JP5278409B2 - 車両用自動変速機の油圧制御装置 - Google Patents

車両用自動変速機の油圧制御装置 Download PDF

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Description

本発明は車両用自動変速機の油圧制御装置に係り、特に、油圧式摩擦係合装置の油圧制御に用いられるリニアソレノイドバルブの不使用時の取り扱いに関するものである。
(a) 複数の油圧式摩擦係合装置が選択的に係合、解放されることにより、変速比が異なる複数の変速段が成立させられる自動変速機と、(b) 前記複数の油圧式摩擦係合装置の油圧を調圧する複数のリニアソレノイドバルブと、を有する車両用自動変速機の油圧制御装置が知られている。特許文献1に記載の装置はその一例で、遊星歯車式の車両用自動変速機の油圧制御装置に関するものである。
特開2001−248718号公報
ところで、前記リニアソレノイドバルブは、スプール弁子のバランスによりソレノイドによる電磁力に応じた油圧を出力する調圧状態と、そのスプール弁子が油圧の出力を停止する側の移動端に保持される非調圧状態とに切り換えられるようになっており、その調圧状態において前記油圧式摩擦係合装置の油圧をソレノイドによる電磁力に応じて調圧するが、変速段を成立させる上で使用していないリニアソレノイドバルブについては、一律に非調圧状態か或いは調圧状態であっても出力油圧が最も低い最低調圧状態としているのが普通である。上記非調圧状態は、ノーマリクローズ型のリニアソレノイドバルブではソレノイドの通電をOFFにすれば良く、ノーマリオープン型のリニアソレノイドバルブではソレノイドの励磁電流を最大にすれば良い。また、最低調圧状態は、調圧制御を行う励磁電流の範囲内、すなわちスプール弁子がバランスする範囲内で、その励磁電流を最小(ノーマリクローズ型)または最大(ノーマリオープン型)にすれば良い。
しかしながら、非調圧状態にすると、変速時に励磁電流を供給して油圧式摩擦係合装置の調圧制御を行う際に、実際にスプール弁子が移動してバランスするまでに時間が掛かり、油圧応答性、更には変速応答性が悪化する可能性がある。一方、最低調圧状態とした場合には、既にスプール弁子がバランスしているため優れた応答性が得られるものの、常時リニアソレノイドバルブを作動油が流通するため消費流量が多くなり、大型のオイルポンプが必要になったりポンプ駆動源の負荷が大きくなったりして、燃費等のエネルギー効率が悪くなる。すなわち、調圧状態ではスプール弁子をバランスさせる上で、所定の出力油圧が得られるように作動油を流通させる必要があるが、非調圧状態では出力油圧を0とすることが可能で、消費流量が0になっても差し支えないのである。
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、不使用のリニアソレノイドバルブに関して変速時の油圧応答性や変速応答性を損なうことなく、作動油の消費流量をできるだけ少なくして燃費等のエネルギー効率を向上させることにある。
かかる目的を達成するために、本発明は、(a) 複数の油圧式摩擦係合装置が選択的に係合、解放されることにより、変速比が異なる複数の変速段が成立させられる自動変速機と、(b) スプール弁子のバランスによりソレノイドによる電磁力に応じた油圧を出力する調圧状態と、そのスプール弁子が油圧の出力を停止する側の移動端に保持される非調圧状態とに切り換えられるとともに、その調圧状態において前記油圧式摩擦係合装置の油圧をソレノイドによる電磁力に応じて調圧する複数のリニアソレノイドバルブと、を有する車両用自動変速機の油圧制御装置において、(c) 前記複数のリニアソレノイドバルブのうち、前記油圧式摩擦係合装置を係合させる上で使用していない不使用リニアソレノイドバルブについて、前記調圧状態にすべきか前記非調圧状態にすべきかを車両状態に基づいて判断し、その判断結果に従って調圧状態と非調圧状態とを切り換える調圧・非調圧切換手段を有する一方、(d) 前記自動変速機は、動力伝達を遮断するニュートラル状態と、動力伝達する駆動状態とを有し、運転者の操作に従って切り換えられるようになっており、(e) 前記調圧・非調圧切換手段は、前記自動変速機が運転者の操作に従ってニュートラル状態とされた時には、前記駆動状態へ切り換えられた場合に新たに係合させる油圧式摩擦係合装置の油圧を調圧する不使用リニアソレノイドバルブを前記調圧状態とし、それ以外の不使用リニアソレノイドバルブを前記非調圧状態とすることを特徴とする。
このような車両用自動変速機の油圧制御装置においては、油圧式摩擦係合装置を係合させる上で使用していない不使用リニアソレノイドバルブについて、調圧状態にすべきか非調圧状態にすべきかを車両状態に基づいて判断し、その判断結果に従って調圧状態と非調圧状態とを切り換えるようになっているため、非調圧状態とする分だけ作動油の消費流量が少なくなり、小型のオイルポンプを採用するなどしてポンプ駆動源の負荷が低減され、燃費等のエネルギー効率が向上する一方、車両状態に応じて調圧状態とすることにより、油圧応答性や変速応答性の悪化を防止することができる。
