JP5288761B2 - 固体高分子型燃料電池のセパレータ用材料 - Google Patents

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Description

本発明は、固体高分子型燃料電池のセパレータに用いるための樹脂被覆ステンレス鋼材およびそれを用いたセパレータに関する。
固体高分子型燃料電池は、従来、カーボン製のセパレータを用いたものが各種実用化試験等に供されていたが、最近では振動や衝撃に強く、価格の安いセパレータ材として金属材料を適用する開発が進められている。ただし、金属セパレータを適用するには腐食の問題をクリアする必要がある。すなわち、イオン交換膜としてフッ素樹脂などを用いた一般的な固体高分子型燃料電池ではイオン交換膜の分解によって酸性物質が発生し、これが金属セパレータを腐食させる大きな要因となる。金属セパレータが腐食するとセパレータ/電極間の接触抵抗が増大して電池出力が低下するだけでなく、腐食により溶出した金属イオンがイオン交換膜に侵入するとイオン伝導性の低下につながり、さらには、この金属イオンによりイオン交換膜の分解が促進されることもある。
高耐食性の比較的安価な金属材料としてステンレス鋼があるが、周知のとおりその耐食性は不動態皮膜によって確保されている。しかし、不動態皮膜は導電性に劣るため、これをそのままセパレータに用いるとセパレータ/電極間の接触抵抗が増大してしまう。また、耐食性の高いステンレス鋼種を用いたとしても、酸性環境となる固体高分子型燃料電池の内部環境に不動態皮膜を曝した場合には必ずしも満足できる耐食性を示すとは限らない。一方、金、白金などの貴金属材料は良好な耐食性と導電性を呈するものの、高価であるため固体高分子型燃料電池の普及を図るためには採用し難い。
そこで、ステンレス鋼の表面に導電性の被覆層を設ける手法が提案されている(特許文献1、2)。
特開平11−345618号公報 特開2001−283880号公報 特許第3818723号公報
特許文献1には、オーステナイト系ステンレス鋼の表面に厚さ3〜20μmのグラファイト(黒鉛)含有樹脂被覆層を形成したセパレータ材料が記載されている。この材料は、基材表面の強固な不動態皮膜が酸洗処理により除去されており、不動態皮膜に起因する接触抵抗は低減されていると考えられる。しかし、このセパレータ材料では被覆層の密着性を確保する上でグラファイトの含有量に制約を受け、結果的に、基材/被覆層の接触抵抗と、被覆層自体の電気抵抗と、被覆層/カーボン電極間の接触抵抗をすべて考慮に入れた抵抗(以下「トータルでの接触抵抗」という)については、必ずしも満足できるレベルに低減できていない。つまり、被覆層を設けたことによりトータルでの接触抵抗は増大してしまう。
特許文献2には、粗面化処理したステンレス鋼基材の表面にカーボン含有樹脂被覆層を形成させたセパレータ材料が記載されている。この場合、被覆層の密着性が改善される。しかし、発明者らのその後の調査によれば、特許文献2の手法で作製した樹脂被覆ステンレス鋼材は、耐食性において必ずしも満足できる特性を有していないことがわかった。その原因として被覆層厚さが1μm程度と薄いことが考えられる。そこで、引用文献2の技術を利用して被覆層厚さを増大することを試みた。ところが、被覆層中のカーボン配合量が少ないこともあり、被覆層厚さを増大するとトータルでの接触抵抗は大きく増大してしまった。
これらの文献の技術を応用すれば、ステンレス鋼基材の表面を粗面化処理して被覆層の密着性を向上させ、かつ被覆層中のカーボン量を増大させることにより、被覆層厚さを厚くしたときのトータルでの接触抵抗の向上と、固体高分子型燃料電池環境での耐食性の改善を同時に実現することができるのではないかと考えられた。しかしながら、必ずしもその通りにはいかないことがわかった。
本発明は、この点を解決すること、すなわちカーボン電極と組み合わせた場合を想定したトータルでの接触抵抗の低減を図り、かつ固体高分子型燃料電池の酸性環境に耐えうる優れた耐食性を付与するという、トレードオフの関係にある特性を具備した安価なセパレータ材料を提供しようというものである。
