JP5275681B2 - ケーブル用組成物及び被覆ケーブル - Google Patents

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Description

本発明は、ケーブル用組成物及び被覆ケーブルに関する。
従来、ケーブル用組成物としては、塩化ビニル樹脂などが用いられてきた。しかしながら、環境への影響を低減する観点から、塩化ビニル樹脂を代替するための非ハロゲン系の材料が検討されている。
ケーブル用組成物における非ハロゲン系の材料として、例えば、特許文献1には、ポリフェニレンオキサイドを主成分とする材料が記載されている。また、特許文献2には、ポリフェニレンエーテル系樹脂、シンジオタクチックスチレン系重合体、スチレン系樹脂、非ハロゲン系難燃剤を特定の割合で有する材料が開示されている。
特開昭63−301413号公報 特開2004−71397号公報
しかしながら、従来の非ハロゲン系のケーブル用組成物は、難燃性、柔軟性及び強度を、実用に耐える程度の高いレベルで同時に満足するものではなかった。
そこで、本発明は、非ハロゲン系のケーブル用組成物において、難燃性、柔軟性及び強度を同時に満足するケーブル用組成物及びそれを用いた被覆ケーブルを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂と、ビニル芳香族ブロック及びエラストマーブロックを有する共重合体と、固形のリン酸塩化合物とを含有し、上記共重合体が、当該ビニル芳香族ブロックの比率の異なる2種以上を含み、上記リン酸塩化合物が、リン酸と含窒素有機化合物との塩を含み、当該リン酸塩化合物が、240℃に加熱されたときに固形の状態を維持するケーブル用組成物を提供する。
本発明のケーブル用組成物は、上述の構成を有することにより、難燃性、柔軟性及び強度を同時に満足することができる。このような効果が得られる理由は必ずしも明らかでないが、本発明者らは以下のように推察している。ケーブル用組成物に、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂及びビニル芳香族ブロック及びエラストマーブロックを有する共重合体を含有させ、かつ当該共重合体に、ビニル芳香族ブロックの比率の異なる2種以上を含有させることで、ケーブル用組成物に柔軟性及び強度を付与することができる。ここで、共重合体に、ビニル芳香族ブロックの比率の異なる2種以上を含有させることで、柔軟性及び強度のバランスに優れたものとなる。さらに、ケーブル用組成物に、難燃剤として上述のリン酸塩化合物を含有させることで、柔軟性及び強度を優れた状態に保ったまま、難燃性を高めることができる。また、当該リン酸塩化合物は、成形時に融解しにくく、ケーブル用組成物中での分散性に優れる。したがって、難燃剤の分散不良に起因するケーブル用組成物の強度低下を防止することができる。さらに、本発明のケーブル用組成物は、低温環境下でも脆化しにくく、寒冷地においても使用可能であるという効果をも有する。
上記共重合体は、ビニル芳香族ブロックの比率が25質量%未満のものと、ビニル芳香族ブロックの比率が25質量%以上のものとを含むことが好ましい。共重合体が、このようなビニル芳香族ブロックの比率のものを含むことで、ケーブル用組成物の柔軟性及び強度が更に優れたものとなる。
上記エラストマーブロックは、ジエン化合物をモノマー単位として含む重合体の水素添加物を含むことが好ましい。このようなエラストマーブロックを含む共重合体を用いれば、ケーブル用組成物の柔軟性及び強度が更に優れるようになる。
上記共重合体は、無水マレイン酸基、水酸基又はエポキシ基を有することが好ましい。このような反応性基を有することで上記リン酸塩化合物の分散性が向上し、難燃剤の分散不良に起因するケーブル用組成物の強度低下を防止することができる。
本発明の、ケーブル用組成物は、フッ素樹脂化合物を更に含むことが好ましい。ケーブル用組成物は、フッ素樹脂化合物を更に含有することで、難燃性、柔軟性及び強度のバランスを優れた状態に維持しながらも、リン酸塩化合物の使用量を低減することができる。また、ケーブル用組成物は、フッ素樹脂化合物を更に含有することで、燃焼時の滴下性、すなわちドリップ性が改善されたものとなる。
変性ポリフェニレンエーテル系樹脂は、ポリスチレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂で変性されたものであることが好ましい。このような樹脂で変性された変性ポリフェニレンエーテル系樹脂を用いれば、更に加工温度を下げることができるため、加工時の難燃剤の揮発を低減することができる。
