JP5287809B2 - 触媒下流側排ガスセンサの劣化診断装置 - Google Patents

触媒下流側排ガスセンサの劣化診断装置 Download PDF

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Description

本発明は、自動車用エンジンに付設された触媒下流側排ガスセンサの劣化診断装置に関するものである。
従来、自動車用ガソリンエンジン(内燃機関)の排気系には、排ガス中に含まれる有害物質の低減を図るため、酸化還元型の排ガス浄化触媒として三元触媒が設けられている。
この三元触媒では、前記有害物質である炭化水素(HC)および一酸化炭素(CO)を酸化する酸化反応が起こる一方、窒素酸化物(NOx)を還元する還元反応が起こることにより、排ガスの浄化が行われている。
このような触媒の劣化を診断することも必要であり、三元触媒の上流側及び下流側に空燃比に感応する排ガスセンサ(空燃比センサ又は酸素センサ)をそれぞれ設け、これらの酸素センサからの出力信号に基づき、触媒の劣化を診断する手法がある。この診断手法では、エンジンのフィードバック制御により空燃比が目標空燃比(例えば、理論空燃比)を境にして短い周期で変動することに着目し、これに呼応して変化する上流側の空燃比センサの反転周波数を、下流側の酸素センサの反転周波数と比較することにより、三元触媒の劣化を判定する。
つまり、所定時間内の触媒上流側の排ガスセンサのリッチ/リーン反転回数(Nf)と、触媒下流側の排ガスセンサのリッチ/リーンの反転回数(Nr)を計測し、これらの比の値である反転周波数比(Nr/Nf)を故障判定値と比較して、触媒劣化が生じると触媒上流側の空燃比のリッチ・リーン変動を触媒が吸収しなくなるため触媒下流側の排ガスセンサの反転回数(Nr)が増加することになり、反転周波数比(Nr/Nf)が故障判定値よりも大きい場合(Nr/Nf>故障判定値)に、触媒劣化と判定する。
ところで、このような触媒の劣化診断において、排ガスセンサに劣化があると、適正な診断が行なえない。
特許文献1には、排出ガス浄化触媒の下流側に設置された排ガスセンサ(触媒下流側センサ)の異常を検出する技術が提案されている。この技術は、燃料カット中に触媒下流側センサの出力が所定区間を通過するのに要した応答時間を計測すると共に、所定期間における平均吸入空気量を求める。この平均吸入空気量が所定量以上の場合には、応答時間のばらつきが小さいと判断して、応答時間を異常判定値と比較して応答時間が異常判定値よりも大きければ触媒下流側センサに異常(応答性劣化)があると判定する。ただし、平均吸入空気量が所定量よりも小さい場合には、応答時間のばらつきが大きいと判断して、触媒下流側センサの異常診断を禁止する。これにより、異常判定値を厳しくしても、応答時間のばらつきに起因する誤判定を防止することができて、触媒下流側センサの異常検出精度を向上させうる。
特開2009−108681号公報
ところで、下流側に設置された排ガスセンサが正常な場合でも、燃料カット時の酸素が排ガスセンサに到達する前に、燃料カット直前の空燃比変化や触媒の酸素ストレージ作用の影響を受けて出力が緩やかに低下する場合が考えられ、この場合、燃料カット中に触媒下流側の排ガスセンサの出力が所定区間を通過するのに要した応答時間も長くなるので、応答時間が異常判定値よりも大きくなり、触媒下流側の排ガスセンサに異常(応答性劣化)があると誤判定してしまう。
特許文献1の技術では、所定期間における平均吸入空気量が所定量よりも小さい場合には、応答時間のばらつきが大きいと判断して、触媒下流側の排ガスセンサの異常診断を禁止している。しかし、上述のように、燃料カット時の酸素が触媒下流側の排ガスセンサに到達する前に、燃料カット直前の空燃比変化や触媒の酸素ストレージ作用の影響を受けて出力が緩やかに低下する現象は、平均吸入空気量とは直接関係しない。このため、特許文献1の技術では上記課題は解消し得ない。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、燃料カット時の酸素が排ガスセンサに到達する前に、燃料カット直前の空燃比変化や触媒の酸素ストレージ作用の影響を受けて出力が緩やかに低下する場合を考慮して、触媒下流側の排ガスセンサの劣化を適正に診断することができるようにした、触媒下流側排ガスセンサの劣化診断装置を提供することを目的とする。
本発明の触媒下流側排ガスセンサの劣化診断装置は、内燃機関の排気通路の排ガス浄化触媒の下流側に装備された排ガスセンサの劣化を診断する触媒下流側排ガスセンサの劣化診断装置であって、前記内燃機関の燃料カットを実施する内燃機関制御手段と、前記燃料カットを実施しているときに前記排ガスセンサの出力値が酸素過剰側に変化しながら予め設定された検出値帯域を通過する際の経過期間を予め設定された故障判定値と比較して、前記経過期間が前記故障判定値よりも大きければ、前記触媒下流側排ガスセンサは劣化していると判定するセンサ劣化判定手段と、前記燃料カットの開始時点から前記排ガスセンサの出力値が前記検出値帯域よりも酸素不足側に予め設定された所定出力値まで変化した時点までの期間に応じたパラメータ値を、所定の閾値と比較して、前記パラメータ値が前記所定の閾値未満の場合には、前記センサ劣化判定手段による前記劣化判定を禁止する劣化判定禁止手段とを備えていることを特徴としている。
なお、「期間」は「時間」を含む概念とする。
前記パラメータ値は、吸入空気量の積算値であると共に、前記所定の閾値は前記吸入空気量の積算値に相関するものであって、前記劣化判定禁止手段は、前記吸入空気量積算値が前記所定の閾値未満の場合には、前記センサ劣化判定手段による前記劣化判定を禁止することが好ましい。
前記パラメータ値は、前記燃料カットの開始時点から前記排ガスセンサの出力値が前記検出値帯域よりも酸素不足側に予め設定された所定出力値まで変化した時点までの時間であると共に、前記所定の閾値は前記時間に相関するものであって、前記劣化判定禁止手段は、前記時間が前記所定の閾値未満の場合には、前記センサ劣化判定手段による前記劣化判定を禁止することが好ましい。
前記排ガス浄化触媒の劣化の程度を判定する触媒劣化程度判定手段を備え、前記所定の閾値は、前記判定された前記排ガス浄化触媒の劣化の程度が大きいほど小さい値とされることが好ましい。
前記所定出力値は、前記触媒下流側排ガスセンサの活性化判定出力値と等しい又は略等しい値が設定されていることが好ましい。
本発明の触媒下流側排ガスセンサの劣化診断装置によれば、燃料カットの開始時点から排ガスセンサの出力値が検出値帯域よりも酸素不足側に予め設定された所定出力値まで変化した時点までの期間に応じたパラメータ値を、所定の閾値と比較して、パラメータ値が所定の閾値未満の場合には、センサ劣化判定手段による劣化判定を禁止するので、センサ劣化の関する誤判定を回避することが可能になる。
前記パラメータ値を、吸入空気量の積算値とすると、劣化判定を禁止する判断を適正に行なうことができる。
