JP5281012B2 - ネビボロールの調製方法 - Google Patents

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Description

本発明はネビボロール調製のための方法に関し、より詳細にはネビボロールの調製における有用な中間体である次式:
Figure 0005281012
(R及びXは以後に定義)で表されるエナンチオマー富化6−フルオロクロマンアルコール誘導体又は6−フルオロクロマンエポキシド誘導体の改良された合成法に関する。
ネビボロール(以後NBVと称する)は式(IA):
Figure 0005281012
で表される[2S[2R*[R[R*]]]]α,α’−[イミノ−ビス(メチレン)]ビス[6−フルオロ−クロマン−2−メタノール](以後d−NBVと称する)と、式(IB):
Figure 0005281012
で表されるその[2R[2S*[S[S*]]]]エナンチオマー(以後l−NBVと称する)の等量混合物である。
ネビボロールは、β−アドレナリン遮断特性を特徴とし、本態性高血圧の治療に有用である。ネビボロールは塩基性であり、適切な酸で処理することにより医薬的に許容されるその付加塩に変換される。ネビボロールの塩酸付加塩は市販されている。
4個の不斉炭素原子により16種の立体異性体の混合物(非対称置換の場合)又は10種の立体異性体の混合物(対称置換の場合)が生じるため、α,α’−[イミノ−ビス(メチレン)]ビス[クロマン−2−メタノール]という分子構造体の合成は当業者にとって難しいことが当技術分野で知られている。α,α’−[イミノ−ビス(メチレン)]ビス[6−フルオロ−クロマン−2−メタノール]の構造はトポロジー的な対称性を有することから明らかなように、次の計10種の立体異性体が生成され得る。
Figure 0005281012
特許文献1は、6,6’−ビスフルオロ誘導体を含む置換α,α’−[イミノ−ビス(メチレン)]ビス[クロマン−2−メタノール]の調製方法であって、クロマン−2−カルボン酸を対応するアルデヒドに還元し、このアルデヒドを対応するエポキシドである4種の立体異性体(R,S)、(S,R)、(RR)及び(SS)の混合物に変換することを含む方法を開示している。エポキシド立体異性体はカラムクロマトグラフィーによってラセミ(R,S)及び(S,R)エポキシド(以後混合物Aと称する)及びラセミ(R,R)及び(S,S)エポキシド(以後混合物Bと称する)に分離されるが、これらラセミ体は本方法の重要な中間体である。
混合物A(R,S;S,R)又は混合物B(R,R;S,S)はベンジルアミンと処理してラセミのベンジル化物を得、続いて混合物B(R,R;S,S)又は混合物A(R,S;S,R)と処理することにより、次の合成スキームに従うベンジル化ネビボロールの4種の可能な異性体からなるラセミ混合物を得る。
Figure 0005281012
上述のネビボロールラセミ混合物はクロマトグラフィーで分離し、エナンチオマー対(R,S,S,S;S,R,R,R)として所望のジアステレオマーとすることができる。これを脱ベンジル化することにより純粋なネビボロール(ラセメート)を得る。
或いは、ベンジル−ネビボロールの4種の異性体のラセミ混合物を脱ベンジル化することもでき、特許文献2に従って純粋ネビボロール(R,S,S,S;S,R,R,R)を塩酸塩として結晶化することにより望まないジアステレオマー(R,S,R,R;S,R,S,S)から分離される。
しかしながら、両方法共に最低でも50wt%の原料のロスがでることが主な問題点である。実際、クロマトグラフィーによる分離や結晶化の間に、ネビボロールと等量存在する望まない2種のジアステレオマーは廃棄される。
特許文献3はネビボロールの調製方法を開示している。この方法は、(+)−デヒドロアビエチルアミンを用いる6−フルオロ−クロマン−カルボン酸の分割と、単一エナンチオマーのジアステレオマーエポキシドの2種の分離混合物への変換と、このようにして得られた混合物の4種のエナンチオ純粋なエポキシドへの分離とを含む。これらエポキシドは組み合わせることによりl−NBV及びd−NBVを得るために好適である。
しかしながら、上述の合成方法には大きな問題点が幾つかある。クロマン−カルボン酸の分割反応は容易でなく、塩化アシル生成、アミド化、加水分解等、多くの工程が必要となる点;分割剤が高価であり且つ化学量論量用いる点、収率が(+)−(S)−クロマン−カルボン酸については11,3%、(−)−(R)−クロマン−カルボン酸については9,2%と低い点;カルボン酸のエポキシドへの変換を非常に低温で行い且つラセミ化を回避するために特別な注意が必要である点;方法が全体として非常に多くの段階を伴うため、製造規模に応じて設備費にかかるコストの上昇、マンパワー増加及び製造サイクルを完了するために必要な時間の増加が不可避である点等が挙げられる。
当業者は、4個の立体中心が存在することに鑑み、l−NBV及びd−NBVの立体選択的調製方法を探求したきた。例えば、非特許文献1、2はエナンチオ選択的なd−NBVの全調製方法を、非特許文献3はキラルなクロマン中間体の構築方法を、非特許文献4及び特許文献4は、l−NBV及びd−NBVの合成に有用な(R)及び(S)6−フルオロクロマンカルボン酸中間体の合成及び分割を、それぞれ開示している。
NBV調製のための更なる代替的な全合成方法は、特許文献5、6及び7に記載されている。
NBV調製における6−フルオロ−クロマンエポキシド誘導体の重要な役割は当技術分野において公知である。
この役割は、医薬的活性成分の特異的立体化学の観点、また従来の調製の最終段階における分割反応に起因する所望のNBVラセミ生成物収率の低下の観点から、エナンチオ純粋な該エポキシドの機能を更に一層重要なものとしている。
欧州特許第145067号 米国特許第5759580号 欧州特許第334429号 中国特許出願第1629154号 WO2004/041805号 WO2006/016376号 WO2006/025070号 欧州特許第0331078号 米国特許第4654362号 米国特許第5665890号 米国特許第5929232号 米国特許第5663393号 米国特許第6262278号 米国特許出願公開第2003/073855号
ヨハネスC.W.ら、J.Am.Chem.Soc.,120,8340〜8347,1998 チャンドラセカールS.ら、Tetrahedron 56,6339〜6344,2000 ユ・アンガンら、Synlett,9,1465〜1467,2005 ヤン・ユンシュウら、Chinese Journal of Organic Chemistry,25(2),201〜203,2005
従って、当業界で報告されている方法の問題点を克服できる、エナンチオマー富化エポキシド又はその直接の前駆体調製の代替的方法を検討することが望まれている。
本発明者らは驚くべきことに、l−NBV及びd−NBVの調製において有用な重要中間体の簡便且つ効率的な合成法であって、6−フルオロ−クロマンラセミ末端エポキシド誘導体に対して加水分解若しくはアミノリシスによる動力学的分割を経由する合成法を見出した。
従って、本発明の第一の目的は、次式:
Figure 0005281012
(式中、Rは次の基;
Figure 0005281012
