JP5275659B2 - 吸湿により寸法が小さくなる織編物および繊維製品 - Google Patents
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Description
面積変化率(%)=((SD−SW)/SD)×100
(1)乾燥時における捲縮繊維Aの捲縮率DCが50〜80%の範囲内である。
(2)吸湿時における捲縮繊維Aの捲縮率HCが60〜90%の範囲内である。
(3)前記捲縮率HCと捲縮率DCとの差(HC−DC)が0.5%以上である。
本発明の織編物は、湿潤時に捲縮率が向上する捲縮繊維A(以下、単に「捲縮繊維A」または「繊維A」ということもある。)と、非捲縮、または湿潤時に捲縮率が変化しない捲縮を有する繊維B(以下、単に「繊維B」ということもある。)とで構成される必要がある。かかる構成により、該織編物が発汗により吸湿あるいは湿潤した際、前記複合繊維の捲縮量が増加する(繊維の見かけ長さが低下する。)ことにより織編物の寸法(面積)が小さくなり、その結果、該織編物からなるウェアは着用者の体へのフィット性が向上する。その際、該織編物の乾燥時における面積(SD)および吸湿時における面積(SW)から下記式により算出した面積変化率が1%以上(好ましくは3%以上、さらに好ましくは3〜15%)であることが肝要である。
面積変化率(%)=((SD−SW)/SD)×100
前記の面積変化率が1%未満では、発汗時にフィット性が向上しないおそれがあり、好ましくない。
、デカメチレンジアミンなどが挙げられる。以上これらのラクタム、アミノカルボン酸、ジカルボン酸、ジアミンを総称してポリアミド部分形成性モノマーと称する。
製造することができる。ポリアミド部分形成性モノマーとしてジカルボン酸とジアミンの重縮合体を用いる場合には、例えば重合体の最後にジカルボン酸を改めて反応させる等の方法を用いる事で両末端がカルボキシル基を有するポリアミド(a)を製造することができる。
かかる繊維Bとしては、伸度300%以上の弾性繊維が好ましい。具体的には、ポリウレタン弾性繊維やポリエステル・エーテル弾性繊維などが例示される。
本発明の織編物には、前記の吸湿時に捲縮率が向上する捲縮繊維Aと、非捲縮、または吸湿時に捲縮率が変化しない捲縮を有する弾性繊維Bとが含まれる。
まず実施態様(1)において、織編物が、前記捲縮繊維Aと前記弾性繊維Bで構成される部分(Y部)と、前記非弾性繊維Cと前記弾性繊維Bで構成される部分(Z部)とを有し、前記Y部が経方向および/または緯方向に連続的につながっている。かかる構造では、吸湿時において、Y部がZ部に比べ寸法変化(収縮)しやすく、かつ織編物中においてY部が経方向および/または緯方向に連続的につながっているため、吸湿時に織編物の寸法が小さくなる。
まず、すなわち、前記のポリアミド成分とポリエステル成分とをサイドバイサイド型に複合紡糸する。その際、例えば、特開2000−144518号公報に記載されているような、高粘度成分側と低粘度成分側の吐出孔を分離し、かつ高粘度側の吐出線速度を小さくした(吐出断面積を大きくした)紡糸口金を用い、高粘度側吐出孔に溶融ポリエステルを通過させ低粘度側吐出孔側に溶融ポリアミドを通過させて接合させ、冷却固化させる方法によって紡糸糸条を得ることができる。なお本発明においては、この際に紡糸口金を適切に設計する事により、サイドバイサイド型の中空複合繊維としても良い。紡糸して得られた糸条は、一旦巻き取った後これを延伸して更に必要に応じて熱処理を行う、いわゆる別延方式のほか、未延伸糸を一旦巻き取らないで延伸して更に必要に応じて熱処理を行う、いわゆる直延方式のどちらの方法も採用することができる。上記紡糸における紡糸速度としては、例えば通常採用されている1000〜3500m/分程度の紡糸速度のものを採用することができる。また、延伸、熱処理は、延伸後の切断伸度が10〜60%、通常は20〜45%程度になるように条件を設定するのが、捲縮の発現、製織編性などから好ましい。
(1)乾燥時における捲縮繊維Aの捲縮率DCが50〜80%の範囲内である。
(2)吸湿時における捲縮繊維Aの捲縮率HCが60〜90%の範囲内である。
