JP3471843B2 - 炭素薄膜形成装置 - Google Patents

炭素薄膜形成装置

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JP3471843B2 JP07626593A JP7626593A JP3471843B2 JP 3471843 B2 JP3471843 B2 JP 3471843B2 JP 07626593 A JP07626593 A JP 07626593A JP 7626593 A JP7626593 A JP 7626593A JP 3471843 B2 JP3471843 B2 JP 3471843B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、硬質炭素薄膜、あるい
はダイヤモンド状炭素薄膜(以下においてはこれらを
「炭素薄膜」と称する)を形成する薄膜形成装置に関す
るものである。 本明細書において、良好な膜質を有する炭素薄膜という
のは、硬度が高いこと、基板や基体との密着性が良いこ
と、化学的に安定なこと、高い平滑性を有すること、高
い絶縁性を有すること、高い耐摩耗性を有すること等、
をいうものとする。
【0002】
【従来の技術】従来より図2に示すような平行平板型の
プラズマCVD装置が広く知られている。図2におい
て、一対の電極である高周波給電電極(2)と対向接地
電極(3)とを有し、高周波給電電極(2)はブロッキ
ングコンデンサー(11)を介して高周波電源系(7)
に接続されている。また高周波電源系(7)の出力の一
方は接地(実際には真空容器(1)に接地される)され
ており、電気的に対向接地電極(3)と同電位になって
いる。また高周波給電電極(2)と対向接地電極(3)
との電極間距離(9)は20〜60mm程度にとられる
のが普通である。なお、以下の明細書中において高周波
というのは13.56MHzの周波数をいうものとす
る。
【0003】成膜される材料を含んだ原料ガスは原料供
給系(6)より供給され、プラズマ気相反応中の圧力は
圧力測定系(5)で測定される。また、プラズマ反応を
行うと、高周波給電電極(2)側が対向接地電極(3)
に対して負の電位になる。これは、プラズマ中における
電子とイオンとの移動度(移動のし易さ)の差が原因
で、高周波が印加された電極に電荷が蓄積されるのが原
因である。この現象は、あたかも高周波給電電極(2)
側に負のバイアス電圧が印加されているかのごとく理解
されるので、この電位のことを自己バイアスという。ま
た、この電位は自己バイアスモニター端子(12)を用
いて測定される。また、排気系(8)からは不要な気体
の排気がなされる。
【0004】図2に示す平行平板型のプラズマCVD装
置は、高周波電源系(7)から供給される高周波によっ
て、高周波給電電極(2)と対向接地電極(3)との間
においてプラズマ気相反応をさせ、成膜を行うものであ
る。
【0005】一般に半導体薄膜や絶縁膜を形成する際に
おいては、基板を対向接地電極(3)側に置き成膜が行
われる。これは、高周波給電電極(2)側に基板を配置
した場合、前述の自己バイアスの作用で正のイオンが高
周波給電電極側に配置された基板へ加速されて突入する
ことによるスパッタ効果に起因するダメージを防ぐため
である。
【0006】一方、いろいろな部材の表面保護膜や耐摩
耗膜としてその応用が図られている炭素薄膜を成膜する
方法として、上記のスパッタ効果を有効に活用した成膜
法がある。
【0007】これは、炭素薄膜の原料となる炭化水素ガ
ス、具体的にはメタン、エタン、プロパン、アルコー
ル、エチレン等を水素ガスと混合し、プラズマCVD法
で成膜を行う際、上記のスパッタ効果を利用することに
よって、グラファイト成分等の脆い炭素成分をエッチン
グしつつ成膜を行い、結果として高い硬度と高い密着性
を持った炭素膜を成膜する方法である。
【0008】この場合、図2に示すように基板(4)を
高周波給電電極(2)側に設置し、成膜を行う。図2に
示す装置の場合、対向接地電極(3)と真空容器(1)
とは同電位であるので、対向接地電極として作用する電
極面積としては、真空容器内壁をも含めた部分をも考慮
に入れなければならない。また、自己バイアスの値は、
高周波給電電極(2)の面積に比較して対向接地電極
