以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施の形態に係る濃度制御システムを含む印刷装置1の構成の一例を示すブロック図である。図1において、印刷装置1は、印刷部10と制御部20とを有する。
印刷部10は、画像を紙等の印刷媒体に印刷するものである。印刷部10は、例えば、電子写真方式やインクジェット方式などのプリントエンジンにより実現される。
制御部20は、印刷部10の制御など、各種の処理を行うものである。制御部20は、一つの態様では、ハードウェア資源とソフトウェアとの協働により実現され、例えばコンピュータである。具体的には、制御部20の機能は、記録媒体に記録されたプログラムがメインメモリに読み出されてCPU(Central Processing Unit)により実行されることによって実現される。上記プログラムは、CD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されることも可能であるし、データ信号として通信により提供されることも可能である。ただし、制御部20は、ハードウェアのみにより実現されてもよい。
制御部20は、利用者からの印刷要求等に応じて、地紋画像を印刷部10に印刷させる。具体的には、制御部20は、コンピュータ等の印刷要求出力装置から印刷要求を受け付けると、当該印刷要求に基づいて地紋画像を印刷部10に印刷させる。一つの態様では、制御部20は、印刷要求に含まれる印刷対象データの画像と地紋画像とが合成された画像を印刷部10に印刷させる。ここで、印刷対象データは、印刷装置により印刷可能なデータであればよいが、例えば、文書作成ソフトや表計算ソフトなどの各種アプリケーションソフトのデータや各種の画像データなどの文書データである。ただし、制御部20は、地紋画像のみを印刷部10に印刷させてもよい。
地紋画像は、一つの態様では、セキュリティに関する情報を含む画像であり、例えば、印刷物のセキュリティを確保するための画像、印刷物の不正複写を抑制するための画像、印刷物の複写を牽制するための画像、情報の出所や流出経路を追跡するための画像などである。
地紋画像に含まれるセキュリティに関する情報としては、例えば、印刷対象データの作成者を特定するための情報(例えば文書作成者の名前)、印刷を行った者を特定するための情報(例えば印刷要求者の名前)、印刷対象データの名称(例えば文書名)、印刷が行われた日時、印刷要求を送信した装置を特定するための情報(例えばIPアドレス)、印刷を行う印刷装置を特定するための情報(例えばIPアドレス)、「複写禁止」等の文字、市町村等のマーク、印刷物を特定するための情報(例えばシリアル番号)などが挙げられる。
地紋画像は、潜像部と背景部とを有する。潜像部は、複写機により複写されたときに比較的濃く再現される領域、すなわち複写により再現されやすい領域である。一方、背景部は、複写機により複写されたときに比較的薄く再現される領域、すなわち複写により再現されにくい領域である。例えば、潜像部は、複写機により複写されたときに複写物に再現される領域、すなわち複写後に残存する領域である。一方、背景部は、複写機により複写されたときに複写物に再現されない領域、すなわち複写後に消失する領域である。したがって、地紋画像が印刷された印刷媒体が複写機により複写されると、潜像部のパターンが複写物に現れる。この潜像部のパターンは、例えば上記セキュリティに関する情報を表す。
一つの態様では、潜像部は、網点で表現される網点画像であり、背景部は、潜像部の網点より小さい網点で表現される網点画像である。具体的には、潜像部は、複写機により再現される大きさを持つ網点(例えば600dpiの10ドット)で表現され、背景部は、複写機により再現されない大きさを持つ網点(例えば600dpiの1ドット)で表現される。このような潜像部および背景部の画像は、特許文献1に記載された方法など、様々な方法で生成される。一つの例では、制御部20は、1画素当たりの階調数が3以上(例えば256)である多値の潜像画像データに対し、潜像用のスクリーン処理を施して、1画素当たりの階調数が2である2値の潜像画像データを生成し、当該2値の潜像画像データに基づいて潜像部の画像を印刷部10に印刷させる。また、制御部20は、多値の背景画像データに対し、背景用のスクリーン処理を施して、2値の背景画像データを生成し、当該2値の背景画像データに基づいて背景部の画像を印刷部10に印刷させる。ここで、上記スクリーン処理としては、AMスクリーン処理やFMスクリーン処理などが用いられる。また、上記多値の潜像画像データや多値の背景画像データは、印刷要求に応じて制御部20により作成されてもよいし、予め所定の記憶装置に記憶されていてもよい。
なお、潜像部や背景部は、細線など、網点以外のもので表現されてもよい。
一つの態様では、印刷装置1は、複数の色により地紋画像を印刷することが可能である。例えば、制御部20は、上記複数の色のうち特定の色による地紋画像の印刷の要求を受け付けると、印刷部10に上記特定の色による地紋画像の印刷を実行させる。上記複数の色は、例えば、黒、マゼンタ、シアンである。ただし、上記複数の色の種類や数は、特に限定されない。
また、一つの態様では、印刷装置1は、複数の濃度レベルにより地紋画像を印刷することが可能である。例えば、制御部20は、上記複数の濃度レベルのうち特定の濃度レベルによる地紋画像の印刷の要求を受け付けると、印刷部10に上記特定の濃度レベルによる地紋画像の印刷を実行させる。上記複数の濃度レベルは、例えば、濃い、普通、薄いである。ただし、上記複数の濃度レベルの種類や数は、特に限定されない。
