以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1および図2は、本発明を適用したシリンダ錠100の外観の例を示している。図1は、シリンダ錠100の前端部側の外観の斜視図である。図2は、シリンダ錠100の後端部側の外観の斜視図である。
シリンダ錠100の、外周シリンダ101の内側には、正規の鍵が挿入された場合に、鍵と共に回動する内周シリンダ103が設けられている。内周シリンダ103が外周シリンダ101の内側に配置された状態において、内周シリンダ103に設けられた、鍵の挿入部が挿入される鍵穴103aは、外周シリンダ101から外部に露出する。すなわち、外周シリンダ101が内周シリンダ103の外周を覆うように(カバーのように)設けられている。
また、外周シリンダ101の前方の端面には、切り込み101h−1および切り込み101h−2が設けられている。鍵の挿入部が外周シリンダの切り込み101h−1または切り込み101h−2に対応する位置にない場合、鍵の挿入部の抜き差しができないようになされている。
シリンダ錠100を解錠する場合、鍵穴103aに鍵の挿入部を挿入し、例えば、時計回りに90°回転させる。また、シリンダ錠100において、後述するようにキーコードをリセットする場合、鍵穴103aに鍵の挿入部を挿入し、例えば、反時計回りに135°回転させる。
また、外周シリンダ101の後部には、スイッチケース102が設けられており、外周シリンダ101とスイッチケース102は、ピン105−1およびピン105−1の反対側にあるピン105−2により互いに固定されている。スイッチケース102は、シリンダ錠100が解錠されたとき、解錠されたことを表す電気的信号を生成するスイッチ114が内部に取り付けられており、スイッチケース102の後部において露出するスイッチ114のコネクタ114aが、例えば、遊技機の電源ユニットなどの所定の部位に接続されて、シリンダ錠100が解錠されたことを表す電気的信号を、電源ユニットなどに供給する。
図3は、シリンダ錠100の構成を示す斜視図である。同図に示されるように、内周シリンダ103は、外周シリンダ101の内側に挿入されるように構成されており、外周シリンダ101の内部で回動可能となるように構成されている。また、内周シリンダ103は、後部(図中鍵穴103aと反対側)に、ラチェットディスク111の凸部111aと嵌合する形状の凹部を有しており、自身の回動に伴ってラチェットディスク111を回動させる。
スイッチシリンダ113は、スイッチケース102の内部に挿入されるように構成されており、スイッチケース102の内部で回動可能となるように構成されている。スイッチシリンダ113は、ラチェットディスク111と係合する形状とされており、内周シリンダ103が回動された場合、ラチェットディスク111とともにスイッチシリンダ113も回動するようになされている。また、スイッチシリンダ113は、スイッチケース102の内部に挿入された状態において、バネ112により、スイッチ114側に付勢される。
スイッチシリンダ113の後部(スイッチ114側)の面には、所定の位置に凸部が設けられており、スイッチシリンダが所定の角度だけ回転されたとき、スイッチシリンダ113の後部の面の凸部がスイッチ114の凸部114bと当接することにより、スイッチ114の凸部114bが押圧されてスイッチ114のコネクタ114aから電気信号が出力されるようになされている。
また、ここでは図示されていないが、内周シリンダ103の後部の形状は、スイッチケース102の前端部の形状と対応して、内周シリンダ103の回動を規制するようになされている。例えば、シリンダ錠100を施錠した状態から内周シリンダ103が右方向(時計回り)に90°回転された場合において、内周シリンダ103の後部に設けられた凸部がスイッチケース102の前端部に設けられた凸部と当接し、内周シリンダ103がそれ以上右方向に回転することが抑止されるようになされている。
なお、シリンダ錠100を小型化するためには、スイッチ114の凸部114bも充分に小さくする必要があり、例えば、スイッチシリンダ113などの大きさや形状に鍵の挿入方向の誤差(ガタ)が生じた場合、スイッチシリンダ113の後部の面の凸部がスイッチ114の凸部114bと適確に当接せず、シリンダ錠100が解錠されたにもかかわらず、コネクタ114aから電気信号が出力されなくなってしまうことが懸念される。本発明のシリンダ錠100においては、スイッチシリンダ113は、スイッチケース102の内部に挿入された状態において、バネ112により、スイッチ114側に付勢されるようにしたので、シリンダ錠を構成する部品にガタがあった場合でもスイッチシリンダ113の後部の面の凸部がスイッチ114の凸部114bと適確に当接するようにすることができる。
スイッチケース102は、前方の円周状の端部102cが内周シリンダ103に当接するとともに、その外側の面が外周シリンダ101の内側の面と当接するように構成されており、内部にスイッチ114が取り付けられるように構成されている。また、スイッチケース102の前方の円周状の端部102c上に設けられた穴102fは、シリンダ錠100がリセットされるとき、後述するようにサイドバー151−1の後方(スイッチケース102側)の端部が挿入される穴とされる。
スイッチ114は、スイッチケース102の内部に挿入された状態で、ピン115−1とピン115−2が、それぞれ穴114cと穴114dに挿入されることでスイッチケース102に固定されるようになされている。スイッチケース102は、前方が円形に構成されているが、後方は矩形の面を有するように構成されているので、ピン115−1とピン115−2により、スイッチ114を確実に、かつ簡単に固定することができる。
また、同図に示されるように内周シリンダ103には、開閉プレート131−1乃至131−4、およびタンブラプレート133−1乃至133−4、並びに開閉プレート131−21乃至131−24、およびタンブラプレート133−21乃至133−24が取り付けられる。
開閉プレート131−1乃至131−4のそれぞれは、その内周シリンダ103に対する位置によって、内周シリンダ103の回動を可能にするか、または回動を抑制するように動作する。開閉プレート131−1乃至131−4はそれぞれ、係合穴によってタンブラプレート133−1乃至133−4と係合する。
例えば、開閉プレート131−1の図中上部には、3つの穴により構成される係合穴131−1aが設けられており、図中下部には、やはり3つの穴で構成される係合穴131−1bが設けられている。一方、タンブラプレート133−1には、係合穴131−1aのいずれか1つの穴に係合する径をもつ係合ピン133−1b、および係合穴131−1bのいずれか1つの穴に係合する径をもつ係合ピン133−1cが設けられている。
