JP2020110850A - 表面改質方法、鋳造用金型の製造方法及び鋳造用金型 - Google Patents

表面改質方法、鋳造用金型の製造方法及び鋳造用金型 Download PDF

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Abstract

【課題】レーザーアブレーション加工により微細突起を安定して発現させることができる表面改質方法、鋳造用金型の製造方法及び鋳造用金型を提供する。【解決手段】金属の表面20aにパルスレーザー26を照射してパルスレーザー26の集光径よりも小さな微細突起23を形成する表面改質方法において、処理対象とする金属の表面20aに、粒子を衝突させることにより、表面20aに均一に分布する凹凸22を形成するショットブラスト処理工程と、ショットブラスト処理工程を行った後、表面20aに窒化層24を形成する窒化処理工程と、窒化処理工程の後に表面20aにパルスレーザー26を照射するレーザー照射工程と、を有する。【選択図】図3

Description

本発明は、金属表面に微細突起を形成する表面改質方法、鋳造用金型の製造方法及び鋳造用金型に関する。
金属表面に微細な突起を形成することにより、金属表面の液体に対する濡れ性、摩擦力、色や反射率等の光学的特性といった物理的特性を制御し、金属表面に機能性を持たせる技術が種々提案されている。例えば、鋳造用金型の分野では、表面に微細な突起を形成して、溶湯の流動性を高めたり、金型表面の断熱性を高めたりする技術が提案されている。また、金属表面の微細な突起を、ガラスや樹脂等に転写して、それらの表面に撥水性又は親水性を持たせたりする技術も知られている。
このような金属表面への微細突起を形成する方法の一つとして、レーザーアブレーション加工を行う方法がある。例えば、特許文献1では、金属表面に窒化処理を施し、その後、パルスレーザーを照射してレーザーアブレーション加工を行うことにより、パルスレーザーの集光径よりも小さな突起を複数形成する表面改質方法が開示されている。
特開2016−16432号公報
しかしながら、従来のレーザーアブレーション加工による微細突起の形成方法では、微細突起の発現が安定せず、広範囲に適用すると、微細突起が形成されていない部分がまばらに出現してしまうといった問題がある。
そこで、本発明は、レーザーアブレーション加工により微細突起を安定して発現させることができる表面改質方法、鋳造用金型の製造方法及び鋳造用金型を提供することを目的とする。
本発明の一観点は、金属表面にパルスレーザーを照射して前記パルスレーザーの集光径よりも小さな微細突起を形成する表面改質方法であって、処理対象とする金属表面に、粒子を衝突させることにより、微細な凹凸を有するショットブラスト面を形成するショットブラスト処理工程と、前記ショットブラスト面にパルスレーザーを照射するレーザー照射工程と、を有する、表面改質方法にある。
本発明の別の一観点は、上記観点の表面改質方法を用いて金型表面に微細突起を形成する鋳造用金型の製造方法にある。
本発明のさらに別の一観点は、キャビティ部と、前記キャビティ部に溶湯を流し込む方案部とを備え、前記方案部の表面には、深溝と、深溝の間に形成された凸部と、凸部の表面に形成された微細突起とが形成された鋳造用金型であって、微細突起の上端に窒化層が形成され、かつ、微細突起の上端の窒化層のビッカース硬度HVが700よりも高い硬度である、鋳造用金型にある。
本発明に係る金属表面の表面改質方法、鋳造用金型の製造方法及び鋳造用金型によれば、金属表面の窒化状態及び/又は窒化硬度のばらつきが抑制されるため、微細突起の発現が安定し、均一な微細突起を形成できる。