また、一つの態様では、印刷装置1は、複数の色と濃度レベルの組み合わせにより地紋画像を印刷することが可能である。例えば、制御部20は、上記複数の組み合わせのうち特定の組み合わせによる地紋画像の印刷の要求を受け付けると、印刷部10に上記特定の組み合わせによる地紋画像の印刷を実行させる。
上述の地紋画像においては、地紋画像が印刷された印刷物上で潜像部のパターンを目立たなくする観点より、潜像部の印刷媒体上での濃度と背景部の印刷媒体上での濃度とは、略同じであることが望ましい。
そこで、本実施の形態では、制御部20は、地紋画像の濃度を制御する機能を有する。以下、当該地紋画像の濃度を制御する機能について説明する。
図1に示されるように、制御部20は、濃度計測用画像形成部21、濃度計測部22、および濃度制御部23を有する。
濃度計測用画像形成部21は、印刷部10により、潜像部の濃度計測用の画像と、背景部の濃度計測用の画像とを形成する。例えば、濃度計測用画像形成部21は、多値のパッチ画像データに対し潜像用のスクリーン処理を施して2値のパッチ画像データを生成し、当該2値のパッチ画像データに基づいて潜像部のパッチ画像を印刷部10に形成させる。また、濃度計測用画像形成部21は、多値のパッチ画像データに対し背景用のスクリーン処理を施して2値のパッチ画像データを生成し、当該2値のパッチ画像データに基づいて背景部のパッチ画像を印刷部10に形成させる。
一つの態様では、濃度計測用画像形成部21は、潜像部および背景部の一方または両方について、濃度を変化させて複数の濃度計測用の画像を形成する。
具体的には、濃度計測用画像形成部21は、潜像部の印刷媒体上での濃度を決定するための設定値(以下、「潜像濃度パラメータ」と称す)を振って、複数の潜像濃度パラメータで複数の潜像部の濃度計測用の画像を形成する。ここで、潜像濃度パラメータとしては、例えば、多値のパッチ画像データの階調値や、多値のパッチ画像データの階調値を補正するための補正値、潜像用のスクリーン処理のパラメータなどが挙げられる。
また、濃度計測用画像形成部21は、背景部の印刷媒体上での濃度を決定するための設定値(以下、「背景濃度パラメータ」と称す)を振って、複数の背景濃度パラメータで複数の背景部の濃度計測用の画像を形成する。ここで、背景濃度パラメータとしては、例えば、多値のパッチ画像データの階調値や、多値のパッチ画像データの階調値を補正するための補正値、背景用のスクリーン処理のパラメータなどが挙げられる。
潜像部が網点で表現される態様では、濃度計測用画像形成部21は、例えば、網点の密度を変化させることにより、潜像部の画像の濃度を変化させる。ただし、濃度計測用画像形成部21は、潜像部の画像の濃度を変化させる際、潜像部の網点として機能する範囲内で、潜像部の網点の大きさを変化させてもよい。また、背景部が網点で表現される態様では、濃度計測用画像形成部21は、例えば、網点の密度を変化させることにより、背景部の画像の濃度を変化させる。ただし、濃度計測用画像形成部21は、背景部の画像の濃度を変化させる際、背景部の網点として機能する範囲内で、背景部の網点の大きさを変化させてもよい。
濃度計測部22は、濃度計測用画像形成部21により形成された、潜像部の濃度計測用の画像の濃度と、背景部の濃度計測用の画像の濃度とを計測する。具体的には、濃度計測部22は、印刷装置1に設けられた濃度センサを用いて、濃度計測用の画像の濃度を計測する。濃度計測部22は、紙等の印刷媒体に形成された濃度計測用の画像の濃度を計測してもよいし、印刷媒体以外の媒体に形成された濃度計測用の画像の濃度を計測してもよい。ここで、印刷媒体以外の媒体に形成された濃度計測用の画像としては、例えば、電子写真方式においては、感光体や中間転写体に形成されたトナー像などが挙げられる。この濃度計測部22は、感光体や中間転写体上の主走査方向の全領域について濃度を計測する。さらに、感光体や中間転写体の副走査方向の所定領域についても濃度を計測できることが望ましい。このように構成することにより、印刷媒体上の領域における濃度のむらを検知することが可能となる。
濃度制御部23は、濃度計測部22の濃度の計測結果に基づき、印刷部10により地紋画像を印刷する際の、潜像部の濃度および背景部の濃度の少なくとも一方を制御する。例えば、濃度制御部23は、濃度の計測結果に基づき、地紋画像を印刷する際の、潜像濃度パラメータおよび背景濃度パラメータの少なくとも一方を設定する。
濃度設定について、一例では、濃度計測用画像形成部21は、所定の潜像濃度パラメータで潜像部のパッチ画像を形成するとともに、背景濃度パラメータを振って、互いに濃度が異なる複数の背景部のパッチ画像を形成する。濃度計測部22は、上記潜像部のパッチ画像の濃度と、上記複数の背景部のパッチ画像の濃度とを計測する。濃度制御部23は、計測結果に基づき、上記複数の背景部のパッチ画像のうち、上記潜像部のパッチ画像と濃度が最も近いパッチ画像を特定する。そして、濃度制御部23は、当該特定された背景部のパッチ画像に対応する背景濃度パラメータを、地紋画像を印刷する際の背景濃度パラメータに設定する。なお、地紋画像を印刷する際の潜像濃度パラメータは、上記所定の潜像濃度パラメータに設定される。
別の例では、濃度計測用画像形成部21は、所定の潜像濃度パラメータで潜像部のパッチ画像を形成するとともに、背景濃度パラメータを振って、互いに濃度が異なる複数の背景部のパッチ画像を形成する。濃度計測部22は、上記潜像部のパッチ画像の濃度と、上記複数の背景部のパッチ画像の濃度とを計測する。濃度制御部23は、計測結果に基づき、背景濃度パラメータと背景部のパッチ画像の濃度との対応関係を表す関数を求め、当該関数を用いて、背景部のパッチ画像の濃度が、上記潜像部のパッチ画像の濃度と一致するような背景濃度パラメータを特定する。そして、濃度制御部23は、当該特定された背景濃度パラメータを、地紋画像を印刷する際の背景濃度パラメータに設定する。なお、地紋画像を印刷する際の潜像濃度パラメータは、上記所定の潜像濃度パラメータに設定される。
