JP5278101B2 - 電圧非直線性抵抗素子及びその製造方法 - Google Patents

電圧非直線性抵抗素子及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5278101B2
JP5278101B2 JP2009078990A JP2009078990A JP5278101B2 JP 5278101 B2 JP5278101 B2 JP 5278101B2 JP 2009078990 A JP2009078990 A JP 2009078990A JP 2009078990 A JP2009078990 A JP 2009078990A JP 5278101 B2 JP5278101 B2 JP 5278101B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
nio
zno
voltage
group iii
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009078990A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010232460A (ja
Inventor
真人 薄田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP2009078990A priority Critical patent/JP5278101B2/ja
Publication of JP2010232460A publication Critical patent/JP2010232460A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5278101B2 publication Critical patent/JP5278101B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Thermistors And Varistors (AREA)

Description

本発明は、電圧非直線性抵抗素子及びその製造方法に関し、特に電子回路における過電圧(サージ)保護装置や駆動回路のスイッチング素子などに使用される電圧非直線性素子及びその製造方法に関する。
電子回路における過電圧(サージ)保護装置などには、ツェナーダイオードやバルクセラミックバリスタなどの電圧非直線性抵抗素子が使用されている。
近年では、電子部品、電子機器の小型化、高密度化に伴って、薄膜バリスタなどの超小型の保護素子が盛んに検討されている。例えば、下記特許文献1及び2には、ガラス基板などの基板上に、p型半導体であるNiO薄膜とn型半導体であるZnO薄膜とを積層したpn接合を利用した電圧非直線性抵抗素子が開示されている。また、同文献には、NiO層/ZnO層/NiO層によるpnp構造、ZnO層/NiO層/ZnO層によるnpn構造を設けた場合、両方向に対して対称型電圧非直線性を示すことが記載されている。
特開平3−268401号公報 特開平3−268402号公報
一般に、ESD(静電気による放電)対策に使用されている電圧非直線性抵抗素子には、瞬時に大電流を流すことが求められる。この場合、短時間ではあるが、素子の温度が上昇し、摂氏数百度以上にも達するといわれている。
上記特許文献の電圧非直線性抵抗素子の電圧−電流特性(I−V特性)について本発明者らが検討を行ったところ、素子が250℃以上の温度を受けるとI−V特性のVth(閾電圧)、いわゆる立ち上がり電圧は徐々に増大し、300℃以上では立ち上がり電圧は急激に増大することを見出した。また、初期の立ち上がり電圧は10V以下であったが、300℃、1時間の熱処理を加えると立ち上がり電圧は50V以上に増大することも見出した。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電圧−電流特性における立ち上がり電圧が熱によって変動しにくい熱安定性に優れた電圧非直線性抵抗素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来のNiO層/ZnO層/NiO層積層構造におけるI−V特性の熱的不安定性の要因を以下のとおり推察する。LiなどのI族元素を添加していないp型NiO薄膜のキャリアの起源は、NiOの結晶格子間に存在する過剰な酸素であり、一方、AlやBなどのIII族元素を添加していないn型ZnO薄膜では、ZnO結晶の酸素欠損が主たるキャリアの起源であると考えられる。そして、NiO層/ZnO層の積層構造によるpn接合は、酸素過剰型半導体と酸素欠損型半導体とが直接接し、その界面近傍でpn接合が形成されることによるものと考えられる。この接合が加熱されると、NiO中の過剰な酸素がZnO中に拡散し、ZnO結晶の酸素空孔を補償する現象が生じると考えられる。NiO中の過剰な酸素濃度が減少すると、p型NiO中のキャリア濃度は減少し、一方、ZnO中の酸素欠損濃度が減少すると、n型ZnO中のキャリア濃度が減少する。このような加熱による酸素の移動がp型層として機能するNiO層及びn型層として機能するZnO層のキャリア濃度の減少を招いた結果、pn接合の拡散電位が減少し、pn接合の降伏が起こるのに要する電圧が高くなり、I−V特性のVth(閾電圧)が高電圧化したものと推察される。
本発明者らは、上記推察に基づき鋭意検討を行った結果、加熱時のNiO層/ZnO層間での酸素移動を抑制すること及びpn接合における拡散電位を十分高めることの観点から特定の薄膜積層構造体を作製し、これに所定の加熱処理を施すことにより、I−V特性の立ち上がり電圧をバリスタとして好適な範囲にすることができ、且つ、その後の加熱に対しては立ち上がり電圧の変動が十分小さくなることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の第1の電圧非直線性抵抗素子は、対向する導電体層と、これらの導電体層間に配され、第1のNiO層、ZnO及びIII族元素を含むIII族元素含有ZnO層、及び第2のNiO層がこの順に積層されてなる積層構造とを有し、導電体層の一方は、外部の信号ラインに接続する信号ライン側電極と、外部のグランドラインに接続するグランド電極と、を有するものである。
本発明の第1の電圧非直線性抵抗素子は、双方向に対称型電圧非直線性を示すことができ、所定の加熱処理が施されることで、電圧−電流特性における立ち上がり電圧が熱によって変動しにくい熱安定性に優れたものになり得る。このような効果が得られる理由を本発明者らは次のように考えている。