発明者らは詳細な検討の結果、ステンレス鋼表面に導電性被覆層を形成すると一般にはトータルでの接触抵抗は増大する傾向を示すが、ステンレス鋼基材の表面を、投影面積に対する実表面積が2倍以上となる形態の粗面化表面としたとき、トータルでの接触抵抗が減少に転じることを見出した。また、黒鉛を配合した樹脂被覆層において平均被覆層厚さを10μm以上としたときに、固体高分子型燃料電池セパレータでの使用を想定した場合の耐食性が実用に供しうるレベルに急激に向上することを見出した。本発明はこのような知見に基づいて完成したものである。
すなわち本発明では、表面積が投影面積に対し2倍以上であり、かつ三次元平均表面粗さSRaが2μm以下である粗面化表面を持つステンレス鋼を基材とし、その基材の粗面化表面上に、黒鉛を含有する導電性の樹脂被覆層が平均厚さ10〜30μmで付着している固体高分子型燃料電池のセパレータ用材料が提供される。樹脂被覆層は、樹脂100質量部に対し黒鉛50質量部以上を含有するものであることが好ましい。さらには樹脂100質量部に対しカーボンブラックを25質量部以上含有することが好ましい。樹脂被覆層の樹脂はフェノール系またはポリエステル系とすることができる。基材の粗面化表面は、化学的除去手段により形成されたものであることが好ましい。
被覆層の平均厚さは、基材の粗面化表面における凹部に入り込んでいる被覆層部分も含めた平均厚さであり、塗布量と塗膜厚さの関係が判っていれば、基材表面の単位投影面積あたりの塗布量から被覆層の平均厚さを算出することができる。投影面積は、ステンレス鋼基材の板面に垂直な方向(鋼板の厚さ方向)から見た、ある測定領域(顕微鏡視野)の面積である。表面積が投影面積に対し2倍以上とは、その測定領域での実表面積が、測定領域の投影面積の2倍以上であることを意味する。実表面積および三次元平均表面粗さSRaは、走査型共焦点レーザー顕微鏡を用いて測定される値が採用される。
本発明によれば、比較的安価な耐食材料であるステンレス鋼を基材に用いて、カーボン電極と組み合わせた場合を想定したトータルでの接触抵抗が基材(強固な不動態皮膜を溶解除去したもの)よりも更に低減され、かつ、固体高分子型燃料電池の酸性環境での耐食性を具備したセパレータ材料が実現された。この材料は安価な固体高分子型燃料電池の実用化に寄与しうると期待される。
基材に用いるステンレス鋼としては、特段に耐食性を向上させた鋼種を適用する必要はない。オーステナイト系であればCr:10〜40質量%好ましくは10〜30質量%、Ni:5〜30質量%程度、フェライト系であればCr:15〜40質量%程度好ましくは10〜30質量%程度の既存鋼種を選択することができる。JIS鋼種を例示すればオーステナイト系ではSUS304、SUS316、SUS310S等が挙げられ、フェライト系ではSUS430、SUS436L、SUS444、SUS447J1等が挙げられる。
基材であるステンレス鋼の表面は特異な粗面化形態を有していることが必要である。粗面化表面の上に樹脂被覆層を形成すれば、被覆層の密着性向上に有利となることは知られている。しかし本発明では粗面化表面によってもたらされる上記作用に加え、さらにトータルでの接触抵抗を顕著に改善する作用を享受すべく、特異な粗面化形態を有するステンレス鋼を基材に使用する。発明者らの検討によれば、特許文献2のように単にRaを特定範囲に規定するだけでは、被覆層の密着性を向上させることはできても、接触抵抗を顕著に向上させる手段にはならない。
一般に、ステンレス鋼表面に導電性樹脂被覆層を形成すると、トータルでの接触抵抗は増大する。ところが、表面積が投影面積に対し2倍以上であるような粗面化形態としたとき、後述の黒鉛含有被覆層とのマッチングにより、被覆層を形成することによってトータルでの接触抵抗がむしろ低減するようになることがわかった。この作用をここでは「接触抵抗低減化作用」と呼ぶ。
そのメカニズムについては未解明の部分が多いが、1つには基材表面/樹脂被覆層の間の接触抵抗が、被覆層を設けない場合の基材表面/カーボン電極の間の接触抵抗よりも大幅に小さくなることが考えられる。おそらく、黒鉛粒子と基材表面との接触機会が大幅に増大することが効いているのであろう。黒鉛粒子はカーボンブラックなど他のカーボン系導電フィラーと比べ粒子径が格段に大きく、基材の凹凸表面と黒鉛粒子との接触応力が大きく確保されるであろうことも要因として考えられる。
