JP5292556B2 - 熱伝導複合材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体素子等に搭載されるヒートスプレッダやヒートシンク等の放熱部材を構成する熱伝導複合材及びその製造方法に関するものである。
半導体パッケージの集積回路チップ(以下「チップ」という)、とりわけ、大型コンピューター用のLSlやULSIは、高集積度化、演算速度の高速化の方向に進んでおり、作動中における消費電力の増加に伴う発熱量が非常に大きくなっている。チップは、大容量化して、発熱量が大きくなっており、伝熱基板の熱膨張率がチップ材料であるケイ素(Si)やガリウムヒ素(GaAs)等の熱膨張率と大きな差があると、チップが剥離あるいは割れを生ずることになる。これに伴い、半導体パッケージの設計も熱放散性を考慮したものとなり、チップに搭載する伝熱基板にも放熱性が要求され、伝熱基板の熱伝導率を大きくすることが求められる。すなわち、伝熱基板には、チップと熱膨張率が近く、かつ、熱伝導率が大きいことが要求されている。
一方、パワーエレクトロニクスの分野においては、種々のpn接合の組合せ構造により、サイリスタ、バイポーラトランジスタ、MOSFET等が実用化されている。さらに、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)やゲート信号によりターンオフ機能を併せ持つゲートターンオフサイリスタ(GTO)が開発され、電力制御やモーター制御のインバーター機器として広範囲な普及が進んでいる。また、昨今の環境負荷への低減策として、自動車動力源のエンジンとモーターのハイブリッド化においても、これら電力用半導体素子は大きな役割を果している。
しかしながら、これら電力用半導体素子は、通電により発熱し、その高容量化、高速化に伴い、発熱量も増大する傾向にある。発熱に起因する半導体素子の特性劣化、短寿命化を防止するためには、放熱部材を設け、半導体素子及びその近傍での温度上昇を抑制する必要がある。銅は、熱伝導率が400W/mKと大きく、かつ低価格であるため、放熱部材として一般に用いられている。しかし、電力用半導体素子を備えた半導体装置の放熱部材としては、熱膨張率が3.5〜4.2ppm/Kのケイ素(Si)や5.9ppm/Kのガリウムヒ素(GaAs)と接合されるため、熱膨張率がこれらに近い必要がある。銅は、熱膨張率が17ppm/Kと大きく、半導体素子との半田接合性は好ましくない。このため、従来では、モリブデン(Mo)やタングステン(W)といった熱膨張率がケイ素(Si)に近い材料を、放熱部材として用いたり、半導体素子と放熱部材との間に設けたりしている。
図14は、公知となっている熱伝導複合材を示す側面図である。この熱伝導複合材100は、熱膨張率が半導体素子に近いモリブデン(Mo)材101と熱伝導率の大きな銅(Cu)材102とを積層した後、ホットプレス等の設備により相互に拡散接合することによって一体化し、これらの材料の中間的な性質を実現したものである(例えば、特許文献1参照)。尚、拡散接合に代えてロウづけにより一体化させた熱伝導複合材や、異なる素材を連続的に積層圧延処理することにより接合した熱伝導複合材(クラッド材)も基本的な技術思想は共通する。
図15は、図14に示した熱伝導複合材100の材厚比と熱伝導率及び熱膨張率との関係を示したものである。図15においては、横軸に熱伝導複合材100に占めるモリブデン(Mo)材と銅(Cu)材の材厚比、左縦軸に見掛けの熱伝導率、右縦軸に見掛けの熱膨張率を示している。この熱伝導複合材100においては、半導体素子と同等の熱膨張率(5〜6ppm/K)を得ようとすると、モリブデン(Mo)材と銅(Cu)材の材厚比は一義的に決り、Mo:Cu=9:1前後の範囲となる。尚、図15によれば、この熱伝導複合材100では、ケイ素(Si)と同じ熱膨張率(4ppm/K前後)を実現することはできない。モリブデン(Mo)やタングステン(W)に替えてインバー(Fe−Ni合金)を用いた、銅(Cu)/インバー(Fe−Ni合金)/銅(Cu)構成のクラッド材等も市販されているが、材厚構成により面方向の熱膨張率を5ppm/Kに設定した場合、板厚方向の熱伝導率は15W/mKと非常に低い特性しか得ることができない。
図16は、公知となっている熱伝導複合材を示す斜視図である。この熱伝導複合材110は、ケイ素(Si)と同等の熱膨張率を有する鉄−ニッケル−コバルト合金(Fe−Ni−Co)、あるいは鉄−ニッケル合金(Fe−Ni)であって、複数の貫通孔111aを設けた一対の板状体111の間に、銅(Cu)あるいはアルミニウム(Al)の板状体112を挟み圧延することにより、貫通孔111aに銅あるいはアルミニウムを充填したものである(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。
この熱伝導複合材110は、熱伝導率の大きな板状体112の一部を熱の主要な伝達方向である板状体111の板厚方向に露出させることから、上述した熱伝導複合材100の積層構造を熱抵抗の直列配置とすると、この熱伝導複合材110の積層構造を熱抵抗の並列配置とすることができる。
また、その伝熱特性は、上述した熱伝導複合材100が図15に示すような二次関数的な変化であるのに対して、板状体111の面積割合に応じて直線的な変化を示すものと予想される。このことから、板状体111に鉄−ニッケル(Fe−Ni)系合金など低価格の材料を利用可能である。しかしながら、貫通孔111a内に銅あるいはアルミニウムを充填する手法は、圧延や熱間静水圧プレスなどの強加工による塑性流動を応用した方法であり、その流動範囲にはおのずから限界がある。また、圧延で充填させた場合、得られた成型品は素材の構成が圧延作用により引き延され、圧延前に円形であった板状体111の貫通孔111aが圧延後には楕円形状に変形する。結果的に完成した材料の平面方向の熱膨張率、熱伝導率の特性は異方性をもつ結果となり、放熱部材として使用する場合には好ましいものでない。
一方、これらの熱伝導複合材と構造を異にする、銅−モリブデン(Cu−Mo)合金、銅−タングステン(Cu−W)合金の熱伝導複合材は、半導体素子の熱膨張率とほぼ等しいモリブデン(Mo)の粉末、あるいはタングステン(W)の粉末を焼結することによって、気孔率の大きい焼結体を作製し、その後、溶融した銅を含浸させて製造するか(例えば、特許文献5参照)、あるいはモリブデン(Mo)の粉末、あるいはタングステン(W)の粉末と銅(Cu)の粉末を焼結することによって得られたモリブデン(Mo)あるいはタングステン(W)と銅(Cu)の複合体である(例えば、特許文献6参照)。これら熱伝導複合材は、骨格構造であるモリブデン(Mo)、タングステン(W)と、熱伝導材である銅(Cu)との構成割合により、その特性は一義的に決まる。市販品の一例を上げれば、質量比89%W−11%Cuの材料においては、熱膨張率が6.5ppm/K、熱伝導率が180〜210W/mKである。銅(Cu)の構成比率を上げれば熱伝導率も大きくなるが、同時に熱膨張率も上昇し、80%W−20%Cuにおいては、熱膨張率が8.3ppm/K、熱伝導率が200〜230W/mKと特に熱膨張率の上昇が著しく、半導体素子との熱膨張率の整合性を重視する場合、構成割合の選択範囲に自由度はない。また、モリブデン(Mo)、タングステン(W)は、高密度であるため重く、所定の寸法を得るには機械的成形加工が必要となり、加工コストを要する。さらに、モリブデン(Mo)やタングステン(W)は、レアメタルとして資源の枯渇が懸念され、結果的に材料価格も高価であることから昨今の電子機器の低コスト化要求に対応することは本質的に難しい。
特許第2860037号公報 特公昭63−3741号公報 特公平7−80272号公報 特開平9−312364号公報 特開昭59−141247号公報 特開昭62−294147号公報
以上のように半導体素子を搭載した半導体装置は、いずれもその動作において熱を発生し、蓄熱されると半導体素子の機能を損ねる虞れがある。このため、発生する熱を外部に放散するための熱伝導性に優れた放熱部材が必要となる。放熱部材は、直接あるいは絶縁層を介して半導体素子と接合されるため、熱伝導性だけでなく、熱膨張率の点でも半導体素子との整合性が要求される。そして、上述した熱伝導複合材は、物性の異なる2つの金属材料を複合化させることにより、半導体素子に近い熱膨張率と200W/mK前後の熱伝導率を達成している。