(3)の面積が大きい程高くできることが知られてい
る。一般には前述のように、反応容器(1)の内壁も対
向接地電極として働くので、高周波給電電極(2)の面
積を小さくすることで、高周波給電電極(2)に印加さ
れる自己バイアスの値を高くすることができる。即ち、
自己バイアスの値は高周波給電電極(2)の面積を変化
させることで制御することができるということである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記図2に示す構成を
用いて、硬度が高い、密着性が良い、等の条件を有した
炭素薄膜を成膜しようとする場合、以下の点が問題とな
る。 (A)炭素薄膜を成膜する際の、動作圧力、印加する高
周波電力の値、等によって成膜される炭素薄膜の膜質を
制御することができるが、これらのパラメーターの最適
な範囲は明らかでない。 (B)膜質以外の要素である成膜速度を実用上満足させ
た上で一定水準以上の炭素薄膜を得ることができていな
い。 (C)炭素薄膜の膜質の追求のみではなく、成膜時にお
ける基板(基体)へのダメージの低減を考慮しなければ
ならない。概して、高硬度を追求しすぎると、下地への
ダメージが問題となる。 そこで本発明は、上記(A)〜(C)の問題点を解決す
ることを発明の課題とする。
【0010】
【発明の背景】本発明の着眼点は、まず高い硬度や基体
との優れた密着性といった性質を有する炭素薄膜の物性
を実現するに際して、重要な役割を果たすパラメーター
として、自己バイアスの値に着目したものである。即
ち、炭素膜の膜質を評価する方法として、膜自体の硬度
を測定する方法等があるが、それらの物性を直接測定す
るのではなく、成膜の際の数々のパラメーター(例え
ば、動作圧力、印加電力、自己バイアス値、成膜温度等
々)の中でどのパラメーターが膜質に大きな影響を及ぼ
すのか、言い換えるならばどのパラメーターの値を知れ
ば、その値から成膜される膜質を評価することができる
のか、という認識に立ち、その様なパラメータとして自
己バイアスの値に着目したものである。
【0011】本発明は、以上のような見地から、必要と
する自己バイアス値を実現することのできる数々の条件
を実験的に見出し、その相関関係を明らかにすることに
より、良好な膜質を有する炭素薄膜を高い成膜速度でも
って安定して得ることのできる作製条件を得たものであ
る。以下(1)〜(4)に実験的に得られた各種パラメ
ータの最適値や相関関係を簡単にまとめて記す。 (1)成膜時の圧力は約100Paを上限として、なる
べく高い方がよい。 (2)下地にダメージを与えない自己バイアスの最適値
は―350V〜―450Vの範囲である。 (3)良好な膜質を得るための高周波電力の値は2W/
cm〜3W/cm程度の範囲が好ましい。 (4)上記(1)〜(3)の条件を同時に満足する電極
間距離と電極面積との比(電極間距離/電極面積)は、
およそ1/1963〜1/314の範囲である。 従ってこの(4)で示される条件を満足する成膜条件を
実現することによって、必要とする条件を満たした炭素
薄膜を得ることができる。
【0012】以下、上記(1)〜(4)に示した各種パ
ラメータの最適条件、またその最適条件を満足する相関
関係の根拠について説明する。
【0013】〔(1)について〕 成膜時の圧力は可能な限り高い方が良い。なぜならば、
成膜雰囲気の圧力が高いということは、単位体積当たり
に含まれる原料ガスの分子や活性種が多いことを意味
し、このことは成膜速度の向上に大きく寄与するからで
ある。実際、成膜圧力が大きい程成膜速度が大きく、生
産性を高くすることができる。
【0014】しかしながら、良質な炭素薄膜を成膜する
のに大きな役割を果たすと見られる自己バイアスの値が
約100Pa以上の圧力においては安定して発生せず、
また成膜が行えても低品質の膜しか得られないことが実
験的に確かめられている。
【0015】従って、高い成膜速度を維持しつつ再現性
良く炭素膜の成膜を行うには、約100Pa以下の圧力
範囲においてなるべく高い圧力雰囲気で成膜を行うこと
が良いと結論される。
【0016】〔(2)について〕 図3に、自己バイアスの値と、基板上に成膜された炭素
膜の膜質を評価するパラメーターであるビッカース硬度
との関係を示す。図3に示すデータは図1に示す装置に
よって得られたものである。図1に示す装置は、図2に
