JP5279138B2 - 官能化ポリプロピレンベースポリマー - Google Patents

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Description

本発明は官能化プロピレンベースポリマー及びこの製造方法に関する。より具体的には、本発明は官能化プロピレン−ジエンコポリマー及びこれを過酸化グラフト技術により製造する方法に関する。
ポリプロピレンベースグラフトポリマーはポリプロピレンを含む各種ポリマーブレンドのコンパチビライザーとして有用である。ポリプロピレンベースグラフトコポリマーはポリオレフィンと、ガラス、金属、ミネラル、充填剤、極性ポリマー、及びポリアミド等のエンジニアリングプラスチックを含む他の基材との接着剤としてのほかに、ブレンドの成分として用いることができる。
官能化ポリプロピレンベースポリマーはポリプロピレン主鎖の過酸化グラフトにより製造することができる。ポリオレフィン主鎖のグラフト形成の間に、フリーラジカルが形成される。そのようなラジカルはポリマー主鎖上でのグラフト反応を誘引するだけではなく、主鎖自身をベータ切断する原因ともなる。グラフトの程度が高くなり及びプロセス条件がより過酷になると、結果として、ポリマー分子量の減少が深刻な問題となる。前記ベータ切断反応は特に前記ポリオレフィン主鎖中の三級炭素原子の周囲にまで行き渡る。過酸化グラフトにより高度に官能化されたプロピレンベース主鎖は、かなりの分子量、粘度、及び溶融強度が失なわれている。
ポリプロピレン(PP)を過酸化物の存在下で無水マレイン酸で官能化して、無水マレイン酸グラフトポリプロピレンを製造することが長年に渡り行われている。前記無水マレイン酸グラフトポリプロピレンは、ポリアミドポリプロピレンブレンドのコンパチビライザーのほかにガラスと金属充填されたポリプロピレン化合物との粘着促進剤として用いられている。前記グラフトされたポリプロピレンベースポリマーは金属又は極性物質(極性ポリマーを含む)の上へ接着される他の製品にも用いられている。最近、グラフトされたポリプロピレンはPP化合物を充填した天然繊維におけるカップリング剤としての用途が見つかっている。グラフト工程の間、マクロラジカルが生成され、無水マレイン酸との反応の前にベータ切断が起こる。この結果、一般的に、グラフトレベルが低くなり、得られた官能化ポリプロピレンは分子量が低くなる。高度に官能化されたポリプロピレンベースポリマーを入手するためには、過酸化物の量を増やす必要があり、このことが更なるMW減少を引き起こす。従前の文献である、M. Lambla et al. in Makromol. Chem., Macromol Svmp., 75, 137 (1993)において、無水マレイン酸のグラフト産生性は初期の濃度に対する単調関数ではなく、生産性が減少する前に最大になることが記載されている。最大化が存在するということは溶融ポリプロピレン中の無水マレイン酸の溶解性が限定されていることに関連している。無水マレイン酸供給が増えると、ポリプロピレン/無水マレイン酸/過酸化物混合物は準均一から、溶融ポリプロピレン中に分散された無水マレイン酸/過酸化物粒を含む、より不均一な系へと変化すると信じられている。
EP777693は酸価が4.5より大きく、黄色味指数が76を超えず、及び少なくとも20,000の数平均分子量を有するマレイン化されたポリプロピレンを開示する。この酸価は重量%の無水マレイン酸含量に換算することができる。数平均分子量はMw/Mn比と相互依存することから、MFRに逆比例する重量平均Mwに変換することができる。EP777693は、黄色味を有しておらず、相対的に分子量の高いかつ高度にグラフトされたポリマーを生産することを目的としているが、このポリマーは柔軟性が不十分であり、依然として分子量の崩壊が生じていた。
米国特許No.5,670,595はポリプロピレンの溶融強度、押出成形コーティングにおけるドローダウン比(draw−down ratio)の低さ、押出発泡物質における泡形成の不足、及びブローモールディングにおける相対的な弱さを改良するために、ジエン修飾されたポリマーを開示する。このジエンは脂環式アルファ−オメガジエンである。ポリマー出発物質は、エチレン、ブテン−1等の不飽和化合物を5モル未満含み、これらの不飽和化合物は、通常、伸延ポリプロピレン(OPP)フィルムの上のヒートシール層として用いるランダムプロピレンコポリマー(RPC)に用いられる。該特許に説明されている発明を用いると、グラフト比が0.7重量%であるときに、分子量の減少が20%未満で済むといわれている。溶液中及び溶融状態での接触工程が説明されている。前記物質は低温において及び曲げ又は衝撃による変形時にも良い接着性を保持し続けるために必要とされる柔軟性と低いガラス転移温度を有していない。
広範囲のオレフィンベースポリマーのグラフト技術が米国特許No.5、376,033で述べられている。グラフトの程度の高さは低いMFR(すなわち高い分子量)のポリマー主鎖と関連していると説明されている。前記特許における実施例は、グラフト法を用いると、優にMFRが100を超えるポリマーを生産することを示している。かかるポリマーを組成物の主成分として用いると、溶融強度が低く、フィルム押出成型には不向きである。前記ホモポリマーは結晶性であり、グラフト前の融解熱が高く、柔軟性が限られている。
米国特許No.5,059,658は、大部分がプロピレン及び直鎖ジエンからなる、実質的に結晶性のプロピレンランダムコポリマーのグラフト重合により、50,000乃至1,000,000のMw及び0.1乃至10重量%のグラフト比を有する修飾されたポリプロピレンの製造方法を開示する。この特許は主鎖が5モル%までのコモノマーを含んでいてもよいことを開示するが、グラフトされるポリマーの結晶性又はアイソタクチシティーのレベルについては議論されていない。
米国特許No.5、763,088は、無水マレイン酸グラフトポリプロピレンからなるガスバリア性質を有する製品を開示する。開始主鎖は、80℃乃至187℃の間の融点及び20%又はより高い結晶性を有するプロピレンコポリマーを含むことができる。本発明の目的はこれらの範囲外の結晶化度のレベル及び融点を有する(ポリマーを提供)することである。