具体的には、本発明では、自動変速機がニュートラル状態とされた時に、駆動状態へ切り換えられた場合に新たに係合させる油圧式摩擦係合装置の油圧を調圧する不使用リニアソレノイドバルブを調圧状態とするため、ニュートラル状態から駆動状態へ切り換えられて前進変速段や後進変速段を成立させる際の変速時の応答性を確保できる一方、それ以外の不使用リニアソレノイドバルブは非調圧状態とされるため、消費流量が少なくなってエネルギー効率が向上する。
本発明が適用された車両用自動変速機を説明する図で、(a) は骨子図、(b) は各変速段を成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動状態を説明する図である。 図1の車両用自動変速機において、変速段毎に各回転要素の回転速度を直接で結ぶことができる共線図である。 図1の車両用自動変速機が備えている制御系統の要部を説明するブロック線図である。 図3の油圧制御回路の要部を示す回路図である。 図4のリニアソレノイドバルブの一例を示す断面図である。 図3のシフトレバーの一例を示す斜視図である。 図1の車両用自動変速機の変速段を運転状態に応じて自動的に切り換える変速マップの一例を説明する図である。 図6のシフトレバーの操作で切り換えられる変速レンジを説明する図である。 図3の電子制御装置が備えている機能を説明するブロック線図である。 図9の調圧・非調圧切換手段が、AT油温に基づいて不使用リニアソレノイドバルブを調圧状態と非調圧状態とに切り換える際の作動を説明するフローチャートである。 図9の調圧・非調圧切換手段が、シーケンシャルモードか否かによって不使用リニアソレノイドバルブを調圧状態と非調圧状態とに切り換える際の作動を説明するフローチャートである。 図9の調圧・非調圧切換手段が、変速判断または変速予測に基づいて不使用リニアソレノイドバルブを調圧状態と非調圧状態とに切り換える際の作動を説明するフローチャートである。 図9の調圧・非調圧切換手段が、ガレージシフト時に不使用リニアソレノイドバルブを調圧状態と非調圧状態とに切り換える際の作動を説明するフローチャートである。
本発明の自動変速機としては、複数の遊星歯車装置を有する遊星歯車式の自動変速機が好適に用いられるが、複数の入力経路を切り換えて変速する平行軸式の自動変速機を用いることもできるなど、複数の油圧式摩擦係合装置を選択的に係合、解放して変速を行う種々の自動変速機を採用できる。
油圧式摩擦係合装置としては、油圧アクチュエータによって係合させられる多板式、単板式のクラッチやブレーキ、或いはベルト式のブレーキが広く用いられている。この油圧式摩擦係合装置を係合させるための作動油を供給するオイルポンプは、例えばエンジン等の走行用の動力源により駆動されて作動油を吐出するものでも良いが、走行用動力源とは別に配設された専用の電動モータなどで駆動されるものでも良い。
リニアソレノイドバルブは、例えばスプール弁子の一端側に、出力油圧が導かれるフィードバック油室が設けられるとともにスプリングが配設され、他端側に設けられたソレノイドによる電磁力とのバランスで、出力油圧を調圧するように構成され、出力油圧に対応するフィードバック油圧Pf、その受圧面積Af、スプリング荷重Fs、ソレノイドによる電磁力Fとが、次式(1) を満足するように、その電磁力Fに応じて出力油圧(フィードバック油圧Pf)を制御する。
F=Pf×Af+Fs ・・・(1)
そして、リニアソレノイドバルブの調圧状態とは、上記(1) 式を満足するように釣り合っている状態で、非調圧状態は(1) 式が成立しない非釣り合い状態でスプール弁子が油圧の出力を停止する側の移動端に保持されている状態であり、例えばノーマリクローズ型では電磁力Fが0でスプリング荷重Fsによりスプール弁子がソレノイド側の移動端に保持される状態で、ノーマリオープン型では電磁力Fが最大で、スプリング荷重Fsに抗してスプール弁子がそのスプリング側の移動端に保持される状態である。
上記調圧状態では、励磁電流に応じてスプール弁子を移動させることにより所定の油圧範囲で出力油圧を調圧できるが、前記調圧・非調圧切換手段によって切り換えられる調圧状態は、作動油の消費流量をできるだけ少なくする上で、出力油圧が最も低い最低調圧状態またはそれに近い状態が望ましいが、少なくとも油圧式摩擦係合装置が係合トルクを発生しない範囲で適宜定めることができる。最低調圧状態は、調圧制御を行う励磁電流の範囲内、すなわちスプール弁子がバランスする範囲内で、その励磁電流を最小(ノーマリクローズ型)または最大(ノーマリオープン型)にすれば良いが、通常の調圧制御範囲とは異なる励磁電流を用いて、消費流量ができるだけ少ない調圧状態を設定することもできる。油圧スイッチにより出力油圧を検出して、最低調圧状態等の所定の調圧状態とすることもできる。
また、上記調圧・非調圧切換手段による調圧状態は、車両状態によって異なる調圧状態とすることも可能で、必ずしも常に最低調圧状態とする必要はなく、例えば変速などで係合させる可能性が高い油圧式摩擦係合装置の油圧を制御するリニアソレノイドバルブについては、その油圧式摩擦係合装置が係合トルクを生じる直前の油圧を発生する調圧状態とすることもできるなど、種々の態様が可能である。
