JP5292225B2 - モールド真空バルブ - Google Patents

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本発明は、接離自在の一対の接点を有する真空バルブをエポキシ樹脂のような絶縁材料でモールドし、外周に絶縁層を形成したモールド真空バルブに関する。
従来、エポキシ樹脂でモールドした真空バルブにおいては、真空バルブを構成する封着金具端が鋭角であり、電界強度が上昇するため、これを覆うような電界緩和シールドを設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この種のモールド真空バルブを図6に示すが、筒状のセラミックスからなる真空絶縁容器1の両端開口部には、固定側封着金具2と可動側封着金具3が封着されている。固定側封着金具2には、固定側通電軸4が貫通固定され、端部に固定側接点5が固着されている。固定側接点5に対向して可動側接点6が可動側封着金具3を移動自在に貫通する可動側通電軸7の端部に固着されている。
可動側通電軸7の中間部には、伸縮自在のベローズ8の一方端が封着されている。他方端は、可動側封着金具3の開口部に封着されている。なお、接点5、6を包囲するように設けられた筒状のアークシールド9が真空絶縁容器1内面に固定されている。
固定側封着金具2には、その外周端部を覆うような椀状の固定側電界緩和シールド10が固定されている。固定側電界緩和シールド10の端部は、真空絶縁容器1端部とラップするまで伸びている。また、可動側封着金具3にも、その外周端部を覆うような椀状の可動側電界緩和シールド11が固定されている。可動側電界緩和シールド11の端部も、真空絶縁容器1端部とラップするまで伸びている。電界緩和シールド10、11は、一般的に、加工性のよい銅材が用いられる。
真空絶縁容器1と電界緩和シールド10、11の外周には、エポキシ樹脂でモールドして形成した絶縁層12が設けられている。絶縁層12の外周には、導電性塗料を塗布して形成した接地層13が設けられている。絶縁層12の固定側の軸方向は凹状の界面接続部14となっており、また、可動側は凸状の界面接続部15となっており、他の電気機器と接続される。
特開2005−276472号公報 (第4ページ、図1)
上記の従来のモールド真空バルブにおいては、次のような問題がある。固定側電界緩和シールド10および可動側電界緩和シールド11により、固定側封着金具2および可動側封着金具3の端部の電界緩和を図ることができる。電界緩和シールド10、11は、半径方向に広がった後、軸方向に略90度曲折され、端部が真空絶縁容器1とラップするまで伸びている。即ち、電界緩和シールド10、11は、断面L字状であり、軸方向に伸びた部分が真空絶縁容器1と同軸状の配置となる。
このため、真空絶縁容器1と、電界緩和シールド10、11が軸方向に伸びた部分との間の絶縁層12は、断面矩形状となり、内周面と外周面とが略平行であり、拘束されることになる。真空絶縁容器1と電界緩和シールド10、11および絶縁層12は、いずれも異なった材料からなり、熱膨張率が異なる。このため、モールド時や使用環境などによって温度変化が生じると、拘束された絶縁層12内で応力が発生し、絶縁層12が真空絶縁容器1や電界緩和シールド10、11から剥離することがある。更には、絶縁層12にクラックが生じることがある。
絶縁層12に剥離やクラックなどの絶縁欠陥が生じると、部分放電が発生し、絶縁劣化を起こす。特に、電界緩和シールド10、11先端から部分放電が発生するようになると、接地層13間で絶縁劣化が進行し、絶縁破壊を招くことになる。
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、封着金具の外周に設けられる電界緩和シールドと真空絶縁容器間に形成される絶縁層の応力分散を図り、絶縁欠陥の生じ難いモールド真空バルブを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のモールド真空バルブは、筒状の真空絶縁容器と、前記真空絶縁容器の両端開口部に封着された固定側封着金具および可動側封着金具と、前記固定側封着金具に貫通固定された固定側通電軸と、前記固定側通電軸端に固着された固定側接点と、前記固定側接点と接離する可動側接点と、前記可動側接点を固着するとともに、前記可動側封着金具を気密のもとに貫通する可動側通電軸と、前記固定側封着金具の外周端部を覆うように設けられた固定側電界緩和シールドと、前記可動側封着金具の外周端部を覆うように設けられた可動側電界緩和シールドと、前記真空絶縁容器および前記電界緩和シールドの外周に絶縁材料をモールドして形成した絶縁層とを具備し、前記電界緩和シールドのそれぞれは、半径方向に広がる固定部と軸方向に伸びる緩和部とで構成され、前記緩和部を前記固定部側と先端部とに曲率を持たせた断面C状としたことを特徴とする。