WO2002/36651はエチレン誘導単位を含むプロピレンベースエラストマーをグラフトして低い結晶化度の有するポリマーにすることについて説明する。WO2005/049670はプロピレンベースエラストマーにジエンを取り込むことを開示しているが、このような物質自体のグラフトは開示していない。
グラフト化するポリマー主鎖及びグラフト工程の変更の他に、過酸化物グラフト工程の結果として分子量が高くなる傾向を示すポリエチレンをプロピレンベースポリマーとブレンドして、過酸化グラフトの結果として生じる分子量の減少を補うことが提案されている。しかし大量のポリエチレンを用いると、溶融加工性、及びポリプロピレン物質との適合性が好ましくない影響を受ける。同様に、高分子量のグラフトされていないプロピレン及び/又はエチレンベースポリマーを全体の溶融強度を回復させるのに十分なレベルにまで、分子量が低められたグラフトポリマーに添加することができる。実際に、これまでは、高分子量非官能化プロピレンベースポリマーに低粘度の官能化されたプロピレンベースポリマーをブレンドすることにより、又は鎖の切断を減らすためにDMF又はスチレン等のグラフトの間に電子供与体を使用することにより、高分子量グラフトプロピレンベースポリマー物質が存在しないにも関わらず、CTRの様な製品のためのグラフトプロピレンベースポリマーが製造されてきた。Gaylord,N.G.,Mishra,MK.,J.Polym.Sci.B21,23(1983)及び(スチレンの使用について):Hu,G.H.Flat,J−J,Lambla,M,Makromol.Chem.,Macromol.Symp.75,137(1993)参照のこと。
前述の組成物の有効性はグラフトのレベルを減らし、分子量分布を広げることによって減少する。前記のような化学物質を使用すると、反応装置での操作及び/又は反応装置への供給の点で、反応性の押出成形工程での安全性の問題を引き起こす。最終的な官能化ポリマー中のこれらの物質の濃度を最小化するために、より高価な通気装置を必要とする。これらの残留物は、食品との接触が必要とされている特定の製品において用いる場合に、最終ポリマーにおいて好ましくない汚染物質なる。
それゆえ、接着性を高めるための高いグラフト比を有し、且つプロピレンベース物質への融合性が改良された、プロピレン誘導単位の高い接触性質を組み合わせたグラフトポリマーの必要性が存在する。局所的な変形においても接着を維持するための十分な柔軟性と同時に、押出成形のための溶融強度を十分に保持している高いグラフト化プロピレンベースポリマーも必要とされている。
発明の概要
官能化されたプロピレンベースポリマーの製造方法を提供する。少なくとも1つの態様において、前記方法はプロピレン誘導単位と、1つ又はそれ以上のジエンとを含むプロピレンベースポリマー主鎖を、フリーラジカル開始剤、及び/又は少なくとも1つのエチレン系不飽和カルボン酸又は、無水マレイン酸等の、前記カルボン酸の誘導体と接触させる工程を含み、前記主鎖は50乃至99%のトリアドタクチシティー及び80J/g未満の融解熱を有する。前記少なくとも1つのエチレン系不飽和カルボン酸又はカルボン酸誘導体は、前記フリーラジカルが生成し、主鎖をグラフトして、グラフトプロピレンポリマーを提供する条件下において、前記開始剤の存在下で、前記主鎖と反応する。前記グラフト化されたプロピレンベースポリマーは、主鎖に取り込まれた1つ以上のジエンからの不飽和誘導単位を約0.5乃至約10重量%含む。前記グラフト化プロピレンコポリマーはペレット化されてペレット化プロピレンコポリマーとして提供され、前記ペレット化されたプロピレンコポリマーは約0.01乃至約15のMFR比を有する。
少なくとも1つの特定の態様において、前記方法はプロピレン誘導単位、1つ以上のアルファオレフィン、及び1つ以上のジエンを含むプロピレンベースポリマー主鎖を、フリーラジカル開始剤及び少なくとも1つのエチレン系不飽和カルボン酸又は無水マレイン酸等のカルボン酸誘導体と接触させることを含み、前記主鎖は50乃至99%のトリアドタクチシティー及び80J/g未満の融解熱を有する。前記少なくとも1つのエチレン系不飽和カルボン酸又はカルボン酸誘導体は、前記フリーラジカルが主鎖をグラフトするために生成され、グラフトプロピレンポリマーを提供する条件下で、前記開始剤の存在下で、前記主鎖と反応する。前記グラフト化されたプロピレンベースポリマーは、主鎖に取り込まれる1つ以上のジエンからの不飽和誘導単位を約0.5乃至約10重量%含む。前記グラフト化コポリマーはペレット化されて、ペレット化プロピレンポリマーとして供給される。前記ペレット化されたプロピレンポリマーは約0.01乃至約15のMFR比を有する。
1つ以上のジエンを含むプロピレンベースポリマー主鎖を含む官能化されたポリマーもここに開示する。前記主鎖は、0.1g/10分乃至5g/10分のMFR(1.2kg@190℃)、約1重量%乃至約3重量%の少なくとも1つのエチレン系不飽和カルボン酸又はカルボン酸誘導体含量、約50%乃至約99%のトリアドタクチシティー、及び80J/g未満の融解熱を有する。1つ以上のアルファオレフィン及び1つ以上のジエンを含むプロピレンベースポリマー主鎖を含むマレイン化されたポリマーも開示される。前記主鎖は約0.1乃至約6g/10分のMFR(1.2kg@90℃)、約1重量%乃至約3重量%の無水マレイン酸誘導単位、約50%乃至約99%のトリアドタクチシティー、及び80J/g未満の融解熱を有する。
発明の詳細な説明
1つの態様において、プロピレンベースポリマーは、過酸化物開始剤の存在下、好ましくは1工程で、少なくとも1つのエチレン系不飽和カルボン酸又はカルボン酸誘導体とグラフト化(官能化)される。本明細書で議論する態様の多くは無水マレイン酸を好適なグラフトモノマーとしている。このような態様は、無水マレイン酸以外のエチレン系不飽和カルボン酸又はカルボン酸誘導体をも含む。前記プロピレンベースポリマーはプロピレンαオレフィンジエンターポリマー、又はプロピレンジエンコポリマーでもよい。説明の簡素化及び理解を容易にするために、前記プロピレンαオレフィンジエンターポリマー又はプロピレンジエンコポリマーは、本明細書において、プロピレンベースポリマーと言う。官能化及びグラフト化の語は本明細書において互換的に用いられる。
