JP5286519B2 - Dlc膜、樹脂膜及び表面処理方法 - Google Patents

Dlc膜、樹脂膜及び表面処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、DLC膜、樹脂膜及び表面処理方法に係わり、特に、膜厚をほとんど減少又は増加させることなく、表面に撥水性を持たせたDLC膜、樹脂膜及び表面処理方法に関する。
DLC(Diamond Like Carbon)膜は、高硬度、耐摩耗性、自己潤滑性、絶縁性、化学的安定性といった多様な特徴から、工具、金型、飲料容器、自動車部品、医療関係など様々な用途に使われている。このような従来のDLC膜の表面は、水との接触角が60°〜80°程度であり、撥水性がそれほどない。このため、DLC膜の表面に汚れが付着しやすく、用途によっては寿命が短くなることがあった。
ポリカーボネートなどからなる樹脂膜も様々な用途に使われている。このポリカーボネート膜の表面は、水との接触角が80°程度であり、撥水性がそれほどない。このため、ポリカーボネート膜の表面に汚れが付着しやすく、用途によっては寿命が短くなることがあった。
ところで、プラズマを照射することで基板に撥水性や親水性といった機能を持たせる表面改質技術も知られているが、DLC膜や樹脂膜の表面改質に関してはほとんど検討されていなかった。しかし、DLC膜や樹脂膜の表面に撥水性を持たせたいという要求が高まりつつある。
また、DLC膜や樹脂膜は基材表面に成膜することで使用することが多く、成膜されたDLC膜や樹脂膜の膜厚は非常に薄いことが多い。このため、DLC膜や樹脂膜の膜厚をほとんど減少又は増加させることなく、その表面に撥水性を持たせることが求められている。
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、膜厚をほとんど減少又は増加させることなく、表面に撥水性を持たせたDLC膜、樹脂膜及び表面処理方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る表面処理方法は、基材上にDLC膜又は樹脂膜を形成する工程と、
前記DLC膜又は前記樹脂膜の表面にプラズマエッチング処理を施すことにより、前記DLC膜又は前記樹脂膜の表面から0nm以上1nm未満の深さまで削る工程と、
を具備し、
前記削る工程の後の前記DLC膜又は前記樹脂膜は、水との接触角が90°以上である表面を有し、
前記プラズマエッチング処理を施す際に供給されるエッチングガスは、フルオロカーボン系のガスを有することを特徴とする。
本発明に係る表面処理方法は、基材上にDLC膜又は樹脂膜を形成する工程と、
前記DLC膜又は前記樹脂膜の表面にプラズマエッチング処理を施すことにより、前記DLC膜又は前記樹脂膜の表面から0nm以上10.6nm以下の深さまで削る工程と、
を具備し、
前記削る工程の後の前記DLC膜又は前記樹脂膜は、水との接触角が90°以上である表面を有し、
前記プラズマエッチング処理を施す際に供給されるエッチングガスは、フルオロカーボン系のガスを有することを特徴とする。
本発明に係る表面処理方法は、基材上にDLC膜又は樹脂膜を形成する工程と、
前記DLC膜又は前記樹脂膜の表面にプラズマエッチング処理を施すことにより、前記DLC膜又は前記樹脂膜の表面に0nm超1nm未満の厚さの膜を堆積させる工程と、
を具備し、
前記堆積させる工程の後の前記DLC膜又は前記樹脂膜は、水との接触角が90°以上である表面を有し、
前記プラズマエッチング処理を施す際に供給されるエッチングガスは、フルオロカーボン系のガスを有することを特徴とする。
また、本発明に係る表面処理方法において、前記エッチングガスは酸素ガスを有することも可能である。
また、本発明に係る表面処理方法において、前記酸素ガスは、前記フルオロカーボン系のガスと前記酸素ガスの供給量全体に対する前記酸素ガスの割合が30%以下であることが好ましい。
また、本発明に係る表面処理方法において、前記フルオロカーボン系のガスがCFガスであることが好ましい。
また、本発明に係る表面処理方法において、前記フルオロカーボン系のガスがCガスであることが好ましい。