示す装置と基本的には同一な構造を有し、各部の構造や
役割も図2に示す装置と同一である。図1に示すプラズ
マCVD装置が図2に示す装置と異なるのは、電極間隔
(9)が9mm以下と狭いことである。
【0017】図3に示す自己バイアスの値は、自己バイ
アスモニター端子(12)において、高周波給電電極
(2)の電位が接地電位に対して何ボルトであるか、を
測定したものである。またビッカース硬度は、炭素膜の
硬度を示すパラメーターであり、ここでは、炭素薄膜の
膜質を評価するパラーメーターとして用いた。勿論炭素
薄膜の膜質をビッカース硬度のみによって評価すること
はできないが、一つの指標として用いることは有効であ
る。
【0018】図3に示すデータは、図1に示す装置を用
い、反応ガスの種類と流量、電極間距離、成膜基板温
度、を固定して、高周波電力の値と動作圧力とをそれぞ
れ個別に変化させて成膜を行い、その際の自己バイアス
の値と成膜された炭素薄膜のビッカース硬度との関係を
グラフ化したものである。 成膜条件を以下に示す。 反応ガス :エチレン 200sccm :水素50sccm 電極間距離 : 8mm 基板 :直径6インチのSiウェハー 基板温度 :非加熱
【0019】図3を見れば明らかなように、ビッカース
硬度と自己バイアスの値には明確な相関関係が見られ
る。ここでビッカース硬度が3000(Kg/mm
以上を有する炭素薄膜を有意であると定義するならば、
成膜時の自己バイアスとして約―350V〜約―500
Vの範囲で成膜を行えば一定水準以上の炭素薄膜が得ら
れる、と結論される。
【0020】しかしながら、自己バイアスが―450V
を越えると、デポジションモードよりエッチングモード
が優勢となり極端に成膜速度が低下してしまうという問
題がある。前述のように自己バイアスを積極的に用いる
成膜方法は、硬度の低い不要な成分をエッチングしつつ
成膜を行う方法であるので、エッチングの度合いが高す
ぎると必要とする硬度の高い炭素成分の成膜をも妨げて
しまい、結果として成膜速度が低下してしまうことにな
る。従って成膜速度という要素を考慮するならば、図3
で示される自己バイアスの上限値は約―450Vするこ
とが有効である。
【0021】さらにまた、炭素薄膜が表面コーティング
膜として一般に用いられることを考えるならば、当然樹
脂等のイオンの衝撃やイオンの衝撃に従う発熱に弱い下
地を考慮しなければならず、イオン衝撃を必要最小限度
に抑えることも必要である。よって、このことからもエ
ッチングモードが優勢過ぎる成膜は好ましくないと結論
される。
【0022】以上のことより、ビッカース硬度で測定し
て3000(Kg/mm)以上の硬度を有する炭素薄
膜を得るのであれば、成膜に際しての自己バイアスの値
を―350〜―500Vとすることが適当であり、成膜
速度や下地へのダメージを考慮するならば―350〜―
450Vとすることが適当であると結論される。
【0023】〔(3)について〕 本明細書においては、高周波電源系(7)から供給され
る電力(W)を高周波給電電極(2)の面積(cm
で割ったものを気相反応のために投入した電力(W/c
)と定義する。
【0024】本発明が解決せんとする課題の一つは、一
定水準以上の膜質を有する炭素薄膜を高い成膜速度でも
って成膜することである。高い成膜速度を得るには、
(1)で示すようになるべく高い動作圧力で成膜するこ
とが好ましい。一方動作圧力を高くした場合、必要とさ
れる高周波電力の値は低くてもよい、ということが実験
的に判明している。例えば動作圧力を110Paとした
場合、1.0〜2.7W/cmの投入電力で3000
Kg/mm以上のビッカース硬度を有する炭素薄膜を
得られることが分かっている。しかしながら、この場合
得られる炭素薄膜は、膜中にクラスター成分を含み、膜
質としては必ずしも好ましいものではない。しかも動作
圧力を100Pa以上とすることは、自己バイアスの不
安定性、成膜される薄膜の基体からの剥離、といった問
題があるので好ましいものではなない。
【0025】一方、動作圧力が低い場合には、3W/c
以上の投入電力を必要とし、基板に対するダメージ
や低動作圧力に起因する成膜速度の低下、といったこと
が問題となり、やはり好ましいものではない。
【0026】従って、高い成膜速度が期待でき、しかも
安定した自己バイアスにより良質な膜質が期待できる動
