JP4439686B2 - シンジオタクティックプロピレン系共重合体及び該共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

シンジオタクティックプロピレン系共重合体及び該共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シンジオタクティックプロピレン系共重合体、その製造方法および該共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【発明の技術的背景】
本出願人は、エチレンと特定の環状オレフィンとの共重合により得られる環状オレフィン系ランダム共重合体について既に種々の提案を行っている。たとえば特開昭60-168708号、特開昭61-98780号、同61-115912号、同61-115916号および同61-120816号公報等である。これらの公報に記載されている環状オレフィン系ランダム共重合体は、優れた透明性を有すると共に、耐熱性、耐熱老化性、耐薬品性、耐溶剤性、誘電特性および機械的特性等の諸特性にも優れている。さらに、この環状オレフィン系ランダム共重合体は、一種のポリオレフィンであるにも拘わらず、種々の材質の基材との接着性にも優れている。このため、この環状オレフィン系ランダム共重合体は、たとえば、光学メモリディスクや光学ファイバーなどの光学材料の分野、透明フィルム、透明容器などの透明包装材料等の分野で広く使用されている。また、上記環状オレフィンの開環(共)重合体およびこの開環(共)重合体の水添物も上記環状オレフィン系ランダム共重合体と同等の特性を有することから、同様に使用されている。
【0003】
ところで、このような環状オレフィン系樹脂では、共重合後、ペレット状に賦形し、このペレットを溶融してフィルム、シート、射出成形体等の成形体を製造するのが一般的である。
【0004】
しかしながら、このような環状オレフィン系樹脂ペレットから各種成形品を製造すると、製造条件によっては透明性が低下することがあった。
【0005】
本発明者らはこの透明性の低下の原因について検討したところ、環状オレフィン系樹脂中にゲル状異物や焼け焦げなどの不純物が混入するため抗酸化剤等の安定剤を練り込んでいるが、このような方法では成形体中に不純物の量は一定限度までしか低下しないという問題があった。
【0006】
一方、シンジオタクティックポリプロピレンは、バナジウム化合物とエーテルおよび有機アルミニウムからなる触媒の存在下に低温重合により得られることが知られている。しかしながらこの方法で得られるポリマーは、そのシンジオタクティシティが低く、本来のシンジオタクティックな性質を表しているとは言い難かった。
【0007】
これに対して、J.A.Ewenらにより非対称な配位子を有する遷移金属触媒とアルミノキサンからなる触媒の存在下にシンジオタックティックペンタッド分率が0.7を超えるようなタクティシティの高いポリプロピレンが得られることが初めて発見された(J.Am.Chem.Soc.,1988,110,6255−6256)。
【0008】
上記J.A.Ewenらの方法により得られたポリマーは、シンジオタクティシティは高いものの、アイソタクティックポリプロピレンよりもエラスティックな性質を有しており、透明性、耐熱性は充分なものではなかった。
【0009】
本発明者らは、このような状況に鑑み鋭意研究した結果、特定の実質的にシンジオタクティック構造であるプロピレンと上記式[1]または[2]で表される環状オレフィンと、共役または非共役ポリエンとの共重合体が、透明性、耐熱性のバランスに優れるとともにゲル状異物の量も極端に少ないことを見出して、本発明を完成するに至った。
【0010】
【発明の目的】
本発明は、耐熱性に優れるとともに透明性などの低下原因となるゲル状異物等の不純物の含有量の少ないシンジオタクティック性プロピレン・環状オレフィン共重合体およびその成形体を提供することを目的としている。
【0011】
【発明の概要】
本発明に係るシンジオタクティックプロピレン系共重合体は、(i)実質的にシンジオタクティック構造であるプロピレン構成単位を98.99〜50モル%と、前記式[1]または[2]で表される環状オレフィンから導かれる構成単位を1〜50モル%と、少なくとも1種の共役または非共役ポリエンから導かれる構成単位を0.01〜30モル%とを含むシンジオタクティック構造プロピレン系共重合体であることを特徴としている。この共重合体は、プロピレンと環状オレフィンと共役または非共役ポリエンとのランダム共重合体である。
【0012】
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、
(i)前記シンジオタクティックプロピレン系共重合体組成物;1〜99重量部と、
(ii)上記シンジオタクティックプロピレン系共重合体以外の熱可塑性樹脂;99〜1重量部とから
なることを特徴としている。
【0013】
本発明の好ましい態様においては、上記シンジオタクティックプロピレン系共重合体(i)は、プロピレンのtriad連鎖でみたシンジオタクティシティーが0.6以上であり135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜10dl/gの範囲にあり、GPCによる分子量分布が4以下であり、ガラス転移温度Tgが100℃以下であることが望ましい。
【0014】
このようなシンジオタクティックプロピレン系共重合体は、
下記成分(a)と、
下記成分(b)、(c)および(d)のうちから選択される1種以上の化合物と、
からなる少なくとも1つの触媒系の存在下に、プロピレンと、上記環状オレフィンと、共役または非共役ポリエンとを共重合することにより製造することができる。
【0015】
(a):下記式(II)または式(III)で表される遷移金属錯体
【0016】
【化4】
Figure 0004439686
【0017】
[式(II)、(III)中、MはTi、Zr、Hf、Rn、Nd、SmまたはRuであり、Cp1およびCp2はMとπ結合しているシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはそれらの誘導体基であり、X1およびX2は、アニオン性配位子または中性ルイス塩基配位子であり、Yは窒素原子、酸素原子、リン原子、または硫黄原子を含有する配位子であり、ZはC、O、B、S、Ge、SiまたはSn原子あるいはこれらの原子を含有する基である。]
(b):成分(a)中の遷移金属Mと反応し、イオン性の錯体を形成する化合物(c):有機アルミニウム化合物
(d):アルモキサン。
【0018】
本発明では、上記(i)シンジオタクティック構造プロピレン系共重合体において、プロピレン構成単位は、98.99〜50モル%の量含んでいることが望ましい。
【0019】
本発明では、上記(i)シンジオタクティック構造プロピレン系共重合体において、前記式[1]または[2]で表される環状オレフィンは、テトラシクロドデセン、ノルボルネンおよびこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種の環状オレフィンであることが望ましい。
【0020】
本発明では、上記(i)シンジオタクティック構造プロピレン系共重合体の共役ポリエン成分として、たとえば以下のような単量体が例示できる。
ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、ヘキサジエン、オクタジエンが望ましく、これらを単独であるいは2種以上組合わせて用いることができる。
【0021】
本発明では、上記(i)シンジオタクティック構造プロピレン系共重合体の非共役ポリエン成分として、5-エチリデン-2- ノルボルネン、5-ビニル-2- ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、非共役トリエンが望ましく、これらは単独であるいは2種以上組合わせて用いることができる。
【0022】
本発明では、上記(i)シンジオタクティック構造プロピレン系共重合体において共役または非共役ポリエン構成単位は、0.01〜30モル%の量含むことが望ましい。なお本発明では、共役ポリエンと非共役ポリエンとを2種以上組合わせて用いることもできる。
【0023】
また本発明では、前記(ii)熱可塑性樹脂が、シンジオタクティック構造プロピレン系共重合体以外のオレフィン系重合体から少なくとも1種選ばれることが好ましい。
【0024】
本発明に係る上記シンジオタクティック構造プロピレン系共重合体及び該共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物は、耐熱性、耐摩耗性等のバランスに優れている。
【0025】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係るシンジオタクティックプロピレン系共重合体、その製造方法および該共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物について具体的に説明する。
【0026】
<(i)シンジオタクティック構造プロピレン系共重合体>
シンジオタクティック構造プロピレン系共重合体は、実質的にシンジオタクティック構造であるプロピレン構成単位を98.99〜50モル%の量、好ましくは98〜60モル%の量、特に好ましくは90〜65モル%の量含むことが望ましい。
【0027】
また、本発明で用いられるシンジオタクティックプロピレン系共重合体(i)を構成するプロピレンから導かれる構成単位(繰返し単位)は、実質的にシンジオタクティック構造であり、プロピレンのtriad連鎖でみたシンジオタクティシティーは0.6以上、好ましくは0.7以上であり、シンジオタクティシティーがこのような範囲にあると結晶化速度が速く、加工性に優れる。なお、本明細書において実質的に シンジオタクティック構造であるとは、プロピレンのtriad連鎖でみたシンジオタクティシティーが0.6以上であることを意味する。
【0028】
ここでプロピレンのtriad連鎖でみたシンジオタクティシティーについて説明する。
このシンジオタクティックプロピレン系共重合体(i)のトリアドシンジオタクティシティ(以下「rr分率」ということがある。)は、該重合体(A)の13C−NMRスペクトルおよび下記式(1)により、頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖部の第2単位目の側鎖メチル基の強度(面積)比として求められる。
【0029】
rr分率(%)=PPP(rr)×100/{PPP(mm)+PPP(mr)+PPP(rr)} …(1)
(式中、PPP(mm)、PPP(mr)、PPP(rr)は、それぞれ13C−NMRスペクトルの下記シフト領域で観察される頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖部の第2単位目の側鎖メチル基の面積である。)
【0030】
【表1】
Figure 0004439686
【0031】
このようなPPP(mm)、PPP(mr)、PPP(rr)は、それぞれ下記構造の頭−尾結合したプロピレン3単位連鎖を示す。
【0032】
【化5】
Figure 0004439686
【0033】
なおメチル炭素領域内(19〜23ppm)では、上記のような頭−尾結合プロピレン3連鎖中のプロピレン単位の側鎖メチル基以外にも、下記のような他の連鎖中のプロピレン単位の側鎖メチル基ピークが観測される。rr分率を求める際には、このようなプロピレン単位3連鎖に基づかないメチル基のピーク面積を下記のように補正する。なお、Pはプロピレンから導かれる繰返し単位を示し、Eはエチレンから導かれる繰返し単位を示す。
【0034】
▲1▼第2領域内では、プロピレン同士が頭−尾結合したPPE3連鎖中の第2単位(プロピレン単位)目の側鎖メチル基に由来するピークが観測される。
このメチル基ピークの面積は、PPE連鎖中の第2単位(プロピレン単位)のメチン基(30.6ppm付近で共鳴)のピーク面積から求めることができる。
【0035】
▲2▼第3領域内では、EPE3連鎖中の第2単位(プロピレン単位)目の側鎖メチル基に由来するピークが観測される。
このメチル基ピーク面積は、EPE連鎖中の第2単位(プロピレン単位)のメチン基(32.9ppm付近で共鳴)のピーク面積から求めることができる。
【0036】
▲3▼第2領域および第3領域内では、エチレン・エチレンランダム共重合体中に少量含まれる、下記部分構造(i)、(ii)および(iii)で示されるような位置不規則単位中のメチル基C〜E’に由来するピークが観察される。
【0037】
第2領域では、メチル基Cピーク、メチル基Dピークおよびメチル基D’ピークが観測され、
第3領域では、メチル基Eピークおよびメチル基E’ピークが観測される。
【0038】