従って、係合ピン133−1bおよび係合ピン133−1cが、それぞれ係合穴131−1aおよび係合穴131−1bのいずれか1つの穴に係合することにより、開閉プレート131−1とタンブラプレート133−1が係合する。そして、開閉プレート131−1とタンブラプレート133−1が係合することにより、開閉プレート131−1とタンブラプレート133−1の図中上下方向の位置が決まる。ここで上下方向とは、内周シリンダ103において鍵が挿入される方向と直交する方向であって、開閉プレート131−1において係合穴131−1aまたは係合穴131−1bで示される3つの穴が並べられる方向である。
この例では、係合穴131−1aおよび係合穴131−1bはそれぞれ3つの穴により構成されているので、開閉プレート131−1とタンブラプレート133−1の図中上下方向の位置は、3通りのうちのいずれかとなる。
また、開閉プレート131−1は、図中上下方向には移動可能となるが、鍵の挿入方向に移動できないように、内周シリンダ103に取り付けられる。一方、タンブラプレート133−1は、内周シリンダ103に取り付けられた状態で、開閉プレート131−1の移動に伴って、図中上下方向に移動可能であり、かつサイドバー151−1の移動に伴って、鍵の挿入方向にも移動可能となるようになされている。従って、サイドバー151−1を鍵の挿入方向に移動させることで、上述した係合ピン133−1bおよび係合ピン133−1cと、係合穴131−1aおよび係合穴131−1bとの係合、すなわち開閉プレート131−1とタンブラプレート133−1との係合を解除したり、また、再び係合させたりすることができるようになされている。
ここでは、開閉プレート131−1とタンブラプレート133−1の係合について説明したが、他の開閉プレートとタンブラプレートも開閉プレート131−1とタンブラプレート133−1の場合と同様に係合する。シリンダ錠100においては、このように、開閉プレートとタンブラプレートの図中上下方向の位置が決まることによって、キーコードが決められることになる。すなわち、開閉プレート131−1乃至131−4とタンブラプレート133−1乃至133−4をそれぞれ係合させることにより、81通り(=34)のキーコードが設定可能となる。
開閉プレート131−21乃至131−24、およびタンブラプレート133−21乃至133−24のそれぞれは、開閉プレート131−1乃至131−4、およびタンブラプレート133−1乃至133−4と同様の構成とされ、内周シリンダ103の鍵穴103aを中心として、開閉プレート131−1乃至131−4、およびタンブラプレート133−1乃至133−4と向かい合うように取り付けられる。
すなわち、開閉プレート131−21乃至131−24、およびタンブラプレート133−21乃至133−24のそれぞれは、開閉プレート131−1乃至131−4、およびタンブラプレート133−1乃至133−4と、鍵穴103aの中心位置において線対称となる位置に設けられている。つまり、内周シリンダ103の鍵穴103aの左右両側の開閉プレートとタンブラプレートのそれぞれは、内周シリンダ103の回転軸を通る上下方向の線分に関して対称となる位置に取り付けられている。
したがって、シリンダ錠100においては、開閉プレート131−1乃至131−4とタンブラプレート133−1乃至133−4をそれぞれ係合させ、さらに開閉プレート131−21乃至131−24とタンブラプレート133−21乃至133−24をそれぞれ係合させることにより、6561通り(=38)のキーコードが設定可能となる。
シリンダ錠100を解錠または施錠する鍵においては、鍵穴103aに挿入される挿入部の両面に、それぞれ開閉プレート131−1乃至131−4の凸部と開閉プレート131−21乃至131−24の凸部が挿入される溝が設けられている。そして、鍵の挿入部の溝の形状に従って、開閉プレート131−1乃至131−4および開閉プレート131−21乃至131−24の上下方向の位置が定まることになる。
このように、シリンダ錠100を解錠または施錠する鍵においては、鍵の挿入部の両面に設けられた溝のそれぞれの形状がキーコードとなる。
例えば、開閉プレートとタンブラプレートが、シリンダ錠の奥行方向に一列に並べられて構成されている場合、キーコードを増やそうとすると、開閉プレートとタンブラプレートをシリンダ錠の奥行にさらに追加する必要があり、その結果、シリンダ錠の奥行方向の長さがさらに長くなってしまうが、本発明のシリンダ錠100においては、開閉プレート131−21乃至131−24、およびタンブラプレート133−21乃至133−24のそれぞれが、開閉プレート131−1乃至131−4、およびタンブラプレート133−1乃至133−4と鍵穴103aの中心位置において線対称となる位置に取り付けられるので、シリンダ錠の大きさ(長さ)を変えることなく、キーコードを増やすことが可能となる。
サイドバー151−1は、サイドバー用バネ152−1およびサイドバー用バネ152−2によって、外周シリンダ101の内面に押圧される。サイドバー151−1または151−2は、外周シリンダ101の内面に設けられた凹部と噛み合うか、またはその噛み合いが外れることにより、外周シリンダ101に対する内周シリンダ103の回動を規制する。
サイドバー151−1は、内周シリンダ103に設けられた図示せぬサイドバー用孔に沿って、鍵の挿入方向と直交する方向に移動可能な構造とされている。シリンダ錠100が解錠可能となる状態においては、サイドバー151−1の一部がタンブラプレート133−1乃至133−4の凹部133−1a乃至133−4a(ここでは、133−1aのみ図示)に嵌合することにより、サイドバー151−1が鍵の挿入方向と直交する方向であって、シリンダ錠100の内側方向(内周シリンダ103の回転軸に近づく方向)に移動する。その結果、外周シリンダ101の内面に設けられた凹部とサイドバー151−1との嵌合が解除され、内周シリンダ103は回動可能となる。
一方、シリンダ錠100が施錠された状態においては、サイドバー151−1は、タンブラプレート133−1乃至133−4いずれかの、凹部133−1a乃至133−4a以外の側面に当接するので、サイドバー151−1は、鍵の挿入方向と直交する方向であって、シリンダ錠100の内側方向に移動できず、その結果、外周シリンダ101の内面に設けられた凹部とサイドバー151−1との嵌合は解除されず、内周シリンダ103は回動不可能となる。
なお、サイドバー151−1は、上述のようにサイドバー用バネ152−1およびサイドバー用バネ152−2により、通常、鍵の挿入方向と直交する方向であって、シリンダ錠100の外側方向、すなわち外周シリンダ101の内面に設けられた凹部と嵌合する方向に付勢されている。
また、サイドバー151−1は、内周シリンダ103に設けられたサイドバー用孔に沿って、鍵の挿入方向に移動可能な構造とされている。シリンダ錠100のキーコードをリセットする状態においては、サイドバー151−1が鍵の挿入方向であって、シリンダ錠100の後方(スイッチケース102側)に移動する。その結果、サイドバー151−1の移動に伴って、タンブラプレート133−1乃至133−4も鍵の挿入方向に移動し、開閉プレート131−1乃至131−4とタンブラプレート133−1乃至133−4との係合がそれぞれ解除されることでキーコードがリセットされる。