図1A及び図1Bは、第1実施形態に係る金属表面の表面改質方法を工程順に示す断面図である。 図2Aは、ショットブラスト面に対するレーザー照射の作用を示す説明図であり、図2Bは機械加工面に対するレーザー照射の作用を示す説明図であり、図2Cは鏡面に対するレーザー照射の作用を示す説明図である。 図3A〜図3Cは、第2実施形態に係る金属表面の表面改質方法を工程順に示す断面図である。 図4Aは、金属表面の窒化層とその断面図であり、図4Bは窒化層にパルスレーザーが照射される様子を示す断面図であり、図4Cは窒化層に形成される微細突起を示す断面図である。 実験例1において、機械加工面を有する試験片群2と、ショットブラスト加工面を有する試験片群1とについて、窒化処理前の平均面粗さRa値と、窒化処理後の10μm硬度とを測定した結果を示すグラフである。 実験例2において、ショットブラスト処理を行った試験片3、鏡面加工を行った試験片4及び機械加工を行った試験片5〜7に対して窒化処理後にパルスレーザーを照射して微細突起の発現状態の評価を行った結果を示す表である。 図7Aは、試験片3の表面のレーザー顕微鏡による画像であり、図7Bは試験片4の表面のレーザー顕微鏡による画像であり、図7Cは試験片5の表面のレーザー顕微鏡による画像である。 実験例3において、表面処理にアルミナショット、スチールショット、サンドブラスト処理及び機械加工をそれぞれ行った試料の表面積率と、微細突起の発現率とを測定した結果を示すグラフである。 実験例4において、アルミナショットによるショットブラスト処理時間と表面積率との関係を評価した結果を示すグラフである。 図10A及び図10Bは、第3実施形態に係る鋳造用金型の製造方法を工程順に示す断面図(その1)である。 図11A〜図11Cは、第3実施形態に係る鋳造用金型の製造方法を工程順に示す断面図(その2)である。 図12Aは、実験例5においてショットブラスト処理を用いて作成した鋳造用金型の表面のSEM像であり、図12Bは実験例5においてショットブラスト処理工程を行わずに作製した鋳造用金型の表面のSEM像である。
以下、本発明の好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
本実施形態の金属表面の表面改質方法は、機械加工が為された金属の表面に、レーザー光を照射して微細な凹凸を形成するものである。このような微細な凹凸は、液体との接触面積を減少させて濡れ性を低下させることができるため、例えば、鋳造用金型の表面の改質等に用いることができる。
図1Aに示すように、表面10aが所定形状に加工された金属部品10を用意する。次に、金属部品10の表面10aに対して、微粒子(ショット)を高圧エアとともに吹き付けて表面を荒らすショットブラスト加工を行うことで、表面10aに微細な凹凸12を形成する。ここでは、微粒子(ショット)として、金属部品10よりも硬度の高い材料を用いることが好ましく、例えば、アルミナショット又はスチールショットを用いることができる。ショットブラスト加工は、金属部品10の表面10aを形成する際の機械加工の加工跡として残る線状の凹部が完全に消えて、表面10a全体が方向性を有さない略均一なサイズの凹凸12で覆われるまで行うことが好ましい。
アルミナショットを用いる場合には、粒径53〜63μm(#180メッシュ)の粒子を用いると好適である。ショットブラスト加工は、所定の投影面積S1に対する凹凸12を含む金属部品10の表面積S2の比である表面積率S2/S1が、2以上となるまで行うことが好ましい。なお、投影面積S1及び金属部品10の表面積S2は、走査電子顕微鏡像を画像処理して求めることができる。
金属部品10がSKD11やSKD61等のSKD鋼(ダイス鋼)の場合には、金属部品10の表面10aに例えば7分〜11分程度、アルミナショットを用いたショットブラスト処理を行うことで、機械加工された表面10aの線状の凹部よりなる加工跡が消え、方向性を有さない凹凸12で覆われる。なお、ショットブラスト処理の時間は上記の範囲に限定されるものではない。
次に、図1Bに示すように、微細な凹凸12が形成された金属部品10の表面10aに対してパルスレーザー14を照射して微細突起13を形成する照射工程を行う。照射工程においては、パルス幅が10ps(ピコ秒)以下のパルスレーザー14を照射しつつ走査させる。照射位置でのパルスレーザー14の集光径(ビーム径)は、凹凸12よりも大きい。
図2Aに示すように、方向性がなく略同じ大きさの凹凸12で覆われた表面10aにパルスレーザー14を照射すると、レーザー光の安定した散乱及び安定した吸収が起こり、表面10aに均一でパルスレーザー14の集光径よりも小さな微細突起13(図1B参照)が発現する。