を表す)で表わされるラセミ末端エポキシドの分離方法であって、非ラセミ遷移金属−配位子触媒錯体の存在下、加水分解若しくはアミノリシスによる動力学的分割を行うことを含み、次式:
Figure 0005281012
(式中、Xはヒドロキシ基又はアミノ基を表す)で表わされるエナンチオマー富化置換アルコール及び次式:
Figure 0005281012
で表わされるエナンチオマー富化エポキシドを得る方法にある。
式Iで表わされるラセミ末端エポキシドは、NBV調製の中間体であり、公知の方法により得られる。上述の本発明の基質の調製方法については、次の文献に記載されている:特許文献8、9、5及び非特許文献3。
式Ia(式中、Rは6−フルオロ−3,4−ジヒドロ−1−ベンゾピラン基を表す)で表わされる化合物は特許文献1に記載の方法に従って調製される。4−フルオロ−フェノールをジメチルアセチレンジカルボキシレートと反応させて次式:
Figure 0005281012
で表わされるフェノキシ−エチレン化合物を得、これをアルカリ媒体中で加水分解する。ここで得られたジカルボン酸誘導体を硫酸と反応させ次式:
Figure 0005281012
で表わされる化合物を得、これを接触水素化により次式:
Figure 0005281012
で表わされる化合物に変換する。ラセミ6−フルオロ−クロマン−カルボン酸(VI)を1,1’−カルボニルジイミダゾールで処理し、水素化ジイソブチルアルミニウムで還元して次式:
Figure 0005281012
で表わされる化合物とし、これを水素化ナトリウム及びヨウ化トリメチルスルホキソニウムと反応させて次式:
Figure 0005281012
で表わされるエポキシドを4種の立体異性体(R,S)、(S,R)、(R,R)及び(S,S)の混合物として得る。
式Ib(式中、Rは6−フルオロ−4−オキソ−4H−1−ベンゾピラン基を表す)で表わされる化合物は次の手順で調製する。式Vで表わされる化合物を1,1’−カルボニルジイミダゾールで処理し、水素化ジイソブチルアルミニウムで還元し、次式:
Figure 0005281012
で表わされる化合物を得、これを水素化ナトリウム及びヨウ化トリメチルスルホキソニウムと反応させて次式:
Figure 0005281012
で表わされる対応するラセミエポキシドとする。
式Ic(式中、Rは6−フルオロ−4−オキソ−1−ベンゾピラン基を表す)で表わされる化合物は次の手順で調製する。5’−フルオロ−2’−ヒドロキシアセトフェノンをラセミの2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−カルボアルデヒドとアルカリ媒体中で反応させ次式:
Figure 0005281012
で表わされる立体異性体の混合物を得、これを酸媒体中で処理する。ここで得られたジオールをp−TsClと反応させ、次式:
Figure 0005281012
で表わされるトシレート化合物とする。これをアルカリ媒体中で処理することにより次式:
Figure 0005281012
で表わされる対応するエポキシドを4種の立体異性体(R,S)、(S,R)、(R,R)及び(S,S)の混合物として得る。
式Id(式中、Rは6−フルオロクロメン−2−イル基を表す)で表わされる化合物は次の手順で調製する。2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−カルボアルデヒドをビニルグリニヤール試薬と反応させ次式:
Figure 0005281012
で表わされる立体異性体の混合物を得、これを2−ブロモ−4−フルオロフェノール又は2−ブロモ−4−フルオロフェニルアセテートとパラジウム触媒の存在下反応させて次式:
Figure 0005281012
で表わされる立体異性体の混合物を得、これを化合物IXを得るために利用した手順に従って処理することにより、次式:
Figure 0005281012
で表わされる対応するエポキシドを4種の立体異性体(R,S)、(S,R)、(R,R)及び(S,S)の混合物として得る。
キラルな触媒錯体の存在下における末端エポキシドの加水分解による動力学的分割は当技術分野においてよく知られている。エポキシド類等の環状基質の動力学的分割は特許文献10、11、12、13及び14に記載されている。
本発明の加水分解若しくはアミノリシスによる動力学的分割は、求核剤及び式Iの化合物のラセミ若しくはジアステレオマー混合物を非ラセミ遷移金属−配位子触媒錯体の存在下で接触させることを含む。
特に本発明の動力学的分割は次の段階:
a)触媒錯体の適切なプロトン性又は非プロトン性溶媒への溶解;
b)無機酸又は有機酸の存在下、適切な酸化剤との反応による触媒錯体の活性化;
c)活性触媒錯体と式Iで表わされる化合物のラセミ若しくはジアステレオマー混合物及び適切な求核剤との接触;及び
(d)反応液の濾過を含む。
或いは、本発明の動力学的分割は、
a’)酸化剤と、式Iの化合物のラセミ若しくはジアステレオマー混合物、非ラセミ触媒錯体及び無機酸又は有機酸及び適切な求核剤を含む混合物との接触;及び
b’)反応液の濾過の各段階に従う、末端エポキシドの存在下における触媒の活性化を含む。
溶解段階に有用な好適な非プロトン性溶媒は、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム等である。
溶解段階に有用な好適なプロトン性溶媒は、アルコール類、好ましくはメタノール、エタノール等である。
酸化剤としては酸素が好ましく、空気として導入することがより好ましい。
活性触媒錯体の調製に有用な好適な酸は、ブレンステッド酸である。本発明の活性化段階においては、有機ブレンステッド酸の使用が好ましい。より好ましくは、酢酸やプロピオン酸、イソラク酸、フルオロ酢酸、安息香酸、ニトロ安息香酸、フルオロ安息香酸、クロロ安息香酸、シアノ安息香酸等、アリール又はアルキルカルボン酸を使用する。更に好ましくは酢酸、安息香酸又はニトロ安息香酸を使用する。
接触段階においては、活性触媒錯体溶液として直接使用することも、沈澱後の固体として使用することもできる。
接触段階は約−10℃〜約50℃で行うことができるが、室温付近で行うことが好ましい。
上述の溶解は通常約1〜48時間かけて、好ましくは一晩行われる。
濾過段階d/b’によって、反応液から沈澱した式IIa又はIIbで表わされるエナンチオマー富化置換アルコールを、母液に残る式IIIa又はIIIbで表わされるエナンチオマー富化エポキシドから分離することができる。この式IIIa又はIIIbで表わされるエポキシドは、公知技法により更にベンジルアミノアルコール誘導体として単離することもできる。
本発明の加水分解若しくはアミノリシスによる動力学的分割を行う際、溶媒を添加してもしなくてもよい。
通常、この反応はエーテル、アルコール、芳香族又は脂肪族溶媒、ハロゲン化溶媒或いはこれらの混合物中で行う。
好ましい溶媒は、tert−ブチルメチルエーテルやイソプロピルアルコール、トルエン、ヘプタン、ジクロロメタン等である。
通常、反応性電子対を有し且つ酸素原子又は窒素原子を式Iで表わされる基質に結合させることができる化合物であれば、いずれも本発明の動力学的分割にも適切な求核剤である。
とりわけ、本発明において適切な求核剤は、水や水酸化物、アルコール、アルコキシド、カルボキシレート、パーオキシド等の酸素求核剤、及びアジドやイミド、アンモニア、ヒドラジン、カーバメート、アミン等の窒素求核剤である。
