JP2003027237A - 炭素または炭素を主成分とする膜 - Google Patents

炭素または炭素を主成分とする膜

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JP2003027237A JP2002135983A JP2002135983A JP2003027237A JP 2003027237 A JP2003027237 A JP 2003027237A JP 2002135983 A JP2002135983 A JP 2002135983A JP 2002135983 A JP2002135983 A JP 2002135983A JP 2003027237 A JP2003027237 A JP 2003027237A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ダイヤモンドに近い高硬度のアモルファス状
の炭素膜の密着性を高める。 【解決手段】 被形成面を紫外線の照射と、紫外線によ
り活性化された酸素、または紫外線により制裁されたオ
ゾンにより、不要な有機物を除去し、清浄な表面に炭素
膜を成膜することにより密着性を高める。さらに、プラ
ズマCVDを用いて炭素膜を形成する場合は、被形成面
に近い側では、成膜時のセルフバイアスを低くすること
で密着性を高める。そして、このセルフバイアスを連続
的または段階的に高めることで表面側の硬度を高め、ダ
イヤモンドに近いめ表面にる

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光学的エネルギバン
ド巾が1.0eV 以上特に1.5 〜5.5eV を有する炭素または
炭素を主成とする被膜を被形成面上にコーティングする
ことにより、これら固体の表面の補強材、または機械ス
トレスに対する保護材を得ようとする複合体に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】炭素膜のコーティングに関しては、本発
明人の出願になる特許願「炭素被膜を有する複合体及び
その作製方法」(特願昭56-146936 号昭和56年 5月17日
出願)が知られている。
【0003】また炭素膜は耐摩耗材であると同時に高平
滑性、高熱伝導性等多くの特性を有しており、電気部品
その他に応用が期待されている。
【0004】被形成面上にダイヤモンド類似の硬さを有
するアモルファス(非晶質)または5 〜200 Åの大きさ
の微結晶性を有するセミアモルファス( 半非晶質) 構造
を有する炭素または炭素を主成分とする被膜を形成する
場合、被形成面を有する基板を設けた高周波印加電極の
近傍において、プラズマ中の電子が高周波印加電極に蓄
積されることによって生じるセルフバイアスにより加速
された正イオン( 例えばH + ) を、形成中の炭素または
炭素を主成分とする被膜に衝突させることにより、その
炭素または炭素を主成分とする被膜をより硬度の大き
な、ダイヤモンドに近い構造を持った炭素膜を作ること
を行なってきた。これは正イオンを衝突させることでC
=Cのような二重結合を有する炭素の割合を減らしてC
−Cの結合をゆうする炭素を増やしたり、あるいは炭素
原子に結合している水素原子をなくすことにより sp2
成軌道をもついわゆる三方炭素やsp混成軌道をもついわ
ゆる二方炭素を無くし sp3混成軌道をもったいわゆる四
方炭素の割合を増やすことによりダイヤモンド結合を生
じやすくするためである。
【0005】従ってより硬度の大きい炭素または炭素を
主成分とする被膜を作成しようとするときは、高周波印
加電極近傍に発生するセルフバイアスを大きくして正イ
オンの加速を大きくしなければならない。
【0006】このセルフバイアスを増加させるために行
われている方法としては、先ず第1に反応圧力を減少さ
せる方法がある。これは炭素または炭素を主成分とする
被膜形成に使用する炭化水素化物気体の圧力を減少させ
ることにより単位体積中に含まれる炭化水素化物気体分
子の個数が減少するため、相対的に気体を分解するため
に加えられている高周波エネルギの出力が大きくなりプ
ラズマ中の電子が増大して高周波印加電極に蓄積される
ためセルスバイアスが増大するということに基づくもの
である。
【0007】また、高周波エネルギの出力を増大させる
方法があるが、これは上述した如く、気体を分解するエ
ネルギが増大するとプラズマ中の電子が増大するため
に、高周波印加電極への電子の蓄積が増大してセルフバ