これに対し、図2Bに示すような、表面10bが機械加工面よりなる金属部品10Aにパルスレーザー14を照射すると、加工跡が溝状凹部110aとして残る相対的に荒れた部分と、相対的に平坦な平坦部分110bとで、レーザー光の散乱及び吸収の発生状態が異なる。その結果、微細突起13が溝状凹部110aに沿って線状に現れ、平坦部分110bには現れない。すなわち、微細突起13の発現がまばらなものとなる。
また、図2Cに示すように表面10cが鏡面加工された金属部品10Bにパルスレーザーを照射すると、パルスレーザー14の強度分布の通りにアブレーションされ、パルスレーザー14の集光径よりも小さな微細突起13が発現しない。
以上のように、本実施形態の金属表面の表面改質方法によれば、パルスレーザー14の照射に先立って、金属部品10の表面10aにショットブラスト加工を行うことにより、表面10aに均一な微細突起13を発現させることができる。
(第2実施形態)
本実施形態の金属表面の表面改質方法では、ショットブラスト処理の後、照射工程の前に、金属部品の表面を窒化する窒化工程を行う。まず、図3Aに示すように、金属部品20の表面20aに、ショットブラスト加工を行う。これにより、金属部品20の表面20aに微細な凹凸22を形成する。このショットブラスト加工には、アルミナショット又はスチールショットを用いることができる。ショットブラスト加工は、金属部品20の表面20aの機械加工跡として残る線状の凹部が完全に消えて、表面20a全体が方向性を有さない略均一なサイズの凹凸22で覆われるまで行うことが好ましい。
アルミナショットを用いる場合には、粒径53〜63μm(#180メッシュ)のアルミナショットを用いると好適である。アルミナショットを用いたショットブラスト加工は、所定の投影面積S1に対する凹凸22を含む金属部品20の表面積S2の比である表面積率S2/S1が、2以上となるまで行うことが好ましい。
金属部品20がSKD11やSKD61等のSKD鋼(ダイス鋼)の場合には、金属部品20の表面20aに、例えば7分〜11分程度、アルミナショットを用いたショットブラスト処理を行うことで、機械加工された表面20aの加工跡が消えて凹凸22で覆われる。
また、スチールショットを用いるショットブラスト加工の場合には、表面積率S2/S1が3以上となるまで、表面20aを荒らす加工を行うことが好ましい。
その後、図3Bに示すように、表面20aが微細な凹凸22で覆われた金属部品20を窒化させる窒化処理を行う。これにより、表面20aから所定の深さまで窒素が含まれた窒化層24が形成される。窒化層24を設けることにより、金属部品20の表面20aのレーザー光の吸収率が高くなるとともに、表面の窒化物によって微細な荒れが生じてレーザー光の吸収が安定する。
本実施形態においては、窒化処理に先立って、ショットブラスト加工を行うため、表面20aが微細な凹凸22によって覆われて表面積が増大し、表面20aの全域に亘って均一な条件で窒化が進む。また、ショットとの衝突によって、金属部品20の表面付近の金属結晶の粒径が小さくなり、窒素の侵入・拡散経路が増加して効果的に窒化層24を形成できる。なお、窒化処理は、アンモニアガス及び/又は窒素を含む雰囲気中に金属部品20を曝露するガス窒化、若しくは、プラズマ窒化等の手法で行われる。
次に、図3Cに示すように、窒化層24が形成された金属部品20の表面20aに対してパルスレーザー26を照射して微細突起23を形成する照射工程を行う。照射工程においては、パルス幅が10ps以下のパルスレーザー26を照射しつつ走査させる。パルスレーザー26の集光径(ビーム径)は、凹凸22よりも大きい。なお、金属部品20がダイス鋼(例えば、SKD鋼)よりなる場合には、照射工程は、パーフルエンスが0.2J/cm2〜10J/cm2の範囲、及び、パルスラップ率が95%以下の条件で照射を行うとアブレーション(断熱)加工を行えて好適である。
図4Aに示すように、窒化層24が形成された金属部品20の表面20aには、相対的に窒素含有量が低い低窒化領域24bの間に、相対的に窒化含有量が高い高窒化領域24aが形成された微細構造が形成されている。高窒化領域24aは、光吸収率が高く、パルスレーザー26を吸収しやすい。
図4Bに示すように、窒化層24にパルスレーザー26を照射すると、光吸収率が高い高窒化領域24aにおいて優先的にレーザー光が吸収される。そして、高窒化領域24aに含まれる窒素が噴出することで、高窒化領域24aのアブレーションが優先的に進む。