油圧式摩擦係合装置を含む油圧制御回路は、例えばリニアソレノイドバルブの出力油圧を直接油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータ(油圧シリンダ)に供給することが応答性の点で望ましいが、その出力油圧によりコントロールバルブを制御して、そのコントロールバルブから油圧アクチュエータに作動油を供給するように構成することもできる。
複数のリニアソレノイドバルブは、例えば複数の油圧式摩擦係合装置の各々に対応して1つずつ設けられるが、同時に係合したり係合、解放制御したりすることがない複数の油圧式摩擦係合装置が存在する場合には、それ等に共通のリニアソレノイドバルブを設けることもできるなど、種々の態様が可能である。また、必ずしも全ての油圧式摩擦係合装置の油圧制御をリニアソレノイドバルブで行う必要はなく、一部の油圧制御をON−OFFソレノイドバルブのデューティ制御など、リニアソレノイドバルブ以外の調圧手段で行っても良い。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1の(a) は、車両用自動変速機10の骨子図で、(b) は複数の変速段を成立させる際の係合要素を説明する作動表である。この自動変速機10は、車両の前後方向(縦置き)に搭載するFR車両に好適に用いられるもので、ダブルピニオン型の第1遊星歯車装置12を主体として構成されている第1変速部14と、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置16およびダブルピニオン型の第3遊星歯車装置18を主体として構成されている第2変速部20とを同軸線上に有し、入力軸22の回転を変速して出力軸24から出力する。入力軸22は入力部材に相当するもので、本実施例では走行用の動力源であるエンジン30によって回転駆動されるトルクコンバータ32のタービン軸であり、出力軸24は出力部材に相当するもので、プロペラシャフトや差動歯車装置を介して左右の駆動輪を回転駆動する。なお、この自動変速機10は中心線に対して略対称的に構成されており、図1(a) では中心線の下半分が省略されている。
上記第1変速部14を構成している第1遊星歯車装置12は、サンギヤS1、キャリアCA1、およびリングギヤR1の3つの回転要素を備えていて、サンギヤS1はトランスミッションケース(以下、単にケースという)26に回転不能に固定されており、キャリアCA1が入力軸22に一体的に連結されて回転駆動されることにより、減速出力部材として機能するリングギヤR1が入力軸22に対して減速回転させられて出力する。また、第2変速部20を構成している第2遊星歯車装置16および第3遊星歯車装置18は、一部が互いに連結されることによって4つの回転要素RM1〜RM4が構成されており、具体的には、第2遊星歯車装置16のサンギヤS2によって第1回転要素RM1が構成され、第2遊星歯車装置16のキャリアCA2および第3遊星歯車装置18のキャリアCA3が互いに連結されて第2回転要素RM2が構成され、第2遊星歯車装置16のリングギヤR2および第3遊星歯車装置18のリングギヤR3が互いに連結されて第3回転要素RM3が構成され、第3遊星歯車装置18のサンギヤS3によって第4回転要素RM4が構成されている。上記第2遊星歯車装置16および第3遊星歯車装置18は、キャリアCA2およびCA3が共通の部材にて構成されているとともに、リングギヤR2およびR3が共通の部材にて構成されており、且つ第2遊星歯車装置16のピニオンギヤが第3遊星歯車装置18の第2ピニオンギヤを兼ねているラビニヨ型の遊星歯車列とされている。
上記第1回転要素RM1(サンギヤS2)は第1ブレーキB1によって選択的にケース26に連結されて回転停止させられ、第2回転要素RM2(キャリアCA2、CA3)は第2ブレーキB2によって選択的にケース26に連結されて回転停止させられ、第4回転要素RM4(サンギヤS3)は第1クラッチC1を介して選択的に減速出力部材である前記第1遊星歯車装置12のリングギヤR1に連結され、第2回転要素RM2(キャリアCA2、CA3)は第2クラッチC2を介して選択的に入力軸22に連結され、第1回転要素RM1(サンギヤS2)は第3クラッチC3を介して選択的に減速出力部材であるリングギヤR1に連結されるとともに、第4クラッチC4を介して選択的に第1遊星歯車装置12のキャリアCA1すなわち入力軸22に連結され、第3回転要素RM3(リングギヤR2、R3)は前記出力軸24に一体的に連結されて回転を出力するようになっている。なお、第2回転要素RM2(キャリアCA2、CA3)とケース26との間には、第2回転要素RM2の正回転(入力軸22と同じ回転方向)を許容しつつ逆回転を阻止する一方向クラッチF1が第2ブレーキB2と並列に設けられている。
図2は、上記第1変速部14および第2変速部20の各回転要素の回転速度を直線で表すことができる共線図であり、下の横線が回転速度「0」で、上の横線が回転速度「1.0」すなわち入力軸22と同じ回転速度である。また、第1変速部14の各縦線は、左側から順番にサンギヤS1、リングギヤR1、キャリアCA1を表しており、それ等の間隔は第1遊星歯車装置12のギヤ比(=サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)ρ1に応じて定められる。第2変速部20の4本の縦線は、左端から右端へ向かって順番に第1回転要素RM1(サンギヤS2)、第2回転要素RM2(キャリアCA2、CA3)、第3回転要素RM3(リングギヤR2、R3)、第4回転要素RM4(サンギヤS3)を表しており、それ等の間隔は第2遊星歯車装置16のギヤ比ρ2および第3遊星歯車装置18のギヤ比ρ3に応じて定められる。