もう1つ、基材の最表面である樹脂被覆層の表面にも、基材の凹凸が影響を及ぼしていることが考えられる。表面積が投影面積に対し2倍以上となるような基材の凹凸形態は、被覆層平均厚さを後述のように10〜30μmとしたときの樹脂被覆層の表面凹凸に微妙に影響し、樹脂被覆層/カーボン電極の間の接触抵抗低減に寄与している可能性もある。
ただし、基材の粗面化表面はあまり大きく深い凹凸であってはならない。具体的には三次元平均表面粗さSRaが2μm以下の範囲では、上記の「接触抵抗低減化作用」が得られることを確認している。SRaが大きくなると、表面積が投影面積に対し2倍以上となるような基材の凹凸形態であっても、「接触抵抗低減化作用」が得られないことがある。その理由としては、基材表面凹凸の曲率半径が大きくなり、上述の基材表面/樹脂被覆層の間の接触抵抗を低減する作用が平滑表面の場合と大差なくなること、あるいは樹脂被覆層の表面凹凸に及ぼす基材の凹凸の影響が、樹脂被覆層/カーボン電極の間の接触抵抗低減にそれほど寄与しなくなることなどが考えられる。
表面積の投影面積に対する大きさは2倍以上であることが必要であるが、塩化第二鉄水溶液中での交番電解処理(特許文献3参照)によれば、8倍近いものを作製することもできる。そのようなものでも「接触抵抗低減化作用」が得られることを確認している。したがって、表面積の投影面積に対する大きさは2〜8倍程度の範囲で調整すればよい。一方、三次元平均表面粗さSRaについては2μm以下に規定されるが、その下限は、表面積の投影面積に対する比率を2倍以上に規定することによって制約を受けるので、特に規定する必要はない。特に好ましいSRaの範囲は0.5〜2μmである。
樹脂被覆層としては、黒鉛を含有するものが採用される。黒鉛の粒子を導電フィラーとして配合させることにより上述のような「接触抵抗低減化作用」が生じるものと考えられる。また、黒鉛粒子は樹脂被覆層の厚さを後述のように10〜30μmと比較的厚くした場合の骨材の役割を有し、被覆層の耐久性向上に寄与している。黒鉛の粉末は、主に平均粒子径1〜500μmの範囲で種々の用途向けに製造されているが、本発明では平均粒子径0.5〜20μm程度のものが使用でき、2〜10μmのものが特に好ましい。
黒鉛の樹脂被覆層中における含有量は、樹脂100質量部に対し50質量部以上とすることが望ましい。ただし、あまり多量に含有させると、塗料として塗布する際の作業性や、塗膜密着性を阻害する場合があるので概ね樹脂100質量部に対し50〜200質量部の範囲とすることがより好ましい。塗料への黒鉛添加量は、塗膜形成時の有機成分揮発量を勘案して設定される。
樹脂被覆層中には、黒鉛の他、カーボンブラック等の炭素微粒子を分散配合させることが望ましい。これにより被覆層中での黒鉛粒子間の導通経路が増大すると考えられ、樹脂被覆層自体の導電性が向上する。カーボンブラックの平均粒子径は、10〜30nmのものが好ましい。含有量は、樹脂100質量部に対し25〜50質量部の範囲とすることが好ましい。
樹脂被覆層を構成する樹脂成分としては、フェノール系またはポリエステル系が好ましい。他の系の樹脂(セルロース系、ゴム系、ビニル系、アクリル系)についても検討したが、フェノール系、ポリエステル系の方が、固体高分子型燃料電池の酸性環境下での耐食性と、トータルでの接触抵抗との両立を図りやすいことがわかった。
ステンレス鋼基材の粗面化表面を覆う樹脂被覆層の平均厚さは、10〜30μmの範囲とする。黒鉛粒子を含有する樹脂被覆層を、前記の特異な形態の粗面化表面上に付着させた場合において、樹脂被覆層の平均厚さが10μm以上になると固体高分子型燃料電池の酸性環境下での耐食性(基材からの金属イオンの溶出抑制作用)が急激に改善される。平均厚さ15μm以上を確保することがより好ましい。ただし、樹脂被覆層が厚くなるとトータルでの接触抵抗が増大していく。種々検討の結果、樹脂被覆層の平均厚さは30μm以下の範囲にコントロールすることが望ましい。
