JP5275657B2 - 吸湿により厚さが減少する織編物および繊維製品 - Google Patents

吸湿により厚さが減少する織編物および繊維製品 Download PDF

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本発明は、吸湿時に捲縮率が向上する捲縮繊維と、非捲縮、または吸湿時に捲縮率が変化しない捲縮を有する繊維を含む織編物であり、吸湿時に厚みが減少する結果、布帛の保温性が低下するため、発汗時の暑熱感を低減させることが可能な織編物および該織編物を用いてなる繊維製品に関するものである。
従来、合成繊維や天然繊維などからなる織編物を、スポーツウエアーやインナーウエアーなどとして用いると、肌からの発汗により暑熱感が発生するという問題があった。このような発汗によって生じる暑熱感を解消する方法として、発汗時に織編物の通気性が向上することにより衣服内に滞留する水分を効果的に放出させ、一方、発汗が停止すると織編物の通気性が低下することにより水分の過剰な放散による寒気を抑制し、常に着心地を快適に保つことのできる通気性自己調節織編物が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照。)。
これらは、何れも通気性の向上により発汗時の暑熱感を抑制しようとするものであるが、暑熱感の原因には、衣服内のムレ(湿度の上昇)以外にも、体からの出る産熱による暑さもあり、通気性を高くする以外にも保温性を下げる(布帛の厚みを薄くする)ことも有効な手段となる。さらには、2枚以上の服を重ね着するような場合は、通気性を高めることは困難なため、布帛の厚みを薄くすることがより効果的な手段となる。
しかしながら、このような厚みを自己調節する織編物はこれまであまり提案されていない。
なお、特許文献4には、本発明で用いた捲縮繊維とは逆の性能である、吸湿時に捲縮率が低下する(見かけ長さが長くなる)捲縮繊維を用いた発明が記載されている。また、本出願人は、特願2007−183224号において、吸湿時に捲縮率が向上する捲縮繊維を提案した。
特開2003−41462号公報 特開平10−77544号公報 特開2002−180323号公報 特開2006−112009号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、吸湿時に捲縮率が向上する捲縮繊維と、非捲縮、または吸湿時に捲縮率が変化しない捲縮を有する繊維を含む織編物であり、吸湿時に厚さが減少する結果、布帛の保温性が低下するため、発汗時の暑熱感を低減させることが可能な織編物および該織編物を用いてなる繊維製品を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、吸湿時に捲縮率が向上する捲縮繊維と、非捲縮、または吸湿時に捲縮率が実質的に変化しない捲縮を有する繊維とを織編物内に適宜配することにより、吸湿により厚さが減少する織編物が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「吸湿時に捲縮率が向上する捲縮繊維Aと、非捲縮、または吸湿時に捲縮率が変化しない捲縮を有する繊維Bとを含む織編物であって、該織編物の乾燥時における厚さ(TD)および吸湿時における厚さ(TW)から下記式により算出した厚さ変化率が5%以上であることを特徴とする吸湿により厚さが減少する織編物。」が提供される。
厚さ変化率(%)=((TD−TW)/TD)×100
ただし、乾燥時における厚さとは、織編物を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の状態での織編物の厚さであり、一方、吸湿時における厚さとは、織編物を温度20℃、湿度90%RH環境下に24時間放置した後の状態での織編物の厚さである。
その際、捲縮繊維Aが、ポリエステル成分とポリアミド成分とがサイドバイサイド型に接合された複合繊維であることが好ましい。また、前記の捲縮繊維Aが下記(1)〜(3)の要件を同時に満足することが好ましい。
(1)乾燥時における捲縮繊維Aの捲縮率DCが50〜80%の範囲内である。
(2)吸湿時における捲縮繊維Aの捲縮率HCが60〜90%の範囲内である。
(3)前記捲縮率HCと捲縮率DCとの差(HC−DC)が0.5%以上である。
ただし、乾燥時とは、試料を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の状態であり、一方、吸湿時とは、試料を温度20℃、湿度90%RH環境下に24時間放置した後の状態である。
また、前記のポリエステル成分が、ポリエステルを構成する繰り返し単位中60〜99.9モル%をエチレンテレフタレート単位が占め、0.5〜40モル%をエチレンイソフタレート単位が占める共重合ポリエステルからなり、かつ該ポリエステル成分にポリエーテルエステルアミドがポリエステル重量に対して5〜55重量%含まれることが好ましい。また、前記の繊維Bが沸水収縮率20%以上のポリエステル系繊維を熱収縮させてなる繊維であることが好ましい。
本発明の織編物において、織編物が、前記捲縮繊維Aを含む部分(Y部)と、前記繊維Bのみで構成される部分(Z部)とを有し、前記Y部が経方向および/または緯方向に連続的につながっていることが好ましい。特に、織編物が、前記捲縮繊維Aを含む部分(Y部)と、前記繊維Bのみで構成される部分(Z部)とを有し、前記Y部とZ部が織編物中でそれぞれ5mm以上の幅でダイヤ柄状またはストライプ状またはボーダー状に交互に配置されていることが好ましい。また、織編物が2層からなる織編物であり、第1層が前記捲縮繊維Aを含み、かつ第2層が繊維Bのみで構成され、かつ第1層と第2層とが部分的に結接していることが好ましい。
また、本発明によれば、前記の織編物を用いてなる、アウター用衣料、スポーツ用衣料、およびインナー用衣料からなる群より選択される繊維製品が提供される。