なお、上述のように、サイドバー151−1が鍵の挿入方向と直交する方向に移動する場合、タンブラプレート133−1乃至133−4の位置は変化しないようになされている。また、サイドバー151−1が鍵の挿入方向に移動する場合、タンブラプレート133−1乃至133−4は、サイドバー151−1の移動に伴って、鍵の挿入方向に移動するようになされている。タンブラプレート133−1乃至133−4のそれぞれは、例えば、サイドバー151−1に設けられた図示せぬタンブラプレート用孔などに嵌合するように構成され、サイドバー151−1の移動に伴って、鍵の挿入方向にも移動可能となるように構成されている。
一方、開閉プレート131−1乃至131−4のそれぞれは、例えば、内周シリンダ103に設けられた図示せぬ開閉プレート用孔などに嵌合するように構成され、鍵の挿入方向には移動できないように構成されている。
したがって、サイドバー151−1が鍵の挿入方向であって、シリンダ錠100の後方(スイッチケース102側)に移動した場合、サイドバー151−1の移動に伴って、タンブラプレート133−1乃至133−4も鍵の挿入方向に移動し、開閉プレート131−1乃至131−4とタンブラプレート133−1乃至133−4との係合がそれぞれ解除されることになる。
また、サイドバー151−1は、サイドバー用バネ152−3により、通常、鍵の挿入方向であって、シリンダ錠100の後方(スイッチケース102側)に付勢されており、後述する外周シリンダ101の正面裏側の形状と、スイッチケース102の前端面の形状に従って鍵の挿入方向に移動する。
ここでは、サイドバー151−1の動作について説明したが、サイドバー151−2についても同様に動作する。ただし、サイドバー151−2の場合、シリンダ錠100のキーコードをリセットするときの移動方向がサイドバー151−1の場合と異なる。すなわち、サイドバー151−2は、サイドバー用バネ152−13により、通常、鍵の挿入方向であって、シリンダ錠100の前方に付勢されており、シリンダ錠100のキーコードをリセットする状態においては、サイドバー151−1が鍵の挿入方向であって、シリンダ錠100の前方に移動し、その結果、開閉プレート131−21乃至131−24とタンブラプレート133−21乃至133−24との係合がそれぞれ解除されることでキーコードがリセットされる。
挿入ピン175は、内周シリンダ103の穴103bに挿入される。挿入ピン175は、内周シリンダ103が外周シリンダ101の内部に挿入された状態において、バネ172により図中下方向に付勢され、挿入ピン175の端部175aが内周シリンダ内の鍵穴103aに突出するようになされている。
上述したように、鍵の挿入部の両面に設けられた溝のそれぞれの形状がキーコードとなる。挿入ピン175は、後述するように、誤って鍵の挿入部の左右の面を逆に挿入されてしまうことを防止するようになされている。すなわち、仮に鍵の挿入部の左右の面を逆にして鍵が挿入された場合、鍵の挿入部の先端の一部が挿入ピン175と当接することにより、鍵が挿入できなくなるようになされている。
本発明のシリンダ錠100においては、開閉プレート131−21乃至131−24、およびタンブラプレート133−21乃至133−24のそれぞれが、開閉プレート131−1乃至131−4、およびタンブラプレート133−1乃至133−4と鍵穴103aの中心位置において線対称となる位置に取り付けられるので、鍵の挿入部の両面にキーコードを特定するための溝などが設けられることになるが、キーコードを増やすためには、当然のことながら挿入部の左右の溝の形状は互いに異なるものとなる。このような、鍵は、シリンダ錠100に挿入するとき、挿入部の面をそれぞれ鍵穴103aの長手方向(鍵の挿入方向)に対して左右のどちらに向けるかが予め定められていることになり、この向きを誤って挿入すると、シリンダ錠100を解錠したりリセットしたりすることができない。
本発明のシリンダ錠100においては、挿入ピン175により、鍵の挿入部のそれぞれ面の鍵の挿入方向に対しての向きが誤って挿入されることが抑止される。
また、端部175aが鍵穴103aに挿入された鍵の挿入部の図中上側の端面に当接して、鍵穴103aに鍵の挿入部が挿入された状態で安定させるようになされている。
鍵の挿入部は、鍵穴103aに挿入されるので、鍵穴103aよりやや小さくなるように構成される必要がある。このため、鍵の挿入部が鍵穴103aに挿入された状態で、その挿入部が図中上下方向に微動することがあるが、その場合、鍵の挿入部の図中上下方向の動きに伴って開閉プレートも上下方向に移動してしまい、その結果、開閉プレートと係合しているタンブラプレートの図中上下方向の位置がサイドバーの位置とずれてしまい、シリンダ錠を解錠できなくなる。
本発明のシリンダ錠100においては、バネ172により図中下方向に付勢された挿入ピン175の端部175aが鍵の挿入部の図中上側の端面に当接して、鍵の挿入部を図中下方向に付勢するので鍵の挿入部が図中上下方向に微動することを抑止できる。なお、バネ172は、穴103bに挿入された後、穴103bから突出することがないように加工されるなどして係止されるので、内周シリンダ103が回動しているときも、端部175aが鍵の挿入部の図中上側の端面に当接して、鍵の挿入部を付勢し続けることになる。
鍵の挿入部が図中上下方向に微動することを抑止するために、例えば、開閉プレートのそれぞれをバネなどで付勢してもよいが、その場合、開閉プレートの数に対応するバネを内周シリンダに取り付ける必要があり、部品数が増加してしまう。また、開閉プレートのそれぞれがバネなどで付勢されていると、鍵の挿入部と当接する開閉プレートの凸部が、摩耗してしまうおそれがあり、シリンダ錠の耐久性が低下してしまう。
本発明のシリンダ錠100においては、開閉プレートのそれぞれを付勢するバネなどは不要であり、部品数を少なくすることが可能となり、また、耐久性を維持させることも可能となる。
また、挿入ピン175の端部175aが鍵の挿入部の図中上側の端面に当接して、鍵の挿入部を図中下方向に付勢することにより、図中上下方向に微動することだけでなく、鍵が、鍵の挿入方向に微動することも抑止される。図中下方に付勢された鍵の挿入部の下側の端面が内周シリンダの鍵穴103aの下側の面と当接することで摩擦が生じるからである。
図4aは、外周シリンダ101の外観を示す図であり、図4bは、図4aに示される外周シリンダを別の角度から見た図である。図4cと図4dは、外周シリンダ101の正面裏側の面の構成を説明する図であり、分かり易くするため、それぞれ仮想的に図4aと図4bの外周シリンダ101の円筒部分が取り除かれた状態の図とされている。図4cと図4dに示されるように、外周シリンダ101の正面裏側の面は、その位置によって、形状が異なっており、内周シリンダの回動に伴ってサイドバー151−2が移動するとき、サイドバー151−2の前方(外周シリンダ101側)の端部が当接する位置に穴101fが設けられている。
