JP5291975B2 - 高水素含有エポキシ混合硬化物の形成方法 - Google Patents

高水素含有エポキシ混合硬化物の形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、高水素含有エポキシ混合硬化物の形成方法に関し、詳しくは、原子炉、核燃料再処理工場等の放射性物質取扱い施設、あるいは放射性物質の格納容器、輸送容器等に、中性子遮蔽の目的で使用するのに適した高水素含有エポキシ混合硬化物の製造方法に関する。
原子炉、核燃料再処理工場等の放射性物質取扱い施設、あるいは放射性同位元素等からの中性子は、エネルギーが高く、強力な透過力を有し、かつ他の物質と衝突するとガンマ線を発生し人体に重大な障害を与えるおそれがあるため、中性子を安全確実に遮蔽する材料が必要とされている。
ところで、中性子のうち高速中性子は、ほぼ同じ質量の水素原子と衝突することによりエネルギーが吸収され、効果的に減速されるので、水素原子密度の高い物質が高速中性子の遮蔽に有効である。
従って従来、中性子の遮蔽材としては水、パラフィン、またはポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系の熱可塑性樹脂、あるいはポリエチレン粉末を配合したエポキシ樹脂(特許文献1参照)、または不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂で構成された中性子遮蔽材(特許文献2,特許文献3参照)などが使用されている。
さらには、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂にポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などを添加し、水素原子配合率を高めた樹脂硬化物が、中性子遮蔽効率が良好な材料として提案されている(特許文献4参照)
しかしながら、特許文献4のようなエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂にポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などを添加して水素原子配合率を高めた樹脂硬化物を中性子遮蔽材として実用しようとすると、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などを熱硬化性樹脂に均一に混合し、かつ、硬化収縮を抑制することが必要になる。しかしながら、実際には、硬化収縮を抑え、均一混合性を確保することは容易でないのが実情である。
特開昭60−194394号公報 特公昭62−18040号公報 特公昭62−53080号公報 特公平6−103357号公報
本発明は、上記課題を解決するものであり、エポキシ樹脂に、ポリエチレン樹脂粉末が均一に分散され、水素原子配合率が高く、中性子遮蔽材として優れた特性を有する高水素含有エポキシ混合硬化物を、硬化収縮を抑制しつつ、効率よく製造することが可能な高水素含有エポキシ混合硬化物の形成方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の高水素含有エポキシ混合硬化物の形成方法は、
常温で粘度が300〜2000mPa・の低粘度ビスフェノール型エポキシ樹脂に、粒径が18メッシュ篩通過のポリエチレン樹脂粉末を、前記エポキシ樹脂100重量部に対して20〜53重量部の割合で配合した配合原料に、アミン系硬化剤を添加して混合した後、40〜80℃、2〜20分間の条件で加熱を行う予熱工程と、
前記混合物を減圧下で、所定時間保持して脱泡処理する脱泡工程と、
前記脱泡処理の工程の終了後、前記混合物を40〜80℃に3時間以上加熱して、ポリエチレン樹脂粉末が分散した状態のまま前記混合物を硬化させる硬化工程と
を具備することを特徴としている。
本発明においては、前記ポリエチレン樹脂粉末として、酢酸ビニルの割合が12〜30重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体粉末を用いることが望ましい。