これら求核剤は、立体選択的エポキシド開環反応にいおて酸素原子又は窒素原子を導入するために使用され、式IIa又はIIb(式中Xは先と同様に定義される)で表わされる化合物を与える。
本発明の一実施形態においては、式IIa又はIIb(式中Xはヒドロキシ基又はアミノ基である)で表わされる化合物を直接与えることができる適切な求核剤の存在下で動力学的分割を行う。
当業者であれば、公知の技法に従って本発明の末端エポキシドと更なる求核剤との反応で、NBVの調製における有用な中間体(式中Xはヒドロキシ基又はアミノ基である)に容易に変換可能な官能化化合物が得るれることがわかるであろう。
好ましい酸素求核剤は、水や水酸化物、アセテート、ベンゾエート、ホルメート、クロロホルメート等のカルボキシレート等である。
好ましい窒素求核剤は、カーバメートやアジ化ナトリウム、トリメチルシリルアジド等のアジド、フタルイミド、スクシンイミド等のイミド等である。
本発明におけるより好ましい求核剤は、水及びカーバメートであり、(C1〜C4)−アルキルカーバメート又はベンジルカーバメートが特に好ましい。
水及びベンジルカーバメートが更に好ましい。
本発明における非ラセミ金属錯体触媒は、大型有機配位子が遷移金属原子に配位した錯体からなる。
通常、この有機配位子は非対称四座又は三座配位子として金属原子に配位する。
本発明方法においては、キラルなサレン若しくはサレン様の配位子を使用することが好ましい。特に、上述の特許文献10、11、12及び13に開示されるサレン配位子が好ましい。
好ましい実施形態においては、遷移金属はMn、Cr、V、Fe、Co、Mo、W、Ru及びNiから選択される。
好ましくは、遷移金属はCo又はCrであり、前者がより好ましい。
好ましい非ラセミCo(II)錯体触媒は、(S,S)−Co(II)(サレン)触媒及び(R,R)−Co(II)(サレン)触媒であり、それぞれ次式で表わされる。
Figure 0005281012
本発明の一実施形態においては、(サレン)Co(II)錯体触媒は有機酸存在下で空気に曝すことにより、カルボキシレートを対イオンとする所望の活性(サレン)Co(III)触媒に直ちに変換される。
好ましい有機酸は、酢酸、安息香酸、p−ニトロ安息香酸である。
また、沈澱により単離された活性Co(III)触媒は本発明の動力学的分割に直接使用することができる。
好ましい非ラセミCo(III)錯体触媒は、(S,S)−Co(III)(サレン)(p−ニトロベンゾエート)、(R,R)−Co(III)(サレン)(p−ニトロベンゾエート)、(S,S)−Co(III)(サレン)(アセテート)及び(R,R)−Co(III)(サレン)(アセテート)である。
本触媒錯体は式Iで表わされる化合物に対して0.01〜10mol%、好ましくは0.01〜5mol%存在する。本発明の更に好ましい実施形態においては0.05〜1mol%である。
本発明の好ましい実施形態において動力学的分割は、式Iで表わされるラセミ末端エポキシド、非ラセミCo(II)錯体触媒、アリール又はアルキルカルボン酸、及び水又は式H2NCOOR(Rは先の定義と同様)で表わされる適切なカルバメートを含む混合物と酸素を、式IIで表わされるエナンチオマー富化2−置換アルコールと式IIIで表わされる対応するエナンチオマー富化エポキシドとの混合物を製造するために十分な時間、温度で接触させる段階を含む。
また、式Iで表わされるラセミ末端エポキシドは、アリール又はアルキルカルボキシレートを対イオンとする活性非ラセミCo(III)錯体の存在下、水又は式H2NCOOR(Rは先の定義と同様)で表わされる適切なカルバメートと接触させる。
分割方法終了後、式IIで表わされるエナンチオマー富化2−置換アルコールを濾別することにより、式IIIで表わされる対応するエナンチオマー富化エポキシドを母液から回収する。
本発明の目的は、次式:
Figure 0005281012
で表わされるラセミ末端エポキシドを分離する方法であって、加水分解若しくはアミノリシスによる動力学的分割を非ラセミ遷移金属−配位子触媒錯体の存在下に行うことを含み、次式:
Figure 0005281012
(式中、Xは先と同様に定義される)で表わされるエナンチオマー富化置換アルコール及び次式:
Figure 0005281012
で表わされるエナンチオマー富化エポキシドを得る方法にある。
本発明に係る方法は、6−フルオロクロマン末端エポキシド及びその誘導体のラセミ若しくはジアステレオマー混合物の動力学的分割に関する。
従って、本発明方法を式Iaで表わされる部分分割化合物に適用できることは当業者には明白である。
本発明の一実施形態においては、上述の特許文献3に報告されているような公知の方法に従って調製されたジアステレオマー混合物としての式Ia:
Figure 0005281012
で表わされる部分分割化合物について動力学的分割を行う。
本発明の一実施形態においては、ラセミ混合物(混合物A又は混合物B)としての式Ia:
Figure 0005281012
で表わされる部分分割化合物について動力学的分割を行う。
これら2種のラセミ混合物は公知の技法に従って得られ、特に上述の特許文献1に従うクロマトグラフィーにより得られる。
本発明の他の目的は、式Iaで表わされるラセミ末端エポキシドを分離する方法において、式Iaで表わされる4種の立体異性体を混合物A及び混合物Bに部分分割することを更に含む方法である。
従って、式Iaで表わされる4種のエポキシド立体異性体の混合物は例えばクロマトグラフィーによって分離され、2種のエポキシドジアステレオマーが得られる。それぞれのジアステレオマーは、例えば(R,S)及び(S,R)エナンチオマー混合物としてのエポキシドA(混合物A)及び(R,R)及び(S,S)エナンチオマー混合物としてのエポキシドB(混合物B)のようなラセミ混合物である。
好ましくは、2種のエポキシドA及びB、即ち(R,S;S,R)ラセメート及び(R,R;S,S)ラセメートは別々に
(a)酸素存在下、非ラセミCo(II)錯体触媒、アリール又はアルキルカルボン酸、及び水又はベンジルカーバメートと、或いは
(b)アリール又はアルキルカルボキシレートを対イオンをする活性非ラセミCo(III)錯体の存在下、水又はベンジルカーバメートと接触させる。この接触は、式IIa又はIIbで表わされるエナンチオマー富化2−置換アルコール(ジオール又はカルバメート)と式IIIa又はIIIbで表わされる対応するエナンチオマー富化エポキシドとの混合物を製造するために次の合成スキームに従って十分な時間、温度で行われる。
Figure 0005281012
(式中X及びRは先と同様に定義される)。
前述のように、公知の技法に従って、式IIで表わされるエナンチオマー富化2−置換アルコールを濾別(xxto)して、式IIIで表わされる対応するエナンチオマー富化エポキシドを母液(A.M.)から回収する。或いは、対応するベンジル−アミノアルコール誘導体に変換することもできる。
本発明は更に、式Iで表わされる重要な末端エポキシド中間体の動力学的分割によるネビボロールの製造方法を提供する。
本発明の他の目的は、NBVの調製方法であって、次式:
Figure 0005281012
(式中Rは次の式群:
Figure 0005281012
)で表わされるラセミ末端エポキシドの分離を含み、次式:
Figure 0005281012
(式中Xはヒドロキシ基又はアミノ基を表す)で表わされるエナンチオマー富化置換アルコール、及び次式:
Figure 0005281012
で表わされるエナンチオマー富化エポキシドを得る方法において、該方法は非ラセミ遷移金属−配位子触媒錯体の存在下、加水分解若しくはアミノリシスによる動力学的分割を行うことを含む方法にある。
更に、式IIa又はIIb(式中Xは本発明の適切な酸素求核剤から誘導される)で表わされる化合物は公知の技法に従って式IIa又はIIb(式中Xはヒドロキシ基を表す)で表わされる化合物に変換してもよい。
式IIa又はIIbで表わされるエナンチオマー富化ジオールは続いて、公知の技法に従って容易に対応するエポキシドに変換される。ここで、立体化学は保存される。例えば、式IIa又はIIbで表わされるジオールはトシル化反応に付すことができ、更に塩基と反応させると所望のエポキシド化合物が得られる。
このように、エナンチオマー富化エポキシドを出発点とし、公知の技法に従って単一立体異性体を好適に組み合わせることによりl−NBV及びd−NBVを得ることが可能である。
従って、式IIa又はIIbで表わされる化合物、及びIIIa又はIIIb(式中Rは6−フルオロ−4−オキソ−1−ベンゾピラン基を表す)で表わされる化合物は特許文献5の開示内容に従ってl−NBV及びd−NBVに変換される。
本発明の好ましい一実施形態においては、非ラセミ(R,R)−Co触媒とエポキシドラセメートB(R,R;S,S)との接触及び任意的なジオール誘導体への加水分解によって得られた反応液から濾別された、式IIで表わされるエナンチオマー富化(R,R)−ジオール又はその前駆体をトシル化して、対応する(R,R)−トシレートとし、続いてこの(R,R)−トシレートを対応する式IIIで表わされる(R,R)−エポキシドに変換する。これを次のスキーム示す。
Figure 0005281012
非ラセミ(S,S)−Co触媒とエポキシドラセメートA(R,S;S,R)を接触させて製造された反応液の母液から回収された、式IIIで表わされるエナンチオマー富化(S,R)−エポキシドはベンジルアミンと反応させることにより、対応する(S,R)−ベンジルアミノ−アルコールが次のスキームに従って得られる。
Figure 0005281012
この(S,R)−ベンジルアミノ−アルコールを式IIIで表わされる(R,R)−エポキシドと反応させると(S,R,R,R)−ベンジルネビボロールが得られる。続いてこれを接触水素化にて脱ベンジル化するとd−NBVが得られる。
一方、式IIIで表わされるエナンチオマー富化(S,S)−エポキシドは、対応する(S,S)−ベンジルアミノ−アルコールに変換される。続いてこれを、式IIで表わされるエナンチオマー富化(R,S)−ジオールから得られた(R,S)−エポキシドと反応させて(R,S,S,S)−ベンジルネビボロールが得られる。後者を接触水素化にて脱ベンジル化するとl−NBVが得られる。
以上記述してきた一連の操作は、それによって所望のl−NBV及びd−NBVを調製することができる可能な組み合わせの中の一例にすぎない。
例えば、仮に非ラセミ(S,S)−Co触媒をエポキシドラセメートB(R,R;S,S)の動力学的分割に適用し、非ラセミ(R,R)−Co触媒をエポキシドラセメートA(R,S;S,R)に適用した場合、結果として式IIで表わされるエナンチオマー富化(S,S)−ジオールと式IIIで表わされる(R,S)−エポキシドから誘導される、対応するキラルな中間体の間でカップリングが起こり、(R,S,S,S)ネビボロール(l−NBV)が得られ、式IIで表わされるエナンチオマー富化(S,R)−ジオールと式IIIで表わされる(R,R)−エポキシドから誘導される対応するキラルな中間体の間でのカップリングでは(S、R,R,R)ネビボロール(d−NBV)が得られる。
本発明は上述してきた手続きによりなんら限定されるものではなく、当業者はエポキシド及び置換アルコールの他の組み合わせも可能であり、これらも本発明の範囲を逸脱しないことに気が付くであろう。
更に、式IIa又はIIb(式中Xは本発明の適切な窒素求核剤から誘導される)で表わされる化合物は公知の技法に従って式IIa又はIIb(式中Xはアミノ基を表す)で表わされる化合物に変換してもよい。
従って、式IIa又はIIbで表わされるエナンチオマー富化アミノアルコールは続いて、式IIIa又はIIIbで表わされる対応する適切なエナンチオマー富化エポキシドと好適に組み合わせることにより、この場合にも所望のl−NBV及びd−NBVが得られる。
本発明の好ましい一実施形態においては、式IIa又はIIb(式中、Rは6−フルオロ−3,4−ジヒドロ−1−ベンゾピラン基を表し、Xは−NHC(=O)OR1基を表し、R1は先の定義と同様である)で表わされる化合物のカップリング反応は次の段階を含む。
式IIa又はIIbで表わされるエナンチオマー富化化合物は、次のスキームに従いそれぞれ別個に加水分解されて、対応するアミノアルコールになる。
Figure 0005281012
式中、Xは−NHC(=O)OR1を表し、R1は(C1〜C4)−アルキル基又はベンジル基を表す。このようにして得られたエナンチオマー富化アミノ−アルコールを公知の方法(非特許文献2)に従って式IIIa又はIIIbで表わされる対応するエナンチオマー富化エポキシドと反応させると、所望のl−NBV及びd−NBVが得られる。
式IIa又はIIb及び式IIIa又はIIIb(式中、Rは6−フルオロクロメン−2−イル基又は6−フルオロ−4−オキソ−4H−1−ベンゾピランを表す)で表わされる化合物は、還元反応等の公知の技法に従って式IIa又はIIb及び式IIIa又はIIIb(式中、Rはそれぞれ6−フルオロ−3,4−ジヒドロ−1−ベンゾピラン基及び6−フルオロ−4−オキソ−1−ベンゾピラン基を表す)で表わされる化合物に変換される。
本明細書において、記号R及びSは不斉炭素原子の絶対配置を示す。黒三角は上配置の結合を示し、白三角は下配置の結合を示す。波線はその結合が上配置でも下配置でもよいことを示し、アスタリスクはそれが付く炭素原子が不斉炭素原子であることを意味する。
「ラセミ混合物」とは、エナンチオマーである立体異性体の混合物の形態の化合物を意味する。「ジアステレオマー混合物」とは、エナンチオマーでない立体異性体の混合物の形態の化合物を意味する。
キラル触媒に関する「非ラセミ」とは、あるエナンチオマーが50%超、好ましくは75%以上である触媒調製物を意味する。
本明細書において略語「Ph」はフェニル基を表す。本明細書において略語「Bn」はベンジル基を表す。本明細書において略語「Ts」はトシル基を表す。
本明細書において「ブレンステッド酸」とは、プロトン供与能を有する分子体のいずれをも意味する。
本発明は、単一且つ活性なNBV立体異性体の合成を可能ならしめる簡便な立体選択的経路を開発したものである。本発明によれば、重要なクロマンエポキシドは共にラセミ混合物である2種のジアステレオ異性体に分離され、続いて該エポキシドの4種の異性体又は対応するアミノアルコール誘導体に変換される。
公知の技法に従って該立体異性体を注意深く組み合わせれば、所望のl−NBV及びd−NBVのみが得られる。
この合成法は幾つかの利点を有する。
分割剤は触媒量使用する。