前記パラメータ値を、燃料カットの開始時点から排ガスセンサの出力値が検出値帯域よりも酸素不足側に予め設定された所定出力値まで変化した時点までの時間としても、簡便に劣化判定を禁止する判断を行なうことができる。
前記所定の閾値は、判定された排ガス浄化触媒の劣化の程度が大きいほど小さい値とすることにより、劣化判定を禁止する判断を適正に行なうことができる。
前記所定出力値として、触媒下流側排ガスセンサの活性化判定出力値と等しい又は略等しい値が設定されていれば、確実に劣化判定を禁止する判断を行なうことができる。
本発明の一実施形態にかかる触媒下流側排ガスセンサの劣化診断装置及び排ガス浄化触媒の劣化診断装置並びに本装置を有する内燃機関の概略構成図である。 本発明の一実施形態にかかる触媒下流側排ガスセンサの劣化診断装置によるセンサ劣化判定を(a)と(b)とに対比して説明する図である。 本発明の一実施形態にかかる排ガス浄化触媒の劣化診断装置による変調度合いの拡張方向への操作を(a1),(b1)と(a2),(b2)との二例により説明する図である。 本発明の一実施形態にかかる触媒下流側排ガスセンサの劣化診断装置の劣化診断装置によるセンサ劣化診断を説明するフローチャートである。 本発明の一実施形態にかかる排ガス浄化触媒の劣化診断装置による変調度合いの拡張操作を説明するフローチャートである。 本発明の一実施形態にかかる排ガス浄化触媒の劣化診断装置による触媒劣化の診断手順を示すフローチャートである。 図6における上流側センサの反転回数算出ステップの詳細な手順を示すフローチャートである。 図6における下流側センサの反転回数算出ステップの詳細な手順を示すフローチャートである。 図6における吸入空気量算出ステップの詳細な手順を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態にかかる触媒下流側排ガスセンサの劣化診断装置によるセンサ劣化診断を説明するタイムチャートである。 本発明の一実施形態にかかる排ガス浄化触媒の劣化診断装置に用いる変調周期補正量αの算出を説明するタイムチャートである。 本発明の一実施形態にかかる排ガス浄化触媒の劣化診断装置に用いるセンサ劣化診断の効果を説明する図であり、(a)は劣化判定禁止処理をしない場合のセンサ劣化用の時間Tslopeの検出データを示し、(b)は劣化判定禁止処理をした場合のセンサ劣化用の時間Tslopeの検出データを示す。 本発明の一実施形態にかかる排ガス浄化触媒の劣化診断装置に用いる上流側空燃比センサの変調度合を操作した効果を説明する図であり、(a)は変調周期を拡大操作する補正量αを例示し、(b)は変調周期を拡大操作したことによる触媒劣化判定の効果を説明する図である。
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図11は本発明の一実施形態にかかる触媒下流側排ガスセンサの劣化診断装置及びこれを備えた排ガス浄化触媒の劣化診断装置を説明するもので、図1は本劣化診断装置及びこれを有する内燃機関の概略構成図、図2は本劣化診断装置によるセンサ劣化判定を説明する図、図3は本劣化診断装置による変調度合いの拡張方向への操作を説明する図、図4はそのセンサ劣化判定を説明するタイムチャート、図5はその変調度合いの拡張方向への操作を説明するタイムチャート、図6〜図11はそれぞれその処理手順を説明するフローチャートである。
<内燃機関の構成>
本実施形態にかかる内燃機関(以下、エンジンともいう)2は、火花点火式ガソリンエンジンであって、シリンダブロック4上にシリンダヘッド6が締結されて構成される。シリンダブロック4には複数の気筒8が直列に配設され、各気筒8内にピストン10が上下動自在に内装される。シリンダブロック4の下部にはクランクシャフト12が回転自在に支持され、このクランクシャフト12と各ピストン10とがコネクティングロッド14によりそれぞれ連結される。
シリンダブロック4の各気筒8内の上部には、シリンダヘッド6と各ピストン10によって区画された燃焼室16が構成され、これらの各燃焼室16の上方には一側に吸気ポート18が他側に排気ポート20がそれぞれ連通される。各吸気ポート18には吸気バルブ22が、各排気ポート20には排気バルブ24が装備され、燃焼室16と各ポート18,20との開閉が行われる。吸気ポート18にはインテークマニホールド26を介して吸気管28が連結され、排気ポート20にはエキゾーストマニホールド30を介して排気管32が連結される。
各吸気管28には気筒毎に燃料噴射弁34が装着され、シリンダヘッド6には気筒毎に点火プラグ36が装着される。点火プラグ36は、点火コイル38を介して電子制御ユニット(ECU)70に接続される。この点火コイル38により高電圧が点火プラグ36に出力される。
エンジン2には、出力軸回転数(出力軸回転速度)Ne等を検出するクランク角センサ40、冷却水温度TWを検出する水温センサ42が装備される。また、吸気管28には、上流側から、エアクリーナ44,エアフローセンサ46,電子制御スロットル弁48及びサージタンク50が順に装備され、電子制御スロットル弁48と並列にISC(アイドルスピードコントローラ)52が装備されている。
吸気系には、電子制御スロットル弁48の開度θTHを検出するスロットルポジションセンサ54と、大気圧Taを検出する大気圧センサ56と、吸気ガスの温度Taを検出する吸気温度センサ58とが装備される。
排気系には、排気管32の下流側に位置して、排ガス浄化触媒としての三元触媒60及び図示しない消音装置が順に接続される。三元触媒60の上流側には上流側空燃比センサ(上流側排ガスセンサ)62が、三元触媒60の下流側には下流側酸素センサ(下流側排ガスセンサ)64が、それぞれ設けられている。上流側空燃比センサ62には広域空燃比センサ(全域空燃比センサ又はリニア空燃比センサとも言う)が用いられ、三元触媒60を通過する前の排ガス中の酸素に反応し、その濃度に応じて電圧を発生する。下流側酸素センサ64は、三元触媒60を通過した後の排ガス中の酸素に反応し、理論空燃比を境に出力電圧が急変する。
一方、車室内に設置されたECU70には、図示しない入出力装置、多数の制御プログラムを内蔵した記憶装置(ROM,RAM,不揮発性RAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等を備える。このECU70において、入力側には、クランク角センサ40,水温センサ42,エアフローセンサ46,大気圧センサ56,吸気温度センサ58,空燃比センサ62,酸素センサ64等が接続される。
また、ECU70の出力側には、燃料噴射弁34,点火コイル38,ISC52等が接続されており、これらに向けて各種センサ類からの入力情報に基づき演算された最適値が出力される。さらに、ECU70では、燃料噴射および点火時期,ISC52等を制御する一方、空燃比センサ62,酸素センサ64の出力信号(出力値)に基づき三元触媒60の劣化判定も実行される。車室内には警告灯66が設置されており、ECU70にて三元触媒60が劣化していると判定した時には警告灯66を点灯し、運転者に注意が促される。