なお位置不規則単位(i)〜(iii)中のメチル基中、メチル基Aピークおよびメチル基Bピークは、それぞれ17.3ppm、17.0ppmで観測され、第1〜3領域内では観測されない。
【0039】
【化6】
Figure 0004439686
【0040】
メチル基Cのピーク面積は、隣接するメチン基(31.3ppm付近で共鳴)のピーク面積より求めることができる。
メチル基Dのピーク面積は、構造(ii)のαβメチレン炭素に基づくピーク(34.3ppm付近および34.5ppm付近)のピーク面積の和の1/2より求めることができる。
【0041】
メチル基D’のピーク面積は、構造(iii)のメチル基E’に隣接するメチン基に基づくピーク(33.3ppm付近)の面積より求めることができる。
メチル基Eのピーク面積は、隣接するメチン炭素(33.7ppm付近)のピーク面積より求めることができる。
【0042】
メチル基E’のピーク面積は、隣接するメチン炭素(33.3ppm付近)のピーク面積より求めることができる。
したがってこれらのピーク面積を第2領域および第3領域の全ピーク面積より差し引くことにより、頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖中の第2プロピレン単位の側鎖メチル基のピーク面積を求めることができる。
【0043】
なおスペクトル中の各炭素ピークは、文献(Polymer,30,1350(1989))を参考にして帰属することができる。
【0044】
このようなシンジオタクティック構造は、以下のようにして測定される。
すなわち、試料0.35gをヘキサクロロブタジエン2.0mlに加熱溶解させる。この溶液をグラスフィルター(G2)で濾過した後、重水素化ベンゼン0.5mlを加え、内径10mmのNMRチューブに装入する。そして日本電子製GX−500型NMR測定装置を用い、120℃で13C−NMR測定を行う。積算回数は、10,000回以上とする。
【0045】
本発明では、前記式[1]または[2]で表される環状オレフィンから導かれる構成単位を1〜50モル%の量、好ましくは1〜40モル%、さらに好ましくは5〜35モル%含んでいるシンジオタクティック構造プロピレン系共重合体が望ましい。
【0046】
このような環状オレフィンとしては、具体的には下記のようなものが挙げられる。
【0047】
【化7】
Figure 0004439686
【0048】
上記式[1]において、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、qは0または1である。なおqが1の場合には、qを用いて表される環は6員環となり、qが0の場合にはこの環は5員環となる。
【0049】
また、R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基である。
ここで、ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。また、炭化水素基としては、通常、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または芳香族炭化水素基を挙げることができる。より具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基を挙げることができる。これらアルキル基はハロゲン原子で置換されていてもよい。また、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基を挙げることができ、芳香族炭化水素基としてはフェニル基およびナフチル基を挙げることができる。
【0050】
さらに、上記式[1]において、R15とR16とが、R17とR18とが、R15とR17とが、R16とR18とが、R15とR18とが、あるいはR16とR17とがそれぞれ結合して(互いに共同して)、単環または多環の基を形成していてもよい。さらに、このようにして形成された単環または多環が二重結合を有していてもよい。ここで形成される単環または多環としては、具体的に以下のようなものを挙げることができる。
【0051】
【化8】
Figure 0004439686
【0052】
なお上記例示において、1または2の番号を賦した炭素原子は、式[1]においてそれぞれR15(R16)またはR17(R18)が結合している炭素原子を表す。また、R15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。このようなアルキリデン基は、通常は炭素原子数2〜20のアルキリデン基であり、このようなアルキリデン基の例としては、エチリデン基、プロピリデン基およびイソプロピリデン基を挙げることができる。
【0053】
【化9】
Figure 0004439686
【0054】
上記式[2]において、pおよびqは0または正の整数であり、mおよびnは0、1または2である。
また、R1〜R19は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基またはアルコキシ基である。
【0055】
ここでハロゲン原子は、上記式[1]の説明中に挙げたハロゲン原子と同じ意味である。
【0056】
また炭化水素基としては、通常は炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または芳香族炭化水素基を挙げることができる。
【0057】
より具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基を挙げることができる。これらアルキル基はハロゲン原子で置換されていてもよい。シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基を挙げることができ、芳香族炭化水素基としては、アリール基およびアラルキル基を挙げることができ、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基およびフェニルエチル基を挙げることができる。
【0058】
また、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基およびプロポキシ基を挙げることができる。
【0059】
さらに、式[2]において、R9およびR10が結合している炭素原子と、R13が結合している炭素原子またはR11が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよい。すなわち、上記二個の炭素原子がアルキレン基を介して結合している場合には、R9とR13とが、または、R10とR11とが互いに共同して、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2CH2-)またはプロピレン基(-CH2CH2CH2-)の内のいずれかのアルキレン基を形成している。
【0060】
さらに、n=m=0のとき、R15とR12またはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。具体的には、n=m=0のとき、R15とR12とにより形成される以下のような芳香族環を挙げることができる。
【0061】
【化10】
Figure 0004439686
【0062】
ここで、qは式[2]におけるqと同じ意味である。
【0063】
上記のような式[1]または[2]で表される環状オレフィンとしては、具体的には、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン誘導体、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン誘導体、
ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]-4-ヘプタデセン誘導体、
オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]-5-ドコセン誘導体、
ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]-4-ヘキサデセン誘導体、
ヘプタシクロ-5-エイコセン誘導体、
ヘプタシクロ-5-ヘンエイコセン誘導体、
トリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン誘導体、
トリシクロ[4.4.0.12,5]-3-ウンデセン誘導体、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]-4-ペンタデセン誘導体、
ペンタシクロペンタデカジエン誘導体、
ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]-3-ペンタデセン誘導体、
ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]-4-エイコセン誘導体、
ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.03,8.02,10.012,21.014,19]-5-ペンタコセン誘導体、
ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]-3-ヘキサデセン誘導体、
ヘプタシクロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]-5-ヘンエイコセン誘導体、
ノナシクロ[10.10.1.15,8.114,21.116,19.02,11.04,9.013,22.015,20]-5-ヘキサコセン誘導体、
1,4-メタノ-1,4,4a,9a-テトラヒドロフルオレン誘導体、
1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,10a-ヘキサヒドロアントラセン誘導体、および
シクロペンタジエン-アセナフチレン付加物などを挙げることができる。
【0064】
上記のような式[1]または[2]で表される環状オレフィンのより具体的な例を以下に示す。
【0065】
【化11】
Figure 0004439686
【0066】
【化12】
Figure 0004439686
【0067】
【化13】
Figure 0004439686
【0068】
【化14】
Figure 0004439686
【0069】
【化15】
Figure 0004439686
【0070】
【化16】
Figure 0004439686
【0071】
【化17】
Figure 0004439686
【0072】
【化18】
Figure 0004439686
【0073】
【化19】
Figure 0004439686
【0074】
【化20】
Figure 0004439686
【0075】
【化21】
Figure 0004439686
【0076】
【化22】
Figure 0004439686
【0077】
【化23】
Figure 0004439686
【0078】
【化24】
Figure 0004439686
【0079】
【化25】
Figure 0004439686
【0080】
【化26】
Figure 0004439686
【0081】
【化27】
Figure 0004439686
【0082】
【化28】
Figure 0004439686
【0083】
【化29】
Figure 0004439686
【0084】
【化30】
Figure 0004439686
【0085】
【化31】
Figure 0004439686
【0086】
このような環状オレフィンの中では、テトラシクロドデセン、ノルボルネンおよびそれらの誘導体が好ましい。
このような量で環状オレフィン構成単位、プロピレン構成単位を含有するシンジオタクティック構造プロピレン系共重合体(i)は、耐傷付き性に優れるとともに、熱可塑性樹脂との相溶性が良好となり、得られるシンジオタクティックプロピレン系共重合体組成物は、充分な耐熱性、耐衝撃性を発揮する傾向がある。
【0087】
本発明の好ましい態様においては、上記(i)シンジオタクティック構造プロピレン系共重合体の共役ポリエン構成単位は、たとえば以下のような単量体から導かれる。
【0088】
《共役ポリエン》
共役ポリエンとしては、具体的には、1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-ヘプタジエン、1,3-オクタジエン、1-フェニル-1,3- ブタジエン、1-フェニル-2,4- ペンタジエン、イソプレン、2-エチル-1,3- ブタジエン、2-プロピル-1,3- ブタジエン、2-ブチル-1,3- ブタジエン、2-ペンチル-1,3- ブタジエン、2-ヘキシル-1,3- ブタジエン、2-ヘプチル-1,3- ブタジエン、2-オクチル-1,3- ブタジエン、2-フェニル-1,3- ブタジエン等の共役ジエン、1,3,5- ヘキサトリエン等の共役トリエンなとが挙げられる。これらのうちでは、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、ヘキサジエン、オクタジエンが望ましく、ブタジエン、イソプレンが共重合性に優れる点で特に好ましい。共役ポリエン単量体は、単独であるいは2種以上組合わせて用いることができる。