本発明によれば、吸湿時に捲縮率が向上する捲縮繊維と、非捲縮、または吸湿時に捲縮率が変化しない捲縮を有する繊維を含む織編物であり、吸湿時に厚さが減少する結果、布帛の保温性が低下するため、発汗時の暑熱感を低減させることが可能な織編物および該織編物を用いてなる繊維製品が得られる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の織編物は、湿潤時に捲縮率が向上する捲縮繊維A(以下、単に「捲縮繊維A」または「繊維A」ということもある。)と、非捲縮、または湿潤時に捲縮率が変化しない捲縮を有する繊維B(以下、単に「繊維B」ということもある。)とで構成される必要がある。織編物が発汗や降雨により吸湿すると、織編物に含まれる捲縮繊維Aだけが捲縮量が向上することにより見かけ長さが短くなる。その結果、織編物の厚さが減少する。
その際、該織編物の乾燥時における厚さ(TD)および湿潤時における厚さ(TW)から下記式により厚さ変化率を算出したとき、該厚さ変化率が5%以上(好ましくは10〜100%)であることが肝要である。かかる厚さ変化率の差が5%未満であると、吸湿時に織編物の厚さを十分に減少させることができず好ましくない。
厚さ変化率(%)=((TD−TW)/TD)×100
ただし、乾燥時における厚さとは、織編物を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の状態での織編物の厚さであり、一方、吸湿時における厚さとは、織編物を温度20℃、湿度90%RH環境下に24時間放置した後の状態での織編物の厚さである。また、厚さは図4に示すように織編物の最高部と最低部との距離Hを測定するものとする。なお、厚さは、例えば超高精密レーザー変位計(キーエンス社製、モデルLC−2400)を用いて測定することができる。
また、本発明において「吸湿時に捲縮率が向上する」とは湿潤時における捲縮率HCと乾燥時における捲縮率DCとの差(HC−DC)が0.5%以上であることである。ただし、乾燥時とは、試料を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の状態であり、一方、吸湿時とは、試料を温度20℃、湿度90%RH環境下に24時間放置した後の状態である。
本発明において、捲縮繊維Aは吸湿時に捲縮率が向上する繊維であれば特に限定されないが、ポリエステル成分とポリアミド成分とがサイドバイサイド型に接合された複合繊維であって、潜在捲縮性能が発現してなる捲縮構造を有する捲縮繊維であることが好ましい。
ここで、前記ポリアミド成分としては、主鎖中にアミド結合を有するポリマーであり、例えばナイロン4、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン66等が挙げられる。特にコスト面、汎用性、製糸性等の観点からナイロン6、ナイロン66が好ましい。なお、これらのポリアミド成分をベースに公知の成分を共重合せしめても良く、又はこれらのポリアミド成分に酸化チタンやカーボンブラック等の顔料、公知の抗酸化剤、帯電防止剤、耐光剤等を含有させても良い。
一方、前記ポリエステル成分は、そのポリエステルを構成する繰り返し単位中60〜99.5モル%をエチレンテレフタレート単位が占め、0.5〜40モル%をエチレンイソフタレート単位が占める共重合ポリエステルから構成されることが好ましい。通常、ポリエステルの熱収縮率はポリアミドよりもかなり低いが、ポリエステルとしてこのような共重合ポリエステルを採用することによりポリエステルの熱収縮率をポリアミドに近づけることが可能となる。その結果、吸湿時の捲縮曲がり構造において、膨潤したポリアミド成分が外側に位置し、ポリエステル成分が内側に位置する構造になりやすくなり捲縮率が増大しやすい。ここで、エチレンテレフタレート単位が60モル%未満であると、得られる複合繊維の強伸度等の基本物性が十分に保持できないため好ましくない。エチレンテレフタレート単位が99.5モル%を超えたり、エチレンイソフタレートが0.5モル%未満であると、複合繊維が吸湿したときに捲縮率があまり増大せず(捲縮糸の見かけ長さが短くならず)、吸湿時に布帛の厚さが十分に減少しないおそれがある。エチレンイソフタレートが40モル%を越えると、複合繊維の強伸度等の基本物性が保持できず、また熱安定性にも劣り、製糸工程において分解性異物により紡糸口金部の濾過圧(パック圧)上昇が著しくなるおそれがある。
かかるポリエステルは任意の方法で製造されたものでよく、例えばポリエチレンテレフタレートについて説明すれば、テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル化反応させる、テレフタル酸ジメチルの如きテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとを直接エステル化反応させる、又はテレフタル酸とエチレンオキサイドとを反応させるなどして、テレフタル酸のグリコールエステル及び/又はその低重合体を生成させる。次いでこの生成物を減圧下加熱して所望の重合度になるまで重縮合反応させることによって製造される。