III族元素含有ZnO層は、III族元素が含まれることによって十分なキャリア濃度を有することができるため、酸素欠損濃度を高めなくてもn型層として機能させることができる。この酸素欠損濃度を小さくすることができるIII族元素含有ZnO層と、NiO層とを積層させることにより、NiO層から過剰の酸素が移動しにくくなり、素子が高温になった後でもNiO層におけるキャリア濃度の変動を小さくすることができることが考えられる。III族元素含有ZnO層についても、キャリア濃度が酸素欠損濃度によって左右されにくい上、酸素の移動に起因する酸素欠損濃度の変動が抑制されるため、素子が高温になった後も十分なキャリア濃度を有することが考えられる。このような積層構造に所定の加熱処理を施すことで、上述した酸素の移動による特性劣化を抑制しつつ、III族元素をZnサイトに置換させてキャリア濃度が十分高められた安定な状態とし、その後の加熱によってもキャリア濃度の変動が生じにくいpnp構造を形成できた結果、上記本発明による効果が奏されたものと本発明者らは推察する。
また、本発明の第1の電圧非直線性抵抗素子は、ガラス基板などが使用できる条件で作製が可能であるという利点を有する。すなわち、上記積層構造はスパッタ法などにより形成することができ、上記の所定の加熱処理は300℃以上500℃以下という温度で行うことができるため、積層構造を形成する基板として、耐熱性のセラミックスやサファイヤなどの単結晶、石英などに限定されることなく安価なガラス基板などを使用することができる。
本発明の第2の電圧非直線性抵抗素子は、対向する導電体層と、これらの導電体層間に配され、第1のNiO層、第1のZnO層、ZnO及びIII族元素を含むIII族元素含有ZnO層、第2のZnO層及び第2のNiO層がこの順に積層されてなる積層構造とを有し、導電体層の一方は、外部の信号ラインに接続する信号ライン側電極と、外部のグランドラインに接続するグランド電極と、を有するものである。
本発明の第2の電圧非直線性抵抗素子は、所定の加熱処理が施されることで、電圧−電流特性における立ち上がり電圧が熱によって変動しにくい熱安定性に優れたものになり得ることに加えて、リーク電流がより小さいものになり得る。
リーク電流が小さくなる理由としては、上記第1及び第2のZnO層によって、III族元素含有ZnO層に含まれるIII族元素がNiO層へ拡散することを抑制できるためと本発明者らは考えている。
本発明の第1及び第2の電圧非直線性抵抗素子において、上記III族元素はAlであることが好ましい。
本発明はまた、対向する導電体層と、これらの導電体層間に配され、第1のNiO層、ZnO及びIII族元素を含むIII族元素含有ZnO層、及び第2のNiO層がこの順に積層されてなる積層構造とを有する電圧非直線性抵抗素子の製造方法であって、一方の導電体層上に、NiO層が酸素を過剰に含有するように第1のNiO層を形成する工程と、第1のNiO層上に、III族元素含有ZnO層を形成する工程と、III族元素含有ZnO層上に、NiO層が酸素を過剰に含有するように第2のNiO層を形成して積層構造を形成する工程と、積層構造を300℃以上500℃以下で加熱する加熱工程と、を備える第1の電圧非直線性抵抗素子の製造方法を提供する。
本発明はまた、対向する導電体層と、これらの導電体層間に配され、第1のNiO層、第1のZnO層、ZnO及びIII族元素を含むIII族元素含有ZnO層、第2のZnO層及び第2のNiO層がこの順に積層されてなる積層構造とを有する電圧非直線性抵抗素子の製造方法であって、一方の導電体層上に、NiO層が酸素を過剰に含有するように第1のNiO層を形成する工程と、第1のNiO層上に、第1のZnO層を形成する工程と、第1のZnO層上に、III族元素含有ZnO層を形成する工程と、III族元素含有ZnO層上に、第2のZnO層を形成する工程と、第2のZnO層上に、NiO層が酸素を過剰に含有するように第2のNiO層を形成して積層構造を形成する工程と、積層構造を300℃以上500℃以下で加熱する加熱工程と、を備える第2の電圧非直線性抵抗素子の製造方法を提供する。
本発明において「NiO層が酸素を過剰に含有する」とは、Niと酸素との比が化学両論組成である、1:1ではなく、酸素が1を超えて含まれていることを意味する。
本発明の第1及び第2の電圧非直線性抵抗素子の製造方法において、上記III族元素はAlであることが好ましい。
また、上記加熱工程が、積層構造を350℃以上450℃以下で加熱する工程であることが好ましい。
本発明はまた、上記本発明の第1又は第2の電圧非直線性抵抗素子の製造方法により得られる電圧非直線性抵抗素子を提供する。
本発明によれば、電圧−電流特性における立ち上がり電圧が熱によって変動しにくい熱安定性に優れた電圧非直線性抵抗素子及びその製造方法を提供することができる。
本発明の電圧非直線性抵抗素子の一実施形態を示す模式断面図である。 本発明の電圧非直線性抵抗素子の他の実施形態を示す模式断面図である。 本発明の電圧非直線性抵抗素子の他の実施形態を示す模式断面図である。 実施例1に係る電圧非直線性抵抗素子のV−I特性を示す図である。 実施例2に係る電圧非直線性抵抗素子のV−I特性を示す図である。 実施例3に係る電圧非直線性抵抗素子のV−I特性を示す図である。 実施例4に係る電圧非直線性抵抗素子のV−I特性を示す図である。 比較例1に係る電圧非直線性抵抗素子のV−I特性を示す図である。
図1は、本発明の電圧非直線性抵抗素子の好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示される電圧非直線性抵抗素子100は、基板1と、基板1上に設けられた導電体層2と、導電体層2上に設けられ、第1のNiO層3、ZnO及びIII族元素を含むIII族元素含有ZnO層4、及び第2のNiO層5がこの順に積層されてなる積層構造20と、第2のNiO層5上に設けられた導電体層6a、6bとを有している。電圧非直線性抵抗素子100は、導電体層2に対向する導電体層6a、6bを2つ有しているが、この導電体層は3以上あってもよい。
図2は、本発明の電圧非直線性抵抗素子の他の実施形態を示す模式断面図である。図2に示される電圧非直線性抵抗素子110は、基板1と、基板1上に設けられた導電体層7と、導電体層7上に設けられ、第1のNiO層3、ZnO及びIII族元素を含むIII族元素含有ZnO層4、及び第2のNiO層5がこの順に積層されてなる積層構造20と、第2のNiO層5上に設けられた導電体層8とを有している。
基板1としては、ガラス基板、表面に熱酸化膜が形成されたシリコン基板、表面平滑化処理されたセラミック基板などが挙げられる。より安価に素子を得る観点から、基板1は、無アルカリガラスや低アルカリガラスからなるガラス基板、表面にSiOが形成されたソーダライムガラスからなる基板であることが好ましい。また、回路基板上に本発明の電圧非直線性抵抗素子を形成するような場合、基板1は、300℃以上の耐熱性を有するガラス/セラミック複合材料に配線や機能部品が形成された回路基板とすることができる。
