以下に添付図面を参照して、この発明にかかる錠前装置および施解錠方法の最良な実施形態を詳細に説明する。
本実施形態にかかる錠前装置は、警備装置が設置されている建造物等の監視領域の出入口扉に設けられ、鍵等を利用して施解錠を行う機械的施解錠部と、通電による施解錠を行う電気的施解錠部とを両方兼ね備え、さらに機械的施解錠部と電気的施解錠部の動作を制御する施解錠部ロック機構を備えたものである。そして、本実施形態の錠前装置は、監視領域内(室内)からは、利用者が常に出入口扉を解錠して扉を開放可能となっており、また、監視領域に異常が発生した場合に、駆けつけた警備員等がその監視領域に設置された出入口扉を解錠する鍵等を所持していなくても、出入口扉を解錠して扉を開放できるものである。
図1は、実施形態にかかる錠前装置100の構成を示す説明図である。図1に示すように、本実施形態にかかる錠前装置100は、監視領域内(室内)と監視領域外(室外)との境界に設けられた出入口扉に設置されたフロント1(図2参照)および錠前機構2と、警備装置500と、警備モード操作部510と、操作部600と、外部給電装置700とから主に構成されている。また、錠前機構2は、機械的施解錠部3と、電気的施解錠部4と、施解錠部ロック機構5とから構成されている。
警備装置500は、施解錠部ロック機構5、電気的施解錠部4、警備モード操作部510、および操作部600に接続され、出入口扉が設置されている監視領域を監視(警備)するものである。すなわち、警備装置500は、警備モードが警備状態に設定されている場合に監視領域において異常が発生した場合は、通報先である監視センタへ異常を検知した旨の異常検知情報を通報し、警備モードが警備解除状態に設定されている場合に監視領域において異常が発生した場合には、監視センタへの異常検知情報の通報は行わない。そして、監視センタは、監視領域の警備装置から異常検知情報の通報を受信すると、待機中の警備員に対して異常が検知された監視領域へ向かう旨の指示を出すとともに、必要に応じて警察や消防など関係機関への通報を行うことになる。また、警備装置500は、施解錠部ロック機構5の動作を制御する制御部501を備えている。なお、本実施の形態では、錠前機構2は警備装置500と有線で接続されているが、無線通信により接続された構成としてもよい。
ここで、警備モードとは、監視領域に設置されている各種センサにより窓や扉の開放あるいは人の存在等を検知した際の監視センタへの通報の要否、または、監視領域内への報知の要否など、各種センサの検知動作時の警備装置500の動作を決定するモードである。警備モードには、通報の要否や通報先、監視領域内への報知の要否などによって複数のモードが存在する。代表的な警備モードとしては、各種センサが検知動作を行った場合、例えば、監視領域の異常を監視し、監視領域内への人の入室を検出した場合に、所定の通報先である監視センタに異常検知情報を通報する警備状態と、各種センサが検知動作を行った場合に、監視センタに異常検知情報を通報しない警備解除状態が存在し、警備装置500は、後述する警備モード操作部510から受付けた入力操作に応じて警備モードが設定される。
警備モード操作部510は、警備装置500に接続され、出入口扉付近の監視領域外に設置されており、警備員等の利用者に固有の利用者IDの入力を受付けるものである。さらに、警備モード操作部510は、警備装置500に設定される警備モードとして、警備状態または警備解除状態の設定を受付けるものである。
警備装置500における制御部501は、警備ソレノイド110(後述)に対する通電を制御するものである。すなわち、制御部501は、警備モード操作部510によって受付けた利用者IDが、記憶部(不図示)等に予め定められた利用者IDか否かを照合することによって利用者認証を行い、その利用者認証が成功し、警備モード操作部510により警備解除状態から警備状態の設定を受付けた場合、警備ソレノイド110に電力供給を行って警備ソレノイド110を通電する。また、制御部501は、利用者認証が成功し、警備モード操作部510により警備状態から警備解除状態の設定を受付けた場合、警備ソレノイド110への電力供給を停止して警備ソレノイド110を非通電にする。また、制御部501は、汎用の電源と接続されており、通常時は、かかる汎用の電源から監視領域等に供給される電力等を、警備モード操作部510、操作部600、施解錠部ロック機構5における警備ソレノイド110、電気的施解錠部4におけるソレノイド90(後述)等に供給している。
操作部600は、電気的施解錠部4、警備装置500、および外部給電装置700に接続されており、利用者に固有の利用者IDの入力を受付けるものである。また、操作部600は、電気的施解錠部4を制御する制御部601を備えている。
操作部600の制御部601は、ソレノイド90(後述)に対する通電を制御するものである。すなわち、制御部601は、操作部600によって受付けた利用者IDが、記憶部(不図示)等に予め定められた利用者IDか否かを照合することによって利用者認証を行い、その利用者認証が成功した場合、ソレノイド90に電力供給を行ってソレノイド90を通電する。そして、ソレノイド90を通電した後、予め定められた所定の時間が経過したらソレノイド90への電力供給を停止してソレノイド90を非通電にする。また、制御部601は、通常、警備装置500からの供給された電力によりソレノイド90を通電するが、例えば、停電時等により警備装置500による電力が供給されない場合には、外部給電装置700からの電力供給によって、ソレノイド90を通電または非通電にする。
外部給電装置700は、電気的施解錠部4および操作部600における制御部601に対して独立して電力を供給できるものであり、例えば、電池等が該当する。停電時等により制御部601に警備装置500からの電力供給が受けられない場合に、外部給電装置700が電気的施解錠部4のソレノイド90(後述)や制御部601に電力を供給することで、上述したように停電時にも制御部601によりソレノイド90に対する通電および非通電の制御が可能となる。
錠前機構2における機械的施解錠部3は、電力供給を受けることなく、利用者が鍵やサムターンを利用して錠前機構2が設けられた出入口扉の施解錠を機械的に行う機械錠である。
錠前機構2における電気的施解錠部4は、警備装置500と、操作部600と、外部給電装置700とに接続されており、制御部601により通電されたり、所定時間の経過後に非通電にされることで出入口扉の施解錠を行う電気錠である。また、電気的施解錠部4は、通常は警備装置500から電力供給を受けることにより施解錠を行っているが、停電などにより警備装置500から電力が供給されなくなった場合は、上述のように、外部給電装置700から電力供給を受けることにより施解錠を行う仕組みとなっている。
錠前機構2における施解錠部ロック機構5は、警備装置500と接続されており、監視領域に設定された機械的施解錠部3および電気的施解錠部4の動作を制御するものである。すなわち、施解錠部ロック機構5は、警備装置500の警備モードが警備状態に設定された場合には、機械的施解錠部3および電気的施解錠部4により出入口扉を解錠可能な状態にする動作を不能にする制御を行う。また、施解錠部ロック機構5は、警備装置500の警備モードが警備解除状態に設定された場合には、機械的施解錠部3および電気的施解錠部4により出入口扉を解錠可能な状態にする動作を可能にする制御を行う。
また、施解錠部ロック機構5は、警備装置500の警備モードが警備状態に設定されている場合に、停電等により汎用の電源からの電力が供給されなくなると、機械的施解錠部3および電気的施解錠部4の動作の制御ができなくなり、機械的施解錠部3および電気的施解錠部4は、出入口扉を解錠可能な状態にできる。