前記プロセスベースポリマーが官能化された場合、当業者が期待するよりも高いグラフトレベルが達成でき、結晶を生じるのに十分に長いアイソタクチシティーを含むことができる。前記プロピレンベースポリマーは同じ組成の従来のポリマーとは異なり単一の炭化水素相、通常少なくとも2つの分散相からなるグラフトレベル及びタクチシティー(グラフト化コポリマー及びインパクトコポリマーと呼ばれる)を有する。更に、前記プロセスベースポリマーは好ましくはその曲げ弾性率(<350MPa)が示するように柔軟性が高いことが好ましく、800%より大きい一次元の引張荷重、及びそれらの組成及びプロピレン残渣のタクチシティーに対して当業者が期待するよりも低い結晶化度のレベルを有する。前記プロピレンベースポリマーの官能化レベルは単純にグラフト化されたプロピレンホモポリマーよりも高く、供給される無水マレイン酸のレベルが高くなると、前記プロピレンベースポリマーの官能化レベルが高くなる。無水マレイン酸供給原料のレベルは5%程度である。更に、プロピレンホモポリマーのケースのように分子量の損失をせずに官能基を多く取り込むことができる。
ポリマー成分
少なくとも1つの特定の態様において、前記プロピレンベースポリマーはプロピレンを1つ以上のジエンと重合することにより調製することができる。少なくとも1つの他の特定の態様において、前記プロピレンベースポリマーをプロピレンをエチレン及び/又は少なくとも1つのC乃至C20αオレフィンと重合させて、又はプロピレンをエチレンと少なくとも1つのC乃至C20αオレフィン及び1つ以上のジエンの組合せと重合させて調製することができる。前記1つ以上のジエンは共役ジエン又は非共役ジエンでよい。好ましくは、前記1つ以上のジエンは非共役ジエンである。
前記コモノマーは直鎖又は分岐鎖のものでよい。好ましい直鎖コモノマーは、エチレン又はC乃至Cαオレフィン、より好ましくは、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテン、更に好ましくは、エチレン又は1−ブテンを含む。好適な分岐鎖コモノマーは4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、及び3,5,5−トリメチル−1−ヘキセンを含む。1つ以上の態様において、前記コモノマーはスチレンを含んでいてもよい。
典型的なジエンの例としては、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、1,4−ヘキサジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、1,6−オクタジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、1,3−シクロペンタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、ビニルノルボルネン(VNB)、ジシクロペンタジエン(DCPD)、及びこれらの組合せを含むことができるがこれらに限定されない。好ましくは、前記ジエンは5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)である。
プロピレンベースポリマーを製造するための好適な方法は、米国特許出願公開公報No.20040236042及び米国特許No.6,881,800に記載されている。これらの文献を参照により本明細書に援用する。
WO03/040201に記載のピリジンアミン複合体も本明細書のプロピレンベースポリマーを製造するのに有用である。触媒は米国特許No.6,559,262に記載のように所望の立体規則性を提供するために周期的な分子内再配列をさせることができる、流動性を有する複合体を含んでいてもよい。前記触媒はプロピレン挿入において複合的に作用する、立体的に強固な複合体でもよい。RiegerのEP1070087参照のこと。EP1614699に記載の触媒も本発明に好適な主鎖の製造に用いることができる。
前記プロピレンベースポリマーはポリマーの重量に基づいて、約60重量%乃至約99.7重量%、より好ましくは約60重量%乃至約99.5重量%、より好ましくは約60重量%乃至約97重量%、より好ましくは約60重量%乃至約95重量%の平均プロピレン含量を有する。1つの態様において、残りの部分はジエンを含む。他の態様において、残りの部分は1つ以上のジエン及び/又は1つ以上の前述のαオレフィンを含む。他の好適な態様において、ポリマーの重量部に基づいて、約80重量%乃至約95重量%のプロピレン、より好ましくは約83重量%乃至約95重量%のプロピレン、より好ましくは約84重量%乃至約95重量%のプロピレン、及びより好ましくは約84重量%乃至約95%のプロピレン、及びより好ましくは約84重量%乃至約94重量%プのロピレンの範囲が好ましい。前記プロピレンベースポリマーの残りの部分はジエン、任意に1つ以上のαオレフィンを含む。幾つかの態様において、前記αオレフィンはブテン、ヘキセン、又はオクテンである。他の態様において、2つのαオレフィンが存在し、好ましくはエチレン及びブテン、ヘキセン、又はオクテンのうちの1つが存在する。
好ましくは、前記プロピレンベースポリマーは、ポリマーの重量部に基づいて、約0.3重量%乃至約24重量%、より好ましくは約0.5重量%乃至約12重量%、より好ましくは約0.6重量%乃至約8重量%、より好ましくは約0.7乃至約5重量%の非共役ジエンを含む。他の態様において、前記ジエン含量の範囲は、ポリマーの重量に基づいて、約0.3重量%乃至約10重量%、より好ましくは約0.3乃至約5重量%、より好ましくは約0.3重量%乃至約4重量%、好ましくは約0.3乃至約3.5重量%、好ましくは約0.3重量%乃至約3.0重量%、好ましくは約0.3重量%乃至約2.5重量%である。好適な態様において、前記プロピレンベースポリマーはENBを約0.5重量%乃至約4重量%の範囲の量で含む。