そして、上記共線図(図2)から明らかなように、第1クラッチC1および第2ブレーキB2が係合させられて、第4回転要素RM4が減速出力部材であるリングギヤR1と一体的に減速回転させられるとともに第2回転要素RM2が回転停止させられると、出力軸24に連結された第3回転要素RM3は「1st」で示す回転速度で回転させられ、最も大きい変速比(=入力軸22の回転速度NIN/出力軸24の回転速度NOUT )の第1変速段「1st」が成立させられる。第1クラッチC1および第1ブレーキB1が係合させられて、第4回転要素RM4がリングギヤR1と一体的に減速回転させられるとともに第1回転要素RM1が回転停止させられると、第3回転要素RM3は「2nd」で示す回転速度で回転させられ、第1変速段「1st」よりも変速比が小さい第2変速段「2nd」が成立させられる。第1クラッチC1および第3クラッチC3が係合させられると、第2変速部20はリングギヤR1と一体的に減速回転させられ、第3回転要素RM3は「3rd」で示す回転速度すなわちリングギヤR1と同じ回転速度で回転させられ、第2変速段「2nd」よりも変速比が小さい第3変速段「3rd」が成立させられる。第1クラッチC1および第4クラッチC4が係合させられて、第4回転要素RM4がリングギヤR1と一体的に減速回転させられるとともに第1回転要素RM1が入力軸22と一体回転させられると、第3回転要素RM3は「4th」で示す回転速度で回転させられ、第3変速段「3rd」よりも変速比が小さい第4変速段「4th」が成立させられる。第1クラッチC1および第2クラッチC2が係合させられて、第4回転要素RM4がリングギヤR1と一体的に減速回転させられるとともに第2回転要素RM2が入力軸22と一体回転させられると、第3回転要素RM3は「5th」で示す回転速度で回転させられ、第4変速段「4th」よりも変速比が小さい第5変速段「5th」が成立させられる。
また、第2クラッチC2および第4クラッチC4が係合させられて、第2変速部20が入力軸22と一体回転させられると、第3回転要素RM3は「6th」で示す回転速度すなわち入力軸22と同じ回転速度で回転させられ、第5変速段「5th」よりも変速比が小さい第6変速段「6th」が成立させられる。この第6変速段「6th」の変速比は1である。第2クラッチC2および第3クラッチC3が係合させられて、第2回転要素RM2が入力軸22と一体回転させられるとともに第1回転要素RM1がリングギヤR1と一体的に減速回転させられると、第3回転要素RM3は「7th」で示す回転速度で回転させられ、第6変速段「6th」よりも変速比が小さい第7変速段「7th」が成立させられる。第2クラッチC2および第1ブレーキB1が係合させられて、第2回転要素RM2が入力軸22と一体回転させられるとともに第1回転要素RM1が回転停止させられると、第3回転要素RM3は「8th」で示す回転速度で回転させられ、第7変速段「7th」よりも変速比が小さい第8変速段「8th」が成立させられる。
一方、第2ブレーキB2および第3クラッチC3が係合させられると、第2回転要素RM2が回転停止させられるとともに第1回転要素RM1がリングギヤR1と一体的に減速回転させられることにより、第3回転要素RM3は「Rev1」で示す回転速度で逆回転させられ、第1後進変速段「Rev1」が成立させられる。第2ブレーキB2および第4クラッチC4が係合させられると、第2回転要素RM2が回転停止させられるとともに第1回転要素RM1が入力軸22と一体回転させられることにより、第3回転要素RM3は「Rev2」で示す回転速度で逆回転させられ、第2後進変速段「Rev2」が成立させられる。
図1の(b) の作動表は、上記各変速段とクラッチC1〜C4、ブレーキB1、B2の作動状態との関係をまとめたもので、「○」は係合、「(○)」はエンジンブレーキ時のみ係合を表している。第1変速段「1st」を成立させるブレーキB2には並列に一方向クラッチF1が設けられているため、発進時(加速時)には必ずしもブレーキB2を係合させる必要は無いのである。また、各変速段の変速比は、第1遊星歯車装置12、第2遊星歯車装置16、および第3遊星歯車装置18の各ギヤ比ρ1、ρ2、ρ3によって適宜定められる。
上記クラッチC1〜C4、およびブレーキB1、B2(以下、特に区別しない場合は単にクラッチC、ブレーキBという)は、多板式のクラッチやブレーキなど油圧アクチュエータによって係合制御される油圧式摩擦係合装置で、油圧制御回路98(図3参照)のリニアソレノイドバルブSL1〜SL6の励磁、非励磁や電流制御により、係合、解放状態が切り換えられるとともに係合、解放時の過渡油圧などが制御される。図4は、油圧制御回路98のうちリニアソレノイドバルブSL1〜SL6に関する部分を示す回路図で、クラッチC1〜C4、およびブレーキB1、B2の各油圧アクチュエータ(油圧シリンダ)34、36、38、40、42、44には、油圧供給装置46から出力されたライン油圧PLがそれぞれリニアソレノイドバルブSL1〜SL6により調圧されて供給されるようになっている。油圧供給装置46は、前記エンジン30によって回転駆動される機械式のオイルポンプ48や、ライン油圧PLを調圧するレギュレータバルブ等を備えており、エンジン負荷等に応じてライン油圧PLを制御するようになっている。
