠心鋳造用フラックスの融点を低下しかつ粘性を低下させる作用を有する。MgOの含有量が0.5%未満では、遠心鋳造用フラックスの融点を低下しかつ粘性を低下する効果が得られない。一方、6%を超えると、粘性が過剰に低下して、鋳型内の溶湯に添加しても流落ちてしまうので、溶湯表面を覆う効果が得られない。したがって、MgOは0.5〜6%の範囲内とする。
MnO:0.5〜7%
MnOは、溶湯表面に遠心鋳造用フラックスを均一に分散させる効果を有する成分である。MnOの含有量が0.5%未満では、その効果が得られない。一方、7%を超えると、溶湯が汚染される。したがって、MnOは0.5〜7%の範囲内とする。
Li2O:6〜16%
Li2Oは、遠心鋳造用フラックスの融点を適度に低下しかつ粘性を適度に低下させる成分である。本発明の遠心鋳造用フラックスでは、FおよびBを含有しないので、好適な量のLi2Oを他の成分とともに添加することによって、融点を低下しかつ粘性を低下させる。Li2Oの含有量が6%未満では、遠心鋳造用フラックスの融点を低下しかつ粘性を低下する効果が得られない。しかも、非金属介在物や酸化物の滓化を促進する効果が得られない。一方、16%を超えると、融点と粘性が過剰に低下して、鋳型内の溶湯に添加しても流落ちてしまうので、溶湯表面を覆い酸化を防止する効果が得られない。したがって、Li2Oは6〜16%の範囲内とする。好ましくは7〜15%である。
上記で説明した成分以外は不可避的不純物である。つまり本発明の遠心鋳造用フラックスは、FおよびBを含有しない。
次いで、本発明の遠心鋳造用フラックスの好適な態様について説明する。
[%SiO2]/[%Li2O]:2〜8
Li2Oは、遠心鋳造用フラックスの融点を低下しかつ粘性を低下させる作用を有するが、高温の溶湯と接触すると一部が揮発して、遠心鋳造中に遠心鋳造用フラックスの粘性が高くなることがある。過度に粘性が高くなると、溶鋼の内面を均一に覆うことができなくなる。一方、LiO2が過度に存在すると粘性が低くなり過ぎて、鋳型の回転が停止して、遠心力が作用しなくなると、溶湯表面から垂れ落ちて遠心鋳造用フラックスの被覆層がなくなって溶湯表面の酸化を防止する効果が得られなくなる場合がある。発明者らの研究によれば、この現象はLi2OとSiO2の相互作用によって抑制できる。つまりSiO2の含有量を[%SiO2]とし、Li2Oの含有量を[%Li2O]として、[%SiO2]/[%Li2O]値が2〜8の範囲内であれば、遠心鋳造用フラックスの融点と粘性を好適な範囲に維持できる。したがって、2≦[%SiO2]/[%Li2O]≦8を満足することが好ましい。
[%CaO]/[%SiO2]:0.05〜0.7
CaOの含有量を[%CaO]とし、SiO2の含有量を[%SiO2]として、[%CaO]/[%SiO2]値(すなわち塩基度)は、遠心鋳造用フラックスの融点や粘性の調整,非金属介在物や酸化物の滓化,溶湯の清浄化に多大な影響を及ぼす。発明者らの研究によれば、[%CaO]/[%SiO2]値が0.05〜0.7の範囲内であれば、遠心鋳造用フラックスの特性(すなわち融点,粘性,滓化作用)を好適な範囲に維持できる。したがって、0.05≦[%CaO]/[%SiO2]≦0.7を満足することが好ましい。
軟化温度:700〜1000℃
遠心鋳造では、溶湯は1150〜1600℃の温度で鋳型に注入される。溶湯の温度が低い場合は、遠心鋳造用フラックスを添加することによって溶湯の温度がさらに低下し、遠心鋳造用フラックスが溶湯に巻込まれる惧れがある。遠心鋳造用フラックスの軟化温度が1000℃を超えると、遠心鋳造用フラックスが溶融し難いので、溶湯に巻込まれる現象が頻繁に認められる。一方、700℃未満では、遠心鋳造用フラックスが簡単に流れ落ちてしまうので、溶湯表面を覆い酸化を防止する効果が得られない。したがって、遠心鋳造用フラックスの軟化温度は700〜1000℃の範囲内が好ましい。