(3)前記捲縮率HCと捲縮率DCとの差(HC−DC)が0.5%以上である。
ポリエチレンテレフタレートについては、サンプルを一定量計量し、o−クロロフェノールを溶媒に用いて、常法に従って35℃にて求めた。ナイロン6については、同様にフェノール/テトラクロロエタンの等質量混合溶媒を用いて、30℃にて測定を行った。
両末端にカルボキシル基を有する数平均分子量500〜5,000のポリアミド(a)部分及びビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物(b)部分の数平均分子量は測定サンプルを重トリフルオロ酢酸/重クロロホルムの等質量の混合溶媒に溶解してNMRを測定した。その測定結果から、それぞれ部分の繰り返し単位を特定し、その結果から数平均分子量を求めた。
複合繊維製造時にギヤポンプによる条件を調整することによって制御する事ができるが、複合繊維を形成するポリアミド部分、ポリエステル部分を(7)に記載の方法に準じてNMR測定を行うことによっても、その結果を解析することによりポリアミド成分中又はポリエステル成分中のポリエーテルエステルアミドの重量比率を算出する事ができる。
織編物を温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中に24時間放置した後、該織編物から、30cm×30cmの小片を裁断する(n数=5)。続いて、各々の小片から、吸湿により捲縮量が変化する糸(変性ポリエステルとポリアミドのサイドバイサイド型複合繊維)を取り出し、49/50mN×9×トータルテックス(100mg/de)の荷重をかけて糸長L0を測定し、除重1分後49/50mN×9×4/1000×トータルテックス(0.4mg/de)の荷重をかけて糸長L1を測定する。更にこの糸を温度20℃、湿度90%RHの雰囲気中に24時間放置した後、49/50mN×9×トータルテックス(100mg/de)の荷重をかけて糸長L0’を測定し、除重1分後49/50mN×9×4/1000×トータルテックス(0.4mg/de)の荷重をかけて糸長L1’を測定する。
乾燥時の捲縮率DC(%)={(L0−L1)/L0}×100
吸湿時の捲縮率HC(%)={(L0’−L1’)/L0’}×100
吸湿時と乾燥時との捲縮率差(%)=HC−DC
タテ30cm、ヨコ30cmにカットした織編物サンプルを5枚準備し、温度20℃、湿度65%RHにて24時間以上放置して調湿した後、タテ20cm、ヨコ20cmにそれぞれ印を付ける。その後、前記サンプルを温度20℃、湿度90%RHにて同様に24時間以上放置して調湿した後、タテヨコそれぞれの印間の長さを測定し(n数=5)、下記式により面積変化率を算出した。
面積変化率(%)=((SD−SW)/SD)×100
ただし、SD:温度20℃、湿度65%RHにおけるタテ×ヨコの印内面積(400cm2)であり、SW:温度20℃、湿度90%RHにおけるタテ×ヨコの印内面積である。
固有粘度(IV)が1.1のナイロン6(Ny6)と、ポリエーテルエステルアミド(ポリアミド(a)部分の数平均分子量1500、エチレンオキサイド付加物(b)部分の数平均分子量2000、相対粘度2.2)を40重量%添加したイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートチップ(イソフタル酸共重合比率0.5モル%、IV=0.65)とを常法により、紡糸温度290℃、紡糸速度1000m/minで紡糸し、ついで巻き取ることなく延伸温度60℃、延伸倍率2.5倍で延伸し、さらに130℃で熱セットして糸状を得た。ナイロン6とポリエーテルエステルアミドをブレンドしたポリエチレンテレフタレートとの重量比が50:50でサイドバイサイド型に接合された、56dtex/24filの複合繊維を得た。
得られた編物の評価結果は、表1に示す通りで、吸湿時に面積が小さくなる編物であった。該編物を用いてTシャツ(スポーツ用衣料)を作成し着用したところ、着用時はサイズにゆとりがあり着易いが、発汗時にはシャツのサイズが小さくなり、シャツが体にフィットして運動性の向上が感じられた。