次に、フロント1と錠前機構2の詳細について説明する。図2は、本実施の形態にかかる錠前機構2の詳細を示す説明図である。図2に示すように、本実施の形態にかかる錠前機構2には、側面にフロント1が設けられており、デッドロッキングラッチボルト10と、ラッチホールド20と、ラッチヘッド25と、サムターンハブ30と、スライダー40と、ロッキング連結カム50と、ハブロッキング60と、ハンドル部70と、ロッキングレバー80と、ソレノイド90と、警備ソレノイド110と、ソレノイドカム120と、ソレノイドスライダー130とを主に備えている。
本実施の形態にかかる錠前装置100では、サムターンハブ30およびスライダー40により機械的に施解錠を行う機械錠を機械的施解錠部3(図1参照)とし、ソレノイド90およびロッキングレバー80により電気的に施解錠を行う電気錠を電気的施解錠部4(図1参照)とする。また、警備モードの設定に連動して警備ソレノイド110、ソレノイドカム120、およびソレノイドスライダー130により、機械的施解錠部3および電気的施解錠部4の動作を制御する機構を施解錠部ロック機構5とする。
フロント1は、デッドロッキングラッチボルト10とラッチヘッド25が出入する開口部(不図示)を有し、錠前機構2の側面を覆う板状の金属板である。また、フロント1の上部と下部には、錠前機構2を出入口扉に固定するためのねじ穴(不図示)が設けられている。錠前装置100を出入口扉に設置した場合は、錠前機構2が出入口扉に埋め込まれ、フロント1が出入口扉の側面に見える状態となる。
デッドロッキングラッチボルト10は、デッドボルトの機能とラッチボルトの機能を兼ね備えたボルトであり、軸部11を主体として構成されストッパー13、および突部16等を備えた構成となっている。なお、軸部11のフロント1側の端面には、ストッパー13を介在させて先端部12が接続された構造となっている。軸部11は、金属性材料で形成され、内部が空洞となっている。また、この先端部12は、施錠が行われるとフロント1の開口部(不図示)に挿入される部分で、先端が略三角柱形状の金属性材料で形成されている。また、軸部11の他方の端面には、円柱形状の鉄心14が軸部11に対して移動可能に接続されている。
また、軸部11の鉄心14が接続されている側の端面の下部には、下方に向かって突部16が形成されている。この突部16は、ハンドル部70が回動した場合に、ハンドル部70のラッチ下げレバー75a、75bの上端部分の端部72a、72b(後述)に当接して押圧される。この押圧力によりデッドロッキングラッチボルト10は、B方向に移動することになる。
鉄心14は、軸部11と接続されている端面と反対側の端面が錠前機構2の枠部に固定されており、デッドロッキングラッチボルト10がB方向に移動した場合、軸部11の内部に挿入されるものである。また、鉄心14の周囲にはバネ15が設けられており、デッドロッキングラッチボルト10は、バネ15により通常B方向と逆方向に付勢されている。
また、軸部11と先端部12との間に介在するストッパー13は、デッドロッキングラッチボルト10がバネ15により付勢されてB方向と逆方向に移動する場合に、ラッチホールド20の係止部23(後述)に当接することでデッドロッキングラッチボルト10を係止してその移動を阻止するものである。これは、先端部12の先端の略三角柱形状の部分のみフロント1から突出させた状態にすることで、出入口扉が開放された状態から閉鎖される際に、デッドロッキングラッチボルト10の先端部12が出入口の壁面に当接して受けた押圧力によって錠前機構2の内部に挿入されるようにするためである。
なお、上述したような、先端部12の先端の略三角柱形状の部分のみフロント1から突出させた状態で、デッドロッキングラッチボルト10はラッチボルトとして機能するものであり、この状態を空締まり状態という。また、出入口扉が閉鎖した場合に、空締まり状態になると、出入口扉が風圧等で開かないように仮締まりが行われることになる。一方、先端部12の先端の略三角柱形状の部分および略四角柱部分をフロント1から突出させた状態(図2参照)で、デッドロッキングラッチボルト10はデッドボルトとして機能するものであり、この状態を本締まり状態という。
ラッチホールド20は、ラッチヘッド25とともに、デッドロッキングラッチボルト10のフロント1からの突出度合い(突出長さ)を調整することで、デッドロッキングラッチボルト10の状態を、本締まり状態と空締まり状態とに切替えるものである。つまり、ラッチホールド20は、出入口扉が開放された場合に空締まり状態とするために、B方向と逆方向に移動するデッドロッキングラッチボルト10のストッパー13を係止部23に係止させることでその移動を止めるものであり、錠前機構2の枠部に固定された支点21を軸にして回動可能となっている。
また、ラッチホールド20は、支点21の周囲に設けられたバネ(不図示)により付勢されることでR5方向と逆方向に回動しており、図2ではラッチヘッド25に当接することでその回動が阻止されている。ラッチホールド20は、後述するコ字状部材26がC方向へ移動することでその端部27に押圧され、バネによる付勢力に対抗してR5方向に回動する。ラッチホールド20は、R5方向に回動した場合に係止部23によりストッパー13を係止することでデッドロッキングラッチボルト10の移動を阻止する。なお、図2では、ラッチホールド20がR5方向と逆方向に移動した状態である。
ラッチヘッド25は、略三角柱形状の金属性材料で形成されており、ラッチヘッド25のフロント1側と反対側の端部には、断面がコの字形状の金属性材料で形成されたコ字状部材26が固定されている。ラッチヘッド25は、コ字状部材26側に設けられたバネ(不図示)により通常C方向に付勢されているが、出入口扉が閉鎖されている場合は、出入口の壁面により押圧されてC方向と逆方向に押圧されている。従って、ラッチヘッド25は、出入口扉が開放されるとともに出入口の壁面からの押圧が解除されてC方向へ移動し、出入口扉が閉鎖されるとともに出入口の壁面に押圧されてC方向と逆方向に移動して、錠前機構2の内部に挿入される。コ字状部材26は、ラッチヘッド25のC方向の移動に連動してC方向に移動した場合、端部27がラッチホールド20の突起22をC方向に押圧し、ラッチホールド20をR5方向に回動させる。なお、図2では、ラッチヘッド25がC方向と逆方向に移動した状態である。
サムターンハブ30は、出入口扉を施錠状態から解錠可能状態、または解錠可能状態から施錠状態にするために、鍵を挿入して回動操作される監視領域の外部側(室外側)に設けられたシリンダ(不図示)や、つまみ部分を回動操作される監視領域の内部側(室内側)に設けられたサムターン(不図示)が設けられている。
ここで、施錠状態とは、デッドロッキングラッチボルト10の先端がフロント1の開口部を通過して出入口の壁面に挿入され、かつ室外側から出入口扉に設けられたレバーハンドル等を操作してもデッドロッキングラッチボルト10を移動することができず、出入口扉が解錠不可能な状態である。なお、図2の錠前機構2は、施錠状態となっている。
また、解錠可能状態とは、デッドロッキングラッチボルト10の先端がフロント1の開口部を通過して出入口の壁面に挿入され、かつ室外側から出入口扉に設けられたレバーハンドル等を操作するとデッドロッキングラッチボルト10を移動することができ、該移動によりデッドロッキングラッチボルト10が出入口の壁面から抜き出され、出入口扉が解錠可能な状態である。なお、解錠可能状態から、室外側から出入口扉に設けられたレバーハンドル等を操作することでデッドロッキングラッチボルト10が出入口の壁面から抜き出された状態を解錠状態という。
そして、利用者がサムターンハブ30のシリンダまたはサムターンを回動操作すると、そのシリンダまたはサムターンの回動に連動して、サムターンハブ30の内部に設けられた突起部31が図2におけるR1方向(第1方向)またはR1方向と逆方向(第2方向)に回動する。