さらに別の例では、濃度計測用画像形成部21は、所定の潜像濃度パラメータで潜像部のパッチ画像を形成するとともに、所定の背景濃度パラメータで背景部のパッチ画像を形成する。濃度計測部22は、上記潜像部のパッチ画像の濃度と、上記背景部のパッチ画像の濃度とを計測する。濃度制御部23は、計測結果と、予め用意された潜像濃度パラメータの変化量と潜像部のパッチ画像の濃度の変化量との対応関係に基づいて、潜像部のパッチ画像の濃度が、上記背景部のパッチ画像の濃度と一致する潜像濃度パラメータを特定する。そして、濃度制御部23は、当該特定された潜像濃度パラメータを、地紋画像を印刷する際の潜像濃度パラメータに設定する。なお、地紋画像を印刷する際の背景濃度パラメータは、上記所定の背景濃度パラメータに設定される。
一つの態様では、制御部20は、濃度の計測結果が所定の条件を満たす場合には、地紋画像の印刷を実行または許可し、濃度の計測結果が上記所定の条件を満たさない場合には、条件を満たさない場合に対応する所定の処理を実行する。
上記所定の条件は、地紋画像を適切に印刷する観点などから設定され、例えば、潜像部の濃度計測用の画像と背景部の濃度計測用の画像との濃度差が所定値以下であることなどである。
上記条件を満たさない場合に対応する所定の処理としては、例えば、印刷部10による地紋画像の印刷を中止または禁止する処理や、印刷するか否かを利用者に問い合わせ、利用者から印刷する旨の指示を受けた場合には地紋画像の印刷を実行し、そうでない場合には地紋画像の印刷を中止または禁止する処理などが挙げられる。
制御部20は、濃度の計測結果に基づき、印刷部10により地紋画像を適切に印刷することが可能か否かを判断し、可能であると判断された場合には、印刷部10に地紋画像の印刷を実行させ、可能でないと判断された場合には、可能でない場合に対応する所定の処理を実行してもよい。具体的には、制御部20は、濃度の計測結果に基づき、地紋画像を適切に印刷することが可能な所定の条件が満たされるか否かを判断し、条件が満たされている場合には、印刷部10に地紋画像の印刷を実行させ、条件が満たされていない場合には、条件が満たされていない場合に対応する所定の処理を実行してもよい。
印刷装置1が複数の色、濃度レベル、または色と濃度レベルの組み合わせ(以下、「印刷形態」と総称する)により地紋画像を印刷することが可能である態様において、一つの態様では、制御部20は、上記複数の印刷形態のうち特定の印刷形態による地紋画像の印刷が要求された場合に、上記特定の印刷形態について濃度の計測結果が所定の条件を満たすときには、印刷部10に上記特定の印刷形態による地紋画像の印刷を実行させ、上記特定の印刷形態について濃度の計測結果が上記所定の条件を満たさないときには、印刷部10に上記特定の印刷形態とは別の印刷形態による地紋画像の印刷を実行させる。例えば、制御部20は、黒色の地紋画像の印刷が要求された場合に、黒色について濃度の計測結果が所定の条件を満たさないときには、黒色とは別の色であるマゼンタ色の地紋画像の印刷を実行させる。当該態様において、制御部20は、特定の印刷形態について濃度の計測結果が所定の条件を満たさない場合には、濃度の計測結果が所定の条件を満たす印刷形態が存在するか否かを判断し、存在すると判断されたときには、条件を満たす印刷形態により地紋画像の印刷を実行させ、存在しないと判断されたときには、条件を満たす印刷形態が存在しない場合に対応する所定の処理を実行してもよい。また、制御部20は、特定の印刷形態について濃度の計測結果が所定の条件を満たさない場合には、所定の利用者に別の印刷形態で印刷するか否かを問い合わせ、別の印刷形態で印刷する旨の応答を得た場合に、別の印刷形態による地紋画像の印刷を実行させてもよい。
制御部20は、特定の印刷形態による地紋画像の印刷が要求された場合に、当該特定の印刷形態についての濃度の計測結果に基づき、当該特定の印刷形態により地紋画像を適切に印刷することが可能か否かを判断し、可能であると判断された場合には、印刷部10に上記特定の印刷形態による地紋画像の印刷を実行させ、可能でないと判断された場合には、上記特定の印刷形態とは別の印刷形態による地紋画像の印刷を実行させてもよい。この場合、制御部20は、可能でないと判断された場合に、他の印刷形態についての濃度の計測結果に基づき、地紋画像を適切に印刷することが可能な印刷形態が存在するか否かを判断し、存在すると判断されたときには、地紋画像を適切に印刷することが可能な印刷形態で地紋画像の印刷を実行させ、存在しないと判断されたときには、存在しない場合に対応する所定の処理を実行してもよい。
上記各場合に対応する所定の処理としては、例えば、印刷部10による地紋画像の印刷を中止または禁止する処理や、印刷するか否かを利用者に問い合わせ、利用者から印刷する旨の指示を受けた場合には地紋画像の印刷を実行または許可し、そうでない場合には地紋画像の印刷を中止または禁止する処理などが挙げられる。
図2は、本実施の形態に係る印刷装置1の動作の一例を示すフローチャートである。図2には、印刷装置1が印刷要求を受けたときに地紋画像の濃度計測を行う例が示されている。以下、図2を参照して、印刷装置1の動作の一例を説明する。なお、ここでは、印刷装置1は、黒、マゼンタ、シアンの3つの色で地紋画像を印刷することが可能であり、各色について、濃い、普通、薄いの3つの濃度レベルで地紋画像を印刷することが可能である。すなわち、印刷装置1は、9通りの印刷形態で地紋画像を印刷することが可能である。