しかしながら、より高い熱伝導率を得ようとすれば、構成材料中の銅(Cu)の構成比率を増やさざるを得ないが、これが放熱部材全体の熱膨張率を上昇させる要因となり、低熱膨張で高熱伝導の放熱基板を実現することができなかった。
この問題の本質的原因を考えれば、上述した熱伝導複合材は、熱伝導を主体とする材料と、熱膨張率を抑えることを主体とした材料とが相互に結合した構造であることにある。ここで、半導体素子の放熱部材に要求される特性を整理すれば、まず放熱部材に必要とされる熱膨張率の整合性は、半導体素子が放熱部材と接する面方向に必要であり、放熱部材の板厚方向には必要ない。熱伝導率は、その主たる熱伝達方向は放熱部材の板厚方向に要求される。従って、高い熱伝導率の要求される板厚方向に高熱伝導材を配置し、同時にその高熱伝導材の熱膨張の影響を面方向に伝達しない分離構造であり、かつ、放熱部材としては一体の構造であることが要求される。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、搭載する半導体素子と整合するように、面方向には熱膨張を小さく抑え、しかも板厚方向には高い熱伝導性を確保することのできる熱伝導複合材及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る熱伝導複合材は、互いに熱膨張率及び熱伝導率が異なる第1板状体及び第2板状体を積層することにより構成し、半導体素子の放熱部材として用いられる熱伝導複合材であって、前記第1板状体は、前記第2板状体に比較して熱膨張率の小さい材料によって成形し、かつ板厚方向に沿って貫通した複数の貫通孔を有するものであり前記第2板状体は、前記第1板状体に比較して大きな熱伝導率を有した材料によって成形し、前記第1板状体の2つの表面にそれぞれ接合させたものであり前記第1板状体の貫通孔に、それぞれ前記第1板状体に比較して大きな熱伝導率を有した材料によって成形し、前記貫通孔の内壁面との間の少なくとも一部に間隙を確保する一方、前記一対の第2板状体に対してそれぞれ接合する態様で伝熱体を配設したことを特徴とする。
また、本発明に係る熱伝導複合材は、互いに熱膨張率及び熱伝導率が異なる第1板状体及び第2板状体を積層することにより構成し、半導体素子の放熱部材として用いられる熱伝導複合材であって、前記第1板状体は、前記第2板状体に比較して熱膨張率の小さい材料によって成形し、かつ板厚方向に沿って貫通した複数の貫通孔を有するものであり前記第2板状体は、前記第1板状体に比較して大きな熱伝導率を有した材料によって成形し、前記第1板状体の2つの表面にそれぞれ積層させたものであり前記第1板状体の貫通孔に、それぞれ前記第1板状体に比較して大きな熱伝導率を有した材料によって成形し、前記貫通孔の内壁面との間の少なくとも一部に間隙を確保する一方、前記一対の第2板状体に対してそれぞれ接触する態様で伝熱体を配設し、かつこれら第1板状体と一対の第2板状体との間及び伝熱体と一対の第2板状体との間をそれぞれ拡散接合により一体化したことを特徴とする。
また、本発明は、上述した熱伝導複合材において、前記伝熱体は、前記第1板状体に形成した貫通孔の内部横断面形状に対して相似形となる横断面形状を有した柱状部材であることを特徴とする。
また、本発明は、上述した熱伝導複合材において、前記第1板状体は、横断面が円形の貫通孔を有したものであり、前記伝熱体は、横断面が円形の柱状部材であることを特徴とする。
また、本発明に係る熱伝導複合材の製造方法は、互いに熱膨張率及び熱伝導率が異なる第1板状体及び第2板状体を積層することにより半導体素子の放熱部材として構成され、前記第1板状体は、前記第2板状体に比較して熱膨張率の小さい材料によって成形し、かつ板厚方向に沿って貫通した複数の貫通孔を有するものであり前記第2板状体は、前記第1板状体に比較して大きな熱伝導率を有した材料によって成形し、前記第1板状体の2つの表面にそれぞれ接合させたものであり前記第1板状体の貫通孔に、それぞれ前記第1板状体に比較して大きな熱伝導率を有した材料によって成形し、前記貫通孔の内壁面との間の少なくとも一部に間隙を確保する一方、前記一対の第2板状体に対してそれぞれ接合する態様で伝熱体を配設して成る熱伝導複合材を製造する方法であって、前記第1板状体の下方に位置する表面に前記第2板状体を積層する工程と、前記第1板状体の貫通孔にそれぞれ前記伝熱体を配置する工程と、前記第1板状体の上方に位置する表面に前記第2板状体を積層する工程と、これら積層した第1板状体及び一対の第2板状体の板厚方向に沿って圧力を加えることにより、前記第1板状体と前記一対の第2板状体との間及び前記伝熱体と前記一対の第2板状体との間をそれぞれ拡散接合させる工程とを含むことを特徴とする。
また、本発明に係る熱伝導複合材の製造方法は、互いに熱膨張率及び熱伝導率が異なる第1板状体及び第2板状体を積層することにより半導体素子の放熱部材として構成され、前記第1板状体は、前記第2板状体と比較して熱膨張率の小さい材料によって成形し、かつ板厚方向に沿って貫通した複数の貫通孔を有するものであり前記第2板状体は、前記第1板状体に比較して大きな熱伝導率を有した材料によって成形し、前記第1板状体の2つの表面にそれぞれ接合させたものであり前記第1板状体の貫通孔に、それぞれ前記第1板状体に比較して大きな熱伝導率を有した材料によって成形し、前記貫通孔の内壁面との間の少なくとも一部に間隙を確保する一方、前記一対の第2板状体に対してそれぞれ接合する態様で伝熱体を配設して成る熱伝導複合材を製造する方法であって、一方の第2板状体において前記第1板状体の貫通孔に対応する部位にそれぞれ前記伝熱体を予め拡散接合させる工程と、貫通孔のそれぞれに伝熱体を配置する態様で前記一方の第2板状体に前記第1板状体を積層する工程と、伝熱体が拡散接合された一方の第2板状体との間に前記第1板状体を挟む態様で第1板状体に他方の第2板状体を積層する工程と、これら積層した第1板状体及び一対の第2板状体の板厚方向に沿って圧力を加えることにより、前記第1板状体と前記一対の第2板状体との間及び前記伝熱体と前記他方の第2板状体との間をそれぞれ拡散接合させる工程とを含むことを特徴とする。
また、本発明に係る熱伝導複合材の製造方法は、互いに熱膨張率及び熱伝導率が異なる第1板状体及び第2板状体を積層することにより半導体素子の放熱部材として構成され、前記第1板状体は、前記第2板状体と比較して熱膨張率の小さい材料によって成形し、かつ板厚方向に沿って貫通した複数の貫通孔を有するものであり前記第2板状体は、前記第1板状体に比較して大きな熱伝導率を有した材料によって成形し、前記第1板状体の2つの表面にそれぞれ接合させたものであり前記第1板状体の貫通孔に、それぞれ前記第1板状体に比較して大きな熱伝導率を有した材料によって成形し、前記貫通孔の内壁面との間の少なくとも一部に間隙を確保する一方、前記一対の第2板状体に対してそれぞれ接合する態様で伝熱体を配設して成る熱伝導複合材を製造する方法であって、一方の第2板状体において前記第1板状体の貫通孔に対応する部位に予め前記伝熱体を一体に成形する工程と、貫通孔のそれぞれに伝熱体を配置する態様で前記一方の第2板状体に前記第1板状体を積層する工程と、予め伝熱体が一体に成形された前記一方の第2板状体との間に前記第1板状体を挟む態様で第1板状体に他方の第2板状体を積層する工程と、これら積層した第1板状体及び一対の第2板状体の板厚方向に沿って圧力を加えることにより、前記第1板状体と前記一対の第2板状体との間及び前記伝熱体と前記他方の第2板状体との間をそれぞれ拡散接合させる工程とを含むことを特徴とする。
また、本発明は、上述した熱伝導複合材の製造方法において、前記伝熱体として、前記第1板状体の板厚よりも大きな外径を有した球状に成形したものを適用することを特徴とする。
また、本発明は、上述した熱伝導複合材の製造方法において、前記第2板状体において前記第1板状体の貫通孔に対応する部位のそれぞれに予め球面状の凹部を形成したことを特徴とする。