鍵穴103aに鍵の挿入部が挿入された状態で内周シリンダ103が反時計回りに所定の角度(例えば、135°)回動され、サイドバー151−1の後端部(スイッチケース102側の端部)が図3の穴102fと同じ位置まで移動したとき、サイドバー151−1の後端部が穴102fに挿入されて、サイドバー151−1が、鍵の挿入方向であってシリンダ錠の後方へ移動する。
また、このとき、サイドバー151−2の前端部(外周シリンダ101側の端部)が図4cまたは図4dの穴101fと同じ位置まで移動したとき、サイドバー151−2の前端部が穴101fに挿入されて、サイドバー151−2が、鍵の挿入方向であってシリンダ錠の前方へ移動する。
サイドバー151−1とサイドバー151−2の鍵の挿入方向の移動に伴って、タンブラプレート133−1乃至133−4とタンブラプレート133−21乃至133−24も、鍵の挿入方向の移動して、各タンブラプレートに係合していた開閉プレートは、それぞれタンブラプレートと当接しない状態となり、タンブラプレートと開閉プレートとの係合がそれぞれ解除される。これにより、シリンダ錠100においてキーコードがリセットされた状態となる。
リセットが完了した状態で、新たな鍵を挿入し、内周シリンダ103を時計回りに回動させると、係合が解除されていた各タンブラプレートの係合ピンと、各開閉プレートの係合穴が、新たな鍵のキーコードに対応する位置で再び係合する。その結果、シリンダ錠100に新たなキーコードを設定することができる。
なお、リセットは、鍵穴103aに鍵の挿入部が挿入された状態で内周シリンダ103が反時計回りに所定の角度だけ回動されて、鍵の挿入部が外周シリンダの切り込み101h−2に対応する位置に移動されたときのみ行うことが可能となる。鍵の挿入部が外周シリンダの切り込み101h−2に対応する位置にない場合、鍵の挿入部の抜き差しができないからである。
また、図4a乃至図4dに示されるように、外周シリンダ101の内側の面には、サイドバー151−1またはサイドバー151−2と嵌合する凹部101d−1乃至凹部101d−3が、それぞれ溝状に構成されて設けられている。
シリンダ錠100に正規の鍵が挿入されていない場合、サイドバー151−1は、外周シリンダ101の凹部101d−1と嵌合しており、また、サイドバー151−2は、外周シリンダ101の凹部101d−2と嵌合しており、内周シリンダ103を回動させることができないようになされている。
シリンダ錠100に正規の鍵が挿入された場合、上述したように、サイドバー151−1の一部がタンブラプレート133−1乃至133−4の凹部133−1a乃至133−4aに嵌合することにより、サイドバー151−1が鍵の挿入方向と直交する方向であって、シリンダ錠100の内側方向(内周シリンダ103の回転軸に近づく方向)に移動可能となり、また、サイドバー151−2も同様に、シリンダ錠100の内側方向(内周シリンダ103の回転軸に近づく方向)に移動可能となる。その結果、外周シリンダ101の内面に設けられた凹部101d−1とサイドバー151−1との嵌合が解除され、また、凹部101d−2とサイドバー151−2との嵌合が解除され、内周シリンダ103は回動可能となる。
また、シリンダ錠100に、正規の鍵が挿入されて時計回りに90°回転された場合、シリンダ錠100が解錠されることになるが、このときサイドバー151−2が外周シリンダ101の内面に設けられた凹部101d−3と嵌合することになる。これにより、シリンダ錠100が解錠されたときに、鍵を通してユーザの手に伝わってくるクリック感が得られることになる。さらに、解錠された状態で内周シリンダや鍵などの位置を安定させることもでき、シリンダ錠100が解錠された場合の電気信号の出力状態を安定的に保持できる。
次に、シリンダ錠100が解錠される仕組みについて説明する。図5は、鍵が挿入されていない状態(すなわち施錠されている状態)のシリンダ錠100の外観を示す図であり、図6は、図5の平面Aにおけるシリンダ錠100の断面図である。
図7は、図6の円Aで囲まれた部分を拡大した図であり、図8は、図6の円Bで囲まれた部分を拡大した図である。図7に示されるように、タンブラプレート133−21と開閉プレート131−21は、上述したように係合ピン133−21b(または係合ピン133−21c)が、係合穴131−21a(または係合穴131−21b)に係合することで、互いに当接する状態となっている。また、図8に示されるように、タンブラプレート133−1と開閉プレート131−1は、上述したように係合ピン133−1b(または係合ピン133−1c)が、係合穴131−1a(または係合穴131−1b)に係合することで互いに当接する状態となっている。
図9は、鍵が挿入されていない状態(すなわち施錠されている状態)のシリンダ錠100の正面図であり、図10は、図9の状態のシリンダ錠100を、所定の奥行方向の位置において切断した状態の断面図である。
図9に示されるように、挿入ピン175の端部175aが内周シリンダ内の鍵穴103aに突出している。
図10に示されるように、鍵が挿入されていない状態においては、開閉プレート131−1または131−21は、図中下側に位置している。
この状態において、開閉プレート131−1または開閉プレート131−21の上下方向の位置に伴って位置が定まるタンブラプレート133−1または133−21も下側に位置しており、タンブラプレート133−1の凹部133−1aは、サイドバー151−1の凸部151−1aと図中上下方向の位置が一致しておらず、また、タンブラプレート133−21の凹部133−21aは、サイドバー151−2の凸部151−2aと図中上下方向の位置が一致していない。
なお、同図においては示されていないが、サイドバー151−1の図中左側の凸部151−1aは、実際には、サイドバー151−2の図中右側の凸部151−2aと同様の構成とされている。
また、この状態では、サイドバー151−1は、外周シリンダ101の内面に設けられた凹部101d−1と嵌合しており、また、サイドバー151−2は、外周シリンダ101の内面に設けられた凹部101d−2と嵌合しており、内周シリンダ103を回動させることはできない。
図11に示されるように、シリンダ錠100に鍵190(シリンダ錠100を解錠できる正規の鍵)が挿入された場合、シリンダ錠100の内部の各部の状態は、図10に示される状態から図12に示されるように変化する。
なお、シリンダ錠100の鍵穴103aへの鍵190の挿入部の挿入において、鍵の挿入部の左右の面が正しく挿入された場合、鍵190の挿入部の先端の形状により、挿入ピン175が上方向に押し上げられて鍵190が挿入可能となるようになされており、鍵の挿入部の左右の面を逆にして鍵が挿入された場合、鍵の挿入部の先端の一部が挿入ピン175と当接することにより、鍵が挿入できなくなるようになされている。鍵190の詳細な構成については後述する。