ここで、サムターンハブ30からの操作力のうち、突起部31をR1方向へ回動操作する操作力(第3操作力)は、出入口扉を施錠状態から解錠可能状態にするものであって、突起部31をR1方向と逆方向へ回動操作する操作力(第4操作力)は、出入口扉を解錠可能状態から施錠状態にするものである。つまり、R1方向は、出入口扉を施錠状態から解錠可能状態にするサムターンハブ30の回動方向となり、R1方向と逆方向は、出入口扉を解錠可能状態から施錠状態にするサムターンハブ30の回動方向となる。
また、サムターンハブ30は、監視領域の利用者が日常使用するものであって、外出する利用者は、監視領域の外側(室外側)のシリンダから錠前装置100の施解錠を行い、帰宅した利用者は、監視領域の内側(室内側)のサムターンから錠前装置100の施解錠を行うための操作に用いられる。
スライダー40は、金属性材料で形成され、サムターンハブ30の回動に連動して、図2における下方であるA方向(第3方向)、または図2における上方であるA方向と逆方向(第4方向)に移動するものである。図3−1は、スライダー40の正面図である。図3−2は、図3−1におけるスライダー40をV1側から見た側面図である。スライダー40は、金属性材料で形成されており、図3−1、3−2に示すように2枚の板状の部材を略垂直に接合したような形状となっている。
また、スライダー40は、図3−1における左上部側に切欠き部42が設けられており、この切欠き部42がサムターンハブ30の突起部31に当接することにより押圧力を受けてA方向、またはA方向と逆方向に移動する。具体的には、サムターンハブ30のR1方向の回動に連動して突起部31がR1方向に回動すると、突起部31が切欠き部42の傾斜部42aに当接して押圧し、スライダー40は下方に向かって押圧されてA方向へ移動する。また、サムターンハブ30のR1方向と逆方向の回動に連動して突起部31がR1方向と逆方向に回動すると、突起部31が切欠き部42の傾斜部42bに当接して押圧し、スライダー40は上方に向かって押圧されてA方向と逆方向へ移動する。なお、図2では、スライダー40がA方向と逆方向へ移動した状態である。
また、スライダー40は、図3−2に示すように、下部に孔部43が設けられ、この孔部43には、ロッキング連結カム50が回動した場合にその回動を阻止しないように、ロッキング連結カム50の一部が挿入されることになる。また、スライダー40は、下端に凹部44が設けられ、A方向に移動することによりこの凹部44の部位44aによりロッキング連結カム50の部位52(図5−1参照)を押圧する。一方、スライダー40は、A方向と逆方向に移動することにより凹部44の部位44aによるロッキング連結カム50の部位52への押圧を解除する。また、スライダー40は、ソレノイド90への通電および非通電によって移動することはない。
ソレノイド90は、電磁石の一種で、電磁誘導の作用によって、電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換するものである。ソレノイド90は、ソレノイド本体91と、鉄心92と、バネ(不図示)とにより主に構成されている。そして、ソレノイド本体91には、孔部が設けられており、その孔部に鉄心92が稼動可能な状態で挿入されている。また、鉄心92の上部は、ロッキングレバー80の連結部83(図4−1参照)と連結されている。
ソレノイド90は、操作部600によって受付けた利用者IDの利用者認証が成功した場合に制御部601により通電され、鉄心92が下方に向かうD方向に移動する。また、ソレノイド90は、制御部601により通電された後、予め定められた所定の時間が経過した場合に非通電にされると、鉄心92がバネ(不図示)の付勢力によりD方向と逆方向に移動する。なお、図2では、ソレノイド90の鉄心92がD方向と逆方向へ移動した状態である。
ロッキングレバー80は、金属性材料で形成され、錠前機構2の枠部に固定された中央付近の支点82を軸にしてソレノイド90の鉄心92の移動に連動してR3方向(第7方向)、またはR3方向と逆方向(第8方向)に回動するものである。図4−1は、ロッキングレバー80の正面図である。図4−2は、図4−1におけるロッキングレバー80をV2側から見た上面図である。図4−3は、図4−1におけるロッキングレバー80をV3側から見た下面図である。図4−4は、図4−1におけるロッキングレバー80をV4側から見た側面図である。図4−1、4−4に示すように、ロッキングレバー80の左側は、上面および両側面に囲まれて下部が開放されたコの字状の内部に空間が形成されている。
ロッキングレバー80は、図4−1における左側の連結部83で、開放された空間内にあるソレノイド90の鉄心92と連結されている。ソレノイド90が通電されて鉄心92がD方向へ移動すると、ロッキングレバー80は、鉄心92に連動してD方向に引っ張られることでR3方向に回動し、右側の端部84がロッキング連結カム50の部位53(図5−1参照)を押圧する。一方、ソレノイド90が非通電にされて鉄心92のD方向への吸引力が解除されることで、バネ(不図示)により鉄心92がD方向と逆方向へ移動されると、ロッキングレバー80は、鉄心92に連動してD方向と逆方向に押し上げられることでR3方向と逆方向に回動し、端部84のロッキング連結カム50の部位53への押圧を解除する。また、ロッキングレバー80は、利用者による操作力を受けたサムターンハブ30の回動には連動しない。なお、図2では、ロッキングレバー80がR3方向と逆方向へ回動した状態である。
ロッキング連結カム50は、スライダー40の移動またはロッキングレバー80の回動に連動して、錠前機構2の枠部に固定された支点51を中心にR2方向(第5方向)、またはR2方向と逆方向(第6方向)に回動するものである。また、ロッキング連結カム50は、その支点51の軸の周囲に設けられたバネ(不図示)によって通常R2方向と逆方向に付勢されている。図5−1は、ロッキング連結カム50の正面図である。図5−2は、図5−1におけるロッキング連結カム50をV5側から見た側面図である。ロッキング連結カム50は、金属性材料で形成されており、図5−1、5−2に示すように板状の部材で形成されている。なお、図2では、ロッキング連結カム50がR2方向と逆方向へ回動した状態である。
ロッキング連結カム50は、スライダー40がA方向に移動することで、スライダー40の凹部44における部位44a(図3−2参照)により部位52が押圧されることで、バネによる付勢力に対抗してR2方向に回動する。一方、スライダー40がA方向と逆方向に移動することで、スライダー40の部位44aからの部位52への押圧が解除されると、バネの付勢力によりR2方向と逆方向に回動する。
また、ロッキング連結カム50は、ソレノイド90が通電されロッキングレバー80がR3方向に回動することで、ロッキングレバー80の端部84により部位53が押圧されることで、バネによる付勢力に対抗してR2方向に回動する。一方、ソレノイド90が非通電にされロッキングレバー80がR3方向と逆方向に回動することで、ロッキングレバー80の端部84からの部位53への押圧が解除されると、バネによる付勢力によりR2方向と逆方向に回動する。
ハブロッキング60は、金属性材料で形成され、ロッキング連結カム50に固定されているため、ロッキング連結カム50の回動に連動して、ロッキング連結カム50の支点51と重なる位置の支点61を中心にR2方向、またはR2方向と逆方向に回動するものである。図6−1は、ハブロッキング60の正面図である。図6−2は、図6−1におけるハブロッキング60をV6側から見た上面図である。図6−3は、図6−1におけるハブロッキング60をV7側から見た側面図である。
ハブロッキング60は、ロッキング連結カム50がスライダー40またはロッキングレバー80により押圧されることでR2方向に回動した場合、その回動に連動してR2方向に回動することで、部位62がハンドル部70のラッチ下げレバー75aの部位76a(後述)と離間する。これにより、ハンドル部70のラッチ下げレバー75aがR4方向に回動することを許容し、解錠可能状態とする。