また、本発明は、上述した熱伝導複合材の製造方法において、前記第1板状体として、横断面が円形の貫通孔を有したものを適用し、前記伝熱体として、横断面が円形の柱状を成すものを適用したことを特徴とする。
本発明に係る熱伝導複合材によれば、第1板状体の2つの表面にそれぞれ第2板状体を接合し、かつ第1板状体の貫通孔に配設した伝熱体によって一対の第2板状体の間が連結されるため、熱伝導複合材の板厚方向に高い熱伝導性を確保することができる。しかも、第1板状体の貫通孔と伝熱体との間には少なくとも一部に間隙が確保されているため、伝熱体の熱膨張が第1板状体に与える影響を可及的に小さくし、熱伝導複合材の面方向に沿った熱膨張率を小さく抑えることが可能となる。
また、本発明に係る熱伝導複合材の製造方法によれば、拡散接合によって第1板状体と一対の第2板状体との間及び伝熱体と一対の第2板状体との間をそれぞれ一体化しているため、ロウ付けや溶接等、その他の接合方法に比べて貫通孔の内壁面と伝熱体との間の間隙を正確に管理することができる。すなわち、ロウ付けの際に流出したロウや溶接の際の高熱が上述の間隙に影響を与える虞れがないため、伝熱体の熱膨張よる第1板状体への影響をより小さく抑え、きわめて性能の高い熱伝導複合材を具現化することが可能となる。
図1は、本発明の実施の形態1である熱伝導複合材の断面側面図である。 図2は、図1に示した熱伝導複合材の平面図である。 図3−1は、図1に示した熱伝導複合材を製造する過程において第2板状体に治具を搭載した状態を示す断面図である。 図3−2は、図1に示した熱伝導複合材を製造する過程において治具の収容孔に伝熱体を配設した状態を示す断面図である。 図3−3は、図1に示した熱伝導複合材を製造する過程において第2板状体に伝熱体を仮接合させる状態を示す断面図である。 図3−4は、図1に示した熱伝導複合材を製造する過程において第2板状体に第1板状体を積層した状態を示す断面図である。 図3−5は、図1に示した熱伝導複合材を製造する過程において第1板状体に第2板状体を積層して接合する状態を示す断面図である。 図4は、図1に示した熱伝導複合材において第2板状体の板厚と面方向に沿った熱膨張率との関係を示すグラフである。 図5は、図4で用いた熱伝導複合材の詳細形状を示す分解斜視図である。 図6は、本発明の実施の形態2である熱伝導複合材の断面側面図である。 図7は、図6に示した熱伝導複合材の平面図である。 図8−1は、図6に示した熱伝導複合材を製造する過程において伝熱体に治具を搭載した状態を示す断面図である。 図8−2は、図6に示した熱伝導複合材を製造する過程において第2板状体に伝熱体を仮接合させる状態を示す断面図である。 図8−3は、図6に示した熱伝導複合材を製造する過程において第2板状体に第1板状体を積層した状態を示す断面図である。 図8−4は、図6に示した熱伝導複合材を製造する過程において第1板状体に第2板状体を積層して接合する状態を示す断面図である。 図9は、図7に示した熱伝導複合材の拡大断面図である。 図10は、本発明の実施の形態3である熱伝導複合材の断面側面図である。 図11は、図10に示した第2板状体の形状を示す断面側面図である。 図12は、本発明の実施の形態4である熱伝導複合材の分解斜視図である。 図13は、図12に示した熱伝導複合材において第2板状体の断面形状を示す断面側面図である。 図14は、公知となっている熱伝導複合材を示す側面図である。 図15は、図14に示した熱伝導複合材の材厚比と熱伝導率及び熱膨張率の関係を示すグラフである。 図16は、公知となっている熱伝導複合材を示す斜視図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る熱伝導複合材及びその製造方法の好適な実施の形態について詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1及び図2は、本発明の実施の形態1である熱伝導複合材を示したものである。熱伝導複合材10は、多数の貫通孔11aが設けられた芯材(第1板状体)11と、貫通孔11aに収容された伝熱材(伝熱体)12と、芯材11の一方の表面において伝熱材12に接合された表層材(第2板状体)13と、芯材11の他方の表面において伝熱材12に接合された表層材(第2板状体)14とを備えて構成されている。
芯材11は、伝熱材12及び表層材13,14に比較して熱膨張率が小さな材料、例えばインバー(Fe−Ni合金)によって成形した平板状体である。この芯材11には、板厚方向に沿って多数の貫通孔11aが設けられている。貫通孔11aは、それぞれ横断面が視正方形で正方格子の格子点に位置するように、芯材11の一方の表面から他方の表面に貫通しており、例えば、エッチング法によって設けられている。ここで、エッチング法で形成される貫通孔11aの開口寸法は、一般に、板厚と同等が限界である。従って、例えば、板厚が1mm、貫通孔11aの寸法が0.45mm×0.45mmの芯材11が必要となる場合には、少なくとも複数の板状体を重ね合わせて芯材11を構成しなければならないことになる。そこで、本実施の形態1においては、エッチング法により0.45×0.45mmの貫通孔11aを設けた板厚0.4mmの薄板を二枚積層し、板厚が0.8(0.4×2)mm、貫通孔11aが0.45mm×0.45mmの寸法を有した芯材11を構成した。
尚、上述した芯材11は、横断面が正方形の貫通孔11aを設けることとしたが、貫通孔11aは、横断面が正方形に限られるものではなく、横断面が円形のほか、矩形、多角形のいずれであっても良い。また、複数の貫通孔11aは、互いに同一の形状である必要はなく、複数の形状のものを組み合わせても良い。
伝熱材12は、芯材11に比較して熱伝導率が大きな材料、例えば無酸素銅(純銅)によって成形したブロック状部材である。本実施の形態1では、横断面が貫通孔11aの横断面と相似となる正方形の直方体であり、少なくとも二つの外側面が貫通孔11aの内壁面との間に間隙を確保した状態で貫通孔11aの内部に収容されるように、貫通孔11aの寸法よりも小さな寸法を有するように構成されている。一方、伝熱材12の高さ寸法は、芯材11の板厚以上であることが要求される。従って、上述したように、芯材11に形成する貫通孔11aの寸法を0.45mm×0.45mmとした場合には、伝熱材12の平面寸法を例えば0.42mm×0.42mmとし、芯材11の板厚を0.8mmとした場合には、伝熱材12の高さ寸法を例えば0.85mmとする。このような寸法を有する伝熱材12は、例えば、エッチング法によって製造することができる。
尚、上述した伝熱材12は、エッチング法により製造するものとしたが、エッチング法による製造に限られるものではなく、横断面が正方形(上述した例では、0.42mm×0.42mm)の線材を所定の長さ(上述した例では、0.85mm)で切断することにより製造しても良いし、所定の板厚(上述した例では、0.85mmあるいは0.42mm)の板材をプレス機械等により打ち抜くことにより製造しても良い。
また、横断面が正方形の柱状を成す伝熱材12を適用しているが、伝熱材12は、芯材11の貫通孔11aと同様、横断面が円形、矩形、多角形のいずれであっても柱状を成すものを適用することができる。但し、伝熱材12の横断面形状は、芯材11の貫通孔11aと相似形であることが好ましい。
表層材13,14は、伝熱材12と同様、芯材11に比較して熱伝導率が大きな材料によって成形した平板状体である。本実施の形態1では、伝熱材12と同じ無酸素銅を材料とした板厚0.03mmの平坦な板状体を用いることにする。また、表層材13,14は、芯材11の二つの表面全域を覆うことができるように、縦横の寸法が芯材11と同じに形成されている。このような寸法を有する表層材13,14は、例えば、エッチング法によって製造することができる。
図3は、上述した芯材11、伝熱材12及び一対の表層材13,14を用いて熱伝導複合材10を製造する方法を示したものである。以下、この図を参照しながら、熱伝導複合材10の製造方法について説明を行う。