作圧力範囲である50Pa〜100Paの範囲内で、基
板へのダメージの低減、基体からの剥離の防止、一定以
上のビッカース硬度を有する炭素薄膜の成膜、といった
条件を実現するには、2〜3W/cm程度の投入電力
が適当であると結論される。
【0027】〔(4)について〕 図1の装置を用いた本発明者らの実験によれば、電極間
距離(9)を変化させることで、高周波給電電極(2)
に加わる自己バイアスの値を変化させれ得ることが判明
している。一方、従来より高周波給電電極(2)の面積
を変化させることで、高周波給電電極(2)に加わる自
己バイアスの値を変化させ得ることが知られている。
【0028】そこで本発明者らは、高周波給電電極
(2)と対向接地電極(3)とを円型電極として各種成
膜条件で成膜を行い、その結果を整理検討した。その結
果、良好な膜質を有する炭素膜が得られる場合には、円
型電極の直径と電極間距離(9)との比率に相関関係が
あることが判明した。
【0029】そこで、(電極間距離)/(円型電極の直
径)を横軸にとり、高周波給電電極(2)に加わる自己
バイアスの値を縦軸にとり、データを整理したものが図
4である。なお、電極は高周波給電電極(2)と対向接
地電極(3)とで同一なものを用い、自己バイアスは自
己バイアスモニター端子(12)において測定した。
【0030】反応条件を以下に示すが、この反応条件
は、必要とされる成膜速度を得ることのできる動作圧
力、膜質や下地基板にダメージを与えない投入電力、と
いった望ましい成膜条件である。
【0031】従って、下記の成膜条件において、十分な
膜質を有する炭素薄膜を得られるのであれば、本発明が
解決しようとする課題が解決されることになる。 反応ガス :エチレン 200sccm :水素 50sccm 動作圧力 :70Pa 高周波電力 :2.0W/cm
【0032】図4を見ると、(電極間距離)/(円型電
極の直径)の値を1/50〜1/20程度にすることに
よって、一定水準以上の炭素薄膜であると判断される指
標である、成膜時における―350〜―500Vの自己
バイアスの値が得られることが分かる。
【0033】ここで、直径rの円型電極の面積はπr
/4だから、上記関係を電極間距離と電極面積との関係
に直すと、(電極間距離)/(電極面積)の値の範囲
は、およそ1/1963〜1/314とすればよいこと
になる。この関係を用いれば、電極として円型以外の形
状を有するものを用いた場合でも所望の自己バイアスを
得ることのできる電極間隔と電極寸法との関係を算出す
ることができる。
【0034】例えば、対角Lの角型電極(正方形)を用
いる場合、この角型電極の面積はL/2だから、(電
極間距離)/(電極の面積)の値を概略1/1963〜
1/314とするためには、L/2=1963∴L≒
63、L/2=314∴L≒25 と計算されるか
ら、(電極間距離)/(角型電極の対角寸法)の値を概
略1/63〜1/25とすれば良いことになる。なお、
長方形の電極などを用いる場合には、その面積と電極間
距離との関係を上記関係に従って算出すればよいが、極
端な長方形でなければ、その対角寸法Lから面積をL
/2と概算し、上記電極間距離と電極面積との関係を利
用することができる。
【0035】以上述べたように、高い成膜速度が得られ
る50Pa以上の動作圧力で、一定水準以上の膜質を有
する炭素膜を得るために必要な自己バイアス値を、下地
基板へのダメージの少ない2W/cm程度の電力値で
得るためには、(電極間距離)/(円型電極の直径)の
値を1/50〜1/20程度に設定して反応を行えば良
い、ということが結論される。
【0036】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記において
説明した発明の背景に基づき行われたもので、以下の内
容を要旨とするものである。
【0037】〔第の発明〕 第の発明は、真空容器と、前記真空容器内に設けられ
た第1の電極と、前記真空容器内に設けられ且つ前記第
1の電極と一定の間隔で配置され接地電位に保たれた第
2の電極と、前記真空容器内にガスを供給する供給系
と、前記真空容器内の圧力を50〜100Paにする排
気系と、前記第1の電極に接続される高周波供給手段と
を有し、前記第1の電極に前記高周波供給手段より2W