電圧非直線性抵抗素子100においては、例えば、導電体層6aを外部の信号ラインに接続する信号ライン側電極、導電体層6bを外部のグランドラインに接続するグランド電極とした場合、導電体層6a及び6b間に所定の電圧が印加されたときに積層構造20の積層方向に電流を流すことができるようになる。このときの電圧非直線性抵抗素子100は、直列接続線として働く導電体層2を介して積層構造20が2つ直列接続された2連直列バリスタ素子として機能し、電流の経路は、導電体層6a、積層構造20、導電体層2、積層構造20、導電体層6bの順或いはその逆の順となる。
上記の場合、導電体層2としては、例えば、Mo、Ni、Ti、Ta、Wなどからなる電極が挙げられる。導電体層2の厚みは、300〜700nmとすることができる。導電体層6a及び6bとしては、例えば、Mo、Ni、Ti、Ta、Wなどからなる電極が挙げられる。導電体層6a及び6bの厚みは、200〜500nmとすることができる。
電圧非直線性抵抗素子110においては、例えば、導電体層7を外部のグランドラインに接続するグランド電極、導電体層8を外部の信号ラインに接続する信号ライン側電極とした場合、導電体層7及び8間に所定の電圧が印加されたときに積層構造20の積層方向に電流を流すことができるようになる。
上記の場合、導電体層7としては、例えば、Mo、Ni、Ti、Ta、Wなどからなる電極が挙げられる。導電体層7の厚みは、300〜700nmとすることができる。導電体層8としては、例えば、Mo、Ni、Ti、Ta、Wなどからなる電極が挙げられる。導電体層8の厚みは、200〜500nmとすることができる。
第1のNiO層3及び第2のNiO層5としては、例えば、NiO焼結体をターゲットとしたスパッタ法などを用いて、酸素を過剰に含有するように成膜されたものが挙げられる。第1のNiO層3及び第2のNiO層5は、酸素以外の不純物を含有しないことが好ましい。また、第1のNiO層3及び第2のNiO層5は、アクセプタ濃度が2×1016/cm以上であることが好ましく、5×1016/cm以上5×1018/cm以下であることがより好ましい。
また、第1のNiO層3及び第2のNiO層5は、良好なpn接合を得るために適したキャリア濃度と移動度の観点から、4探針法により測定した膜単体の比抵抗が、概ね0.1Ωcm以上10Ωcm以下の範囲にあることが好ましい。
第1のNiO層3及び第2のNiO層5の厚みは、200〜700nmが好ましく、300〜500nmがより好ましい。厚みが200nm未満であると、電流が立ち上がる電圧が高くなる傾向にあり、700nmを超えると、リーク電流が増加する傾向にある。
III族元素含有ZnO層4としては、例えば、III族元素を含む化合物を添加したZnO焼結体をターゲットとしたスパッタ法などを用いて成膜されたものが挙げられる。III族元素としては、Al、B、Ga、Inが挙げられるが、安定した組成のターゲットが得やすく、キャリア濃度の制御性が優れている点でAlが好ましい。この場合、Alを、好ましくは0.05〜3.0mol%、より好ましくは0.1〜2.0mol%の濃度で添加したZnO焼結体を上記のターゲットとして用いることが好ましい。
III族元素含有ZnO層4は、良好なpn接合を得るために適したキャリア濃度の観点から、ドナー濃度が2×1016/cm以上1×1019/cm以下であることが好ましく、5×1016/cm以上5×1018/cm以下であることがより好ましい。
更に、III族元素含有ZnO層4は、電流−電圧特性の熱安定性の観点から、酸素欠損濃度が1×1017/cm以下であることが好ましく、1×1016/cm以下であることがより好ましい。なお、「酸素欠損濃度」とは、ZnO膜中の酸素空孔の濃度を意味し、不純物を添加していないZnO層についてホール測定で求めたキャリア濃度から見積もることが可能である。
また、III族元素含有ZnO層4として、中心部のキャリア濃度が2×1016/cm以上1×1019/cm以下であり、第1のNiO層3及び第2のNiO層5と接する側のキャリア濃度が2×1016/cm未満、より好ましくは1×1016/cm以下であるIII族元素含有ZnO層を設けることができる。このような層を設けることにより、リーク電流を小さくすることができる。リーク電流が小さくなる理由としては、上記III族元素含有ZnO層の第1のNiO層3及び第2のNiO層5と接する側が、III族元素含有ZnO層に含まれるIII族元素がNiO層側へ拡散したときに、拡散バリアとして機能するためと本発明者らは考えている。
III族元素含有ZnO層4の厚みは、300〜1500nmが好ましく、500〜800nmがより好ましい。厚みが300nm未満であると、リーク電流が増加する傾向にあり、1500nmを超えると、応力の影響で基板の反りが発生したり、熱処理後に膜にクラックが発生したりする傾向にある。
電圧非直線性抵抗素子100、110は、積層構造20を2以上有することができる。基板1上に、積層構造20をその積層方向に複数重ねる場合、積層構造20間にMoなどの電極層を設けることが好ましい。電圧非直線性抵抗素子100の場合、各積層構造20の第2のNiO層5上に、図1の6a、6bのように、1対の導電体層(電極)を導電体層2に対向して並べる構造が好ましい。
電圧非直線性抵抗素子100においては、その直列接続する素子数を変更することにより、バリスタ特性の立ち上がり電圧と、静電容量とのバランスを図ることができる。直列接続する素子数に比例して立ち上がり電圧は高くなるが、その一方で静電容量は接続素子数に反比例する。また、素子が絶縁破壊した場合にも、複数の素子を直列に接続することにより、短絡モードで絶縁破壊する確立が大幅に減少する。これにより、電圧非直線性抵抗素子100は、耐久性にも優れたものになり得る。
図3は、本発明の電圧非直線性抵抗素子の他の実施形態を示す模式断面図である。図3に示される電圧非直線性抵抗素子120は、基板1と、基板1上に設けられた導電体層2と、導電体層2上に設けられ、第1のNiO層3、第1のZnO層10、ZnO及びIII族元素を含むIII族元素含有ZnO層4、第2のZnO層12、及び第2のNiO層5がこの順に積層されてなる積層構造22と、第2のNiO層5上に設けられた導電体層6a、6bとを有している。電圧非直線性抵抗素子120は、導電体層2に対向する導電体層6a、6bを2つ有しているが、この導電体層は3以上あってもよい。
電圧非直線性抵抗素子120は、電圧非直線性抵抗素子100における第1のNiO層3及び第2のNiO層とIII族元素含有ZnO層4との間にそれぞれ第1のZnO層10及び第2のZnO層12が積層されていること以外は、電圧非直線性抵抗素子100と同様の構成を有している。