まず、この製造方法においては、一方の表層材13において芯材11の貫通孔11aに対応する部位にそれぞれ伝熱材12を接合させる。伝熱材12と表層材13との接合に際しては、図3−1に示すように、専用の治具J1を適用し、表層材13に予め治具J1を搭載するようにしている。
治具J1は、上述した芯材11と同一形状の板状を成すもので、芯材11の貫通孔11aに対応する部位にそれぞれ収容孔JH1を有したものである。収容孔JH1は、横断面形状が貫通孔11aの相似形状となる正方形で、寸法が僅かに小さなものとなっている。例えば、芯材11の貫通孔11aが上述した0.45mm×0.45mmである場合には、治具J1に0.43mm×0.43mmの収容孔JH1を設けるようにしている。より具体的には、0.43mm×0.43mmの収容孔JH1を有した板厚0.4mmの薄板を2枚貼り合わせることにより、板厚0.8mmの治具J1を構成するようにしている。適用する治具J1の材料としては、芯材11と同等以下の熱膨張率を有したものであることが好ましい。
また、上述した芯材11、表層材13,14及び治具J1のそれぞれには、互いに対応する部位にガイドホールGHを設けておくことが好ましい。ガイドホールGHにアライメントピンAPを挿通させれば、容易に、かつ正確に相互の位置を規定することが可能となる。すなわち、上述した表層材13に治具J1を搭載する工程においては、それぞれのガイドホールGHを介してアライメントピンAPに表層材13及び治具J1を順次挿通させれば、相互の位置を容易に、かつ正確に規定することができる。尚、治具J1と表層材13との間には、拡散接合を阻害する材料を介在させることが好ましい。
この状態から、図3−2に示すように、治具J1の収容孔JH1に伝熱材12を挿入すれば、表層材13に対して複数の伝熱材12を正確な位置に配置することができる。
次いで、図3−3に示すように、挿入した伝熱材12の端面を石英等、拡散接合を阻害する板材Bで押さえた後、適当な圧力を加え、表層材13と伝熱材12との間を拡散接合により仮接合させる。尚、表層材13と伝熱材12との間は、拡散接合以外の方法で仮接合しても良い。
その後、伝熱材12が冷却した状態で治具J1を取り外し、ガイドホールGHを介してアライメントピンAPに芯材11を挿通させることにより、表層材13に芯材11を積層させれば、図3−4に示すように、芯材11の各貫通孔11aにそれぞれ伝熱材12が配置されることになる。
この状態からさらに、図3−5に示すように、ガイドホールGHを介してアライメントピンAPにもう一方の表層材14を挿通させた後、不活性ガス雰囲気中もしくは真空中に配置し、所望の温度及び加圧力で加熱・加圧することにより、一対の表層材13,14と伝熱材12との間、並びに一対の表層材13,14と芯材11との間を拡散接合させれば、芯材11と、複数の伝熱材12と、一対の表層材13,14とが一体化された熱伝導複合材10が構成される。但し、上述したように、芯材11の貫通孔11aに対して伝熱材12の寸法を小さく形成しているため、さらには芯材11と、複数の伝熱材12と、一対の表層材13,14との間を拡散接合により一体化させているため、図1に示すように、伝熱材12の外側面と貫通孔11aの内壁面との間には間隙x,yが確保されることになる。尚、芯材11と、複数の伝熱材12と、一対の表層材13,14との間を拡散接合により一体化した後においては、位置決めに使用したガイドホールGHを塞いでおくことが好ましい。
上記のように構成した熱伝導複合材10を放熱部材として用いる場合には、いずれか一方の表層材、例えば表層材13をチップ等の発熱源に接合させれば良い。表層材13に伝達された熱は、表層材13から伝熱材12及び伝熱材12から表層材14に熱伝導されることになる。これら表層材13、伝熱材12及び表層材14は、いずれも熱伝導率の高い材料によって構成されたものであり、しかも互いに拡散接合によって一体化された状態にある。従って、チップ等の発熱源から効率良く放熱することが可能となる。
この間、伝熱材12及び一対の表層材13,14は伝熱方向に熱膨張するほか、伝熱方向と直交する方向、つまり熱伝導複合材10の面方向に沿っても熱膨張することになる。しかしながら、上述したように、芯材11に形成した貫通孔11aの内壁面と伝熱材12の外側面との間には、少なくとも一部に間隙x,yが確保されている。従って、熱伝導複合材10の面方向に沿って伝熱材12が熱膨張した場合にも、芯材11に与える影響を可及的に抑えることができる。また、一対の表層材13,14は、いずれも芯材11に大きな面積をもって接合された状態にある。これらの結果、熱伝導複合材10によれば、一対の表層材13,14及び伝熱材12に比較して熱膨張率の小さい芯材11が面方向に沿った熱膨張率を決定する要因となり、板厚方向に大きな熱伝導率を設定した場合にも面方向に沿った熱膨張率を小さく抑えることができ、接合させたチップに剥離や割れを生ずることなく、チップから効率良く放熱することができる。
具体的には、上述した実施の形態1である熱伝導複合材10においては、芯材11に対する伝熱材12の面積占有比率を70%とすると、板厚方向の熱伝導率が250〜280W/mK、面方向に沿った熱膨張率が5.5〜6.5ppm/Kの結果を得ることができた。
完成した熱伝導複合材10を切断し、その平断面を確認したところ、すべての伝熱材12が芯材11の貫通孔11aの中心に位置するわけではなく、貫通孔11aの内壁面と伝熱材12の外側面とが一部接触しているものも確認された。これは、拡散接合時における熱膨張や、組み立て精度の影響を受けたものであると考えられる。しかしながら、伝熱材12の外側面が芯材11の貫通孔11aの内壁面に接触しても、伝熱材12の熱膨張が芯材11に作用することによる熱応力の影響は軽微であることが確認された。これは、芯材11に形成した貫通孔11aの寸法と伝熱材12の外形寸法とからすれば、伝熱材12の外側面全周が貫通孔11aの内壁面に接触することがないためであると考えられる。また、伝熱材12が多数設けられているため、熱膨張による個々の変形量が小さくなる(上述の例では熱膨張による伝熱材12の変形量は約2μm程度)ばかりでなく、芯材11との接触ポイントがランダムとなることも上述の要因と考えられる。従って、貫通孔11aの内壁面と伝熱材12の外側面とが全周に亘って離隔されている必要はなく、貫通孔11aの内壁面と伝熱材12の外側面との間に一部でも間隙が確保されていれば、伝熱材12の熱膨張が芯材11に作用することによる熱応力の影響を小さく抑えることができる。
上述した実施の形態1において伝熱材12として適用した無酸素銅は、コスト及び加工性の面から適当である。しかしながら、芯材11に対する伝熱材12の面積占有比率が熱伝導複合材10全体の板厚方向の熱伝導率の支配要因であり、伝熱材12にさらに高い熱伝導率を有する材料を用いることが考えられる。例えば、銅(Cu)にダイヤモンドや立方晶窒化ほう素(CBN)の粉末を高い体積比率で分散させた複合材を伝熱材12として用いることで、板厚方向の熱伝導率を大きく改善することも可能である。従って、伝熱材12の素材は、銅(Cu)などの純金属に限られるものではなく、表層材13,14と接合できるものであれば、上述した複合材や非金属を用いることもできる。
図4は、実施の形態1と同様の構成を有した熱伝導複合材10において表層材13,14の板厚と熱伝導複合材10の面方向に沿った熱膨張率との関係を示したものである。芯材11としては、熱膨張率が1.2ppm/Kのインバーによって板厚2.0mmに成形したものを適用している。この芯材11には、図5に示すように、横断面がφ=2.1mmの円形状を成す貫通孔11aが形成されている。伝熱材12としては、熱膨張率が17ppm/Kの無酸素銅により、横断面がφ=2.0mmの円柱状に成形された円柱状のものを適用している。芯材11に対する伝熱材12の面積占有比率は70%である。表層材13,14としては、伝熱材12と同様、熱膨張率が17ppm/Kの無酸素銅を適用した。表層材13,14の板厚を0.025〜0.3mmの範囲で変化させ、熱伝導複合材10の面方向に沿った熱膨張率の変化を測定した。