本発明は、さらに、上述のケーブル用組成物により形成された筒状の被覆層と、該被覆層の内側に配された導線とを備える、被覆ケーブルを提供する。本発明の被覆ケーブルは、上述の効果を有するケーブル用組成物により被覆されるため、難燃性、柔軟性及び強度に優れたものとなる。さらに、低温環境下でも脆化しにくいものとなる。
本発明のケーブル用組成物によれば、非ハロゲン系の材料を主成分とする場合であっても、難燃性、柔軟性及び強度を同時に満足するケーブル用組成物及びそれを用いた被覆ケーブルを提供することができる。また、本発明のケーブル用組成物は、ベンドアップ、発泡、粉吹きなどを防止でき、加工性の点で優れるという効果や、低温環境下でも脆化しにくいという効果をも有する。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本発明のケーブル用組成物は、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂と、ビニル芳香族ブロック及びエラストマーブロックを有する共重合体と、固形のリン酸塩化合物とを含有し、上記共重合体が、当該ビニル芳香族ブロックの比率の異なる2種以上を含み、上記リン酸塩化合物が、リン酸と含窒素有機化合物との塩を含み、当該リン酸塩化合物が、240℃に加熱されたときに固形の状態を維持するものである。
変性ポリフェニレンエーテル系樹脂は、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含む組成物であるポリマーアロイである。変性ポリフェニレンエーテル系樹脂としては、ポリフェニレンエーテル系樹脂単体よりも低い温度(250℃以下、好ましくは240℃以下)で加工できるものが好ましい。このような樹脂を用いれば、加工温度を下げることができるため、加工時の難燃剤の揮発を低減することができる。
変性ポリフェニレンエーテル系樹脂としては、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂で変性されたものが挙げられる。加工温度を下げる観点や、エラストマー成分とのなじみやすさの観点からは、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂は、ポリスチレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂で変性されたものが好ましい。
変性ポリフェニレンエーテル系樹脂におけるポリフェニレンエーテル系樹脂の含有率は、重量基準で、10〜60%が好ましく、15〜50%がより好ましい。ポリフェニレンエーテル系樹脂の含有率が10%以下であると、ポリフェニレンエーテル系樹脂の特性が失われるとともに、難燃性が著しく低下する傾向にあり、60%以上であると、加工温度が上昇し、加工性が著しく低下する傾向にある。
上記共重合体は、ハードセグメントとしてのビニル芳香族ブロックと、ソフトセグメントとしてのエラストマーブロックとを有するものである。また、当該共重合体は、ビニル芳香族ブロックの比率の異なる2種以上を含むものである。
ビニル芳香族ブロック及びエラストマーブロックを有する共重合体としては、スチレンブタジエンブロック共重合体(SB)、スチレンエチレンプロピレンブロック共重合体(SEP)、スチレンエチレンブチレンブロック共重合体(SEB)、スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(SBS)、スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(SIS)、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレンエチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEEPS)及びこれらを変性した共重合体が挙げられる。