【0089】
本発明の好ましい態様においては、上記(i)シンジオタクティック構造プロピレン系共重合体の共役ポリエン構成単位は、0.01〜30モル%の量、好ましくは0.1〜30モル%、さらに好ましくは0.1〜20モル%含むことが望ましい。
【0090】
またヨウ素価は、1〜50、好ましくは4〜40、さらに好ましくは6〜30の範囲内にあることが望ましい。
【0091】
本発明の好ましい態様においては、上記(i)シンジオタクティック構造プロピレン系共重合体の非共役ポリエン構成単位は、たとえば以下のような単量体から導かれる。
【0092】
《非共役ポリエン》
非共役ポリエンとしては、具体的には、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、4-エチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘプタジエン、5-エチル-1,4-ヘプタジエン、5-メチル-1,5-ヘプタジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、5-エチル-1,5-ヘプタジエン、4-メチル-1,4-オクタジエン、5-メチル-1,4-オクタジエン、4-エチル-1,4-オクタジエン、5-エチル-1,4-オクタジエン、5-メチル-1,5-オクタジエン、6-メチル-1,5-オクタジエン、5-エチル-1,5-オクタジエン、6-エチル-1,5-オクタジエン、6-メチル-1,6-オクタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、6-エチル-1,6-オクタジエン、4-メチル-1,4-ノナジエン、5-メチル-1,4-ノナジエン、4-エチル-1,4-ノナジエン、5-エチル-1,4-ノナジエン、5-メチル-1,5-ノナジエン、6-メチル-1,5-ノナジエン、5-エチル-1,5-ノナジエン、6-エチル-1,5-ノナジエン、6-メチル-1,6-ノナジエン、7-メチル-1,6-ノナジエン、6-エチル-1,6-ノナジエン、7-エチル-1,6-ノナジエン、7-メチル-1,7-ノナジエン、8-メチル-1,7-ノナジエン、7-エチル-1,7-ノナジエン、5-メチル-1,4-デカジエン、5-エチル-1,4-デカジエン、5-メチル-1,5-デカジエン、6-メチル-1,5-デカジエン、5-エチル-1,5-デカジエン、6-エチル-1,5-デカジエン、6-メチル-1,6-デカジエン、7-メチル-1,6-デカジエン、6-エチル-1,6-デカジエン、7-エチル-1,6-デカジエン、7-メチル-1,7-デカジエン、8-メチル-1,7-デカジエン、7-エチル-1,7- デカジエン、8-エチル-1,7- デカジエン、8-メチル-1,8-デカジエン、9-メチル-1,8-デカジエン、8-エチル-1,8-デカジエン、9-メチル-1,8-ウンデカジエンなどの非共役ジエン、
6,10-ジメチル-1,5,9-ウンデカトリエン、
4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン(DMDT)、
5,9-ジメチル-1,4,8-デカトリエン、
6,9-ジメチル-1,5,8-デカトリエン、
6,8,9-トリメチル-1,5,8-デカトリエン、
6-エチル-10-メチル-1,5,9-ウンデカトリエン、
4-エチリデン-1,6-オクタジエン、
7-メチル-4-エチリデン-1,6-オクタジエン、
4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン(EMND)、
7-メチル-4-エチリデン-1,6-ノナジエン、
7-エチル-4-エチリデン-1,6-ノナジエン、
6,7-ジメチル-4-エチリデン-1,6-オクタジエン、
6,7-ジメチル-4-エチリデン-1,6-ノナジエン、
4-エチリデン-1,6-デカジエン、
7-メチル-4-エチリデン-1,6-デカジエン、
7-メチル-6-プロピル-4-エチリデン-1,6-オクタジエン、
4-エチリデン-1,7-ノナジエン、
8-メチル-4- エチリデン-1,7-ノナジエン、
4-エチリデン-1,7-ウンデカジエン等の非共役トリエン
などが挙げられる。特に中でも5-エチリデン-2- ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、4,8-ジメチル-1,4,8- デカトリエン(DMDT)、4- エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン(EMND)が望ましく非共役ポリエン単量体は、単独であるいは2種以上組合わせて用いることができる。
【0093】
本発明の好ましい態様においては、上記(i)シンジオタクティック構造プロピレン系共重合体の非共役ポリエン構成単位は、0.01〜30モル%の量、好ましくは0.1〜30モル%、さらに好ましくは0.1〜20モル%含むことが望ましい。
【0094】
またヨウ素価は、1〜50、好ましくは4〜40、さらに好ましくは6〜30の範囲内にあることが望ましい。
【0095】
このようなシンジオタクティック構造プロピレン系共重合体(i)は、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が、通常0.01〜10dl/g、好ましくは0.05〜10dl/gの範囲にあることが望ましい。該シンジオタクティック構造プロピレン系共重合体(i)の極限粘度[η]が、前記範囲内にあると、耐候性、耐オゾン性、耐熱老化性、低温特性、耐動的疲労性などの特性に優れたシンジオタクティック構造プロピレン系共重合体となる。
【0096】
このシンジオタクティック構造プロピレン系共重合体(i)は、単一のガラス転移温度を有し、かつ示差走査熱量計(DSC)によって測定したガラス転移温度Tgが、通常100℃以下、好ましくは90℃以下の範囲にあることが望ましい。該シンジオタクティック構造プロピレン系共重合体(i)のガラス転移温度Tgが前記範囲内にあると、耐衝撃性、透明性に優れる。
【0097】
またGPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn、ポリスチレン換算、Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)は4.0以下であることが好ましい。
【0098】
[シンジオタクティック構造プロピレン系共重合体(i)の製造]
このようなシンジオタクティックプロピレン系共重合体(i)の製造の際には、触媒として後述するようなメタロセン系触媒が好ましく用いられる。
【0099】
また、シンジオタクティックプロピレン系共重合体(i)の製造の際には、上記触媒系に代えて特開平2-41303号公報、特開平2-41305号公報、特開平2-274703号公報、特開平2-274704号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平4-69394号公報、特開平5-17589号公報または特開平8−120127号公報に記載の触媒系を用いることもできる。
【0100】
具体的には、上記「発明の技術的背景」の項で述べたJ.A.Ewenらの文献「J.Am.Chem.Soc.,1988,110,6255-6256」に記載の触媒系を用いることもでき、また該文献に記載された化合物と異なる構造のものであっても、プロピレンの単独重合体を製造したときに、得られる重合体のシンジオタックティックtriad分率(A.ZambelliらMacromolecules vol 6 687(1973).同vol 8 925(1975))が前述したような値、たとえば、0.5以上程度の比較的タクティシティーが高い重合体を与える触媒系であれば利用でき、具体的には、互いに非対称な配位子を有する架橋型遷移金属化合物と有機アルミニウム等の助触媒とからなる触媒系が挙げられる。
【0101】
このような触媒系を構成する互いに非対称な配位子を有する架橋型遷移金属化合物としては、例えば、上記文献に記載されたジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピル(シクロペンタジエニル-1-フルオレニル)ハフニウムジクロリド、あるいはイソプロピル(シクロペンタジエニル-1-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(t-ブチルアミド)ジメチル(フルオレニル)シランチタンジメチル、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド等が挙げられる。
【0102】
本発明で用いられるシンジオタクティックプロピレン系共重合体(i)を、上記のような触媒の存在下に製造する場合には、プロピレンと、エチレンおよび炭素原子数が4〜20の環状オレフィンから選ばれる少なくとも1種以上の環状オレフィンと、共役または非共役ジエンとを、最終的に上記のような特性を有するように重合させる。重合は懸濁重合、溶液重合などの液相重合法あるいは気相重合法いずれにおいても実施できる。
【0103】
液相重合法では、重合媒体としてプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などの不活性炭化水素溶媒を用いることができ、またプロピレンを溶媒として用いることもできる。
【0104】
重合は、懸濁重合法を実施する際には、通常−50〜100℃、好ましくは0〜90℃の温度で行われることが望ましく、溶液重合法を実施する際には、通常0〜250℃、好ましくは20〜200℃の温度で行われることが望ましい。また、気相重合法を実施する際には、重合は通常0〜120℃、好ましくは20〜100℃の温度で行われることが望ましい。重合は、通常、常圧〜100kg/cm2 、好ましくは常圧〜50kg/cm2の圧力下で行われる。
【0105】
重合は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
得られるシンジオタクティックプロピレン重合体(A)の分子量は、重合系に水素を存在させるか、あるいは重合温度、重合圧力を変化させることによって調節することができる。
【0106】
このようなシンジオタクティック構造プロピレン−環状オレフィン−共役または非共役ジエン共重合体(i)は、具体的には下記に示すメタロセン系触媒の存在下に共重合させて得られる。
【0107】
このようなメタロセン系触媒としては、
下記式(II)(III)で表される遷移金属錯体(a):
【0108】
【化32】
Figure 0004439686
【0109】
[式(II)中、MはTi、Zr、Hf、Rn、Nd、SmまたはRuであり、Cp1およびCp2はMとπ結合しているシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはそれらの誘導体基であり、X1およびX2は、アニオン性配位子または中性ルイス塩基配位子であり、Yは窒素原子、酸素原子、リン原子、または硫黄原子を含有する配位子であり、ZはC、O、B、S、Ge、SiまたはSn原子あるいはこれらの原子を含有する基である。]と、
下記成分(b)、(c)および(d)のうちから選択される1種以上の化合物と、
からなる少なくとも1つの触媒系が用いられる。
(b):成分(a)中の遷移金属Mと反応し、イオン性の錯体を形成する化合物(イオン化イオン性化合物とも言う。)
(c):有機アルミニウム化合物
(d):アルモキサン。
【0110】
まず本発明で用いられる下記式(II)で表される遷移金属錯体(a)について説明する。
【0111】
[式(II)中、MはTi、Zr、Hf、Rn、Nd、SmまたはRuであり、好ましくはTi、ZrまたはHfであり、Cp1およびCp2はMとπ結合しているシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはそれらの誘導体基であり、X1およびX2は、アニオン性配位子または中性ルイス塩基配位子であり、ZはC、O、B、S、Ge、SiまたはSn原子あるいはこれらの原子を含有する基、好ましくは1個のO、SiまたはCである。]
【0112】
式(II)中、結合基Zは、特にC、O、B、S、Ge、Si、Snから選ばれる1個の原子であることが好ましく、この原子はアルキル基、アルコキシ基などの置換基を有していてもよく、Zの置換基は、互いに結合して環を形成していてもよい。これらのうちでは、Zは、O、SiおよびCから選択されることが好ましい。
【0113】