制御部20は、地紋画像の印刷要求を受けるまで待機し(S11:NO)、地紋画像の印刷要求を受けると(S11:YES)、色と濃度レベルの9通りの組み合わせの中から、地紋画像の印刷に使用される色と濃度レベルの組み合わせを、計測対象の色と濃度レベルの組み合わせとして選択する(S12)。ここで、地紋画像の印刷に使用される色と濃度レベルの組み合わせは、印刷要求により指定されてもよいし、予め所定の記憶装置に設定されていてもよい。なお、以下の説明では、色と濃度レベルの組み合わせを単に「組み合わせ」と称する。
ついで、制御部20は、印刷部10を制御して、上記選択された組み合わせで、潜像部のパッチ画像と背景部のパッチ画像とを感光体等の媒体上に形成する(S13)。具体的には、制御部20は、所定の潜像濃度パラメータで潜像部のパッチ画像を形成するとともに、背景濃度パラメータを振って濃度を変化させて複数個の背景部のパッチ画像を形成する。
具体的には、ここでは、制御部20は、図3に示されるように、濃度を振って複数個(図3では3個)の背景部のパッチ画像を並べて描画し、各背景部のパッチ画像に対応させて、各背景部のパッチ画像に隣接する位置に、潜像部のパッチ画像を描画する。
図3の例では、濃度が振られた3個の背景部のパッチ画像Pa1,Pa2,Pa3と、当該背景部のパッチ画像Pa1,Pa2,Pa3と対をなす潜像部のパッチ画像Pb1,Pb2,Pb3とが形成されている。背景部のパッチ画像Pa1,Pa2,Pa3は、それぞれ第1、第2、第3の背景濃度パラメータで形成される。第1、第2、第3の背景濃度パラメータは、この順にパッチ画像の濃度が濃くなるように設定される。一方、潜像部のパッチ画像Pb1,Pb2,Pb3は、互いに共通の所定の潜像濃度パラメータで形成される。
なお、図3に示されるパッチ画像の配置は一例であり、パッチ画像は例えば図4,5に示されるように配置されてもよい。図4,5の例では、濃度が振られた3個の背景部のパッチ画像が並べて形成されるとともに、1個の潜像部のパッチ画像が形成されている。
ステップS13において、制御部20は、具体的には、図6に示される処理を行う。
図6において、制御部20は、背景濃度パラメータに初期値を設定する(S131)。
ついで、制御部20は、背景濃度パラメータを所定回数変化させたか否かを判断する(S132)。
所定回数変化させたと判断された場合には(S132:YES)、制御部20は、処理を終了させる。
一方、所定回数変化させていないと判断された場合には(S132:NO)、制御部20は、現在の背景濃度パラメータで背景部のパッチ画像を描画するとともに、当該背景部のパッチ画像と対をなす潜像部のパッチ画像を所定の潜像濃度パラメータで描画する(S133)。
ついで、制御部20は、背景濃度パラメータを所定量変化させ(S134)、処理をステップS132に戻す。
再び図2を参照すると、制御部20は、上記ステップS13で潜像部のパッチ画像と背景部のパッチ画像とを形成した後、濃度センサを用いて、潜像部のパッチ画像の濃度と背景部のパッチ画像の濃度とを計測し、潜像部のパッチ画像の濃度と背景部のパッチ画像の濃度との差を求める(S14)。
ステップS14において、制御部20は、具体的には、図7に示される処理を行う。
図7において、制御部20は、変数nに0を代入する(S141)。
ついで、制御部20は、変数nが所定値Nと等しいか否かを判断する(S142)。ここで、所定値Nは、背景部のパッチ画像の濃度の段階数を示す値であり、図3の例ではN=3である。すなわち、ステップS142では、制御部20は、濃度が振られた背景部のパッチ画像の全てについて濃度が測定されたか否かを判断する。
変数nが所定値Nと等しいと判断された場合には(S142:YES)、制御部20は、処理を終了させる。
一方、変数nが所定値Nと等しくないと判断された場合には(S142:NO)、制御部20は、第(n+1)番目の潜像部のパッチ画像の濃度を計測する(S143)。
また、制御部20は、第(n+1)番目の背景部のパッチ画像、すなわち第(n+1)の背景濃度パラメータで形成された背景部のパッチ画像の濃度を計測する(S144)。
ついで、制御部20は、上記計測された潜像部のパッチ画像の濃度と、上記計測された背景部のパッチ画像の濃度との差を計算して保存する(S145)。ここでは、制御部20は、濃度差として、濃度差の絶対値を計算して保存する。
ついで、制御部20は、変数nに1を加算して(S146)、処理をステップS142に戻す。
上記図7の処理により、パッチ画像Pa1とパッチ画像Pb1との濃度差、パッチ画像Pa2とパッチ画像Pb2との濃度差、およびパッチ画像Pa3とパッチ画像Pb3との濃度差が算出されて保存される。
再び図2を参照すると、制御部20は、上記ステップS14でパッチ画像の濃度を計測し、濃度差を算出した後、算出された複数の濃度差のうち最小の濃度差を特定するとともに、当該最小の濃度差に対応する背景濃度パラメータを特定して保存する(S15)。
ステップS15において、制御部20は、具体的には、図8に示される処理を行う。
図8において、制御部20は、変数nに0を代入し(S151)、変数minに無限大(または十分に大きな値)を代入する(S152)。