第1のZnO層10及び第2のZnO層12は、例えば、不純物を添加していないZnO焼結体をターゲットしたスパッタ法などを用いて成膜されたものが挙げられる。第1のZnO層10及び第2のZnO層12を備える電圧非直線性抵抗素子120は、電圧非直線性抵抗素子100に比較してリーク電流をより小さくすることができる。
第1のZnO層10及び第2のZnO層12は、高温時にNiO層中の過剰に含まれる酸素原子がZnO層中に拡散することを抑制できるよう、酸素欠損濃度が2×1016/cm以下であることが好ましく、1×1016/cm以下であることがより好ましい。
第1のZnO層10及び第2のZnO層12の厚みは、100〜500nmが好ましく、200〜400nmがより好ましい。厚みが100nm未満であると、リーク電流が増加する傾向にあり、500nmを超えると、立ち上がり電圧が増加する傾向にある。
電圧非直線性抵抗素子100、110の積層構造20、及び電圧非直線性抵抗素子120の積層構造22は、所定の加熱処理が施されていることが好ましい。この加熱処理は、例えば、電圧非直線性抵抗素子を300〜500℃、好ましくは350〜450℃で加熱することにより行うことができる。加熱時の雰囲気は、導電層材料の酸化を防止する目的で、窒素、アルゴンなどの不活性ガス中、または真空(減圧)とすることが好ましい。加熱時間は、30分から1時間とすることができる。
本発明に係る電圧非直線性抵抗素子は、電圧−電流特性における初期の立ち上がり電圧を8V〜32V、或いはそれ以上とすることができる。初期の立ち上がり電圧は、直列接続する素子数によって所望の範囲に設定することができる。高速大容量信号伝送ラインのESD対策の用途の場合には、2素子〜4素子を直列に接続し、立ち上がり電圧を16V〜32V、静電容量を0.5pF以下に設定することが好ましい。
次に、本発明に係る電圧非直線性抵抗素子の製造方法について説明する。
本発明に係る電圧非直線性抵抗素子の第1の製造方法は、対向する導電体層と、これらの導電体層間に配され、第1のNiO層、ZnO及びIII族元素を含むIII族元素含有ZnO層、及び第2のNiO層がこの順に積層されてなる積層構造とを有する電圧非直線性抵抗素子の製造方法であって、一方の導電体層上に、NiO層が酸素を過剰に含有するように第1のNiO層を形成する工程と、第1のNiO層上に、III族元素含有ZnO層を形成する工程と、III族元素含有ZnO層上に、NiO層が酸素を過剰に含有するように第2のNiO層を形成して積層構造を形成する工程と、積層構造を300℃以上500℃以下で加熱する加熱工程と、を備える。この製造方法によれば、上述した電圧非直線性抵抗素子100、110を得ることができる。
第1のNiO層が形成される導電体層は、例えば、Mo、Ni、Ti、Ta、Wなどの材料をスパッタ法、MOCVD法、EB蒸着法などの方法により基板上に成膜することにより作成される。導電体層は、必要に応じて、フォトリソグラフィー法、リアクティブイオンエッチング(RIE)、メカニカルスクライブ法などの方法によりパターンニングすることで形成することができる。また、成膜時のマスキングによりあらかじめパターンニングされた導電体層を形成してもよい。2素子を直列接続する際の導電体層の抵抗値と膜中残留応力の観点から、導電体層の厚さは300〜700nmの範囲内であることが好ましい。
第1のNiO層を形成する方法としては、例えば、NiO焼結体をターゲットとしたスパッタ法などが挙げられる。このとき、酸素が存在する環境下で成膜することにより、形成されるNiO層を酸素過剰とすることができる。
また、第1のNiO層は、アクセプタ濃度が2×1016/cm以上となるように成膜することが好ましい。第1のNiO層のアクセプタ濃度の調整は、例えば、次の手順で行うことができる。予め、ガラス基板上にNiO層を成膜したサンプルについて、成膜条件とアクセプタ濃度との相関を求めておく。そして、この相関に基づく成膜条件で第1のNiO層を導電体層上に形成する。上記サンプルのNiO層のアクセプタ濃度は、ガラス基板上にNiO層を500nm、その上に測定用電極としてMo電極を200nm成膜した測定用サンプルに対し、高抵抗半導体のホール電圧を測定可能なホール測定装置を用いてホール係数の測定を行い、NiO層のホール係数からキャリア濃度を算出することにより求めることができる。なお、この場合、アクセプタの起源は過剰な酸素であり、アクセプタ濃度と過剰な酸素濃度は同等と考えられる。
良好なpn接合を得るために適したキャリア濃度の点で、第1のNiO層は、アクセプタ濃度が5×1016/cm以上5×1018/cm以下となるように成膜することが好ましい。
III族元素含有ZnO層を形成する方法としては、例えば、III族元素を含む化合物を添加したZnO焼結体をターゲットとしたスパッタ法が挙げられる。III族元素としては、Al、B、Ga、Inが挙げられるが、安定した組成のターゲットが得やすく、キャリア濃度の制御性が優れている点でAlが好ましい。この場合、Alを、好ましくは0.05〜3.0mol%、より好ましくは0.5〜2.0mol%の濃度で添加したZnO焼結体を上記のターゲットとして用いることが好ましい。
III族元素含有ZnO層は、良好なpn接合を得るために適したキャリア濃度の観点から、ドナー濃度が2×1016/cm以上1×1019/cm以下となるように成膜することが好ましく、5×1016/cm以上5×1018/cm以下となるように成膜することが好ましい。
III族元素含有ZnO層のドナー濃度の調整は、例えば、次の手順で行うことができる。予め、ガラス基板上にIII族元素含有ZnO層を成膜したサンプルについて、成膜条件とドナー濃度との相関を求めておく。そして、この相関に基づく成膜条件でIII族元素含有ZnO層を第1のNiO層上に形成する。上記サンプルのIII族元素含有ZnO層のドナー濃度は、NiOのキャリア濃度を算出した手法と同様の手法により求められる。
本実施形態においては、上述したIII族元素を含む化合物の添加量や、III族元素含有ZnO層の酸素欠損濃度を適宜変更してIII族元素含有ZnO層のドナー濃度を調節することができる。
III族元素含有ZnO層は、酸素欠損濃度が2×1016/cm以下となるように成膜することが好ましく、1×1016/cm以下となるように成膜することがより好ましい。III族元素含有ZnO層の酸素欠損濃度を小さくする方法としては、例えば、III族元素を含む化合物を添加したZnO焼結体をターゲットとしたスパッタ法において酸素が存在する環境下で成膜する方法が挙げられる。酸素欠損濃度は、不純物を添加していないZnOのホール測定で求めたキャリア濃度から見積もることが可能である。
第2のNiO層は、上記の第1のNiO層を形成する方法と同様にしてIII族元素含有ZnO層上に形成することができる。