なお、このポリエステルは、ポリエステルを構成するエチレンテレフタレート成分及びエチレンイソフタレート成分以外に、第三成分が共重合されていてもよく、第三成分は、ジカルボン酸成分又はグリコール成分のいずれでもよい。かかるジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、ジブロモテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸の如き二官能性芳香族ジカルボン酸、セバシン酸、アジピン酸、シュウ酸の如き二官能性脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を挙げることができる。また上記グリコール成分の一部を他のグリコール成分で置き換えてもよく、かかるグリコール成分としては例えばシクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ネオペンチルグリコール,ビスフェノールA,ビスフェノールS、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−(2−ハイドロキシエトキシ)フェニル)プロパンの如き脂肪族、脂環族、芳香族のジオールが挙げられる。更に、上述のポリエステルに必要に応じて他のポリマーを少量ブレンド溶融したもの、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメリット酸等の鎖分岐剤を少量使用したものであってもよい。このほか本発明のポリエステルは通常のポリエステルと同様に二酸化チタン、カーボンブラック等の顔料他、従来公知の抗酸化剤、着色防止剤が添加されていても勿論良い。
該ポリエステル成分にはポリエーテルエステルアミドが含まれることが好ましい。ポリエステル成分にポリエーテルエステルアミドが含まれていると、ポリエステル成分が柔らかくなり、吸湿時において、ポリアミド成分が膨潤する際にポリエステル成分が追従しやすくなり、吸湿時に捲縮率が増大しやすくなるため好ましい。該ポリエーテルエステルアミドのポリエステル成分への添加量はポリエステル成分重量に対して5〜55重量%であることが好ましい。5重量%未満では、複合繊維が吸湿したときに、捲縮率があまり増大せず(捲縮繊維の見かけ長さが短くなりにくく)、吸湿時に布帛の厚さが十分に減少しないおそれがある。また、55重量%を超えると、安定的に紡糸ができなくなるおそれがある。
該ポリエーテルエステルアミドは、好ましくは、両末端にカルボキシル基を有する数平均分子量500〜5,000のポリアミド(a)と数平均分子量1,600〜3,000のビスフェノール類のエチレンオキシド付加物(b)から誘導される。「誘導」とは両成分を反応させて得られるの意味であり、共重合して得られるとも捉えることができる。
両末端にカルボキシル基を有するポリアミド(a)は、ポリアミド部分と分子量調節剤からなる事が好ましい。そのポリアミド部分は(1)ラクタム開環重合体、(2)アミノカルボン酸の重縮合体、若しくは(3)ジカルボン酸とジアミンの重縮合体の少なくともいずれか1つからなる。このうち、(1)のラクタムとしては、ブチロラクタム、バレロラクタム、カプロラクタム、エナントラクタム、ラウロラクタム、ウンデカノラクタムなどが挙げられる。(2)のアミノカルボン酸としては、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノペルゴン酸、ω−アミノカプリン酸,11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などが挙げられる。(3)のジカルボン酸としては、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジ酸、ドデカンジ酸,イソフタル酸などが挙げられる。また(3)のジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミンなどが挙げられる。以上これらのラクタム、アミノカルボン酸、ジカルボン酸、ジアミンを総称してポリアミド部分形成性モノマーと称する。
上記の両末端にカルボキシル基を有するポリアミド(a)のポリアミド部分形成性モノマーとして例示したものは、2種以上を併用してもよい。これらのうち好ましいものは、カプロラクタム,12−アミノドデカン酸及びアジピン酸−ヘキサメチレンジアミンであり、特に好ましいものは、カプロラクタムである。
上記の両末端にカルボキシル基を有するポリアミド(a)は、更に炭素数4〜20のジカルボン酸成分を分子量調整剤として使用し、これの存在下に上記ポリアミド部分形成性モノマーを常法により開環重合あるいは重縮合させることによって得られる。炭素数4〜20のジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジ酸、若しくはドデカンジ酸などの脂肪酸ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、若しくはナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、若しくはジシクロヘキシル−4,4−ジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸;又は5−スルホイソフタル酸ナトリウム、若しくは5−スルホイソフタル酸カリウムなどの5−スルホイソフタル酸アルカリ金属塩などが挙げられる。これらのうち、好ましいものは、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸及び5−スルホイソフタル酸アルカリ金属塩である。より好ましいものはアジピン酸、テレフタル酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウムである。
ポリアミド部分形成性モノマーを常法により開環重合あるいは重縮合させる際には、その平均重合度は2〜10である場合が好ましく、より好ましくは平均重合度が3〜8である。その結果このポリアミド部分の数平均分子量は100〜1,000、より好ましくは300〜700である。
