JP5276373B2 - 粉体化粧料用充填皿 - Google Patents
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このような不都合を回避するために、充填皿と化粧料容器の底部内面との間に発泡性樹脂を注入したり、緩衝材を貼付したりして、充填皿を化粧料容器内に弾力的に保持することが提案されている(特許文献1及び特許文献2参照。)。
然しながら、これらの提案は、発泡性樹脂を注入したり、緩衝材を貼付するという余計な工程が必要である。
更に、特にファンデーションについては、充填皿は、粉体化粧料を充填しただけの状態で、レフィル(詰替え)として流通する場合が多いが、上記の提案は、充填皿を化粧料容器に収納した状態における衝撃に対する緩衝機能を備える構造に関するものであり、レフィルとしての流通段階における緩衝機能は得られない。
しかし、この提案の場合は、軟質シートを貼付するという余計な工程が必要であり、しかも、薄肉金属材からなる充填皿本体と軟質シートとの接着性の問題や、全体としての厚みが増加するという問題がある。
即ち本発明は、底板と周壁を備え、化粧料容器に着脱自在に収納可能な、粉体を含む化粧料を充填するための樹脂製の充填皿であって、発泡射出成形され、2層のスキン層と該スキン層の間に位置するコア部とを有する粉体化粧料用充填皿、好ましくは、超臨界状態又は亜臨界状態の流体を樹脂に含浸させ、減圧することによって発泡させた粉体化粧料用充填皿である。
発泡射出成形法は、成形加工時に発泡させながら成形品に中に微細な気泡を発生させることにより、表面の外観を良くし、コア部のみを発泡させる方法であり、SF成形法とも呼ばれている。
この場合、加熱筒内の圧力および温度を適当に設定すれば、炭酸ガス、窒素ガス、エタン、エチレン等の気体、特に炭酸ガスまたは窒素ガスを超臨界状態または亜臨界状態とすることが出来る。また、あらかじめ炭酸ガス等の気体を超臨界状態または亜臨界状態とした流体を加熱筒内に送り込んでもよい。
超臨界状態または亜臨界状態の気体は、成形材料溶融物に大量、均一に混合溶解させることが容易であり、また、上記の気体が超臨界状態または亜臨界状態となった流体は、溶剤となって成形材料溶融物の流動性を改良し、射出成形性を向上せしめる。
更に、金型キャビティを拡張可能とし、成形材料溶融物をキャビティ内へ射出した後該キャビティの全部、あるいは一部を若干拡張してキャビティ内圧を下げて発泡せしめる方法(USM:商品名)等がある。
何れにしても、発泡射出成形は、超臨界状態または亜臨界状態とした流体を樹脂に導入し、含浸させた後に、減圧により発泡させる方法が好ましい。
図1は、粉体化粧料用充填皿の斜視図であり、図2は、図1の粉体化粧料用充填皿に粉体化粧料を充填した状態でのA−A線断面図である。
粉体化粧料用充填皿1は、底板1aの周縁から立ち上がる側壁1bを備える平皿状であり、側壁1bを構成する外側面には、化粧容器に着脱自在に収納する為の凹部2a、2b及び2cを設けている。但し、凹部を設ける位置は、外側面だけではなく、底板1aの外側の底面を含めた任意の位置であってよく、また、凸部であってもよい。むろん、大きさも、収納する化粧容器に合わせたものとなる。
図2に示したように、実質的に樹脂のみからなるスキン層3と発泡樹脂からなるコア部4とから構成されている。スキン層とは、実質的に発泡による空隙が形成されないか、又は極めて少ない成形金型に接する表面層であって、空隙率は0〜5%の表面層である。これに対して、コア部は、2層のスキン層の中間に位置する層であって、空隙率は5%以上で、粉体化粧料用充填皿1の強度の観点から空隙率は90%以下であり、好ましくは、75%以下である。
なお、セル密度は、通常、スキン層3からコア部4にかけて傾斜(増加)しているのであり、スキン層3の内部でも、また、コア部4の内部でも、セル密度は必ずしも一定ではない。
ここで、発泡倍率は、未発泡の樹脂の比重に対する発泡した樹脂の比重の比の逆数として算出することができ、スキン層を含めた粉体化粧料用充填皿全体の平均値である。また、セル密度は、切断面の顕微鏡写真を目視して、単位面積(1mm2)当たりのセルの数を数えることにより算出することができる。
1)評価対象
以下に記載する衝撃緩衝機能及び耐圧性の評価のために、本発明の超臨界状態の流体を樹脂に含浸させて減圧により発泡させた発泡射出成形による発泡倍率の異なる発泡板と、比較例としての無発泡板を評価板11とし、平均肉厚が2mm、3mm、4mmの評価板11を用意し、無発泡の化粧料充填皿(レフィル10a)の底面に評価板11を搭載したものを評価レフィル10として用いた。尚、この評価レフィル10に用いたレフィル10aの重量は19gであり、評価に用いた評価板11(無発泡板、発泡板)を成形した樹脂はPETである。