他の態様において、前記プロピレンベースポリマーは好ましくは、プロピレン及びジエンを前述の1つ以上の範囲の量で含み、残りの部分は一つ以上のC及び/又はC乃至C20オレフィンを含む。通常、これはポリマーの重量に基づいて1つ以上のC及び/又はC乃至C20オレフィンを、好ましくは約5乃至約40重量%含むプロピレンベースポリマーの量になる。C及び/又はC乃至C20オレフィンが存在する場合、これらのオレフィンの合計量は好ましくは少なくとも約5重量%であれば、前述のオレフィンの範囲内になる。1つ以上のαオレフィンについての他の好適な範囲は、約5重量%乃至約35重量%、より好ましくは約5重量%乃至約30重量%、より好ましくは約5重量%乃至約25重量%、より好ましくは約5乃至約20重量%、より好ましくは約5乃至約17重量%、及び/又はより好ましくは約5重量%乃至約16重量%である。
前記プロピレンベースポリマーは5,000,000又はより少ない重量平均分子量(Mw)、約3,000,000又はより少ない数平均分子量(Mn)、約10,000,000又はそれより少ないz−平均分子量(Mz)、及びアイトタクチックポリプロピレンをベースラインとして用いたポリマーの重量平均分子量で測定されるg’インデックスが0.95又はそれ以上である。これらは、例えば、3D、本明細書においてGPC−3Dとも言われるSEC等のサイズ排除クロマトグラフィーで決定することができる。
好適な態様において、プロピレンベースポリマーは約5,000乃至約5,000,000g/molのMw、より好ましくは約10,000乃至約1,000,000のMw、より好ましくは約20,000乃至約500,000のMw、より好ましくは約50,000乃至約400,000のMwを有する。前記Mwは本明細書において定義される。
好適な態様において、前記プロピレンベースポリマーは約2,500乃至約2,500,000g/molのMn、より好ましくは5,000乃至500,000のMn、より好ましくは約100,000乃至約250,000のMn、より好ましくは約25,000乃至約200,000のMnを有する。前記Mnは本明細書において定義する。
好適な態様において、前記プロピレンベースポリマーは10,000乃至約7,000,000g/molのMz、より好ましくは約50,000乃至約1,000,000のMz、より好ましくは約80,000乃至約700,000のMz、より好ましくは約100,000乃至約500,000のMzを有する。前記Mzは本明細書において定義される。
前記プロピレンベースポリマーのポリ分散指数(PDI)とも言われる、分子量分布指数(MWD=(Mw/Mn))は約1.5乃至40である。1つの態様において、前記MWDは40、又は20、又は10、又は5、又は4.5の上限値と、1.5、又は1.8、又は2.0の下限値を有している。好適な態様において、前記プロピレンベースポリマーのMWDは約1.8乃至5、最も好ましくは1.8乃至3である。分子量(Mw及びMn)並びに分子量分布(MWD)を決定する技術は、米国特許No.4,540,735(Cozewith、Ju、及びVerstrate)、Macromolecules,1988,volume 21,p3360(Verstrate et al.)、及び米国特許No.6,525,157、カラム5、1乃至44行目に記載されている。これらの記載を参照により本明細書に援用する。
好適な態様において、前記プロピレンベースポリマーは0.95又はこれより高いg’指数を有する。前記指数は好ましくは少なくとも0.98であり、少なくとも0.99であることがより好ましい。前記g’はアイソタクチックポリプロピレンの固有粘度をベースラインとして用いたポリマーのMwを測定して決定される。本明細書で用いるg’指数は以下のように定義される。
式1
Figure 0005279138
式中ηはプロピレンベースポリマーの固有粘度であり、ηはプロピレンベースポリマーとしての同じ粘度平均分子量(Mv)を有する直鎖ポリマーの固有粘度である。η=KM αであり、K及びαは直鎖ポリマーについての測定値であり、同一のg’指数の測定装置で測定した値である。
好適な態様において、前記プロピレンベースポリマーは、約200℃又はこれ未満の示差走査熱量計(DSC)で測定される結晶化温度(Tc)を有する。前記結晶化温度は150℃又はこれ未満がより好ましく、140℃又はこれ未満が更に好ましい。
好適な態様において、前記プロピレンベースポリマーは、ASTM−D1505試験法により測定したときに、室温で約0.85g/cm乃至約0.92g/cm、より好ましくは約0.87g/cm乃至約0.90g/cm、より好ましくは約0.88g/cm乃至約0.89g/cmの密度を有する。
好適な態様において、前記プロピレンベースポリマーは、ASTM−D1238(A)試験法の変法(以下で詳述する)を用いて測定したときに、0.2g/10分と同じかまたはこれより大きい溶融流量(MFR、2.16kg重量@230℃)を有する。好ましくは、前記溶融流量(2.16kg重量@230℃)は約0.5g/10分乃至約200g/10分、より好ましくは約1g/10分乃至約100g/10分である。1つの態様において前記プロピレンベースポリマーは約0.5g/10分乃至約200g/10分、具体的には約2g/10分乃至約30g/10分、より好ましくは約5g/10分乃至約30g/10分、より好ましくは約10g/10分乃至約30g/10分、又はより具体的には約10g/10分乃至約25g/10分のMFRを有する。