リニアソレノイドバルブSL1〜SL6は、基本的には何れも同じ構成で、本実施例ではノーマリクローズ型のものが用いられており、図5に示すように、励磁電流に応じて電磁力を発生するソレノイド100、スプール弁子102、スプリング104、ライン油圧PLが供給される入力ポート106、調圧した油圧を出力する出力ポート108、ドレーンポート110、出力油圧が供給されるフィードバック室112を備えている。そして、フィードバック室112に供給されるフィードバック油圧Pf、その受圧面積Af、スプリング104の荷重Fs、ソレノイド100による電磁力Fが、前記(1) 式を満足するように、その電磁力Fに応じて出力油圧(フィードバック油圧Pf)が調圧制御されて前記油圧アクチュエータ34〜44に供給される。リニアソレノイドバルブSL1〜SL6の各ソレノイド100は、前記電子制御装置90により独立に励磁され、各油圧アクチュエータ34〜44の油圧が独立に調圧制御されるようになっている。
また、上記リニアソレノイドバルブSL1〜SL6は、電子制御装置90から励磁電流が供給されることにより、前記(1) 式を満足するように釣り合う状態で出力油圧を調圧するが、励磁電流の供給が停止してソレノイド100の励磁がOFFになると、スプール弁子102は図5に示すようにスプリング荷重Fsによりソレノイド100側の移動端に保持され、入力ポート106が略完全に遮断されて出力油圧が0になる。これに対し、(1) 式を満足するように調圧する調圧状態では、調圧制御を行う励磁電流の範囲内、すなわちスプール弁子102が(1) 式を満足するように釣り合う範囲内で、その励磁電流を最小値にして出力油圧を最低にする最低調圧状態においても、スプール弁子102が釣り合う所定のフィードバック油圧Pfが発生するように、所定の流量の作動油が入力ポート106から入力されるとともにドレーンポート110から流出させられる。
図3は、図1の自動変速機10などを制御するために車両に設けられた制御系統を説明するブロック線図で、アクセルペダル50の操作量Accがアクセル操作量センサ52により検出されるとともに、そのアクセル操作量Accを表す信号が電子制御装置90に供給されるようになっている。アクセルペダル50は、運転者の出力要求量に応じて大きく踏み込み操作されるもので、アクセル操作部材に相当し、アクセル操作量Accは出力要求量に相当する。また、エンジン30の回転速度NEを検出するためのエンジン回転速度センサ58、エンジン30の吸入空気量Qを検出するための吸入空気量センサ60、吸入空気の温度TA を検出するための吸入空気温度センサ62、エンジン30の電子スロットル弁の全閉状態(アイドル状態)およびその開度θTHを検出するためのアイドルスイッチ付スロットルセンサ64、車速V(出力軸24の回転速度NOUT に対応)を検出するための車速センサ66、エンジン30の冷却水温TW を検出するための冷却水温センサ68、常用ブレーキであるフットブレーキの操作の有無を検出するためのブレーキスイッチ70、シフトレバー72のレバーポジション(操作位置)PSHを検出するためのレバーポジションセンサ74、タービン回転速度NT(=入力軸22の回転速度NIN)を検出するためのタービン回転速度センサ76、油圧制御回路98内の作動油の温度であるAT油温TOIL を検出するためのAT油温センサ78、アップシフトスイッチ80、ダウンシフトスイッチ82などが設けられており、それらのセンサやスイッチから、エンジン回転速度NE、吸入空気量Q、吸入空気温度TA 、スロットル弁開度θTH、車速V、エンジン冷却水温TW 、ブレーキ操作の有無、シフトレバー72のレバーポジションPSH、タービン回転速度NT、AT油温TOIL 、変速レンジのアップ指令RUP、ダウン指令RDN、などを表す信号が電子制御装置90に供給されるようになっている。
上記シフトレバー72は運転席の近傍に配設され、図6に示すように4つのレバーポジション「R(リバース)」、「N(ニュートラル)」、「D(ドライブ)」、または「S(シーケンシャル)」へ手動操作されるようになっている。「R」ポジションは後進走行位置で、「N」ポジションは動力伝達遮断位置で、「D」ポジションは自動変速による前進走行位置で、「S」ポジションは変速可能な高速側の変速段が異なる複数の変速レンジを切り換えることにより手動変速が可能な前進走行位置であり、シフトレバー72がどのレバーポジションへ操作されているかがレバーポジションセンサ74によって検出される。また、レバーポジション「R」、「N」、「D(S)」は車両の前後方向(図6の上方が車両前側)に沿って設けられており、シフトレバー72にケーブルやリンクなどを介して連結されたマニュアルバルブがシフトレバー72の前後操作に伴って機械的に作動させられることにより、油圧回路が切り換えられるようになっており、「R」ポジションではリバース油圧PR が出力されてリバース用回路が機械的に成立させられ、後進変速段「Rev1」、「Rev2」を成立させることができる。「N」ポジションではニュートラル回路が機械的に成立させられて総てのクラッチCおよびブレーキBが解放され、動力伝達を遮断するニュートラル「N」が成立させられる。