ついで、制御部20は、変数nが所定値Nと等しいか否かを判断する(S153)。ここで、所定値Nは、背景部のパッチ画像の濃度の段階数を示す値であり、図3の例ではN=3である。すなわち、ステップS153では、制御部20は、濃度が振られた背景部のパッチ画像の全てについて処理が行われたか否かを判断する。
変数nが所定値Nと等しいと判断された場合には(S153:YES)、制御部20は、処理を終了させる。
一方、変数nが所定値Nと等しくないと判断された場合には(S153:NO)、制御部20は、第(n+1)番目の潜像部のパッチ画像と第(n+1)番目の背景部のパッチ画像との濃度差Dを取得する(S154)。
ついで、制御部20は、上記取得された濃度差Dが変数minよりも小さいか否かを判断する(S155)。
濃度差Dが変数minよりも小さいと判断された場合には(S155:YES)、制御部20は、上記取得された濃度差Dを変数minに代入し(S156)、処理をステップS157に進める。
一方、濃度差Dが変数minより小さくないと判断された場合には(S155:NO)、制御部20は、処理をステップS157に進める。
ステップS157では、制御部20は、変数nに1を加算して、処理をステップS153に戻す。
再び図2を参照すると、制御部20は、上記ステップS15で最小の濃度差と当該最小の濃度差に対応する背景濃度パラメータを特定した後に、当該特定された最小の濃度差が所定の閾値以下であるか否かを判断する(S16)。ここで、上記閾値は、地紋画像として扱える濃度差の限界を示しており、濃度差が閾値を超えてしまうと地紋画像として扱えないことを意味する。すなわち、ステップS16において、制御部20は、濃度の計測結果に基づき、地紋画像を適切に印刷できるか否かを判断している。
最小の濃度差が所定の閾値以下であると判断された場合には(S16:YES)、制御部20は、地紋画像の適切な印刷が可能であると判断し、上記選択された組み合わせで、印刷部10に地紋画像を印刷させる(S17)。このとき、制御部20は、上記保存された最小の濃度差に対応する背景濃度パラメータで背景部を印刷し、上記所定の潜像濃度パラメータで潜像部を印刷する。
一方、最小の濃度差が所定の閾値以下でないと判断された場合には(S16:NO)、制御部20は、上記選択された組み合わせでの地紋画像の適切な印刷が可能でないと判断し、最小の濃度差が所定の閾値以下でない場合に対応する所定の処理を実行する(S18)。
図9には、上記ステップS18の処理の第1の例が示されている。
図9の例では、制御部20は、予め所定の記憶装置に記憶されている設定に基づき、利用者に判断を仰ぐか否かを判断する(S51)。
利用者に判断を仰がないと判断された場合には(S51:NO)、制御部20は、地紋画像の印刷を中止し(S59)、処理を終了させる。
一方、利用者に判断を仰ぐと判断された場合には(S51:YES)、制御部20は、所定の利用者に対し、地紋画像を適切に印刷することができない旨を提示した上で、地紋画像の印刷を実行するか否かを問い合わせる(S52)。ここで、所定の利用者は、例えば、印刷要求を行った利用者や、予め所定の記憶装置に記憶されている利用者などである。
ついで、制御部20は、上記問い合わせの結果に基づき、利用者から印刷を実行する旨の応答があったか否かを判断する(S53)。
印刷を実行する旨の応答があったと判断された場合には(S53:YES)、制御部20は、上記選択された組み合わせで、印刷部10に地紋画像を印刷させる(S54)。このとき、制御部20は、上記保存された最小の濃度差に対応する背景濃度パラメータで背景部を印刷し、上記所定の潜像濃度パラメータで潜像部を印刷する。
一方、印刷を実行する旨の応答がなかったと判断された場合には(S53:NO)、制御部20は、地紋画像の印刷を中止し(S59)、処理を終了させる。
なお、図9の処理は、ステップS52から開始されてもよい。すなわち、ステップS51は省略されてもよい。
図10には、上記ステップS18の処理の第2の例が示されている。
図10の例では、制御部20は、予め所定の記憶装置に記憶されている設定に基づき、利用者に判断を仰ぐか否かを判断する(S61)。
利用者に判断を仰がないと判断された場合には(S61:NO)、制御部20は、地紋画像の印刷を中止し(S69)、処理を終了させる。
一方、利用者に判断を仰ぐと判断された場合には(S61:YES)、制御部20は、所定の利用者に対し、現在設定されている組み合わせでは地紋画像を適切に印刷することができない旨を提示した上で、別の組み合わせで地紋画像を印刷するか否かを問い合わせる(S62)。ここで、所定の利用者は、例えば、印刷要求を行った利用者や、予め所定の記憶装置に記憶されている利用者などである。
ついで、制御部20は、上記問い合わせの結果に基づき、利用者から別の組み合わせで印刷を実行する旨の応答があったか否かを判断する(S63)。
別の組み合わせで印刷を実行する旨の応答がなかったと判断された場合には(S63:NO)、制御部20は、地紋画像の印刷を中止し(S69)、処理を終了させる。
一方、別の組み合わせで印刷を実行する旨の応答があったと判断された場合には(S63:YES)、制御部20は、利用者から組み合わせの指定を受け付ける(S64)。なお、この組み合わせの指定は、上記問い合わせに対する応答に含まれてもよい。
ついで、制御部20は、上記指定された組み合わせで地紋画像を適切に印刷できるか否かを判断する(S65)。例えば、制御部20は、指定された組み合わせについて、最小の濃度差が所定の閾値以下であるか否かを判断する。この場合、一つの態様では、制御部20は、指定された組み合わせで新たに濃度の計測を行い、当該計測の結果に基づいて上記判断を行う。別の態様では、制御部20は、保存されている過去の計測の結果に基づいて上記判断を行う。