更に上記両末端にカルボキシル基を有するポリアミド(a)は、分子量調整剤である炭素数4〜20のジカルボン酸成分の両末端にポリアミド部分が付与されている成分、片末端にポリアミド部分が付与されている成分、又は両末端にポリアミド部分が付与されている成分及び片末端にポリアミド部分が付与されている成分の混合物であっても良い。混合物である場合には、片末端にポリアミド部分が付与されている成分が1モルに対して、両末端にポリアミド部分が付与されている成分が1〜10モルとなるモル比が好ましい。より好ましくは片末端に付与されている成分1モルに対して、両末端に付与されている成分3〜8モルである。そして両末端にカルボキシル基を有するように上述のポリアミド部分形成性モノマーのカルボキシル基を有する成分の量を適宜調整する。ポリアミド部分形成性モノマーとしてラクタム及び/又はアミノカルボン酸のみ使用するならば分子量調節剤がジカルボン酸成分なので、容易に両末端がカルボキシル基を有するポリアミド(a)を
製造することができる。ポリアミド部分形成性モノマーとしてジカルボン酸とジアミンの重縮合体を用いる場合には、例えば重合体の最後にジカルボン酸を改めて反応させる等の方法を用いる事で両末端がカルボキシル基を有するポリアミド(a)を製造することができる。
上記両末端にカルボキシル基を有するポリアミド(a)の数平均分子量は、通常、500〜5,000、好ましくは500〜3,000である。数平均分子量が500未満ではポリエーテルエステルアミド自体の耐熱性が低下し、一方、5,000を超えると反応性が低下するためポリエーテルエステルアミド製造時に多大な時間を要する。数平均分子量をこの範囲とするためには、分子量調節剤となる炭素数4〜20のジカルボン酸成分の選択、ポリアミド部分の重合の際における反応条件を適宜設定することによって可能となる。
また、ビスフェノール類のエチレンオキシド付加物(b)において、ビスフェノール類としては、ビスフェノールA(4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパン)、ビスフェノールF(4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン)、ビスフェノールS(4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン)及び4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタンなどが挙げられ、これらのうちビスフェノールAが好ましい。
上記のビスフェノール類のエチレンオキシド付加物(b)は、これらのビスフェノール類にエチレンオキシドを常法により付加させることにより得られる。また、エチレンオキシドと共に他のアルキレンオキシド(プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,4−ブチレンオキシドなど)を併用することもできるが、他のアルキレンオキシドの用いる量は用いる全エチレンオキシドの重量に基づいて、通常、10重量%以下である。
また上記付加物(b)はビスフェノール類の2つのヒドロキシル基に対して、平均で20〜70モルのエチレンオキシド、他のアルキレンオキシド(以下、エチレンオキシド等という)が重合されている場合が好ましい。より好ましくは32〜60モルのエチレンオキシド等が重合されている場合である。すなわちビスフェノールの1つのヒドロキシル基に対して10〜35モル、より好ましくは16〜30モル、更に好ましくは16〜20モルのエチレンオキシド等が重合(付加)されている付加物であることである。
上記付加物(b)の数平均分子量は、通常、1,600〜3,000であり、特にエチレンオキシド付加モル数が32〜60のものを使用することが好ましい。数平均分子量が1,600未満では、帯電防止性が不十分となり、一方、3,000を超えると反応性が低下するためポリエーテルエステルアミド製造時に多大な時間を要する。数平均分子量は、好ましくは1,800〜2,400、エチレンオキシド等の付加モル数は、さらに好ましくは32〜40である。数平均分子量をこの範囲にするには、ビスフェノール類の分子量を考慮したうえで、エチレンオキシド等の付加モル数をその調整することにより達成する事ができる。
以上の付加物(b)は、ポリエーテルエステルアミド中の上記(a)と(b)の合計重量に基づいて20〜80重量%の範囲で用いられる。付加物(b)の量が20重量%未満ではポリエーテルエステルアミドの帯電防止性が劣り、一方、80重量%を超えるとポリエーテルエステルアミドの耐熱性が低下するために好ましくない。より好ましくは、付加物(b)は上記(a)と(b)の合計重量に基づいて40〜70重量%の範囲で用いられる。
本発明に用いられるポリエーテルエステルアミドの相対粘度は、1.5〜3.5(0.5重量%、m−クレゾール溶液、25℃)、好ましくは、2.0〜3.0である。1.5未満では、混練するベースポリマー成分(ポリアミド成分及びポリエステル成分)との溶融粘度差が大きくなるために導管内や紡糸パック内で滞留しやすくなり、長時間にわたる紡糸を実施すると吐出異常が起こりやすく、得られる複合繊維の品質が安定しない。一方、3.5を超える範囲では、製糸の際の断糸の原因となる。
該ポリエーテルエステルアミドのポリアミド成分への添加量は0重量%が最適である。少量でも添加すると、ポリアミド成分の吸湿伸長性が低下し、本発明の目的である吸湿時に捲縮が発現してみかけ糸長が縮むという機能が損なわれる。
前記のサイドバイサイド型複合繊維においては、任意の繊度、断面形状、複合形態をとることができるが、単糸繊度としては、1.5〜5.0dtex程度が適当である。さらに、本発明の複合繊維を中空複合繊維とすると湿度に対する感度も大きく、かつ嵩高性も大きくなる。また、ポリアミド成分とポリエステル成分の複合繊維の横断面における面積比は、ポリアミド成分/ポリエステル成分=30/70〜70/30の範囲が好ましく、より好ましくは40/60〜60/40の範囲である。