Cp1、Cp2は遷移金属に配位する配位子であり、シクロペンタジエニル基、インデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などのシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は、アルキル基、シクロアルキル基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよい。
【0114】
1およびX2は、アニオン性配位子または中性ルイス塩基配位子であり、具体的には、炭素原子数が1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸含有基(−SO3a、但し、Raはアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アリール基、ハロゲン原子で置換されたアリール基またはアルキル基で置換されたアリール基である。)、ハロゲン原子、水素原子などが挙げられる。
【0115】
以下に、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を1個含むメタロセン化合物を例示する。
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)フルオレニルハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリド、イソプロピル(シクロペンタジエニル-1-フルオレニル)ハフニウムジクロリド、あるいはイソプロピル(シクロペンタジエニルー1ーフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(t−ブチルアミド)ジメチル(フルオレニル)シランチタンジメチル、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリドなど。
【0116】
次に本発明で用いられる下記式(III)で表わされる遷移金属錯体について説明する。
【0117】
【化33】
Figure 0004439686
【0118】
式(III)中、Mは周期律表第4族またはランタニド系列の遷移金属であり、具体的には、Ti、Zr、Hf、Rn、Nd、SmまたはRuであって、好ましくはTi、Zr、Hfであり、Cp1はMとπ結合しているシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはそれらの誘導体基であり、X1およびX2は、アニオン性配位子または中性ルイス塩基配位子であり、Yは窒素原子、酸素原子、リン原子、または硫黄原子を含有する配位子であり、Zは炭素、酸素、硫黄、硼素または周期律表第14族の元素(例えばケイ素、ゲルマニウムまたはスズ)であり、好ましくは炭素、酸素、ケイ素のいずれかであり、Zは置換基を有していてもよく、ZとYとで縮合環を形成してもよい。
【0119】
さらに詳説すると、Cp1は遷移金属に配位する配位子であり、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基あるいはそれらの誘導体基などのシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は、アルキル基、シクロアルキル基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよい。
【0120】
また、Zは、C、O、B、S、Ge、Si、Snから選ばれる原子であり、Zはアルキル基、アルコキシ基などの置換基があってもよく、Zの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。
【0121】
1およびX2は、アニオン性配位子または中性ルイス塩基配位子であり、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子もしくはハロゲン原子であるか、または20個以下の炭素原子、ケイ素原子もしくはゲルマニウム原子を含有する炭化水素基、シリル基もしくはゲルミル基である。
【0122】
このような式(II)で表される化合物としては、具体的に、
(t−ブチルアミド)ジメチル(フルオレニル)シランチタンジメチル、
(t−ブチルアミド)ジメチル(フルオレニル)シランチタンジクロリド、
(t−ブチルアミド)ジメチル(フルオレニル)シランジルコニウムジメチル、
(t−ブチルアミド)ジメチル(フルオレニル)シランジルコニウムジクロリド
などが挙げられる。
【0123】
また、上記のような化合物においてジルコニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置き換えたメタロセン化合物を例示することもできる。
【0124】
上記のようなメタロセン化合物は、単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。
また上記のようなメタロセン化合物は、粒子状担体に担持させて用いることもできる。
【0125】
このような粒子状担体としては、SiO2、Al23、B23、MgO、ZrO2、CaO、TiO2、ZnO、SnO2、BaO、ThOなどの無機担体、ポリα-オレフィン、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテン、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体などの有機担体を用いることができる。これらの粒子状担体は、単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。
【0126】
本発明においては、オレフィン重合用触媒としては、上記のようなメタロセン系触媒が好ましく用いられるが、
【0127】
次に、メタロセン系触媒を形成する
(b):成分(a)中の遷移金属Mと反応し、イオン性の錯体を形成する化合物、すなわちイオン化イオン性化合物、
(c):有機アルミニウム化合物、および
(d):アルモキサン(アルミニウムオキシ化合物)について説明する。
【0128】
<(b)イオン化イオン性化合物>
イオン化イオン性化合物は、遷移金属錯体成分(a)中の遷移金属Mと反応してイオン性の錯体を形成する化合物であり、このようなイオン化イオン性化合物としては、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物を例示することができる。
【0129】
ルイス酸としては、BR3(中、Rはフッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素原子である。)で示される化合物が挙げられ、たとえばトリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p-トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
【0130】
イオン性化合物としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などを挙げることができる。具体的に、トリアルキル置換アンモニウム塩としては、たとえばトリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。ジアルキルアンモニウム塩としては、たとえばジ(1-プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。さらにイオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることもできる。
【0131】
ボラン化合物としては、デカボラン(14)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0132】
カルボラン化合物としては、4-カルバノナボラン(14)、1,3-ジカルバノナボラン(13)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0133】
上記のようなイオン化イオン性化合物は、単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。
前記有機アルミニウムオキシ化合物またはイオン化イオン性化合物は、上述した粒子状担体に担持させて用いることもできる。
【0134】
また触媒を形成するに際しては、有機アルミニウムオキシ化合物またはイオン化イオン性化合物とともに以下のような(c)有機アルミニウム化合物を用いてもよい。
【0135】
<(c)有機アルミニウム化合物>
有機アルミニウム化合物としては、分子内に少なくとも1個のAl−炭素結合を有する化合物が利用できる。このような化合物としては、たとえば下記一般式で表される有機アルミニウム化合物が挙げられる。
【0136】
(R1m Al(O(R2))npq
(式中、R1およびR2は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が通常1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3を満たす数であって、しかも、m+n+p+q=3である。)
<(d)有機アルミニウムオキシ化合物(アルモキサン)>
(d)有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0137】
従来公知のアルミノキサン(アルモキサン)は、具体的には、下記一般式で表される。
【0138】
【化34】
Figure 0004439686
【0139】
式中、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭化水素基であり、好ましくはメチル基、エチル基、特に好ましくはメチル基である。
mは2以上の整数であり、好ましくは5〜40の整数である。
【0140】
ここで、アルミノキサンは式(OAl(R1))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位および式(OAl(R2))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位(ここで、R1およびR2はRと同様の炭化水素基であり、R1およびR2は相異なる基を示す。)からなる混合アルキルオキシアルミニウム単位から形成されていてもよい。
【0141】
なお有機アルミニウムオキシ化合物は、少量のアルミニウム以外の金属の有機化合物成分を含有していてもよい。
本発明においては、上記シンジオタクティックプロピレン系共重合体(i)製造用の触媒(オレフィン系触媒)としては、上記のようなメタロセン系触媒が好ましく用いられるが、場合によっては上記メタロセン系触媒以外の、従来より公知の▲1▼固体状チタン触媒成分と有機アルミニウム化合物とからなるチタン系触媒、▲2▼可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなるバナジウム系触媒を用いることもできる。
【0142】
本発明では、上記のようなメタロセン触媒の存在下に、プロピレン、環状オレフィン、共役または非共役ポリエンなどを通常液相で共重合させる。この際、一般に炭化水素溶媒が用いられるが、プロピレンを溶媒として用いてもよい。共重合はバッチ法または連続法のいずれの方法でも行うことができる。
【0143】
メタロセン系触媒を用い、共重合をバッチ法で実施する場合には、重合系内のメタロセン化合物の濃度は、重合容積1リットル当り、通常0.00005〜1ミリモル、好ましくは0.0001〜0.5ミリモルの量で用いられる。
【0144】
有機アルミニウムオキシ化合物は、メタロセン化合物中の遷移金属原子(M)に対するアルミニウム原子(Al)のモル比(Al/M)で、1〜10000、好ましくは10〜5000となるような量で用いられる。
【0145】
イオン化イオン性化合物は、メタロセン化合物に対するイオン化イオン性化合物のモル比(イオン化イオン性化合物/メタロセン化合物)で、0.5〜20、好ましくは1〜10となるような量で用いられる。
【0146】
また有機アルミニウム化合物が用いられる場合には、重合容積1リットル当り、通常約0〜5ミリモル、好ましくは約0〜2ミリモルとなるような量で用いられる。
【0147】
共重合反応は、通常、温度が−20〜150℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましくは0〜100℃の範囲で、圧力が0を超えて〜80kg/cm2、好ましくは0を超えて〜50kg/cm2の範囲の条件下に行なわれる。
【0148】
また反応時間(共重合が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なるが、通常5分間〜3時間、好ましくは10分間〜1.5時間である。
【0149】