指定された組み合わせで適切に印刷できると判断された場合には(S65:YES)、制御部20は、当該指定された組み合わせで、印刷部10に地紋画像を印刷させる(S66)。このとき、制御部20は、上記指定された組み合わせにおける最小の濃度差に対応する背景濃度パラメータで背景部を印刷し、上記指定された組み合わせにおける所定の潜像濃度パラメータで潜像部を印刷する。
一方、指定された組み合わせで適切に印刷できないと判断された場合には(S65:NO)、制御部20は、地紋画像の印刷を中止し(S69)、処理を終了させる。
なお、上記ステップS64において、制御部20は、複数の組み合わせの指定を受け付けてもよい。この場合、制御部20は、指定された組み合わせの中に地紋画像を適切に印刷できる組み合わせが存在するか否かを判断し、組み合わせが存在すると判断された場合に、当該組み合わせで地紋画像の印刷を実行し、組み合わせが存在しないと判断された場合には、地紋画像の印刷を中止してもよい。
また、図10の処理は、ステップS62またはS64から開始してもよい。すなわち、ステップS61またはステップS61〜S63は、省略されてもよい。
図11には、上記ステップS18の処理の第3の例が示されている。
図11の例では、制御部20は、予め所定の記憶装置に記憶されている設定に基づき、利用者に判断を仰ぐか否かを判断する(S71)。
利用者に判断を仰がないと判断された場合には(S71:NO)、制御部20は、地紋画像の印刷を中止し(S79)、処理を終了させる。
一方、利用者に判断を仰ぐと判断された場合には(S71:YES)、制御部20は、所定の利用者に対し、現在設定されている組み合わせでは地紋画像を適切に印刷することができない旨を提示した上で、別の組み合わせで地紋画像を印刷するか否かを問い合わせる(S72)。ここで、所定の利用者は、例えば、印刷要求を行った利用者や、予め所定の記憶装置に記憶されている利用者などである。
ついで、制御部20は、上記問い合わせの結果に基づき、利用者から別の組み合わせで印刷を実行する旨の応答があったか否かを判断する(S73)。
別の組み合わせで印刷を実行する旨の応答がなかったと判断された場合には(S73:NO)、制御部20は、地紋画像の印刷を中止し(S79)、処理を終了させる。
一方、別の組み合わせで印刷を実行する旨の応答があったと判断された場合には(S73:YES)、制御部20は、地紋画像を印刷可能な複数の組み合わせの中に地紋画像を適切に印刷できる組み合わせが存在するか否かを判断する(S74)。この場合、一つの態様では、制御部20は、新たに濃度の計測を行い、当該計測の結果に基づいて上記判断を行う。別の態様では、制御部20は、保存されている過去の計測の結果に基づいて上記判断を行う。
地紋画像を適切に印刷できる組み合わせが存在すると判断された場合には(S74:YES)、制御部20は、当該組み合わせでの地紋画像の印刷を印刷部10に実行させる(S75)。このとき、制御部20は、当該組み合わせにおける最小の濃度差に対応する背景濃度パラメータで背景部を印刷し、当該組み合わせにおける所定の潜像濃度パラメータで潜像部を印刷する。
一方、地紋画像を適切に印刷できる組み合わせが存在しないと判断された場合には(S74:NO)、制御部20は、地紋画像の印刷を中止し(S79)、処理を終了させる。
なお、図11の処理は、ステップS72またはS74から開始されてもよい。すなわち、ステップS71またはステップS71〜S73は、省略されてもよい。
図12は、本実施の形態に係る印刷装置1の動作の別の一例を示すフローチャートである。図12には、印刷装置1が地紋画像の濃度設定の調整要求を受けたときに地紋画像の濃度計測を行う例が示されている。以下、図12を参照して、印刷装置1の動作の一例を説明する。なお、ここでは、印刷装置1は、黒、マゼンタ、シアンの3つの色で地紋画像を印刷することが可能であり、各色について、濃い、普通、薄いの3つの濃度レベルで地紋画像を印刷することが可能である。すなわち、印刷装置1は、9通りの印刷形態で地紋画像を印刷することが可能である。なお、以下の説明において、上記図2の処理の説明と共通する部分については説明を省略する。また、以下の説明においても、色と濃度レベルの組み合わせを単に「組み合わせ」と称する。
制御部20は、地紋画像の濃度設定の調整要求を受けるまで待機し(S21:NO)、調整要求を受けると(S21:YES)、処理をステップS22に進める。ここで、制御部20は、利用者からの調整要求を受け付けてもよいし、装置(例えば印刷装置1内のモジュール)により発行される調整要求を受け付けてもよい。調整要求が発行されるタイミングとしては、例えば、印刷装置1の出力濃度特性を取得するのと同時、印刷装置1の出力濃度特性を取得するのとは非同期のタイミング、所定印刷枚数ごと、所定時間ごとなどが挙げられる。
ステップS22では、制御部20は、上記調整要求において組み合わせの指定があるか否かを判断する(S22)。
組み合わせの指定があると判断された場合には(S22:YES)、制御部20は、指定された1または複数の組み合わせを、計測対象の組み合わせとして選択し(S23)、処理をステップS25に進める。
一方、組み合わせの指定がないと判断された場合には(S22:NO)、制御部20は、全ての組み合わせを、計測対象の組み合わせとして選択し(S24)、処理をステップS25に進める。