<ECUのエンジン制御機能>
次に、ECU70の制御機能を説明する。
ECU70には、エンジン2を燃料噴射等の燃焼に係る制御を行なう機能(エンジン制御手段)72が備えられ、このうちの、燃料噴射制御について説明する。ドライバがエンジン2を始動すると同時に、ECU70による燃料噴射制御が実行される。この制御を開始すると、ECU70は、エアフローセンサ46およびクランク角センサ40の出力値に基づき一吸気行程あたりの吸気量情報A/Nを求め、その値と目標空燃比(通常は、理論空燃比)とから基本燃料噴射時間TBASEを算出する。
次に、ECU70は、基本燃料噴射時間TBASEに対して、大気圧センサ56及び吸気温度センサ58の出力値に基づく補正を行うと共に、水温センサ42及びスロットルポジションセンサ54等の出力値に基づき、更に暖機増量補正や加速増量補正等を行って燃料噴射時間TINJ を算出する。ECU70は、こうして得た燃料噴射時間TINJに対し、燃料噴射弁34の開弁遅れを補完する無効噴射時間TD を加算した後に、図示しない燃料噴射弁ドライバを介して燃料噴射弁34を駆動する。
また、エンジン制御手段72では、所定の条件化で、燃料噴射制御を上流側空燃比センサ62の出力電圧VOFに基づく空燃比フィードバック制御により実施する。つまり、上流側空燃比センサ62の活性化完了やエンジン2が高負荷・高回転運転状態にないこと等、所定の運転条件が整うと、ECU70では、上流側空燃比センサ62の出力電圧VOFに基づく空燃比フィードバック制御を開始する。上流側空燃比センサ62は、混合気の空燃比ついて略リニアに出力電圧VOFが変化するので、空燃比を理論空燃比(14.7)の近傍にフィードバックする制御(ストイキオフィードバック制御)も様々な態様で実施することができる。
すなわち、上流側空燃比センサ62の出力電圧VOFが適宜の特性でリッチ及びリーンを反復し連続波に変調するように目標空燃比を理論空燃比近傍で所定の周期と振幅で変調し、上流側空燃比センサ62の出力電圧VOFが目標空燃比になるようにエンジン2の燃料噴射量を制御することができる。例えば、出力電圧VOFと目標空燃比に対応する基準出力電圧VOF0との差(=VOF−VOF0)に基づいて燃料噴射量を増減補正して目標空燃比に近づける際に、目標空燃比の変調周期を長くすれば、連続波変調の周期を長くすることが可能であり、目標空燃比の変調振幅を大きくすれば、連続波変調の振幅を大きくすることが可能である。
また、エンジン制御手段72では、所定の条件化で、燃料噴射を停止する燃料カット制御を実施する。例えば、図示しないアクセルペダルが非操作状態で、エンジン回転速度が設定回転(設定カット回転速度)以上のときには、燃料供給が必要ない減速状態と判定し、燃料カットを行う。
<ECUの劣化診断機能>
さらに、ECU70には、本劣化診断に係る制御機能として、下流側の酸素センサ64の劣化を判定する機能(センサ劣化判定手段)74と、排ガス浄化触媒60の劣化を判定する機能(触媒劣化判定手段)76と、センサ劣化判定手段74の判定結果に基づいて上流側空燃比センサ62の出力値(出力電圧)VOFのリッチ及びリーンの変調度合いを拡張方向に操作する機能(変調度合操作手段)78と、センサ劣化判定手段74によるセンサ劣化判定を禁止する機能(劣化判定禁止手段)74Aとが備えられる。
センサ劣化判定手段74は、前記の燃料カットを実施しているときに、下流側の酸素センサ64の出力値が酸素過剰側に変化しながら予め設定された検出値帯域を通過した際の経過時間を予め設定された故障判定値と比較して、経過時間が故障判定値よりも大きければ、下流側の酸素センサ64は劣化していると判定する。なお、ここでは、下流側の酸素センサ64の出力値が酸素過剰側に変化しながら予め設定された検出値帯域を通過した際の経過時間を予め設定された故障判定値と比較して判定しているが、この場合の経過時間は経過期間の一例であり、例えばエンジンの回転数積算値等の他の経過期間に基づいて判定してもよい。
つまり、燃料カットを実施すると、下流側の酸素センサ64の出力値は酸素過剰側に変化する。酸素センサ64の応答性が劣化すると、酸素センサ64の出力値の酸素過剰側への変化が緩慢になる。これを利用して酸素センサ64の劣化を判定している。
本実施形態では、下流側の酸素センサ64に、一般的なジルコニア酸素センサを用いているので、燃料カットを実施すると、下流側の酸素センサ64の出力電圧は低下する。酸素センサ64の応答性が劣化すると出力電圧の低下が緩慢になる。
そこで、センサ劣化判定手段74は、酸素センサ64の出力電圧V02が予め設定された検出値帯域V021〜V022を通過した際の経過時間Tslope、つまり、酸素センサ64の出力電圧V02が第1の出力電圧値V021に低下した時点からこれよりも低い第2の出力電圧値V022(<V021)に低下した時点までの経過時間Tslopeをカウントし、この経過時間Tslopeが予め設定された故障判定値TslopeSと比較して、経過時間Tslopeが故障判定値TslopeSよりも大きければ、下流側の酸素センサ64は劣化していると判定する。
なお、検出値帯域は、通常の(活性化している)燃料カット時に酸素センサ64の出力値が必ず検出値帯域を通過するように、酸素センサ64の活性判定出力値よりも低い値(不活性側の値)で且つ過剰に低下(不活性側の変化)しきらない値に設定している。例えば、酸素センサ64の活性判定電圧を0.5Vとすると、第1の出力電圧値V021は0.4Vとし、第2の出力電圧値V022は0.2Vとすることができる。
また、本センサ劣化判定手段74は、経過時間Tslopeに基づいて、劣化の程度を判定する。つまり、経過時間Tslopeが大きいほど下流側の酸素センサ64の劣化が進んでいると判定する。もちろん、この劣化を、微小劣化の側から劣化度合い1,劣化度合い2,劣化度合い3というように複数段階に区分して判定してもよい。
そして、本ECU70には、下流側の酸素センサ64が正常であるにも関わらず異常(応答性劣化)があると判定してしまう不具合を回避するために、このような誤判定を招く状況下では、センサ劣化判定手段74によるセンサ劣化判定を禁止する劣化判定禁止手段74Aが設けられている。
つまり、下流側の酸素センサ64が正常な場合でも、燃料カット時の酸素が酸素センサ64に到達する前に、燃料カット直前の空燃比変化や触媒の酸素ストレージ作用の影響を受けて酸素センサ64の出力が緩やかに低下する場合が考えられ、この場合、燃料カット中に下流側の酸素センサ64の出力が検出値帯域を通過する時間も長くなるので、応答時間が故障判定値よりも大きくなり、酸素センサ64が劣化していると判定してしまう。