図12は、図10と同じ所定の奥行方向の位置におけるシリンダ錠100の断面図であり、鍵190がシリンダ錠100に挿入されている場合の断面図である。
同図においては、鍵190の挿入部191の両面に設けられた溝に開閉プレートの凸部131−1eまたは131−21eが挿入された状態とされている。これにより、開閉プレート131−1または131−21とともに、タンブラプレート133−1または133−21が図中上下方向に移動する。いまの場合、図10に示される状態と比較して、タンブラプレート133−1または133−21が上側に移動しており、その結果、タンブラプレート133−1の凹部133−1aは、サイドバー151−1の凸部151−1aと図中上下方向の位置が一致し、また、タンブラプレート133−21の凹部133−21aは、サイドバー151−2の凸部151−2aと図中上下方向の位置が一致している。
なお、ここでは、タンブラプレート133−1と、タンブラプレート133−21についてのみ説明したが、正規の鍵が挿入された場合、タンブラプレート133−2乃至133−4またはタンブラプレート133−22乃至133−24についても、凹部133−2a乃至133−4aまたは凹部133−22a乃至133−24aが、サイドバー151−1の凸部151−1aまたはサイドバー151−2の凸部151−2aと図中上下方向の位置がそれぞれ一致することになる。すなわち、正規の鍵のキーコードは、シリンダ錠100に設定されているキーコードと一致するので、全てのタンブラプレートの凹部の位置がサイドバーの凸部の位置と一致するように移動される。
この状態であれば、サイドバー151−1の凸部151−1aを、タンブラプレート133−1乃至133−4の凹部133−1a乃至133−4aに嵌合させることにより、サイドバー151−1を鍵の挿入方向と直交する方向であって、シリンダ錠100の内側方向(図中左側)に移動させることが可能となる。また、サイドバー151−2の凸部151−2aを、タンブラプレート133−21乃至133−24の凹部133−21a乃至133−24aに嵌合させることにより、サイドバー151−2を鍵の挿入方向と直交する方向であって、シリンダ錠100の内側方向(図中右側)に移動させることが可能となる。
図11に示される状態から、図13に示されるように鍵190が時計回りに回動させると、シリンダ錠100の内部の各部の状態は、図12に示される状態から図14に示されるように変化する。
図14は、図12(または図10)と同じ所定の奥行方向の位置におけるシリンダ錠100の断面図であり、鍵190が回動されている場合の断面図である。正規の鍵が挿入された場合、上述したように、全てのタンブラプレートの凹部の位置がサイドバーの凸部の位置と一致するように移動されるので、サイドバー151−1およびサイドバー151−2をシリンダ錠100の内側方向に付勢すれば、サイドバー151−1およびサイドバー151−2が鍵の挿入方向と直交する方向であって、シリンダ錠100の内側方向に移動して、外周シリンダ101の内面に設けられた凹部101d−1および凹部101d−2との嵌合が解除され、内周シリンダ103が回動可能となる。
すなわち、鍵190が回動させられると、それに伴って、内周シリンダ103も回動され、このとき、凹部101d−1または101d−2の形状に沿って、サイドバー151−1およびサイドバー151−2がシリンダ錠100の内側方向に付勢されていくことになる。これにより、図14に示されるように内周シリンダ103が回動される。
図13に示される状態からさらに、図15に示されるように鍵190が時計回りに回動させると、シリンダ錠100の内部の各部の状態は、図14に示される状態から図16に示されるように変化する。図15においては、図11に示された状態から、鍵190が時計回りに90°回転されたことになる。すなわち、図15の状態でシリンダ錠100は解錠され、コネクタ114aから電気信号が出力される。
図16は、図14と同じ所定の奥行方向の位置におけるシリンダ錠100の断面図であり、鍵190が時計回りに90°回転された場合の断面図である。同図において、サイドバー151−1は、図14の場合と同様に、鍵の挿入方向と直交する方向であって、シリンダ錠100の内側方向に移動しているが、サイドバー151−2は、図14の場合と異なり、シリンダ錠100の内側方向に移動しておらず、外周シリンダ101の内面の凹部101d−3と嵌合している。
すなわち、サイドバー151−2は、サイドバー用バネ152−11およびサイドバー用バネ152−12によって、鍵の挿入方向と直交する方向であって、外周シリンダ101の内面に設けられた凹部と嵌合する方向に付勢されているので、内周シリンダ103(鍵190)が時計回りに90°回動されて外周シリンダ101の内面に設けられた凹部101d−3に対応する位置まで移動させられたとき、サイドバー151−2が、鍵の挿入方向と直交する方向であって、外周シリンダ101の内面に設けられた凹部と嵌合する方向に移動し、凹部101d−3と嵌合する。これにより、シリンダ錠100が解錠されたときになされる、サイドバー151−2と凹部101d−3との嵌合が、鍵を通してユーザの手にクリック感として伝わってくることになる。また、解錠された状態で内周シリンダ103や鍵190などの位置を安定させることもでき、シリンダ錠100が解錠された場合の電気信号の出力状態を安定的に保持できる。
なお、正規の鍵190が挿入された状態では、上述したように、全てのタンブラプレートの凹部の位置がサイドバーの凸部の位置と一致するように移動されるので、サイドバー151−2は、シリンダ錠100の内側方向に付勢されれば、鍵の挿入方向と直交する方向であって、シリンダ錠100の内側方向に移動するので、外周シリンダ101の内面に設けられた凹部101d−3との嵌合は解除される。従って、図15または図16に示される状態から、鍵190を反時計回りに回動させれば、内周シリンダ103が回動されて、シリンダ錠100を再び施錠することができる。
また、図16において、凹部101d−3と向かい合う位置であって、サイドバー151−1と当接する位置に、凹部(溝)が設けられるようにしてもよい。
シリンダ錠100が解錠されたとき、外周シリンダ101の内側の面においてサイドバーと当接する位置に設けられた凹部(凹部101d−3)は、上述したようにクリック感を得るために設けられたものであり、例えば、凹部101d−1および凹部101d−2とは異なり、内周シリンダ103の回動を規制するために設けられたものではないので、解錠された状態でサイドバー151−1またはサイドバー151−2のいずれか一方と対応する位置に設けられるようにすれば足りる。