また、本発明に係る表面処理方法において、前記プラズマエッチング処理を施す際に供給される高周波電力は、1×10−2W/cm以下であることが好ましい。
また、本発明に係る表面処理方法において、前記高周波電力の周波数は、100kHz以上27MHz以下であることが好ましい。
また、本発明に係る表面処理方法において、前記プラズマエッチング処理を施す際の圧力は、0.05Torr以上1Torr以下であることが好ましい。
本発明に係るDLC膜は、基材上に形成されたDLC膜であって、
前記DLC膜は、水との接触角が90°以上である表面を有することを特徴とする。
また、本発明に係るDLC膜において、前記水との接触角が90°以上である表面は、プラズマエッチング処理により前記DLC膜の表面から0nm以上1nm未満の深さまで削られた後の表面であることも可能である。
また、本発明に係るDLC膜において、前記水との接触角が90°以上である表面は、プラズマエッチング処理により前記DLC膜の表面に0nm超1nm未満の厚さの膜が堆積された後の表面であることも可能である。
また、本発明に係るDLC膜において、前記DLC膜の内部の組成はC1−aで、かつ、0.075≦a<0.25であり、前記DLC膜の表面はHがFに置換された組成を有することが好ましい。
本発明に係る樹脂膜は、基材上に形成された樹脂膜であって、
前記樹脂膜は、水との接触角が90°以上である表面を有することを特徴とする。
また、本発明に係る樹脂膜において、前記水との接触角が90°以上である表面は、プラズマエッチング処理により前記樹脂膜の表面から0nm以上1nm未満の深さまで削られた後の表面であることも可能である。
また、本発明に係る樹脂膜において、前記水との接触角が90°以上である表面は、プラズマエッチング処理により前記樹脂膜の表面に0nm超1nm未満の厚さの膜が堆積された後の表面であることも可能である。
また、本発明に係る樹脂膜において、前記樹脂膜の表面はHがFに置換された組成を有することが好ましい。
以上説明したように本発明によれば、膜厚をほとんど減少又は増加させることなく、表面に撥水性を持たせたDLC膜、樹脂膜及び表面処理方法を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1による表面処理方法は、基材上にDLC膜又は樹脂膜を公知の技術により形成し、前記DLC膜又は前記樹脂膜の表面にプラズマエッチング処理を施すことにより、前記DLC膜又は前記樹脂膜の表面から0nm以上1nm未満の深さまで削り、その結果得られた前記DLC膜又は前記樹脂膜の表面は、水との接触角が90°以上(好ましくは100°以上)となるものである。
次に、前記プラズマエッチング処理を施す際に用いられるプラズマエッチング装置について図1を参照しつつ説明する。
図1は、DLC膜又は樹脂膜の表面にプラズマエッチング処理を施す際に用いられるプラズマエッチング装置を概略的に示す構成図である。
プラズマエッチング装置は真空容器101を有しており、この真空容器101の上部には蓋102が配置されている。真空容器101に蓋をすることにより、真空容器101内にはエッチング室103が形成される。
このエッチング室103内の下方には被エッチング基板(図示せず)などの基材を載置固定するステージ電極104が配置されており、このステージ電極104はRF印加電極(カソード電極)としても作用する。このステージ電極104は例えば静電チャック方式により被エッチング基板を固定するようになっている。なお、静電チャック方式は、クーロン力によって被エッチング基板を吸引して固定する方式である。
ステージ電極104の周囲及び下部はアースシールド105によってシールドされている。また、ステージ電極104はマッチングボックス(M.Box)106aを介して高周波電源(周波数13.56MHz)106に電気的に接続されている。
エッチング室103内の上方には、ステージ電極104に対向して平行の位置にガスシャワー電極107が配置されており、このガスシャワー電極107はアノード側に位置している。これらは一対の平行平板型電極である。ガスシャワー電極107の周囲及び上部はアースシールド108によってシールドされている。また、ガスシャワー電極107は接地電位に接続されている。