一方、ハブロッキング60は、ロッキング連結カム50がスライダー40またはロッキングレバー80による押圧が解除されることで、バネによる付勢力によりR2方向と逆方向に回動した場合、その回動に連動してR2方向と逆方向に回動することで、部位62がハンドル部70のラッチ下げレバー75aの部位76a(後述)と当接する。これにより、ハンドル部70のラッチ下げレバー75aがR4方向に回動することを阻止し、施錠状態とする。
なお、ハブロッキング60の部位62は、ラッチ下げレバー75aの部位76aと離間したり当接したりすることでラッチ下げレバー75aの回動を制約しているが、後述するラッチ下げレバー75bとは常に当接しない位置にあるため、ラッチ下げレバー75bの回動を制約することはない。また、図2では、ハブロッキング60がR2方向と逆方向へ回動した状態である。
ハンドル部70は、出入口扉を解錠する際に利用者からの操作力を受付けるものであり、同一形状の2枚のラッチ下げレバー75a、75bと、レバーハンドル(不図示)により構成されている。利用者が操作するレバーハンドル(不図示)は、ラッチ下げレバー75a、75bに形成されたレバーハンドル孔71a、71bにそれぞれ差し込まれて嵌合される。
図2のハンドル部70では、手前側が室外(監視領域外)で、奥側が室内(監視領域内)となっており、手前側に設けられたラッチ下げレバー75aが図示されているが、ラッチ下げレバー75aの奥側にラッチ下げレバー75bが位置している(図12等参照)。そして、室外側のレバーハンドルを操作するとラッチ下げレバー75aが回動し、室内側のレバーハンドルを操作するとラッチ下げレバー75bが回動する。つまり、ラッチ下げレバー75aとラッチ下げレバー75bとは、独立しており、他方の回動によって連動することはない。
また、一端がフロント1に固定され、かつ他端が部材78に接続されたバネ79のF方向と逆方向の付勢力を受けた部材78により、ラッチ下げレバー75a、75bの端部73a、73bが押圧されることで、ラッチ下げレバー75a、75bは、R4方向と逆方向に付勢されている。
図7−1は、室外側のラッチ下げレバー75aの正面図である。図7−2は、図7−1におけるラッチ下げレバー75aをV8側から見た側面図である。ラッチ下げレバー75aは、金属性材料で形成されており、図7−1、7−2に示すように略板状の部材で形成されている。また、ラッチ下げレバー75aには、レバーハンドルが嵌合するレバーハンドル孔71aが形成され、上部に突出した端部72aと、下部に突出した端部73aとが設けられており、端部72aの近傍に突起部74aが形成されている。
また、部位76aは、ハブロッキング60がR2方向と逆方向に回動した場合に、ハブロッキング60の部位62が当接する位置である。この部位76aにハブロッキング60の部位62が当接すると、ラッチ下げレバー75aはR4方向に回動することを阻止されて、施錠状態となる。また、ラッチ下げレバー75aの部位76aからハブロッキング60の部位62が離間すると、ラッチ下げレバー75aはR4方向に回動することを許容されて、解錠可能状態となる。
なお、室内側のラッチ下げレバー75bも、ラッチ下げレバー75aと同一形状をしているため、相当する位置にレバーハンドル孔71b、端部72b、端部73b、突起部74b、部位76b(いずれも不図示)が設けられているが、突起部74bの突出方向がラッチ下げレバー75aと逆方向となっている。また、図2では、ラッチ下げレバー75aがR4方向と逆方向へ回動した状態である。
次に、室外側から出入口扉を解錠状態にする場合について説明する。室外側からの出入口扉を解錠状態にするには、出入口扉が解錠可能状態の場合にのみ可能となっている。従って、解錠可能状態の場合に、利用者から室外側のレバーハンドルをR4方向に回動する操作力(第1操作力)を受付けると、受付けた操作力によりハンドル部70のラッチ下げレバー75aは、レバーハンドル孔71aを軸としてR4方向に回動する。該回動により、ラッチ下げレバー75aの端部72aは、デッドロッキングラッチボルト10の突部16をB方向に押圧し、端部73aは、部材78をF方向に押圧する。つまり、受付けた操作力を端部72aからデッドロッキングラッチボルト10の突部16に伝達することで、デッドロッキングラッチボルト10をB方向に移動させるとともに、受付けた操作力を端部73aから部材78に伝達することで、部材78をF方向に移動させる。これにより、出入口扉を解錠状態にする。また、出入口扉を開放した後、利用者がレバーハンドルから手を離すと、バネ79の付勢力により端部73aがF方向と逆方向に押圧されることで、ハンドル部70のラッチ下げレバー75aは、R4方向と逆方向に回動し、図2の位置まで戻ることになる。
ここで、機械的施解錠部3により解錠可能状態とした際、すなわちサムターンハブ30が回動することでスライダー40が移動することにより解錠可能状態とした際に、室外側から出入口扉を解錠状態にする場合、ロッキングレバー80は、R3方向と逆方向に回動した状態となっている。従って、スライダー40の移動によりラッチ下げレバー75aがR4方向に回動する際、ラッチ下げレバー75aの突起部74aは、ロッキングレバー80の部位85(図4−1参照)を押圧してロッキングレバー80をR3方向に回動させ、湾曲部86(図4−1参照)に沿って移動していく。
次に、室内側から出入口扉を解錠状態にする場合について説明する。室内側からの出入口扉を解錠状態にするには、出入口扉が解錠可能状態および施錠状態のいずれの場合でも可能となっている。これは、ハブロッキング60がラッチ下げレバー75bに当接することがないからである。従って、解錠可能状態および施錠状態のいずれかの場合に、利用者から室内側のレバーハンドルをR4方向に回動する操作力(第2操作力)を受付けると、受付けた操作力によりハンドル部70のラッチ下げレバー75bは、レバーハンドル孔71bを軸としてR4方向に回動する。該回動により、ラッチ下げレバー75bの端部72bは、デッドロッキングラッチボルト10の突部16をB方向に押圧し、端部73bは、部材78をF方向に押圧する。つまり、受付けた操作力を端部72bからデッドロッキングラッチボルト10の突部16に伝達することで、デッドロッキングラッチボルト10をB方向に移動させるとともに、受付けた操作力を端部73bから部材78に伝達することで、部材78をF方向に移動させる。これにより、出入口扉を解錠状態にする。また、ラッチ下げレバー75aと同様に、出入口扉を開放した後、利用者がレバーハンドルから手を離すと、バネ79の不勢力により端部73bがF方向と逆方向に押圧されることで、ハンドル部70のラッチ下げレバー75bは、R4方向と逆方向に回動し、図2の位置まで戻ることになる。
ここで、機械的施解錠部3により解錠可能状態とした際、または施錠状態の際に、室内側から出入口扉を解錠する場合、ロッキングレバー80は、R3方向と逆方向に回動した状態となっている。従って、奥側のラッチ下げレバー75bがR4方向に回動する際、ラッチ下げレバー75bの突起部74bは、ロッキングレバー80の部位85(図4−1参照)を押圧してロッキングレバー80をR3方向に回動させ、湾曲部86(図4−1参照)に沿って移動していく。
警備ソレノイド110は、ソレノイド90と同様に、電磁石の一種で、電磁誘導の作用によって、電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換するものである。警備ソレノイド110は、ソレノイド本体111と、鉄心112と、バネ(不図示)とにより主に構成されている。そして、ソレノイド本体111には、孔部が設けられており、その孔部に鉄心112が稼動可能な状態で挿入されている。また、鉄心112の上部は、ソレノイドカム120の連結部123(図8−1参照)と連結されている。