代替的な態様において、前記試験は、190℃の温度で1.2kgを用いる以外はASTM−D1238(A)試験法と同様の方法で行われ、同じく溶融流量(MFR、1.2kg@190℃)の語が用いられる。幾つかの態様において、前記プロピレンベースポリマーはポリプロピレンアルファオレフィンジエンコポリマーであり、前記プロピレンベースポリマーはASTM−D1238(A)で測定して、15g/10分未満、より好ましくは12g/10分又はこれより少ない、より好ましくは10g/10分又はこれより小さい、より好ましくは8g/10分またはこれより小さい、更に好ましくは約6g/10分またはこれより小さい溶融流量(1.2kg@190℃)を有する。
前記グラフトポリマーは約0.01乃至約10、より好ましくは1乃至約10、及びより好ましくは約1乃至約5、より好ましくは約1乃至約4、より好ましくは約1乃至約3のMFR比(開始ポリマー主鎖のMFR(1.2kg@190℃)に対するグラフトポリマーのMFR(1.2kg@190℃))を有する。より高い比は鎖切断のレベルが高いポリマーを示しているのに対して、本発明のポリマーは低いMFRを有している。このことは、グラフト工程の間のMw変化が低いことを示している。
1つ以上の態様において、前記グラフトプロピレンポリマーは15より大きい、より好ましくは20以上、より好ましくは25以上、より好ましくは30以上、より好ましくは40以上、及びより好ましくは50以上のせん断シンニング(shear thinning)比を有する。
前記プロピレンベースポリマーは、100未満、より好ましくは75未満、更に好ましくは60未満、最も好ましくは30未満のASTM−D1646で測定されるムーニー粘度(ML(1+4)@125)を有する。
好適な態様において、前記プロピレンベースポリマーは以下で説明するDSC法で測定して、約0.5Jジュール/グラム(J/g)に等しいかまたはこれよりも大きい融解熱(Hf)を有し、前記融解熱は約80J/g以下、好ましくは70J/g以下、より好ましくは約60J/g以下、より好ましくは約50J/g以下、より好ましくは約35J/g以下である。前記ポリプロピレンベースポリマーは約1J/gに等しいかこれよりも大きい、好ましくは5J/gに等しいかまたはこれよりも大きい、融解熱を有することも好ましい。他の態様において、前記ポリプロピレンベースポリマーは約0.5J/g乃至約70J/g、好ましくは約1J/g乃至約70J/g、より好ましくは約0.5J/g乃至約35J/gの融解熱(Hf)を有していてもよい。好適なポリプロピレンベースポリマー及び組成物は、コモノマーの存在またはポリマー鎖による結晶の形成を妨げる立体的な不規則性に影響を受ける性質である、融点(Tm)及び融解熱の両方の点により特徴付けられる。1つ以上の態様において、前記融解熱の範囲は、1.0J/g、又は1.5J/g、又は3.0J/g、4.0J/g、又は6.0J/g、又は7.0J/gのいずれかの下限値から、30J/g、又は35J/g、又は40J/g、又は50J/g、又は60J/g、又は70J/g、80J/gのいずれかの上限値の範囲である。
前記ポリプロピレンベースポリマーの結晶化度は結晶化度のパーセンテージ(即ち、%結晶化度)で表すことができる。好適な態様において。前記ポリプロピレンベースポリマーは0.5%乃至40%、好ましくは1%乃至30%、より好ましくは5%乃至25%の結晶化度を有する。前記%結晶化度は上で説明したDSC法により測定される。他の態様において、前記プロピレンベースポリマーは好ましくは40%未満、好ましくは約0.25%乃至約25%、より好ましくは約0.5%乃至約22%、及び最も好ましくは約0.5%乃至約20%の結晶化度を有する。上で説明したように、ポリプロピレンの最も高いオーダーの熱エネルギーは189J/gであると評価されている。(即ち、100%の結晶化が1898J/gである。)
この結晶化度において、プロピレンベースポリマーは好ましくは幅の広い単一の融解転移を有する。しかしながら、前記プロピレンベースポリマーは主要なピークに隣接する二次的な融解ピークを示すこともあるが、本明細書においてはそのような二次的な融点も含めて単一の融点であると考える。これらのピークの最も高い部分をプロピレンベースポリマーの融点とする。
前記プロピレンベースポリマーは好ましくは100℃又はこれより低い、好ましくは90℃またはこれより低い、好ましくは80℃又はこれより低い、より好ましくは70℃に等しいかまたはこれより低い、好ましくは25℃乃至約80℃、好ましくは約25℃乃至約75℃、より好ましくは約30℃乃至約65℃の融点を有する。
前記プロピレンベースポリマーは13C NMRで測定される、3つのプロピレン単位のトリアドタクチシティーが、75%又はこれ以上、80%又はこれ以上、82%又はこれ以上、85%又はこれ以上、90%又はこれ以上である。前記トリアドタクチシティーの好適な範囲は約50乃至約99%、より好ましくは約60乃至約99%、より好ましくは約75乃至約99%、及びより好ましくは約80乃至約99%であり、他の態様において前記範囲は約60乃至約97%である。トリアドタクチシティーは米国特許出願公開公報No.20040236042に記載の方法で決定することができる。
前述の又は以下の本明細書における1つ以上の態様において、前記プロピレンベースポリマーは別のランダムプロピレンベースポリマーのブレンドでもよい。そのようなブレンドはエチレンベースポリマー及びプロピレンベースポリマーのブレンド、又は少なくとも1つのそのようなエチレンベースポリマーとプロピレンベースポリマーのブレンドでもよい。プロピレンベースポリマーの数は3又はこれより少なく、より好ましくは2つまたはこれより少ない。
前述の又は以下の本明細書における1つ以上の態様において、前記プロピレンベースポリマーはオレフィン含量及び/又はジエン含量が異なる2つのプロピレンベースポリマーのブレンドを含むこともできる。
好適な態様において、前記プロピレンベースポリマーは、プロピレンプロパゲーション(propagation)の立体規則性において不規則性をランダムに分布させたポリマーを生成するランダム重合法により製造されたプロピレンベースエラストマー性ポリマーを含んでいてもよい。前記ポリマーは同じポリマー鎖の成分部分が分離して又は連続的に重合されたブロックコポリマーとは対照的な構造を有する。