その結果、図4Cに示すように、高窒化領域24aの部分が凹部23aを構成し、低窒化領域24bの部分が凸部23bを構成する微細突起23が形成される。本実施形態では、窒化工程に先立ってショットブラスト加工を行うことにより、窒化層24の窒化深度及び窒化硬度のばらつきが抑制され、金属部品20の表面20aの全域に亘って均一な窒化層24が形成される。そして、表面20aの全域に、均一な微細突起23を発現させることができる。
以下、本実施形態の実験例について説明する。
(実験例1)
実験例1では、ショットブラスト加工を行った後に窒化処理を行った試験片群1と、ショットブラスト加工を行わない機械加工面に窒化処理を行った試験片群2とを用意し、これらの表面の窒化状態の評価を行った。
試験片群1及び試験片群2は、ダイス鋼(SKD鋼)よりなる。試験片群1は、機械加工面に対して、アルミナショットを用いたショットブラスト加工を施したものである。試験片群1のサンプルの窒化処理直前の表面粗さRaは、0.7μm〜1.3μmである。一方、試験片群2については、ショットブラスト加工は行わずに、機械加工条件を変化させることで、鏡面加工のサンプルから表面粗さRaが1μm程度の範囲のサンプルを作製した。
次に、試験片群1及び試験片群2のサンプルの表面を窒化処理した後、表面から10μmの範囲のビッカース硬さHVを求めた。図5に示すように、ショットブラスト加工を施した試験片群1のサンプルについては、窒化処理直前の表面粗さRaによらずに、HV1000程度の高い値となった。このことから、ショットブラスト加工を行うことにより、窒化が安定し、表面が均一にかつ十分に窒化できることがわかる。一方、機械加工面よりなる試験片群2のサンプルについては、硬度HV400〜700程度であり、表面粗さRaを増加させて必ずしも硬度が上昇しない等、窒化が安定せず、均一に窒化が進まない結果となった。
(実験例2)
実験例2では、ショットブラスト加工を行った試験片3、並びに、鏡面加工を行った試験片4及び表面粗さRaが0.1〜1.6μmの機械加工面を有する試験片5〜7を用意した。そして、試験片3〜7の各々について、それぞれ窒化処理を行った後、パルスレーザーの照射工程を行った。その後、各試験片3〜7の表面の観察を行なって、微細突起の発現状態の評価を行った。
図6に結果を示すように、窒化処理に先立ってショットブラスト加工を行った試験片3では、パルスレーザーの照射により、表面全体に微細突起が形成される結果が得られた。
これに対し、鏡面加工を行った試験片4では、微細突起はほとんど形成されない結果となった。また、表面粗さRaが0.1μmの機械加工面の試験片5では、表面が荒れた部分を中心にまばらに微細突起が形成されるにとどまった。さらに、表面粗さRaが0.3μmの試験片6でも表面の一部に微細突起が形成されたものの、全体に均一に微細突起が形成されない結果となった。また、表面粗さRaが0.4〜1.6μmの機械加工面を有する試験片7では、微細突起がまばらに形成される結果となった。
各試験片3〜7についてレーザー顕微鏡により表面の凹凸を観察した結果、図7Aに示すように、ショットブラスト加工を行った試験片3では、表面全体が、略均一なサイズの微細突起で覆われていることが確認できた。
これに対し、図7Bに示すように、鏡面加工を行った試験片4では、微細突起はほとんど確認できない。また、図7Cに示すように機械加工面を有する試験片5では、機械加工跡として残る溝状の凹部に沿って微細突起が出現するものの、表面が比較的平坦な部分では、微細突起が出現しないことがわかる。
以上のように、ショットブラスト加工を行った試験片3では、微細突起を表面全体に形成できることが確認できた。また、機械加工面を有する試験片5〜7では、表面粗さRaを増加させても、表面全体に微細突起を形成できなかった。
(実験例3)
実験例3では、窒化処理前の金属表面の表面積率と、微細突起の発現率との関係を調べた。表面積率は、金属表面に画定された所定の領域の投影面積S1で、その領域の実際の表面積S2を除算して求めた値である。所定領域の投影面積S1と、その実際の表面積S2とは、走査電子顕微鏡により金属表面を観察して得たSEM画像を画像処理して求めることができる。表面積率が1に近い場合には、投影面積S1と実際の表面積S2とが同じであり、表面に凹凸がほとんどない鏡面であることを示している。また、表面積率が増大するほど、凹凸による表面積が増加し、表面が凹凸によって荒れていることを示している。
