JP5289112B2 - 繊維強化樹脂製ゴルフクラブ用シャフトの製造方法 - Google Patents

繊維強化樹脂製ゴルフクラブ用シャフトの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、繊維強化樹脂製ゴルフクラブ用シャフトの製造方法に関する。
ゴルフクラブ用シャフトは、ゴルフという競技において、飛距離を増大させること、方向性を安定させることが要求される最も重要な性能であるが、近年意匠性についても重要度が増してきている。背景には、従来のゴルフクラブは、ゴルフクラブヘッド、シャフト、グリップを一体として製造販売されてきたが、それぞれを自分の好みで選択し、ゴルフクラブとして組み立てる「カスタムメイド化」が進んできたため、ゴルフクラブの外観での差別化を要望する傾向が強くなったことが挙げられる。
ゴルフクラブ用シャフトの意匠性向上のために最も広く用いられる手法は、塗装で差別化を持たせることである。従来は、黒等の単色で塗装を施していたが、意匠性を向上させるため、グラデーション等を用いた2色以上の多色塗装、さらに多色印刷などを施すことで他のシャフトとの差別化を図ることが近年のシャフトの主流となっている。
しかしながら、このような塗装による差別化は、色に変化を持たせるため何層も塗装を行う必要があり工程が長くなること、また、塗装によるシャフトの重量の増加、外径が太くなる等、シャフトの性能に少なからず影響を及ぼすことが問題となっている。
これに対し、特許文献1(特開2002−191735号公報)では、繊維強化樹脂層からなるゴルフシャフトの表層に、金属線層を配置し、その上に透視し得る低弾性繊維樹脂層を有するゴルフクラブ用シャフトの製造方法を開示している。
特許文献1によれば、立体的な奥行きを持つ意匠的に優れたゴルフシャフトを製造出来るとある。確かに、この方法によれば立体的な奥行きを持つ意匠的に優れたゴルフシャフトを製造出来るため、複雑な塗装をする必要がなく、塗装による重量増加を防ぐことが可能であるが、繊維強化樹脂層に比較して金属線層は比重が大きいため、金属線層付与による重量の増加、また、金属線の種類によっては、金属線自体の剛性が高すぎて巻き付けが困難であるという問題を有している。
上記とは別に、繊維強化樹脂層からなるゴルフシャフトの表層に、織布状繊維強化樹脂からなるプリプレグを配置し、その上に透視し得る低弾性繊維樹脂からなるプリプレグを配置することで、意匠性に優れたゴルフシャフトを製造することが出来る。
しかしながら、このような織布状繊維強化樹脂からなるプリプレグは、経糸と緯糸の屈曲が大きいため、プリプレグのドレープ性に劣るという問題がある。そのため、ゴルフシャフトのような外径の小さい管状体に、織布状繊維強化樹脂からなるプリプレグを巻き付けると、巻き付けたプリプレグの端部が浮き上がったり、巻き付けが困難なため織布状繊維強化樹脂からなるプリプレグを巻き付ける位置、方向、長さが制限され、ゴルフシャフトの補強としては不十分である等の問題があった。
この問題を解決するため、特許文献2(特開平8−336903号公報)及び特許文献3(特開平8−336904号公報)では、糸幅が3〜16mm、糸幅/厚み比が20以上の扁平な強化繊維糸による織布を使用することで、軽量で高強度のスポーツレジャー用品および管状体が得られることを開示している。
しかしながら、これらの織布状強化繊維はドレープ性が高いため、管状体に巻き付けることが容易である反面、織目がずれ易く、また、最外層に用いると研磨で織目が削れてしまうため、意匠用途として使用することが難しいという問題を抱えていた。
特開2002−191735号公報 特開平8−336903号公報 特開平8−336904号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ゴルフクラブ用シャフトの基本的な性能を損なうことなく、意匠性に優れたゴルフクラブ用シャフトを製造する繊維強化樹脂製ゴルフクラブ用シャフトの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