他の態様において、前記プロピレンベースポリマーはWO02/36651に記載の方法に従って調製したコポリマーを含むことができる。該文献を参照により本明細書に援用する。同様に、前記プロピレンベースポリマーはWO03/040201、WO03/040202、WO03/040095、WO03/040201、WO03/040233、及び/又はWO03/040442に記載のポリマー成分も含むことができる。更に、前記プロピレンベースポリマーはEP1233191、及び米国特許No.6,525,157に記載のポリマー成分を米国特許No.6,770,713及び米国特許出願公開公報No.2005/215964に記載の好適なプロピレンホモ−又はコポリマーと一緒に含んでいてもよい。前記文献を参照により本明細書に援用する。前記プロピレンベースポリマーはEP1614966又はEP1017729に記載の1つ以上のポリマー成分も含んでいてもよい。
グラフトポリマー
前記グラフトモノマーは少なくともエチレン系不飽和カルボン酸又は、無水酸、エステル、塩、アミド、イミド、アクリレート等の前記カルボン酸の誘導体である。そのようなモノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、無水マレイン酸、4−メチルシクロヘキセン−1,2−無水ジカルボキシル酸、ビシクロ(2.2.2)オクテン−2,3−無水ジカルボン酸、1,2,3,4,5,8,9,10−オクタヒドロナフタレン−2,3−無水ジカルボン酸、2−オキサ−1,3−ジケトスピロ(4.4)ノネン(nonene)、ビシクロ(2.2)ヘプタン−2,3−無水ジカルボン酸、マレオエピマリック(maloepimaric)酸、無水テトラヒドロフタル酸、ノルボルネン−2,3−無水ジカルボン酸、ナディックアンヒドレート(nadic anhydride)、及びx−メチルビシクロ(2.2.1)ヘプタン−2,3−無水ジカルボン酸を含むがこれらに限定されない。他の好適なグラフトモノマーはメチルアクリレート、及び高級アルキルアクリレート、メチルメタクリレート、及び高級アルキルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシメチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクチレート、及び高級ヒドロキシアルキルメタクリレート、及びグリシジルメタクリレートを含む。
無水マレイン酸は好ましいグラフトコモノマーである。本明細書において、“グラフト”の語は、グラフトモノマーがポリマー組成物のポリマー鎖に共有結合していることを意味する。幾つかの態様において、前記グラフト化されたプロピレンベースポリマーは約0.5乃至約10重量%の、より好ましくは約0.5乃至約6重量%、より好ましくは約0.5乃至約3重量%、のエチレン系不飽和カルボン酸又はカルボン酸誘導体を含む。他の態様において、約1乃至約6重量%、より好ましくは約1乃至約3重量%、エチレン系不飽和カルボン酸又はカルボン酸誘導体を含む。1つの好適な態様において、前記グラフトコモノマーは無水マレイン酸であり、前記グラフトポリマーの中の無水マレイン酸濃度は好ましくは約1乃至約6重量%、好ましくは少なくとも約0.5重量%、及び最も好ましくは約1.5重量%の範囲である。
グラフト化プロピレンベースポリマーの調製
前記グラフト化ポリマー生成物は、溶液内で、流動床反応器内で、又は前述のように溶融グラフトにより調製される。特に好適なグラフト生成物はグラフトされていないポリマー組成物を実質的に溶媒の不存在下で、過酸化触媒等のフリーラジカル触媒を用いて、グラフトモノマーの存在下で、押出成形反応機等のせん断力を付与することができる反応器の中で溶融混合することにより調製される。1軸スクリュー、好ましくは共回転インターメッシュ押出成形機又はカウンター回転非インターメッシュ押出成形機等の2軸スクリュー押出成形機を用いることができるが、Bussにより販売されている共捏練機(co−kneader)が特に好ましい。
ポリマー成分の融解、及びグラフトモノマーの分散、過酸化物の導入、及び過酸化分解物から未反応モノマー及び副生成物の排出の順に工程を配置することがグラフト反応に好ましい。モノマー及び過酸化物を溶解前の溶液に供給する別の工程を配置してもよい。
通常、反応混合物の総重量に基づいて、約0.01乃至約10重量%の、好ましくは約1乃至約5重量%のポリマー成分及びモノマーを反応器に導入する。前記グラフト反応において、急速な蒸発を最小化し又は避け、過酸化物及びモノマーを損失しないように、及び滞留時間が過酸化物の半減期の約6乃至7倍となるような温度で行われる。ポリマーが融解する温度の温度プロファイルを、反応器のグラフト反応ゾーンまでの間に反応温度が最大になるように徐々に増加させ、その後反応器の排出液が調製されるに向かって減少させる。押出し成形機の最後のセクションにおける温度の減衰は生成物をペレット化する場合に好ましい。
供給濃度を最適化するために、通常、ミネラルオイル中に10乃至50重量%の範囲の濃度で過酸化物を溶解する。一方、ポリマー及びグラフトモノマーは希釈せずに供給する。触媒の例としては、過酸化ベンゾイル等のジアシル過酸化物、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルオキシアセテート、00−tert−ブチル−0−(2−エチルヘキシル)モノペルオキシカルボネート等の過酸化エステル;n−ブチル−4,−4−ジ(tert−ブチルペルオキシ)吉草酸等の過酸化ケタール;及び1,1−ビス(tertブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブタン、ジクミルペルオキシ、tert−ブチルクミルペルオキシ、ジ−(2−tert−ブチルペルオキシ−イソプロピル−(2)ベンゼン、ジ−tert−ブチルペルオキシ(DTBP)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−ヘキシン、3,3,5,7,7−ペンタメチル1,2,4−トリオキセパン等のジアルキル過酸化物を含むがこれらに限定されない。