前記の複合繊維を単糸数本のマルチフィラメントとした場合の、そのマルチフィラメントの総繊度は特に限定されないが、通常の衣料用素材として用いられる40〜200dtexの範囲で用いることができる。なお、必要に応じて交絡処理が施されていてもよい。
前記の複合繊維は潜在捲縮性能を有しており、後記のように、染色加工等で熱処理を受けると潜在捲縮性能が発現する。そして吸湿時に、ポリアミド成分が膨潤、伸張し、ポリエステル成分はほとんど長さ変化を起こさないため、捲縮率が向上する(捲縮繊維Aの見かけの長さが短くなる。)。一方、乾燥時にはポリアミド成分が収縮し、ポリエステル成分はほとんど長さ変化を起こさないため、捲縮率が低下する(捲縮繊維Aの見かけの長さが長くなる。)。
前記の捲縮繊維Aは、吸湿時に、容易に捲縮率が向上する上で、無撚糸、または300T/m以下の撚りが施された甘撚り糸であることが好ましい。特に、無撚糸であることが好ましい。強撚糸のように、強い撚りが付与されていると、吸湿時に捲縮率が向上しにくく好ましくない。なお、交絡数が20〜60ケ/m程度となるようにインターレース空気加工および/または通常の仮撚捲縮加工が施されていてもさしつかえない。
一方、非捲縮、または吸湿時に捲縮率が変化しない捲縮を有する繊維Bとしては、非捲縮繊維、または吸湿時に捲縮率が変化しない捲縮を有する繊維であれば特に限定されない。ここで、「吸湿時に捲縮率が変化しない」とは、吸湿時における捲縮率HCと乾燥時における捲縮率DCとの差(HC−DC)が0.5%未満のものをいう。
かかる繊維Bとしては、ポリエチレンタレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、アクリル、パラ型もしくはメタ型アラミド、およびそれらの変性合成繊維、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、ポリウレタン系弾性糸、ポリエーテルエステル系弾性糸など衣料に適した繊維であれば自由に選択できる。なかでも、吸湿時の寸法安定性や、前記捲縮繊維Aとの相性(混繊性、交編・交織性、染色性)の点で、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンタレフタレートや、これらに前記共重合成分が共重合された変性ポリエステルからなるポリエステル繊維が好適である。また、かかる繊維Bの単糸繊度、単糸数(フィラメント数)としては特に限定されないが、織編物の吸水性を高め、湿潤時に凹凸を性能よく発現させる上で、単糸繊度0.1〜5dtex(より好ましくは0.5〜2dtex)、単糸数20〜200本(より好ましくは30〜100本)の範囲内であることが好ましい。なお、交絡数が20〜60ケ/m程度となるようにインターレース空気加工および/または通常の仮撚捲縮加工が施されていてもさしつかえない。
本発明の織編物には、前記の吸湿時に捲縮率が向上する捲縮繊維Aと、非捲縮、または吸湿時に捲縮率が変化しない捲縮を有する繊維Bとが含まれる。
織編物の構造としては、その織編組織、層数は特に限定されるものではない。例えば、平織、綾織、サテンなどの織組織や、天竺、スムース、フライス、鹿の子、そえ糸編、デンビー、ハーフなどの編組織が好適に例示されるが、これらに限定されるものではない。層数も単層でもよいし、2層以上の多層であってもよい。
ここで、好ましい実施態様(1)では、図4および図5に示すように、織編物が、前記捲縮繊維Aを含む部分(Y部)と、前記繊維Bのみで構成される部分(Z部)とを有し、前記Y部が経方向および/または緯方向に連続的につながっている。その際、Y部が経方向および/または緯方向に連続的につながるパターンとしては、特に限定されないが、例えば、ボーダーパターン、ストライプパターン、格子パターン、図5に模式的に示すダイヤ柄パターン、市松格子柄パターンなどが例示される。
前記Z部とY部との面積比は特に限定されないが、織編物の寸法安定性の点で(Z部:Y部)で10:90〜90:10(より好ましくは、20:80〜80:20)の範囲内であることが好ましい。
前記Y部同士は織編物中において、Z部により断絶している。その際、Y部1ヶ所の面積は特に限定されないが、0.01〜4.0cm(より好ましくは、0.1〜1.0cm)の範囲内であること好ましい。一方Z部の線巾としては、0.5〜100mmの範囲内であることが好ましい。
かかる構造では、図4に示すように、乾燥時において捲縮繊維Aを含む部分(Y部)が凸部となっており、吸湿時には、捲縮繊維Aのみかけ長さが短くなることにより、該凸部が解消されフラットになる。
次に、好ましい実施態様(2)では、図2および図3に示すように、織編物が2層からなる織編物であり、第1層が前記捲縮繊維Aを含み、かつ第2層が繊維Bのみで構成され、かつ第1層と第2層とが部分的に結接している。
かかる構造では、厚み方向の断面は図2に示すように、一層(Z層)は繊維Bだけで構成され、他の層(Y層)は捲縮繊維Aだけで構成され、Z層とY層とは部分的に結接されている。Y層側からみた織編物表面は、図3に示すようにY層とZ層とが格子状に結接されており、乾燥時はこの格子以外の結接されていないY層の四角部が凸の状態となっている。この四角部が吸湿により縮む結果、凸部が無くなり、織編物全体がフラットになり厚さが減少する。
本発明の織編物は、例えば下記の製造方法によって容易に得ることができる。