第2のNiO層の形成により、第1のNiO層、ZnO及びIII族元素を含むIII族元素含有ZnO層、及び第2のNiO層がこの順に積層されてなる積層構造が形成される。各層の膜厚については、電圧非直線性抵抗素子100、110の説明で述べた範囲内とすることが好ましい。
本実施形態では、積層構造を300℃以上500℃以下で加熱する工程の前に、第2のNiO層上に、導電体層を形成する。導電体層は、例えば、Mo、Ni、Ti、Ta、Wなどの材料をスパッタ法、EB蒸着法などの方法により第2のNiO層上に成膜した後、必要に応じて、フォトリソグラフィー法、リアクティブイオンエッチング(RIE)、メカニカルスクライブ法などの方法によりパターンニングすることで形成することができる。また、成膜時のマスキングによりあらかじめパターンニングされた導電体層を形成してもよい。加工性の観点から、導電体層の厚さは200〜500nmの範囲内であることが好ましい。
積層構造を300℃以上500℃以下で加熱する方法としては、例えば、上記で導電体層まで形成した電圧非直線性抵抗素子を、雰囲気熱処理炉で、300〜500℃で加熱する。このときの雰囲気は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス中、または真空(減圧)とすることができる。
各層の結晶性の改善、III族元素含有ZnO層中のIII族元素の拡散の点で、加熱温度を350〜450℃とすることが好ましい。加熱温度が350℃未満であると、結晶性の改善が不十分であったり、III族元素含有ZnO層中のドナーの活性化率が充分に高まらない傾向にあり、450℃を超えると、III族元素含有ZnO層中のIII族元素がNiO層にまで拡散しやすくなる傾向にある。
加熱時間は、30分から1時間とすることができる。
また、本発明に係る電圧非直線性抵抗素子の第2の製造方法は、対向する導電体層と、これらの導電体層間に配され、第1のNiO層、第1のZnO層、ZnO及びIII族元素を含むIII族元素含有ZnO層、第2のZnO層及び第2のNiO層がこの順に積層されてなる積層構造とを有する電圧非直線性抵抗素子の製造方法であって、一方の導電体層上に、NiO層が酸素を過剰に含有するように第1のNiO層を形成する工程と、第1のNiO層上に、第1のZnO層を形成する工程と、第1のZnO層上に、III族元素含有ZnO層を形成する工程と、III族元素含有ZnO層上に、第2のZnO層を形成する工程と、第2のZnO層上に、NiO層が酸素を過剰に含有するように第2のNiO層を形成して積層構造を形成する工程と、積層構造を300℃以上500℃以下で加熱する加熱工程と、を備える。この製造方法によれば、上述した電圧非直線性抵抗素子120を得ることができる。
本発明に係る電圧非直線性抵抗素子の第2の製造方法は、第1のZnO層を形成する工程及び第2のZnO層を形成する工程があること以外は、上記本発明に係る電圧非直線性抵抗素子の第1の製造方法と同様に行うことができる。
第1のZnO層を形成する方法としては、例えば、不純物を添加していないZnO焼結体をターゲットしたスパッタ法などが挙げられる。また、第1のZnO層は、第1のNiO層中の過剰に含まれる酸素原子が第1のZnO層中の酸素欠損部に拡散してくることを抑制する観点から、酸素欠損濃度が2×1016/cm以下となるように成膜することが好ましく、1×1016/cm以下となるように成膜することがより好ましい。ZnO層の酸素欠損濃度を小さくする方法としては、例えば、ZnO焼結体をターゲットとしたスパッタ法において酸素が存在する環境下で成膜する方法が挙げられる。
第2のZnO層も、上記の第1のZnO層を形成する方法と同様にして形成することができる。
上述した本発明に係る電圧非直線性抵抗素子の製造方法により得られる電圧非直線性抵抗素子は、双方向に対称型電圧非直線性を示すものであり、且つ、電圧−電流特性における立ち上がり電圧が熱によって変動しにくい熱安定性に優れたものである。本発明に係る電圧非直線性抵抗素子は、0.5pF以下の容量と、20V以下のバリスタ電圧とを両立することが可能であることから、高速大容量信号伝送用ICのESD保護用途などに好適に用いることができる。
<電圧非直線性抵抗素子の作製>
(実施例1)
ガラス基板(低アルカリガラス、3インチ径ウェハー)上に、Mo(直径4インチ、厚み5mm)をターゲットとしたスパッタ法により、Moを500nmの厚さに堆積し、第1の電極を形成した。
次に、第1の電極上に、NiO焼結体(直径4インチ、厚み5mm)をターゲットとし、以下の条件でスパッタリングすることにより、酸素過剰の第1のNiO層(アクセプタ濃度:5×1016/cm以上)を400nmの厚さで形成した。
基板温度:180℃、Ar流量:40sccm、O流量:60sccm、圧力:2Pa、RF電力:400W、成膜時間:40分。
次に、第1のNiO層上に、Alを0.5mol%添加したZnO焼結体(直径4インチ、厚み5mm)をターゲットとし、以下の条件でスパッタリングすることにより、ZnO:Al層(Al含有量:約0.5原子%)を500nmの厚さで形成した。なお、ホール係数から求めた酸素欠損濃度は、1×1016/cm以下、ドナー濃度は2.5×1017/cmであった。
基板温度:180℃、Ar流量:40sccm、O流量:10sccm、圧力:0.5Pa、RF電力:400W、成膜時間:30分。
次に、ZnO:Al層上に、NiO焼結体(直径4インチ、厚み5mm)をターゲットとし、以下の条件でスパッタリングすることにより、酸素過剰の第2のNiO層(アクセプタ濃度:5×1016/cm以上)を400nmの厚さで形成した。
基板温度:180℃、Ar流量:40sccm、O流量:60sccm、圧力:2Pa、RF電力:400W、成膜時間:40分。
次に、第2のNiO層上に、Mo(直径4インチ、厚み5mm)をターゲットとしたスパッタ法により、Moを200nmの厚さに堆積し、第2の電極を形成した。
こうして、NiO/ZnO:Al/NiO構造を有する素子を作製した。次に、この素子を、雰囲気熱処理炉を用い、窒素中で、350℃、30分間加熱し、電圧非直線性抵抗素子を得た。
(実施例2)
ZnO:Al層の形成において、Alを0.05mol%添加したZnO焼結体(直径4インチ、厚み5mm)をターゲットとしてZnO:Al層(Al含有量:約0.05原子%)を形成したこと以外は実施例1と同様にして、電圧非直線性抵抗素子を得た。なお、ZnO:Al層のホール係数から求めたドナー濃度は5×1016/cmであった。
(実施例3)
実施例1と同様にして、第1のNiO層まで形成した。次に、第1のNiO層上に、不純物を添加していないZnO焼結体(直径4インチ、厚み5mm)をターゲットとし、以下の条件でスパッタリングすることにより、第1のZnO層(ホール係数から求めた酸素欠損濃度は1×1016/cm以下)を250nmの厚さで形成した。
基板温度:180℃、Ar流量:40sccm、O流量:10sccm、圧力:0.5Pa、RF電力:400W、成膜時間:15分。