また、前記脱泡工程において、前記混合物を1〜10Torr(の減圧下で、2〜20分間保持することが望ましい。
本発明の高水素含有エポキシ混合硬化物の形成方法は、常温で粘度が300〜2000mPa・の低粘度ビスフェノール型エポキシ樹脂に、粒径が18メッシュ篩通過のポリエチレン樹脂粉末を、前記エポキシ樹脂100重量部に対して20〜53重量部の割合で配合した配合原料に、アミン系硬化剤を添加して混合し、40〜80℃、2〜20分間の条件で予熱を行った後、混合物を減圧下で、40〜80℃に3時間以上保持して脱泡処理し、その後、混合物を所定の温度に加熱して、ポリエチレン樹脂粉末が分散した状態のまま混合物を硬化させるようにしているので、ポリエチレン樹脂粉末の添加によりベース樹脂であるエポキシ樹脂よりも水素含有率を高めることが可能になるとともに、ポリエチレン樹脂粉末を分離させることなく、均一に分散した状態のまま混合物を硬化(固化)させることが可能になり、中性子遮蔽材として優れた特性を有する高水素含有エポキシ混合硬化物を効率よく製造することが可能になる。
すなわち、エポキシ樹脂とポリエチレン樹脂粉末の配合原料に、アミン系硬化剤を添加、混合し、40〜80℃で予熱することにより、混合物の粘度が低下するため、混合物中のポリエチレン樹脂粉末がエポキシ樹脂に確実に分散されるとともに、その後の減圧下における脱泡処理により気泡が効率よく除去され、かつ、エポキシ樹脂の硬化が進行しやすい状態になる。
そして、その後に、混合物を所定の温度に加熱して、混合物を硬化させることにより、ポリエチレン樹脂粉末がエポキシ樹脂に十分に分散した状態のまま速やかにエポキシ樹脂を硬化させることが可能になる。その結果、ポリエチレン樹脂粉末がベース樹脂であるエポキシ樹脂に十分に分散した、高水素含有エポキシ混合硬化物を効率よくしかも確実に製造することができる。
なお、ポリエチレン樹脂粉末を、エポキシ樹脂100重量部に対して20〜53重量部の割合で配合することにより、水素含有率を高めることが可能になる。
また、エポキシ樹脂として、常温で粘度が300〜2000mPa・の低粘度ビスフェノール型エポキシ樹脂主剤を用いることにより、ポリエチレン樹脂粉末との混合が容易になるとともに、脱泡処理を効率よく行うことが可能になる。
また、予熱工程、脱泡工程を経た後の硬化工程において、混合物を40〜80℃で3時間以上加熱することにより、大きな硬化収縮を招くことなく、ポリエチレン樹脂粉末がエポキシ樹脂に十分に分散した状態のままエポキシ樹脂を確実に硬化させることが可能になる。
また、18メッシュ篩通過(粒径約500μm以下)のものを用いることが望ましいが、これは、粒径がこれ以上大きくなると、均一に分散させることが困難になる傾向があることによる。
また、ポリエチレン樹脂粉末として、酢酸ビニルの割合が12〜30重量%のエチレン共重合体ポリエチレン樹脂粉末を用いることにより、エポキシ樹脂との親和性を向上させることが可能になり、ポリエチレン樹脂粉末の混合均一性を向上させることが可能になる。
また、脱泡処理を行う工程において、混合物を1〜10Torrの減圧下で、2〜20分間保持することにより、十分な脱泡処理を行うことができる。
本発明にかかる高水素含有エポキシ混合硬化物に用いられるエポキシ樹脂は、その分子中にエポキシ基を少なくとも2個以上有する化合物である。
このようなエポキシ樹脂として具体的には、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリフェノール類化合物のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;前記ポリフェノール類化合物の核水素化物のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、フロログルシン等の多価フェノール類のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;エチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリオキシアルキレングリコール等の多価アルコール類のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;ノボラツク型エポキシ樹脂;ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド等の脂環族系エポキシ樹脂;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、コハク酸等のポリカルボン酸のポリグリシジルエステル系エポキシ樹脂;4,4′‐ジアミノジフェニルメタン、p−アミノフェノール、m−アミノフェノール、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等のアミン類のポリグリシジルアミン系エポキシ樹脂;メチルエピクロ型エポキシ樹脂等があげられる。
これらの多官能エポキシ樹脂は単独でまたは2種類以上混合して使用することができる。また必要に応じ、1分子中に1個以上のエポキシ基を有する反応性希釈剤を上記エポキシ樹脂に添加、混合してもよい。
また、エポキシ樹脂としては、ポリエチレン樹脂粉末との混合を容易ならしめるとともに、脱泡処理を効率よく行うことができるようにする見地から、常温(例えば23℃)で粘度が300〜2000mPa・の低粘度ビスフェノール型エポキシ樹脂主剤を用いることが望ましい。
また、本発明においては、ポリエチレン樹脂粉末として、種々の性状のものを用いることが可能である。そして、本発明においては、ポリエチレン樹脂粉末として、酢酸ビニルの割合が12〜30重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体粉末を用いることが好ましい。
ポリエチレン樹脂粉末として、エチレン−酢酸ビニル共重合体を用いる場合、上述のように、酢酸ビニルの割合が12〜30重量%の範囲のものを用いることが望ましいが、これは、酢酸ビニルの割合が12%未満になると、エポキシ樹脂との親和性を向上させる効果が不十分になり、30%を超えると、水素含有率が低下することによる。
また、ポリエチレン樹脂粉末の配合割合は、エポキシ樹脂100重量部に対して20〜53重量部の割合とすることが望ましい。これは、ポリエチレン樹脂粉末の配合割合が20重量部未満の場合、水素含有率を向上させる効果が小さく、53重量部を超えると成形性が低下することによる。
また、ポリエチレン樹脂粉末としては、18メッシュ篩通過(粒径約500μm以下)のものを用いることが望ましい。粒径がこれ以上大きくなると、均一に分散させることが困難になる傾向があることによる。
また、本発明で使用するアミン系硬化剤としては、エポキシ樹脂の硬化剤として知られているあらゆるアミン系硬化剤を使用することができる。具体的には、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロビルアミン等の鎖状脂肪族系ポリアミン;ポリアミドポリアミン;メンセンジアミン、イソホロンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)‐2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンアダクト、ビス(4−アミノ‐3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン等の脂環族ポリアミン;メタキシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ポリアミン;変性脂肪族系ポリアミン;イミダゾール化合物等があげられる。
これらのアミン系硬化剤は単独でまたは2種類以上混合して使用することができる。また、アミン系硬化剤の配合量は、イミダゾール化合物以外はエポキシ樹脂のエポキシ等量より理論式を用いて算出すればよい。
なお、本発明においては必要に応じて、シリカ粉末、アルミナ、炭酸カルシウム、三酸化アンチモン、酸化ホウ素、酸化チタン、アスベスト、クレー、マイカ、ガラス繊維、炭素繊維等の充填材;天然ワツクス、脂肪酸の金属塩、酸アミド類、エステル類等の離型剤;塩化パラフィン、ブロムトルエン、ヘキサブロムベンゼン、三酸化アンチモン等の難燃剤;カーボンブラツク、ベンガラ等の着色剤;シランカップリング剤、チタンカップリング剤等を適宜添加してもよい。