また、微細突起の発現率は、パルスレーザーを照射した後の金属表面において、微細突起で覆われている部分が着目する部分を占める割合であり、走査電子顕微鏡像又はレーザー顕微鏡による画像から求めることができる。
図8に示すように、機械加工では、条件を変えることで、機械加工面の表面積率2.5程度まで荒らすことができた。また、機械加工面の表面積率の増大に伴って、突起発現率が上昇する傾向がみられた。しかし、機械加工面では、突起発現率が最大でも60%にとどまり、金属表面の全域に微細突起を形成することができない。
砂(シリカ)をショットに用いるサンドブラスト加工では、ダイス鋼の表面を十分に荒らすことができず、実用的な加工時間の範囲では、表面積率が2.5程度までしか得られない。また、微細突起の発現率も70%程度に留まっており、金属表面の全域に微細突起を形成することができなかった。
一方、スチールショットを用いるショットブラスト加工では、ダイス鋼の表面を表面積率2〜3程度に荒らすことがきた。また、スチールショットの場合には、微細突起の発現率が90%程度となり、金属表面の大部分に微細突起を形成できる結果が得られた。スチールショットの場合には、表面積率の増大に伴って、微細突起の発現率が上昇する傾向がみられた。なお、スチールショットを用いたショットブラストでは、金属表面にスチールショットの球形の表面が転写される。そのため、比表面積がスチールショットの径を反映し、ショット径が小さくなる程表面積率が増加する。したがって、スチールショットを用いる場合には、微小なショットを用いることが好ましい。
アルミナショットを用いたショットブラスト加工では、処理条件に応じてダイス鋼の表面を、表面積率2〜4程度に荒らすことができた。アルミナショットを用いた場合には、表面積率2以上の範囲において、微細突起の発現率が100%となり、金属表面の全域に微細突起を形成できる結果が得られた。
(実験例4)
実験例4では、アルミナショットを用いるショットブラスト加工に着目し、ダイス鋼に対する加工時間と、表面積率との関係を調べた。図9に示すように、ショット時間が7分以上の範囲において、表面積率を3以上に加工できることが確認できた。
以上に説明した本実施形態の金属表面の表面改質方法は以下の効果を奏する。
本実施形態の表面改質方法は、金属の表面20aにパルスレーザー26を照射してパルスレーザー26の集光径よりも小さな微細突起23を形成する表面改質方法であって、処理対象とする金属の表面20aに、粒子を衝突させることにより、金属の表面20aに微細な凹凸22を有するショットブラスト面を形成するショットブラスト処理工程と、ショットブラスト面が形成された金属の表面20aに窒化層24を形成する窒化処理工程と、窒化処理工程の後に金属の表面20aにパルスレーザー26を照射するレーザー照射工程と、を有している。
上記の表面改質方法によれば、窒化処理工程の前にショットブラスト処理工程を行うことにより、金属の表面20aを均一に窒化することができる。その結果、レーザー照射工程において金属の表面20aの全域に微細突起23を発現させることができる。
上記の表面改質方法において、ショットブラスト処理工程には、アルミナ粒子(アルミナショット)を用いることができる。これにより、窒化処理工程で金属の表面20a全体を均一に窒化され、表面全体に微細突起23を形成できる。
上記の表面改質方法において、ショットブラスト処理工程は、所定領域の投影面積S1と、所定領域における金属の表面20aの表面積S2との比率S2/S1が2よりも大きくなるまで行うことができる。これにより、アルミナショットを用いた場合において、金属の表面20aの全域に亘って微細突起23を形成できる。
上記の表面改質方法において、ショットブラスト処理工程は、比率S2/S1が3以上となるまで行う。これにより、スチールショットを用いてショットブラスト処理工程を行う場合においても、金属の表面20aの全域に亘って微細突起23を形成することができる。