本発明における加水分解若しくはアミノリシスによる動力学的分割を利用するラセミエポキシドの分割は非常に簡便な方法である。その理由は、反応液から沈澱した式IIa又はIIbで表わされるエナンチオマー富化2−置換アルコールとしての一エナンチオマーを、母液中に残存する式IIIa又はIIbで表わされるエナンチオマー富化エポキシドとしての第二のエナンチオマーから分離する際に、濾過段階しか必要としないためである。
母液から回収される式IIIa又はIIIbで表わされるエナンチオマー富化エポキシドは精製せずに用いることができ、或いはベンジル−アミノアルコール誘導体として単離することができる。
本発明の加水分解若しくはアミノリシスによる動力学的分割により、式IIa又はIIbで表わされるエナンチオマー富化2−置換アルコール及び式IIIa又はIIIbで表わされるエナンチオマー富化エポキシドが非常に高い光学純度(e.e.>99%)で提供される。
本方法が全体として含む段階の数は従来の方法よりも少なく、廃棄することとなる望まないネビボロールのジアステレオマーの生成を回避することができる。このように、本方法全体の効率は非常に向上したものであり、その結果、医薬活性成分の製造コストは大まかに言って低減される。
実際、本発明によれば、エポキシドラセミ混合物A及びBは、NBVの調製に使用されるキラルな基質に変換されるのみである。
換言すれば、本発明に係る方法は、有用物質のロスを避けることにより、所望のl−NBV及びd−NBVの調製に適切な立体化学を有する中間体のみを提供する。
本発明はその更なる態様において、次の化合物:
[(R)−2−((R)−6−フルオロ−クロマン−2−イル)−2−ヒドロキシ−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル;
[(S)−2−((S)−6−フルオロ−クロマン−2−イル)−2−ヒドロキシ−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル;
[(R)−2−((S)−6−フルオロ−クロマン−2−イル)−2−ヒドロキシ−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル;及び
[(S)−2−((R)−6−フルオロ−クロマン−2−イル)−2−ヒドロキシ−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル、をl−NBV及びd−NBVの調製に有用な中間体として提供する。
本発明はその更なる態様において、式Iで表わされる末端エポキシドの分割反応における(S,S)−Co(サレン)触媒又は(R,R)−Co(サレン)触媒の使用を提供する。
本発明はその更なる態様において、NBVの調製における(S,S)−Co(サレン)触媒及び(R,R)−Co(サレン)触媒の使用を提供する。
本発明の目的である方法の一実施形態は次の段階を含む。即ち、
式Iaで表わされる化合物をラセミ混合物A及びラセミ混合物Bに任意的に分離することと、
該ラセミ混合物A及びBを別個に、適切な非ラセミ遷移金属−配位子触媒錯体、好ましくは非ラセミ(R,R又はS,S)サレンCo触媒錯体の存在下アミノリシス又は加水分解による動力学的分割に付すことにより、式IIa又はIIbで表わされるエナンチオマー富化置換アルコール及び式IIIa又はIIIbで表わされるエナンチオマー富化エポキシドを得ることと、
続いて、混合物A又は混合物Bの分割によって得られた式IIa又はIIbで表わされる置換アルコールを対応するエポキシド又はアミノアルコール(式中、立体化学は保存される)に変換し、混合物B又は混合物Aの分割によって得られた式IIIa又はIIIbで表わされるエナンチオマー富化エポキシド又はその対応するベンジルアミノアルコール誘導体と反応されることと、
後者の化合物を公知に方法に従ってd−NBV又はl−NBV或いはその塩に変換することと、を含む。
本発明を好ましい実施形態と共に説明してきたが、当業者であれば本発明の範囲を逸脱しない範囲において他の実施形態も行えることに気が付くことが理解されよう。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
実施例1
(R)−1−((R)−6−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−2−イル)−エタン−1,2−ジオールの合成
(R,R)−(−)−N,N’−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロ−ヘキサン−ジアミノ−コバルト−(II)触媒(29.6mg)をトルエン(0.5mL)に溶解し、4−ニトロ−安息香酸(16.5mg)で処理した。溶液を大気中室温で1時間攪拌した。その間に溶液は橙赤色から暗褐色に変化した。
触媒溶液に(±)−[1S*(S*)]−6−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2−(オキシラン−2−イル)−2H−クロメン(5.121g)とMTBE(6mL)を加え、得られた混合物をH2O(0.237g)で処理した。
反応系を25℃で3時間撹拌し続け、その間に不均一な混合物を得た。
反応系をヘプタン(5mL)で希釈し、0℃に冷却した。2時間後、真空濾過により固体を集め、ヘプタン/MTBE(1/1)(10mL)で洗うことにより、表題のジオールを白色の粉末として得た(2.47g、HPLC純度:99%、e.e.>99%)。
NMR: δH(400 MHz; CDCl3) 6.82-6.73 (3H, m), 4.10-4.03 (1H, m), 3.89-3.75 (3H, m), 2.93-2.74 (2H, m), 2.65 (1H, b), 2.10 (1H, b), 2.04-1.90 (2H, m).
実施例2
(R)−1−((S)−6−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−2−イル)−エタン−1,2−ジオールの合成
(R,R)−(−)−N,N’−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロ−ヘキサン−ジアミノ−コバルト−(II)触媒(54.9mg)をトルエン(2mL)に溶解し、酢酸(11mg)で処理した。溶液を大気中室温1時間攪拌し、真空濃縮し、粗褐色固体を得た。
得られた触媒残渣を(±)−[1S*(R*)]−6−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2−(オキシラン−2−イル)−2H−クロメン(1g)とMTBE(2mL)に溶解し、得られた混合物をH2O(0.046g)で処理した。
反応系を25℃で21時間攪拌し続け、その間に不均一な混合物を得た。
反応系を0℃に冷却し、1時間後真空濾過により固体を集め、MTBE(2mL)で洗うことにより、表記ジオールを白色の粉末として得た(0.417g、HPLC純度:98%、e.e.>99%)。
NMR: δH(400 MHz; CDCl3) 6.83-6.69 (3H, m, Ar), 4.05-3.98 (1H, m), 3.90-3.80 (3H, m), 2.91-2.74 (2H, m), 2.18-2.11 (1H, m), 1.91-1.81 (1H, m).