本発明のセパレータ材は代表的には以下のようにして製造することができる。基材となるステンレス鋼板を製造し、固体高分子型燃料電池のカーボン電極と接触する面に粗面化処理を施す。粗面化処理方法としては強固な不動態皮膜を除去する必要性を考慮すると、化学的除去手段によるのが効果的である。例えば、塩化第二鉄水溶液中での交番電解によれば、ステンレス鋼の表面に多数の深いピットを形成させることができ、上記の特異な粗面化形態にコントロールすることが容易である。具体的には特許文献3などに開示される手法が採用できる。その他、ステンレス鋼を、不動態皮膜が溶解されやすい王水等の塩化物イオン存在液に浸漬する方法も採用できる。機械的除去手段(ブラスト処理等)によっても、条件次第では本発明で規定する特異な粗面化形態を実現することが可能と考えられる。ただしその場合は、塩酸水溶液に浸漬するなどの「不動態皮膜溶解処理」を施すことによって基材を仕上げる必要がある。
樹脂被覆層の形成は、塗装によって効率的に実施できる。本発明で規定する粗面化表面を有するステンレス鋼基材は、塗膜密着性に優れるので、鋼板素材(鋼帯)の段階で連続的に塗装を施し(プレコート)、その後、セパレータに成形加工する方法が採用できる。塗料の塗布はロールコーターやバーコーターなど、公知の手法によれば良いが、黒鉛粒子を多く含有する塗料を粗面化表面の凹部に十分に充填するためには、バーコーター法が比較的適している。
基材用のステンレス鋼として、下記の組成を有する板厚0.2mmのステンレス鋼板を用意した。
〔鋼組成〕
質量%で、C:0.006%、Si:0.24%、Mn:0.19%、Ni:0.14%、Cr:21.94%、P:0.034%、S:0.001%、Cu:0.07%、Mo:1.12%、残部Feおよび不可避的不純物
上記のステンレス鋼板の表面(両面)を、表2の「粗面化処理」の欄に示す各種方法により粗面化し、基材を得た。エメリー紙研磨、ダル圧延、ショットブラストによるものは、いずれも後処理として塩酸浸漬処理(1分間)を行った。なお、塩酸浸漬(後処理を含む)にはいずれも10mass%の塩酸水溶液、50℃の処理液を用いた。王水浸漬は25℃で行った。電解粗面化処理は塩化第二鉄(FeCl3)水溶液中での交番電解処理であり、条件は以下のとおりである。
〔電解粗面化処理条件〕
12質量%FeCl3水溶液、50℃、アノード電流密度3.0kA/m2、カソード電流密度0.5kA/m2、交番電解サイクル2.5Hz、処理時間60秒
塗料として、表1に示す3種類のものを用意した。黒鉛は、平均粒子径(レーザー回折式粒度分布測定装置によるD50)が約5μmの粉末を使用した。
Figure 0005288761
各基材の表面について、走査型共焦点レーザー顕微鏡(オリンパス社製;OLS1200)により倍率5000倍で粗面化表面を観察し、50μm×50μmの測定領域について三次元平均表面粗さSRaおよび表面積を測定した。表面積の測定値を測定領域の面積で除することにより、「投影面積に対する表面積比率」の値を求めた。
各基材から切り出した試料(樹脂被覆層を形成する前の状態)について、以下の方法でカーボン電極と接触させた場合を模擬した接触抵抗R0(mΩ・cm2)を測定した。
〔接触抵抗の測定方法〕
直径15mmの試料の両面にそれぞれカーボンペーパー(東レ社製;TGP−H−120)を10kgf/cm2の均等な圧力で接触させ、両側のカーボンペーパー間に電圧を付与して1.77Aの直流電流を試料に流した状態として、両側のカーボンペーパー間の電気抵抗を4端子法により測定した。この電気抵抗値を接触抵抗として採用する。
各基材の粗面化表面上(両面)に、上記の塗料をバーコーター法にて塗布し、フェノール系、ポリエステル系とも空気中150℃で30分加熱する焼付け処理を経て樹脂被覆層を形成させた。このようにして供試材(セパレータ用材料)を得た。平均被覆層厚さ(乾燥後)は10μmとなるようにした。両面の表面構造(粗面化表面と樹脂被覆層の組み合わせ)は同一にしてある。