1)複数の繊維強化樹脂層で構成される繊維強化樹脂製ゴルフクラブ用シャフトの製造方法であって、繊維強化樹脂層の補強繊維が、シャフト軸方向に対し±30°〜±60°の方向に配向されたバイアス層を巻きつける工程と、繊維強化樹脂層の補強繊維が、実質的にシャフト軸方向に配向されたストレート層を巻き付ける工程と、補強繊維の単位面積あたりの重量が80g/m2 〜120g/m2 であり、かつ補強繊維の繊維束が2,000〜12,000フィラメントであり、かつ補強繊維の繊維束の幅が2mm〜20mmである織布状繊維強化樹脂層を巻き付ける工程と、巻き付けた後の厚さが50μm〜100μmであるガラス繊維強化樹脂層を巻き付ける工程を順に有する繊維強化樹脂製ゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
2)前記織布状繊維強化樹脂層をシャフト軸方向に配向されたストレート層に実質的に半周ずらして貼り付けて一体化させて巻き付ける1)に記載の繊維強化樹脂製ゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
3)前記織布状繊維強化樹脂層を形成する補強繊維が炭素繊維であり、かつ補強繊維の弾性率が280GPa以上である1)又は2)に記載の繊維強化樹脂製ゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
4)前記織布状繊維強化樹脂層を形成する織布の形態が、平織りである1)〜3)のいずれかに記載の繊維強化樹脂製ゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
5)前記織布状繊維強化樹脂層を形成する織布の経糸が、実質的にシャフト軸方向に配向された1)〜4)のいずれかに記載の繊維強化樹脂製ゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
本発明の繊維強化樹脂製ゴルフクラブ用シャフトの製造方法によると、織布状繊維強化樹脂層が高い意匠性を有するため、複雑な塗装をしなくても優れた意匠性を有することが出来、ゴルフクラブ用シャフトの基本的な性能を損なうことなく、意匠性に優れたゴルフクラブ用シャフトを製造する繊維強化樹脂製ゴルフクラブ用シャフトの製造方法を提供出来る。
以下、好適な実施形態をもって、本発明の構成と作用効果について図面を参照しながら具体的に説明する。
本発明のゴルフクラブ用シャフトの一実施形態例を示すプリプレグの裁断形状と、巻き付け順序とを示す説明図である。 マンドレルの概略説明図である。 実施例1におけるゴルフシャフトの製作に用いたプリプレグの裁断形状と、マンドレル10への巻き付け順序とを示す説明図である。 実施例2におけるゴルフシャフトの製作に用いたプリプレグの裁断形状と、マンドレル10への巻き付け順序とを示す説明図である。 比較例1におけるゴルフシャフトの製作に用いたプリプレグの裁断形状と、マンドレル10への巻き付け順序とを示す説明図である。 比較例2におけるゴルフシャフトの製作に用いたプリプレグの裁断形状と、マンドレル10への巻き付け順序とを示す説明図である。 比較例3におけるゴルフシャフトの製作に用いたプリプレグの裁断形状と、マンドレル10への巻き付け順序とを示す説明図である。
本発明のゴルフクラブ用シャフトの製造方法は、図1に示すような裁断形状を有するプリプレグをマンドレル10に巻き付け積層した後、加熱硬化して複数の繊維強化樹脂層から構成されるゴルフクラブ用シャフトを製造する。すなわち、同図のパターン1に示すように、繊維強化樹脂層の補強繊維が、シャフト軸方向に対し±30°〜±60°の方向に配向されたプリプレグ21からなるバイアス層をマンドレル10に巻き付ける第1工程と、繊維強化樹脂層の補強繊維が、実質的にシャフト軸方向に配向されたプリプレグ22〜26からなるパターン2〜6に示すストレート層を所要層巻き付ける第2工程と、補強繊維の単位面積あたりの重量が80g/m2 〜120g/m2 であり、かつ補強繊維の繊維束が2,000〜12,000フィラメントであり、かつ補強繊維の繊維束の幅が2mm〜20mmである織布状繊維強化樹脂からなるパターン7に示すプリプレグ27を複数層巻き付ける第3工程と、ガラス繊維強化樹脂層から構成されるパターン9に示すプリプレグ29を厚さが50μm〜100μmとなるよう順に巻き付ける第4工程を含んでいる。