変性された共重合体としては、無水マレイン酸変性スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(M−SEBS)や、水酸基変性スチレンエチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEEPS−OH)、エポキシ変性スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体が挙げられるが、上記共重合体は、無水マレイン酸基、水酸基又はエポキシ基を有することが好ましい。このような反応性基を有することで、難燃剤として使用されるリン酸塩化合物の分散性が向上する。したがって、難燃剤の分散不良に起因するケーブル用組成物の強度低下を防止することができる。
上記エラストマーブロックは、ジエン化合物をモノマー単位として含む重合体の水素添加物を含むことが好ましい。エラストマーブロックとして、ジエン化合物をモノマー単位として含む重合体の水素添加物を含む共重合体としては、例えば、スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(SBS)の水素添加物であるスチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(SIS)の水素添加物であるスチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEPS)及びスチレンエチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEEPS)並びにこれらを変性した共重合体が挙げられる。このようなエラストマーブロックを含む共重合体を用いれば、ケーブル用組成物の柔軟性及び強度が更に優れるようになる。
上記共重合体は、ビニル芳香族ブロックの比率が、25質量%未満のものと、25質量%以上のものとを併用することが好ましく、20質量%以下のものと、30質量%以上のものとを併用することがより好ましい。このような比率のビニル芳香族ブロックを有する共重合体を用いることで、ケーブル用組成物の柔軟性及び強度のバランスをより優れたものにすることができる。
本発明のケーブル用組成物における、上記共重合体の含有量は、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対して、50〜200重量部が好ましく、80〜160重量部がより好ましい。共重合体の含有量が、200重量部を超えると、ポリフェニレンエーテル系樹脂の特性が失われると共に、難燃性を付与する為に多量の難燃剤を必要とする傾向にあり、共重合体の含有量が、50重量部未満であると、柔軟性が著しく損なわれる傾向にある。
上記共重合体において、ビニル芳香族ブロックの比率が、25質量%未満のものと、25質量%以上のものとの含有量の比は、重量比で9:1〜2:3が好ましく、4:1〜1:1がさらに好ましい。この含有量の比が、9:1を超えると、ケーブル用組成物を構成する成分同士の混合性が損なわれる傾向にあり、この含有量の比が、2:3未満であると、ケーブル用組成物の柔軟性が損なわれるとともに押出成形において異方性が現れる傾向にある。
本発明のケーブル用組成物に用いられる固形のリン酸塩化合物は、難燃剤として用いられるものである。上記リン酸塩化合物は、リン酸と含窒素有機化合物との塩を含み、かつ240℃に加熱されたときに固形の状態を維持するものである。ここで、240℃に加熱されたときに固形の状態を維持するとは、240℃以上の融点を有する又は240℃において実質的に分解しないことをいう。一般に、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂は、220〜260℃で加工可能であり、リン酸塩化合物が240℃で固形を維持することにより、成形後の良好な分散性が得られる。
上記リン酸はポリリン酸であってもよい。上記含窒素有機化合物としては、アンモニア、2−アミノ−1,3,5−トリアジン、ピペラジン、ピペラジン環を含むジアミン、エチレンジアミン、ポリエチレンジアミン及びこれらの誘導体から選ばれる少なくとも一種が用いられる。
上述のリン酸塩化合物としては、市販のものが使用できるが、当該リン酸塩化合物は、窒素含量が15〜25質量%であることが好ましく、リン含量が10〜30質量%であることが好ましく、平均粒径が10μm以下であることが好ましい。このようなリン酸塩化合物、すなわち、リン酸塩を含む難燃性付与化合物としては、ZURAN484(Chitec Technology社製)、アデカスタブ FP−2100J(株式会社ADEKA製)、アデカスタブ FP−2200(株式会社ADEKA製)が挙げられる。扱いやすさの面からは、金属酸化物等の無機化合物を含むものが好ましい。