上記のようにしてプロピレン、環状オレフィン、共役または非共役ポリエンの共重合用モノマーを共重合させると、シンジオタクティック構造プロピレン−環状オレフィン共重合体(i)は通常これを含む重合液として得られる。この重合液は常法により処理され、シンジオタクティック構造プロピレン系共重合体(i)が得られる。
【0150】
<熱可塑性樹脂組成物>
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、
(i)前記シンジオタクティックプロピレン系共重合体(i);1〜99重量部と、
(ii)上記シンジオタクティックプロピレン系共重合体以外の熱可塑性樹脂;99〜1重量部とから形成されている。
【0151】
次に、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物について説明する。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、
(i)前記シンジオタクティックプロピレン系共重合体(i);1〜99重量部、好ましくは10〜90重量部、さらに好ましくは20〜80重量部と、
(ii) 上記シンジオタクティックプロピレン系共重合体以外の熱可塑性樹脂;99〜1重量部、好ましくは90〜10重量部、さらに好ましくは80〜20重量部とから形成されている。
【0152】
(ii)熱可塑性樹脂
熱可塑性樹脂としては、シンジオタクティック構造プロピレン系共重合体以外の熱可塑性樹脂が用いられ、たとえばポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルおよびポリアセタール、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイドなどが挙げられる。
【0153】
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、シンジオタクティックホモポリプロピレン、アイソタクティオックホモポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリメチルペンテン、ポリメチルブテンなどのオレフィン単独重合体、アイソタクティックプロピレン系ランダム共重合体などのオレフィン共重合体などを挙げることができ、シンジオタクティックホモポリプロピレン、アイソタクティックプロピレン系ランダム共重合体、ポリエチレン、ポリ-1-ブテンが好ましい。
【0154】
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの芳香族系ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレートなどを挙げることができ、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0155】
ポリアミドとしては、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−10、ナイロン−12、ナイロン−46等の脂肪族ポリアミド、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンより製造される芳香族ポリアミドなどを挙げることができ、ナイロン−6が特に好ましい。
【0156】
ポリアセタールとしては、ポリホルムアルデヒド(ポリオキシメチレン)、ポリアセトアルデヒド、ポリプロピオンアルデヒド、ポリブチルアルデヒドなどを挙げることができ、ポリホルムアルデヒドが特に好ましい。
【0157】
ポリスチレンは、スチレンの単独重合体であってもよく、スチレンとアクリロニトリル、メタクリル酸メチル、α−メチルスチレンとの二元共重合体であってもよい。
【0158】
ABSとしては、アクリロニトリルから誘導される構成単位を20〜35モル%の量で含有し、ブタジエンから誘導される構成単位を20〜30モル%の量で含有し、スチレンから誘導される構成単位を40〜60モル%の量で含有するものが好ましく用いられる。
【0159】
ポリカーボネートとしては、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタンなどから得られるものを挙げることができ、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンから得られるポリカーボネートが特に好ましい。
【0160】
ポリフェニレンオキシドとしては、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンオキシド)を用いることが好ましい。
【0161】
これらの熱可塑性樹脂のなかでは、ポリオレフィンが好ましく、シンジオタクティックホモポリプロピレンまたはアイソタクティックプロピレン系共重合体、エチレン系重合体がより好ましく、特に230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが、0.001〜1000g/10分であることがさらに好ましい。
【0162】
上記のような熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。さらに上記の熱可塑性樹脂とともに、上記以外の熱可塑性樹脂を用いてもよい。
【0163】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、公知の任意の方法を採用して製造することができ、たとえば、シンジオタクティックプロピレン系共重合体(i)と、熱可塑性樹脂(ii)および所望により添加される他成分を、種々公知の方法、例えばヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラブレンダー等で混合する方法、あるいは混合後、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練後、造粒あるいは粉砕する方法を採用して製造することができる。
【0164】
【発明の効果】
本発明に係るシンジオタクティックポリプロピレン系共重合体は、熱可塑性樹脂に配合することにより、耐熱性、耐摩耗性、透明性のバランスに優れた熱可塑性樹脂組成物が得られる。
【0165】
<シンジオタクティックポリプロピレン系共重合体及び該共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物からなる成形体>
本発明のシンジオタクティックポリプロピレン系共重合体は、通常はパウダーあるいは濃厚溶液として得られる。こうして得られたシンジオタクティック性プロピレン・環状オレフィン共重合体に、必要に応じて結晶核剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤等の添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。また、本発明の趣旨を逸脱しない限り他の合成樹脂を少量ブレンドすることができる。
【0166】
<結晶核剤(ii)>
結晶核剤としては、従来知られている種々の核剤が特に制限されることなく用いられる。結晶核剤として下記に挙げる芳香族リン酸エステル塩、ベンジリデンソルビトール、芳香族カルボン酸、ロジン系核剤などが例示される。
【0167】
芳香族リン酸エステル塩としては、下記式(I)で表される化合物を挙げることができる。
【0168】
【化35】
Figure 0004439686
【0169】
(式中、R4は酸素原子、硫黄原子または炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示し、R5およびR6は水素原子または炭素原子数は1〜10の炭化水素基を示し、R5およびR6は同種であっても異種であってもよく、R5同士、R6同士またはR5とR6とが結合して環状となっていてもよく、Mは1〜3価の金属原子を示し、nは1〜3の整数である。)
前記式(I)で表される化合物として具体的には、ナトリウム-2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート、ナトリウム-2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート、リチウム-2,2'-メチレン-ビス-(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート、リチウム-2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート、ナトリウム-2,2'-エチリデン-ビス(4-i-プロピル-6-t-ブチルフェニル) フォスフェート、リチウム-2,2'-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェニル) フォスフェート、リチウム-2,2'-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェニル) フォスフェート、カルシウム-ビス[2,2'-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェニル) フォスフェート] 、カルシウム-ビス[2,2'-チオビス(4-エチル-6-t-ブチルフェニル) フォスフェート] 、カルシウム-ビス[2,2'-チオビス-(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート] 、マグネシウム-ビス[2,2'-チオビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート] 、マグネシウム-ビス[2,2'-チオビス-(4-t-オクチルフェニル)フォスフェート] 、ナトリウム-2,2'-ブチリデン-ビス(4,6-ジ-メチルフェニル) フォスフェート、ナトリウム-2,2'-ブチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート、ナトリウム-2,2'-t-オクチルメチレン-ビス(4,6-ジ-メチルフェニル) フォスフェート、ナトリウム-2,2'-t-オクチルメチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート、カルシウム- ビス-(2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート) 、マグネシウム-ビス[2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート] 、バリウム-ビス[2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート] 、ナトリウム-2,2'-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェニル) フォスフェート、ナトリウム-2,2'-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェニル) フォスフェート、ナトリウム(4,4'-ジメチル-5,6'-ジ-t-ブチル-2,2'-ビフェニル) フォスフェート、カルシウム-ビス[(4,4'-ジメチル-6,6'-ジ-t-ブチル-2,2'-ビフェニル)フォスフェート] 、ナトリウム-2,2'-エチリデン-ビス(4-m-ブチル-6-t-ブチルフェニル) フォスフェート、ナトリウム-2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-メチルフェニル) フォスフェート、ナトリウム-2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-エチルフェニル) フォスフェート、カリウム-2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート、カルシウム-ビス[2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フオスフェート] 、マグネシウム-ビス[2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート] 、バリウム-ビス[2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート] 、アルミニウム-トリス[2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェル)フォスフェート] およびアルミニウム-トリス[2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート] およびこれらの2個以上の混合物を例示することができる。特にナトリウム-2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェートが好ましい。