ガスシャワー電極107の下方(ステージ電極上面側)には、被エッチング基板の表面側にシャワー状のエッチングガスを導入する複数の導入口(図示せず)が形成されている。ガスシャワー電極107の内部にはガス導入経路(図示せず)が設けられている。このガス導入経路の一方側は上記導入口に繋げられており、ガス導入経路の他方側はエッチングガスの供給機構に接続されている。
前記エッチングガスの供給機構について詳細に説明する。
ガス導入経路の他方側は配管110を介してバルブ112の一方側に接続されており、バルブ112の他方側は配管110を介してCFガス用マスフローコントローラ122の一方側に接続されている。CFガス用マスフローコントローラ122の他方側は配管110を介してバルブ115の一方側に接続されており、バルブ115の他方側は配管110を介してCFガス供給源119に接続されている。また、ガス導入経路の他方側は配管110を介してバルブ113の一方側に接続されており、バルブ113の他方側は配管110を介してCガス用マスフローコントローラ123の一方側に接続されている。Cガス用マスフローコントローラ123の他方側は配管110を介してバルブ116の一方側に接続されており、バルブ116の他方側は配管110を介してCガス供給源120に接続されている。また、ガス導入経路の他方側は配管110を介してバルブ114の一方側に接続されており、バルブ114の他方側は配管110を介してOガス用マスフローコントローラ124の一方側に接続されている。Oガス用マスフローコントローラ124の他方側は配管110を介してバルブ117の一方側に接続されており、バルブ117の他方側は配管110を介してOガス供給源121に接続されている。
また、真空容器101には、エッチング室103の内部を真空排気する排気口(図示せず)が設けられている。この排気口は配管111を介してバルブ118の一方側に接続されており、バルブ118の他方側はメカニカルブースターポンプ(MBP)125に接続されている。メカニカルブースターポンプ125はロータリーポンプ(R.P)126に接続されている。
次に、上記プラズマエッチング装置を用いたプラズマエッチング処理について説明する。
まず、被エッチング基板をプラズマエッチング装置のエッチング室103内に挿入し、このエッチング室内のステージ電極104上に被エッチング基板を載置する。この被エッチング基板上にはDLC膜又は樹脂膜が既に成膜されている。
次いで、この被エッチング基板をステージ電極104上に静電チャックにより固定し、真空容器101を蓋102で閉じ、メカニカルブースターポンプ125及びロータリーポンプ126で真空排気する。次いで、ガスシャワー電極107の導入口からシャワー状のエッチングガス、例えばフルオロカーボン系のガス又はフルオロカーボン系のガスと酸素ガスの混合ガスをエッチング室103の被エッチング基板の表面側に導入する。これにより、0.05Torr以上1Torr以下の圧力、エッチングガス流量などのエッチング室内が所望の雰囲気となり、100kHz以上27MHz以下の周波数の高周波電源106により高周波電力をステージ電極104に印加し、プラズマを発生させることにより被エッチング基板のプラズマエッチング処理を行う。
尚、エッチングガスとしてフルオロカーボン系のガスと酸素ガスの混合ガスを用いる場合は、前記フルオロカーボン系のガスと前記酸素ガスの供給量全体に対する前記酸素ガスの割合が30%以下であることが好ましい。また、前記高周波電力は、1×10−2W/cm未満であることが好ましい。
前記の被エッチング基板上にDLC膜を成膜する成膜条件は下記のとおりである。
装置 : 平行平板型高周波プラズマCVD装置
原料ガス : トルエン(C
原料ガス流量 : 30sccm
成膜圧力 : 1.0Pa
高周波出力 : 100W又は500W
前記プラズマエッチング処理の条件は下記のとおりである。
装置 : 図1に示すプラズマエッチング装置
エッチングガス : CF
エッチングガス流量 : 50sccm
圧力 : 0.25Torr
高周波の周波数 : 13.56MHz
高周波出力 : 5W(5×10−3W/cm
エッチング時間 : 20分