このような状況は、図2により説明することができる。図2(a),(b)はいずれも燃料カット時点以降の下流側の酸素センサ64の出力変化の例を示すもので、図2(a)は三元触媒60の劣化程度が小さい場合を示し、図2(b)は三元触媒60の劣化程度が大きい場合を示す。また、図2(a),(b)において、細実線は酸素センサ64の出力値が燃料カット直前の空燃比変化や触媒の酸素ストレージ作用の影響を大きくは受けず且つ酸素センサ64が劣化している場合の例を示し、破線は酸素センサ64の出力値が燃料カット直前の空燃比変化や触媒の酸素ストレージ作用の影響を大きくは受けず且つ酸素センサ64が劣化していない場合の例を示し、太実線は酸素センサ64の出力値が燃料カット直前の空燃比変化や触媒の酸素ストレージ作用の影響を大きく受けて且つ酸素センサ64が劣化していない場合の例を示す。
図2(a)に示すように、三元触媒60の劣化程度が小さい場合、触媒の酸素ストレージ作用が大きいので、細実線,破線で示すように、燃料カット直後は排気通路に排出される空気のうちの酸素は三元触媒60に吸収されるので、酸素センサ64の出力電圧はすぐには下降しない。三元触媒60の酸素ストレージ能力分だけ三元触媒60に酸素が吸収された後に、酸素センサ64に酸素が送り込まれ、これに応じて酸素センサ64の出力電圧が下降する。酸素センサ64が劣化していなければ破線で示すように三元触媒60に酸素が吸収された後に酸素センサ64の出力電圧は速やかに下降する。酸素センサ64が劣化していれば細実線で示すように三元触媒60に酸素が吸収された後に酸素センサ64の出力電圧は緩やかに下降する。一方、燃料カット直前の空燃比が比較的リーンであって三元触媒60に酸素がある程度吸収されていると、酸素センサ64が劣化していなくても、太実線で示すように燃料カット直後から酸素センサ64の出力電圧は緩やかに下降する場合がある。
この場合、燃料カット中に下流側の酸素センサ64の出力が検出値帯域を通過する時間も長くなるので、応答時間が故障判定値よりも大きくなり、酸素センサ64が劣化していると誤判定してしまう。
このように、燃料カット直前の空燃比変化や触媒の酸素ストレージ作用の影響を大きく受ける場合には、酸素センサ64の出力が燃料カット直後早期に低下していくことから、通常時(燃料カット直前の空燃比変化や触媒の酸素ストレージ作用の影響をあまり受けない場合)と識別することができる。
ただし、図2(b)に示すように、三元触媒60の劣化程度が大きい場合、三元触媒60の酸素ストレージ能力が低下するため、燃料カット後、比較的速やかに酸素センサ64に酸素が到達し、酸素センサ64の出力の低下タイミングが早まる。しかし、燃料カット直前の空燃比変化や触媒の酸素ストレージ作用の影響を大きく受ける場合には、酸素センサ64の出力が燃料カット直後により早期に低下していくことから、通常時(燃料カット直前の空燃比変化や触媒の酸素ストレージ作用の影響をあまり受けない場合)と識別することができる。
そこで、劣化判定禁止手段74Aは、燃料カットの開始時点から下流側の酸素センサ64の出力値が検出値帯域よりも酸素不足側に予め設定された所定出力値まで変化した時点までの期間に応じたパラメータ値を、所定の閾値(劣化判定禁止閾値)と比較して、このパラメータ値が所定の閾値未満の場合には、センサ劣化判定手段74による劣化判定を禁止するようにしている。本実施形態の場合、燃料カットの開始時点から、下流側の酸素センサ64の出力電圧が、予め設定された検出値帯域よりも高い所定電圧値まで低下した時点までの、吸入空気量積算値を上記パラメータ値として用いており、算出した吸入空気量積算値を、所定の閾値と比較して、このパラメータ値が所定の閾値未満の場合には、センサ劣化判定手段74による劣化判定を禁止する。
この場合の所定の閾値は、三元触媒60の劣化程度に応じて設定している。つまり、三元触媒60の劣化程度が大きいほど、三元触媒60の酸素ストレージ能力の低下により、酸素センサ64の出力の低下タイミングが全般的に早まるので、三元触媒60の劣化程度が大きいほど、吸入空気量積算値の判定に係る閾値を低下させている。この閾値は、最もシンプルには、三元触媒60の劣化が低い場合と、三元触媒60の劣化が高い場合との2段階だけ設けても良いが、判定精度を向上させるには、三元触媒60の劣化程度に対応して、より多段に閾値を設ける方が有効である。ただし、燃料カット直前の様々なエンジン運転状況を考慮すると、閾値をあまり細かく設定する必要もないので、本実施形態では、三元触媒60の劣化度合いを劣化度低,劣化度中,劣化度大の3段階に分けて、それぞれ閾値を設定している。
触媒劣化判定手段76は、所定の前提条件の下に、図3(a1)に示すように、上流側の空燃比センサ62の出力値に基づいてこの出力値がリッチ及びリーンを反復し連続波に変調するようにエンジンの作動を制御(ストイキオフィードバック制御)しながら、このときに所定期間において得られる下流側の酸素センサ64の反転周波数Nrと上流側の空燃比センサ62の反転周波数Nfとから、周波数比Nr/Nfを算出し、周波数比Nr/Nfが予め設定された劣化判定所定値よりも大きい場合に、三元触媒60が劣化していると判定する。
このため、ECU70には、上記ストイキオフィードバック制御時に、下流側酸素センサ64の出力値を平均してなる下流側リッチ/リーン判定レベル基準値と、下流側のリッチ/リーン判定を行う所定の幅を有する下流側リッチ/リーン判定レベルとを算出する機能(レベル演算手段)76Aと、所定期間において、下流側酸素センサ64の出力値が,算出された下流側リッチ/リーン判定レベルを超えた回数を下流側酸素センサ64の反転周波数Nrとして算出する機能(下流側反転周波数演算手段)76Bと、この算出した反転周波数Nrと、所定期間における上流側空燃比センサ62の反転周波数Nfとから、周波数比Nr/Nfを算出する機能(周波数比演算手段)76Cとが備えられる。
レベル演算手段76Aは、下流側酸素センサ64の出力電圧を、例えば下式のように一次フィルタによって平均化することにより下流側リッチ/リーン判定レベル基準値Vrs(n)を算出する。
Vrs(n)=k・Vrs(n−1)+(k−1)・Vr(n)
なお、
Vrs(n)は今回周期の下流側リッチ/リーン判定レベル基準値、
Vrs(n−1)は前回周期の下流側リッチ/リーン判定レベル基準値、
kはフィルタ乗数、
Vr(n)は今回周期の下流側酸素センサ64の出力値
である。
図3(b1)に下流側リッチ/リーン判定レベル基準値Vrs(n)を示すが、この例では、下流側リッチ/リーン判定レベル基準値Vrs(n)を一定にして示しているが、通常、下流側リッチ/リーン判定レベル基準値Vrs(n)は時間と共に緩やかに上下動する。
「所定の幅を有する下流側リッチ/リーン判定レベル」は、図3(b1)に示すように、下流側リッチ/リーン判定レベル基準値Vrs(n)に対して、予め設定された所定の幅を有する帯域として設定される。下流側リッチ/リーン判定レベル基準値Vrs(n)が時間と共に緩やかに上下動すると、下流側リッチ/リーン判定レベルも時間と共に緩やかに上下動することになる。
下流側酸素センサ64の反転周波数Nrは、この下流側リッチ/リーン判定レベルの帯域内から帯域外へ抜け出した回数(反転数とも言う)と定義する。