また、「D」ポジションおよび「S」ポジションでは前進油圧PD が出力されて前進用回路が機械的に成立させられ、前進変速段である第1変速段「1st」〜第8変速段「8th」で変速しながら前進走行することが可能となる。シフトレバー72が「D」ポジションへ操作された場合は、そのことをレバーポジションセンサ74の信号から判断して自動変速モードを成立させ、第1変速段「1st」〜第8変速段「8th」の総ての前進変速段を用いて変速制御を行う。すなわち、前記リニアソレノイドバルブSL1〜SL6の励磁、非励磁をそれぞれ制御することによりクラッチCおよびブレーキBの係合、解放状態を切り換えて第1変速段「1st」〜第8変速段「8th」の何れかの前進変速段を成立させるのである。この変速制御は、例えば図7に示すように車速Vおよびアクセル操作量Accをパラメータとして予め記憶された変速マップ(変速条件)に従って行われ、車速Vが低くなったりアクセル操作量Accが大きくなったりするに従って変速比が大きい低速側の変速段を成立させる。なお、アクセル操作量Accや吸入空気量Q、路面勾配などに基づいて変速制御を行うなど、種々の態様が可能である。
シフトレバー72が「S」ポジションへ操作された場合は、そのことをレバーポジションセンサ74の信号から判断してシーケンシャルモード(Sモード)を成立させる。「S」ポジションは、車両の前後方向において上記「D」ポジションと同じ位置において車両の幅方向に隣接して設けられており、油圧回路は「D」ポジションの時と同じであるが、「D」ポジションで変速可能な変速範囲内すなわち第1変速段「1st」〜第8変速段「8th」の間で定められた複数の変速レンジを任意に選択できるシーケンシャルモードを電気的に成立させるのである。「S」ポジションには、車両の前後方向にアップシフト位置「(+)」、およびダウンシフト位置「(−)」が設けられており、シフトレバー72がそれ等のアップシフト位置「(+)」またはダウンシフト位置「(−)」へ操作されると、そのことが前記アップシフトスイッチ80、ダウンシフトスイッチ82によって検出され、アップ指令RUPやダウン指令RDNに従って図8に示すように最高速段すなわち変速比が小さい高速側の変速範囲が異なる8つの変速レンジ「D」、「7」、「6」、「5」、「4」、「3」、「2」、「L」の何れかを電気的に成立させるとともに、各変速範囲内において例えば図7の変速マップに従って自動的に変速制御を行う。したがって、例えば下り坂などでシフトレバー72をダウンシフト位置「−」へ繰り返し操作すると、変速レンジが例えば「4」レンジから、「3」レンジ、「2」レンジ、「L」レンジへ切り換えられ、第4変速段「4th」から第3変速段「3rd」、第2変速段「2nd」、第1変速段「1st」へ順次ダウンシフトされて、エンジンブレーキが段階的に増大させられる。このシーケンシャルモードで成立させられる第1変速段「1st」は、エンジンブレーキ作用が得られるように前記第2ブレーキB2が係合させられる。
上記アップシフト位置「(+)」およびダウンシフト位置「(−)」は何れも不安定で、シフトレバー72はスプリング等の付勢手段により自動的に「S」ポジションへ戻されるようになっており、アップシフト位置「(+)」またはダウンシフト位置「(−)」への操作回数或いは保持時間などに応じて変速レンジが変更される。
電子制御装置90は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUがRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、図9に示す変速制御手段120および調圧・非調圧切換手段130の各機能を実行する。
変速制御手段120は、シフトレバー72のレバーポジションPSHや変速マップ(図7)などに従って自動変速機10の変速段を切り換えるもので、変速判断手段122および変速出力手段124を備えている。変速判断手段122は、前記「D」ポジションまたは「S」ポジションが選択されている場合に、実際の車速Vおよびアクセル操作量Accに基づいて、図7の変速マップの変速線をよぎったか否か等により変速すべきか否かを判断するもので、変速出力手段124は、その変速判断手段122の判断結果に従って前記リニアソレノイドバルブSL1〜SL6の調圧制御を行い、前記クラッチCおよびブレーキBを係合または解放して所定の変速段を成立させる。変速出力手段124は、変速の種類によって変速出力すなわちリニアソレノイドバルブSL1〜SL6の調圧制御を開始するタイミングが異なり、例えばアクセルペダル50が踏込み操作されているパワーONのダウンシフトやシーケンシャルモードなど変速応答性が要求される場合には、変速判断に従って直ちに変速出力するが、アップシフトやパワーOFFのダウンシフトでは、例えば多重変速を回避するために変速判断から所定時間経過した所定のタイミングで変速出力する。