【0170】
芳香族リン酸エステル塩として、下記式(II)で表される化合物を挙げることができる。
【0171】
【化36】
Figure 0004439686
【0172】
(式中、R7は水素原子または炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示し、Mは1〜3価の金属原子を示し、nは1〜3の整数である。)
前記式(II)で表される化合物として具体的には、ナトリウム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-ビス(4-メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-ビス(4-エチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-ビス(4-i-プロピルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-ビス(4-t-オクチルフェニル)フォスフェート、カリウム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フォスフェート、マグネシウム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フォスフェート、アルミニウム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フォスフェートおよびこれらの2種以上の混合物を例示することができる。特にナトリウム-ビス(4-t-ブチルフェニル) フォスフェートが好ましい。
【0173】
ベンジリデンソルビトールとしては、下記式(III)で表される化合物を挙げることができる。
【0174】
【化37】
Figure 0004439686
【0175】
(式中、R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示し、mおよびnはそれぞれ0〜5の整数である。)
前記式(III)で表される化合物として具体的には、1,3,2,4-ジベンジリデンソルビトール、1,3-ベンジリデン-2,4-p-メチルベンジリデンソルビトール、1,3-ベンジリデン-2,4-p-エチルベンジリデンソルビトール、1,3-p-メチルベンジリデン-2,4-ベンジリデンソルビトール、1,3-p-エチルベンジリデン-2,4-ベンジリデンソルビトール、1,3-p-メチルベンジリデン-2,4-p-エチルベンジリデンソルビトール、1,3-p-エチルベンジリデン-2,4-p-メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-n-プロピルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-i-プロピルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-n-ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-s-ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-t-ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(2',4'-ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-メトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-エトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3-ベンジリデン-2-4-p-クロルベンジリデンソルビトール、1,3-p-クロルベンジリデン-2,4-ベンジリデンソルビトール、1,3-p-クロルベンジリデン-2,4-p-メチルベンジリデンソルビトール、1,3-p-クロルベンジリデン-2,4-p-エチルベンジリデンソルビトール、1,3-p-メチルベンジリデン-2,4-p-クロルベンジリデンソルビトール、1,3-p-エチルベンジリデン-2,4-p-クロルベンジリデンソルビトールおよび1,3,2,4-ジ(p-クロルベンジリデン)ソルビトールおよびこれらの2個以上の混合物を例示でき、特に1,3,2,4-ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3-p-クロルベンジリデン-2,4-p-メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-クロルベンジリデン)ソルビトールおよびそれらの2種以上の混合物が好ましい。
【0176】
上記のようなベンジリデンソルビトールの中では、下記式(IV)で表される化合物を好ましい例として挙げることができる。
【0177】
【化38】
Figure 0004439686
【0178】
(式中、R8は互いに同一でも異なっていてもよく、メチル基またはエチル基を示す。)
芳香族カルボン酸としては、下記式(V)で表されるアルミニウムヒドロキシジパラt-ブチルベンゾエートなどを挙げることができる。
【0179】
【化39】
Figure 0004439686
【0180】
ロジン系の結晶核剤としては、たとえばロジン酸の金属塩があり、ロジン酸の金属塩とは、ロジン酸と金属化合物との反応生成物をいう。ロジン酸としては、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンなどの天然ロジン;不均化ロジン、水素化ロジン、脱水素化ロジン、重合ロジン、α, β-エチレン性不飽和カルボン酸変性ロジンなどの各種変性ロジン;前記天然ロジンの精製物、変性ロジンの精製物などを例示できる。なお、前記α, β−エチレン性不飽和カルボン酸変性ロジンの調製に用いられる不飽和カルボン酸としては、たとえばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、アクリル酸、メタクリル酸などを挙げることができる。これらの中では、天然ロジン、変性ロジン、天然ロジンの精製物および変性ロジンの精製物からなる群より選ばれる少なくとも一種のロジン酸であることが好ましい。ここで、ロジン酸は、ピマル酸、サンダラコピマル酸、パラストリン酸、イソピマル酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ジヒドロピマル酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸などから選ばれる樹脂酸を複数含んでいる。
【0181】
前記ロジン酸と反応して金属塩を形成する金属化合物としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどの金属元素を有し、かつ前記ロジン酸と造塩する化合物が挙げられる。具体的には、前記金属の塩化物、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酸化物、水酸化物などが挙げられる。
【0182】
その他の結晶核剤としては、ポリマー核剤、芳香族カルボン酸や脂肪族カルボン酸や脂肪族アミド及びこれらのの金属塩、無機化合物などを例示できる。
ポリマー核剤としては、含フッ素ポリマー、高密度ポリエチレン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリビニルシクロペンタンなどのポリビニルシクロアルカン、ポリ3-メチル-1-ペンテン、ポリ3-メチル-1-ブテン、ポリアルケニルシランなどが挙げられる。
【0183】
芳香族カルボン酸や脂肪族カルボン酸のの金属塩としては、安息香酸アルミニウム塩、p-t-ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ナトリウム、チオフェネカルボン酸ナトリウム、ピローレカルボン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0184】
無機化合物としては、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カルシウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデンなどが挙げられる。
【0185】
また本発明のシンジオタクティックポリプロピレン系共重合体及び該共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物に、必要に応じて加硫促進剤、加硫助剤、架橋剤、架橋助剤を添加し、加硫されていても良く、これにさらにビニルモノマーを添加し、これがグラフトされていても良い。
【0186】
加硫方法としては、加硫剤を使用する方法、および電子線を照射する方法のいずれを採用してもよい。
加硫方法として加硫剤を使用する方法を採用する場合は、シンジオタクティックポリプロピレン系共重合体及び該共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物に、必要に応じて加硫促進剤、加硫助剤、充填剤、軟化剤などを混合し混練することにより調製することができる。
【0187】
加硫方法として電子線を照射する方法を採用する場合は、シンジオタクティックポリプロピレン系共重合体及び該共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物に、必要に応じて充填剤、軟化剤などを混合し混練することにより調製することができる。
【0188】
シンジオタクティックポリプロピレン系共重合体及び該共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物を調製する際に用いられる軟化剤としては、従来ゴムに配合されている軟化剤が広く用いられる。
【0189】
具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;
コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤;
ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;
トール油;
サブ;
蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;
リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸および脂肪酸塩;
石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質を挙げることができる。なかでも石油系軟化剤が好ましく用いられ、特にプロセスオイルが好ましく用いられる。
【0190】
これらの軟化剤の配合量は、加硫物の用途により適宜選択できるが、通常、シンジオタクティックポリプロピレン系共重合体及び該共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物合計量100重量部に対して、150重量部以下、好ましくは100重量部以下である。
【0191】
加硫剤としては、イオウ系化合物、有機過酸化物、キノイドおよびフェノール樹脂などを挙げることができる。
イオウ系化合物としては、具体的には、イオウ、塩化イオウ、二塩化イオウ、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレンなどが挙げられる。なかでもイオウが好ましく用いられる。
【0192】
イオウ系化合物は、シンジオタクティックポリプロピレン系共重合体及び該共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物の合計量100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部の量で用いられる。
【0193】
加硫剤としてイオウ系化合物を使用するときは、加硫促進剤を併用することが好ましい。加硫促進剤として具体的には、N-シクロヘキシル-2- ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBZ)、N-オキシジエチレン-2- ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N-ジイソプロピル-2- ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(2,4-ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2-(2,6-ジエチル-4- モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系化合物;