本発明のケーブル用組成物における、上記リン酸塩化合物の含有量は、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対して、10〜130重量部が好ましく、30〜100重量部がより好ましい。リン酸塩化合物の含有量が、130重量部を超えると、ケーブル用組成物を形成する組成物が硬くなるとともに、その混練性が悪化し、かつ製品の流動性も悪くなる傾向にあり、リン酸塩化合物の含有量が、10重量部未満であると、難燃性が著しく損なわれる傾向にある。
本発明のケーブル用組成物は、フッ素樹脂化合物を更に含むことが好ましい。ケーブル用組成物が、フッ素樹脂化合物を更に含有することで、難燃性、柔軟性及び強度のバランスを優れた状態に維持しながらも、リン酸塩化合物の使用量を低減することができる。また、ケーブル用組成物は、フッ素樹脂化合物を更に含有することで、燃焼時の滴下性、すなわちドリップ性が改善されたものとなる。
上記フッ素樹脂化合物としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリテトラフルオロエチレンとアクリル系樹脂の複合物などが挙げられる。
本発明のケーブル用組成物における、上記フッ化樹脂の含有量は、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対して、0.1〜50重量部が好ましく、0.1〜25重量部がより好ましい。フッ化樹脂の含有量が、50重量部を超えると、加工性が著しく損なわれる傾向があり、フッ化樹脂の含有量が、0.1重量部未満であると、ドリップ性向上効果が低下し、結果として難燃性成分の低減効果が小さくなる傾向にある。
本発明のケーブル用組成物は、目的に応じて、各種安定剤や滑剤を更に含んでも良い。安定剤としては、IRGANOX1010、アデカスタブ LA−502、アデカスタブ LA−36などが挙げられ、滑材としては、モンタン酸Na、ステアリン酸Naなどが挙げられる
本発明のケーブル用組成物は、以上の各成分をミキサー、混練押出機などの通常の混練機を用いて均一に混練することにより製造することができる。
本発明の被覆ケーブルは、上述のケーブル用組成物により形成された筒状の被覆層と、該被覆層の内側に配された導線とを備えるものである。
図1は被覆ケーブルの一実施形態を示す図である。図1に示す被覆ケーブル100は、本発明のケーブル用組成物により形成された筒状の被覆層8と、被覆層8の内側に配された導線1とを備えており、被覆層8と導線1との間には絶縁材料からなる層である絶縁層4を備えている。なお、導線1は複数本あってもよい。導線が複数本ある場合の実施形態について以下に示す。
図2〜4は、被覆ケーブルの別の実施形態を示す図である。図2〜4に示す被覆ケーブル200、300及び400は、絶縁層4により被覆された導線1(以下、「絶縁導線」という。)が複数本束ねられていること以外は図1に示す実施形態と同様である。なお、複数本の絶縁導線は、テープ6により束ねられているが、テープ6はあってもなくてもよい。このような被覆ケーブルは、上述の効果を有するケーブル用組成物により被覆されるため、難燃性、柔軟性及び強度に優れたものとなる。また、ここでは、最外層の被覆層8として本発明のケーブル用組成物を用いる場合を説明したが、本発明のケーブル用組成物は温度変化に対する体積抵抗値が高く、かつ、安定であるため、導線1を直接被覆する被覆層である絶縁層4として用いることもできる。
本発明の被覆ケーブルは、例えば、上述のようにして得られたケーブル用組成物を、導線に直接又は他の被覆を介して押出被覆する方法により製造できる。なお、上述の混練及び押出被覆は、例えば、190〜250℃、好ましくは200〜240℃で行われる。
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(ケーブル用組成物の調製)
表1(実施例1、2及び比較例1〜4)及び表2(実施例3〜6及び比較例5)に示す組成(重量部)の混合物を、ミキサー(マゼラー社製、PM−60)を用いて混合した。
Figure 0005275681
Figure 0005275681
ここで、PS/PPEは、ポリスチレン樹脂変性ポリフェニレンエーテル樹脂であり、PPEは、ポリフェニレンエーテル樹脂である。また、SEBS、SEPS、及びM−SEBSは、ビニル芳香族ブロック及びエラストマーブロックを有する共重合体であり、S量は、当該共重合体におけるビニル芳香族ブロックの比率(質量%)を示す。