上記の表面改質方法において、ショットブラスト処理工程を7分以上行うようにしてもよい。これにより、微細突起23の発現に必要な程度に、金属の表面20aを荒らすことができる。
上記の表面改質方法において、窒化処理工程を行った後の金属の表面20aのビッカース硬度HVが700よりも高い硬度となるようにすることができる。これにより、微細突起の発現率を高めることができる。
(第3実施形態)
以下、鋳造用金型の製造方法について説明する。本実施形態の鋳造用金型の製造方法は、図10Aに示すように、金型を構成する本体30の表面30aに対して、ショットブラスト加工を行なう。ショットブラスト加工には、アルミナショット又はスチールショットを用いることができる。ショットブラスト加工は、表面30aの機械加工跡による線状の凹部が消えて、方向性を有さない凹凸32で覆われるまで行うことが好ましく、表面積率2以上となるまで表面30aを荒らすことが好ましい。
次に、図10Bに示すように、ショットブラスト加工による凹凸32が形成された表面30aの窒化処理を行う。この窒化処理により、図示のように、本体30の表面30aに窒化層34が形成される。
その後、図11Aに示すように、パルスレーザー14を照射して、表面30aに深溝36を形成する。深溝36は、アルミニウム合金等の溶湯が侵入しない程度の幅(例えば10μm程度)に形成される。深溝36は、パルスレーザー14を照射しつつ走査させることで、格子状に形成される。深溝36の間には、凸部38が形成される。
次に、図11Bに示すように、深溝36及び凸部38の上面にパルスレーザー14を照射する照射工程を行うことで、凸部38の上部に微細突起38aを形成する。微細突起38aは、図4A〜図4Cを参照しつつ説明したように、窒素含有量の高い部分が選択的にアブレーションされることで形成される。その結果、凸部38の上面に径が数μm程度の微細突起38aが形成される。
本実施形態においては、窒化処理に先立って、ショットブラスト加工を行っている。これにより、全ての凸部38の上面に、確実に微細突起38aを形成することができ、湯流れ性に優れた表面30aが得られる。
その後、図11Cに示すように、本体30の表面30aに炭素膜42を形成する。炭素膜42は、アセチレン及びアンモニアを供給しつつ金型を500℃〜600℃に加熱して、所定時間反応させることで、形成することができる。これにより、深溝36が断熱性の高い炭素膜42で埋め込まれるとともに、凸部38の上面の一部も炭素膜42で覆われて鋳造用金型40が完成する。
(実験例5)
実験例5では、図10A〜図11Bに示す方法で鋳造用金型を作製した。ただし、一方は、図10Aのショットブラスト処理工程を省かずに作製した鋳造用金型とし、他方は、図10Aのショットブラスト処理工程を省いて作製した鋳造用金型とした。
図12Aに示すように、ショットブラスト処理を行って作製した鋳造用金型(本実施形態)では、全ての凸部38の上面に微細突起38aが形成できることが確認できた。これに対し、図12Bに示すように、ショットブラスト処理を行わないで作製した鋳造用金型(比較例)では、白線で囲って示した部分に示すように、一部の凸部38において、微細突起38aが十分に形成されていない結果となった。このような、鋳造用金型では、微細突起38aが形成されていない凸部38が、溶湯と接触することで湯流れ性が低下する恐れがある。
以上の結果のように、図12Aに示す鋳造用金型(本実施形態)では、全ての凸部38に微細突起38aが形成されるため、溶湯の湯流れ性に優れる。このため、高い湯流れ性が求められる鋳造用金型の方案部等に用いると好適である。
本実施形態の鋳造用金型の製造方法及び鋳造用金型40は、以下の効果を奏する。
本実施形態の鋳造用金型の製造方法は、処理対象とする金型の本体30の表面30aに、粒子を衝突させることにより、表面30aに微細な凹凸32を有するショットブラスト面を形成するショットブラスト処理工程と、ショットブラスト面を有する表面30aに窒化層34を形成する窒化処理工程と、窒化処理工程の後に、表面30aにパルスレーザー14を照射するレーザー照射工程と、を有しており、レーザー照射工程においては、パルスレーザー14を照射して表面30aに深溝36を形成する深溝形成工程と、表面にパルスレーザー14を照射して深溝36の間の凸部38に微細突起38aを形成する微細突起形成工程と、を有している。