一方、上流側空燃比センサ62の反転周波数Nfは、上流側空燃比センサ62の出力値Vfが基準値(例えば、理論空燃比に対応した上流側空燃比センサ62の出力値Vfs)を横切った回数(反転数とも言う)と定義する。
三元触媒60の上流側で空燃比がリッチ/リーン変動しても、三元触媒60が適正に機能すると、三元触媒60の下流側では空燃比のリッチ/リーン変動が抑えられるので、上流側空燃比センサ62の反転周波数Nfに対して、下流側酸素センサ64の反転周波数Nrは少なくなり、周波数比Nr/Nfは小さくなる。
そこで、予め、周波数比の判定基準値を設定して、Nr/Nfがこの判定基準値を超えたら三元触媒60の劣化(故障)と判定する。
また、上記のストイキオフィードバック制御の態様を決めるために、ECU70には、下流側酸素センサ64の劣化(特に、微小劣化)が判定されると、上流側空燃比センサ62の出力値のリッチ及びリーンの変調度合いを拡張方向に操作する機能(変調度合操作手段)78が備えられる。
この変調度合操作手段78は、センサ劣化判定手段74によって、下流側の酸素センサ64が微小劣化していることが判定されると、酸素センサ64の劣化度合いに応じて、上流側空燃比センサ62の出力値(出力電圧)VOFのリッチ及びリーンの変調度合いを拡張方向に操作する。なお、「変調度合いを拡張方向に操作する」とは、連続波の変調周期を拡張すること及び連続波の変調振幅を拡張することの何れか又は両方を示す。
前述のように、上流側空燃比センサ62は広域空燃比センサなので、上流側空燃比センサ62の出力電圧VOFが適宜の特性でリッチ及びリーンを反復し連続波に変調するように、目標空燃比を理論空燃比近傍で所定の周期と振幅で変調し、上流側空燃比センサ62の出力電圧VOFが目標空燃比になるようにエンジン2の燃料噴射量を制御することができる。
本実施形態では、変調度合操作手段76は、図3(a2)に示すように、変調する連続波の周期を、図3(a1)に示す劣化していない場合の基準周期Tbaseに対して、酸素センサ64の劣化度合いに応じた補正量α分だけ拡張する。
酸素センサ64は応答性が劣化すると、図3(b1)に劣化と付す曲線で示すように、その出力値(出力電圧)の変化が弱まる。この例では、酸素センサ64が正常の場合には、下流側酸素センサ64の反転周波数Nrは10であり、Nr/Nfは1となり、明らかに三元触媒60の劣化(故障)が判定される状況であるのに、酸素センサ64が劣化した場合には、下流側酸素センサ64の反転周波数Nrは0であり、Nr/Nfは0となり、三元触媒60は正常であると誤判定されることになる。
一方、図3(a2)に示すように、変調する連続波の周期を酸素センサ64の劣化度合いに応じた補正量α分だけ拡張すると、酸素センサ64の応答性が劣化していても、その劣化が大きくなければ(微小劣化なら)、図3(b2)に劣化と付す曲線で示すように、その出力値(出力電圧)の変化はある程度増幅する。この例では、酸素センサ64が正常の場合には、下流側酸素センサ64の反転周波数Nrは6であり、Nr/Nfは1となり、酸素センサ64が劣化した場合にも、下流側酸素センサ64の反転周波数Nrは6となり、Nr/Nfは1となって、下流側酸素センサ64に劣化があっても三元触媒60の劣化(故障)を判定することができる。
<作用(フローチャート)>
本発明の一実施形態にかかる触媒下流側排ガスセンサの劣化診断装置及びこれをそなえた排ガス浄化触媒の劣化診断装置は、上述のように構成されるので、例えば、図4〜図9の各フローチャートに示すように、三元触媒60の劣化診断を行なうことができる。
まず、燃料カットを実施しているときに、センサ劣化判定手段74により、下流側の酸素センサ64の出力電圧の低下を検出し下流側の酸素センサ64の劣化を判定する。この判定は、例えば、図4に示すように、燃料カット時に1となるフラグF1が0であるかを判定し(ステップa10)、フラグF1が0なら、燃料カットの開始を待つ(ステップa14)。燃料カットが開始されたら、フラグF1を1にセットし(ステップa16)、吸入空気量の積算を開始する(ステップa18)。
一方、フラグF1が0であれば、既に、燃料カットが開始され、吸入空気量の積算も開始されており、ステップa10からステップa12に進んで、後述のタイマカウント開始により1となるフラグF2が0であるかを判定する。
フラグF2が0なら、下流側の酸素センサ64の出力が第1所定値以下になったかを判定する(ステップa20)。下流側の酸素センサ64の出力が第1所定値以下になったら、ステップa22に進んで、吸入空気量積算値が閾値(劣化判定禁止閾値)以上か否かを判定する。なお、この吸入空気量積算値の判定に係る閾値は、三元触媒60の劣化程度が大きいほど低下させている。
吸入空気量積算値が閾値未満の場合、酸素センサ64の出力値が燃料カット直前の空燃比変化や触媒の酸素ストレージ作用の影響を大きく受けて且つ酸素センサ64が劣化していない場合(図2に示す太実線の曲線参照)も含まれるので、センサの劣化判定は打ち切りとする。
これにより、酸素センサ64が劣化していないにも関らず、酸素センサ64が劣化しているといった誤判定を回避することができる。
吸入空気量積算値が閾値以上の場合、下流側の酸素センサ64の出力が第2所定値(<第1所定値)以下になったかを判定する(ステップa24)。下流側の酸素センサ64の出力が第2所定値以下になったら、ステップa26に進んで、タイマカウントを開始し、フラグF2を1にセットして(ステップa28)下流側の酸素センサ64の出力が第3所定値(<第2所定値)以下になったかを判定する(ステップa30)。なお、第2所定値と第3所定値とは、予め設定された検出値帯域の上下限に相当する。
下流側の酸素センサ64の出力が第3所定値以下になったら、ステップa32に進んで、タイマ値Tslopeを故障判定値TslopeSと比較し、タイマ値Tslopeが故障判定値TslopeS以上かを判定する。
タイマ値Tslopeが故障判定値TslopeS以上なら、酸素センサ64が劣化していると判定し(ステップa34)、タイマ値Tslopeが故障判定値TslopeS未満なら、酸素センサ64が劣化していないと判定する(ステップa38)。また、経過時間Tslopeに基づいて、劣化のレベルを判定する(ステップa36)。
最後に、フラグF1、F2を0リセットし(ステップa40)終了する。
一方、このようにして、酸素センサ64の劣化のレベルが判明すると、例えば、図5に示すように、酸素センサ64の劣化のレベルを取り込んで(ステップc10)、酸素センサ64の劣化のレベルに応じて、上流側空燃比センサ62の出力値のリッチ及びリーンの変調度合いを拡張方向に操作する(ステップc12)。具体的には、図3(a1)に示す劣化していない場合の基準周期Tbaseに対して、図3(a2)に示すように、酸素センサ64の劣化度合いに応じた補正量α分だけ拡張する。
このように、リッチ及びリーンの変調度合いを適宜操作された条件下で、図6に示すように、触媒60の劣化(故障)を判定する。