プラズマエッチング処理を施す被エッチング基板は、その表面に成膜されたDLC膜の一部をポリイミドテープでマスキングしたものを用いた。そして、上記の条件でプラズマエッチング処理した後に、ポリイミドテープを剥がし、マスクされた面(即ちプラズマエッチング処理が施されていないDLC膜)とマスクされていない面(即ちプラズマエッチング処理が施されたDLC膜)との間に生じた段差を触針段差計(Tencor製 α−STEP 500)にて計測した。その結果、段差は検出されなかった。この触針段差計の段差検出限界(分解能)が1nmであるため、前記プラズマエッチング処理によってエッチングされた深さは0nm以上1nm未満であるか、又は前記プラズマエッチング処理によって膜が堆積された厚さが0nm超1nm未満であることが確認された。
但し、Cとあらわされるフルオロカーボン系のエッチングガスを用いた場合、Y/Xの値が2.5以下のものは膜が堆積され易く、Y/Xの値が2.5以上のものは膜が堆積されにくい。従って、本実施の形態で用いるCFのエッチングガスは、Y/Xの値が4となるから、前記プラズマエッチング処理によってエッチングされた深さは0nm以上1nm未満である可能性が高いと考えられる。
また、前記プラズマエッチング処理を施す前の被エッチング基板表面のDLC膜の水との接触角を測定した結果は、79.6°であった。また、前記プラズマエッチング処理が施されたDLC膜(即ちポリイミドテープでマスクされていない面)の水との接触角を測定した結果は、107.0°であった。従って、前記プラズマエッチング処理によりDLC膜の表面に撥水性を持たせることができ、その際に膜厚をほとんど減少又は増加させることがなかった。
このように膜厚をほとんど減少又は増加させることなくDLC膜の表面に撥水性を持たせることができる理由は、前記DLC膜の内部の組成はC1−aで、かつ、0.075≦a<0.25であり、前記DLC膜の表面はHがFに置換された組成を有するものとなったと考えられる。また、水との接触角が107.0°というのは、テフロン(登録商標)とほぼ同程度の撥水性であるから、DLC膜の表面のHがFに置換されることによりテフロン(登録商標)に近い材質にDLC膜を変質させることができたものと考えられる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2による表面処理方法は、実施の形態1と同一のプラズマエッチング装置を用い、プラズマエッチング処理の条件を変更したものである。尚、実施の形態2において実施の形態1と同一部分の説明は省略し、異なる部分のみ説明する。
前記プラズマエッチング処理の条件は下記のとおりである。
装置 : 図1に示すプラズマエッチング装置
エッチングガス : CF
エッチングガス流量 : 50sccm
圧力 : 0.25Torr
高周波の周波数 : 13.56MHz
高周波出力 : 10W(1×10−2W/cm
エッチング時間 : 20分
プラズマエッチング処理を施す被エッチング基板は、その表面に成膜されたDLC膜の一部をポリイミドテープでマスキングしたものを用いた。そして、上記の条件でプラズマエッチング処理した後に、ポリイミドテープを剥がし、マスクされた面(即ちプラズマエッチング処理が施されていないDLC膜)とマスクされていない面(即ちプラズマエッチング処理が施されたDLC膜)との間に生じた段差を触針段差計(Tencor製 α−STEP 500)にて計測した。その結果、10.6nmの段差が検出され、前記プラズマエッチング処理によりDLC膜の表面が10.6nm削られていることが確認された。
また、前記プラズマエッチング処理を施す前の被エッチング基板表面のDLC膜の水との接触角を測定した結果は、79.6°であった。また、前記プラズマエッチング処理が施されたDLC膜(即ちポリイミドテープでマスクされていない面)の水との接触角を測定した結果は、102.4°であった。従って、前記プラズマエッチング処理によりDLC膜の表面に撥水性を持たせることができ、その際に膜厚をほとんど減少させることがなかった。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3による表面処理方法は、実施の形態1と同一のプラズマエッチング装置を用い、プラズマエッチング処理の条件を変更したものである。尚、実施の形態3において実施の形態1と同一部分の説明は省略し、異なる部分のみ説明する。