ここで、遠心鋳造用フラックスの軟化温度は、アルミナルツボ(長さ104mm,幅14mm,高さ11mm)に試料を2g載せ、電気炉内で15分間加熱して、試料表面に粒状の粉末が認められず、液状の光沢があり、かつ丸く膨らみを持つ状態になる温度を指す。
本発明の遠心鋳造用フラックスは、原料(すなわち炭酸塩,各種の化合物等)の粉末を混合して、その混合物をそのまま使用しても良い。ただし、遠心鋳造用フラックスの特性のバラツキを抑制し、かつ鋳型内で溶融するまでの所要時間を短縮する観点から、原料粉末の混合物を一旦溶融して凝固させ、さらに粉砕して使用する(すなわちプリメルトフラックス化する)ことが好ましい。
遠心鋳造用フラックスの粒度は、10〜300メッシュの範囲内が好ましい。この範囲内の粒度であれば、遠心鋳造用フラックスの特性のバラツキを抑制し、かつ鋳型内で溶融するまでの所要時間を短縮できる。
以上に説明した通り、本発明の遠心鋳造用フラックスは、融点が低くかつ粘性が低いので、鉄鋼材料の遠心鋳造に好適である。また遠心鋳造のみならず、通常の鋳造にも使用できる。
<実施例1>
表1に示す遠心鋳造用フラックスを用いて、3層構造の遠心鋳造複合ロール(外径710mm,胴長2050mm,全長5800mm)を製造した。その工程は下記の通りである。なお、表1に示す各成分の含有量の単位は質量%である。
Figure 0005292960
中心軸を傾斜させた状態で鋳型を回転し、内面に遠心力160Gを負荷しながら、1400℃の高合金組成の溶湯(2%C−6%Cr−1%Mo−3%V−0.5%Nb:単位(%)は質量%)を注入して、外郭層(厚さ100mm)の斜め遠心鋳造を行なった。そして鋳型を回転させながら冷却して外郭層が完全に凝固する前に、外郭層の内面に粒度12〜280メッシュの遠心鋳造用フラックスを15kg添加した。
さらに鋳型を回転させながら冷却して、外郭層が完全に凝固した後、1550℃の黒鉛鋼の溶湯(1.5%C:単位(%)は質量%)を注入して、中間層(厚さ50mm)の斜め遠心鋳造を行なった。そして鋳型を回転させながら冷却して中間層が完全に凝固した後、鋳型の回転を停止した。
次に鋳型を直立させて、1500℃の球状黒鉛鋳鉄の溶湯(3.4%C−2.5%Si:単位(%)は質量%)を注入して、内層の静止鋳造を行なった。
得られた3層構造の遠心鋳造複合ロールを室温まで冷却した後、外郭層の表面を研削し、超音波探傷を行ない、外郭層と中間層の境界部の健全性を調査した。その結果を表2に示す。表2に示す通り、成分が本発明の範囲を満足する発明例の遠心鋳造用フラックスを用いて製造した遠心鋳造複合ロールは、いずれも溶着不良は認められなかった。
一方で、成分が本発明の範囲を外れる比較例の遠心鋳造用フラックスを用いて製造した遠心鋳造複合ロールは、溶着不良が検出された。
Figure 0005292960
<実施例2>
表3に示す遠心鋳造用フラックスを用いて、外郭層のみの遠心鋳造ロール(外径500mm,内径200mm,全長1500mm)を製造した。その工程は下記の通りである。
Figure 0005292960
中心軸を傾斜させた状態で鋳型を回転し、内面に遠心力130Gを負荷しながら、1500℃の高合金組成の溶湯(2.5%C−12%Cr:単位(%)は質量%)を注入して、外郭層(厚さ150mm)の斜め遠心鋳造を行なった。そして鋳型を回転させながら冷却して外郭層が完全に凝固する前に、外郭層の内面に粒度12〜280メッシュの遠心鋳造用フラックスを15kg添加した。