このように、本発明のシリンダ錠100においては、クリック感を得るために、特に部品数を増やすことなく、サイドバーと外周シリンダの形状を利用してクリック感が得られるようにすることができ、また、シリンダ錠が解錠された場合、その解錠状態を保持することができる。
次に、シリンダ錠100を解錠できる鍵の構成について説明する。
図17は、本発明を適用した鍵190の構成を示す斜視図である。同図に示されるように、鍵190の、鍵穴103aに挿入される部分である挿入部191に、キーコードに対応する溝が設けられている。この溝は、面191aと面191bに挟まれるようにして構成されている。
挿入部191の溝には、上述した開閉プレート131−1乃至131−4または開閉プレート131−21乃至131−24のそれぞれの一部(凸部)が挿入され、この溝の形状に従って、それぞれの開閉プレートの上下方向の位置が定まることになる。
また、挿入部191の溝は、挿入部191の先端部において、図中縦方向(上下方向)の幅が広くなるように構成されており、挿入部191が鍵穴103aに挿入されたとき、例えば、開閉プレート131−21の凸部131−21eがこの溝にくわえ込まれるようにして挿入される。この溝は、挿入部191の先端部において図中縦方向の幅が広く構成されているが、それ以外の部分では、図中縦方向の幅が開閉プレートの凸部の幅とほぼ同等となるように構成されているので、凸部131−21eは、この溝の面191aまたは面191bに当接して上下方向に移動し、開閉プレート131−21の上下方向の位置が変化する。そして、鍵190が完全にシリンダ錠100に挿入されたとき、この溝の予め設定された所定の位置において、凸部131−21eの上下方向の位置が定まり、開閉プレート131−21が鍵190のキーコードに対応する位置に移動させられることになる。
上述したように、シリンダ錠100においては、開閉プレートのそれぞれを付勢するバネなどが設けられておらず、開閉プレートは、内周シリンダ103に取り付けられた状態で、鍵の挿入方向と直交する方向(例えば、図12の図中上下方向)に移動可能となるように構成されている。従って、開閉プレートが上方向に移動するとき、開閉プレートの凸部は面191bと当接して押し上げられることとなり、開閉プレートが下方向に移動するとき、開閉プレートの凸部は面191aと当接して押し下げられることとなる。
なお、開閉プレートは、バネにより付勢されてはいないものの、重力により下側に付勢されているともいえるので、開閉プレートを下方向に移動させるときは、一見、あえて押し下げる必要はないようにも思われるが、キーコードに対応する位置に確実に移動させるためには、やはり面191aと当接させて押し下げる必要がある。
このように、開閉プレートのそれぞれを付勢するバネなどが設けられていない場合、キーコードに対応する形状を挿入部191に構成するにあたって、開閉プレートの凸部を上向きに押し上げる面(例えば、面191b)と、開閉プレートの凸部を下向きに押し下げる面(例えば、面191b)を含む溝を適切に形成する必要がある。また、キーコードに対応する形状を挿入部191に構成するにあたって、開閉プレートの凸部を上向きに押し上げる面と、開閉プレートの凸部を下向きに押し下げる面を含む溝を適切に形成すれば、例えば、開閉プレートの取り付け部分に異物(塵等)が付着して開閉プレートが滑らかに移動しなくなったときでも、開閉プレートをキーコードに対応する位置に、確実に移動させることができる。
なお、挿入部191のキーコードに対応する溝は、図17に示される位置と反対側の位置にも設けられている。開閉プレート131−1乃至131−4とタンブラプレート133−1乃至133−4をそれぞれ係合させ、さらに開閉プレート131−21乃至131−24とタンブラプレート133−21乃至133−24をそれぞれ係合させることにより、6561通り(=38)のキーコードを設定可能とするためには、当然、挿入部191の左右両側の面にキーコードに対応する溝を設ける必要がある。
本発明の鍵190は、上述したように、挿入部191の左右両側の面に、それぞれ開閉プレートの凸部を上向きに押し上げる面と、開閉プレートの凸部を下向きに押し下げる面を含む溝であって、キーコードに対応する溝が設けられているので、設定可能なキーコードの数を充分に多くすることができ、かつ、シリンダ錠100の解錠、施錠、またはリセットの操作を確実に行うことが可能である。また、鍵190により解錠などされる、シリンダ錠100においては、開閉プレートのそれぞれを付勢するバネなどが不要なので、部品数を少なくすることが可能となり、また、耐久性を維持させることも可能となる。
また、鍵190には、鍵190が完全にシリンダ錠100に挿入されたとき、挿入ピン175と当接する位置に、凹部193が設けられている。また、鍵190の挿入部191の後端部分に切り込み192が設けられており、鍵190がシリンダ錠100に挿入されて回転させられるとき、切り込み192が外周シリンダ101の前端部をくわえるようにして回動されるようになされている。
挿入部191は、左右両面にキーコードに対応する溝が設けられているため、溝に挟まれた中央の部分は、他の部分と比較して薄く(厚みが少なく)構成されている。この溝に挟まれた中央の部分の一部であって、挿入部191の先端部194の形状は、挿入部191の左右の面が正しく挿入された場合、挿入ピン175が上方向に押し上げるように構成されており、挿入部191の左右の面を逆にして鍵が挿入された場合、挿入ピン175と当接して係止されるように構成されている。
図18と図19は、それぞれ鍵190の側面図である。図18は、図17において、鍵190を、挿入部191の先端部194側から見た場合、左側の側面を示す図であり、図19は、図17において、鍵190を、挿入部191の先端部194側から見た場合、右側の側面を示す図である。
図18に示されるように、鍵190の挿入部191の左側の面に設けられたキーコードに対応する溝は、面191cと面191dに挟まれるようにして構成されている。面191cと面191dに挟まれるようにして構成された溝に、開閉プレート131−1乃至開閉プレート131−4のそれぞれの凸部が挿入された状態で、鍵190が完全にシリンダ錠100に挿入されたとき、タンブラプレート133−1乃至タンブラプレート133−4のそれぞれの凹部の位置が、サイドバー151−1の凸部151−1aの位置と一致することになる。
図19に示されるように、鍵190の挿入部191の右側の面に設けられたキーコードに対応する溝は、面191aと面191bに挟まれるようにして構成されている。そして、鍵190の挿入部191の右側の面に設けられたキーコードに対応する溝の形状は、鍵190の挿入部191の左側の面に設けられたキーコードに対応する溝の形状とは異なるものとなるように構成されている。
面191aと面191bに挟まれるようにして構成された溝に、開閉プレート131−21乃至開閉プレート131−24のそれぞれの凸部が挿入された状態で、鍵190が完全にシリンダ錠100に挿入されたとき、タンブラプレート133−21乃至タンブラプレート133−24のそれぞれの凹部の位置が、サイドバー151−2の凸部151−2aの位置と一致することになる。