前記プラズマエッチング処理の条件は下記のとおりである。
装置 : 図1に示すプラズマエッチング装置
エッチングガス : C及びO
ガス流量 : 40sccm
ガス流量 : 10sccm
圧力 : 0.25Torr
高周波の周波数 : 13.56MHz
高周波出力 : 5W(5×10−3W/cm
エッチング時間 : 20分
プラズマエッチング処理を施す被エッチング基板は、その表面に成膜されたDLC膜の一部をポリイミドテープでマスキングしたものを用いた。そして、上記の条件でプラズマエッチング処理した後に、ポリイミドテープを剥がし、マスクされた面(即ちプラズマエッチング処理が施されていないDLC膜)とマスクされていない面(即ちプラズマエッチング処理が施されたDLC膜)との間に生じた段差を触針段差計(Tencor製 α−STEP 500)にて計測した。その結果、段差は検出されなかった。この触針段差計の段差検出限界が1nmであるため、前記プラズマエッチング処理によってエッチングされた深さは0nm以上1nm未満であるか、又は前記プラズマエッチング処理によって膜が堆積された厚さが0nm超1nm未満であることが確認された。
但し、Cとあらわされるフルオロカーボン系のエッチングガスを用いた場合、Y/Xの値が2.5以下のものは膜が堆積され易く、Y/Xの値が2.5以上のものは膜が堆積されにくい。従って、本実施の形態で用いるCのエッチングガスは、Y/Xの値が2となるから、前記プラズマエッチング処理によって膜が堆積された厚さが0nm超1nm未満である可能性が高いと考えられる。
また、前記プラズマエッチング処理を施す前の被エッチング基板表面のDLC膜の水との接触角を測定した結果は、80.1°であった。また、前記プラズマエッチング処理が施されたDLC膜(即ちポリイミドテープでマスクされていない面)の水との接触角を測定した結果は、107.3°であった。従って、前記プラズマエッチング処理によりDLC膜の表面に撥水性を持たせることができ、その際に膜厚をほとんど減少又は増加させることがなかった。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4による表面処理方法は、実施の形態1と同一のプラズマエッチング装置を用い、プラズマエッチング処理の条件を変更したものである。尚、実施の形態4において実施の形態1と同一部分の説明は省略し、異なる部分のみ説明する。
前記プラズマエッチング処理の条件は下記のとおりである。
装置 : 図1に示すプラズマエッチング装置
エッチングガス : C及びO
ガス流量 : 35sccm
ガス流量 : 15sccm
圧力 : 0.25Torr
高周波の周波数 : 13.56MHz
高周波出力 : 5W(5×10−3W/cm
エッチング時間 : 20分
プラズマエッチング処理を施す被エッチング基板は、その表面に成膜されたDLC膜の一部をポリイミドテープでマスキングしたものを用いた。そして、上記の条件でプラズマエッチング処理した後に、ポリイミドテープを剥がし、マスクされた面(即ちプラズマエッチング処理が施されていないDLC膜)とマスクされていない面(即ちプラズマエッチング処理が施されたDLC膜)との間に生じた段差を触針段差計(Tencor製 α−STEP 500)にて計測した。その結果、段差は検出されなかった。この触針段差計の段差検出限界が1nmであるため、前記プラズマエッチング処理によってエッチングされた深さが0nm以上1nm未満であるか、又は前記プラズマエッチング処理によって膜が堆積された厚さが0nm超1nm未満であることが確認された。
但し、Cとあらわされるフルオロカーボン系のエッチングガスを用いた場合、Y/Xの値が2.5以下のものは膜が堆積され易く、Y/Xの値が2.5以上のものは膜が堆積されにくい。従って、本実施の形態で用いるCのエッチングガスは、Y/Xの値が2となるから、前記プラズマエッチング処理によって膜が堆積された厚さが0nm超1nm未満である可能性が高いと考えられる。