図示例によれば、第2工程で巻き付けるストレート層の層数を5層としているが、この層数は任意であり、要求されるゴルフクラブとしての性能に応じて適宜決められる。また、本実施形態では第3工程と第4工程の間に、シャフトのヘッド側端部にストレート層からなるプリプレグ28からなる補強片を巻き付けているが、この工程は省略することもでき、或いは第1〜第4工程の間に複数層介入させるようにすることもできる。
本発明のゴルフクラブ用シャフトの製造方法において使用されるプリプレグを構成するマトリックス樹脂には、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を使用することができるが、好ましくは熱硬化性樹脂が用いられる。
熱可塑性樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、及びこれらの混合樹脂を用いることができる。一方、熱硬化性樹脂としては、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、ユリア系樹脂、メラミン系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、およびこれらの混合樹脂を使用することができる。中でも、エポキシ系樹脂は硬化収縮率が少なく、高い剛性と靭性値を有するので、最も好ましく使用される。
本発明のゴルフクラブ用シャフトの製造方法で使用される繊維強化樹脂層を構成する繊維は、金属繊維、ボロン繊維、炭素繊維、ガラス繊維、セラミクス繊維などの無機系繊維、アラミド繊維、その他の高強力合成繊維などを使用することができる。無機繊維は軽量、かつ高強力であることから好ましく使用される。中でも、炭素繊維が、比強度、比剛性に優れるので最適である。
これらの繊維は、単独または混合して使用できる。また、長繊維、短繊維、及びこれらの混合繊維など、繊維の長さは特に規定するものではない。
通常、繊維強化樹脂層で構成されるゴルフクラブ用シャフトの製造方法は、加熱硬化後に細径端部と太径端部をカットして長さを調整する。図1に示す距離Lbは、このカット後に長さが目的の長さとなるように設定する。例えば、1,170mmの全長のゴルフクラブ用シャフトを得ようとする場合、細径端部を10mmカットし、太径端部を10mmカットするときは、Lb=1,190mmに設定する。
マンドレル10は金属製であれば特に材質を限定するものでないが、テーパー等の加工が容易であること、耐久性に優れる観点から、鉄製であることが好ましい。マンドレル10に図1に示す各プリプレグ21〜29を巻き付けることになるが、加熱硬化後マンドレル10から繊維強化樹脂層を取り外す際、脱型が容易になるよう予めマンドレル10に離型剤を塗布しておくことが好ましい。
本発明のゴルフクラブ用シャフトの製造方法では、まずマンドレル10に繊維強化樹脂層の補強繊維が、シャフト軸方向に対し±30°〜±60°の方向に配向されたプリプレグ21からなるバイアス層を巻きつける。なお、プリプレグ21に使用される補強繊維は、炭素繊維が、比強度、比剛性に優れるので最適である。
ゴルフクラブ用シャフトの部分的な強度補強や剛性向上のため、図1のパターン2に示すような形状の補強層をこれらの工程の最初、あるいは途中、或いは最後に巻き付けることができ、これらは複数枚あっても良い。なお、パターン2に示すプリプレグ22からなる補強片に使用される補強繊維は、炭素繊維が、比強度、比剛性に優れるので最適である。
次に繊維強化樹脂層の補強繊維が、実質的にシャフト軸方向に配向されたプリプレグ23〜26からなるストレート層を巻き付ける。なお、プリプレグ23〜26に使用される補強繊維は、炭素繊維が、比強度、比剛性に優れるので最適である。
次に織布状の繊維強化樹脂からなるプリプレグ27を巻き付ける。なお、このプリプレグ27に用いる織布状補強繊維の単位面積あたりの重量は、80g/m2 〜120g/m2 が好ましい。120g/m2 より大きいと織布を形成する補強繊維の屈曲が大きくなり、プリプレグのドレープ性が損なわれるため好ましくない。また、80g/m2 より小さいと織布の空隙が大きくなり、表面の平滑性や意匠性が損なわれるため好ましくない。