まず、すなわち、前記のポリアミド成分とポリエステル成分とをサイドバイサイド型に複合紡糸する。その際、例えば、特開2000−144518号公報に記載されているような、高粘度成分側と低粘度成分側の吐出孔を分離し、かつ高粘度側の吐出線速度を小さくした(吐出断面積を大きくした)紡糸口金を用い、高粘度側吐出孔に溶融ポリエステルを通過させ低粘度側吐出孔側に溶融ポリアミドを通過させて接合させ、冷却固化させる方法によって紡糸糸条を得ることができる。なお本発明においては、この際に紡糸口金を適切に設計する事により、サイドバイサイド型の中空複合繊維としても良い。紡糸して得られた糸条は、一旦巻き取った後これを延伸して更に必要に応じて熱処理を行う、いわゆる別延方式のほか、未延伸糸を一旦巻き取らないで延伸して更に必要に応じて熱処理を行う、いわゆる直延方式のどちらの方法も採用することができる。上記紡糸における紡糸速度としては、例えば通常採用されている1000〜3500m/分程度の紡糸速度のものを採用することができる。また、延伸、熱処理は、延伸後の切断伸度が10〜60%、通常は20〜45%程度になるように条件を設定するのが、捲縮の発現、製織編性などから好ましい。
次いで、前記複合繊維と、非捲縮、または吸湿時に捲縮率が変化しない繊維Bとを同時に用いて織編物を織編成した後、染色加工を施し、染色加工の際の熱により前記複合繊維の潜在捲縮を発現させる(捲縮繊維Aとする)。
ここで、前記の繊維Bとして、沸水収縮率20%以上(好ましくは25〜80%)のポリエステル系繊維を用いることが好ましい。繊維Bとしてこのような高熱収縮繊維を用いることにより、染色加工の際の熱により該繊維Bが前記複合繊維(捲縮繊維A)よりも大きく収縮するため、乾燥時において、図2や図4に示すように、捲縮繊維Aを含む部分が凸部となる。このような高熱収縮繊維としては、例えば、通常のジカルボン酸成分及びアルキレングリコール成分に加えて、第3成分としてイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などのジカルボン酸類、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコール類、ビスフェノールA及びビスフェノールスルフォンなどからなる群から選ばれた1種以上を共重合させた共重合ポリエステル樹脂を、通常の紡糸工程に供し、得られた未延伸フィラメント糸条を、これに延伸を施すことなく、直接3500m/分程度の巻取り速度で巻取り、この未延伸フィラメント糸条を60〜80℃の温度において、1.3〜1.5倍の延伸倍率でわずかに延伸するとよい。なかでも、酸成分がモル比(テレフタル酸/イソフタル酸)95/5〜75/25のテレフタル酸およびイソフタル酸からなり、ジオール成分がエチレングリコールあるいはテトラメチレングリコールからなる共重合ポリエステル(すなわち、イソフタル酸を共重合したポリエチレンテレフタレート、またはイソフタル酸を共重合したポリブチレンテレフタレート)を紡糸・延伸した繊維であることが好ましい。
また、織編物を織編成する際、織編組織は特に限定されず、前述のものを適宜選定することができる。
前記染色加工の温度としては100〜140℃(より好ましくは110〜135℃)、時間としてはトップ温度のキープ時間が5〜40分の範囲内であることが好ましい。かかる条件で、織編物に染色加工を施すことにより、前記複合繊維は、ポリエステル成分とポリアミド成分との熱収縮差により捲縮を発現する。
染色加工が施された織編物には、通常、乾熱ファイナルセットが施される。その際、乾熱ファイナルセットの温度としては120〜200℃(より好ましくは140〜180℃)、時間としては1〜3分の範囲内であることが好ましい。かかる、乾熱ファイナルセットの温度が120℃よりも低いと、染色加工時に発生したシワが残り易く、また、仕上がり製品の寸法安定性が悪くなるおそれがある。逆に、該乾熱ファイナルセットの温度が200℃よりも高いと、染色加工の際に発現した複合繊維の捲縮が低下したり、繊維が硬化し生地の風合いが硬くなるおそれがある。
かくして得られた織編物において、織編物が発汗や降雨により吸湿すると、捲縮繊維Aは自身の捲縮量が増大することにより見かけ長さが短くなり、織編物の厚さが減少する。
また、かくして得られた織編物において、織編物に含まれる捲縮繊維Aが下記(1)〜(3)の要件を同時に満足すると、吸湿時に織編物の厚さが減少しやすく好ましい。なお、かかる特性を有する捲縮繊維Aは前記の製造方法により製造することができる。
(1)乾燥時における捲縮繊維Aの捲縮率DCが50〜80%の範囲内である。
(2)吸湿時における捲縮繊維Aの捲縮率HCが60〜90%の範囲内である。
(3)前記捲縮率HCと捲縮率DCとの差(HC−DC)が0.5%以上である。
ただし、乾燥時とは、試料を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の状態であり、一方、吸湿時とは、試料を温度20℃、湿度90%RH環境下に24時間放置した後の状態である。
なお、本発明の織編物には、常法の吸水加工、撥水加工、起毛加工、紫外線遮蔽あるいは抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
次に、本発明の繊維製品は、前記の織編物を用いてなる、アウター用衣料、スポーツ用衣料、およびインナー用衣料からなる群より選択される繊維製品である。かかる繊維製品は前記の織編物を用いているので、吸湿時に厚さが減少するため、発汗時の暑熱感を抑制することができる。
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例中の各物性は下記の方法により測定したものである。
<固有粘度(IV)>
ポリエチレンテレフタレートについては、サンプルを一定量計量し、o−クロロフェノールを溶媒に用いて、常法に従って35℃にて求めた。ナイロン6については、同様にフェノール/テトラクロロエタンの等質量混合溶媒を用いて、30℃にて測定を行った。
<数平均分子量>
両末端にカルボキシル基を有する数平均分子量500〜5,000のポリアミド(a)部分及びビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物(b)部分の数平均分子量は測定サンプルを重トリフルオロ酢酸/重クロロホルムの等質量の混合溶媒に溶解してNMRを測定した。その測定結果から、それぞれ部分の繰り返し単位を特定し、その結果から数平均分子量を求めた。