/cm2〜3W/cm2の高周波電力を供給して、前記
第1の電極に配置された基体に炭素薄膜を形成する炭素
薄膜形成装置であって、前記第1の電極は角型であり、
前記間隔は、9mm以下で最小値は5mmであり且つ前
記第1の電極の対角の1/63〜1/25であることを
特徴とする炭素薄膜形成装置、を要旨とする。上記第
の発明においては、電極として対角Lを有する角型とい
うのは、概略正方形を有する(1辺がL(1/2)
1/2)電極のことをいう。
【0038】〔第の発明〕 第の発明は、真空容器と、前記真空容器内に設けられ
た第1の電極と、前記真空容器内に設けられ且つ前記第
1の電極と一定の間隔で配置され接地電位に保たれた第
2の電極と、前記真空容器内にガスを供給する供給系
と、前記真空容器内の圧力を50〜100Paにする排
気系と、前記第1の電極に接続される高周波供給手段と
を有し、前記第1の電極に前記高周波供給手段より2W
/cm2〜3W/cm2の高周波電力を供給して、前記
第1の電極に配置された基体に炭素薄膜を形成する炭素
薄膜形成装置であって、前記間隔は、9mm以下で最小
値は5mmであり且つ前記第1の電極の面積の1/19
63〜1/314であることを特徴とする炭素薄膜形成
装置、を要旨とするものである。この第の発明は、電
極面積と電極間隔との関係において、上記の有意な関係
が存在することを実験的に見出したことに基づくもので
ある。
【0039】
【作用】電極寸法と電極間隔を特定の数値関係の範囲内
とすることによって、高い成膜速度、一定水準以上の膜
質、下地へのダメージの低減、といった条件を満足した
炭素薄膜を得ることができる。
【0040】
【実施例】以下において、図1で示されるプラズマCV
D装置を用いて、本発明の成膜条件内において炭素薄膜
を形成した例を示す。
【0041】〔プラズマCVD装置について〕 図1に以下の実施例において用いたプラズマCVD装置
を示す。この装置の基本構造は、図2に示す従来からの
プラズマCVD装置と同じであるが、電極間距離(9)
が9mm以下と狭く設定してあるのが特徴である。
【0042】図1において、内部でプラズマ反応を行う
ための真空容器(1)、高周波電源系よりブロッキング
コンデンサー(11)を介して供給される高周波(1
3,56MHz)によってプラズマ領域(10)を形成
するための一対の電極(2),(3)、反応ガスや原料
ガス、さらにはキャリアガスや希釈ガスを供給するため
の原料供給系(6)、不要な気体を排気するための排気
系(8)、成膜が行われる基板あるいは基体(4)、反
応容器内の圧力を測定するための圧力測定系(5)、プ
ラズマ反応時に電極(2)に加わる自己バイアスを測定
するための自己バイアスモニター端子(12)を備えて
いる。また電極(2)を高周波供給電極、電極(3)を
対向接地電極という。高周波電源系(7)の出力の一方
と、対向接地電極(3)とは真空容器(1)に接地され
ている。
【0043】〔実施例1〕 本実施例は、電極(2),(3)として同じ寸法形状の
角形のものを用い、その対角寸法Lと電極間距離dとの
関係をd/L=1/30とした場合の例である。炭素薄
膜の成膜は以下の条件で行った。 反応ガス :エチレン 純度99.99% 200SCCM 水素 純度99.999% 50SCCM 高周波電力 :2.2W/cm(13.56MHz) 電極寸法 :180mm×180mm(対角255mmの角型) 電極間距離 :8.5mm 動作圧力 :75Pa 基板 :厚さ0.5mm、直径6インチのSiウェハ 基板温度 :非加熱 反応時間 :2min 自己バイアス :―380V 形成速度 :1.7μm/min ビッカース硬度:3900Kg/mm
【0044】この時、反応時間を2minとしたので、
Siウェハー上には約3.4μmのダイヤモンド状炭素
薄膜が形成された。このダイヤモンド状炭素薄膜は、基
板からの剥離が全く認められず、全面に均一に形成され
ていた。さらに、ビッカース硬度を測定したところ非常
に明瞭な圧痕が生じ、算式により3900kg/mm
の硬度を有することが判明した。
【0045】また、上記成膜条件において、水素ガスの
みを200sccm導入し、2W/cmの高周波電力
でプラズマ反応を行った場合の動作圧力の値と自己バイ
アスモニター端子(12)で測定した自己バイアスの値
との関係を図5の黒丸で示す。この図から所望の自己バ