また、この織布状繊維強化樹脂からなるプリプレグ27をストレート層からなるプリプレグ26に実質的に半周ずらして貼り付けた後に巻きつけると、プリプレグ27の織布の目ずれがしにくくなり、意匠性に優れたゴルフクラブ用シャフトを得ることが出来るのでより好ましい。なお、実質的に半周ずらすとは、シャフトの細径端部の外周が20mmで、太径端部の外周が40mmであった場合、プリプレグ27をプリプレグ26に対し、シャフトの細径端部側を10mm、太径端部側を20mmずらして貼り付けるということを意味する。
プリプレグ27に用いる織布状補強繊維の繊維束は、2,000〜12,000フィラメントであることが好ましい。2,000フィラメントより少ないと織布状の組織が小さくなり過ぎ、また12,000フィラメントより多いと、織布状の組織が大きくなり過ぎて意匠性が損なわれるため好ましくない。なお、ゴルフクラブの外観として最も好ましいのは、2,000〜6,000フィラメントである。
プリプレグ27に用いる織布を形成する繊維束の幅は、2mm〜20mmが好ましい。2mmより小さいと、織布の空隙が大きくなり過ぎ、表面の平滑性や意匠性が損なわれるため好ましくなく、20mmより大きいと格子状の模様が大きくなり過ぎて意匠性に劣るため好ましくない。なお、ゴルフクラブの外観として最も好ましいのは、2mm〜6mmである。
プリプレグ27に使用される織布状補強繊維は、金属繊維、ボロン繊維、炭素繊維、ガラス繊維、セラミクス繊維などの無機系繊維、アラミド繊維、その他の高強力合成繊維などを使用することができる。無機繊維は軽量、かつ高強力であることから好ましく使用される。中でも、炭素繊維が、比強度、比剛性に優れるので最適である。
プリプレグ27に用いる織布状補強繊維の弾性率は特に制限はないが、280GPa以上の炭素繊維であることが好ましい。280GPaより小さいとゴルフシャフトとして十分な剛性を得ることが出来ず、補強が必要となり、重量が重くなる等の問題が生じるからである。なお、補強繊維の弾性率が400GPaより大きいと繊維の引張強度が低くなり、また織布自体の剛性が高くなりすぎて、プリプレグのドレープ性が損なわれるため、補強繊維の弾性率は、280GPa〜400GPaとすることが好ましい。
プリプレグ27に用いる織布の形態は、平織り、朱子織り、綾織り等いずれの形態であっても良いが、織布の形態を保持しやすいことから、平織りが特に好ましい。
プリプレグ27に用いる織布の経糸及び緯糸は、実質的にシャフト軸方向に配向されても良いし、シャフト軸方向に対し±40°〜±50°に配向されても良いが、シャフト軸方向に経糸が配向されれば、シャフトの曲げ、および潰し剛性を向上させることが出来るのでより好ましい。なお、従来は経糸をシャフト軸方向に配向するのが困難であったが、本発明の製造方法によれば、補強繊維の単位面積あたりの重量が80g/m2 〜120g/m2 あり、かつ補強繊維の繊維束が2,000〜12,000フィラメントであり、かつ補強繊維の繊維束の幅が2mm〜20mmである織布状繊維強化樹脂層を巻き付けるので格別の問題は生じない。
ゴルフシャフトの細径端部の外径を調整するため、図1のパターン8に示すような形状の補強層をこれらの工程の最初、あるいは途中、あるいは最後に巻き付けても良く、これらは複数個あっても良い。なお、プリプレグ28からなる補強片に使用される補強繊維に制限はないが、炭素繊維が、比強度、比剛性に優れるので最適である。
最後にガラス繊維強化樹脂からなるプリプレグ29を巻き付ける。プリプレグ29に用いられるガラス繊維の形態は、織布、不織布、一方向に引き揃えられた状態のいずれでも良い。マトリックス樹脂は、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を使用することができるが、好ましくは熱硬化性樹脂が用いられ、特に接着強度や耐熱性などの特性が高いことからエポキシ樹脂が好適である。なお、下地にあるプリプレグ27の織布形態が可視化される必要があるため、透明度の高いエポキシ樹脂であることがさらに好ましい。