また、本発明のケーブル用組成物に用いるリン酸塩化合物に当たる難燃剤としては、リン/窒素複合難燃剤であるZuran484(融点:274〜285℃、窒素含量:20〜24質量%、リン含量:18〜21質量%、平均粒径:10μm以下)、アデカタブ FP−2200(融点:なし、265℃以上で分解、窒素含量:19〜23質量%、リン含量:16〜20質量%、平均粒径:10μm以下)を用い、上記リン酸塩化合物に当たらない難燃剤として、ポリリン酸アンモニウム塩(融点:なし、分解温度220℃付近)、水酸化マグネシウム(融点:なし、分解温度330℃以上)及び芳香族縮合リン酸エステル(融点:96℃、分解温度330℃以上)を用いた。
さらに、フッ素樹脂化合物として、PTFE及びPTFE−アクリル樹脂を用いた。
その後、得られた混合物を、該混合物を高速同方向回転二軸押出機(株式会社池貝製、PCM−30(スクリュー径30mm、L/D=32))を用いて混練し、ストランド押出した。ここで、二軸押出機は、スクリュー回転数160rpm、モーター負荷60〜70%の条件で用いた。また、二軸押出機のバレル設定温度は、スクリュー回転数及びモーター負荷が上述の範囲となる温度に調整した。実際には、二軸押出機のバレル設定温度は、実施例1、4〜6及び比較例2〜4では、混合物の投入側バレルを180℃、その他のバレルを220℃に調整し、実施例2、3及び比較例5では、混合物の投入側バレルを180℃、その他のバレルを230℃に調整し、比較例1では、混合物の投入側バレルを200℃、その他のバレルを280℃に調整した。また、ダイのブレーカープレートには、100メッシュのスクリーンを装着した。
ついで、ストランド押出しされた混練物を、水槽に導入して冷却した後、カッター(星プラスチック社製、ファンカッター)で切断し、Φ3×3mm程度のケーブル用組成物ペレットを作製した。
二軸押出機での混練からペレット化までの工程について、加工性を評価した結果を表3及び表4に示す。ここで、ベントアップについては、混練時に、ケーブル用組成物の発泡や分解に起因してベント口より混練物が出たものを「有」と、ベント口からの混練物の排出が起こらなかったものを「なし」と示した。なお、揮発分のみがベント口より出た場合は、ベントアップなしとした。また、ベントアップは起こらなかったが、混練物表面に油状物が析出した場合は、加工安定性が悪いと判断し、「油状物」と示した。さらに、発泡については、ペレットの切り口に、蜂の巣状の発泡が見られなかったものを「なし」と示し、蜂の巣状の発泡が見られるものを「有」と示した。
(評価用試験片の作製)
上述のようにして得られたケーブル用組成物ペレットを、210℃に設定した熱ロールで溶融し、シート化した。シート化したケーブル用組成物を、熱プレスを用い、220℃で4分間加熱した後、4分間加圧した。その後、室温まで強制冷却して、1mmの厚みのシート及び1.6mmのUL−94試験片を評価用試験片として作製した。
(粉吹きの評価)
上述のように作製した1mmの厚みのシートを、室温で、二日間放置し、目視で、表面に粉吹きが起こるか否かで、加工物の外観安定性を評価した。粉吹きが起こったらなかったものを「なし」と、起こったものを「有」と示した。結果を表3及び表4に示す。
(ケーブル用組成物の物性(比重、強度、柔軟性)の評価)
作製した1mmの厚みのシートを用い、比重、強度及び柔軟性の評価を行った。比重は、JIS K7112規定の試験方法で測定した。強度、柔軟性等の常態物性の指標として、引張試験を行い、引張強さTB、伸びEB、100%モジュラスMo100を測定した。引張強さTB、伸びEB、100%モジュラスMo100は、JIS K6251規定の試験方法で測定した。柔軟性の指標として、硬度及び触感を評価した。硬度は、JIS−A硬度を、JIS K6253規定の試験方法で測定し、触感は、1mmの厚みのシートを手で曲げたとき、ゴム的な柔らかさ及び弾性があるかを目視で評価した。触感については、柔らかさ及び弾性があるものを「良好」、ないものを「不良」とした。また、引張強さTBは、10MPa以上のものを良好、伸びEBは、150%以上のものを良好と判断した。結果を表3及び表4に示す。
(難燃性の評価)
作製した1.6mmのUL−94試験片を用い、難燃性を評価した。難燃性の評価は、UL−94に規定の方法に準拠し、垂直燃焼試験評価により行った。但し、比較例3については、1.6mmのUL−94試験片では判定が困難であったため、上述と同様の方法で厚み3.2mmの試験片を作製し、評価用試験片として使用した。結果を表3及び表4に示す。