これにより、溶湯との接触面積が少なく、湯流れ性に優れた鋳造用金型40を得ることができる。
上記の鋳造用金型の製造方法において、さらに、深溝36を埋める炭素膜42を形成するコーティング工程を行ってもよい。これにより、深溝36が断熱性が高い炭素膜42で覆われることにより、鋳造用金型40の断熱性及び湯流れ性を高めることができる。
本実施形態の鋳造用金型40は、キャビティ部と、キャビティ部に溶湯を流し込む方案部とを備え、方案部の表面には、深溝36と、深溝36の間に形成された凸部38と、凸部38の表面に形成された微細突起38aとを有する鋳造用金型40であって、微細突起38aの上端に窒化層34が形成され、かつ、微細突起38aの上端の窒化層34のビッカース硬度HVが700よりも高い硬度である鋳造用金型40である。
鋳造用金型40において、方案部の表面が炭素膜42で覆われていてもよい。これにより、断熱性が高まり、溶湯の湯流れ性が向上する。
上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。
10、20…金属部品 10a、20a、30a…表面
12、22、32…凹凸 13、23、38a…微細突起
14、26…パルスレーザー 24、34…窒化層
30…本体 36…深溝
38…凸部 40…鋳造用金型
42…炭素膜

Claims (12)

  1. 金属表面にパルスレーザーを照射して前記パルスレーザーの集光径よりも小さな微細突起を形成する表面改質方法であって、
    処理対象とする金属表面に、粒子を衝突させることにより、微細な凹凸を有するショットブラスト面を形成するショットブラスト処理工程と、
    前記ショットブラスト面にパルスレーザーを照射するレーザー照射工程と、
    を有する、表面改質方法。
  2. 請求項1記載の表面改質方法であって、ショットブラスト処理工程の後、レーザー照射工程の前に、前記ショットブラスト面が形成された前記金属表面に窒化層を形成する窒化処理工程を行う、表面改質方法。
  3. 請求項1記載の表面改質方法であって、前記粒子は、アルミナ粒子である表面改質方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面改質方法であって、前記ショットブラスト処理工程は、所定領域の投影面積S1と、前記所定領域における前記金属表面の表面積S2との比率S2/S1が2よりも大きくなるまで行う、表面改質方法。
  5. 請求項4記載の表面改質方法であって、前記ショットブラスト処理工程は、前記比率S2/S1が3以上となるまで行う、表面改質方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面改質方法であって、前記ショットブラスト処理工程は、7分以上行う、表面改質方法。
  7. 請求項2記載の表面改質方法であって、前記窒化処理工程を行った後の前記金属表面のビッカース硬度HVが700よりも高い硬度の窒化層でおおわれている、表面改質方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の表面改質方法を用いて金型表面に微細突起を形成する鋳造用金型の製造方法。
  9. 請求項8記載の鋳造用金型の製造方法であって、さらに、パルスレーザーを照射することにより、溶湯が入らない幅の深溝を形成する深溝加工工程を有する鋳造用金型の製造方法。
  10. 請求項8又は9記載の鋳造用金型の製造方法であって、さらに、前記微細突起が形成された前記金属表面に炭素膜を形成するコーティング工程を有する鋳造用金型の製造方法。
  11. キャビティ部と、前記キャビティ部に溶湯を流し込む方案部とを備え、前記方案部の表面には、深溝と、深溝の間に形成された凸部と、凸部の表面に形成された微細突起とが形成された鋳造用金型であって、微細突起の上端に窒化層が形成され、かつ、微細突起の上端の窒化層のビッカース硬度HVが700よりも高い硬度である、鋳造用金型。
  12. 請求項11記載の鋳造用金型であって、前記方案部の表面が炭素膜で覆われてなる鋳造用金型。
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