警備ソレノイド110は、警備モード操作部510によって警備状態の設定を受付けた場合に通電され、鉄心112が左方に向かうE方向に移動する。また、警備ソレノイド110は、警備モード操作部510によって警備解除状態の設定を受付けた場合に非通電にされ、鉄心112がバネ(不図示)の付勢力によりE方向と逆方向に移動する。また、警備ソレノイド110は、警備モードが警備状態に設定されている場合において、停電等により警備装置500からの電力が供給されなくなると、非通電にされた場合と同様に、鉄心112がバネの付勢力によりE方向と逆方向に移動する。なお、図2では、警備ソレノイド110の鉄心112がE方向と逆方向へ移動した状態である。
ソレノイドカム120は、金属性材料で形成され、錠前機構2の枠部に固定された中央付近の支点121を軸にして警備ソレノイド110の鉄心112の移動に連動してR6方向、またはR6方向と逆方向に回動するものである。図8−1は、ソレノイドカム120の正面図である。図8−2は、図8−1におけるソレノイドカム120をV9側から見た側面図である。ソレノイドカム120は、図8−1、8−2に示すように板状の部材で形成され、上部に突出した端部122と、下部に警備ソレノイド110の鉄心112と連結する連結部123が設けられている。
警備ソレノイド110が通電されて鉄心112がE方向へ移動すると、ソレノイドカム120は、鉄心112に連動して連結部123がE方向に引っ張られることでR6方向に回動し、端部122がソレノイドスライダー130の部位131b(図9−2参照)をE方向と逆方向に押圧する。一方、警備ソレノイド110が非通電にされて鉄心112のE方向への吸引力が解除されることで鉄心112がE方向と逆方向へ移動すると、ソレノイドスライダー130は、鉄心112に連動して連結部123がE方向と逆方向に押圧されることでR6方向と逆方向に回動し、端部122がソレノイドスライダー130の部位131a(図9−2参照)をE方向に押圧する。なお、図2では、ソレノイドカム120がR6方向と逆方向へ回動した状態である。
ソレノイドスライダー130は、金属性材料で形成され、警備ソレノイド110の鉄心112にソレノイドカム120を介して連結されており、警備ソレノイド110への通電に連動して右方であるG方向(第9方向)に移動することでロッキング連結カム50のR2方向の回動を不能とし、警備ソレノイド110への非通電に連動してG方向と逆方向(第10方向)に移動することでロッキング連結カム50のR2方向の回動を可能とするものである。図9−1は、ソレノイドスライダー130の正面図である。図9−2は、図9−1におけるソレノイドスライダー130をV10側から見た下面図である。ソレノイドスライダー130は、図9−1に示すように板状の部材で形成され、左手前側に凹部131が形成され、右側面側に凹部132が形成されている。また、凹部131にはソレノイドカム120の端部122(図8−1参照)が嵌まり込み、凹部132にはロッキング連結カム50の部位54(図5−1参照)が嵌まり込む(図2参照)。
ソレノイドスライダー130は、警備ソレノイド110が通電されてソレノイドカム120がR6方向に回動することで、端部122により凹部131の部位131bが押圧されることで、G方向に移動する。そうすると、ソレノイドスライダー130の凹部132の部位132aとロッキング連結カム50の部位54との隙間が狭くなって、ロッキング連結カム50がR2方向に回動する余裕がなくなり、ロッキング連結カム50のR2方向の回動を不能とする。これにより、機械錠のスライダー40または電気錠のロッキングレバー80によってロッキング連結カム50を回動させることができなくなるため、ハブロッキング60の部位62をラッチ下げレバー75aから離間させることを不能とすることになる。つまり、機械的施解錠部3または電気的施解錠部4によって、出入口扉を施錠状態から解錠可能状態にする動作を無効にする状態(動作無効状態)となる。
また、ソレノイドスライダー130は、G方向に移動することで、スライダー40がA方向に移動しようとした場合に、ソレノイドスライダー130の端部133がスライダー40の下端部45(図3−2参照)に当接して、その移動を阻止することができる。従って、警備モードが警備状態に設定されている際には、物理的にスライダー40がA方向に移動できなくなるため、サムターンハブ30を操作している利用者に監視領域が警備状態に設定されていることを認識させることができる。そのため、警備状態に設定された監視領域に利用者が入ることによる誤報を防止することができる。また、物理的にスライダー40の移動を阻止しているため、ピッキング防止としても有効である。
一方、ソレノイドスライダー130は、警備ソレノイド110が非通電されてソレノイドカム120がR6方向と逆方向に回動することで、端部122により凹部131の部位131aが押圧されることで、G方向と逆方向に移動する。そうすると、ソレノイドスライダー130の凹部132の部位132aとロッキング連結カム50の部位54との隙間が広くなって、ロッキング連結カム50がR2方向に回動する余裕ができ、ロッキング連結カム50のR2方向の回動を可能とする。これにより、機械錠のスライダー40または電気錠のロッキングレバー80によってロッキング連結カム50を回動させることが可能となるため、ハブロッキング60の部位62をラッチ下げレバー75aから離間させることを可能とすることになる。つまり、機械的施解錠部3または電気的施解錠部4によって、出入口扉を施錠状態から解錠可能状態にする動作が可能な状態(動作可能状態)となる。
本実施形態の錠前装置100は、上述のように、機械的施解錠部3、電気的施解錠部4、および施解錠部ロック機構5から構成されており、機械的施解錠部3の動作のみ、もしくは電気的施解錠部4の動作のみで施解錠を行うことができる構成となっている。すなわち、本実施の形態の錠前装置100は、デッドロッキングラッチボルト10の移動と、機械的施解錠部3と、電気的施解錠部4とが全て連動する構成を取っておらず、機械的施解錠部3と電気的施解錠部4とを連結する連結部材が不要となっているため、簡易な構成となっている。そして、機械的施解錠部3および電気的施解錠部4による操作を、警備モードと連動させて施解錠部ロック機構5により制御しているため、警備状態に設定された監視領域に利用者が入ることによる誤報を防止することができる。
次に、錠前装置100の動作について説明する。なお、サムターンハブ30からの操作により、出入口扉を施錠状態または解錠可能状態にする場合を機械的施解錠とし、ソレノイド90の通電・非通電により出入口扉を施錠状態または解錠可能状態にする場合を電気的施解錠とする。
図2に示す錠前装置100は、施錠状態で、かつ警備モードが警備解除状態に設定されており、機械的施解錠部3または電気的施解錠部4により出入口扉を施錠状態から解錠可能状態にする動作が可能な状態(動作可能状態)となっている。そして、まず、図2に示す施錠状態の錠前装置100において、警備モードが警備解除状態から警備状態に設定されることで、機械的施解錠部3または電気的施解錠部4により出入口扉を施錠状態から解錠可能状態にする動作を無効にする状態(動作無効状態)にする場合について、図2および図10を参照して説明する。図10は、本実施形態にかかる施錠状態の錠前装置100において警備モードが警備状態に設定された場合を示す図である。