つまり、ドライバがイグニッションスイッチをONにしてエンジン2が始動すると、ECU70は、先ず上流側空燃比センサ62から出力された電圧が所定値を横切った上流側反転回数Nfを算出する(ステップb10)。
次に、ステップb12に進み、下流側酸素センサ64により検出された酸素濃度に基づき出力された電圧から所定の範囲を上回ったり、下回ったりした下流側反転回数Nrを算出する。
次に、ステップb14に進み、エアフローセンサ46にて検出された吸入空気量にスロットルポジションセンサ54により検出された電子制御スロットル弁48の開度θTHに基づいて補正することにより吸入空気量Qaを算出する。
次に、ステップb16に進み、ステップb10およびステップb12にてそれぞれ算出されたNf,Nrに基づき上流側,下流側センサ周波数比R(=Nr/Nf)を算出する。
次に、ステップb18に進み、周波数比Rに基づき三元触媒60の正常,異常の判定がされる。すなわち、周波数比Rが第1の所定周波数比R1(劣化判定所定値)よりも小さい場合には、ステップb20進み、周波数比Rが前記第1の所定周波数比R1(劣化判定所定値)と同じ、またはそれよりも大きい場合には、ステップb32に進む。ここで、前記第1の所定周波数比R1としては、例えば、0.1が挙げられる。
ステップb20では、モニタ回数が判定される。すなわち、モニタ回数が所定値Xに達すれば、ステップb22に進み、モニタ回数が所定値Xよりも少ない場合には、ステップb10に戻る。
次に、ステップb22にて、前記周波数比Rの平均値Raveを算出する。この周波数比の平均値Raveは、Rave=ΣR/Xにて算出する。
次に、ステップb24に進み、吸入空気量の平均値Qaveを算出する。この吸入空気量の平均値Qaveは、Qave=ΣQa/Xにて算出する。
続いて、ステップb26に進み、吸入空気量の平均値Qaveに応じて第2の周波数比R2を算出する。この第2の周波数比R2としては、所定の吸入空気量までは一定値となり、所定の吸入空気量より大きくなるとそれに比例して大きくなるような線分、および吸入空気量に応じて大きくなる線分により規定することができる。
続いて、ステップb28に進み、三元触媒60の故障(劣化)を判定する。すなわち、周波数比の平均値Raveが第2の周波数比R2よりも大きい場合には、ステップb30に進み、三元触媒60が故障であると判定して終了する。周波数比の平均値Raveが第2の周波数比R2以下の場合には、ステップb32に進み、三元触媒60が正常であると判定して終了する。
ここで、ステップb10について、図7を用いて詳細に説明する。
図7に示すように、最初に、ステップd10にて、n=0と設定し、ステップd12に進む。ステップd12にて、モニタ条件を判定し、前記条件が成立した場合には、ステップd14に進み、前記条件が不成立の場合には、ステップd10に戻る。
ここで、前記モニタ条件としては、空燃比フィードバック制御が実施されていること、エンジン回転速度Neや吸入空気量Qが所定範囲内にあること、両センサ62,64が正常に作動していること等が挙げられる。
なお、ここでエンジン回転速度Neや吸入空気量Qが所定範囲内にあることを確認する理由は、これらが安定していないときには、排ガスのO2 濃度も安定せず、正常なフィードバック制御が実施されないためであり、エンジン回転速度Neや吸入空気量Qが下式(1) 、(2) の範囲内にあることが条件となる。下式中、Ne1,Ne2,Q1,Q2はそれぞれ判定閾値を示し、その具体的な値は、例えば、エンジン1が自動変速機に連結されている場合であれば、Ne1は1400rpm、Ne2は3000rpm、Q1は10g/sec、Q2は30g/secとなる。
Ne1<Ne<Ne2…(1)
Q1<Q<Q2…(2)
ステップd14にて、上流側空燃比センサ62の出力値(電圧値)FrLAFが所定値(例えば、ストイキオに対応する値)R/L Levelを超えたか判定する。すなわち、前記FrLAFが所定値よりも大きい場合には、ステップd16に進み、前記FrLAFが所定値以下の場合には、ステップd18に進む。
ステップd16にて、R/LフラグをLと設定し、ステップd20に進む。
ステップd18にて、R/LフラグをRと設定し、ステップd20に進む。
ステップd20にて、R/Lフラグの変化の有無を判定する。すなわち、R/LフラグがRからL、またはLからRに反転した場合には、ステップd22に進み、それ以外の場合であるR/Lフラグが反転しない場合には、ステップd24に進む。
ステップd22にて、nに1を加算し、ステップd24に進む。
ステップd24にて、所定時間経過したか判定する。所定時間経過した場合には、ステップd26に進み、所定時間経過しない場合には、ステップd12に戻る。
ステップd26にて、上流側空燃比センサ62における上流側反転回数Nfを算出する。すなわち、上流側反転回数Nfをnと設定する。
次に、ステップb12について、図8を用いて詳細に説明する。
図8に示すように、最初に、ステップe10にて、m=0と設定し、ステップe12に進む。
ステップe12では、モニタ条件を判定し、この条件が成立した場合には、ステップe14に進み、前記条件が不成立の場合には、ステップe10に戻る。なお、このステップにおけるモニタ条件とは、上述したステップd12におけるモニタ条件と同じであり、その説明を省略する。
ステップe14にて、前記Nfが所定値よりも大きいか判定する。すなわち、前記Nfが前記所定値よりも大きい場合には、ステップe16に進み、前記Nfが前記所定値以下の場合には、ステップe18に進む。
ステップe16では、下流側リッチ/リーン判定レベルを設定する。ここで、この下流側リッチ/リーン判定レベルは所定のヒステリシスであって、下流側リッチ/リーン判定レベルの上限値(リッチ側)TaHをH1(例えば、0.1V)として設定し、下流側リッチ/リーン判定レベルの下限値(リーン側)TaLをL1として設定し、ステップe20に進む。
ステップe18では、下流側リッチ/リーン判定レベルを設定する。すなわち、前記下流側リッチ/リーン判定レベルの上限値(リッチ側)TaHをH2(>H1)(例えば、0.2V)として設定し、前記下流側リッチ/リーン判定レベルの下限値(リーン側)TaLをL2(<L1)として設定し、ステップe20に進む。
ステップe20では、下流側リッチ/リーン判定レベル基準値RrO2F(下流側酸素センサフィルタ値)を算出する。すなわち、前記基準値RrO2Fは、下流側酸素センサ64の出力値を平均化処理して算出する。
続いて、ステップe22に進み、下流側酸素センサ64の出力値RrO2が下流側リッチ/リーン判定レベルの上限値(リッチ側)を超えたか判定する。すなわち、前記RrO2が前記基準値RrO2Fと前記下流側リッチ/リーン判定レベルの上限値(リッチ側)TaHとの和より大きい場合には、ステップe26に進み、前記RrO2が前記基準値RrO2Fと前記TaHとの和と同じ、または小さい場合には、ステップe24に進む。