すなわち、鍵190の、図17乃至図19における図中上方向を、図1の図中上方向に向けてシリンダ錠100に挿入すると、鍵190によりシリンダ錠100を解錠することができ、鍵の挿入部の左右の面が正しく挿入されたことになる。
挿入部191の先端部194は、図18または図19において、図中上側の端部は、丸みを帯びた形状とされており、図中下側の端部は、鍵の挿入方向と直交する図中上下方向の直線を有する形状とされている。すなわち、挿入部191の先端部194の図中上側の端部は、挿入ピン175を上方向に押し上げるためのテーパ形状とされ、挿入部191の先端部194の図中下側の端部は、挿入ピン175と当接して鍵190の挿入を抑止するためのエッジとされる。
図20は、図18の図中円で示された部分を拡大した図である。同図に示されるように、先端部194の図中上側の端部194aは、丸みを帯びた形状とされており、挿入ピン175の端部175aと当接しながら、挿入ピン175を上方向に押し上げるためのテーパ形状とされている。また、先端部194の図中下側の端部194bは、鍵の挿入方向と直交する図中上下方向の直線を有する形状とされ、仮に鍵の挿入部の左右の面が逆向き挿入されて挿入ピン175の端部175aと当接しても、挿入ピン175を上方向に押し上げることはできず、その結果、先端部194は挿入ピン175により係止される。すなわち、先端部194の図中下側の端部194bは、鍵190の挿入を抑止するためのエッジとされている。
図21乃至図23を参照して、さらに説明する。
図22は、図21の平面Bにおけるシリンダ錠100の断面図である。同図においては、シリンダ錠100に鍵190の挿入部191の先端部194が挿入されている。なお、図22の場合、鍵190の挿入部191の左右の面が正しく挿入されているものとする。
挿入ピン175の端部175aは、バネ172により図中下方向に付勢されて内周シリンダ内の鍵穴103aに突出するように取り付けられているので、挿入部191が鍵穴103aに挿入されるとき、挿入部191の先端部194に端部175aが当接する。しかし、図22に示されるように、先端部194の図中上側の端部194aがテーパ形状とされているので、挿入部191が図中右方向に挿入されていくのに伴って、挿入ピン175の端部175aと当接しながら、挿入ピン175を上方向に押し上げている。その結果、鍵190の挿入部191は、同図に示される状態から、さらに右方向に挿入され得る。
そして、鍵190がシリンダ錠100に完全に挿入されたとき、凹部193に、挿入ピン175の端部175aが当接し、鍵190を安定させる。すなわち、バネ172により付勢された挿入ピン175の端部175aにより、挿入部191が図中下方向に付勢されて鍵190の図中上下方向または左右方向の微動が抑止される。
図23は、やはり図21の平面Bにおけるシリンダ錠100の断面図である。同図においても、図22の場合と同様に、シリンダ錠100に鍵190の挿入部191の先端部194が挿入されている。ただし、図23の場合、図22の場合とは異なり、鍵190の挿入部191の左右の面が逆に挿入されているものとする。
図23の場合、先端部194の図中上側(図17乃至図19においては図中下側であったもの)の端部194bがエッジとされているので、挿入ピン175の端部175aと当接した後、挿入ピン175を上方向に押し上げることはできない。その結果、鍵190の挿入部191を、同図に示される状態から、さらに右方向に挿入することはできない。
本発明の鍵190は、シリンダ錠100に設定可能なキーコードの数を充分に多くするため、挿入部191の左右両側の面に異なる形状の溝が設けられている。従って、鍵190を、シリンダ錠100に挿入するとき、挿入部191の鍵の挿入方向に対する左右の向きを誤ると、正規の鍵190であってもシリンダ錠100を解錠できなくなってしまう。このため、挿入部191の鍵の挿入方向に対する左右の向きが誤っていた場合、その旨をユーザに気づかせることが重要である。
本発明によれば、鍵190の挿入部191の左右の面が正しく挿入された場合、鍵190をシリンダ錠100に完全に挿入することができるようにし、また、鍵190の挿入部191の左右の面が逆に挿入されている場合、鍵190をシリンダ錠100に完全に挿入することができないようにすることができる。従って、挿入部191の鍵の挿入方向に対する左右の向きが誤っていた場合、その旨をユーザに気づかせることができる。
なお、仮に、挿入ピン175が破壊されるなどして、図23に示される状態から、鍵190がさらに右方向に挿入されたとしても、切り込み192の位置が適切でないため、鍵190をシリンダ錠100に挿入して回動させることができないことになる。
以上においては、挿入ピン175が図9の図中上側に設けられている例について説明したが、挿入ピン175が図9の図中下側に設けられるようにしてもよい。
また、挿入ピン175の機能は、ピンにより実現されるものとは限られず、例えば、挿入ピン175に代えて、板状の部材を用いることも可能である。
ところで、図1に示されるシリンダ錠100は、例えば、スロット遊戯機の電源ユニットを構成するパネルなどに取り付けられるようになされており、シリンダ錠100が電源ユニットのパネルに取り付けられた状態においては、外周シリンダ101の前側(鍵穴103aが露出する側)の一部が電源ユニットの外部に露出し、その他の部分は、電源ユニットの内部に位置することになる。
そして、シリンダ錠100のスイッチ114のコネクタ114aにハーネスなどを半田付けし、そのハーネスを電源ユニットの基板に接続することで所定の電気信号が供給されるようになされている。
しかしながら、シリンダ錠を直接、電源ユニットなどの基板に取り付けるニーズも高まっている。
図24および図25は、本発明を適用したシリンダ錠であって、直接基板に取り付け可能なシリンダ錠200の外観の例を示している。図24は、シリンダ錠200の前端部側の外観の斜視図である。図25は、シリンダ錠200の後端部側の外観の斜視図である。
シリンダ錠200は、シリンダ錠100と同様に解錠、施錠またはリセットされるシリンダ錠であり、図17の鍵190と同様に構成された鍵を用いて解錠、施錠またはリセットされるようになされている。すなわち、シリンダ錠200も、シリンダ錠100の場合と同様に、鍵190の挿入部191の左右の面が正しく挿入された場合、鍵190をシリンダ錠200に完全に挿入することができるようにし、また、鍵190の挿入部191の左右の面が逆に挿入されている場合、鍵190をシリンダ錠200に完全に挿入することができないようになされている。