イアスが大きくなることによるものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら炭素また
は炭素を主成分とする被膜を形成する際に水素または酸
素等の添加物を加えることによりセルフバイアスを大き
くして成膜することは全く知られていない。
【0009】本発明は炭素または炭素を主成分とする被
膜を形成する際に水素または酸素等の添加物を加えると
セルフバイアスが大きくなるという知見に基づいて成さ
れたものであり硬度の大きな炭素または炭素を主成分と
する被膜を作成することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の知見に基
づいて、被形成面を有する基板に接して設けられた第1
の電極と第2の電極との間に直流または高周波エネルギ
を加えて、発生させたプラズマにより炭化水素化物気体
とまたはこれに加えて添加物気体とを分解反応せしめて
上記被形成面上に炭素膜を形成する方法において、炭素
膜形成の際、水素または酸素を添加することとしたもの
である。
【0011】また、本発明は、被形成面を有する基板に
接して設けられた第1の電極と第2の電極との間に直流
または高周波エネルギを加えて、発生させたプラズマに
より炭化水素化物気体とまたはこれに加えて添加物気体
とを分解反応せしめて上記被形成面上に炭素膜を形成す
る方法において、炭素膜形成の際、水素または酸素の添
加量を変化させることにより形成される炭素または炭素
を主成分とする被膜の硬度を被形成面側より炭素膜表面
に向かって増加させることとしたものである。以下に実
施例と共に本発明を具体的に説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は本発明の炭素または炭素を
主成分とする被膜を形成するためのプラズマCVD装置
の概要を示す。
【0013】図1のドーピング系(1) において、添加物
である水素または酸素を(2) より、反応性気体である炭
化水素気体例えばメタン、エチレンを(3) より、III 価
不純物のジボラン(水素希釈)(4) 、V価不純物のアン
モニアまたはフォスヒンを(5) よりバルブ(6) 、流量計
(7) をへて反応系(8) 中にノズル(9) より導入される。
このノズルに至る前に、反応性気体の励起用にマイクロ
波エネルギを(10)で加えて予め活性化させることは有効
である。
【0014】反応系(8) には第1の電極(11)、第2の電
極(12)を設けた。一対の電極(11)、(12)間には高周波電
源(13)、マッチングトランス(14)、直流バイヤス電源(1
5)より電気エネルギが加えられ、プラズマが発生する。
排気系(16)は圧力調整バルブ(17)、ターボ分子ポンプ(1
8)、ロータリーポンプ(19)をへて不用気体を排気する。
【0015】反応性気体には、反応空間(20)における圧
力が0.001 〜10torr代表的には0.01〜0.5torr の下で高
周波もしくは直流によるエネルギにより0.1 〜5KW のエ
ネルギが加えられる。
【0016】特に励起源が 1GHZ 以上、例えば2.45GHZ
の周波数にあっては、C-H 結合より水素を分離し、さら
に周波数源が0.1 〜50MHZ 例えば13.56MHzの周波数にあ
ってはC-C 結合、C=C 結合を分解し、-C-C- 結合を作
り、炭素の不対結合手同志を互いに衝突させて共有結合
させ、安定なダイヤモンド構造を局部的に有した構造と
させ得る。
【0017】直流バイアスは-200〜600V( 実質的には-4
00〜+400V)を加える。なぜなら、直流バイアスが零のと
きは自己バイアスが-200V(第2の電極を接地レベルとし
て)を有しているためである。
【0018】炭化水素化物気体としては、メタン(C
H4)、エタン(C2H6)、エチレン(C2H4)、メタン系炭化
水素(Cn H2n+2)等の気体または珪素を一部に含んだ場合
はテトラメチルシラン((CH3)4Si)、テトラエチルシラン
((C2H5)4Si) のような炭化珪素であっても、また四塩化
炭素(CCl4)のような塩化炭素であってもよい。
【0019】第1の電極は冷却手段を有しており、被形
成面上の温度を250 〜-100℃に保持させた。
【0020】本発明に用いられる被形成面としては、P
ET(ポリエチレンテレフタレート)、PES、PMM
A、テフロン(登録商標)、エポキシ、ポリイミド等の
有機樹脂基体または金属メッシュ状キャリア、紙等テー
プ状キャリア、ガラス、金属、セラミック、半導体、磁
気ヘッド用部材、磁気ディスク等がある。.