ステップe24では、下流側酸素センサ64の出力値RrO2が下流側リッチ/リーン判定レベルの下限値(リーン側)を超えたか判定する。すなわち、前記RrO2が前記基準値RrO2Fと前記下流側リッチ/リーン判定レベルの下限値(リーン側)TaLとの差より小さい場合には、ステップe28に進み、前記RrO2が前記基準値RrO2Fと前記TaLとの差と同じ、または大きい場合には、ステップe30に進む。
ステップe26では、リッチ/リーン反転フラグ(R/Lフラグ)をリッチRと設定し、ステップe32に進む。
ステップe28では、R/LフラグをリーンLと設定し、ステップe32に進む。
ステップe30では、R/Lフラグを更新せず、ステップe36に進む。
ステップe32では、R/Lフラグの変化の有無を判定する。すなわち、前記R/LフラグがRからL、またはLからRに反転した場合には、ステップe34に進み、それ以外の場合である前記R/Lフラグが反転しない場合には、ステップe36に進む。
ステップe34では、mに1を加算し、ステップe36に進む。
ステップe36では、所定時間経過したか判定する。所定時間経過した場合には、ステップe38に進み、所定時間経過しない場合には、ステップe12に戻る。
ステップe38では、下流側酸素センサ64における下流側反転回数Nrを算出する。すなわち、下流側反転回数Nrをmと設定する。
次に、ステップb14について、図9を用いて詳細に説明する。
図9に示すように、最初に、ステップf10にて、k=0と設定し、ステップf12に進む。
ステップf12では、吸入空気量の総和ΣQ=0と設定し、ステップf14に進む。
ステップf14では、モニタ条件を判定し、前記条件が成立した場合には、ステップf16に進み、前記条件が不成立の場合には、ステップf10に戻る。なお、このステップにおけるモニタ条件とは、上述したステップd12におけるモニタ条件と同じであり、その説明を省略する。
ステップf16では、吸入空気量の総和ΣQに今回の吸入空気量Qを加算する。
続いて、ステップf18に進み、kに1を加算し、ステップf20に進む。
ステップf20では、所定時間経過したか判定する。所定時間経過した場合には、ステップf22に進み、所定時間経過しない場合には、ステップf14に戻る。
ステップf22では、平均吸入空気量Qaを算出する。すなわち、この平均吸入空気量Qaは、Qa=ΣQ/kにて算出する。
なお、ECU70は、三元触媒60が劣化している判定すると、それに対応する故障コードをRAMに記憶する。これにより、修理をする際には、前記故障コードを読み出すことで簡易に故障内容を知ることができ、三元触媒60の交換などの対応を迅速に行うことができる。
<作用(タイムチャート)>
ここで、酸素センサ64の劣化診断、及びその診断結果に基づいた三元触媒60の劣化診断のための変調周期の延長補正量αの算出のより詳細な処理例について、図10,図11のタイムチャートを用いて説明する。
図10はこの酸素センサ64の劣化診断時の処理例を示すタイムチャートであり、図示するように、時点t1で、燃料カットが実施されると、吸入空気量が積算され吸入空気量積算値が増大していく。このとき、下流側酸素センサ64の出力電圧が破線で示すように減少すると、時点t2で下流側酸素センサ64の出力電圧が第1所定値まで低下してしまい、この時の吸入空気量積算値は閾値未満となって、酸素センサ64の出力値が燃料カット直前の空燃比変化や触媒の酸素ストレージ作用の影響を大きく受けて且つ酸素センサ64が劣化していない場合(図2に示す太実線の曲線参照)も含まれるので、センサの劣化判定は打ち切りとする。
下流側酸素センサ64の出力電圧が実線で示すように減少すると、時点t3で下流側酸素センサ64の出力電圧が第1所定値まで低下し、この時の吸入空気量積算値は閾値以上となって、センサの劣化判定を実施する。下流側酸素センサ64の出力電圧が第2所定値(この例では、0.4V)から第3所定値(この例では、0.2V)まで低下する時間Tslopeを算出する。この例では、時点t4で下流側酸素センサ64の出力電圧が第2所定値に達し、時点t5で下流側酸素センサ64の出力電圧が第3所定値に達しており、時間Tslopeはt5−t4となる。ここで、Tslope(=t5−t4)が故障判定値TslopeS以上なら、酸素センサ64が劣化(故障)していると判定する。
そして、1回故障判定したら、Slope判定カウンタ(故障判定カウンタ)を1だけ増加し、1回正常判定したら、Slope判定カウンタを0にリセットして、Slope判定カウンタが所定数(例えば、3)に達したら、酸素センサ64が劣化(故障)していると最終判定する。
また、図11は酸素センサ64の劣化診断結果に基づいて、三元触媒60の劣化診断のための変調周期の延長補正量αを算出する処理例を示すタイムチャートであり、ここでは、1D/C〜5D/Cまでの5回のドライビングサイクル(エンジン始動から停止までの期間)を例示している。
下流側酸素センサ64の出力応答時間Tslopeの計測結果より、各ドライビングサイクルでのTslope最小値が算出される。ドライビングサイクル終了時のTslope最小値を所定の基準値TS(ここでは、0.075秒)と比較し、下記の条件(1),(2)の何れかが成立したら酸素センサ64の劣化レベルの指標Tslope_MINとして記憶する。
slope_MINはドライビングサイクル終了時に下記の条件(1),(2)の何れかが成立したら更新し、何れも成立しなければ前回値をホールドする。
・条件(1):今回のD/CのTslopeの最小値<TS
・条件(2):今回のD/CのTslopeの最小値≧TS且つ計測回数Tslope≧3回
slope_MINはECU内のバッテリバックアップRAMに記憶されており、次のドライビングサイクルにおいてTslope_MINに応じて変調周期の延長補正量αが算出される。そして下記の条件(3),(4),(5)の全てが成立したら変調周期の延長(算出された補正量αによる変調周期の拡張)を実施する。
・条件(3):Tslopeの最小値≧TS
・条件(4):水温(エンジン冷却水温)≧所定温度(暖気終了後条件)
・条件(5):吸入空気量≧所定値(エンジンが安定作動している条件)
図11に示すように、1回目のドライビングサイクル1D/Cでは、下流側酸素センサ64は正常であり、ドライビングサイクル終了時に条件(1)を満たしているのでTslope_MINを更新する。
2回目のドライビングサイクル2D/Cでは、Tslope_MINが小さい(1D/C目の下流側センサ酸素64の劣化度合いが小さい)ため、変調周期の延長補正量は0である。また、下流側酸素センサ64は微小劣化していて、ドライビングサイクル終了時に条件(2)を満たしているのでTslope_MINを更新する。
3回目のドライビングサイクル1D/Cでは、Tslope_MINが大きい(2D/C目の下流側センサ酸素64の劣化度合いが大きい)ため、変調周期の延長補正量がTslope_MINに応じた所定値になる。条件(3)を満たすと共に条件(4),(5)を満たした場合は変調周期の延長(算出された補正量αによる変調周期の拡張)を実施する。また、下流側酸素センサ64は正常であり、ドライビングサイクル終了時に条件(1)を満たしているのでTslope_MINを更新する。