28ゲージのシングル丸編機を使用して、実施例1で用いた複合繊維と、通常のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント仮撚り加工糸(繊維B)33dtex/36filおよび通常のポリウレタン弾性糸(繊維C)22dtex/1filを図2に示す編組織で編物を編成した。その際、前記ポリウレタン弾性糸はドラフト率2.0倍でドラフトしながら編成した。
得られた編物の評価結果は、表1に示す通りで、吸湿時に面積が小さくなる編物であった。該編物を用いてTシャツ(スポーツ用衣料)を作成し着用したところ、着用時はサイズにゆとりがあり着易いが、発汗時にはシャツのサイズが小さくなり、シャツが体にフィットして運動性の向上が感じられた。
28ゲージのトリコット編機を用いて、フロント筬に実施例2で用いた繊維B(33dtex/36fil)をフルセットし、ミドル1筬に実施例1で用いた複合繊維A(56dtex/24fil)を9イン19アウトでセットし、ミドル2筬に前記複合繊維Aを14アウト9イン5アウトでセットし、バック筬に実施例1で用いた弾性繊維C(22dtex/1fil)をフルセットし、フロント:10−23、ミドル1:10−12−23−34−45−56−67−78−89−910−1011−1112−1213−1314−1415−1514−1413−1312−1211−1110−109−98−87−76−65−54−43−32−21、ミドル2:1514−1413−1312−1211−1110−109−98−87−76−65−54−43−32−21−10−23−34−45−56−67−78−89−910−1011−1112−1213−1314−1415、バック12−10の編組織でトリコット編物を編成した。その際、前記ポリウレタン弾性糸はドラフト率2.0倍でドラフトしながら編成した。次いで、この編物を実施例1と同様に染色仕上げ加工を行った。
28ゲージのシングル丸編機を用いて、複合繊維Aを編機上で引き揃えて実施例1と同様に天竺組織編物を編成した。次いで、この編物を実施例1と同様に染色仕上げ加工を行った。
得られた編物の評価結果は、表1に示す通りで、吸湿時に面積が小さくなる編物であった。しかしながら、該編物を用いてTシャツ(スポーツ用衣料)を作成し着用したところ、着用時はサイズにゆとりがあり着易く、発汗時にはシャツのサイズが小さくなったが、編物には弾性繊維が含まれていないため、体へのフィット性が不十分なため、満足な運動性の向上は得られなかった。
実施例1において、複合繊維Aの代わりに、通常のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント仮撚り加工糸56dtex/24filを用いる以外は、実施例1と同様にして丸編物を編成した。次いで、この編物を実施例1と同様に染色仕上げ加工を行った。
得られた編物の評価結果は、表1に示す通りで、吸湿しても面積が変化しない編物であった。該編物を用いてTシャツ(スポーツ用衣料)を作成し着用したところ、発汗前後でシャツのサイズは変化せず、体へのフィット性が変化せず、運動性の向上は得られなかった。
2:Y部
Claims (16)
- 吸湿時に捲縮率が向上する捲縮繊維Aと、非捲縮、または吸湿時に捲縮率が変化しない捲縮を有する弾性繊維Bとを含む織編物であって、該織編物の乾燥時における面積(SD)および吸湿時における面積(SW)から下記式により算出した面積変化率が1%以上であることを特徴とする吸湿により寸法が小さくなる織編物。
面積変化率(%)=((SD−SW)/SD)×100
ただし、乾燥時における面積とは、織編物を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の状態での織編物の面積であり、一方、吸湿時における面積とは、織編物を温度20℃、湿度90%RH環境下に24時間放置した後の状態での織編物の面積である。 - 前記の捲縮繊維Aが、ポリエステル成分とポリアミド成分とがサイドバイサイド型に接合された複合繊維である、請求項1に記載の吸湿により寸法が小さくなる織編物。
- 前記の捲縮繊維Aが下記(1)〜(3)の要件を同時に満足する、請求項1または請求項2に記載の吸湿により寸法が小さくなる織編物。