好適な態様において、前記ポリマー主鎖は、少なくとも0.2重量%の少なくとも1つのエチレン系不飽和カルボン酸又はカルボン酸誘導体と、少なくとも0.001重量%の過酸化物開始剤を含む連続溶融押出成形機で、少なくとも1つのエチレン系不飽和カルボン酸又はカルボン酸誘導体と反応する。
スチレン及びパラメチルスチレン等のスチレン誘導体、あるいはt−ブチルスチレン等の他の高級アルキル置換スチレンを、無水マレイン酸の存在下で、電荷移動剤として用いて鎖の切断を抑制することもできる。このことによりベータ切断反応を更に最小化して、高分子量のグラフトポリマー(MFR=1.5)を製造することができる。
グラフト化されていないポリマー主鎖及びグラフト化ポリマーのMFR(1.2kg@190℃)は190℃、1.2kgにおける改変ASTM−D1238(A)に従って測定された。このASTM−D1238(A)法は以下のように改変されている。バレル中のポリマーの調製をASTM−D1238(A)では7分であるところを4分で行った。本出願で言及されるASTM−D1238は、この段落で述べたASTM−D1238(A)の変法を意味する。
MFR比は前述のようにグラフトポリマーのMFRを開始主鎖のMFRで割って計算する。
せん断シンニング(shear thinning)比は低いせん断速度粘度を高いせん断速度粘度で割ることにより計算した。低いせん断及び高いせん断粘度はアルファテクノロジー社(Alpha Technologies Co.)のラバープロセシングアナライザー(Rubber Processing Analyzer)RPA2000等の動的解析器を用いて、100℃で0.31乃至201.06レイジアント/秒の掃引周波数で測定した。低いせん断粘度は0.31レイジアント/秒における粘度であり、高いせん断粘度は201.06レイジアント/秒における粘度である。
エチレンコモノマー含量はフーリエ変換赤外線スペクトロスコピー(FTIR)を用いて測定した。この方法はポリマー中のプロピレン及びエチレンの合計重量に基づくエチレン含量を測定する。ポリマーがジエンを含む場合、ジエン含量は以下で示すように測定することができ、全てのモノマーを含むポリマーの重量に基づくエチレン含量全体を決定することができる。
存在するジエンの量は、重合の後にポリマー中に存在するペンダントを有していないオレフィン量の定量から推測することができる。ヨード価及びH又は13C核磁気共鳴法(NMR)によるオレフィン含量を決定するための幾つかの方法が確立されている。ジエンがENBである場合の本明細書において述べる態様において、ジエンの量はASTMD3900により測定される。
無水マレイン酸(MA)含量はFTIRで測定した。薄いポリマーフィルムを165℃で2乃至3個のペレットをプレスして製造した。このフィルムを用いて、オーブンに入れる前の無水マレイン酸含量を測定した。このフィルムをその後、105℃の真空オーブン内に1時間おいて、その後FTIR内に置いた。無水マレイン酸含量をオーブンの後に測定した。1790cm−1における無水物の吸収バンド及び1712cm−1における酸の吸収バンドの最も高いピークを、4324cm−1の標準のバンドと比較した。無水マレイン酸のトータルパーセンテージ(%MA)を以下の式により計算した。
%MA=a+k(A1790+A1712)/A4324
式中、“a”及び“k”は内部標準を用いた内部キャリブレーションにより決定された係数であり、それぞれ0.078乃至0.127である。
標準として用いたグラフト化プロピレンベースポリマーの無水マレイン酸含量は以下の手順で決定した。グラフト化ポリマーのサンプルをキシレン中で完全に溶解し、その後にアセトン中で沈降させて、残余モノマーから精製した。この沈降させたポリマーを200℃の真空オーブン内に2時間置いて完全に乾かして、マレイン酸の全てを無水マレイン酸に転化させた。0.5乃至1グラムの沈降ポリマーを150mlのトルエンに溶解させた。この溶液を1時間トルエン還流で加熱し、MeOH中1%ブロモチモールブルー溶液を5滴添加した。この溶液をメタノール中0.1Nテトラブチルアンモニウムヒドロキサイドの溶液で滴定した(黄色から青に色が変化する)。滴定中に無水物を中和するのに要したテトラブチルアンモニウムヒドロキサイドの量が、ポリマー中に存在するグラフト化された無水マレイン酸の量に直接比例する。
示差走査熱量計の測定方法を説明する。約0.5グラムのポリマーを量り採り、“DSCモールド”を用いて、Mylarをバックシートとして、140℃−150℃で、〜15乃至20ミル(mils)(〜381−508ミクロン)の厚さに圧力を加えて伸ばした。伸ばされたパッドを空気中で、室温にまで冷却した(Mylarは除去しない)。伸ばされたパッドを室温(23乃至25℃)で8日間アニールした。この期間の経過後、〜15乃至20mg以下のディスクをプレスパッドからパンチダイを用いて切りとり、10ミクロリッターのアルミニウムサンプルパン内に置いた。このサンプルを示差走査熱量計(パーキンエルマー Pyris 1 熱解析システム)内に設置し、約−100℃に冷却した。このサンプルを10℃/分で加熱して約165℃の最終温度にした。サンプルの融解ピークの下部分の面積として記録された熱のアウトプットが融解熱の測定値であり、ポリマーグラム当たりのJouleとして表現される。この値は前記パーキンエルマーのシステムで自動計算される。融点は、温度の関数としてのポリマーのヒートキャパシティーが増加している間のベースライン測定に対するサンプルの融解範囲内での最も高い熱吸収の温度として記録される。
前述の議論は以下の非限定的な実施例を参照することにより更に詳しく説明される。以下の表において、“nm”は測定していないことを表す。
ポリマー1及び2はジエンを含んでいないプロピレンエチレンコポリマーである。すなわち比較例のポリマーである。ポリマー1はエクソンモービルケミカルカンパニーからVistamaxx(商標)6100として販売されているプロピレン−エチレンポリマーである。ポリマー2はエクソンモービルケミカルカンパニーからVistamaxx(商標)3000として販売されているプロピレン−エチレンポリマーである。