【0021】図2は、図1に示す装置においてメタンを
100 SCCMの流量で導入し、高周波エネルギー60W を加
え、反応圧力10Paの条件で水素または酸素の添加量を変
化させた時のセルフバイアスの変化を示したものであ
る。
【0022】水素または酸素を添加した時は明らかにセ
ルフバイアスが増加していることが示されている。比較
としてNF3 の添加を行ってみたがセルフバイアスが逆
に小さくなっていることが示されている。
【0023】また図3には図2同様図1に示す装置にお
いてメタンを100 SCCMの流量で導入し、高周波エネルギ
600Wを加え、反応圧力10Paの条件で15分間成膜した場合
の水素または酸素の添加量とビッカース硬度との関係を
示す。水素または酸素の添加によりビッカース硬度の大
きな炭素または炭素を主成分とする被膜が得られること
がしめされている。ここでもNF3 の添加によるビッカ
ース硬度の変化を比較してみたが逆に添加量に伴ってビ
ッカース硬度が小さくなっている。
【0024】図4に図3に示した条件と同じ条件下で作
成した炭素または炭素を主成分とする被膜の水素または
酸素の添加量と膜厚との関係を示したものである。水素
または酸素の添加により膜厚は薄く成っていることがし
めされているが図5に示したNF3 を用いた同じ条件に
よる実験の結果では添加量と共に膜厚は厚くなってい
る。
【0025】また本発明は被形成面上に炭素または炭素
を主成分とする被膜をコーティングし、その表面での耐
摩耗性等の機械的強度を補強しようというものであり、
そのためのダイヤモンド類似の硬さを有した炭素または
炭素を主成分とする被膜を被形成面上に直接形成させる
のではなく、被形成面に密接する部分から徐々に硬度を
上げてゆき、所望の膜厚のときに所望の硬度の炭素また
は炭素を主成分とする被膜が得られるように添加物気体
の添加量を変化させることに特徴を有する。
【0026】被形成面上に直接ダイヤモンド類似の硬さ
を有した膜を形成させようとするとセルフバイアスを大
きくして炭素または炭素を主成分とする被膜を形成させ
ることを行わなければならず、被形成面へのスパッタは
避けることはできないが、被形成面上に密接した炭素ま
たは炭素を主成分とする被膜は、被形成面に損傷を与え
ない程度のセルフバイアスで作り得る硬さの炭素または
炭素を主成分とする被膜にしておき、徐々に硬度を上げ
た膜を積層させて、表面には所望の硬度を有した炭素ま
たは炭素を主成分とする被膜を形成すれば、被形成面と
の密接性も良くしかも大きな硬度を有した炭素または炭
素を主成分とする被膜を形成することができる。
【0027】この場合、硬度の小さい膜から硬度の大き
い膜を何層かに別けて積層する方法と硬度を連続的に変
えて、単層の中で硬度が連続的に変化した炭素または炭
素を主成分とする被膜を形成させる方法とがある。
【0028】本発明では被形成面をカソード電極に置い
た。これは被形成面をアノード側に置いたときとカソー
ド側に置いたときとの形成された炭素膜の膜質を比較し
た場合、カソード側に被形成面を置いたときの方が硬度
の大きな炭素膜が速い成膜速度で得られるからである。
【0029】以上のようにしてプラズマにより被形成面
上にビッカース硬度2000Kg/mm2以上を有するとともに、
熱伝導度2.5W/cm deg 以上のC-C 結合を多数形成したア
モルファス構造または微結晶構造を有するアモルファス
構造の炭素を生成させた。さらにこの電磁エネルギは50
W 〜1KW を供給し、単位面積あたり0.03〜3W/cm2のプラ
ズマエネルギを加えた。
【0030】
【実施例】〔実施例1〕図1に示した装置において、被
形成面を有した基板上に本発明方法により炭素膜を形成
した。
【0031】先ず反応系にノズルより水素を10SCCM、メ
タンを100 SCCMの流量で水素の添加されたメタンを導入
し、圧力を0.03torrに保持し、メタンに対し50Wの高
周波エネルギを加え、セルフバイアス−150Vの条件
で室温に保持されたSi基板上に150分間膜形成を行
い、第1の層を形成した。次にノズルより水素を50SCC
M、メタンを100 SCCMの流量で水素の添加されたメタン
を導入し、圧力を0.015 torrに保持してメタンに対し1