各供試材から切り出した試料(樹脂被覆層を形成したもの)について、上記の方法でカーボン電極と接触させた場合を模擬したトータルでの接触抵抗R1(mΩ・cm2)を測定した。そして、各供試材について前記の基材の接触抵抗R0とトータルでの接触抵抗R1からR1/R0の値を算出し、これを「接触抵抗変化率」とした。
結果を表2に示す。
Figure 0005288761
表2からわかるように、投影面積に対する表面積比率が2以上であり、かつSRaが2μm以下である場合に、接触抵抗変化率が1未満となり、前述の「接触抵抗低減化作用」が発揮される。No.21の例に見られるようにSRaが大きいと、投影面積に対する表面積比率が2以上であっても「接触抵抗低減化作用」は得られない。また、No.25は黒鉛を含有しない樹脂被覆層を形成させたものであり、投影面積に対する表面積比率が2以上かつSRaが2μm以下であっても、「接触抵抗低減化作用」は得られていない。
実施例1の表2におけるNo.23の基材(電解粗面化処理材)、およびNo.16の基材(塩酸浸漬処理材)について、前記の塗料AまたはBを塗布して種々の平均厚さの塗膜(樹脂被覆層)を実施例1と同様の方法で形成した。また、比較材として実施例1に示した基材用鋼板(粗面化処理前)の両面にそれぞれ1μm厚さのAuめっきを施した材料、および従来のカーボンセパレータ(G347B)を用意した。
これらについて、前述の方法によりトータルでの接触抵抗R1(mΩ・cm2)を測定した。また、以下の方法で耐食性試験に供した。
〔耐食性試験〕
pH=2.0に調整した希硫酸水溶液300mL中に大きさ80×40mmに切り出した試験片(端面にはステンレス鋼素地が露出しているもの)を168時間浸漬した後、試験液中に溶出した金属イオン量を測定することにより耐食性を評価した。試験温度は80℃とした。なお、比較材のカーボンセパレータについては約80mm×40mm×2mmの大きさに切り出したブロックを同様の試験に供し、材料中に含まれる金属の溶出量を参考値として測定した。
結果を表3に示す。
Figure 0005288761
表3からわかるように、電解粗面化処理材では樹脂被覆層の平均厚さが10μm以上で顕著な耐食性改善効果が見られた。特に、平均厚さ15μm以上の樹脂被覆層を形成すると樹脂被覆層を形成しない場合(No.101)の1/10以下の溶出量に抑えられ、固体高分子型燃料電池のセパレータが曝される環境での非常に優れた耐食性が実現される。樹脂被覆層の平均厚さが30μmまで厚くなってもトータルでの接触抵抗R1は10mΩ・cm2を下回っており、固体高分子型燃料電池のセパレータ材として実用に供し得ると判断される。なお、No.101とNo.106の接触抵抗R1の値から算出されるとおり、樹脂被覆層の平均厚さが30μmまで厚くなった場合でも接触抵抗変化率は1未満を維持している。

Claims (6)

  1. 表面積が投影面積に対し2倍以上であり、かつ三次元平均表面粗さSRaが2μm以下である粗面化表面を持つステンレス鋼を基材とし、その基材の粗面化表面上に、黒鉛を含有する導電性の樹脂被覆層が平均厚さ10〜30μmで付着している固体高分子型燃料電池のセパレータ用材料。
  2. 樹脂被覆層は、樹脂100質量部に対し黒鉛50質量部以上を含有するものである請求項1に記載の固体高分子型燃料電池のセパレータ用材料。
  3. 樹脂被覆層は、さらにカーボンブラックを25質量部以上含有するものである請求項に記載の固体高分子型燃料電池のセパレータ用材料。
  4. 樹脂被覆層の樹脂はフェノール系またはポリエステル系である請求項1〜3のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池のセパレータ用材料。
  5. 基材の粗面化表面は、化学的除去手段により形成されたものである請求項1〜4のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池のセパレータ用材料。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の材料を用いた固体高分子型燃料電池のセパレータ。
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