イアス値である―350〜―450Vが約50Pa以上
で得られていることが分かる。
【0046】〔比較例1〕 比較例は、図2に示す従来からの装置を用い、実施例1
に示す条件において、水素ガスのみを200sccm導
入し、2W/cmの高周波電力(13.56MHz)
で気相反応を行った場合の動作圧力の値と自己バイアス
モニター端子(12)で測定した自己バイアスの値との
関係を調べたものである。なお電極間隔(9)は30m
mである。
【0047】本比較例で得られたデータを図5の白丸で
示す。この場合、動作圧力を実施例1と同様な75Pa
とすると、自己バイアスが−230Vに低下し、有効な
成膜ができないことが分かる。事実、動作圧力75P
a、反応時間2minの条件で得られた炭素薄膜は、約
0.6μmの膜厚を有していたが、ビッカース硬度は2
100kg/mmであり、成膜速度、硬度共に満足で
きるものではない。
【0048】〔比較例2〕 実施例1の反応条件において、動作圧力のみを20Pa
にしたところ自己バイアスが−520Vとなった。成膜
された薄膜は、ハクリが顕著に見られ、また被膜自体の
残留内部応力の増加により、膜厚及びビッカース硬度等
の評価ができなかった。このことは、自己バイアスが高
過ぎ、デポジションモードよりエッチングモードが支配
的となること、自己バイアスの作用によるイオン衝撃が
大きいこと等、が原因であると考えられる。
【0049】〔実施例2〕 実施例1に示す成膜条件において、反応ガスの混合比、
高周波電力の値、動作圧力の値、電極間距離を単独に可
変した条件で成膜を行った例を以下〔実施例2〜実施例
6〕として示す。なお成膜装置は図1に示すものを用
い、電極構造、電極間隔は、実施例1と同様である。
【0050】以下に成膜条件を示す。 反応ガス :エチレン 純度99.99% 200SCCM 水素 純度99.999% 5SCCM 高周波電力 :2.2W/cm(13.56MHz) 電極寸法 :180mm×180mm(対角255mmの角形) 電極間距離 :8.5mm 動作圧力 :75Pa 基板 :厚さ0.5mm、直径6インチのSiウェハ 基板温度 :非加熱 反応時間 :2min 自己バイアス:―355V 成膜速度 :2.1μm/min
【0051】得られた炭素薄膜のビッカース硬度は、3
350Kg/mmであった。実施例1と成膜条件が異
なるのは、水素をエチレンに対して25%の添加量から
2.5%に下げたことであるが、この結果自己バイアス
の値がわずかに低くなり、成膜速度は大きくなり、また
ビッカース硬度は低くなった。
【0052】〔実施例3〕 本実施例は、実施例1の成膜条件において高周波電力の
値のみを2.8W/cmとして成膜を行った例であ
る。以下に各種パラメータを列挙する。 高周波電力 :2.8W/cm 自己バイアス :―430V 成膜速度 :1.95μm/min ビッカース硬度 :4600Kg/min 本実施例の場合、高周波電力の値を実施例1の2.2W
/cmより高くすることで、成膜速度を高くすること
ができ、ビッカース硬度も4600Kg/cmとかな
り大きくすることができた。
【0053】〔実施例4〕 本実施例は、実施例1の成膜条件において、動作圧力を
55Paとした場合の例である。以下に各種パラメータ
ーを列挙する。 動作圧力 :55Pa 自己バイアス :―420V 成膜速度 :1.45μm/min ビッカース硬度 :4250Kg/mm 本実施例においては、動作圧力を実施例1の75Paか
ら55Paと低くすることで、成膜速度が、1.7μm
から1.45μmへと低下したが、得られた炭素薄膜の
ビッカース硬度は4250Kg/mmと高くすること
ができた。
【0054】〔実施例5〕 本実施例は、実施例1の作製条件において、動作圧力を
95Paと高くしたものである。以下に各種パラメータ
ーを列挙する。 動作圧力 :95Pa 自己バイアス :―350V 成膜速度 :2.3μm/min ビッカース硬度 :3050Kg/mm 本実施例の場合、動作圧力を高くしたことにより、成膜
速度を高くすることはできたが、膜質を評価するパラメ
ーターであるビッカース硬度は、実施例1に比較して低
下してしまう結果となった。
【0055】〔実施例6〕 本実施例は実施例1の成膜条件において、電極間距離を
5mmとした例である。即ち、(電極間距離)/(角型