00Wの高周波エネルギを加え、セルフバイアス−20
0Vの条件で被形成面を150℃に保持して150分間
膜形成を行い第2の層とした。
【0032】そして第2の層上にノズルより水素を80SC
CM、メタンを100 SCCMの流量で水素の添加されたメタン
を導入し、反応系を0.015 torrに保持してメタンに対し
200Wの高周波エネルギを加え、セルフバイアス−2
80Vの条件で被形成面を室温に保持して60分間膜形
成を行い第3の層とした。これら3つの層のビッカース
硬度を測定したところ第1の層は2200Kg/mm2、第2
の層は3500Kg/mm2、第3の層は4200Kg/mm2、で
ありダイヤモンド類似の硬さを表面に有した炭素膜を被
形成面との密着性を良く形成させることができた。
【0033】〔実施例2〕反応系にノズルより酸素を10
SCCM、メタンを100 SCCMの流量で酸素の添加されたメタ
ンを導入し、圧力を0.03torrに保持し、メタンに対し5
0Wの高周波エネルギを加え、セルフバイアス−150
Vの条件で室温に保持されたSi基板上に150分間膜形
成を行い、第1の層を形成した。次にノズルより酸素を
50SCCM、メタンを100 SCCMの流量で酸素の添加されたメ
タンを導入し、圧力を0.015 torrに保持してメタンに対
し100Wの高周波エネルギを加え、セルフバイアス−
200Vの条件で被形成面を150℃に保持して150
分間膜形成を行い第2の層とした。そして第2の層上に
ノズルより酸素を80SCCM、メタンを100 SCCMの流量で酸
素の添加されたメタンを導入し、反応系を0.015 torrに
保持してメタンに対し200Wの高周波エネルギを加
え、セルフバイアス−280Vの条件で被形成面を室温
に保持して60分間膜形成を行い第3の層とした。
【0034】これら3つの層のビッカース硬度を測定し
たところ第1の層は2000Kg/mm2、第2の層は330
0Kg/mm2、第3の層は4000Kg/mm2、でありダイヤモ
ンド類似の硬さを表面に有した炭素膜を被形成面との密
着性を良く形成させることができた。
【0035】〔実施例3〕被形成面を有する基板の置か
れた反応系に水素を30SCCM、メタンを100 SCCMの流量で
水素の添加されたメタンを導入し、圧力を0.03torrに保
持し、メタンに対し100 Wの高周波エネルギを加え、1
50分間膜形成を行い、第1の層を形成した。次に第1
の層の上に、水素の流量が50SCCMである以外は第1の層
と同じ条件で実施し第2の層を形成した。
【0036】そして第2の層上に、水素の流量が80SCCM
である以外は第1の層と同一条件で実施した。その結
果、2400Kg/mm2、3400Kg/mm2、4200Kg/m
m2、のビッカース硬度を有する第1の層、第2の層、第
3の層からなる炭素膜を形成させることができた。この
炭素膜は表面の硬度が4200Kg/mm2とダイヤモンド類
似の硬さを有し、耐摩耗性、高熱伝導性、高平滑性に優
れたものであった。
【0037】本実施例においては水素の流量のみを増加
させることにより炭素膜の硬度を大きくしたが、メタン
の流量を減少させても同様の効果が得られる。
【0038】また本実施例では各炭素膜の層を一つの反
応室を用いて作成したが、反応室を複数接続させること
により各層をそれぞれ異なる反応室で形成させても良
い。
【0039】〔実施例4〕被形成面を有する基板の置か
れた反応系に酸素を30SCCM、メタンを100 SCCMの流量で
酸素の添加されたメタンを導入し、圧力を0.03torrに保
持し、メタンに対し100 Wの高周波エネルギを加え、1
50分間膜形成を行い、第1の層を形成した。次に第1
の層の上に、酸素の流量が50SCCMである以外は第1の層
と同じ条件で実施し第2の層を形成した。そして第2の
層上に、酸素の流量が80SCCMである以外は第1の層と同
一条件で実施した。
【0040】その結果、2200Kg/mm2、3100Kg/m
m2、4000Kg/mm2、のビッカース硬度を有する第1の
層、第2の層、第3の層からなる炭素膜を形成させるこ
とができた。この炭素膜は表面の硬度が4000Kg/mm2
とダイヤモンド類似の硬さを有し、耐摩耗性、高熱伝導