図2に示す錠前装置100は、施錠状態であるとともに、警備モードが警備解除状態に設定されている。すなわち、施錠状態の錠前装置100は、ロッキング連結カム50がR2方向と逆方向に回動していることで、ハブロッキング60がラッチ下げレバー75aに当接し、ラッチ下げレバー75aがR4方向に回動することができないため、利用者が室外側からレバーハンドルを操作してもラッチ下げレバー75aがデッドロッキングラッチボルト10をB方向に移動させることができない。そして、警備モードが警備解除状態に設定された錠前装置100は、警備ソレノイド110が非通電となっていることで、ソレノイドスライダー130がG方向と逆方向に移動しているため、スライダー40またはロッキングレバー80に押圧されることによって、ロッキング連結カム50がR2方向に回動可能となっている。
この状態において、警備モード操作部510から利用者により警備状態の設定を受付けると、警備装置500の制御部501が警備ソレノイド110を通電する。警備ソレノイド110が通電され、鉄心112がE方向に移動すると、鉄心112に連結されているソレノイドカム120がR6方向に回動し、ソレノイドカム120が嵌め込まれているソレノイドスライダー130は、G方向に移動する。そして、ソレノイドスライダー130がG方向に移動すると、ソレノイドスライダー130とロッキング連結カム50との隙間が狭くなって、ロッキング連結カム50がR2方向に回動する余裕がなくなり、ロッキング連結カム50のR2方向の回動が不能となる。これにより、スライダー40の移動またはロッキングレバー80の回動によって、ロッキング連結カム50を回動させることができなくなるため、ロッキング連結カム50に固定されたハブロッキング60の部位62をラッチ下げレバー75aから離間させることができなくなり、動作無効状態となる。
次に、図10に示す施錠状態の錠前装置100において、警備モードが警備状態から警備解除状態に設定されることで、動作可能状態にする場合について、図2および図10を参照して説明する。
図10に示す錠前装置100は、施錠状態であるとともに、警備モードが警備状態に設定されている。この状態において、警備モード操作部510から利用者により警備解除状態の設定を受付けると、警備装置500の制御部501が警備ソレノイド110を非通電にする。警備ソレノイド110が非通電にされ、鉄心112がE方向と逆方向に移動すると、鉄心112に連結されているソレノイドカム120がR6方向と逆方向に回動し、ソレノイドカム120が嵌め込まれているソレノイドスライダー130は、G方向と逆方向に移動する。そして、ソレノイドスライダー130がG方向と逆方向に移動すると、ソレノイドスライダー130とロッキング連結カム50との隙間が広くなって、ロッキング連結カム50がR2方向に回動する余裕ができ、ロッキング連結カム50のR2方向の回動が可能となる。これにより、スライダー40の移動またはロッキングレバー80の回動によって、ロッキング連結カム50を回動させることができるため、ロッキング連結カム50に固定されたハブロッキング60の部位62をラッチ下げレバー75aから離間させることができ、動作可能状態となる。
次に、図2に示す施錠状態の錠前装置100から、サムターンハブ30を操作することにより解錠可能状態にされた場合の動作(機械的解錠)について、図2および図11を参照して説明する。なお、警備モードは警備解除状態の設定のままである。図11は、本実施形態にかかる解錠可能状態の錠前装置100を示す図である。
図2に示す施錠状態の錠前装置100において、利用者からサムターンハブ30をR1方向へ回動する操作力を受付けると、サムターンハブ30に連動して突起部31がR1方向へ回動する。そして、突起部31が回動することで突起部31がスライダー40の傾斜部42aを下方に向かって押圧し、スライダー40がA方向へ移動する。そして、スライダー40は、A方向に移動することで凹部44の部位44a(図3−2参照)によりロッキング連結カム50の部位52を押圧し、ロッキング連結カム50がバネの付勢力に対抗してR2方向に回動する。さらに、ロッキング連結カム50の回動に連動してハブロッキング60がR2方向に回動することで、ハブロッキング60の部位62がハンドル部70のラッチ下げレバー75aの部位76aから離間する。これにより、レバーハンドルから利用者による操作力を受け付けた場合、ハンドル部70のラッチ下げレバー75aがR4方向に回動することができるため、図11に示すように、錠前装置100が解錠可能状態となる。
次に、図11に示す解錠可能状態の錠前装置100において、室外側からハンドル部70を操作することにより出入口扉が開放状態にされる場合の動作について、図11、図12、および図13を参照して説明する。図12は、本実施形態にかかる解錠可能状態の錠前装置100において室外側からハンドル部70が操作された解錠状態を示す図である。図13は、本実施形態にかかる出入口扉が開放されて空締まり状態の錠前装置100を示す図である。
図11に示す錠前装置100は、ハブロッキング60がラッチ下げレバー75aから離間しているため、ラッチ下げレバー75aがR4方向に回動することができる状態である。この状態で、室外側から利用者によりレバーハンドルをR4方向に回動する操作力を受付けると、受付けた操作力によりラッチ下げレバー75aがR4方向に回動する。このとき、ラッチ下げレバー75aの端部72aは、デッドロッキングラッチボルト10の突部16をB方向に押圧し、端部73aは、部材78をF方向に押圧する。つまり、受付けた操作力を端部72aからデッドロッキングラッチボルト10の突部16に伝達することで、デッドロッキングラッチボルト10をB方向に移動させるとともに、受付けた操作力を端部73aから部材78に伝達することで、部材78をバネ79の付勢力に対向してF方向に移動させ、図12に示すように、錠前装置100が解錠状態となる。
図12に示す錠前装置100において、出入口扉が開放される際、出入口の壁面からの押圧が解除されたラッチヘッド25がバネの付勢力によりC方向へ移動するとともに、ラッチヘッド25に固定されているコ字状部材26もC方向へ移動する。コ字状部材26がC方向へ移動すると、端部27がラッチホールド20の突起22をC方向に押圧して、ラッチホールド20はR5方向に回動する。
そして、出入口扉が開放された後に利用者がレバーハンドルから手を離すと、バネ79の付勢力により部材78を介して端部73aがF方向と逆方向に押圧されることで、ハンドル部70のラッチ下げレバー75aはR4方向と逆方向に回動し、図11の位置まで戻ることになる。このとき、デッドロッキングラッチボルト10は、図11に示す施錠状態まで戻らない。
これは、デッドロッキングラッチボルト10がバネ15により付勢されてB方向と逆方向に移動している途中で、ストッパー13がR5方向に回動したラッチホールド20の係止部23に当接することで係止されるため、図11におけるデッドロッキングラッチボルト10の位置までは戻らない。従って、図13に示すように、デッドロッキングラッチボルト10の先端部12の先端の略三角柱形状の部分のみフロント1から突出させた状態となる。これにより、レバーハンドルからの操作力を受付けなくとも、出入口扉が閉鎖される場合の出入口の壁面から先端部12の略三角柱形状の部分への押圧力により、デッドロッキングラッチボルト10が一旦錠前機構2に挿入されて出入口扉が閉鎖されることになる。
また、出入口扉が閉鎖される際、出入口の壁面から押圧されてラッチヘッド25がバネの付勢力に対抗してC方向と逆方向へ移動するとともに、ラッチヘッド25に固定されているコ字状部材26もC方向と逆方向へ移動する。コ字状部材26がC方向と逆方向へ移動すると、端部27によるラッチホールド20の突起22へのC方向の押圧が解除されて、ラッチホールド20はバネの付勢力によりR5方向と逆方向に回動する。そして、出入口の壁面からの押圧力により一旦錠前機構2に挿入されたデッドロッキングラッチボルト10は、バネ15の付勢力によりB方向と逆方向に移動して、ラッチホールド20がR5方向と逆方向へ回動したためにストッパー13が係止部23に係止されることなく、出入口の壁面に先端部12が挿入されて解錠可能状態となる(図11参照)。