ステップS25では、制御部20は、印刷部10を制御して、上記選択された計測対象の組み合わせのうち1つの特定の組み合わせで、潜像部のパッチ画像と背景部のパッチ画像とを感光体等の媒体上に形成する。具体的には、制御部20は、所定の潜像濃度パラメータで潜像部のパッチ画像を形成するとともに、背景濃度パラメータを振って濃度を変化させて複数個の背景部のパッチ画像を形成する。より具体的には、制御部20は、図3に示されるように、互いに異なる背景濃度パラメータで複数個の背景部のパッチ画像を並べて描画するとともに、各背景部のパッチ画像に対応させて、互いに共通の所定の潜像濃度パラメータで複数個の潜像部のパッチ画像を描画する。
ついで、制御部20は、濃度センサを用いて、潜像部のパッチ画像の濃度と背景部のパッチ画像の濃度とを計測し、潜像部のパッチ画像の濃度と背景部のパッチ画像の濃度との差を求める(S26)。具体的には、制御部20は、複数個の背景部のパッチ画像の各々について、当該背景部のパッチ画像と対をなす潜像部のパッチ画像の濃度と、当該背景部のパッチ画像の濃度との差を計算して保存する。
ついで、制御部20は、算出された複数の濃度差のうち最小の濃度差を特定するとともに、当該最小の濃度差に対応する背景濃度パラメータを特定して保存する(S27)。
ついで、制御部20は、計測対象の全ての組み合わせについて処理を行ったか否かを判断する(S28)。
計測対象の全ての組み合わせについては処理を行っていないと判断された場合には(S28:NO)、制御部20は、未処理の組み合わせを処理するために、処理をステップS25に戻す。
一方、計測対象の全ての組み合わせについて処理を行ったと判断された場合には(S28:YES)、処理をステップS29に進める。
ステップS29では、制御部20は、計測対象の全ての組み合わせにおいて最小の濃度差が所定の閾値以下であるか否かを判断する。ここで、所定の閾値としては、組み合わせ毎に異なる値が設定されてもよい。
全ての組み合わせにおいて最小の濃度差が所定の閾値以下であると判断された場合には(S29:YES)、制御部20は、計測対象の全ての組み合わせにおいて地紋画像を適切に印刷できると判断し、計測対象の全ての組み合わせについて地紋画像の印刷を許可して待機する(S30)。この場合、制御部20は、上記計測対象の組み合わせの何れかを指定した地紋画像の印刷要求を受けると、指定された組み合わせで地紋画像を印刷部10に印刷させる。このとき、制御部20は、当該指定された組み合わせにおける最小の濃度差に対応する背景濃度パラメータで背景部を印刷し、当該指定された組み合わせにおける所定の潜像濃度パラメータで潜像部を印刷する。
一方、最小の濃度差が所定の閾値を超える組み合わせが存在すると判断された場合には(S29:NO)、制御部20は、この場合に対応する所定の処理を実行する(S31)。
図13には、上記ステップS31の処理の一例が示されている。
図13の例では、制御部20は、予め所定の記憶装置に記憶されている設定に基づき、利用者に判断を仰ぐか否かを判断する(S311)。
利用者に判断を仰がないと判断された場合には(S311:NO)、制御部20は、最小の濃度差が閾値を超える組み合わせについて地紋画像の印刷を禁止して待機する(S319)。この場合、制御部20は、印刷可能な全ての組み合わせについて地紋画像の印刷を禁止してもよいし、印刷装置1による全ての印刷を禁止してもよい。
一方、利用者に判断を仰ぐと判断された場合には(S311:YES)、制御部20は、所定の利用者に対し、地紋画像を適切に印刷することができない組み合わせが存在する旨を提示した上で、指示を問い合わせる(S312)。
そして、制御部20は、上記問い合わせに対する利用者からの指示を受け取り、当該指示に基づく処理を実行する(S313)。
ここで、上記指示に基づく処理としては、例えば、下記(a1)〜(a4)の処理が挙げられる。
(a1)最小の濃度差が閾値を超える組み合わせについて地紋画像の印刷を禁止し、他の計測対象の組み合わせについて地紋画像の印刷を許可する。
(a2)印刷可能な全ての組み合わせについて地紋画像の印刷を禁止する。
(a3)印刷可能な全ての組み合わせ、または計測対象の全ての組み合わせについて地紋画像の印刷を許可する。
(a4)各組み合わせについて、地紋画像の印刷を許可するか否かの指示を利用者から受け付け、許可する旨の指示がなされた組み合わせについては、地紋画像の印刷を許可し、許可しない旨の指示がなされた組み合わせについては、地紋画像の印刷を禁止する。
なお、図13の処理は、ステップS312から開始されてもよい。すなわち、ステップS311は省略されてもよい。
図14は、パッチ画像の配置の一例を示す模式図である。以下、パッチ画像が図14のように配置される場合における、制御部20の動作の一例を説明する。
制御部20は、図14に示されるように、主走査方向の複数領域において、濃度が振られた複数個の背景部のパッチ画像を副走査方向に並べて描画したパッチ画像と、各背景部のパッチ画像に対応させて、各背景部のパッチ画像の主走査方向隣りに潜像部のパッチ画像を描画したパッチ画像からなるパッチ画像のグループを形成する。ここで、主走査方向の複数領域にパッチ画像のグループを並べるのは、感光体の主走査方向の中央部と端部とでは感光体に照射するレーザ光の量や口径の特性差と経年変化に応じて生じる感光体や中間転写体における面内ムラやバンディングを考慮したものである。