Figure 0005275681
Figure 0005275681
変性PPEを用いなかった比較例1は、加工温度が高く、難燃剤の分解や、成分の揮発などに起因するベントアップや発泡が生じた。また、難燃剤としてポリリン酸アンモニウム塩(APP)を使用した比較例2は、APPの分解に起因する発泡が生じた。また、難燃剤として、水酸化マグネシウムを使用した比較例3は、実施例1〜6と比較して柔軟性の低いものとなった。このことは、難燃性を満足する程度の量、水酸化マグネシウムを使用すると、ケーブル用組成物の柔軟性が低下することを意味する。なお、共重合体として、ビニル芳香族の比率が20質量%である共重合体1種のみを用いた比較例5は、柔軟性は満足するが、実施例1〜6と比較し、引張強さTBが小さい、すなわち強度が低い結果となった。
上記の結果から、本発明のケーブル用組成物は、難燃性、柔軟性及び強度を同時に満足することが確認された。また、本発明のケーブル用組成物は、このような効果に加え、上述の効果に加え、ベンドアップ、発泡、粉吹きなどを防止でき、加工性の点で優れるという効果をも奏することが確認された。
(体積抵抗率及び低温脆化温度の評価)
実施例2のケーブル用組成物について、体積抵抗率及び低温脆化温度の評価を行った。評価用試験片は、厚みを2mmとしたこと以外は、上述の方法と同様の方法で作製した。体積抵抗率として、30℃及び60℃の体積抵抗率を、JIS K6271記載の二重リング電極法により測定した。低温脆化温度は、JIS K6261記載の低温脆化試験に従って測定した。体積抵抗率及び低温脆化温度の評価結果を以下に示す。
体積抵抗率(30℃):3.6×1015(Ω・cm);
体積抵抗率(60℃):3.6×1015(Ω・cm);
低温脆化温度:−50℃
上述の結果より、本発明のケーブル用組成物は、30〜60℃における体積抵抗率が安定でかつ高絶縁性を示すこと、すなわち絶縁層としても優れた効果を発揮することが確認された。また、本発明のケーブル用組成物は、−40℃等の低温環境下でも脆化しない、すなわち寒冷地など低温環境下での使用にも適することが確認された。
本発明のケーブル用組成物及び被覆ケーブルは、電線等に使用することができる。
被覆ケーブルの一実施形態を示す図である。 被覆ケーブルの別の実施形態を示す図である。 被覆ケーブルの別の実施形態を示す図である。 被覆ケーブルの別の実施形態を示す図である。
符号の説明
1…導線、4…絶縁層、6…テープ、8…被覆層、100,200,300,400…被覆ケーブル。


Claims (7)

  1. 変性ポリフェニレンエーテル系樹脂と、
    ビニル芳香族ブロック及びエラストマーブロックを有する共重合体と、
    固形のリン酸塩化合物と、
    を含有し、
    前記共重合体が、当該ビニル芳香族ブロックの比率の異なる2種以上を含み、
    前記リン酸塩化合物が、リン酸と含窒素有機化合物との塩を含み、当該リン酸塩化合物が、240℃に加熱されたときに固形の状態を維持する、ケーブル用組成物。
  2. 前記共重合体が、ビニル芳香族ブロックの比率が25質量%未満のものと、ビニル芳香族ブロックの比率が25質量%以上のものと、を含む、請求項1記載のケーブル用組成物。
  3. 前記エラストマーブロックが、ジエン化合物をモノマー単位として含む重合体の水素添加物、を含む、請求項1又は2に記載のケーブル用組成物。
  4. 前記共重合体が、無水マレイン酸基、水酸基又はエポキシ基を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のケーブル用組成物。
  5. フッ素樹脂化合物を更に含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のケーブル用組成物。
  6. 前記変性ポリフェニレンエーテル系樹脂が、ポリスチレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂で変性されたものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のケーブル用組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のケーブル用組成物により形成された筒状の被覆層と、該被覆層の内側に配された導線と、を備える、被覆ケーブル。
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