次に、図11に示す解錠可能状態の錠前装置100から、サムターンハブ30を操作することにより施錠状態にされた場合の動作(機械的施錠)について、図11および図2を参照して説明する。
図11に示す解錠可能状態の錠前装置100において、利用者からサムターンハブ30をR1方向と逆方向へ回動する操作力を受付けると、サムターンハブ30に連動して突起部31がR1方向と逆方向へ回動する。そして、突起部31が回動することで突起部31がスライダー40の傾斜部42bを上方に向かって押圧し、スライダー40がA方向と逆方向へ移動する。そして、スライダー40は、A方向と逆方向に移動することで凹部44の部位44a(図3−2参照)によるロッキング連結カム50の部位52への押圧を解除し、ロッキング連結カム50がバネの付勢力によりR2方向と逆方向に回動する。さらに、ロッキング連結カム50の回動に連動して、ハブロッキング60がR2方向と逆方向に回動することで、ハブロッキング60の部位62がハンドル部70のラッチ下げレバー75aの部位76aに当接する。これにより、レバーハンドルから利用者による操作力を受け付けた場合、ハンドル部70のラッチ下げレバー75aがR4方向に回動することができないため、図2に示すように、錠前装置100が施錠状態となる。
このように、サムターンハブ30からの操作による機械的施解錠においては、錠前装置100により出入口扉を施錠状態から解錠可能状態にして、出入口扉を一旦開放した後、閉鎖した場合でも解錠可能状態には戻るが施錠状態には戻らない。すなわち、解錠可能状態から施錠状態にする場合は、サムターンハブ30からの操作を行うことで施錠状態にしなければならない。
次に、図2に示す施錠状態の錠前装置100から、ソレノイド90を通電することにより解錠可能状態にされた場合の動作(電気的解錠)について、図2および図14を参照して説明する。図14は、本実施形態にかかる解錠可能状態の錠前装置100を示す図である。
図2に示す施錠状態の錠前装置100において、ソレノイド90が通電されると、鉄心92がD方向へ移動する。鉄心92がD方向へ移動すると、鉄心92に連結されている連結部83がD方向に引っ張られてロッキングレバー80がR3方向に回動し、ロッキングレバー80の端部84がロッキング連結カム50の部位53を押圧する。そして、ロッキング連結カム50は、部位53が押圧されることで、バネによる付勢力に対抗してR2方向に回動する。さらに、ロッキング連結カム50の回動に連動して、ハブロッキング60がR2方向に回動することで、ハブロッキング60の部位62がハンドル部70のラッチ下げレバー75aの部位76aから離間する。これにより、レバーハンドルから利用者による操作力を受け付けた場合、ハンドル部70のラッチ下げレバー75aがR4方向に回動することができるため、図14に示すように、錠前装置100が解錠可能状態となる。
次に、図14に示す解錠可能状態の錠前装置100において、室外側からハンドル部70を操作することにより出入口扉が開放状態にされる場合の動作について、図14および図15を参照して説明する。図15は、本実施形態にかかる解錠可能状態の錠前装置100において室外側からハンドル部70が操作された解錠状態を示す図である。
図14に示す錠前装置100は、ハブロッキング60がラッチ下げレバー75aから離間しているため、ラッチ下げレバー75aがR4方向に回動することができる状態である。この状態で、室外側から利用者によりレバーハンドルをR4方向に回動する操作力を受付けると、受付けた操作力によりラッチ下げレバー75aがR4方向に回動する。このとき、ラッチ下げレバー75aの端部72aは、デッドロッキングラッチボルト10の突部16をB方向に押圧し、端部73aは、部材78をF方向に押圧する。つまり、受付けた操作力を端部72aからデッドロッキングラッチボルト10の突部16に伝達することで、デッドロッキングラッチボルト10をB方向に移動させるとともに、受付けた操作力を端部73aから部材78に伝達することで、部材78をF方向に移動させ、図15に示すように、錠前装置100が解錠状態となる。
図15に示す錠前装置100において、出入口扉が開放され、その後出入口扉が閉鎖される場合については、機械的施解錠と同様であるため、説明を省略する(図13等参照)。
次に、図14に示す解錠可能状態の錠前装置100から、ソレノイド90を非通電にすることにより施錠状態にされた場合の動作(電気的施錠)について、図14および図2を参照して説明する。
図14に示す解錠可能状態の錠前装置100において、ソレノイド90は、通電された後に予め定められた所定の時間が経過すると、ソレノイド90が非通電にされ、ソレノイド90による鉄心92のD方向への吸引力が解除されることで鉄心92がD方向と逆方向へ移動する。そして、ロッキングレバー80は、鉄心92に連動してD方向と逆方向に押し上げられることでR3方向と逆方向に回動し、端部84のロッキング連結カム50の部位53への押圧を解除し、ロッキング連結カム50がバネの付勢力によりR2方向と逆方向に回動する。さらに、ロッキング連結カム50の回動に連動して、ハブロッキング60がR2方向と逆方向に回動することで、ハブロッキング60の部位62がハンドル部70のラッチ下げレバー75aの部位76aに当接する。これにより、レバーハンドルから利用者による操作力を受け付けた場合、ハンドル部70のラッチ下げレバー75aがR4方向に回動することができないため、図2に示すように、錠前装置100が施錠状態となる。
このように、ソレノイド90が非通電にされることによる電気的施錠においては、予め定められた所定の時間が経過すると、利用者が改めて別の操作を行なわなくても、錠前装置100により出入口扉は解錠可能状態から施錠状態に戻ることになる。すなわち、施錠状態において解錠可能状態にする操作を行うだけで、解錠可能状態になってから施錠状態に戻ることになる。
次に、図2に示す施錠状態の錠前装置100において、室内側からハンドル部70を操作することにより出入口扉が開放状態にされる場合の動作について、図2および図16を参照して説明する。図16は、本実施形態にかかる施錠状態の錠前装置100において室内側からハンドル部70が操作された解錠状態を示す図である。
図2に示す施錠状態の錠前装置100において、ラッチ下げレバー75bとハブロッキング60は当接することがないため、室内側から利用者によりレバーハンドルをR4方向に回動する操作力を受付けると、受付けた操作力によりラッチ下げレバー75bがR4方向に回動する。このとき、ラッチ下げレバー75bの端部72bは、デッドロッキングラッチボルト10の突部16をB方向に押圧し、端部73bは、部材78をバネ79の付勢力に対抗してF方向に押圧する。つまり、受付けた操作力を端部72bからデッドロッキングラッチボルト10の突部16に伝達することで、デッドロッキングラッチボルト10をB方向に移動させるとともに、受付けた操作力を端部73bから部材78に伝達することで、部材78をF方向に移動させ、図16に示すように、錠前装置100が解錠状態となる。そして、利用者がレバーハンドルから手を離すと、バネ79の付勢力により端部73bがF方向と逆方向に押圧されることで、ハンドル部70のラッチ下げレバー75bはR4方向と逆方向に回動し、図2の位置まで戻ることになる。
ここでは、施錠状態の錠前装置100を室内側から解錠状態にした例を示しているが、警備解除状態の錠前装置100にも適用できる。さらに、ラッチ下げレバー75bとソレノイドスライダー130も当接することがないため、警備モードが警備解除状態に設定されていても、警備状態に設定されていても適用することができる。
このように、室内側に設けられたラッチ下げレバー75bは、ハブロッキング60と当接することがないため、室内側からは、施錠状態であっても解錠可能状態であっても常に出入口扉を解錠状態にすることができる。すなわち、施錠状態でも解錠可能状態でも、室内側のレバーハンドルを操作するだけで、解錠状態にすることができる。