また、前記プラズマエッチング処理を施す前の被エッチング基板表面のDLC膜の水との接触角を測定した結果は、80.1°であった。また、前記プラズマエッチング処理が施されたDLC膜(即ちポリイミドテープでマスクされていない面)の水との接触角を測定した結果は、107.3°であった。従って、前記プラズマエッチング処理によりDLC膜の表面に撥水性を持たせることができ、その際に膜厚をほとんど減少又は増加させることがなかった。
(比較例1)
比較例1による表面処理方法は、実施の形態1と同一のプラズマエッチング装置を用い、プラズマエッチング処理の条件を変更したものである。尚、比較例1において実施の形態1と同一部分の説明は省略し、異なる部分のみ説明する。
前記プラズマエッチング処理の条件は下記のとおりである。
装置 : 図1に示すプラズマエッチング装置
エッチングガス : C及びO
ガス流量 : 45sccm
ガス流量 : 5sccm
圧力 : 0.25Torr
高周波の周波数 : 13.56MHz
高周波出力 : 5W(5×10−3W/cm
エッチング時間 : 20分
プラズマエッチング処理を施す被エッチング基板は、その表面に成膜されたDLC膜の一部をポリイミドテープでマスキングしたものを用いた。そして、上記の条件でプラズマエッチング処理した後に、ポリイミドテープを剥がし、マスクされた面(即ちプラズマエッチング処理が施されていないDLC膜)とマスクされていない面(即ちプラズマエッチング処理が施されたDLC膜)との間に生じた段差を触針段差計(Tencor製 α−STEP 500)にて計測した。その結果、7.8nmの段差が検出され、前記プラズマエッチング処理によりエッチングではなく膜が堆積されていることが確認された。
また、前記プラズマエッチング処理を施す前の被エッチング基板表面のDLC膜の水との接触角を測定した結果は、80.1°であった。また、前記プラズマエッチング処理が施されたDLC膜(即ちポリイミドテープでマスクされていない面)の水との接触角を測定した結果は、107.4°であった。従って、前記プラズマエッチング処理により膜が堆積されても表面に撥水性を持たせることができることが確認された。
(比較例2)
比較例2による表面処理方法は、実施の形態1と同一のプラズマエッチング装置を用い、プラズマエッチング処理の条件を変更したものである。尚、比較例2において実施の形態1と同一部分の説明は省略し、異なる部分のみ説明する。
前記プラズマエッチング処理の条件は下記のとおりである。
装置 : 図1に示すプラズマエッチング装置
エッチングガス : C
ガス流量 : 50sccm
圧力 : 0.25Torr
高周波の周波数 : 13.56MHz
高周波出力 : 5W(5×10−3W/cm
エッチング時間 : 20分
プラズマエッチング処理を施す被エッチング基板は、その表面に成膜されたDLC膜の一部をポリイミドテープでマスキングしたものを用いた。そして、上記の条件でプラズマエッチング処理した後に、ポリイミドテープを剥がし、マスクされた面(即ちプラズマエッチング処理が施されていないDLC膜)とマスクされていない面(即ちプラズマエッチング処理が施されたDLC膜)との間に生じた段差を触針段差計(Tencor製 α−STEP 500)にて計測した。その結果、38.6nmの段差が検出され、前記プラズマエッチング処理によりエッチングではなく膜が堆積されていることが確認された。
また、前記プラズマエッチング処理を施す前の被エッチング基板表面のDLC膜の水との接触角を測定した結果は、80.1°であった。また、前記プラズマエッチング処理が施されたDLC膜(即ちポリイミドテープでマスクされていない面)の水との接触角を測定した結果は、111.6°であった。従って、前記プラズマエッチング処理により膜が堆積されても表面に撥水性を持たせることができることが確認された。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。
DLC膜又は樹脂膜の表面にプラズマエッチング処理を施す際に用いられるプラズマエッチング装置を概略的に示す構成図である。
符号の説明
101…真空容器
102…蓋
103…エッチング室
104…ステージ電極
105,108…アースシールド
106…高周波電源
106a…マッチングボックス