図14では、主走査方向に3つの領域A〜領域Cを設定し、領域Aにおける第1と第2の位置、領域Bにおける第3と第4の位置、領域Cにおける第5と第6の位置において、それぞれ副走査方向の第1〜第3の位置にパッチ画像が配置される。具体的には、主走査方向の第1の位置において、副走査方向の第1〜第3の位置に潜像部のパッチ画像P11〜P13が配置され、主走査方向の第3の位置において、副走査方向の第1〜第3の位置に潜像部のパッチ画像P31〜P33が配置され、主走査方向の第5の位置において、副走査方向の第1〜第3の位置に潜像部のパッチ画像P51〜P53が配置される。これらの潜像部のパッチ画像P11〜P13,P31〜P33,P51〜P53は、互いに共通の所定の潜像濃度パラメータで形成される。主走査方向の第2の位置において、副走査方向の第1〜第3の位置に背景部のパッチ画像P21〜P23が配置され、主走査方向の第4の位置において、副走査方向の第1〜第3の位置に背景部のパッチ画像P41〜P43が配置され、主走査方向の第6の位置において、副走査方向の第1〜第3の位置に背景部のパッチ画像P61〜P63が配置される。副走査方向の第1の位置に配置される背景部のパッチ画像P21,P41,P61は、第1の背景濃度パラメータで形成される。副走査方向の第2の位置に配置される背景部のパッチ画像P22,P42,P62は、第2の背景濃度パラメータで形成される。副走査方向の第3の位置に配置される背景部のパッチ画像P23,P43,P63は、第3の背景濃度パラメータで形成される。第1〜第3の背景濃度パラメータは、第1、第2、第3の順にパッチ画像の濃度が薄くなるように設定されている。図14に示すように、領域Aにはパッチ画像P11乃至P13とP21乃至P23からなるパッチ画像グループ、領域Bにはパッチ画像P31乃至P33とP41乃至P43からなるパッチ画像グループ、領域Cにはパッチ画像P51乃至P53とP61乃至P63からなるパッチ画像グループが形成されている。
ついで、制御部20は、上記形成された、潜像部のパッチ画像の濃度と、背景部のパッチ画像の濃度とを計測する。図15には、パッチ濃度の欄に、濃度の計測結果の一例が記載されている。
ついで、制御部20は、潜像部のパッチ画像と背景部のパッチ画像との全ての対について、潜像部のパッチ画像と背景部のパッチ画像との濃度差を算出する。図15には、濃度差の欄に、濃度差の算出結果の一例が記載されている。
ついで、制御部20は、副走査方向の位置毎に、当該副走査方向の位置における濃度差のうち最大の濃度差を特定する。図15には、最大濃度差の欄に、最大濃度差の特定結果の一例が記載されている。
ついで、制御部20は、上記特定された最大濃度差のうち最小の最大濃度差と、当該最小の最大濃度差に対応する背景濃度パラメータとを特定して保存する。図15の例では、最小の最大濃度差は「10」であり、これに対応する背景濃度パラメータは、副走査方向の第2の位置の背景部のパッチ画像を形成する際に用いられた第2の背景濃度パラメータである。
ついで、制御部20は、上記特定された最小の最大濃度差が所定の閾値以下であるか否かを判断する。所定の閾値以下である場合は、地紋画像の印刷を許可するが、図15に示すように、領域Aにおける濃度差は10、領域Bと領域Cにおける濃度差は0であり、これは領域に応じた特性差から生じる相違である。印刷を行う際には、この濃度差を考慮して画像形成を行うようにしてもよい。具体的には、印刷装置1は、グループ化された計測用画像ごとの濃度の計測結果に基づき、主走査方向における濃度むらが補正されるように、地紋画像を印刷する際の、潜像部の濃度および背景部の濃度の少なくとも一方を制御してもよい。例えば、上記の場合、領域Aにおける濃度差が10であり、領域BとCに合わせるためには背景画像P22の濃度が20であればよいので、印刷する際には領域Aの背景画像の濃度を20に近づけるように補正を行い印刷を行うようにしても良い。
なお、図1の例では印刷装置1が濃度制御システムを包含しているが、濃度制御システム(具体的には制御部20)の機能の一部または全部は、印刷装置1以外の装置により実現されてもよい。
図16は、濃度制御システムを含む印刷システムの一例を示す概略図である。
図16において、印刷システム2は、印刷装置3と濃度計測装置4とを含む。
印刷装置3は、背景部のパッチ画像と潜像部のパッチ画像とを印刷媒体に印刷して出力する。
濃度計測装置4は、上記印刷媒体に印刷された背景部のパッチ画像および潜像部のパッチ画像の濃度を計測する。この濃度の計測結果は、通信により濃度計測装置4から印刷装置3へ送られる。ただし、濃度の計測結果は、通信以外の方法で印刷装置3に入力されてもよい。
印刷装置3は、上記濃度の計測結果に基づき、当該印刷装置3により地紋画像を印刷する際の、潜像部の濃度および背景部の濃度の少なくとも一方を制御する。
図17は、濃度制御システムを含む印刷システムの別の一例を示す概略図である。
図17において、印刷システム5は、印刷装置6と、濃度計測装置7と、処理装置8とを含む。
印刷装置6は、背景部のパッチ画像と潜像部のパッチ画像とを印刷媒体に印刷して出力する。
濃度計測装置7は、上記印刷媒体に印刷された背景部のパッチ画像および潜像部のパッチ画像の濃度を計測する。この濃度の計測結果は、通信により濃度計測装置7から処理装置8へ送られる。ただし、濃度の計測結果は、通信以外の方法で処理装置8に入力されてもよい。
処理装置8は、上記濃度の計測結果を処理して、印刷装置6により地紋画像を印刷する際の潜像濃度パラメータや背景濃度パラメータなどの処理結果を得る。この処理結果は、通信により処理装置8から印刷装置6へ送られる。ただし、処理結果は、通信以外の方法で印刷装置6に入力されてもよい。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更することができる。
1,3,6 印刷装置、4,7 濃度計測装置、8 処理装置、10 印刷部、20 制御部、21 濃度計測用画像形成部、22 濃度計測部、23 濃度制御部。