プリプレグ29の厚みについて制限はないが、巻き付けた後のガラス繊維強化樹脂層の厚みが50μm〜100μmである必要がある。繊維強化樹脂性ゴルフクラブ用シャフトは、加熱成形後に表面の凹凸除去およびフレックス調整のため、表面を研磨加工する。そのため、巻き付けた後のガラス繊維強化樹脂層の厚みが50μmより小さいと、研磨加工時にガラス繊維強化樹脂層と共に織布状強化繊維層も研磨されたり、織布状強化繊維層の凹凸が残って表面平滑性が損なわれる等の問題がある。また、巻き付けた後のガラス繊維強化樹脂層の厚みが100μmより大きいと、織布状強化繊維が外観で見えにくくなったり、ガラス繊維の比重が重いため、ゴルフクラブ用シャフトの重量が重くなるなどの問題があるため好ましくない。ガラス繊維強化樹脂層の厚みが50μm〜100μmとなるように巻き付けると、これらの問題が解消され、表面平滑性に優れ、意匠性に優れたゴルフクラブ用シャフトを得ることが出来る。
以上説明した本発明の一実施形態例によるゴルフクラブ用シャフトの製造方法によれば、織布状繊維強化樹脂層が高い意匠性を有するため、複雑な塗装をしなくても優れた意匠性を有することが出来、ゴルフクラブ用シャフトの基本的な性能を損なうことなく、意匠性に優れたゴルフクラブ用シャフトを製造する繊維強化樹脂製ゴルフクラブ用シャフトの製造方法を提供できる。
次に、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明する。
実施例1、2および比較例1、2で作製したゴルフクラブ用シャフトの材料を以下に示す。ここで、プリプレグに付したローマ字符号は、図1に示すパターン1〜パターン9の形状をもつプリプレグ21〜29に対応するプリプレグの材料を示している。
プリプレグA:炭素繊維プリプレグ HSX350C100S(厚さ0.076mm、三菱レイヨン株式会社製)
プリプレグB:炭素繊維プリプレグ TR350C100S(厚さ0.084mm、三菱レイヨン株式会社製)
プリプレグC:炭素繊維プリプレグ MR350C100S(厚さ0.084mm、三菱レイヨン株式会社製)
プリプレグD:炭素繊維プリプレグ MR350C125S(厚さ0.106mm、三菱レイヨン株式会社製)
プリプレグE:炭素繊維プリプレグ TR350E125S(厚さ0.113mm、三菱レイヨン株式会社製)
プリプレグF:織布状炭素繊維プリプレグ(強化繊維:MR30−3L、繊維目付け:100g/m2 、繊維束幅:3mm、樹脂含有量:40%、厚さ0.109mm、三菱レイヨン株式会社製)
プリプレグG:ガラス繊維プリプレグ GE352G075S(厚さ0.066mm、三菱レイヨン株式会社製)
プリプレグH:炭素繊維プリプレグ MR350C150S(厚さ0.127mm、三菱レイヨン株式会社製)
プリプレグI:織布状炭素繊維プリプレグ TR1120 350GMP(強化繊維:TR40−1L、繊維目付け:120g/m2 、繊維束幅:1mm、樹脂含有量:40%、厚さ0.150mm、三菱レイヨン株式会社製)
プリプレグJ:織布状炭素繊維プリプレグ TR3110 357GMP(強化繊維:TR30S−3L、繊維目付け:200g/m2 、繊維束幅:2mm、樹脂含有量:40%、厚さ0.240mm、三菱レイヨン株式会社製)
プリプレグK:織布状ガラス繊維プリプレグ(強化繊維:ECD900 1/0、繊維目付け:24.5g/m2 、樹脂含有量:40%、厚さ0.030mm)
(実施例1)
<マンドレル>
図2に示す形状のマンドレル10(鉄製)を用意した。このマンドレル10は、全体の長さL3にあって、その細径端P1から長さL1の位置(切換点)P2まで、その外径が直線的に漸増し、切換点P2から長さL2の大径端P3まで、その外径は一定である、鉄製の円筒体からなる。本実施例による前記マンドレル10の各部位における具体的な外径、長さ、テーパー度は以下のとおりである。
細径端P1の外径は4.60mm、切換点P2の外径は14.30mm、この切換点P2から太径端P3までは同一外径であり、その外径は14.30mmである。細径端P1から切替点P2までの長さL1は1,200mm、切替点P2から太径端P3までの長さL2は300mmである。マンドレル10の全体長さL3は1,500mmとなる。また、細径端P1から切替点P2までのテーパー度は8.08/1000とされている。