性、高平滑性に優れたものであった。
【0041】本実施例においては酸素の流量のみを増加
させることにより炭素膜の硬度を大きくしたが、メタン
の流量を減少させても同様の効果が得られる。
【0042】また本実施例では各炭素膜の層を一つの反
応室を用いて作成したが、反応室を複数接続させること
により各層をそれぞれ異なる反応室で形成させても良
い。
【0043】〔実施例5〕本実施例においては、被形成
面上に硬度の異なる層を積層させるのではなく、水素の
添加量を連続的に増加させることにより硬度が連続的に
変化している炭素膜を形成させた。
【0044】先ず、実施例1の第1の層を形成させるの
と同一の条件で膜形成を開始し、その後水素の添加量を
0.5 〜10SCCM/minの上昇率で100 SCCMになるまで増加さ
せることにより被形成面上に炭素膜を形成させた。形成
させた炭素膜は、表面において4200Kg/mm2のビッカ
ース硬度を有する、耐摩耗性、高熱伝導性、高平滑性に
優れたものであった。
【0045】本実施例では水素の流量のみを連続的に大
きくさせたが、メタンの流量のみを連続的に減少させて
も良く、また水素を酸素に変えて実施しても良い。
【0046】〔実施例6〕本実施例は、被形成面上に炭
素膜を形成する前に、紫外光により活性化された酸素原
子及び紫外光により生成したオゾンの雰囲気に被形成面
を配設することにより被形成面の有機物の汚染物または
異物を除去した後に炭素膜を形成させた。
【0047】被形成面上の有機物の汚染物は、その上に
形成された膜との間の密着性を低下させる最大の原因で
ある。本実施例に使用した装置を図6に示す。図6は図
1に示す反応室(24)と紫外光により活性化された酸素原
子及び紫外光により生成したオゾンの雰囲気を作る予備
室(25)とを結合させたものである。反応室(24)と予備室
(25)との間にはゲート弁(23)が設けられている。予備室
には低圧水銀ランプ(185 nm,254nm)(21),シャッタ(22)
が設けられている。
【0048】この予備室(25)においては以下の如くの反
応により活性の酸素及びオゾンが生じ、それらが被形成
面上の有機物の汚染物の除去を行うのである。 O2+hν(185nm) → O+O O2+O →O3 O3+hν(254nm) → O *+O2 O3+CnHmOk →CO,CO2,H2O O*+CnHmOk →CO,CO2,H2O
【0049】即ち紫外光エネルギーと紫外光により生成
されたオゾン及び活性化された酸素原子の複合作用によ
り被形成面上の有機物(CnHmOk) を分解除去するもので
ある。
【0050】実施に際しては、先ず被形成面を有する基
板を予備室に設置した後、低圧水銀灯ランプを点灯し、
被形成面上の有機物の分解除去を行った。この低圧水銀
灯ランプを予め点灯しておきシャッタ(22)をひらいても
良い。その後ランプを消灯(シャッタを閉じても良い)
して予備室内を減圧にし、反応室内と同圧になったとこ
ろで反応室との間に設けてあるゲート弁(23)を開けて、
基板を反応室に移した。
【0051】このような処理をした後被形成面上に実施
例1、実施例2、実施例3、実施例4若しくは実施例5
に従って炭素膜を形成した。得られた炭素膜は被形成面
との密着性に極めて優れたものであった。
【0052】上記の方法は有機物等の汚染物を除去した
後、大気に触れることなく短時間に反応室において膜形
成を行なえる点で優れた効果を持つものである。
【0053】上記実施例は添加物を1種類に限定して示
したものだが、2種類以上を混合して添加しても本発明
の効果を得られる。
【0054】
【発明の効果】以上の如く本発明の方法により作製した
炭素または炭素を主成分とする被膜は、水素または酸素
の添加量を変化させて被形成面に損傷を与えない程度の
セルフバイアスで作り得る硬さの炭素または炭素を主成
分とする被膜にしておき、徐々に硬度を上げた膜を積層
させて、表面には所望の硬度を有した炭素または炭素を
主成分とする被膜を形成しているため、被形成面との密
着性に優れたダイヤモンドに類似の硬さを有するもので
あり、磁気ヘッドや磁気ディスク等一部に異種材料がそ
の表面ををこすって走行する電気用部材にきわめて有効
であった。