実施例3
(S)−1−((R)−6−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−2−イル)−エタン−1,2−ジオールの合成
(S,S)−(−)−N,N’−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロ−ヘキサン−ジアミノ−コバルト−(II)触媒(54.9mg)をトルエン(2mL)に溶解し、AcOH(11mg)で処理した。溶液を大気中室温で1時間攪拌し、真空濃縮し、粗褐色固体を得た。
得られた触媒残渣を(±)−[1S*(R*)]−6−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2−(オキシラン−2−イル)−2H−クロメン(1g)とMTBE(2mL)に溶解し、得られた混合物をH2O(0.046g)で処理した。
反応系を25℃で21時間攪拌し続け、その間に不均一な混合物を得た。
反応系を0℃に冷却し、1時間後真空濾過により固体を集め、MTBE(2mL)で洗うことにより、表題のジオールを白色の粉末として得た(0.417g、HPLC純度:98%、e.e.>99%)。
NMR: δH(400 MHz; CDCl3) 6.83-6.69 (3H, m, Ar), 4.05-3.98 (1H, m), 3.90-3.80 (3H, m), 2.91-2.74 (2H, m), 2.18-2.11 (1H, m), 1.91-1.81 (1H, m).
実施例4
(R)−1−((S)−6−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−2−イル)−エタン−1,2−ジオールと(S)−2−(ベンジルアミノ)−1−((R)−6−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−2−イル)−エタノールの合成
パートA:(R,R)−(−)−N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロ−ヘキサン−ジアミノ−コバルト−(II)触媒(60mg)をトルエン(5mL)に溶解し、4−ニトロ−安息香酸(34.9mg)で処理した。溶液を大気中室温で1時間攪拌し、真空濃縮し、粗褐色固体を得た。
得られた触媒残渣を(±)−[1S*(R*)]−6−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2−(オキシラン−2−イル)−2H−クロメン(4g)とMTBE(4mL)に溶解し、得られた混合物をH2O(0.96g)で処理した。
反応系を25℃で16時間攪拌し続け、その間に不均一な混合物を得た。
反応液をヘプタン(4mL)で希釈し、0℃に冷却した。2時間後、真空濾過により固体を集め、ヘプタン/MTBE(1/1)(4mL)で洗うことにより、表題のジオールを白色の粉末として得た(1.2g、HPLC純度:99%、e.e.>99%)。
パートB:濾液をロータリーエバポレーションにより濃縮し、残渣にエタノール(10mL)とベンジルアミン(3.3g)を加えた。混合物を80℃に加熱し、2時間後に真空濃縮し、油性残渣を得た。この残渣をトルエン(20mL)で希釈し、H2O(3×20mL)で洗浄した。有機相を濃縮し、残渣をエタノールで結晶化して精製し、表題のベンジルアミノ−アルコールを白色の粉末として得た(1.4g、HPLC純度:94%、e.e.>99%)。
NMR: δH(400 MHz; CDCl3) 7.37-7,27 (5H, m, Ar), 6.82-6.67 (3H, m, Ar), 3.9-3.7 (4H, m), 3.0-2.95 (1H, dd), 2.88-2.71 (3H, m), 2,18-2,09 ( 1H, m), 1,9-1,75 ( 1H, m).
実施例5
(S)−1−((S)−6-フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−2−イル)−エタン−1,2−ジオールと(R)−2−(ベンジルアミノ)−1−((R)−6−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−2−イル)−エタノールの合成
パートA:(S,S)−(+)−N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロ−ヘキサン−ジアミノ−コバルト−(II)触媒(18.2mg)をトルエン(3mL)に溶解し、4−ニトロ−安息香酸(10.8mg)で処理した。溶液を大気中室温で1時間攪拌し、真空濃縮し、粗褐色固体を得た。
得られた触媒残渣を(±)−[1S*(S*)]−6−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2−(オキシラン−2−イル)−2H−クロメン(3g)とMTBE(4mL)に溶解し、得られた混合物をH2O(0.139g)で処理した。
反応系を25℃で18時間攪拌し続け、その間に不均一な混合物を得た。
反応系をヘプタン(8mL)で希釈し、0℃に冷却した。2時間後、真空濾過により固体を集め、ヘプタン/MTBE(1/1)(2mL)で洗うことにより、表題のジオールを白色の粉末として得た(1.24g、HPLC純度:97.5%、e.e.>99%)。
パートB:濾液をロータリーエバポレーションにより濃縮し、残渣にヘプタン/トルエン(9/1)(10mL)とベンジルアミン(2.48g)を加えた。混合物を80℃に加熱し、4時間後室温とし、真空濾過により固体を集め、表題のベンジルアミノ−アルコールを白色の粉末として得た(0.94g、HPLC純度:99%、e.e.>99%)。
NMR: δH(400 MHz; CDCl3) 7.39-7,27 (5H, m, Ar), 6.82-6.67 (3H, m, Ar), 4.0-3.76 (4H, m), 3.97-2.7 (4H, m), 2.0-1.8 (2H, m).