107…ガスシャワー電極
110,111…配管
112〜118…バルブ
119〜121…ガス供給源
122〜124…マスフローコントローラ
125…メカニカルブースターポンプ
126…ロータリーポンプ

Claims (13)

  1. 基材上にDLC膜を形成する工程と、
    前記DLC膜の表面にプラズマエッチング処理を施すことにより、前記DLC膜の表面から0nm超1nm未満の深さまで削る工程と、
    を具備し、
    前記削る工程の後の前記DLC膜は、水との接触角が90°以上である表面を有し、
    前記プラズマエッチング処理を施す際に供給されるエッチングガスは、フルオロカーボン系のガスを有することを特徴とする表面処理方法。
  2. 基材上にDLC膜を形成する工程と、
    前記DLC膜の表面にプラズマエッチング処理を施すことにより、前記DLC膜の表面から0nm超10.6nm以下の深さまで削る工程と、
    を具備し、
    前記削る工程の後の前記DLC膜は、水との接触角が90°以上である表面を有し、
    前記プラズマエッチング処理を施す際に供給されるエッチングガスは、フルオロカーボン系のガスを有することを特徴とする表面処理方法。
  3. 基材上にDLC膜を形成する工程と、
    前記DLC膜の表面にプラズマエッチング処理を施すことにより、前記DLC膜の表面に0nm超1nm未満の厚さの膜を堆積させる工程と、
    を具備し、
    前記堆積させる工程の後の前記DLC膜は、水との接触角が90°以上である表面を有し、
    前記プラズマエッチング処理を施す際に供給されるエッチングガスは、フルオロカーボン系のガスを有することを特徴とする表面処理方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項において、前記エッチングガスは酸素ガスを有することを特徴とする表面処理方法。
  5. 請求項4において、前記酸素ガスは、前記フルオロカーボン系のガスと前記酸素ガスの供給量全体に対する前記酸素ガスの割合が30%以下であることを特徴とする表面処理方法。
  6. 請求項1乃至3のいずれか一項において、前記フルオロカーボン系のガスがCFガスであることを特徴とする表面処理方法。
  7. 請求項4又は5において、前記フルオロカーボン系のガスがCガスであることを特徴とする表面処理方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項において、前記プラズマエッチング処理を施す際に供給される高周波電力は、1×10−2W/cm以下であることを特徴とする表面処理方法。
  9. 請求項8において、前記高周波電力の周波数は、100kHz以上27MHz以下であることを特徴とする表面処理方法。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項において、前記プラズマエッチング処理を施す際の圧力は、0.05Torr以上1Torr以下であることを特徴とする表面処理方法。
  11. 基材上に形成されたDLC膜であって、
    前記DLC膜は、水との接触角が90°以上である表面を有し、
    前記水との接触角が90°以上である表面は、フルオロカーボン系のガスをエッチングガスとして用いたプラズマエッチング処理により前記DLC膜の表面から0nm超1nm未満の深さまで削られた後の表面であることを特徴とするDLC膜。
  12. 基材上に形成されたDLC膜であって、
    前記DLC膜は、水との接触角が90°以上である表面を有し、
    前記水との接触角が90°以上である表面は、フルオロカーボン系のガスをエッチングガスとして用いたプラズマエッチング処理により前記DLC膜の表面に0nm超1nm未満の厚さの膜が堆積された後の表面であることを特徴とするDLC膜。
  13. 請求項11または12において、前記DLC膜の内部の組成はC1−aで、かつ、0.075≦a<0.25であり、前記DLC膜の表面はHがFに置換された組成を有することを特徴とするDLC膜。
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