(1)乾燥時における捲縮繊維Aの捲縮率DCが50〜80%の範囲内である。
(2)吸湿時における捲縮繊維Aの捲縮率HCが60〜90%の範囲内である。
(3)前記捲縮率HCと捲縮率DCとの差(HC−DC)が0.5%以上である。
ただし、乾燥時とは、試料を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の状態であり、一方、吸湿時とは、試料を温度20℃、湿度90%RH環境下に24時間放置した後の状態である。 - 前記のポリエステル成分が、ポリエステルを構成する繰り返し単位中60〜99.9モル%をエチレンテレフタレート単位が占め、0.5〜40モル%をエチレンイソフタレート単位が占める共重合ポリエステルからなり、かつ該ポリエステル成分にポリエーテルエステルアミドがポリエステル重量に対して5〜55重量%含まれる、請求項2または請求項3に記載の吸湿により寸法が小さくなる織編物。
- 前記の弾性繊維Bがポリウレタン弾性繊維またはポリエーテルエステル弾性繊維である、請求項1〜4のいずれかに記載の吸湿により寸法が小さくなる織編物。
- 他の繊維として、非捲縮、または吸湿時に捲縮率が変化しない捲縮を有する非弾性繊維Cを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の吸湿により寸法が小さくなる織編物。
- 前記の繊維Cがポリエステル繊維である、請求項6に記載の吸湿により寸法が小さくなる織編物。
- 織編物が、前記捲縮繊維Aと前記弾性繊維Bで構成される部分(Y部)と、前記非弾性繊維Cと前記弾性繊維Bで構成される部分(Z部)とを有し、前記Y部が経方向および/または緯方向に連続的につながっている、請求項1〜7のいずれかに記載の吸湿により寸法が小さくなる織編物。
- 織編物が、前記非弾性繊維Cと前記弾性繊維Bで構成される部分(Z部)と、前記捲縮繊維Aと前記非弾性繊維Cと前記弾性繊維Bで構成される部分(X部)とを有し、前記X部が経方向および/または緯方向に連続的につながっている、請求項1〜7のいずれかに記載の吸湿により寸法が小さくなる織編物。
- 織編物が、前記捲縮繊維Aと前記非弾性繊維Cと前記弾性繊維Bで構成される部分(X部)と、前記捲縮繊維Aと前記弾性繊維Bで構成される部分(Y部)とを有し、該織編物において前記Y部が経方向および/または緯方向に連続的につながっている、請求項1〜7のいずれかに記載の吸湿により寸法が小さくなる織編物。
- 織編物が、前記捲縮繊維Aと前記繊維Cと前記弾性繊維Bで構成される部分(X部)と、前記捲縮繊維Aと前記弾性繊維Bで構成される部分(Y部)と、前記非弾性繊維Cと前記弾性繊維Bで構成される部分(Z部)とを有し、前記Y部が経方向および/または緯方向に連続的につながっている、請求項1〜7のいずれかに記載の吸湿により寸法が小さくなる織編物。
- 織編物が2層構造織編物であり、1層が前記捲縮繊維Aのみからなり、他の1層が前記弾性繊維Bのみからなる、請求項1〜7のいずれかに記載の吸湿により寸法が小さくなる織編物。
- 織編物が3層以上からなる多層織編物であり、前記捲縮繊維Aと前記非弾性繊維Cとで構成される層と、前記非弾性繊維Cのみで構成される層と、弾性繊維Bのみで構成される層とを有する、請求項1〜7のいずれかに記載の吸湿により寸法が小さくなる織編物。
- 織編物が3層以上からなる多層織編物であり、前記捲縮繊維Aと前記非弾性繊維Cとで構成される層と、前記捲縮繊維Aのみで構成される層と、前記弾性繊維Bのみで構成される層とを有する、請求項1〜7のいずれかに記載の吸湿により寸法が小さくなる織編物。
- 織編物が3層以上からなる多層織編物であり、前記捲縮繊維Aのみで構成される層と、前記非弾性繊維Cのみで構成される層と、前記弾性繊維Bのみで構成される層を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の吸湿により寸法が小さくなる織編物。
- 請求項1〜15のいずれかに記載の織編物を用いてなる、アウター用衣料、スポーツ用衣料、およびインナー用衣料からなる群より選択される繊維製品。
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