電極の対角距離)の値を約1/51とした例である。 電極間距離 :5mm 自己バイアス :―480V 成膜速度 :1.2μm/min ビッカース硬度:3400Kg/mm
【0056】電極間距離を5mmと小さくすることによ
り、一定水準以上の炭素薄膜を得ることができた。しか
し、これ以上電極間隔(9)を小さくすることは、技術
的に困難であった。これは、 ・電極間距離(9)が短くなることによって、対向接地
電極側に成膜される脆い炭素成分の影響を基体表面が受
けてしまう。 ・電極間距離(9)が5mm以下になると、電極の平行
性、平面性、基板の配置精度等が放電の仕方に影響する
ので、安定したプラズマが生成できなくなり、成膜の再
現性が困難になる。 ・基板の配置方法や配置作業が困難になる。 ・電極間に対する原料ガスの均一な供給が困難になるの
で、成膜の再現性がとれなくなる。 等の問題があるからである。
【0057】従って、実際の使用にあたっての電極間距
離の最小値は5mm程度である、ということが結論され
る。
【0058】
【発明の効果】プラズマ反応時の自己バイアスを―35
0〜―500Vの範囲内として成膜を行なうことによっ
て、一定水準以上の膜質を有する炭素薄膜を得ることが
できる。 また、一対の電極の寸法と電極間距離との比率を特定の
値に設定することにより、一定水準以上の膜質を、高い
成膜速度、プラズマによるダメージの低減、といった条
件を満足した上で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例において用いられる高周波プラズマC
VD装置の内部構造を示す断面図である。
【図2】 従来より用いられている高周波プラズマCVD装置の内
部構造を示す断面図である。
【図3】成膜時の自己バイアスの値と成膜された炭素薄
膜のビッカース硬度との関係を示す。
【図4】電極として円型電極を用いた場合における(電
極間隔)/(円型電極の直径)の値とプラズマ反応時の
自己バイアスの値との関係とを示す。
【図5】実施例と比較例における動作圧力と自己バイア
スとの関係を示す。
【符号の説明】
1 真空容器 2 高周波給電電極 3 対向接地電極 4 基板 5 圧力測定系 6 原料供給系 7 高周波電源系 8 排気系 9 電極間距離 10 プラズマ領域 11 ブロッキングコンデンサー 12 自己バイアスモニター端子

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空容器と、 前記真空容器内に設けられた第1の電極と、 前記真空容器内に設けられ且つ前記第1の電極と一定の
    間隔で配置され接地電位に保たれた第2の電極と、 前記真空容器内にガスを供給する供給系と、 前記真空容器内の圧力を50〜100Paにする排気系
    と、 前記第1の電極に接続される高周波供給手段とを有し、 前記第1の電極に前記高周波供給手段より2W/cm2
    〜3W/cm2の高周波電力を供給して、前記第1の電
    極に配置された基体に炭素薄膜を形成する炭素薄膜形成
    装置であって、 前記第1の電極は角型であり、 前記間隔は、9mm以下で最小値は5mmであり且つ前
    記第1の電極の対角の1/63〜1/25であることを
    特徴とする炭素薄膜形成装置。
  2. 【請求項2】真空容器と、 前記真空容器内に設けられた第1の電極と、 前記真空容器内に設けられ且つ前記第1の電極と一定の
    間隔で配置され接地電位に保たれた第2の電極と、 前記真空容器内にガスを供給する供給系と、 前記真空容器内の圧力を50〜100Paにする排気系
    と、 前記第1の電極に接続される高周波供給手段とを有し、 前記第1の電極に前記高周波供給手段より2W/cm2
    〜3W/cm2の高周波電力を供給して、前記第1の電
    極に配置された基体に炭素薄膜を形成する炭素薄膜形成
    装置であって、 前記間隔は、9mm以下で最小値は5mmであり且つ前
    記第1の電極の面積の1/1963〜1/314である
    ことを特徴とする炭素薄膜形成装置。
  3. 【請求項3】請求項において、前記第1の電極は角型
    であることを特徴とする炭素薄膜形成装置。
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