本発明によれば、電界緩和シールドの内周面を曲面としているので、真空絶縁容器と電界緩和シールド間に形成される絶縁層の応力分散を図ることができ、絶縁欠陥の生じ難いものとなる。
本発明の実施例1に係るモールド真空バルブの構成を示す断面図。 本発明の実施例1に係る電界緩和シールドの構成を示す要部拡大断面図。 本発明の実施例2に係るモールド真空バルブの構成を示す要部拡大断面図。 本発明の実施例3に係るモールド真空バルブの構成を示す要部拡大断面図。 本発明の実施例4に係るモールド真空バルブの構成を示す要部拡大断面図。 従来方法によるモールド真空バルブの構成を示す断面図。
封着金具の端部を覆う電界緩和シールドの内周面を凹状の曲面とし、真空絶縁容器との間に形成される絶縁層に曲面を持たせ、応力分散を図るものである。以下、図面を参照して本発明による実施例を説明する。
先ず、本発明の実施例1に係るモールド真空バルブを図1、図2を参照して説明する。図1は、本発明の実施例1に係るモールド真空バルブの構成を示す断面図、図2は、本発明の実施例1に係る電界緩和シールドの構成を示す要部拡大断面図である。なお、図1において、従来と同様の構成部分については、同一符号を付した。
図1に示すように、筒状のセラミックスからなる真空絶縁容器1の両端開口部には、固定側封着金具2と可動側封着金具3が封着されている。固定側封着金具2には、固定側通電軸4が貫通固定され、端部に固定側接点5が固着されている。固定側接点5に対向して可動側接点6が可動側封着金具3を移動自在に貫通する可動側通電軸7の端部に固着されている。
可動側通電軸7の中間部には、伸縮自在のベローズ8の一方端が封着されている。他方端は、可動側封着金具3の開口部に封着されている。これにより、真空絶縁容器1内の真空を保ちながら、可動側通電軸7を軸方向に移動させることができる。なお、接点5、6を包囲するように設けられた筒状のアークシールド9が真空絶縁容器1内面に固定されている。
固定側封着金具2には、その外周端部を覆うような椀状の固定側電界緩和シールド20が固定されている。固定側電界緩和シールド20は、半径方向に広がった固定部20aと、固定部20aに連接され軸方向に曲折した緩和部20bとで構成されている。緩和部20bは、内周面が凹状の曲面となっており、先端が真空絶縁容器1端部とラップするまで伸びている。
可動側封着金具3にも、その外周端部を覆うような椀状の可動側電界緩和シールド21が固定されている。可動側電界緩和シールド21も半径方向に広がった固定部21aと、固定部21aに連接され軸方向に曲折した緩和部21bとで構成されている。緩和部21bも、内周面が凹状の曲面となっており、その先端が真空絶縁容器1端部とラップするまで伸びており、固定側の緩和部20bの先端と所定の絶縁距離を保って離間している。
電界緩和シールド20、21は、加工性のよい銅材やアルミナなどの金属材を用いている。緩和部20b、21bは、薄板を曲折させる絞り加工などで形成し、固定部20a、21aにろう付けなどで固定されている。また、緩和部20b、21bは、図2に示すように、中間部が曲率半径R1の断面半円状であり、先端部が曲率半径R1よりも小さい曲率半径R2の断面半円状となっている。
そして、これらの真空絶縁容器1と電界緩和シールド20、21の外周には、エポキシ樹脂でモールドして形成した絶縁層12が設けられている。絶縁層12の外周には、導電性塗料を塗布して形成した接地層13が設けられている。絶縁層12の固定側の軸方向は凹状の界面接続部14となっており、また、可動側は凸状の界面接続部15となっており、他の電気機器と接続される。
これにより、真空絶縁容器1と電界緩和シールド20、21の緩和部20b、21b間に形成される絶縁層12は、真空絶縁容器1側が直線状であるものの、緩和部20b、21b側の中間部が曲率半径R1、先端部が曲率半径R1に連接された曲率半径R2による断面半円状の曲面を持ったものとなる。このように連続した曲面を有する円弧状の絶縁層12においては、応力が特定個所に集中し難く、曲面の全体に分散し、剥離やクラックのような絶縁欠陥を生じ難くさせるものとなる。また、緩和部20b、21bを薄板としているので、残留応力の吸収を図ることができる。
なお、曲率半径R2は、大きいほどよいが、電界緩和シールド20、21が大型化する。逆に、曲率半径R2が小さいと、応力集中を起こし易くなる。このため、曲率半径R2は、曲率半径R1の1/5〜1/20が好ましい。
更に、緩和部20b、21bは、接地層13との間で対地間絶縁を形成するが、最短絶縁距離個所が大きな曲率半径R1を持つ曲面の部分となり、電界緩和を図ることができる。なお、緩和部20b、21bと接地層13間に形成される絶縁層12は、接地層13側が解放されているので、大きな応力は発生し難い。