次に、第1のZnO層上に、Alを0.5mol%添加したZnO焼結体(直径4インチ、厚み5mm)をターゲットとし、以下の条件でスパッタリングすることにより、ZnO:Al層(Al含有量:約0.5原子%)を250nmの厚さで形成した。なお、ホール係数から求めた酸素欠損濃度は1×1016/cm以下、ドナー濃度は2.5×1017/cmであった。
基板温度:180℃、Ar流量:40sccm、O流量:10sccm、圧力:0.5Pa、RF電力:400W、成膜時間:15分。
次に、ZnO:Al層上に、第1のZnO層と同様の条件で、第2のZnO層を250nmの厚さで形成した。
次に、第2のZnO層上に、NiO焼結体(直径4インチ、厚み5mm)をターゲットとし、以下の条件でスパッタリングすることにより、酸素過剰の第2のNiO層(アクセプタ濃度:5×1016/cm以上)を400nmの厚さで形成した。
基板温度:180℃、Ar流量:40sccm、O流量:60sccm、圧力:2Pa、RF電力:400W、成膜時間:40分。
次に、第2のNiO層上に、Mo(直径4インチ、厚み5mm)をターゲットとしたスパッタ法により、Moを200nmの厚さに堆積し、第2の電極を形成した。
こうして、NiO/ZnO/ZnO:Al/ZnO/NiO構造を有する素子を作製した。次に、この素子を、雰囲気熱処理炉を用い、窒素中で、350℃、30分間加熱し、電圧非直線性抵抗素子を得た。
(実施例4)
ZnO:Al層の形成において、Alを3mol%添加したZnO焼結体(直径4インチ、厚み5mm)をターゲットとしてZnO:Al層(Al含有量:約2.9原子%)を形成したこと以外は実施例3と同様にして、電圧非直線性抵抗素子を得た。なお、ZnO:Al層のホール係数から求めたドナー濃度は1×1019/cmであった。
(比較例1)
実施例1と同様にして、第1のNiO層まで形成した。次に、第1のNiO層上に、不純物を添加していないZnO焼結体(直径4インチ、厚み5mm)をターゲットとし、以下の条件でスパッタリングすることにより、ZnO層を500nmの厚さで形成した。なお、ZnO層の成膜時には酸素を流しておらず、得られたZnO層は若干の酸素欠損があるためn型の半導体となり、そのドナー濃度は約1×1017/cmであった。なお、この場合、ドナーの起源は酸素欠損であり、酸素欠損濃度も約1×1017/cm程度であると考えられる。
基板温度:180℃、Ar流量:50sccm、圧力:0.5Pa、RF電力:400W、成膜時間:25分。
次に、ZnO層上に、NiO焼結体(直径4インチ、厚み5mm)をターゲットとし、以下の条件でスパッタリングすることにより、酸素過剰の第2のNiO層(アクセプタ濃度:5×1016/cm以上)を400nmの厚さで形成した。
基板温度:180℃、Ar流量:40sccm、O流量:60sccm、圧力:2Pa、RF電力:400W、成膜時間:40分。
こうして、NiO/ZnO/NiO構造の素子を有する素子を作製した。次に、この素子を、雰囲気熱処理炉を用い、窒素中で、350℃、30分間加熱し、電圧非直線性抵抗素子を得た。
<電圧非直線性抵抗素子の評価>
実施例1〜4、比較例1で得られた電圧非直線性抵抗素子について、その電圧−電流特性(V−I特性)及び電流の閾電圧(Vth)を調べた。
図4は、実施例1の電圧非直線性抵抗素子の第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加したときのV−I特性を示す図である。参考のため、図4には、熱処理前の素子のV−I特性も示す。図4中、実線は熱処理前のものを示し、破線は熱処理後のものを示す。図4に示すように、実施例1の電圧非直線性抵抗素子は、熱処理によって、Vthが8V程度の良好な電圧非直線性を示すものになっている。また、実施例1の電圧非直線性抵抗素子は、その後の加熱(450℃、30分)によっても初期のVthを十分維持するものであった。
図5は、実施例2の電圧非直線性抵抗素子の第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加したときのV−I特性を示す図である。参考のため、図5には、熱処理前の素子のV−I特性も示す。図5中、実線は熱処理前のものを示し、破線は熱処理後のものを示す。実施例2の電圧非直線性抵抗素子は、熱処理によって、Vthが8V程度の良好な電圧非直線性を示し、その後の加熱(450℃、30分)によっても初期のVthを十分維持することが確認された。
図6は、実施例3の電圧非直線性抵抗素子の第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加したときのV−I特性を示す図である。参考のため、図6には、熱処理前の素子のV−I特性も示す。図6中、実線は熱処理前のものを示し、破線は熱処理後のものを示す。図6に示すように、実施例3の電圧非直線性抵抗素子は、熱処理によって、Vthが7V程度の良好な電圧非直線性を示すものになっている。また、実施例3の電圧非直線性抵抗素子は、その後の加熱(450℃、30分)によっても初期のVthを十分維持するものであった。更に、実施例3の電圧非直線性抵抗素子は、6Vあたりでの漏れ電流が1μA以下であり、市販されているツェナーダイオードと比較しても同等の性能を有していることが確認された。
図7は、実施例4の電圧非直線性抵抗素子の第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加したときのV−I特性を示す図である。参考のため、図7には、熱処理前の素子のV−I特性も示す。図7中、実線は熱処理前のものを示し、破線は熱処理後のものを示す。実施例4の電圧非直線性抵抗素子は、熱処理によって、Vthが7V程度の良好な電圧非直線性を示し、その後の加熱(450℃、30分)によっても初期のVthを十分維持することが確認された。
図8は、比較例1の電圧非直線性抵抗素子の第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加したときのV−I特性を示す図である。参考のため、図8には、熱処理前の素子のV−I特性も示す。図8中、実線は熱処理前のものを示し、破線は熱処理後のものを示す。図8に示すように、比較例1の電圧非直線性抵抗素子では、熱処理前にVth8〜9Vを示していたものが、熱処理によってVth45V程度にまで増加している。また、その後の加熱(450℃、30分)によって、Vthは更に増加するとともに、リーク電流が急激に増大する結果となり、熱的に不安定であった。
1…基板、2…導電体層、3…第1のNiO層、4…III族元素含有ZnO層、5…第2のNiO層、6a,6b…導電体層、10…第1のZnO層、12…第2のZnO層、20,22…積層構造、100,110,120…電圧非直線性抵抗素子。