<ポリエーテルエステルアミドの重量比率>
複合繊維製造時にギヤポンプによる条件を調整することによって制御する事ができるが、複合繊維を形成するポリアミド部分、ポリエステル部分を(7)に記載の方法に準じてNMR測定を行うことによっても、その結果を解析することによりポリアミド成分中又はポリエステル成分中のポリエーテルエステルアミドの重量比率を算出する事ができる。
<織編物中の糸の捲縮率>
織編物を温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中に24時間放置した後、該織編物から、30cm×30cmの小片を裁断する(n数=5)。続いて、各々の小片から、吸湿により捲縮量が変化する糸(変性ポリエステルとポリアミドのサイドバイサイド型複合繊維)を取り出し、49/50mN×9×トータルテックス(100mg/de)の荷重をかけて糸長L0を測定し、除重1分後49/50mN×9×4/1000×トータルテックス(0.4mg/de)の荷重をかけて糸長L1を測定する。更にこの糸を温度20℃、湿度90%RHの雰囲気中に24時間放置した後、49/50mN×9×トータルテックス(100mg/de)の荷重をかけて糸長L0’を測定し、除重1分後49/50mN×9×4/1000×トータルテックス(0.4mg/de)の荷重をかけて糸長L1’を測定する。
以上の測定数値から下記の計算式にて、乾燥時の捲縮率(DC)、吸湿時の捲縮率(HC)および吸湿時と乾燥時との捲縮率差を算出する。
乾燥時の捲縮率DC(%)={(L0−L1)/L0}×100
吸湿時の捲縮率HC(%)={(L0’−L1’)/L0’}×100
吸湿時と乾燥時との捲縮率差(%)=HC−DC
<厚さ変化率>
織編物を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後、該織編物から、30cm×30cmの小片を裁断する(n数=5)。そして、温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置後、超高精密レーザー変位計(キーエンス社製、モデルLC−2400)を用いて、織編物の乾燥時における厚さ(TD)を測定した。次いで、該織編物を温度20℃、湿度90%RH環境下に24時間放置後、超高精密レーザー変位計(キーエンス社製、モデルLC−2400)を用いて厚さを測定し、吸湿時における厚さ(TW)とした。そして、下記式から厚さ変化率を算出した。なお、n数は5としその平均値を求めた。
厚さ変化率(%)=((TD−TW)/TD)×100
[実施例1]
固有粘度(IV)が1.1のナイロン6(Ny6)と、ポリエーテルエステルアミド(ポリアミド(a)部分の数平均分子量1500、エチレンオキサイド付加物(b)部分の数平均分子量2000、相対粘度2.2)を40重量%添加したイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートチップ(イソフタル酸共重合比率0.5モル%、IV=0.65)とを常法により、紡糸温度290℃、紡糸速度1000m/minで紡糸し、ついで巻き取ることなく延伸温度60℃、延伸倍率2.5倍で延伸し、さらに130℃で熱セットして糸状を得た。ナイロン6とポリエーテルエステルアミドをブレンドしたポリエチレンテレフタレートとの重量比が50:50でサイドバイサイド型に接合された、56dtex/24filの捲縮複合繊維を得た。
一方、繊維Bとして、酸成分がモル比93/7のテレフタル酸及びイソフタル酸からなり、グリコール成分がエチレングリコールからなり、相対粘度1.45を有する共重合ポリエステルを調製した後、この共重合ポリエステル樹脂を、溶融紡糸し、3500m/分の巻取り速度で巻き取って、部分配向未延伸共重合ポリエステルマルチフィラメントを製造した。この未延伸マルチフィラメント糸条を延伸装置の温度65℃の第1ローラーと、温度75℃の第2ローラーの間で、熱セットを施すことなく、延伸倍率:1.4倍で延伸し、非捲縮の共重合ポリエステルフィラメント糸条84dtex/24fil(沸水収縮率30%)を得た。
次いで、28ゲージのダブル丸編機を使用して、前記の複合繊維(沸水処理されておらず、捲縮は発現していない。無撚糸)と繊維Bとを用いて、図1に示す編組織で編物を編成した。
この編物に、温度130℃、キープ時間15分で染色加工し、複合繊維の潜在捲縮性能を顕在化させ、捲縮繊維Aとした。その際、吸水加工剤(ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレングリコール共重合体)を染液に対して2ml/lの割合にて、染色加工時に同浴処理を行うことにより、編物に吸水加工剤を付与した。次いで、該編物に、温度160℃、時間1分で乾熱ファイナルセットを施した。
該編物において、厚み方向の断面は図2に示すように、一層(Z層)は繊維Bだけで構成され、他の層(Y層)は捲縮繊維Aだけで構成され、Z層とY層とは部分的に結接されていた。
Y層側からみた編地表面は、図3に示すようにY層とZ層とが格子状に結接されており、乾燥時はこの格子以外の結接されていないY層の四角部が凸の状態となっている。この四角部が吸湿により縮む結果、凸部が無くなり、編物全体がフラットになると共に厚さが減少した。
かかる編物において、乾燥時と吸湿時の厚さ変化率が33%であった。該編物を用いてTシャツ(スポーツ用衣料)を作成し着用したところ、発汗時の暑熱感が少なく満足なものであった。評価結果を表1に示す。
[実施例2]