図4から明らかなように、表層材13,14の板厚を増加させた場合、熱伝導複合材10の面方向に沿った熱膨張率も増加する傾向となる。この間、板厚方向の熱伝導率は、芯材11に対する伝熱材12の面積占有比率に変更がないため、284W/mkで変化なく一定の値を示した。つまり、実施の形態1の熱伝導複合材10によれば、表層材13,14の板厚を適宜変更することにより、面方向に沿った熱膨張率を所望の値に調整することができ、また芯材11に対する伝熱材12の面積占有比率を適宜変更することにより、板厚方向の熱伝導率を所望の値に調整することができ、様々な要求に応じた性能を呈することが可能となる。
尚、上述した熱伝導複合材10では、表層材13と伝熱材12との間、並びに伝熱材12と表層材14との間を拡散接合するものとしたが、拡散接合に限られるものではなく、ハンダを含むロウづけ、レーザ溶接、電子ビーム溶接など、その他の金属冶金的接合法を適用することが可能である。
また、芯材11をモリブデン(Mo)等の熱伝導率の高い材料に置き換えると、熱伝導複合材10の熱伝導率を320W/mKとすることもできる。これより目標とされる全体の熱膨張率及び熱伝導率に応じて芯材11も種々の材料を選択することが可能であり、その材質が実施の形態1に制限されるものではない。
(実施の形態2)
上述した実施の形態1では、その製造工程において治具の収容孔に伝熱材12を挿入する場合、伝熱材12の向きを整える必要があり、またその数量も多いため、その作業を容易化するには伝熱材12を配置するための特別な装置が必要となる。そこで、実施の形態2では、特別な装置を別途用意せずとも、製造作業を容易化することのできる熱伝導複合材及びその製造方法について説明する。
図6及び図7は、本発明の実施の形態2である熱伝導複合材を示したものであり、図8−1〜図8−4は、実施の形態2である熱伝導複合材の製造方法を示したものである。図8−1に示すように、熱伝導複合材20では、伝熱材(伝熱体)22として芯材(第1板状体)21に比較して熱伝導率の大きい材料、例えば銅(Cu)によって球状に成形したものを適用している。具体的には、伝熱材22として、外径が0.5mmの銅製球状体を用いる。この銅の球状体は、半導体実装手段であるBGA(Ball Grid Array)パッケージで使用されるハンダ球体のコア材として広く流通しており、簡単に入手できる。また、このようにBGAパッケージで用いられる銅の球状体は、真球度等の精度が保証されているため、本実施の形態2の伝熱材22として好適である。
芯材21は、伝熱材22及び表層材(第2板状体)23,24に比較して熱膨張率が小さな材料、例えばインバー(Fe−Ni合金)によって成形した平板状体である。この芯材21には、板厚方向に沿って多数の貫通孔21aが設けられている。貫通孔21aは、それぞれ平面視が伝熱材22の投影形状に対して相似形の円形で、三角格子の格子点に位置するように、芯材21の一方の表面から他方の表面に貫通しており、例えば、エッチング法によって設けられている。本実施の形態2では、0.5mmの伝熱材22を用いる場合、板厚が0.45mmで、貫通孔21aの内径が0.6mmの芯材21を適用している。つまり、芯材21としては、伝熱材22として用いる球状体に対して、板厚が外径よりも小さく、かつ貫通孔21aの内径が外径よりも僅かに大きい寸法に設定したものを適用している。
尚、実施の形態2である熱伝導複合材20に用いる表層材23,24は、上述した実施の形態1の熱伝導複合材10で適用した表層材13,14と同様、芯材21に対して熱伝導率の大きな材料によって成形したものであるため、詳細説明は省略する。
上述した芯材21、伝熱材22及び一対の表層材23,24を用いて熱伝導複合材20を製造する場合には、まず、一方の表層材23において芯材21の貫通孔21aに対応する部位にそれぞれ伝熱材22を接合させる。伝熱材22と表層材23との接合に際しては、図8−1に示すように、専用の治具J2を適用し、表層材23に予め治具J2を搭載することにより伝熱材22と表層材23との位置を規定するようにしている。
治具J2は、上述した芯材21と同一形状の板状を成すもので、芯材21の貫通孔21aに対応する部位にそれぞれ収容孔JH2を有したものである。収容孔JH2は、横断面形状が貫通孔21aの相似形である円形で、寸法が貫通孔21aより僅かに小さなものとなっている。例えば、芯材21の貫通孔21aが内径0.6mmである場合には、治具J2に0.51mmの収容孔JH2を設けるようにしている。より具体的には、0.51mmの収容孔JH2を有した板厚0.45mmの薄板によって治具J2を構成するようにしている。適用する治具J2の材料としては、芯材21と同等以下の熱膨張率を有したものであることが好ましい。
また、図には明示していないが、実施の形態1と同様、芯材21、表層材23,24及び治具J2のそれぞれには、互いに対応する部位にガイドホールを設けておき、積層する順でガイドホールにアライメントピンを順次挿通させることが好ましい。この状態から、図8−1に示すように、治具J2の収容孔JH2に伝熱材22を挿入すれば、表層材23に対して複数の伝熱材22を正確な位置に配置することができる。
ここで、伝熱材22として球状に成形したものを適用した実施の形態2では、これを治具J2の上面で転動させて移動させることが可能となる。しかも、球状体である伝熱材22は、治具J2の収容孔JH2に配置する場合にその向きや方向を規定する必要がない。従って、治具J2の収容孔JH2に伝熱材22を配置させる場合には、複数の伝熱材22を治具J2の上面に流し込めば良い。治具J2の上面に流し込まれた伝熱材22は、収容孔JH2が空いている場合(伝熱材22が収容されていない場合)、その内部に収容され、一方、既に収容孔JH2が埋まっている場合(伝熱材22が収容されている場合)、次の収容孔JH2に向かって流れることにより、収容孔JH2に順次収容される。収容孔JH2の内径と伝熱材22の外径との関係から、一つの収容孔JH2に二つの伝熱材22が重複して収容されることはない。従って、この工程を繰り返すことより、特別な装置を要せずとも、すべての収容孔JH2に伝熱材22を個別に収容することができる。
次いで、図8−2に示すように、挿入した伝熱材22を石英等、拡散接合を阻害する板材Bで押さえた後、適当な圧力を加え、表層材23と伝熱材22との間を拡散接合により仮接合させる。その後、伝熱材22が冷却した状態で治具J2を取り外し、ガイドホール(図示せず)を介してアライメントピン(図示せず)に芯材21を挿通させることにより、表層材23に芯材21を積層させれば、図8−3に示すように、芯材21の各貫通孔21aにそれぞれ伝熱材22が配置されることになる。
この状態からさらに、ガイドホール(図示せず)を介してアライメントピン(図示せず)にもう一方の表層材24を挿通させた後、不活性ガス雰囲気中もしくは真空中に配置し、図8−4に示すように、所望の温度及び加圧力で加熱・加圧することにより、一対の表層材23,24と伝熱材22との間、並びに一対の表層材23,24と芯材21との間を拡散接合させれば、芯材21と、複数の伝熱材22と、一対の表層材23,24とが一体化された熱伝導複合材20が構成される。このとき、伝熱材22は、荷重方向の力を受けるため、芯材21の板厚方向に沿って潰されるとともに、拡散接合によって表層材23,24に食い込む一方、芯材21の面方向に沿って径方向へ膨張する。但し、上述したように、芯材21の貫通孔21aに対して伝熱材22の外径を小さく形成しているため、さらには芯材21と、複数の伝熱材22と、一対の表層材23,24との間を拡散接合により一体化させているため、図9に示すように、伝熱材22の外表面と貫通孔21aの内壁面との間にはほぼ全周に亘って間隙dが確保されることになる。
尚、必ずしも上述した治具J2を用いて予め表層材23と伝熱材22とを仮接合する必要はない。例えば、表層材23に芯材21を積層させた状態で貫通孔21aの中に伝熱材22を流し込み、表層材24を積層させた後にこれらを拡散接合により一時に一体化させても熱伝導複合材20を得ることができる。但し、この製造方法では、芯材21に形成した貫通孔21aの内壁面と伝熱材22の外表面との間の全周に亘っては間隙dを確保できない場合があり得る。