本発明を実施するにあたっては、例えば、所定の組成比に選択した前記の各成分をエポキシ樹脂系(エポキシ樹脂とポリエチレン樹脂粉末との混合物)と硬化剤系に分けて、ディスパー、3本ロール等で混合し、エポキシ樹脂系と硬化剤系とを混合した後、混合物を40〜80℃、2〜20分間の条件で予熱し、続いて混合物を注型し、真空下で脱泡処理を行った後、所定の温度(例えば、40〜80℃)に加熱して、ポリエチレン樹脂粉末が分散した状態のまま混合物を硬化させて成形する。
予熱は、40〜80℃の温度範囲で行うことが好ましいが、これは、
(a)40℃以上の温度で予熱を行うことにより、取り扱いが容易で、ポリエチレン樹脂粉末を十分に分散させることができる程度にまで粘度を低下させることが可能になること、
(b)エポキシ樹脂の重合をある程度まで進行させて、脱泡処理後の硬化反応を効率よく行わせることができること、
(c)温度が80℃以上になると、エポキシ樹脂の硬化が進みすぎたり、収縮が大きくなったりして好ましくないこと
などの理由による。
また、予熱の時間を2〜20分間としたのは、予熱の時間が2分間未満では、取り扱いが容易で、ポリエチレン樹脂粉末を十分に分散させることができる程度にまで粘度を下げることが困難になりやすいこと、20分間を超えると、エポキシ樹脂の重合が進みすぎる傾向があることによる。
なお、本発明において、脱泡処理は予熱工程と硬化工程の間の任意のタイミングで行うことが可能で、混合物を型に注入した後で行うことはもちろん、型に注入する前の段階で行うことも可能である。また、脱泡処理は、十分に気泡を除去する見地から、1〜10Torrの真空下で2〜20分間程度行うことが望ましい。
次に本発明を実施例により説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
水添型ビスフェノール系のエポキシ樹脂と、18メッシュ篩通過の粒径のポリエチレン樹脂粉末(酢酸ビニルの割合が16重量%のエチレン共重合体ポリエチレン樹脂粉末)と、ポリアミン系の硬化剤とを表1に示すような割合で配合して、硬化後に高水素含有エポキシ混合硬化物となる混合物を作製した。
Figure 0005291975
それから、この混合物について、以下の条件で予熱を行った。
予熱温度 :30℃、40℃、60℃、80℃、90℃
予熱時間 :1分、2分、5分、10分、20分、25分
また、上記条件で予熱を行った後、混合物を所定形状の型に注入し、予熱時の温度を維持したまま、以下の条件で脱泡処理を行った。
真空度 :2Torr
脱泡処理時間 :5分間
次に、上述のようにして脱泡処理を行った後の混合物を、以下の条件で加熱して硬化させた。
加熱温度 :60℃
加熱時間 :4時間
その結果、40〜80℃での予熱を、2〜20分間の範囲で実施し、上記条件下で脱泡処理を行った後、硬化させることにより、大きな硬化収縮を生じさせることなく、ポリエチレン樹脂粉末がベース樹脂であるエポキシ樹脂に均一に分散した、水素含有率の高い高水素含有エポキシ混合硬化物を形成できることが確認された。
また、ポリエチレン樹脂粉末として、酢酸ビニルの割合が16重量%のエチレン共重合体ポリエチレン樹脂粉末を用いているので、エポキシ樹脂との親和性を向上させて、より混合均一性の高い高水素含有エポキシ混合硬化物を得ることができた。
なお、予熱時間を2分未満とした場合には、予熱温度を80℃にしても、ポリエチレン樹脂粉末のエポキシ樹脂への分散が不十分になることが確認された。
また、予熱温度が40℃未満の場合、20分を超える予熱時間を確保しても、ポリエチレン樹脂粉末のエポキシ樹脂への分散が不十分になることが確認された。
また、予熱温度が80℃を超えると、予熱時間を2分未満としても、硬化が進行し、その後の型への注入や、脱泡処理に支障をきたす傾向が認められた。
また、予熱温度を40〜80℃とした場合、20分以内で、エチレン樹脂粉末をエポキシ樹脂に十分に分散させることが可能で、それ以上の時間を確保する必要がないことが確認された。一方、予熱温度を40〜80℃の範囲とした場合であっても、その範囲内で予熱温度を高くした場合、予熱時間が20分を超えると、硬化が進行しすぎて、その後の作業に支障がでる傾向が認められた。