ポリマー3乃至6は2重量%乃至4重量%のENBを含むプロピレンエチレンコポリマーである(即ち、本願発明のプロピレンベースポリマー)。重合は以下のように行った。傾斜のある2つのブレードタービン撹拌器を有する27リッターの連続流動撹拌タンク反応器に、1時間当たり83kgの乾燥へキサン、24kgのプロピレン、1.5乃至2.0kgのエチレン、0.6乃至1.4kgの5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)を添加した。反応が進行している間、この反応器を700rpmで撹拌し、全体の重合の間に、重合ゾーン内の全ての成分が同じ組成を有するように、約1600psi圧力(ゲージ)の液体を満して、維持した。トルエン中に1.5610−3グラムのジメチルシリルインデニルジメチルハフニウム及び2.42×10−3グラムのジメチルアニリウムテトラキス(ヘプタフルオロナフチル)ボレートを含む触媒溶液を6.35ml/分の速度で添加して重合を開始する。トリ−n−アルミニウム(TNOA)の溶液を追加で添加して、重合の間の外部からの余計な水分を除去する。58乃至60℃で、断熱反応器内で重合を行った。原料を−3乃至3℃の間の温度で冷却する。前記重合は効果的であり、1時間当たり約8乃至11kgのポリマーを生産した。このポリマーを3段階の溶媒除去工程により精製した。第一の除去工程はWO0234795A1に記載の低臨界溶液法を用いて約70%の溶媒を除去する。その後残りの溶媒は、フラッシュポット中で除去され、その後、更にLIST揮発成分除去押出し成形機中で揮発成分を除去する。前記ポリマーはペレットとして回収される。前記ポリマーの解析結果を表2に示す。表1に記載の供給された触媒はトルエン中、5乃至17.32×10−4mol/リッターの触媒を含み、供給された活性剤はトルエン中に約4.9乃至9.3×10−4mol/リッターの活性剤を含む。両方の流れは以下に示す速度で、初めのプレミッスクの後に約60秒間、重合反応器内に供給される。
Figure 0005279138
Figure 0005279138
以下の条件で、非インターメッシュ逆回転2軸スクリュー押出し成形器(30cm、L/D=48)を用いて前記ポリマーをグラフト化された。97.5乃至98.5重量%のポリマー、0.5乃至2.5重量%のCrystalman(商標)無水マレイン酸を押出し成形器のホッパーに7kg/hの速度で供給し、Marcol(商標)52オイル中に溶解したLuperox(商標)101の10%溶液を0.5重量%、第二バレルに添加した。スクリュースピードは125rpmにセットし、180℃、190℃、190℃、190℃、及び180℃のダイの温度プロファイルを用いた。ポリマーの回収前に、バキュームを用いて、過酸化分解物及び過剰の試薬を除去した。
表3は多量の過酸化物及び無水マレイン酸と反応させたポリマー3乃至6(これらはジエンを含んでいる)が、低いMFR(即ち、高い分子量、又は官能化された(グラフトされた)ポリマーのMFRと主鎖として用いたもとのポリマーとの間の低いMFR比)を有する官能化されたポリマーを提供することを示している。このことはグラフトの間の粘度変化が小さいことを示している。同じ条件下で、ジエンを含まないポリマー1及び2は低いせん断シンニング比の他に、高いMFR及び高いFMR比を示した。
Figure 0005279138
以下の表4に示すように、ジエンを含む前記プロピレンベースポリマー主鎖を用いることで、官能化されたポリマーにおける特定の最終MFRにおいて、過酸化物及び無水マレイン酸をより多く用いることが可能となった。同じ条件下で製造された、対象ポリマー、ポリマー1及び2はより高いMFR及びMFR比を示した。
Figure 0005279138
各種用語が本明細書において定義されている。請求項に用いられている語が定義されていない場合には、本願の属する技術分野における当業者が少なくとも1つの刊行物又は特許を参照することにより理解される最も広い定義を有する。更に、特定の態様及び特徴は数値の上限及び下限値のセットを用いて説明されている。特に言及されていない限り、任意の下限値及び任意の上限値からなる範囲も本願明細書に開示の範囲であることを意図する。特定の下限値、上限値、及び範囲は1つ以上の請求項に記載されている。全ての数値に付している「約」又は「およそ」の語は、当業者が予測する試験手順の誤差、又は変動値を考慮にいれたものである。更に、全ての特許、試験手順、及び本明細書において引用する他の文献は参照により本明細書に援用する。本願発明の特定の態様をこれまで説明したが、本発明の他の及び更なる態様は、本発明の基本理念の範囲内において提供することができ、そのような範囲は特許請求の範囲により決定される。

Claims (1)

  1. 官能化されたプロピレンベースポリマーを製造する方法であって、
    前記方法が、
    (i)プロピレン誘導単位及び0.3乃至10重量%の1つ以上のジエンを含む、プロピレンベースポリマー主鎖を(ii)フリーラジカル開始剤及び(iii)少なくとも1つのエチレン系不飽和カルボン酸又は該カルボン酸の誘導体と接触させる工程であって、前記主鎖が50乃至99%のトリアドアイソタクチシティー及び80J/g未満の融解熱を有することを特徴とする工程と、
    前記少なくとも1つのエチレン系不飽和カルボン酸又は該カルボン酸の誘導体を、フリーラジカル開始剤の存在下で、前記フリーラジカルが生成して前記主鎖をグラフトしグラフトされたプロピレンコポリマーを提供するような条件下で、前記主鎖と反応させる工程と、
    前記グラフト化されたプロピレンコポリマーをペレット化して、MFR比が0.01乃至10であるペレット化されたグラフト化プロピレンコポリマーを提供する工程とを含む、
    方法。
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