[評価1:耐衝撃性]
耐衝撃性の評価法は、基本的にはJIS K 7211に準じて行った。評価レフィル10を、評価レフィル10の評価板11(発泡板、無発泡板)の側を天面とし、レフィル10aの表側の周縁をコンクリート製の載置面14に接触させ、天面が水平となるように設置した(図3)。具体的には、評価レフィル10の評価板11上に、評価板11の天面から20cmの高さに保持した27gの鉄球13を自然落下させ、評価レフィル10のレフィル10aの表側(鉄球13が落下する底面側に対向する位置)に取着した加速度センサー12によって衝撃加速度を測定した。この評価においては、評価レフィル10の無発泡のレフィル10aには、粉体化粧料は充填せずに、レフィル10aの表側に加速度センサー12を接着剤により接着した。
粉割れの試験も、基本的にはJIS K 7211に準じて行った。図4に示すように、レフィル10aを嵌合させるための嵌合用凹部を備えた化粧料容器16の嵌合用凹部の底面に、鉄球13を落下可能な開口17を設け、この開口17に評価レフィル10の評価板11が露出するように、評価レフィル10を嵌めこんだ。具体的には、化粧料容器16の嵌合用凹部に評価板11を置いてから、嵌合用凹部の係止部にレフィル10aの係止部を係止させて嵌合し、化粧料容器16の底面を天面に向けてコンクリート製の載置面に設置すると、化粧料容器16の底面が天面となり、形成された開口17から評価板11が露出する。そして、評価1と同様に20cmの高さに保持した27gの鉄球を自然落下させ、粉体化粧料15が割れるまでの鉄球を落下させた回数を評価した。粉割れの試験に用いた評価レフィル10のレフィルには、粉体化粧料を充填して圧縮成型したものを用い、粉割れの有無は目視により評価した。
耐圧性の評価法は、衝撃緩衝機能の評価法に使用したのと同じ評価レフィル10を用いて、レフィル10aに化粧料を充填し500kg以下から3t以上までのプレス圧をかけて、評価レフィル10の底面に取着した評価板11の変形を目視と肉厚の測定により確認した。
表1より、従来の粉体化粧料用充填皿を構成する無発泡板に比べて本発明品の粉体化粧料用充填皿を構成する発泡板が耐衝撃性に優れ、特に、2倍以上の発泡倍率において耐衝撃性に優れていたことが分かる。また、耐圧性についても、発泡倍率が2.8倍以下であれば500kg以上のプレス圧に耐えられ、発泡倍率が2.2倍以下であれば1t以上のプレス圧に耐えられたことが分かる。尚、評価2の粉割れ試験では、外側のスキン層が鉄球13に直接当たり、外側のスキン層のみが鉄球13の落下によって凹んでも(潰れても)粉割れを生じないことを確認した。従って、外側のスキン層の肉厚を内側のスキン層よりも薄くすることによって、外側のスキン層、又は外側スキン層とコア部によって衝撃を吸収し、仮に潰れる、凹む等の変形をしても化粧料(粉)には粉割れを生じ難くすることができる一方で、内側のスキン層の肉厚を厚くすることで、コア部が潰れた場合にも内側のスキン層は潰れることなく、化粧料の粉割れを生じ難くする。
※耐衝撃性
A:衝撃加速度500m/s2以下
B:衝撃加速度500m/s2超・1000m/s2以下
C:衝撃加速度1000m/s2超・2000m/s2以
下
D:衝撃加速度2000m/s2超
※耐圧性(評価板が変形せずに耐えられたプレス圧)
A:プレス圧3t超
B:プレス圧3t以下
C:プレス圧1.5t以下
D:プレス圧1t以下
E:プレス圧500kg以下
1a:底板
1b:側壁
2a、2b、2c:凹部
3:スキン層
4:コア部
5:粉体化粧料
6:突出部
10:評価レフィル
10a:レフィル(化粧料充填皿)
11:評価板
12:加速度センサー
13:鉄球
14:載置面
15:粉体化粧料
16:化粧用容器
Claims (4)
- 底板と周壁を備え、化粧料容器に着脱自在に収納可能な、粉体を含む化粧料を充填するための樹脂製の充填皿であって、発泡射出成形され、2層のスキン層と該スキン層の間に位置するコア部とを有する粉体化粧料用充填皿。
- 超臨界状態又は亜臨界状態の流体を樹脂に含浸させ、減圧することによって発泡させた請求項1に記載の粉体化粧料用充填皿。
- 前記底板において、2層のスキン層の平均肉厚が、各々30μm〜1.5mmであって、且つ、各々底板の平均肉厚の40%以下である請求項1又は2に記載の粉体化粧料用充填皿。
- 前記底板において、化粧料が充填される側のスキン層の平均肉厚が、底面側のスキン層の平均肉厚よりも厚い請求項1〜3のいずれかに記載の粉体化粧料用充填皿。
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