以上の結果より、予熱工程における好ましい条件は、加熱温度40〜80℃、加熱時間2〜20分の範囲であるということできる。
上記実施例1の場合と同様に、水添型ビスフェノール系のエポキシ樹脂と、ポリエチレン樹脂粉末(酢酸ビニルの割合が16重量%のエチレン共重合体ポリエチレン樹脂粉末、18メッシュ篩通過)と、ポリアミン系の硬化剤とを表1に示すような割合で配合して、硬化後に、高水素含有エポキシ混合硬化物となる混合物を作製した。
それから、予熱の効果を確認するため、上記の混合物を、予熱工程を備えた条件と、予熱工程を備えていない条件で、型に注ぎ込み、脱泡処理を行った後、加熱保持して硬化させた。
なお、予熱の工程を備えた試験においては、以下の条件で予熱を行った。
予熱温度 :60℃
予熱時間 :10分
また、予熱工程を経た後の混合物を型に注ぎ込んだ後、以下の条件で脱泡処理した。
真空度 :2Torr
脱泡処理時間 :2分間
そして、脱泡処理後の混合物を、以下の条件で硬化させた。
加熱温度 :60℃
加熱時間 :4時間保持
また、予熱工程を備えていない試験においては、予熱工程を備えていないことを除いて、上述の予熱工程を備えた試験の場合と同一の条件で、脱泡処理および硬化処理を実施した。
その結果を表2に示す。
Figure 0005291975
表2に示すように、60℃での予熱を10分間実施し、型に注ぎ込んで上記条件下で脱泡処理を行った後、硬化させるようにした場合には、原料を型に注ぎ込んだ後の脱泡処理を速やかに行うことができた。なお、表2には示していないが、予熱を行った場合、原料の粘度が低下することから、型への注ぎ込みの工程も速やかに行うことができた。
また、60℃での予熱を10分間実施した場合、脱泡処理後に混合物を迅速かつ確実に硬化させることが可能になり、ポリエチレン樹脂粉末がベース樹脂であるエポキシ樹脂に均一に分散し、水素含有率の高い高水素含有エポキシ混合硬化物が得られることが確認された。
一方、予熱を行わない場合には、脱泡処理に時間を要し、また、硬化も速やかに進行しないため、硬化工程で、ポリエチレン樹脂粉末が分離し、得られた硬化物においても、ポリエチレン樹脂粉末の分散が不十分であることが確認された。なお、表2には示していないが、予熱を行わない場合、原料の粘度が高く、型への注ぎ込みにも手間がかかることが確認された。
上記実施例1の場合と同じ原料を用い、ポリエチレン樹脂粉末(酢酸ビニルの割合が16重量%のエチレン共重合体ポリエチレン樹脂粉末)の、エポキシ樹脂への配合割合のみを変えて、高水素含有エポキシ混合硬化物を作製した。各工程の条件は、上記実施例2の加熱工程を備えた試験の場合と同じとした。
その結果を、表3に示す。
Figure 0005291975
表3に示すように、エチレン共重合体ポリエチレン樹脂粉末の、エポキシ樹脂に対する割合を、エポキシ樹脂100重量部に対して20〜53重量部の割合とした場合には、エチレン共重合体ポリエチレン樹脂粉末のエポキシ樹脂へ混合状態が良好な高水素含有エポキシ混合硬化物を得ることができたが、53重量部を上回ると混合状態がやや不十分になる傾向があることが確認された。
なお、エチレン共重合体ポリエチレン樹脂粉末の、エポキシ樹脂に対する割合を15重量部とした場合、分散均一性は十分であったが、水素含有率の向上の効果が小さくなるため好ましくない。
なお、この実施例3では、酢酸ビニルの割合が16重量%のエチレン共重合体ポリエチレン樹脂粉末(ポリエチレン樹脂粉末)を用いているが、酢酸ビニルの割合が異なるポリエチレン樹脂粉末および酢酸ビニルを含まないエチレン樹脂粉末を用いた場合にも同様の傾向があることが確認されている。
この実施例4では、エポキシ樹脂の粘度の影響を調べるため、エポキシ樹脂として、表4に示すような粘度の異なる複数種類のエポキシ樹脂(水添型ビスフェノール系のエポキシ樹脂)を用意した。
そして、エポキシ樹脂以外は、上記実施例1の場合と同じ原料を用い、表1の割合で各原料を混合した後、60℃で10分間の予熱を行い、型に注ぎ込んだ後、脱泡処理を行って、その際の挙動を調べた。その結果を表4に示す。