<プリプレグの裁断及び巻き付け>
各プリプレグA〜Gを図3に示す各パターン1〜9に裁断した。パターン1は、シャフトの長手軸方向に対し+45°と−45°に裁断したプリプレグを実質的に半周ずれるようずらして貼り合わせている。なお、サイズについては、表1のように調整をした。
パターン2は、シャフトの長手軸方向に繊維が配向しており、表1のようにサイズを調整した。
パターン3〜6は、シャフトの長手軸方向に繊維が配向しており、全長が1,190mmであり、表1のようにサイズを調整した。
パターン7は、平織り形態の織布状炭素繊維プリプレグを裁断したものである。織布の経糸は長手軸方向に配向しており、表1のようにサイズを調整した。
パターン8は、細径端部の外径が8.70mm程度になるよう、表1のようにサイズを調整した。
パターン9は、ガラス繊維プリプレグを裁断したものである。ガラス繊維は長手軸方向に配向しており、表1のようにサイズを調整した。
次に、それぞれ裁断したプリプレグA〜Gを順番にマンドレル10に巻き付けた。巻き付けは、マンドレルの細径端部から100mmを巻き付けの端部とした。パターン7の平織り形態の織布状炭素繊維プリプレグFは、予め実質的に半周分ずらしてパターン6のプリプレグDに貼り付けた後に巻き付けた。巻き付けも容易であり、シャフトの細径端部のプリプレグが大きく屈曲する部分も緩みなく巻き付けることが出来た。
続いて、厚さ20μm、幅30mmの熱収縮性を有するポリプロピレンテープ(図示せず。)を巻き付けピッチ2mmで巻き付け固定し、マンドレル10に形成したシャフト素管を得た。
<樹脂の硬化、及びシャフト素管表面の研磨>
シャフト素管を硬化炉に入れ、145℃で2時間加熱してプリプレグの樹脂の硬化処理を行った後、ポリプロピレンテープとマンドレル10とを取り除いた。得られたゴルフクラブ用シャフト素管の両端を10mmカットして全長を1,170mmとした。研磨前のシャフトの片持ちフレックス(細径端から920mmの位置を固定して、シャフト細径端から10mmの位置に3kgの錘を掛けたときのシャフト細径端のたわみ量)は148mmであった。また研磨前のゴルフクラブ用シャフト素管の細径端の外径は8.72mm、太径端の外径は16.02mmであった。
このゴルフクラブ用シャフト素管を、細径端の外径が8.50mm、片持ちフレックスが155mmとなるよう、円筒研磨機で表面の研磨仕上げを行い、実施例1のゴルフクラブ用シャフトを得た。
実施例1のゴルフクラブ用シャフトの重量は58.4g、シャフトのねじれ角(シャフト細径端から1,035mmの位置を固定し、シャフト細径端〜シャフト細径端から50mmの位置に、138.5kgf・mmのトルクを掛けたとき、シャフトがねじれた角度)は4.1度であった。
実施例1のゴルフクラブ用シャフトは、シャフト全体に平織り状の奥行きのある外観を有しており、意匠性に優れたものであった。これら、ゴルフクラブ用シャフトの評価結果を表2に示す。
(実施例2)
図4に示すように、実施例1におけるパターン1のプリプレグAの裁断寸法を表1に示すとおり変更し、パターン4のプリプレグの材料Cを材料Hに、パターン7のプリプレグFの織布の経糸と緯糸を長手軸方向に対し±45°に変更した以外は、全て実施例1と同じようにしてゴルフクラブ用シャフトを作製し、実施例1と同様にして各評価を実施し、評価結果を表2に示す。パターン7のシャフト細径端部の巻き付けも良好であり、シャフトの外観も良好であった。
(比較例1)
図5に示すようにパターン7をプリプレグの材料Fを材料Iに変更した以外は、全て実施例1と同じようにしてゴルフクラブ用シャフトを作製し、実施例と同様にして各評価を実施し、評価結果を表2に示す。パターン7のシャフト細径端部の巻き付けにおいて、プリプレグIの浮きが発生したが、ポリプロピレンのテープを巻き付けることで、困難ではあったがゴルフクラブ用シャフトを作製することは出来た。得られたゴルフクラブ用シャフトは、実施例1および2と比較すると重量が重くなり、外観については奥行き感が足りない結果となった。
(比較例2)