28ゲージのトリコット編機を使用して、実施例1で用いたBをバック筬にフルセットし、実施例1で用いた複合繊維をミドル筬に8in8outでセットし、フロント筬にも同じ複合繊維(繊維A)を8out8inにてセットし、バック10−12、ミドル10−12−23−34−45−56−67−78−89−87−76−65−54−43−32−21、フロント89−87−76−65−54−43−32−21−10−12−23−34−45−56−67−78の編組織、機上コース数60コース/2.54cmの編条件にてトリコット編物を編成した。次いで、この編地を実施例1と同様に染色仕上げした。
該編物において、厚み方向の断面は、図4に示すように、ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント繊維84dtex/24fil(繊維B)のみから構成される部分(Z部)と、捲縮繊維Aと繊維Bとで構成される部分(Y部)から構成されていた。編物表面は、図5に示すように、Y部はダイヤ柄状に編物全体に連続的につながっており、乾燥時は、このダイヤ柄部(Y部)が凸部になり凹凸が発現しているが、吸湿後はY部が縮む結果、編物全体がフラットになり、厚みが減少した。かかる編物において、乾燥時と吸湿時の厚さ変化率が36%であった。該編物を用いてTシャツ(スポーツ用衣料)を作成し着用したところ、発汗時の暑熱感が少なく満足なものであった。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
捲縮繊維Aの代わりに56dtex24filのポリエステル捲縮加工糸(沸水収縮率10%、捲縮率15%)を使用する以外は実施例1と同じ方法にて得られた編地の評価結果は、表1に示す通りで乾燥時と吸湿時の厚さ変化率は0%で変化しなかった。
Figure 0005275657
本発明によれば、吸湿により厚さが減少する織編物が得られる。かかる織編物をアウターウエアー、インナーウエアー、スポーツウエアー等として使用すると、発汗時の暑熱感が少なくその工業的利用価値は極めて高い。
本発明に係る織編物の編組織図の一例である。 本発明に係る織編物の断面の一例を示した模式図であり、(1)乾燥時(2)湿潤時である。 本発明に係る織編物の一例を示した模式図である。 本発明に係る織編物の断面の一例を示した模式図であり、(1)乾燥時(2)湿潤時である。 本発明に係る織編物の一例を示した模式図である。
符号の説明
1:Z層
2:結接部
3:Y層
4:Z層と結接している部分
5:Z層と結接していない部分
6:Y部
7:Z部
8:Z部
9:Y部

Claims (9)

  1. 吸湿時に捲縮率が向上する捲縮繊維Aと、非捲縮、または吸湿時に捲縮率が変化しない捲縮を有する繊維Bとを含む織編物であって、該織編物の乾燥時における厚さ(TD)および吸湿時における厚さ(TW)から下記式により算出した厚さ変化率が5%以上であることを特徴とする吸湿により厚さが減少する織編物。
    厚さ変化率(%)=((TD−TW)/TD)×100
    ただし、乾燥時における厚さとは、織編物を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の状態での織編物の厚さであり、一方、吸湿時における厚さとは、織編物を温度20℃、湿度90%RH環境下に24時間放置した後の状態での織編物の厚さである。
  2. 前記の捲縮繊維Aが、ポリエステル成分とポリアミド成分とがサイドバイサイド型に接合された複合繊維である、請求項1に記載の吸湿により厚さが減少する織編物。
  3. 前記の捲縮繊維Aが下記(1)〜(3)の要件を同時に満足する、請求項1または請求項2に記載の吸湿により厚さが減少する織編物。
    (1)乾燥時における捲縮繊維Aの捲縮率DCが50〜80%の範囲内である。
    (2)吸湿時における捲縮繊維Aの捲縮率HCが60〜90%の範囲内である。
    (3)前記捲縮率HCと捲縮率DCとの差(HC−DC)が0.5%以上である。
    ただし、乾燥時とは、試料を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の状態であり、一方、吸湿時とは、試料を温度20℃、湿度90%RH環境下に24時間放置した後の状態である。
  4. 前記のポリエステル成分が、ポリエステルを構成する繰り返し単位中60〜99.9モル%をエチレンテレフタレート単位が占め、0.5〜40モル%をエチレンイソフタレート単位が占める共重合ポリエステルからなり、かつ該ポリエステル成分にポリエーテルエステルアミドがポリエステル重量に対して5〜55重量%含まれる、請求項2または請求項3に記載の吸湿により吸湿により厚さが減少する織編物。
  5. 前記の繊維Bが沸水収縮率20%以上のポリエステル系繊維を熱収縮させてなる繊維である、請求項1〜4のいずれかに記載の吸湿により厚さが減少する織編物。
  6. 織編物が、前記捲縮繊維Aを含む部分(Y部)と、前記繊維Bのみで構成される部分(Z部)とを有し、前記Y部が経方向および/または緯方向に連続的につながっている、請求項1〜5のいずれかに記載の吸湿により厚さが減少する織編物。
  7. 織編物が、前記捲縮繊維Aを含む部分(Y部)と、前記繊維Bのみで構成される部分(Z部)とを有し、前記Y部とZ部が織編物中でそれぞれ5mm以上の幅でダイヤ柄状またはストライプ状またはボーダー状に交互に配置されている、請求項6に記載の吸湿により厚さが減少する織編物。
  8. 織編物が2層からなる織編物であり、第1層が前記捲縮繊維Aを含み、かつ第2層が繊維Bのみで構成され、かつ第1層と第2層とが部分的に結接している、請求項1〜5のいずれかに記載の吸湿により厚さが減少する織編物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の織編物を用いてなる、アウター用衣料、スポーツ用衣料、およびインナー用衣料からなる群より選択される繊維製品。
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