Claims (7)

  1. 対向する導電体層と、
    前記導電体層間に配され、第1のNiO層、ZnO及びIII族元素を含むIII族元素含有ZnO層、及び第2のNiO層がこの順に積層されてなる積層構造と、を有し、
    前記導電体層の一方は、外部の信号ラインに接続する信号ライン側電極と、外部のグランドラインに接続するグランド電極と、を有する、電圧非直線性抵抗素子。
  2. 対向する導電体層と、
    前記導電体層間に配され、第1のNiO層、第1のZnO層、ZnO及びIII族元素を含むIII族元素含有ZnO層、第2のZnO層及び第2のNiO層がこの順に積層されてなる積層構造と、
    を有し、
    前記導電体層の一方は、外部の信号ラインに接続する信号ライン側電極と、外部のグランドラインに接続するグランド電極と、を有する、電圧非直線性抵抗素子。
  3. 前記III族元素がAlである、請求項1又は2に記載の電圧非直線性抵抗素子。
  4. 対向する導電体層と、該導電体層間に配され、第1のNiO層、ZnO及びIII族元素を含むIII族元素含有ZnO層、及び第2のNiO層がこの順に積層されてなる積層構造と、を有する電圧非直線性抵抗素子の製造方法であって、
    一方の前記導電体層上に、NiO層が酸素を過剰に含有するように前記第1のNiO層を形成する工程と、
    前記第1のNiO層上に、前記III族元素含有ZnO層を形成する工程と、
    前記III族元素含有ZnO層上に、NiO層が酸素を過剰に含有するように前記第2のNiO層を形成して前記積層構造を形成する工程と、
    前記積層構造を300℃以上500℃以下で加熱する加熱工程と、
    を備える、電圧非直線性抵抗素子の製造方法。
  5. 対向する導電体層と、該導電体層間に配され、第1のNiO層、第1のZnO層、ZnO及びIII族元素を含むIII族元素含有ZnO層、第2のZnO層及び第2のNiO層がこの順に積層されてなる積層構造と、を有する電圧非直線性抵抗素子の製造方法であって、
    一方の前記導電体層上に、NiO層が酸素を過剰に含有するように前記第1のNiO層を形成する工程と、
    前記第1のNiO層上に、前記第1のZnO層を形成する工程と、
    前記第1のZnO層上に、前記III族元素含有ZnO層を形成する工程と、
    前記III族元素含有ZnO層上に、前記第2のZnO層を形成する工程と、
    前記第2のZnO層上に、NiO層が酸素を過剰に含有するように前記第2のNiO層を形成して前記積層構造を形成する工程と、
    前記積層構造を300℃以上500℃以下で加熱する加熱工程と、
    を備える、電圧非直線性抵抗素子の製造方法。
  6. 前記III族元素がAlである、請求項4又は5に記載の電圧非直線性抵抗素子の製造方法。
  7. 請求項4〜6にいずれか一項に記載の電圧非直線性抵抗素子の製造方法により得られる、電圧非直線性抵抗素子。
JP2009078990A 2009-03-27 2009-03-27 電圧非直線性抵抗素子及びその製造方法 Active JP5278101B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009078990A JP5278101B2 (ja) 2009-03-27 2009-03-27 電圧非直線性抵抗素子及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009078990A JP5278101B2 (ja) 2009-03-27 2009-03-27 電圧非直線性抵抗素子及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010232460A JP2010232460A (ja) 2010-10-14
JP5278101B2 true JP5278101B2 (ja) 2013-09-04