ジフェニルグアニジン(DPG)、トリフェニルグアニジン、ジオルソニトリルグアニジン、オルソニトリルバイグアナイド、ジフェニルグアニジンフタレート等のグアニジン化合物;
アセトアルデヒド−アニリン反応物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒドアンモニア等のアルデヒドアミンまたはアルデヒド−アンモニア系化合物;
2-メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系化合物;
チオカルバニリド、ジエチルチオウレア、ジブチルチオウレア、トリメチルチオウレア、ジオルソトリルチオウレア等のチオウレア系化合物;
テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系化合物;
ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ-n- ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオ酸塩系化合物;
ジブトキシサントゲン酸亜鉛等のザンテート系化合物;
亜鉛華等の化合物などを挙げることができる。
【0194】
これらの加硫促進剤は、シンジオタクティックポリプロピレン系共重合体及び該共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物の合計量100重量部に対して、0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部の量で用いられる。
【0195】
有機過酸化物としては、従来ゴムの過酸化物加硫に使用されるものが広く用いられる。具体的には、ジクミルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキシ-3,3,5- トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルヒドロパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5- ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5- ジ(ベンゾイルパーオキシ)へキサン、2,5-ジメチル-2,5- モノ(t-ブチルパーオキシ)- ヘキサン、α,α'-ビス(t-ブチルパーオキシ-m- イソプロピル)ベンゼンなどが挙げられる。なかでも、ジクミルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキシ-3,3,5- トリメチルシクロヘキサンが好ましく用いられる。これらの有機過酸化物は、1種単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。
【0196】
有機過酸化物は、シンジオタクティックポリプロピレン系共重合体及び該共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物の合計量100gに対して、0.0003〜0.05モル、好ましくは0.001〜0.03モルの範囲で使用される。
【0197】
加硫剤として有機過酸化物を使用するときは、加硫助剤を併用することが好ましい。加硫助剤としては、具体的には、硫黄;p-キノンジオキシム等のキノンジオキシム系化合物;ポリエチレングリコールジメタクリレート等のメタクリレート系化合物;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート等のアリル系化合物、その他マレイミド系化合物;ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
【0198】
このような加硫助剤は、使用する有機過酸化物1モルに対して、0.5〜2モル、好ましくは約等モルの量で用いられる。
本発明では、未加硫のシンジオタクティックポリプロピレン系共重合体及び該共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物に、さらにゴム補強剤、老化防止剤、加工助剤などを配合することができ、その種類および配合量は、加硫物の用途、意図する加硫物の性能等に応じて適宜選択できる。
【0199】
加硫物を製造する方法としては、特に限定されないが、具体的にはたとえば以下のような方法が採用される。
加硫方法として、加硫剤を用いる方法を採用する場合は、バンバリーミキサーなどのミキサーを用いてシンジオタクティックポリプリプロピレン系共重合体及びの他に、必要に応じて充填剤、軟化剤などを80〜170℃の温度で3〜10分間混練した後、オープンロールなどのロールを用い、加硫剤、必要に応じて加硫促進剤または加硫助剤を追加混合し、ロール温度40〜80℃で5〜30分間混練した後、分出し、リボン状またはシート状の未加硫のシンジオタクティックポリプロピレン系共重合体及び該共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物を調製する。
【0200】
このようにして調製された未加硫のシンジオタクティックポリプロピレン系共重合体及び該共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物を、押出成形機、カレンダーロール、またはプレスにより意図する形状に成形し、成形と同時に150〜270℃の温度で1〜30分間加熱するか、または成形物を加硫槽内に導入し、150〜270℃の温度で1〜30分間加熱することにより加硫物を得る。加硫は金型内で行なってもよく、また金型を用いないで行なってもよい。金型を用いない場合は成形、加硫の工程は通常連続的に実施される。加硫槽における加熱方法としては熱空気、ガラスビーズ流動床、UHF(極超短波電磁波)、スチームなどの加熱槽を用いることができる。
【0201】
加硫方法として、電子線を照射する方法を採用する場合は、バンバリーミキサーなどのミキサーを用い、シンジオタクティックポリプロピレン系共重合体及び該共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物の他に、必要に応じて充填剤、軟化剤などを80〜170℃の温度で3〜10分間混練した後、オープンロールなどのロール類を用い、ロール温度40〜80℃で5〜30分間混練した後、分出し、リボン状またはシート状の未加硫の配合ゴムを調製する。
【0202】
このようにして調製されたシンジオタクティックポリプロピレン系共重合体及び該共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物は、押出成形機、カレンダーロールまたはプレスにより意図する形状に成形し、電子線を照射することにより加硫物が得られる。電子線の照射は、0.1〜10MeV(メガエレクトロンボルト)、好ましくは0.3〜2MeVのエネルギーを有する電子線を、吸収線量が0.5〜35Mrad(メガラッド)、好ましくは0.5〜10Mradになるように行なうことが望ましい。
【0203】
本発明において、シンジオタクティックポリプリプロピレン系共重合体または熱可塑性樹脂組成物は、主鎖と側鎖に2重結合を有することより、各種変性が可能である。過酸化物変性により、2重結合をエポキシ化し、共重合体中に反応性に富むエポキシ基を導入することができる。これにより熱硬化型樹脂としての利用、または反応性樹脂として利用も可能となる。さらには、ディールスアルダー反応、マイケル付加反応等にも2重結合は利用可能である。その他、主鎖の2重結合を選択的に水素添加し飽和にすることで、耐熱性、耐オゾン性もさらに向上する。
【0204】
本発明において、シンジオタクティックポリプリプロピレン系共重合体または熱可塑性樹脂組成物の一部または全部を不飽和カルボン酸、その誘導体、または芳香族ビニル化合物で変性してもよく、その変性量は0.01〜30重量%の範囲であることが好ましい。
【0205】
特にシンジオタクティックポリプリプロピレン系共重合体または熱可塑性樹脂組成物には、側鎖に2重結合が存在するため、変性に際して使用されるラジカル開始剤の低減がはかれる。これに対して側鎖2重結合の存在しない樹脂では、水素を引き抜き反応により生成するラジカルを開始点としている。開始剤すべてが水素引き抜き反応を誘起するわけではないため、多量の開始剤が必要となり、また分解反応も併発するため一般に分子量が低下する。
【0206】
しかしながら、本発明で用いられるシンジオタクティックポリプリプロピレン系共重合体または熱可塑性樹脂組成物中には、側鎖に末端2重結合が存在するためラジカル開始剤がの使用量を低減することができると同時に、発生するラジカルは2重結合と反応するため、分解反応が抑制され、引いては分子量の低下も抑えられる。
【0207】
変性に用いられるモノマー(以下、「ビニルモノマー」という。)としては、不飽和カルボン酸、その誘導体、または芳香族ビニル化合物が挙げられる。
不飽和カルボン酸としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。
【0208】
また不飽和カルボン酸の誘導体としては、酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩などが挙げられ、具体的には、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸ジエチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、マレイン酸-N- モノエチルアミド、マレイン酸-N,N- ジエチルアミド、マレイン酸-N- モノブチルアミド、マレイン酸-N,N- ジブチルアミド、フマル酸モノアミド、フマル酸ジアミド、フマル酸-N- モノエチルアミド、フマル酸-N,N- ジエチルアミド、フマル酸-N- モノブチルアミド、フマル酸-N,N- ジブチルアミド、マレイミド、N-ブチルマレイミド、N-フェニルマレイミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウムなどが挙げられる。これらのグラフトモノマーの中では無水マレイン酸を使用することが好ましい。
【0209】
芳香族ビニル化合物としては、具体的には、
スチレン;
o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o,p-ジメチルスチレン、o-エチルスチレン、m-エチルスチレン、p-エチルスチレン等のモノもしくはポリアルキルスチレン;
メトキシスチレン、エトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、o-クロロスチレン、p-クロロスチレン、ジビニルベンゼン等の官能基含有スチレン誘導体;
3-フェニルプロピレン、4-フェニルブテン、α- メチルスチレンなどが挙げられる。これらのなかでは、スチレンまたは4-メトキシスチレンが好ましい。
【0210】
ビニルモノマーをシンジオタクティックポリプリプロピレン系共重合体または熱可塑性樹脂組成物にグラフト共重合して変性共重合体を製造するには、公知の種々の方法を採用することができる。
【0211】
たとえば、シンジオタクティックポリプリプロピレン系共重合体または熱可塑性樹脂組成物およびグラフトモノマーを溶媒の存在下または不存在下で、ラジカル開始剤を添加してまたは添加せずに高温で加熱することによってグラフト共重合を行なう方法がある。
【0212】
グラフト率が0.01〜30重量%の一部または全部が変性されたグラフト変性シンジオタクティックポリプリプロピレン系共重合体または熱可塑性樹脂組成物を製造するには、工業的製造上からは、グラフト率のより高いグラフト変性シンジオタクティックポリプリプロピレン系共重合体または熱可塑性樹脂組成物を製造しておき、次に未変性シンジオタクティックポリプリプロピレン系共重合体または熱可塑性樹脂組成物にこのグラフト変性シンジオタクティックポリプリプロピレン系共重合体または熱可塑性樹脂組成物を混合してグラフト率を調整する方法(この方法により得られたものを「一部が変性されたグラフト変性シンジオタクティックポリプリプロピレン系共重合体または熱可塑性樹脂組成物」という。)が、組成物中のグラフトモノマーの濃度を適当に調整できるため好ましい方法であるが、最初からシンジオタクティックポリプリプロピレン系共重合体または熱可塑性樹脂組成物に所定量のグラフトモノマーを配合してグラフトしても差し支えない(この方法により得られたものを「全部が変性されたグラフト変性シンジオタクティックポリプリプロピレン系共重合体または熱可塑性樹脂組成物」という。)。
【0213】