実施例6
[(R)−2−((R)−6−フルオロ−クロマン−2−イル)−2−ヒドロキシ−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステルの合成
(R,R)−(−)−N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロ−ヘキサン−ジアミノ−コバルト−(II)触媒(42mg)をMTBE(2mL)に溶解し、4−ニトロ−安息香酸(22mg)で処理した。溶液を大気中室温で1時間攪拌した。その間に溶液が橙赤色から暗褐色に変化した。
触媒溶液にカルバミン酸ベンジル(116mg)とMTBE(0.5mL)を加え、混合物を室温で0.5時間攪拌し、続いて(±)−[1S*(S*)]−6−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2−(オキシラン−2−イル)−2H−クロメン(324mg)とMTBE(1mL)を加え、一晩攪拌し続けた。
不均一な混合物が得られ、真空濾過によって固体を集め、MTBE(1.5mL)でリンスし、表題のCBZ−アミノ−アルコールを白色の粉末として得た(HPLC純度:99%、e.e.>99%)。
NMR: δH(400 MHz; CDCl3) 7.37-7.27 (5H, m, Ar), 6.82-6.72 (3H, m, Ar), 5.34 (1H, sb), 5.10 (2H, s), 3.93-3.87 (1H, ddd), 3.85-3.75 (1H, m), 3.55-3.37 (2H, m), 2.9-2.7 (3H, m), 2.1-2.0 (1H, m), 1.95-1.80 (1H, m)
実施例7
[(S)−2−((S)−6−フルオロ−クロマン−2−イル)−2−ヒドロキシ−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステルの合成
(S,S)−(+)−N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロ−ヘキサン−ジアミノ−コバルト−(II)触媒(14.5mg)をトルエン(1mL)に溶解し、4−ニトロ−安息香酸(8mg)で処理した。溶液を大気中室温で1時間攪拌し、真空濃縮し、粗褐色固体を得た。
得られた触媒残渣に、カルバミン酸ベンジル(97mg)、MTBE(0.5mL)及び(±)−[1S*(S*)]−6−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2−(オキシラン−2−イル)−2H−クロメン(250mg)を加え、混合物を室温で一晩攪拌した。
不均一な混合物が得られ、真空濾過により固体を集め、MTBEで洗うことにより、表題のCBZ−アミノ−アルコールを白色の粉末として得た(HPLC純度:99%、e.e.>99%)。
実施例8
[(S)−2−((R)−6−フルオロ−クロマン−2−イル)−2−ヒドロキシ−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステルの合成
(S,S)−(+)−N,N’−ビス-(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロ−ヘキサン−ジアミノ−コバルト−(II)触媒(58mg)をジクロロメタン(3.0mL)に溶解し、4−ニトロ−安息香酸(35mg)で処理した。溶液を大気中室温で1時間攪拌した。その間に溶液は橙赤色から暗褐色に変化し、続いて真空濃縮し、粗褐色固体を得た。
得られた触媒残渣に、カルバミン酸ベンジル(176mg)、 MTBE(0.5mL)及び(±)−[1S*(R*)]−6−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2−(オキシラン−2−イル)−2H-クロメン(450mg)を加え、混合物を室温で一晩攪拌した。
不均一な混合物が得られ、真空濾過によって固体を集め、MTBEで洗うことにより、表題のCBZ−アミノ−アルコールを白色の粉末として得た(112mg、HPLC純度:99%、e.e.>99%)。
NMR: δH(400 MHz; CDCl3) 7.42-7.32 (5H, m, Ar), 6.84-6.70 (3H, m, Ar), 5.25 (1H, sb), 5.14 (2H, s), 3.97-3.91 (1H, m), 3.87-3.81 (1H, m), 3,74-3.65 (1H, m), 3.44-3.34 (1H, m), 2.91-2.74 (2H, m), 2.25-2.15 (1H, m), 1.90-1.78 (1H, m)
実施例9
[(R)−2−((S)−6−フルオロ−クロマン−2−イル)−2−ヒドロキシ−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステルの合成
(R,R)−(+)−N,N’−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロ−ヘキサン−ジアミノ−コバルト−(II)触媒(29mg)をジクロロメタン(1.5mL)に溶解し、4−ニトロ−安息香酸(16mg)で処理した。溶液を大気中室温で1時間攪拌した。その間に溶液は橙赤色から暗褐色に変化し、続いて真空濃縮し、粗褐色の固体を得た。
得られた触媒残渣に、カルバミン酸ベンジル(175mg)、 MTBE(0.5mL)及び(±)−[1S*(R*)]−6−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2−(オキシラン−2−イル)−2H−クロメン(450mg)を加え、混合物を室温で一晩攪拌した。
不均一な混合物が得られ、真空濾過によって固体を集め、MTBEで洗うことにより、表題のCBZ−アミノ−アルコールを白色の粉末として得た(HPLC純度:99%、e.e.>99%)。
実施例10
2−アミノ−1−[6−フルオロ−(2R)−3H,4H−2−2クロメニル]−(1R)−エタン−1−オールの合成
[(R)−2−((R)−6−フルオロ−クロマン−2−イル)−2−ヒドロキシ−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル(0.250g)の乾燥メタノール(5mL)溶液に、室温で10%Pd−チャコール(8mg)を加え、水素雰囲気下(3バール)攪拌した。
8時間後反応液を濾過し、濾液を真空下濃縮し、表題の化合物(0.14g)を油状物として得た。
実施例11
2−アミノ−1−[6−フルオロ−(2R)−3H,4H−2−2クロメニル]−(1S)−エタン−1−オールの合成
[(S)−2−((R)−6−フルオロ−クロマン−2−イル)−2−ヒドロキシ−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル(0.250g)の乾燥メタノール(5mL)溶液に、室温で10%Pd−チャコール(8mg)を加え、水素雰囲気下(3バール)攪拌した。
8時間後反応液を濾過し、濾液を真空下濃縮し、表題の化合物(0.14g)を油状物として得た。
実施例12
(−)−(R,S,S,S)−α,α’−イミノ−ビス−(メチレン)−ビス−(6−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H,1−ベンゾピラン−2−メタノール)−塩酸塩の合成
実施例6で得られた母液をロータリーエバポレーションで濃縮し、残渣を乾燥t−ブタノール(5mL)に溶解した。2−アミノ−1−[6−フルオロ−(2R)−3H,4H−2−2クロメニル]−(1S)−エタン−1−オールと触媒量のBF3O(Et)2を加え、得られた混合物を4時間還流した。
真空下で溶媒を除去し、食塩水で洗浄し、酢酸エチルで抽出し、Na2SO4乾燥した。揮発性物質を除去することにより濃縮し、残渣をEtOHに溶解し、乾燥HClガスを溶液に通過させ、表題の塩酸塩を生成させた。
NMR:δH(400 MHz; CD3OD) 6.84-6.74 (6H, m), 4.12-3.89 (4H, m), 3.52-3.18 (4H, m), 2.96-2.77 (4H, m), 2.28-2.20 (1 H, m), 2.05-1.86 (2H, m), 1.83-1.72 (1H, m).
実施例13
(+)−(S,R,R,R)−α,α’−イミノ−ビス−(メチレン)−ビス−(6−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H,1−ベンゾピラン−2−メタノール)−塩酸塩の合成
実施例8で得られた母液をロータリーエバポレーションにより濃縮し、残渣を乾燥t−ブタノール(5mL)に溶解した。2−アミノ−1−[6−フルオロ−(2R)−3H,4H−2−2クロメニル]−(1R)−エタン−1−オールと触媒量のBF3O(Et)2を加え、得られた混合物を4時間還流した。
真空下で溶媒を除去し、食塩水で洗浄し、酢酸エチルで抽出し、Na2SO4で乾燥した。揮発性物質を除去することにより濃縮し、残渣をEtOHに溶解し、乾燥HClガスを溶液に通過させ、表題の塩酸塩を生成させた。
NMR: δH(400 MHz; CD3OD) 6.84-6.74 (6H, m), 4.12-3.89 (4H, m), 3.52-3.18 (4H, m), 2.96-2.77 (4H, m), 2.28-2.20 (1 H, m), 2.05-1.86 (2H, m), 1.83-1.72 (1H, m).