Family

ID=43048004

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009078990A Active JP5278101B2 (ja) 2009-03-27 2009-03-27 電圧非直線性抵抗素子及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5278101B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5831975B2 (ja) * 2011-11-18 2015-12-16 学校法人東京理科大学 光発電可能な調光素子およびその製造方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5886702A (ja) * 1981-11-19 1983-05-24 松下電器産業株式会社 バリスタの製造方法
JP2625178B2 (ja) * 1988-11-16 1997-07-02 株式会社 村田製作所 バリスタの製造方法
JPH03268402A (ja) * 1990-03-19 1991-11-29 Tdk Corp 電圧非直線性抵抗素子
JPH07130508A (ja) * 1993-10-29 1995-05-19 Taiyo Yuden Co Ltd サ−ジ吸収素子

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010232460A (ja) 2010-10-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN100472723C (zh) 电极形成方法
US8193545B2 (en) Nitride semiconductor light emitting device and fabrication method thereof
KR20150027164A (ko) 박막 트랜지스터
CN104335353A (zh) 薄膜晶体管
KR20150016789A (ko) 박막 트랜지스터 및 그 제조방법
KR101439263B1 (ko) 마이크로 볼로미터용 적외선 감지 박막 제조방법
KR20120034115A (ko) 배선 구조 및 그 제조 방법 및 배선 구조를 구비한 표시 장치
KR102506724B1 (ko) 반도체 소자 및 그것을 사용한 전기 기기
WO2014168224A1 (ja) 酸化物半導体ターゲット、酸化物半導体膜及びその製造方法、並びに薄膜トランジスタ
KR20130126996A (ko) Cu 합금막 및 그것을 구비한 표시 장치 또는 전자 장치
KR20170037647A (ko) 박막 트랜지스터
KR20090013657A (ko) Ge기반 금속-절연체 전이(MIT) 박막, 그 MIT박막을 포함하는 MIT 소자 및 그 MIT 소자 제조방법
WO2017110940A1 (ja) 半導体素子及びそれを用いた電気機器
US20080042241A1 (en) Voltage-controlled semiconductor structure, resistor, and manufacturing processes thereof
JP5278101B2 (ja) 電圧非直線性抵抗素子及びその製造方法
CN102623605A (zh) 半导体发光器件及其制造方法
JP7060366B2 (ja) 薄膜デバイス
JP7060367B2 (ja) 薄膜デバイス
TWI767186B (zh) 氧化物半導體薄膜、薄膜電晶體及濺鍍靶
JP5633560B2 (ja) 窒化物半導体発光素子
JP2018137422A (ja) 薄膜トランジスタ、薄膜デバイスおよび薄膜トランジスタの製造方法
KR20200094087A (ko) 칼코게나이드 반도체 및 이를 구비하는 박막트랜지스터
JP2008218592A (ja) 薄膜バリスタおよびその製造方法
KR20150126475A (ko) 다중 적층 구조의 투명 전극을 갖는 자외선 발광소자 및 그 제조방법
JP6637783B2 (ja) 薄膜トランジスタ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111015

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130129

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130329

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130423

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130506

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5278101

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150