図6に示すようにパターン7のプリプレグの材料Fを材料Jに変更した以外は、全て実施例1と同じようにしてシャフトを作製したが、パターン7のシャフト細径端部の巻き付けが困難で、プリプレグJの浮きが酷く、シャフトを作製することが出来なかった。
(比較例3)
図7に示すようにパターン7のプリプレグの材料Fを材料Kに変更した以外は、全て実施例1と同じようにしてゴルフクラブ用シャフトを作製し、実施例と同様にして各評価を実施し、評価結果を表2に示す。研磨の量が十分でなく、ポリプロピレンテープ巻き付けることによって出来た凹凸と、織布状炭素繊維プリプレグの凹凸がシャフトの表面に残り、シャフトの外観が良くない結果となった。
表2の通り、実施例1及び実施例2におけるゴルフクラブ用シャフトの製造方法では、織布状繊維強化樹脂層を巻き付ける工程が容易であり、軽量かつ意匠性の高いゴルフクラブ用シャフトを製造することが可能であるのに対し、比較例1におけるゴルフクラブ用シャフトの製造方法では、織布状繊維強化樹脂層を巻き付ける工程が困難であり、軽量かつ意匠性の高いゴルフクラブ用シャフトを製造することが出来なかった。比較例2におけるゴルフクラブ用シャフトの製造方法では、織布状繊維強化樹脂層を巻き付ける工程が困難であり、ゴルフクラブ用シャフトを製造することが不可能であった。また、比較例3におけるゴルフクラブ用シャフトの製造方法では、研磨をする工程が難しく、意匠性の高いゴルフクラブ用シャフトを製造することが不可能であった。
このように、実施例1及び実施例2におけるゴルフクラブ用シャフトの製造方法では、ゴルフクラブ用シャフトの基本的な性能を損なうことなく、意匠性に優れたゴルフクラブ用シャフトを製造する繊維強化樹脂製ゴルフクラブ用シャフトの製造方法が実現される。
Figure 0005289112
Figure 0005289112
10 マンドレル
21〜29 巻き付け順のプリプレグ(層)の裁断形状
A〜K プリプレグ材料の種類
La 成形後のシャフト端部カット長
Lb 端部カット後のシャフト長
Lc シャフト先端部のプリプレグ補強片の長辺長
Ld シャフト先端部のプリプレグ補強片の短辺長
Le シャフト先端部の三角形プリプレグ補強片の一辺長
Lx,L12〜L19 細径側端のプリプレグ幅
Ly,L22〜L29 太径側端のプリプレグ幅

Claims (4)

  1. 複数の繊維強化樹脂層で構成される繊維強化樹脂製ゴルフクラブ用シャフトの製造方法であって、
    繊維強化樹脂層の補強繊維が、シャフト軸方向に対し±30°〜±60°の方向に配向されたバイアス層を巻きつける工程と、繊維強化樹脂層の補強繊維が、実質的にシャフト軸方向に配向されたストレート層を巻き付ける工程と、補強繊維の単位面積あたりの重量が80g/m2〜120g/m2であり、かつ補強繊維の繊維束が2,000〜12,000フィラメントであり、かつ補強繊維の繊維束の幅が2mm〜20mmである織布状繊維強化樹脂層を巻き付ける工程と、巻き付けた後の厚さが50μm〜100μmであるガラス繊維強化樹脂層を巻き付ける工程を順に含んでなり、
    前記織布状繊維強化樹脂層をシャフト軸方向に配向されたストレート層に実質的に半周ずらして貼り付けて一体化させて巻き付ける、
    繊維強化樹脂製ゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
  2. 前記織布状繊維強化樹脂層を形成する補強繊維が炭素繊維であり、かつ補強繊維の弾性率が280GPa以上である請求項1に記載の繊維強化樹脂製ゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
  3. 前記織布状繊維強化樹脂層を形成する織布の形態が、平織りである請求項1又は2に記載の繊維強化樹脂製ゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
  4. 前記織布状繊維強化樹脂層を形成する織布の経糸が、実質的にシャフト軸方向に配向された請求項1〜のいずれかに記載の繊維強化樹脂製ゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
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