Figure 0005291975
表4に示すように、エポキシ樹脂の粘度が300〜2000mPa・の範囲の場合、混合、脱泡とも特に問題なく実施することができた。
これに対し、粘度が300mPa・未満になると、ポリエチレン樹脂粉末が分離しやすくなる傾向が認められた。また、粘度が2000mPa・を超えると、混合作業および脱泡処理に手間がかかる傾向が認められた。
したがって、上記の条件においては、エポキシ樹脂の粘度が300〜2000mPa・の範囲とすることが望ましいということがわかる。
この実施例5では、硬化工程における加熱温度の影響を調べるため、実施例1の場合と同様に、水添型ビスフェノール系のエポキシ樹脂と、18メッシュ篩通過の粒径のポリエチレン樹脂粉末(酢酸ビニルの割合が16重量%のエチレン共重合体ポリエチレン樹脂粉末)と、ポリアミン系の硬化剤とを、表1に示すような割合で配合して、硬化後に、高水素含有エポキシ混合硬化物となる混合物を作製した。そして、この混合物について、予熱温度:60℃、予熱時間:10分の条件で予熱を行い、型に注ぎ込んで、真空度:2Torr、脱泡処理時間:5分間の条件で脱気処理を行った後、表5に示すような温度条件で3時間加熱して、混合物を硬化させた。その結果を表5に示す。
Figure 0005291975
表5に示すように、加熱時間を3時間とした場合、加熱温度が40〜80℃の範囲では、十分に硬化した高水素含有エポキシ混合硬化物を得ることができた。
これに対し、加熱温度を35℃とした場合には硬化が不十分になり、得られた高水素含有エポキシ混合硬化物は、表面のべたつきが認められた。
また、加熱温度を85℃とした場合には、十分に硬化した高水素含有エポキシ混合硬化物を得ることができたが、得られた高水素含有エポキシ混合硬化物には変色が認められた。また、内部には発泡が認められた。さらに、加熱温度を85℃にまで高くすると、体積収縮率が高くなる傾向が認められた。
したがって、この実施例5の条件において、硬化工程における加熱温度は40〜80℃の範囲とすることが望ましいことがわかる。
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、各工程における具体的な条件、原料の種類や配合割合などに関し、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
上述のように、本発明によれば、エポキシ樹脂に、ポリエチレン樹脂が均一に分散し、水素原子配合率が高く、中性子遮蔽材として優れた特性を有する高水素含有エポキシ混合硬化物を、硬化収縮を抑制しつつ、効率よく製造することができる。
したがって、本発明は、原子力発電所などにおける中性子遮蔽に関する技術分野に広く適用することが可能である。

Claims (3)

  1. 常温で粘度が300〜2000mPa・の低粘度ビスフェノール型エポキシ樹脂に、粒径が18メッシュ篩通過のポリエチレン樹脂粉末を、前記エポキシ樹脂100重量部に対して20〜53重量部の割合で配合した配合原料に、アミン系硬化剤を添加して混合した後、40〜80℃、2〜20分間の条件で加熱を行う予熱工程と、
    前記混合物を減圧下で、所定時間保持して脱泡処理する脱泡工程と、
    前記脱泡処理の工程の終了後、前記混合物を40〜80℃に3時間以上加熱して、ポリエチレン樹脂粉末が分散した状態のまま前記混合物を硬化させる硬化工程と
    を具備することを特徴とする高水素含有エポキシ混合硬化物の形成方法。
  2. 前記ポリエチレン樹脂粉末として、酢酸ビニルの割合が12〜30重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体粉末を用いることを特徴とする請求項1記載の高水素含有エポキシ混合硬化物の形成方法。
  3. 前記脱泡工程において、前記混合物を1〜10Torrの減圧下で、2〜20分間保持することを特徴とする請求項1または2記載の高水素含有エポキシ混合硬化物の形成方法。
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