次に、監視領域の警備モードが警備状態に設定されている際に、例えば停電時等により、警備装置500に汎用の電源から電力が供給されなくなった場合について説明する。通常、警備モードが警備状態に設定されている場合、警備ソレノイド110が通電されることにより施解錠部ロック機構5のソレノイドスライダー130がG方向に移動する。そして、この移動したソレノイドスライダー130により、ロッキング連結カム50のR2方向の回動を不能にすることで、動作無効状態となっている。
しかし、警備装置500に汎用の電源から電力が供給されなくなった場合、警備モードが警備状態に設定されていても、電力が供給されないことにより警備ソレノイド110が非通電にされる。そして、警備ソレノイド110が非通電にされることにより施解錠部ロック機構5のソレノイドスライダー130がバネの付勢力によりG方向と逆方向に移動すると、ロッキング連結カム50のR2方向の回動が可能となり、動作可能状態となる。
このとき、機械的施解錠部3は、利用者によりサムターンハブ30が回動操作されることで、スライダー40が移動してロッキング連結カム50を押圧して出入口扉を解錠可能状態にすることができる。一方、電気的施解錠部4は、警備装置500からは電力が供給されないが、外部給電装置700により供給された電力によって、ソレノイド90を通電する。そして、該通電によりソレノイド90の鉄心92を移動させることで、ロッキングレバー80が回動してロッキング連結カム50を押圧して出入口扉を解錠可能状態にすることができる。
次に、機械的施解錠部3により出入口扉を解錠可能状態にされている場合に、監視領域の警備モードを警備解除状態から警備状態に設定した場合について説明する。機械的施解錠部3により出入口扉を解錠可能状態にされている場合は、スライダー40がA方向に移動している。この状態で、警備モードが警備状態に設定されると、警備ソレノイド110が通電され、施解錠部ロック機構5のソレノイドスライダー130がG方向に移動するが、A方向に移動しているスライダー40の下端部45に当たるため、図10のように、ソレノイドスライダー130は錠前機構2の枠部まで移動することができない。
このような場合でも、その後、利用者によりサムターンハブ30をR1方向と逆方向に回動操作されると、サムターンハブ30の突起部31によりスライダー40はA方向と逆方向に移動される。この時、ソレノイドスライダー130は、警備ソレノイド110が通電されているため、スライダー40がA方向と逆方向に移動されるとG方向に移動する。そして、ソレノイドスライダー130は、図10のように、錠前機構2の枠部まで移動することができ、スライダー40の下方に位置することになる。
さらにその後、利用者によりサムターンハブ30をR1方向に回動操作されても、ソレノイドスライダー130がスライダー40の下方に位置するため、スライダー40はA方向に移動することができなくなる。つまり、警備モードを警備解除状態から警備状態に設定した際に、錠前装置100が機械的施解錠部3により出入口扉を解錠可能状態にされていても、一旦機械的施解錠部3により出入口扉を施錠状態にされれば、警備モードを警備解除状態に設定しない限り、再度解錠可能状態にすることはできなくなる。
また、上述のように、機械的施解錠部3により出入口扉を解錠可能状態にされている場合に、監視領域の警備モードを警備解除状態から警備状態に設定した場合、錠前装置100が解錠可能状態であることを利用者が認識できず、そのまま外出してしまうことが考えられる。従って、警備モード操作部510に種々の情報を表示するLCD等の表示部を備え、その旨を表示してもよい。すなわち、制御部501は、警備モード操作部510により警備モードを警備解除状態から警備状態の設定を受付けた際に、サムターンハブ30に設けたセンサ(不図示)によって、サムターンハブ30がR1方向に回動した状態である旨が検知された場合、錠前装置100が解錠可能状態である旨を、警備モード操作部510に設けた表示部に表示する構成としてもよい。また、制御部501は、警備状態の設定を受けてなくとも、サムターンハブ30により設けたセンサ(不図示)によって、サムターンハブ30がR1方向に回動した状態である旨が検知された場合、錠前装置100が解錠可能状態である旨を、警備モード操作部510に設けた表示部に表示するように構成してもよい。このように構成することで、利用者は、錠前装置100が解錠可能状態であることを認識することができ、外出時に出入口扉を施錠状態にすることを失念せずにすむ。
また、操作部600に種々の情報を表示するLCD等の表示部を備え、その旨を表示してもよい。すなわち、制御部601は、警備モード操作部510により警備モードを警備解除状態から警備状態の設定を受付けた際に、サムターンハブ30に設けたセンサ(不図示)によって、サムターンハブ30がR1方向に回動した状態である旨が検知された場合、錠前装置100が解錠可能状態である旨を、操作部600に設けた表示部に表示する構成としてもよい。また、上記と同様、警備状態の設定を受けてなくとも、サムターンハブ30がR1方向に回動した状態である旨が検知された場合に、操作部600に錠前装置100が解錠可能状態である旨を表示するように構成してもよい。
また、本実施の形態では、警備モードを警備状態に設定しなくとも、出入口扉を施錠状態にすることが可能となっているが、出入口扉を施錠状態にしなければ、警備モードを警備解除状態から警備状態に設定することができない構成としてもよい。
このように、本実施形態の錠前装置100は、鍵等を利用して施解錠を行う機械的施解錠部3と、通電による施解錠を行う電気的施解錠部4とを備え、さらに機械的施解錠部3と電気的施解錠部4の動作を制御する施解錠部ロック機構5を備えたものである。そして、レバーハンドルを回動させるという簡易な操作により室内側からは出入口扉を常時開放可能となっているため、正規の利用者に煩雑な操作を強要せず利便性の低下を回避できる。また、本実施形態の錠前装置100は、常時出入口扉を開放することができるため、監視領域に異常が発生した場合などでも室内に利用者が閉じ込められることを防止することができる。さらに、本実施形態の錠前装置100は、室内側に施解錠を行う操作機構を設ける必要がなく、簡易な構成とできるため、製造および設置費用を軽減できる。
また、本実施形態の錠前装置100は、警備モードを警備状態から警備解除状態に設定しなければ、機械的施解錠部3および電気的施解錠部4から出入口扉を解錠可能状態にすることができないため、警備状態に設定された監視領域に利用者が入ることによる誤報を防止することができる。また、本実施形態の錠前装置100は、警備員等が事前に監視領域の出入口扉を解錠する鍵を受領しなくても、操作部600に利用者IDを入力することで出入口扉の施解錠を行うことができるため、出入口扉の鍵の保管場所の確保および管理の負担を軽減することができる。
なお、本実施形態の錠前装置100では、ラッチ下げレバー75aが移動可能か否かにより、出入口扉を施錠状態または解錠可能状態とする構成となっているが、これに限定されることはなく、ラッチ下げレバー75aがデッドロッキングラッチボルト10に当接可能か否かにより、出入口扉を施錠状態または解錠可能状態とする構成にしてもよい。すなわち、ラッチ下げレバー75aがデッドロッキングラッチボルト10に当接不能である場合には、ラッチ下げレバー75aを移動してもデッドロッキングラッチボルト10を移動できず出入口扉は施錠状態となり、ラッチ下げレバー75aがデッドロッキングラッチボルト10に当接可能である場合には、ラッチ下げレバー75aを移動するとデッドロッキングラッチボルト10が移動できて出入口扉は解錠可能状態となる構成としてもよい。
また、本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。