シンジオタクティックポリプリプロピレン系共重合体または熱可塑性樹脂組成物へのグラフトモノマーによる変性量は、上記のようなグラフト変性体、またはグラフト変性体および未変性体の混合物全体におけるグラフト率が0.01〜30重量%、特に0.05〜10重量%の範囲にあることが好ましい。
【0214】
【実施例】
以下、本発明について実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により何等限定されるものではない。
【0215】
以下、物性試験条件等を記す。
[共重合体中のプロピレン構成単位含量]
13C−NMRを用いて、16.5ppm付近のDMDTの末端メチル基
15〜26ppmの領域をPPのメチル基、DMDTの4.8位のメチル基2個分とし、残りの27〜60ppm領域をプロピレン由来のメチル基以外の炭素数2個分とノルボルネン環由来の炭素数7個分、DMDT由来のCH2基5個分、110〜140ppm付近のDMDT由来の二重結合炭素4個分とし、強度比からプロピレン、ノルボルネン、DMDT含量を求めた。
【0216】
[軟化温度(TMA)(℃)]
デュポン社製 Thermo Mechanical Analyser を用いて厚さ1mmのシートの 熱変形挙動により測定した。即ち、シート上に石英製針をのせ、この石英製針に荷重49gをかけ、5℃/分の速度で昇温して、針がシートに0.635mm侵入したときの温度をTMAとした。
【0217】
[ヘイズ(%)及び光透過率(%)]
厚さ100ミクロンの試験片を用いて、日本電色工業(株)製のデジタル濁度計「NDH−20D」にて測定した。
【0218】
[融点(Tm)およびガラス転移温度(Tg)]
DSCの吸熱曲線を求め、最大ピーク位置の温度をTmとする。
測定は、試料をアルミパンに詰め、100℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持したのち、10℃/分で−150℃まで降温し、ついで10℃/分で昇温する際の吸熱曲線より求めた。
【0219】
[極限粘度[η]]
135℃、デカリン中で測定した。
[Mw/Mn]
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用い、オルトジクロロベンゼン溶媒で、140℃で測定した。
【0220】
【合成例1】
(シンジオタクティックプロピレン・ノルボルネン・4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン(DMDT)共重合体の合成)
(i-1)
減圧乾燥および窒素置換してある1.5リットルのオートクレーブに、常温でヘプタンを518ml、ノルボルネンを141ミリリットル加え、これにDMDTを3.1ミリリットル挿入し、続いてトリイソブチルアルミニウム(以下、TIBAと略す。)の1.0ミリモル/mlヘプタン溶液をアルミニウム原子に換算してその量が1.0ミリモルとなるように0.75ml加え、さらにプロピレンを33.2リットル(25℃、1気圧)挿入し、昇温を開始し60℃に到達させた。その後、系内をプロピレンで5.5kg/cm2Gとなるように加圧し、公知の方法で合成したジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリドのヘプタン溶液(0.001mM/ml)とメチルアルミノキサンのトルエン溶液(1.0mM/ml)をジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリドとメチルアルミノキサンのモル比が1:800となるように触媒溶液を調整し、これを2.63ml加え、プロピレンとノルボルネンとDMDTの共重合を開始させた。この時の触媒濃度は、全系に対してジフエニルメチレン(シクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリドが0.012ミリモル/リットル、メチルアルミノキサンが9.6ミリモル/リットルであった。
【0221】
重合中、プロピレンを連続的に供給することにより、内圧を5.5kg/cm2Gに保持した。重合を開始して60分後、重合反応をメチルアルコールを添加することにより停止した。脱圧後、ポリマー溶液を取り出し、このポリマー溶液に対して、「水1リットルに対して濃塩酸5mlを添加した水溶液」を1:1の割合で用いてこのポリマー溶液を洗浄し、触媒残渣を水相に移行させた。この触媒混合溶液を静置したのち、水相を分離除去しさらに蒸留水で2回洗浄し、重合液相を油水分離した。次いで、油水分離された重合液相を3倍量のアセトンと強攪拌下に接触させ、重合体を析出させたのち、アセトンで十分に洗浄し固体部(共重合体)を濾過により採取した。窒素流通下、130℃、350mmHgで12時間乾燥した。
【0222】
以上のようにして得られたプロピレン・ノルボルネン・DMDT共重合体の収量は12gであり、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は0.31dl/gであり、前述のDSC測定条件でガラス転移温度(Tg)は55℃であり、ノルボルネン含量は33.8モル%、ヨウ素価は5.3g/100gであり、GPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn)は2.0、シンジオタクティックインデックスは72%であった。
【0223】
また、前述のDSC測定条件では融解ピークは、実質的に観測されなかった。
【0224】
【実施例1】
合成例1で得られたシンジオタクチックプロピレン・ノルボルネン・DMDT共重合体(i-1)のペレットを200℃に設定した直径30mmの押出機に供給して、Tダイ成形法により厚さ100ミクロンのシートを製造した。
【0225】
得られたシートについて軟化温度、光透過率およびヘイズを測定し、その結果を表1に示す。
軟化温度:85℃、ヘイズ;1.7%、光透過率;98%
【0226】
【合成例2】
(エチレン・ノルボルネン共重合体の合成)
減圧乾燥および窒素置換してある2リットルのガラス重合器に、ノルボルネンのトルエン溶液を重合器内でのノルボルネン濃度が60g/リットルとなるように0.9リットル/hr、触媒としてVO(OC25)Cl2のトルエン溶液を重合器内でバナジウム濃度が1mmol/リツトルとなるように0.7リットル/hr、エチルアルミニウムセスキクロリドのトルエン溶液を重合器内でアルミニウム濃度が4mmol/リットルとなるように0.4リットル/hrの速度で、それぞれ重合器中に連続的に供給し、一方重合器下部から、重合器中の重合液が常に1リットルとなるように連続的に抜き出す。また重合器上部からエチレンを40リットル/hr、窒素を80リットル/hrの速度で供給する。共重合反応は、重合器外部に取り付けられたジャケットに冷媒を循環させることにより10℃で、60分間行った。
【0227】
上記反応条件で共重合反応を行うと、エチレン・ノルボルネンランダム共重合体を含む重合反応混合物が得られる。
【0228】
重合器下部から抜き出した重合液にメチルアルコールを添加することにより停止した。ポリマー溶液を取り出し、このポリマー溶液に対して、「水1リットルに対して濃塩酸5mlを添加した水溶液」を1:1の割合で用いてこのポリマー溶液を洗浄し、触媒残渣を水相に移行させた。この触媒混合溶液を静置したのち、水相を分離除去しさらに蒸留水で2回洗浄し、重合液相を油水分離した。次いで、油水分離された重合液相を3倍量のアセトンと強攪拌下に接触させ、重合体を析出させたのち、アセトンで十分に洗浄し固体部(共重合体)を濾過により採取した。窒素流通下、130℃、350mmHgで12時間乾燥した。
【0229】
以上のようにして得られたエチレン・テトラシクロドデセン共重合体の収量は27gであり、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は1.7dl/gであり、前述のDSC測定条件でガラス転移温度(Tg)は82℃であり、エチレン含量は64.2モル%、ノルボルネン含量は35.8モル%であり、GPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn)は2.4であった。
【0230】
【参考例1】
実施例1において、合成例1で得られたシンジオタクティックプロピレン・ノルボルネンDMDT共重合体(i-1)から合成例2で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体に変えた以外は、実施例1と同様にして行った。
【0231】
得られたシートについて軟化温度、光透過率およびヘイズを測定し、その結果を表1に示す。
軟化温度:95℃、ヘイズ;5.9%、光透過率;88%
【0232】
【表2】
Figure 0004439686

Claims (6)

  1. (i)実質的にシンジオタクティック構造であるプロピレン構成単位を98.99〜50モル%と、下記式[1]または[2]で表される環状オレフィンから導かれる構成単位を1〜50モル%と、少なくとも1種の共役または非共役ポリエンから導かれる構成単位を0.01〜30モル%とを含むシンジオタクティック構造プロピレン系共重合体を押出成形して得られるシート。
    Figure 0004439686
    [上記式[1]中、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、qは0または1であり、R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R15〜R18は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい]、
    Figure 0004439686
    [上記式[2]中、pおよびqは0または1以上の整数であり、mおよびnは0、1または2であり、R1〜R19は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R9またはR10が結合している炭素原子と、R13が結合している炭素原子またはR11が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、さらに、n=m=0のとき、R15とR12またはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい]。
  2. 上記共重合体(i)が、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜10dl/gの範囲にあり、GPCによる分子量分布が4以下であり、ガラス転移温度Tgが100℃以下であることを特徴とする請求項1に記載のシート。
  3. 前記式[1]または[2]で表される環状オレフィンが、テトラシクロドデセン、ノルボルネンおよびこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種の環状オレフィンであることを特徴とする請求項1または2に記載のシート。
  4. 上記共役ポリエン成分がブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、ヘキサジエン、オクタジエンのうちから少なくとも1種選ばれることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシート。
  5. 上記非共役ポリエン成分が5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、非共役トリエンのうちから少なくとも1種選ばれることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のシート。
  6. 上記共重合体(i)が、下記成分(a)と、下記成分(b)、(c)および(d)のうちから選択される1種以上の化合物とからなる少なくとも1つの触媒系の存在下に、プロピレンと、上記環状オレフィンと、共役または非共役ポリエンとを共重合して製造されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のシート;
    (a):下記式(II)で表される遷移金属錯体
    Figure 0004439686
    [式(II)中、MはTi、ZrまたはHfであり、Cp1 はMとπ結合しているシクロペンタジエニル基またはその誘導体基であり、Cp2はMとπ結合しているフルオレニル基またはその誘導体基であり、X1およびX2は、アニオン性配位子または中性ルイス塩基配位子であり、ZはC、O、B、S、Ge、SiまたはSn原子あるいはこれらの原子を含有する基である。]
    (b):成分(a)中の遷移金属Mと反応し、イオン性の錯体を形成する化合物(c):有機アルミニウム化合物
    (d):アルモキサン。
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