【0055】特に得られる炭素または炭素を主成分とす
る被膜は熱伝導率が2.5W/cm deg 以上、代表的には4.0
〜6.0W/cm deg とダイヤモンドの60W/cm degに近いため
摩擦によって生じる熱を全体に均一に逃すことが可能で
あり、更に耐摩耗性、高熱伝導性、炭素膜特有の高平滑
性等の特性を有するものであった。
【0056】また本発明の方法は、有機樹脂、ガラス、
磁性体、金属、セラミックまたは半導体等を被形成面と
して実施することができるため、その応用は計り知れな
いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用する装置の概要を示す。
【図2】水素、酸素の添加流量に対するセルフバイアス
を示す図。
【図3】添加流量とビッカース硬度との関係を示す図。
【図4】添加流量と膜厚との関係を示す図。
【図5】添加流量と膜厚との関係を示す図。
【図6】実施例4で用いた装置を示す図。
【符号の説明】
1・・・ドーピング系 6・・・バルブ 7・・・流量計 8・・・反応系 9・・・ノズル 10・・・マイクロ波エネルギ 11・・・第1の電極 12・・・第2の電極 13・・・高周波電源 14・・・マッチングトランス 15・・・直流バイアス電源 16・・・排気系 17・・・圧力調整バルブ 18・・・ターボ分子ポンプ 19・・・ロータリーポンプ 20・・・反応空間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 5/72 G11B 5/72 Fターム(参考) 4G146 AA05 AB07 AC23B AD02 AD20 AD26 BA11 BA12 BA14 BA48 BC09 BC24 BC25 BC27 BC32B BC38B 4K030 BA27 BB05 CA02 CA04 CA07 CA12 DA02 FA03 LA20 5D006 AA02 5D111 BB28 BB37 BB48 FF01 FF39 KK07

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素または炭素を主成分とする非晶質な
    膜であり、有機物が分解除去された被形成面に設けられ
    ていることを特徴とする前記炭素または炭素を主成分と
    する膜。
  2. 【請求項2】 炭素または炭素を主成分とする非晶質な
    膜であり、有機物が分解除去された被形成面に設けら
    れ、当該被形成面から膜の表面に向かって硬度が高くな
    っていることを特徴とする炭素または炭素を主成分とす
    る膜。
  3. 【請求項3】 炭素または炭素を主成分とする非晶質な
    膜あって、有機物が分解除去された被形成面に設けら
    れ、当該被形成面から表面向かって硬度がが高くなるよ
    うに積層された多層膜であることを特徴とする炭素また
    は炭素を主成分とする膜。
  4. 【請求項4】 前記被形成面が有機樹脂、ガラスまたは
    セラミックである請求項1乃至3のいずれか1項に記載
    の炭素または炭素を主成分とする膜。
  5. 【請求項5】 前記被形成面がPET(ポリエチレンテ
    レフタレート)、PES、PMMA、テフロン(登録商
    標)、エポキシまたはポリイミドである請求項1乃至3
    のいずれか1項に記載の炭素または炭素を主成分とする
    膜。
  6. 【請求項6】 前記被形成面が磁性体、金属または半導
    体である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の炭素ま
    たは炭素を主成分とする膜。
  7. 【請求項7】 磁気ヘッドの保護膜として、前記炭素ま
    たは炭素を主成分とする膜を形成する請求項1乃至3の
    いずれか1項に記載の炭素または炭素を主成分とする
    膜。
  8. 【請求項8】 磁気ディスクの保護膜として、前記炭素
    または炭素を主成分とする膜を形成する請求項1乃至3
    のいずれか1項に記載の炭素または炭素を主成分とする
    膜。
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