さらに鋳型を回転させながら冷却して、外郭層が完全に凝固した後、鋳型の回転を停止した。
次に遠心鋳造ロールを断熱保冷ボックスに収納して徐冷した。こうして外郭層のみの遠心鋳造ロールを室温まで冷却した後、遠心鋳造ロールの内面を目視で観察し、遠心鋳造用フラックスによって覆われている状態を調査した。その結果を表4に示す。表4に示す通り、成分が本発明の範囲を満足する発明例の遠心鋳造用フラックスを用いて製造した遠心鋳造ロールは、内面全体が遠心鋳造用フラックスによって均一に覆われていた。
一方で、成分が本発明の範囲を外れる比較例の遠心鋳造用フラックスを用いて製造した遠心鋳造ロールの内面には、遠心鋳造用フラックスによって覆われていない部分がロール内面積の20〜30%あった。その遠心鋳造ロールの内面が露出した部位は酸化しており、深さ30mmを超えるクラックが発生していた。
Figure 0005292960
<実施例3>
表5に示す遠心鋳造用フラックスを用いて、遠心鋳造複合ロールの内層材(重量40kg)を製造した。その工程は下記の通りである。
Figure 0005292960
平行部の肉厚が100mmのY型キールブロックの底面に遠心鋳造用フラックスを102g載置し、その上面に1480℃の合金組成の溶湯(3.4%C−2.5%Si−0.3%Cr−0.2%Mo−0.2%V−0.03%Mg:単位(%)は質量%)を注入して、内層材の静止鋳造を行なった。
得られた内層材を室温まで冷却した後、焼きならし熱処理を施し、さらにJIS45号引張り試験片を採取して、引張り試験を行なった。その結果を表6に示す。表6に示す通り、発明例(すなわち成分が本発明の範囲を満足する例)の遠心鋳造用フラックスを用いて製造した内層材は、比較例(すなわち成分が本発明の範囲を外れ、BとFを含有する例)の遠心鋳造用フラックスを用いて製造した内層材に比べて、引張り強さが60MPa向上し、伸びが2倍以上向上するという著しい機械的性質の改善が認められた。
Figure 0005292960
また、内層材の成分を調査したところ、表7に示す通り、発明例の内層材ではBは検出されなかったが、比較例の内層材ではBを含有していることが判明した。つまり、比較例では遠心鋳造用フラックスからBが内層材へ侵入し、その結果、機械的性質が劣化したことは明白である。
Figure 0005292960

Claims (3)

  1. 鉄鋼材料の遠心鋳造用フラックスであって、質量%でSiO2:40〜65%、Al23:0.5〜6%、CaO:4〜20%、Fe23:0.1〜3%、Na2O:10〜30%、MgO:0.5〜6%、MnO:0.5〜7%およびLi2O:6〜16%を含有し、残部が不可避的不純物からなることを特徴とする遠心鋳造用フラックス。
  2. 前記SiO2の含有量を[%SiO2]とし、前記Li2Oの含有量を[%Li2O]として、前記[%SiO2]と前記[%Li2O]が2≦[%SiO2]/[%Li2O]≦8を満足することを特徴とする請求項1に記載の遠心鋳造用フラックス。
  3. 前記CaOの含有量を[%CaO]とし、前記SiO2の含有量を[%SiO2]として、前記[%CaO]と前記[%SiO2]が0.05≦[%CaO]/[%SiO2]≦0.7を満足し、かつ軟化温度が700〜1000℃の範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の遠心鋳造用フラックス。
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