一方、調圧・非調圧切換手段130は、リニアソレノイドバルブSL1〜SL6のうち、対応するクラッチCまたはブレーキBが解放状態で、変速段を成立させる上で使用していない不使用リニアソレノイドバルブSL1〜SL6について、調圧状態にすべきか非調圧状態にすべきかを車両状態に基づいて判断し、その判断結果に従って調圧状態と非調圧状態とを切り換えるものである。非調圧状態は、励磁電流の供給を停止してソレノイド100をOFFにするもので、スプール弁子102はスプリング荷重Fsによりソレノイド100側の移動端に保持され、入力ポート106が略完全に遮断されて出力油圧が0になる。また、調圧状態は、クラッチCやブレーキBを係合させるためのものではなく、調圧制御を行う励磁電流の制御範囲内、すなわちスプール弁子102が(1) 式を満足するように釣り合う範囲内で、その励磁電流を最小値にして出力油圧を最低にする最低調圧状態である。
上記車両状態に基づく調圧・非調圧の判断は、例えばAT油温TOIL が低いか否か、シーケンシャルモードか否か、変速判断が為されたか否か、変速予測が為されたか否か、ガレージシフトか否かによって行われ、図10〜図13のフローチャートに従って切り換えられる。
図10はAT油温TOIL によって調圧、非調圧を切り換える場合で、ステップS1−1では、前記AT油温センサ78によって検出されるAT油温TOIL が予め定めた所定値以下か否かを判断し、所定値以下であればステップS1−2で総ての不使用リニアソレノイドバルブSL1〜SL6を最低調圧状態とする一方、AT油温TOIL が所定値より高い場合には、ステップS1−3で総ての不使用リニアソレノイドバルブSL1〜SL6を非調圧状態とする。すなわち、AT油温TOIL が低い時には作動油の粘度が大きくなって油圧の応答性が悪くなるため、不使用リニアソレノイドバルブSL1〜SL6を最低調圧状態にすることで応答性の悪化を抑制できる一方、AT油温TOIL が高い時には粘度が低くなり、漏れ流量などが増加して作動油の消費流量が増えるため、不使用リニアソレノイドバルブSL1〜SL6が非調圧状態とされることにより、消費流量が少なくなり、小型のオイルポンプ48を採用できるとともにそのオイルポンプ48を回転駆動するエンジン負荷が低減されて燃費が向上する。
図11は、シーケンシャルモードか否かによって調圧、非調圧を切り換える場合で、ステップS2−1では、手動変速モードであるシーケンシャルモードか否かを、例えば前記レバーポジションセンサ74によって検出されるレバーポジションPSHが「S」ポジションか否かにより判断し、シーケンシャルモードであればステップS2−2で総ての不使用リニアソレノイドバルブSL1〜SL6を最低調圧状態とする一方、自動変速モードなどシーケンシャルモードでない場合には、ステップS2−3で総ての不使用リニアソレノイドバルブSL1〜SL6を非調圧状態とする。すなわち、シーケンシャルモードでは運転者が意図的に変速するため優れた変速応答性が要求され、不使用リニアソレノイドバルブSL1〜SL6を最低調圧状態にすることで変速時の応答性を確保できる一方、自動変速モード時には、不使用リニアソレノイドバルブSL1〜SL2が非調圧状態とされることにより、消費流量が少なくなり、小型のオイルポンプ48を採用できるとともにそのオイルポンプ48を回転駆動するエンジン負荷が低減されて燃費が向上する。
図12は、変速判断および変速予測に基づいて調圧、非調圧を切り換える場合で、ステップS3−1では、前記変速判断手段122によって変速すべき判断が為されたか否かを判断する。本実施例では、変速判断が為されてから所定時間経過した後に変速出力される自動変速モードのパワーONのアップシフト判断が為されたか否かを判断する。そして、パワーONのアップシフト判断が為された場合には、ステップS3−3を実行し、そのアップシフトで新たに係合させるクラッチCまたはブレーキBのリニアソレノイドバルブSL1〜SL6を最低調圧状態とする。
上記ステップS3−1の判断がNO(否定)の場合には、ステップS3−2を実行し、自動変速モードの実行中に例えば車速Vの変化やアクセル操作量Accの変化に基づいて前記図7の変速マップ等から変速が近いか否かを予測する。本実施例では、変速判断が為された後に直ちに変速出力されるパワーONのダウンシフト、およびアクセル操作量Accの変化から容易に予測できるパワーOFFのアップシフトについて予測し、それ等の変速が予測された場合は前記ステップS3−3を実行して、そのパワーONダウンシフト或いはパワーOFFアップシフトで新たに係合させるクラッチCまたはブレーキBのリニアソレノイドバルブSL1〜SL6を最低調圧状態とする。また、ステップS3−1、S3−2の判断が何れもNOの場合、すなわち変速判断も変速予測も為されなかった場合には、ステップS3−4を実行し、総ての不使用リニアソレノイドバルブSL1〜SL6を非調圧状態とする。
ここでは、総ての不使用リニアソレノイドバルブSL1〜SL6が基本的には非調圧状態に保持されるため、消費流量が少なくなり、小型のオイルポンプ48を採用できるとともにそのオイルポンプ48を回転駆動するエンジン負荷が低減されて燃費が向上する一方、パワーONのアップシフト判断が為されるか、パワーONダウンシフト或いはパワーOFFアップシフトが予測されると、それ等の変速により新たに係合させるクラッチCまたはブレーキBのリニアソレノイドバルブSL1〜SL6が変速出力に先立って最低調圧状態に切り換えられるため、非調圧状態に起因する応答性の悪化が防止される。