また、シリンダ錠200は、シリンダ錠100の場合と同様に、外周シリンダ201の内側には、正規の鍵が挿入された場合に、鍵と共に回動する内周シリンダ203が設けられている。内周シリンダ203が外周シリンダ201の内側に配置された状態において、内周シリンダ203に設けられた、鍵の挿入部が挿入される鍵穴203aは、外周シリンダ201から外部に露出する。すなわち、外周シリンダ201が内周シリンダ203の外周を覆うように(カバーのように)設けられている。
図1または図2の外周シリンダ101の場合と異なり、図24および図25の外周シリンダ201の前端部側は、いわゆる傘型の形状とされておらず、純粋な円筒形に構成されている。その他の外周シリンダ201の形状は、図1または図2の外周シリンダ101の場合と同様なので詳細な説明は省略する。
シリンダ錠200を解錠する場合、鍵穴203aに鍵の挿入部を挿入し、例えば、時計回りに90°回転させる。また、シリンダ錠200において、キーコードをリセットする場合、鍵穴203aに鍵の挿入部を挿入し、例えば、反時計回りに135°回転させる。
また、外周シリンダ201の後部には、スイッチケース202が設けられており、外周シリンダ201とスイッチケース202は、ピン205−1およびピン205−1の反対側にあるピン205−2により互いに固定されている。スイッチケース202は、シリンダ錠200が解錠されたとき、解錠されたことを表す電気的信号を生成するスイッチ214が内部に取り付けられており、スイッチケース202の後部において露出するスイッチ214のコネクタ214aが、例えば、遊技機の電源ユニットなどの基板に半田付けされて、シリンダ錠200が解錠されたことを表す電気的信号を、基板に供給する。
図2に示されるスイッチ114のコネクタ114aと、図25に示されるスイッチ214のコネクタ214aは形状が異なっている。コネクタ114aは、ハーネスなどが取り付けられるものであるのに対して、コネクタ214aは、直接基板に半田付けされるものであるからである。
また、シリンダ錠200には、シリンダ錠100の場合と異なり、ブラケット206が設けられている。ブラケット206は、コネクタ214aが基板に半田付けされて取り付けられるシリンダ錠200をより安定させるためのものである。ブラケット206は、曲げ部206a−1および曲げ部206a―2(図25では、曲げ部206a−1のみ図示)によりスイッチケース202に固定されて取り付けられている。
すなわち、シリンダ錠200が基板に取り付けられるとき、コネクタ214aとともに、ブラケット206の端部206b−1乃至端部206b−4、および端部206c(図25)も基板に半田付けされるようになされている。このようにすることで、基板に取り付けられたシリンダ錠200をより安定させることができる。
図26は、シリンダ錠200の構成を示す斜視図である。同図に示されるように、内周シリンダ203は、外周シリンダ201の内側に挿入されるように構成されており、外周シリンダ201の内部で回動可能となるように構成されている。また、内周シリンダ203の後部(図中鍵穴203aと反対側)に設けられる、ラチェットディスク211乃至スイッチシリンダ213は、それぞれ図3のラチェットディスク111乃至スイッチシリンダ113と同様のものであるので詳細な説明は省略する。
また、スイッチケース202の構成は、図3のスイッチケース102の構成と同様であり、スイッチ214の構成は、上述したコネクタ214aの形状を除いて、図3のスイッチ114と同様なので詳細な説明は省略する。
さらに、内周シリンダ203の構成も図3の内周シリンダ103の場合と同様である。すなわち、内周シリンダ203の内部には、やはりサイドバー、開閉プレート、およびタンブラプレートなどが取り付けられている。また、内周シリンダ203の内部には、やはり挿入ピンが取り付けられている。
ブラケット206は、スイッチケース202を覆うように取り付けられる。そして上述したように、曲げ部206a―1と曲げ部206a―2が折り曲げられることでスイッチケース202に固定されるようになされている。
図27は、シリンダ錠200を、図26の図中上方向から見た図であり、図28は、シリンダ錠200を鍵穴203aが露出する側(前側)から見た正面図である。また、図29は、シリンダ錠200を、図27の図中右側方向から見た側面図である。
図30は、シリンダ錠200の図28の線C-Cにおける断面図である。同図に示されるように、ブラケット206は、曲げ部206a―1および曲げ部206a―2がそれぞれシリンダ錠200の内側に折り曲げられることで、スイッチケース202に固定されている。
スイッチケース202は、ピン205−1およびピン205−2により外周シリンダ201に固定されているので、ブラケット206は、外周シリンダ201に対しても固定されていることになり、基板に取り付けられたシリンダ錠200全体を支持する。
図31と図32は、基板に取り付けられたシリンダ錠200の外観を示す斜視図である。図31は、基板301にシリンダ錠200が取り付けられた状態において、シリンダ錠200の鍵穴203aが露出する方向から見た斜視図であり、図32は、図31と反対の方向であって、コネクタ214a側から見た斜視図である。すなわち、図31は、基板301の表側から見た斜視図であり、図32は、基板の裏側から見た斜視図である。
図31と図32に示される基板301は、予め適当な位置に複数の取り付け穴301aが設けられている模擬基板とされるが、実際にシリンダ錠200が取り付けられる電源ユニットの基板においては、例えば、複数の取り付け穴301aにそれぞれ他の電子部品も取り付けられ、金属の薄膜で構成される回路のパターンなどが基板上に形成されている。そして、複数の取り付け穴301aのうち、シリンダ錠200のコネクタ214a、端部206b−1乃至端部206b−4、および端部206cのために設けられた取り付け穴301aに、それぞれ対応する部位が取り付けられることになる。
図32に示されるように、所定の位置に設けられた複数の取り付け穴301aに、コネクタ214a、端部206b−1乃至端部206b−4、および端部206cがそれぞれ挿入されている。実際には、この状態でコネクタ214a、端部206b−1乃至端部206b−4、および端部206cのそれぞれが基板301に半田付けされることでシリンダ錠200が取り付けられることになる。
図31に示されるように、シリンダ錠200は、基板301に取り付けられた状態で安定するようにブラケット206により支持されている。仮に、コネクタ214aのみが基板301に半田付けされた状態では、シリンダ錠200がスイッチケース202の後側(コネクタ214a側)の端面のみで基板301と接触して固定されている状態となるので、例えば、シリンダ錠200の外周シリンダ201に、鍵の挿入方向と垂直な方向から力が加えられるなどされた場合、シリンダ錠200を基板301上で安定させることが難しい。
本発明のシリンダ錠200は、上述したように、ブラケット206がスイッチケース202に固定されてシリンダ錠200全体を支持しているので、基板301に直接取り付けられたシリンダ錠200を安定させることが可能となる。