しかしながら、貫通孔21aの寸法と伝熱材22の外径寸法とからすれば、伝熱材22の外表面全周が貫通孔21aの内壁面に接触することがないため、伝熱材22の熱膨張が芯材21に作用することによる熱応力の影響は軽微となる。また、伝熱材22が多数設けられているため、熱膨張による個々の変形量が小さくなるばかりでなく、芯材21との接触ポイントがランダムとなることも上述の要因と考えられる。つまり、貫通孔21aの内壁面と伝熱材22の外表面とが全周に亘って離隔されている必要はなく、貫通孔21aの内壁面と伝熱材22の外表面との間に一部でも間隙dが確保されていれば、伝熱材22の熱膨張が芯材21に作用することによる熱応力の影響を小さく抑えることができる。
上記のように構成した熱伝導複合材20を放熱部材として用いる場合には、いずれか一方の表層材、例えば表層材23をチップ等の発熱源に接合させれば良い。表層材23に伝達された熱は、表層材23から伝熱材22及び伝熱材22から表層材24に熱伝導されることになる。これら表層材23、伝熱材22及び表層材24は、いずれも熱伝導率の高い材料によって構成されたものであり、しかも互いに拡散接合によって一体化された状態にある。従って、チップ等の発熱源から効率良く放熱することが可能となる。
この間、伝熱材22及び一対の表層材23,24は伝熱方向に熱膨張するほか、伝熱方向と直交する方向、つまり熱伝導複合材20の面方向に沿っても熱膨張することになる。しかしながら、上述したように、芯材21に形成した貫通孔21aの内壁面と伝熱材22の外表面との間には、少なくとも一部に間隙dが確保されている。従って、熱伝導複合材20の面方向に沿って伝熱材22が熱膨張した場合にも、芯材21に与える影響を可及的に抑えることができる。また、一対の表層材23,24は、いずれも芯材21に大きな面積をもって接合された状態にある。これらの結果、熱伝導複合材20によれば、一対の表層材23,24及び伝熱材22に比較して熱膨張率の小さい芯材21が面方向に沿った熱膨張率を決定する要因となるため、板厚方向に大きな熱伝導率を設定した場合にも面方向に沿った熱膨張率を小さく抑えることができ、接合させたチップに剥離や割れを生ずることなく、チップから効率良く放熱することができるようになる。
尚、上述した実施の形態2では、伝熱材22に銅の球状体を用いているため、製造する際に治具J2の収容孔JH2に簡単に流し込むことができる。このため、治具J2の収容孔JH2に伝熱材22を挿入する作業は簡単なものとなり、治具J2の収容孔JH2に伝熱材22を挿入するための特別な装置は不要となる。
また、銅の球状体としては、BGAパッケージに使用されるハンダ球体のコア材として広く流通しており、廉価に入手できるため、熱伝導複合材20の材料コストを低減することもできる。
尚、伝熱材22は、銅(Cu)に限られるものではなく、銀(Ag)等の金属材料、あるいは銅(Cu)にダイヤモンドやCBNの粉末を高い体積比率で分散させた材料を用いることで、板厚方向の熱伝導率を大きく改善することも可能である。
また、上述した表層材23と伝熱材22との間、伝熱材22と表層材24との間を拡散接合するものとしたが、拡散接合に限られるものではなく、ハンダを含むロウづけ、レーザ溶接、電子ビーム溶接など、金属冶金的接合を適用できる。
(実施の形態3)
上述した実施の形態2では、平坦な表層材23,24を用いることとしたが、球体状の伝熱材22と表層材23,24との接合面積が熱伝導率に及ぼす影響が大きいことから、実施の形態3では、これらの間の接合面積を増大させるようにしている。
図10は、本発明の実施の形態3である熱伝導複合材を示したものである。ここで例示する熱伝導複合材30は、実施の形態2と同様、伝熱材(伝熱体)32として球体状に形成したものを用いるものであり、適用する表層材(第2板状体)33,34の構成のみが異なっている。すなわち、実施の形態3で適用する一対の表層材33,34は、芯材(第1板状体)31に比較して熱伝導率の大きい材料、例えば、無酸素銅によって板厚0.15mmの板状体に成形したものである。図11に示すように、それぞれの表層材33,34には、芯材31の貫通孔31aと対応する位置に予め凹部33a,34aが設けてある。凹部33a,34aは、伝熱材32の外径と同等の曲率を有するように形成した球面状を成すものである。これらの凹部33a,34aは、例えばハーフエッチングによって形成することができる。
尚、実施の形態3で適用する伝熱材32が、表層材33,34と同様に、芯材31に比較して大きな熱伝導率を有した材料によって成形したものであり、芯材31が、これら表層材33,34及び伝熱材32と比較して熱膨張率が小さい材料によって成形したものである点は、実施の形態2と同様である。また、芯材31に形成する貫通孔31aが伝熱材32の外径よりも僅かに大きな内径を有するものである点も実施の形態2と同様である。
上述した芯材31、伝熱材32及び一対の表層材33,34を用いて熱伝導複合材30を製造する方法についても、実施の形態2で示したものと同様である。但し、表層材33,34に伝熱材32を配置する場合に予め形成した凹部33a,34aが伝熱材32の位置決めとして機能するため、実施の形態2で用いた治具J2を用いる必要がない。すなわち、ガイドホールを介してアライメントピンに表層材33及び芯材31を順次挿通させて積層し、直接芯材31の貫通孔31aに伝熱材32を流し込めば良い。すべての貫通孔31aに伝熱材32が収容された状態で、アライメントピンに表層材34を挿通させて芯材31の上に表層材34を積層した後、不活性ガス雰囲気中もしくは真空中に配置し、所望の温度及び加圧力で加熱・加圧することにより、一対の表層材33,34と伝熱材32との間、並びに一対の表層材33,34と芯材31との間を拡散接合させれば、芯材31と、複数の伝熱材32と、一対の表層材33,34とが一体化された熱伝導複合材30が構成される。
このとき、実施の形態3においては、予め表層材33,34に凹部33a,34aが形成されているため、実施の形態2のものに比べて、大きな加圧力を付与せずとも伝熱材32との間に大きな接合面積を確保することができ、板厚方向に沿った熱伝導率をより大きくすることが可能となる。但し、上述したように、芯材31の貫通孔31aに対して伝熱材32の外径を小さく形成しているため、さらには芯材31と、複数の伝熱材32と、一対の表層材33,34との間を拡散接合により一体化させているため、伝熱材32の外表面と貫通孔31aの内壁面との間にはほぼ全周に亘って間隙が確保されることになる。
上記のように構成した熱伝導複合材30を放熱部材として用いる場合には、いずれか一方の表層材、例えば表層材33をチップ等の発熱源に接合させれば良い。表層材33に伝達された熱は、表層材33から伝熱材32及び伝熱材32から表層材34に熱伝導されることになる。これら表層材33、伝熱材32及び表層材34は、いずれも熱伝導率の高い材料によって構成されたものであり、しかも互いに拡散接合によって一体化された状態にある。従って、チップ等の発熱源から効率良く放熱することが可能となる。
この間、伝熱材32及び一対の表層材33,34は伝熱方向に熱膨張するほか、伝熱方向と直交する方向、つまり熱伝導複合材30の面方向に沿っても熱膨張することになる。しかしながら、芯材31に形成した貫通孔31aの内壁面と伝熱材32の外表面との間には、少なくとも一部に間隙が確保されている。従って、熱伝導複合材30の面方向に沿って伝熱材32が熱膨張した場合にも、芯材31に与える影響を可及的に抑えることができる。また、一対の表層材33,34は、いずれも芯材31に大きな面積をもって接合された状態にある。これらの結果、熱伝導複合材30によれば、一対の表層材33,34及び伝熱材32に比較して熱膨張率の小さい芯材31が面方向に沿った熱膨張率を決定する要因となるため、板厚方向に大きな熱伝導率を設定した場合にも面方向に沿った熱膨張率を小さく抑えることができ、接合させたチップに剥離や割れを生ずることなく、チップから効率良く放熱することができるようになる。