4回目のドライビングサイクル4D/Cでは、Tslope_MINが小さい(3D/C目の下流側センサ酸素64の劣化度合いが小さい)ため、変調周期の延長補正量は0に戻る。また、下流側酸素センサ64は正常であるが、ドライビングサイクル終了時に条件(1),(2)を満たしていないのでTslope_MINは前回値をホールドしている。
5回目のドライビングサイクル5D/Cでは、Tslope_MINが小さいまま(4D/C目の値をホールド)のため、変調周期の延長補正量は0のままである。
このようなロジックを用いることで、下流側酸素センサ64が微小劣化した場合でも三元触媒60の劣化診断を精度良く行なうことができる。
<効果>
したがって、本装置によれば、触媒下流側酸素センサの劣化診断について、燃料カット直前の空燃比変化や触媒の酸素ストレージ作用の影響を大きく受ける場合には、燃料カット中に下流側の酸素センサ64の出力が検出値帯域を通過する時間も長くなるので、応答時間が故障判定値よりも大きくなり、酸素センサ64が劣化していると誤判定してしまうが、このとき、酸素センサ64の出力が燃料カット直後から早期に低下していくことに着目して、通常時(燃料カット直前の空燃比変化や触媒の酸素ストレージ作用の影響をあまり受けない場合)と識別し、影響を大きく受ける場合には、劣化判定禁止処理をするので、上記誤判定を回避することができる。
例えば、劣化判定禁止処理をしない場合には、図12(a)に示すように、エンジン回転数の広い領域にわたって、センサ劣化判定にかかる時間Tslopeが図中上方(時間大の側)大きくばらつくが、劣化判定禁止処理をすると、図12(b)に示すように、センサ劣化判定にかかる時間Tslopeの図中上方(時間大の側)への大きくばらつきが解消される。これにより、例えば、劣化判定閾値を、例えば、t1からt2(t2<t1)へと小さくして、より高精度の判定を行なうことが可能になる。
また、上流側空燃比センサ62の変調度合を操作する場合、例えば図13(a)に示すように、センサ劣化判定にかかる時間Tslopeに対応して変調周期を拡大操作する補正量αを設定し変調周期を拡大操作することにより、従来は、下流側の酸素センサ64の微小劣化に起因して、カウントし切れなかった下流側反転回数Nrがカウントされて、図中白矢印A1で示すように、周波数比R(=Nr/Nf)を適正に把握して、触媒の劣化を高精度で診断することができる。
また、図中白矢印A2で示すように、下流側の酸素センサ64の劣化判定閾値を、例えば、t1からt2(t2<t1)へと小さくすれば、下流側酸素センサ64が正常から劣化判定するまでの全ての期間において触媒の劣化検出性能を確保する事が可能になる。
〔その他〕
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲でかかる実施形態を適宜変更して実施しうることはもちろんである。
例えば、上記の実施形態では、触媒上流側排ガスセンサが空燃比センサの例を説明したが、触媒上流側排ガスセンサが酸素センサの場合でも適用することができる。
2 内燃機関(エンジン)
4 シリンダブロック
6 シリンダヘッド
8 気筒
10 ピストン
12 クランクシャフト
14 コネクティングロッド
16 燃焼室
18 吸気ポート
20 排気ポート
22 吸気バルブ
24 排気バルブ
26 インテークマニホールド
28 吸気管
30 エキゾーストマニホールド
32 排気管
34 燃料噴射弁
36 点火プラグ
38 点火コイル
40 クランク角センサ
42 水温センサ
44 エアクリーナ
46 エアフローセンサ
48 電子制御スロットル弁
50 サージタンク
52 ISC(アイドルスピードコントローラ)
54 スロットルポジションセンサ
56 大気圧センサ
58 吸気温度センサ
60 三元触媒
62 上流側空燃比センサ(上流側排ガスセンサ)
64 下流側酸素センサ(下流側排ガスセンサ)
66 警告灯
70 電子制御ユニット(ECU)
72 エンジン制御手段
74 センサ劣化判定手段
74A 劣化判定禁止手段
76 触媒劣化判定手段
76A レベル演算手段
76B 下流側反転周波数演算手段
76C 周波数比演算手段
78 変調度合操作手段

Claims (5)

  1. 内燃機関の排気通路の排ガス浄化触媒の下流側に装備された排ガスセンサの劣化を診断する触媒下流側排ガスセンサの劣化診断装置であって、
    前記内燃機関の燃料カットを実施する内燃機関制御手段と、
    前記燃料カットを実施しているときに前記排ガスセンサの出力値が酸素過剰側に変化しながら予め設定された検出値帯域を通過する際の経過期間を予め設定された故障判定値と比較して、前記経過期間が前記故障判定値よりも大きければ、前記触媒下流側排ガスセンサは劣化していると判定するセンサ劣化判定手段と、
    前記燃料カットの開始時点から前記排ガスセンサの出力値が前記検出値帯域よりも酸素不足側に予め設定された所定出力値まで変化した時点までの期間に応じたパラメータ値を、所定の閾値と比較して、前記パラメータ値が前記所定の閾値未満の場合には、前記センサ劣化判定手段による前記劣化判定を禁止する劣化判定禁止手段とを備えている
    ことを特徴とする、触媒下流側排ガスセンサの劣化診断装置。
  2. 前記パラメータ値は、吸入空気量の積算値であると共に、前記所定の閾値は前記吸入空気量の積算値に相関するものであって、前記劣化判定禁止手段は、前記吸入空気量積算値が前記所定の閾値未満の場合には、前記センサ劣化判定手段による前記劣化判定を禁止する
    ことを特徴とする、請求項1記載の触媒下流側排ガスセンサの劣化診断装置。
  3. 前記パラメータ値は、前記燃料カットの開始時点から前記排ガスセンサの出力値が前記検出値帯域よりも酸素不足側に予め設定された所定出力値まで変化した時点までの時間であると共に、前記所定の閾値は前記時間に相関するものであって、前記劣化判定禁止手段は、前記時間が前記所定の閾値未満の場合には、前記センサ劣化判定手段による前記劣化判定を禁止する
    ことを特徴とする、請求項1記載の触媒下流側排ガスセンサの劣化診断装置。
  4. 前記排ガス浄化触媒の劣化の程度を判定する触媒劣化程度判定手段を備え、
    前記所定の閾値は、前記判定された前記排ガス浄化触媒の劣化の程度が大きいほど小さい値とされる
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の触媒下流側排ガスセンサの劣化診断装置。
  5. 前記所定出力値は、前記触媒下流側排ガスセンサの活性化判定出力値と等しい又は略等しい値が設定されている
    ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の触媒下流側排ガスセンサの劣化診断装置。
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