上記実施例1のモールド真空バルブによれば、封着金具2、3に固定される電界緩和シールド20、21の緩和部20b、21bの内周面を凹状の曲面としているので、真空絶縁容器1と緩和部20b、21b間に形成される絶縁層12が断面半円状の曲面を持った形状となり、応力分散を図ることができ、剥離やクラックなどの絶縁欠陥の生じ難いものとすることができる。
次に、本発明の実施例2に係るモールド真空バルブを図3を参照して説明する。図3は、本発明の実施例2に係るモールド真空バルブの構成を示す要部拡大断面図である。なお、この実施例2が実施例1と異なる点は、電界緩和シールドの形状である。図3において、実施例1と同様の構成部分においては、同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。なお、固定側と可動側とは同様形状であるので、固定側を用いて説明する。
図3に示すように、固定側電界緩和シールド20の緩和部20cは、固定部20a側にも先端部と同様の曲面を持たせている。即ち、断面C字状としている。
上記実施例2のモールド真空バルブによれば、真空絶縁容器1と緩和部20b間に形成される絶縁層12の応力分散を更に図ることができる。
次に、本発明の実施例3に係るモールド真空バルブを図4を参照して説明する。図4は、本発明の実施例3に係るモールド真空バルブの構成を示す要部拡大断面図である。なお、この実施例3が実施例1と異なる点は、電界緩和シールドの形状である。図4において、実施例1と同様の構成部分においては、同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。なお、固定側電界緩和シールドを用いて説明する。
図4に示すように、固定側電界緩和シールド20の緩和部20dは、厚板の筒状の内周面を凹状の曲面に機械加工したものである。緩和部20dは、固定部20aにろう付けなどで固定されている。なお、緩和部20dは、固定部20aよりも厚板となる。
上記実施例3のモールド真空バルブによれば、実施例1による効果のほかに、緩和部20dの板厚が大きくなるので、熱容量が増し、モールド時などにおける絶縁層12内の残留応力を抑制することができる。
次に、本発明の実施例4に係るモールド真空バルブを図5を参照して説明する。図5は、本発明の実施例4に係るモールド真空バルブの構成を示す要部拡大断面図である。なお、この実施例4が実施例1と異なる点は、電界緩和シールドの形状である。図5において、実施例1と同様の構成部分においては、同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。なお、固定側電界緩和シールド用いて説明する。
図5に示すように、固定側電界緩和シールド20の緩和部20eは、薄板を絞り加工などで、特に半径方向に弾力性を有する渦巻状に形成している。緩和部20eは、固定部20aにろう付けなどで固定されている。
上記実施例4のモールド真空バルブによれば、実施例1による効果のほかに、緩和部20eに弾力性を持たせているので、モールド時などにおける絶縁層12内の残留応力を抑制することができる。
1 真空絶縁容器
2 固定側封着金具
3 可動側封着金具
4 固定側通電軸
5 固定側接点
6 可動側接点
7 可動側通電軸
8 ベローズ
9 アークシールド
10、20 固定側電界緩和シールド
11、21 可動側電界緩和シールド
12 絶縁層
13 接地層
14、15 界面接続部
20a、21a 固定部
20b、20c、20d、20e、21b 緩和部

Claims (2)

  1. 筒状の真空絶縁容器と、
    前記真空絶縁容器の両端開口部に封着された固定側封着金具および可動側封着金具と、
    前記固定側封着金具に貫通固定された固定側通電軸と、
    前記固定側通電軸端に固着された固定側接点と、
    前記固定側接点と接離する可動側接点と、
    前記可動側接点を固着するとともに、前記可動側封着金具を気密のもとに貫通する可動側通電軸と、
    前記固定側封着金具の外周端部を覆うように設けられた固定側電界緩和シールドと、
    前記可動側封着金具の外周端部を覆うように設けられた可動側電界緩和シールドと、
    前記真空絶縁容器および前記電界緩和シールドの外周に絶縁材料をモールドして形成した絶縁層とを具備し、
    前記電界緩和シールドのそれぞれは、半径方向に広がる固定部と軸方向に伸びる緩和部とで構成され、前記緩和部を前記固定部側と先端部とに曲率を持たせた断面C状としたことを特徴とするモールド真空バルブ。
  2. 前記緩和部を絞り加工で形成したことを特徴とする請求項1に記載のモールド真空バルブ。
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