上述したように、実施の形態3の熱伝導複合材30によれば、表層材33の凹部33a及び表層材34の凹部34aの間に球状体である伝熱材32が収容されることになるため、製造段階において実施の形態1及び実施の形態2で示した治具J1,J2を適用したり、仮接合することなく、表層材33,34と伝熱材32との間に位置決めして直接本接合である拡散接合を行うことができる。このため、熱伝導複合材30を製造する場合の作業が効率化され、製造コストを低減することが可能となる。
尚、上述した実施の形態3である熱伝導複合材30において、芯材31と表層材33,34の接触面高さにおける伝熱材32の伝熱面積の割合は、芯材31の総面積に対し60%の割合である。
また、表層材33と伝熱材32との間、伝熱材32と表層材34との間を拡散接合した後、表層材33,34を除去加工することにより、熱伝導複合材30全体の熱膨張率を調整することができる。具体的には、表層材33,34の板厚が0.03mmとなるまでラップ研磨を行った。このようにラップ研磨した熱伝導複合材30の熱伝導率は、200〜240W/mK、平面方向の熱膨張率は5〜6.6ppm/Kの結果を得ることができた。従って、タングステン(W)、モリブデン(Mo)などの高価な材料を用いることなく、同等の特性を実現することができる。
(実施の形態4)
上述した実施の形態1〜3では、表層材13,23,33と伝熱材12,22,32とが独立した部材であったが、実施の形態4では、図12に示すように、一方の表層材(第2板状体)43と伝熱材(伝熱体)42とが予め一体に構成された熱伝導複合材40であって、多数の貫通孔41aが設けられた芯材(第1板状体)41と、貫通孔41aに収容される伝熱材42が一体に形成され、芯材41の一方の表面に配設された表層体45と、芯材41の他方の表面において伝熱材に接合された表層材(第2板状体)44とにより構成されている。
芯材41は、表層材44及び表層体45に比較して熱膨張率が小さなインバー(Fe−Ni合金)によって成形した平板状体である。芯材41には、平面視円形の貫通孔41aが正方格子の格子点に位置するように、多数設けられている。貫通孔41aは、芯材41の一方の表面から他方の表面に貫通しており、例えば、エッチング法によって設けられる。例えば、実施の形態4で用いる芯材41は、板厚が0.3mm、貫通孔41aの内径が0.32mmとする。
図13に示すように、表層体45は、板厚0.02mmの表層材43と、表層材43の一方の表面において芯材41の貫通孔41aと対応する位置に設けた直径が0.3mm、高さが0.3mmの横断面形状が平面視円形の円柱状を成す伝熱材42とを一体に成形したものである。伝熱材42は、横断面が貫通孔41aと相似形である。
このように、表層材43に複数の伝熱材42が一体に形成された表層体45は、例えば電鋳法により製造される。具体的には、まず、ステンレスなどの金属板に表層材43の外形を露出させたパターンをレジスト工程と、半導体素子の製造におけるフォトリソグラフィーと同様の工程により形成する。次に、ステンレス板を銅(Cu)の電界析出浴に浸漬し、板厚が0.02mmとなるまで銅(Cu)を析出させる。そして、ステンレス板を取り出し、表面を洗浄乾燥後、析出した銅(Cu)の上に伝熱材42を構成する直径が0.3mmの円筒状のパターンをレジストで形成し、同じく銅(Cu)の電解析出浴に浸漬し、板厚が0.3mmとなるまで銅(Cu)を析出させる。析出が完了すると、不要なレジストを除去し、ステンレス板から成型品を剥離することにより、伝熱材42が一体に形成された表層体45を得ることができる。
表層材44は、芯材41に比較して熱伝導率が大きな材料が好ましく、ここでは、無酸素銅の板厚0.02mmの平坦な板状体を用いることにする。また、表層材44は、芯材41の他方の表面を覆うことができるように、芯材41と同一の面積を有している。このような寸法を有する表層材44は、例えば、エッチング法によって製造される。
上述した熱伝導複合材40を製造する場合には、まず、伝熱材42が上になるように配置した表層体45に対して芯材41及び表層材44を順次積層させる。図には明示していないが、実施の形態1と同様、芯材41、表層材44及び表層体45のそれぞれには、互いに対応する部位にガイドホールを設けておき、積層する順でガイドホールにアライメントピンを順次挿通させることが好ましい。
この状態から、不活性ガス雰囲気中もしくは真空中に配置し、所望の温度及び加圧力で加熱・加圧することにより、表層材44と表層体45の伝熱材42との間、並びに表層材44及び表層体45と芯材41との間を拡散接合させれば、芯材41と、表層材44と、表層体45とが一体化された熱伝導複合材40が構成される。但し、上述したように、芯材41の貫通孔41aに対して伝熱材42の寸法を小さく形成しているため、さらには芯材41と表層材44と表層体45との間を拡散接合により一体化させているため、伝熱材42の外周面と貫通孔41aの内壁面との間には間隙が確保されることになる。
上記のように構成した熱伝導複合材40を放熱部材として用いる場合には、いずれか一方の表層材、例えば表層材43をチップ等の発熱源に接合させれば良い。表層材43に伝達された熱は、表層材43から伝熱材42及び伝熱材42から表層材44に熱伝導されることになる。これら表層材43、伝熱材42及び表層材44は、いずれも熱伝導率の高い材料によって構成されたものであり、しかも互いに拡散接合によって一体化された状態にある。従って、チップ等の発熱源から効率良く放熱することが可能となる。
この間、伝熱材42及び一対の表層材43,44は伝熱方向に熱膨張するほか、伝熱方向と直交する方向、つまり熱伝導複合材40の面方向に沿っても熱膨張することになる。しかしながら、芯材41に形成した貫通孔41aの内壁面と伝熱材42の外表面との間には、少なくとも一部に間隙が確保されている。従って、熱伝導複合材40の面方向に沿って伝熱材42が熱膨張した場合にも、芯材41に与える影響を可及的に抑えることができる。また、一対の表層材43,44は、いずれも芯材41に大きな面積をもって接合された状態にある。これらの結果、熱伝導複合材40によれば、一対の表層材43,44及び伝熱材42に比較して熱膨張率の小さい芯材41が面方向に沿った熱膨張率を決定する要因となるため、板厚方向に大きな熱伝導率を設定した場合にも面方向に沿った熱膨張率を小さく抑えることができ、接合させたチップに剥離や割れを生ずることなく、チップから効率良く放熱することができるようになる。
上述した実施の形態4である熱伝導複合材40は、伝熱材42と一方の表層材43とが予め一体に構成されているので、組立精度が上がり、結果的に、板厚方向の伝熱面積を大きく取ることができた。また、組立工数も減り、組立コストを低減することもできた。
尚、伝熱材42は、平面視円形の円柱状に限られるものではなく、平面視正方形を含む矩形、多角形の柱体とすることができる。
また、一方の表層材43と伝熱材42とを一体に構成するのみならず、他方の表層材44と伝熱材42とも一体に構成し、伝熱材42を互いに対向させて拡散接合させても良い。このように構成すると、完成した熱伝導複合材40の板厚を2倍にすることができ、熱伝導複合材40における芯材41の板厚方向の割合を増やすことができる。そして、芯材41の板厚方向の割合を増やすと、熱伝導複合材40の面方向の熱伝導率をさらに低下させることができる。例えば、上述した例では、芯材41の板厚を0.6mmとすることができる。
また、電鋳法において、共析メッキの技術を応用し、銅(Cu)にダイヤモンドまたはCBN等の高熱伝導材を微粒子として分散することも可能であり、この様な構成にした場合、完成した熱伝導複合材40の熱伝導率をさらに引上げることが可能である。
また、本実施の形態においては電鋳法による製造法を示したが、精密鋳造法や、金属粉体を樹脂バインダーに混練し、インジェクション成型を行い、その後、MIM(Metal Injection Molding)法を用いて、成型品を焼結させて表層材としても良い。
尚、上述した実施の形態1〜4では、いずれも伝熱体が第1板状体に形成した貫通孔の内部横断面形状に対して相似形となる横断面形状を有したものを例示しているが、必ずしも相似形である必要はなく、例えば貫通孔の内部横断面形状が六角形で、伝熱体の横断面が四角形や円形でもあっても構わない。