図13は、ガレージシフトに基づいて調圧、非調圧を切り換える場合で、ステップS4−1では、車速Vに基づいて停車中か否かを判断し、停車中であればステップS4−2以下を実行する。ステップS4−2では、レバーポジションPSHが「N」ポジションか否か、すなわち自動変速機10がニュートラル状態か否かを判断し、「N」ポジションの場合にはステップS4−5を実行して、ニュートラル状態から駆動状態に切り換えられた時に係合させるクラッチCまたはブレーキBのリニアソレノイドバルブSL1〜SL6を最低調圧状態とし、その他のリニアソレノイドバルブSL1〜SL6を非調圧状態とする。駆動状態は、本実施例では前進変速段および後進変速段で、具体的には第1変速段「1st」を成立させるための第1クラッチC1、および第1後進変速段「Rev1」を成立させるための第3クラッチC3、第2ブレーキB2のリニアソレノイドバルブSL1、SL3、SL6を最低調圧状態にする。
上記ステップS4−2の判断がNOの場合は、ステップS4−3を実行して「D」ポジションか否かを判断し、「D」ポジションの場合にはステップS4−6でクラッチC3およびブレーキB2のリニアソレノイドバルブSL3、SL6を非調圧状態に切り換える。また、ステップS4−3の判断がNOの場合は、ステップS4−4を実行して「R」ポジションか否かを判断し、「R」ポジションの場合にはステップS4−7でクラッチC1のリニアソレノイドバルブSL1を非調圧状態に切り換える。
すなわち、シフトレバー72が「N」ポジションへ操作された時に、「D」または「R」ポジションへ切換え操作された場合に係合させる第1クラッチC1、第3クラッチC3、および第2ブレーキB2のリニアソレノイドバルブSL1、SL3、SL6を最低調圧状態とするため、それ等の「D」または「R」ポジションへ切換え操作されて第1変速段「1st」または第1後進変速段「Rev1」を成立させる際の変速応答性を確保できる一方、それ以外の不使用リニアソレノイドバルブSL2、SL4、SL5は非調圧状態とされるため、消費流量が少なくなり、小型のオイルポンプ48を採用できるとともにそのオイルポンプ48を回転駆動するエンジン負荷が低減されて燃費が向上する。
このように本実施例の車両用自動変速機10は、解放状態のクラッチCおよびブレーキBに関する不使用リニアソレノイドバルブSL1〜SL6について、最低調圧状態にすべきか非調圧状態にすべきかを車両状態に基づいて判断し、その判断結果に従って最低調圧状態と非調圧状態とを切り換えるようになっているため、非調圧状態とする分だけ作動油の消費流量が少なくなり、小型のオイルポンプ48を採用できるとともにそのオイルポンプ48を回転駆動するエンジン負荷が低減されて燃費が向上する一方、車両状態に応じて最低調圧状態とすることにより、油圧応答性や変速応答性の悪化を防止することができる。
なお、上記図10〜図13のフローチャートは、個々の車両状態に基づいて調圧、非調圧を切り換えるようになっているが、それ等の相互の関係では、変速応答性を確保する上で調圧状態(最低調圧状態)が優先され、何れかのフローチャートにおいて最低調圧状態とされた不使用リニアソレノイドバルブSL1〜SL6は、他のフローチャートで非調圧状態とされる場合でも最低調圧状態が維持される。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
10:車両用自動変速機 90:電子制御装置 98:油圧制御回路 100:ソレノイド 102:スプール弁子 130:調圧・非調圧切換手段 C1〜C4:クラッチ(油圧式摩擦係合装置) B1、B2:ブレーキ(油圧式摩擦係合装置)
SL1〜SL6:リニアソレノイドバルブ

Claims (1)

  1. 複数の油圧式摩擦係合装置が選択的に係合、解放されることにより、変速比が異なる複数の変速段が成立させられる自動変速機と、
    スプール弁子のバランスによりソレノイドによる電磁力に応じた油圧を出力する調圧状態と、該スプール弁子が油圧の出力を停止する側の移動端に保持される非調圧状態とに切り換えられるとともに、該調圧状態において前記油圧式摩擦係合装置の油圧を該ソレノイドによる電磁力に応じて調圧する複数のリニアソレノイドバルブと、
    を有する車両用自動変速機の油圧制御装置において、
    前記複数のリニアソレノイドバルブのうち、前記油圧式摩擦係合装置を係合させる上で使用していない不使用リニアソレノイドバルブについて、前記調圧状態にすべきか前記非調圧状態にすべきかを車両状態に基づいて判断し、該判断結果に従って該調圧状態と該非調圧状態とを切り換える調圧・非調圧切換手段を有する一方、
    前記自動変速機は、動力伝達を遮断するニュートラル状態と、動力伝達する駆動状態とを有し、運転者の操作に従って切り換えられるようになっており、
    前記調圧・非調圧切換手段は、前記自動変速機が運転者の操作に従って前記ニュートラル状態とされた時には、前記駆動状態へ切り換えられた場合に新たに係合させる油圧式摩擦係合装置の油圧を調圧する不使用リニアソレノイドバルブを前記調圧状態とし、それ以外の不使用リニアソレノイドバルブを前記非調圧状態とする
    ことを特徴とする車両用自動変速機の油圧制御装置。
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