実施例14
(S)−1−((R)−6−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−2−イル)−エタン−1,2−ジオールと(R)−2−(ベンジルアミノ)−1−((R)−6−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−2−イル)−エタノールの合成
パートA:(S,S)−(−)−N,N’−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロ−ヘキサン−ジアミノ−コバルト−(II)触媒(12.0mg)をトルエン(0.1mL)に溶解し、AcOH(6.6mg)で処理した。溶液を大気中室温で1時間攪拌し、真空濃縮し、粗褐色固体を得た。
得られた触媒残渣を(2R)−6−フルオロ−2−[(2S)−オキシラン−2−イル]−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン(0.97g)、(2R)−6−フルオロ−2−[(2R)−オキシラン−2−イル]−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン(0.97g)[(R,R)−、(R,S)−エポキシドジアステレオ異性体混合物]及びMTBE(2.36mL)に溶解し、得られた混合物をH2O(0.099g)で処理した。
反応系を25℃で24時間攪拌し続け、その間に不均一な混合物が得られた。
反応系を5℃に冷却し、1時間後真空濾過により固体を集め、MTBE(2.8mL)で洗うことにより、表題のジオールを白色の粉末として得た(0.613g、HPLC純度:97.7%、e.e.>99%)。
パートB:実施例5のパートBに記載の実験手順に従って濾液を処理し、表題のベンジルアミノ−アルコールを白色の粉末として得た。
NMR: δH(400 MHz; CDCl3) 6.83-6.69 (3H, m, Ar), 4.05-3.98 (1H, m), 3.90-3.80 (3H, m), 2.91-2.74 (2H, m), 2.18-2.11 (1H, m), 1.91-1.81 (1H, m).
NMR: δH(400 MHz; CDCl3) 7.39-7,27 (5H, m, Ar), 6.82-6.67 (3H, m, Ar), 4.0-3.76 (4H, m), 3.97-2.7 (4H, m), 2.0-1.8 (2H, m).
実施例15
(R)−1−((S)−6−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−2−イル)−エタン−1,2−ジオールと(S)−2−(ベンジルアミノ)−1−((S)−6−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−2−イル)−エタノールの合成
(R,R)−(−)−N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロ−ヘキサン−ジアミノ−コバルト−(II)触媒の存在以外は実施例14に記載の実験手順に従って行うことによって、(S,R)−、(S,S)−エポキシドジアステレオ異性体混合物において加水分解による動力学的分割を行い、表題のジオールとベンジルアミノ−アルコール両化合物を白色の粉末として得た。

Claims (20)

  1. 次式:
    Figure 0005281012
    (式中、Rは次の基;
    Figure 0005281012
    を表す)
    で表わされるラセミ末端エポキシドの分離方法であって、非ラセミ遷移金属−配位子触媒錯体の存在下で行われる加水分解又はアミノリシスによる動力学的分割を含み、前記非ラセミ遷移金属−配位子触媒錯体はCo−(サレン)触媒錯体であり、前記加水分解又はアミノリシスによる動力学的分割は、求核剤と、式Iで表わされる化合物のラセミ又はジアステレオマー混合物とを、前記Co−(サレン)触媒錯体の存在下で接触させることを含み、前記求核剤は、水、水酸化物、カルボキシレート又はカーバメートであり、次式:
    Figure 0005281012
    (式中、Xはヒドロキシ基又はカーバメートに由来するアミノ基を表す)で表わされるエナンチオマー富化置換アルコール及び次式:
    Figure 0005281012
    で表わされるエナンチオマー富化エポキシドを得る方法。
  2. 前記非ラセミ錯体触媒は、(S,S)−Co(II)(サレン)触媒又は(R,R)−Co(II)(サレン)触媒である、請求項に記載の方法。
  3. 前記非ラセミ錯体触媒は、(S,S)−Co(III)−(サレン)−(p−ニトロベンゾエート)、(R,R)−Co(III)−(サレン)−(p−ニトロベンゾエート)、(S,S)−Co(III)−(サレン)−(アセテート)及び(R,R)−Co(III)−(サレン)−(アセテート)から選択される、請求項に記載の方法。
  4. 前記触媒錯体の量は式Iで表わされる化合物に対して0.01〜10mol%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記の量は0.01〜5mol%である、請求項に記載の方法。
  6. 前記の量は0.05〜1mol%である、請求項に記載の方法。
  7. 前記接触段階−10℃〜50℃で行う、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記接触段階温で行う、請求項に記載の方法。
  9. 前記求核剤は水である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記求核剤はベンジルカーバメートである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法において、前記動力学的分割は次の段階:
    a)触媒錯体の適切な非プロトン性又はプロトン性溶媒への溶解;
    b)有機酸又は無機酸の存在下、適切な酸化剤との反応による触媒錯体の活性化;
    c)活性触媒錯体と式Iで表わされる化合物のラセミ若しくはジアステレオマー混合物及び適切な求核剤との接触;及
    )反応液の濾過、を含む方法。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法において、前記動力学的分割は次の段階:
    a')酸化剤と、式Iで表わされる化合物のラセミ若しくはジアステレオマー混合物、非ラセミ触媒錯体及び有機酸又は無機酸及び適切な求核剤を含む混合物との接触;及び
    b')反応液の濾過、を含む方法。
  13. 前記酸化剤は酸素である、請求項11又は12に記載の方法。
  14. 前記酸素は空気として導入される、請求項13に記載の方法。
  15. 前記触媒錯体の活性化に有機ブレンステッド酸を使用する、請求項11〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 次式:
    Figure 0005281012
    で表わされるラセミ末端エポキシドの分離方法であって、非ラセミ遷移金属−配位子触媒錯体の存在下に行われる加水分解又はアミノリシスによる動力学的分割を含み、前記非ラセミ遷移金属−配位子触媒錯体はCo−(サレン)触媒錯体であり、前記加水分解又はアミノリシスによる動力学的分割は、求核剤と、式Iで表わされる化合物のラセミ又はジアステレオマー混合物とを、前記Co−(サレン)触媒錯体の存在下で接触させることを含み、前記求核剤は、水、水酸化物、カルボキシレート又はカーバメートであり、次式:
    Figure 0005281012
    (式中、Xはヒドロキシ基又はカーバメートに由来するアミノ基を表す)で表わされるエナンチオマー富化置換アルコール及び次式:
    Figure 0005281012
    で表わされるエナンチオマー富化エポキシドを得る方法。
  17. ジアステレオマー混合物としての式Ia:
    Figure 0005281012
    で表わされる部分分割化合物について前記加水分解又はアミノリシスによる動力学的分割を行う、請求項16に記載の方法。
  18. ラセミ混合物としての式Ia:
    Figure 0005281012
    で表わされる部分分割化合物について前記加水分解又はアミノリシスによる動力学的分割を行う、請求項16に記載の方法。
  19. 式Iaで表わされる4種の立体異性体の混合物A及び混合物Bへの部分分割を更に含む、請求項18に記載の方法。
  20. ネビボロールの調製方法であって、請求項1〜19のいずれか1項に記載のラセミ末端エポキシドの分離を含む方法。
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