また、上述した実施の形態1〜4では、互いに積層する板状体や治具にガイドホールを形成し、これらのガイドホールにアライメントピンを挿通させることによって位置決めを行う製造方法を例示しているが、必ずしもガイドホール及びアライメントピンを適用して製造する必要はない。
10 熱伝導複合材
11 芯材
11a 貫通孔
12 伝熱材
13,14 表層材
20 熱伝導複合材
21 芯材
21a 貫通孔
22 伝熱材
23,24 表層材
30 熱伝導複合材
31 芯材
31a 貫通孔
32 伝熱材
33,34 表層材
33a,34a 凹部
40 熱伝導複合材
41 芯材
41a 貫通孔
42 伝熱材
43,44 表層材

Claims (10)

  1. 互いに熱膨張率及び熱伝導率が異なる第1板状体及び第2板状体を積層することにより構成し、半導体素子の放熱部材として用いられる熱伝導複合材であって、
    前記第1板状体は、前記第2板状体に比較して熱膨張率の小さい材料によって成形し、かつ板厚方向に沿って貫通した複数の貫通孔を有するものであり
    前記第2板状体は、前記第1板状体に比較して大きな熱伝導率を有した材料によって成形し、前記第1板状体の2つの表面にそれぞれ接合させたものであり
    前記第1板状体の貫通孔に、それぞれ前記第1板状体に比較して大きな熱伝導率を有した材料によって成形し、前記貫通孔の内壁面との間の少なくとも一部に間隙を確保する一方、前記一対の第2板状体に対してそれぞれ接合する態様で伝熱体を配設したことを特徴とする熱伝導複合材。
  2. 互いに熱膨張率及び熱伝導率が異なる第1板状体及び第2板状体を積層することにより構成し、半導体素子の放熱部材として用いられる熱伝導複合材であって、
    前記第1板状体は、前記第2板状体に比較して熱膨張率の小さい材料によって成形し、かつ板厚方向に沿って貫通した複数の貫通孔を有するものであり
    前記第2板状体は、前記第1板状体に比較して大きな熱伝導率を有した材料によって成形し、前記第1板状体の2つの表面にそれぞれ積層させたものであり
    前記第1板状体の貫通孔に、それぞれ前記第1板状体に比較して大きな熱伝導率を有した材料によって成形し、前記貫通孔の内壁面との間の少なくとも一部に間隙を確保する一方、前記一対の第2板状体に対してそれぞれ接触する態様で伝熱体を配設し、かつこれら第1板状体と一対の第2板状体との間及び伝熱体と一対の第2板状体との間をそれぞれ拡散接合により一体化したことを特徴とする熱伝導複合材。
  3. 前記伝熱体は、前記第1板状体に形成した貫通孔の内部横断面形状に対して相似形となる横断面形状を有した柱状部材であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱伝導複合材。
  4. 前記第1板状体は、横断面が円形の貫通孔を有したものであり、
    前記伝熱体は、横断面が円形の柱状部材であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱伝導複合材。
  5. 互いに熱膨張率及び熱伝導率が異なる第1板状体及び第2板状体を積層することにより半導体素子の放熱部材として構成され、
    前記第1板状体は、前記第2板状体に比較して熱膨張率の小さい材料によって成形し、かつ板厚方向に沿って貫通した複数の貫通孔を有するものであり
    前記第2板状体は、前記第1板状体に比較して大きな熱伝導率を有した材料によって成形し、前記第1板状体の2つの表面にそれぞれ接合させたものであり
    前記第1板状体の貫通孔に、それぞれ前記第1板状体に比較して大きな熱伝導率を有した材料によって成形し、前記貫通孔の内壁面との間の少なくとも一部に間隙を確保する一方、前記一対の第2板状体に対してそれぞれ接合する態様で伝熱体を配設して成る熱伝導複合材を製造する方法であって、
    前記第1板状体の下方に位置する表面に前記第2板状体を積層する工程と、
    前記第1板状体の貫通孔にそれぞれ前記伝熱体を配置する工程と、
    前記第1板状体の上方に位置する表面に前記第2板状体を積層する工程と、
    これら積層した第1板状体及び一対の第2板状体の板厚方向に沿って圧力を加えることにより、前記第1板状体と前記一対の第2板状体との間及び前記伝熱体と前記一対の第2板状体との間をそれぞれ拡散接合させる工程と
    を含むことを特徴とする熱伝導複合材の製造方法。
  6. 互いに熱膨張率及び熱伝導率が異なる第1板状体及び第2板状体を積層することにより半導体素子の放熱部材として構成され、
    前記第1板状体は、前記第2板状体と比較して熱膨張率の小さい材料によって成形し、かつ板厚方向に沿って貫通した複数の貫通孔を有するものであり
    前記第2板状体は、前記第1板状体に比較して大きな熱伝導率を有した材料によって成形し、前記第1板状体の2つの表面にそれぞれ接合させたものであり
    前記第1板状体の貫通孔に、それぞれ前記第1板状体に比較して大きな熱伝導率を有した材料によって成形し、前記貫通孔の内壁面との間の少なくとも一部に間隙を確保する一方、前記一対の第2板状体に対してそれぞれ接合する態様で伝熱体を配設して成る熱伝導複合材を製造する方法であって、
    一方の第2板状体において前記第1板状体の貫通孔に対応する部位にそれぞれ前記伝熱体を予め拡散接合させる工程と、
    貫通孔のそれぞれに伝熱体を配置する態様で前記一方の第2板状体に前記第1板状体を積層する工程と、
    伝熱体が拡散接合された一方の第2板状体との間に前記第1板状体を挟む態様で第1板状体に他方の第2板状体を積層する工程と、
    これら積層した第1板状体及び一対の第2板状体の板厚方向に沿って圧力を加えることにより、前記第1板状体と前記一対の第2板状体との間及び前記伝熱体と前記他方の第2板状体との間をそれぞれ拡散接合させる工程と
    を含むことを特徴とする熱伝導複合材の製造方法。
  7. 互いに熱膨張率及び熱伝導率が異なる第1板状体及び第2板状体を積層することにより半導体素子の放熱部材として構成され、
    前記第1板状体は、前記第2板状体と比較して熱膨張率の小さい材料によって成形し、かつ板厚方向に沿って貫通した複数の貫通孔を有するものであり
    前記第2板状体は、前記第1板状体に比較して大きな熱伝導率を有した材料によって成形し、前記第1板状体の2つの表面にそれぞれ接合させたものであり
    前記第1板状体の貫通孔に、それぞれ前記第1板状体に比較して大きな熱伝導率を有した材料によって成形し、前記貫通孔の内壁面との間の少なくとも一部に間隙を確保する一方、前記一対の第2板状体に対してそれぞれ接合する態様で伝熱体を配設して成る熱伝導複合材を製造する方法であって、
    一方の第2板状体において前記第1板状体の貫通孔に対応する部位に予め前記伝熱体を一体に成形する工程と、
    貫通孔のそれぞれに伝熱体を配置する態様で前記一方の第2板状体に前記第1板状体を積層する工程と、
    予め伝熱体が一体に成形された前記一方の第2板状体との間に前記第1板状体を挟む態様で第1板状体に他方の第2板状体を積層する工程と、
    これら積層した第1板状体及び一対の第2板状体の板厚方向に沿って圧力を加えることにより、前記第1板状体と前記一対の第2板状体との間及び前記伝熱体と前記他方の第2板状体との間をそれぞれ拡散接合させる工程と
    を含むことを特徴とする熱伝導複合材の製造方法。
  8. 前記伝熱体として、前記第1板状体の板厚よりも大きな外径を有した球状に成形したものを適用することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の熱伝導複合材の製造方法。
  9. 前記第2板状体において前記第1板状体の貫通孔に対応する部位のそれぞれに予め球面状の凹部を形成したことを特徴とする請求項8に記載の熱伝導複合材の製造方法。
  10. 前記第1板状体として、横断面が円形の貫通孔を有したものを適用し、
    前記伝熱体として、横断面が円形の柱状を成すものを適用したことを特徴とする請求項5または請求項6または請求項7に記載の熱伝導複合材の製造方法。
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