JP5275649B2 - 吸湿により防透性が向上する織編物および繊維製品 - Google Patents
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Description
厚さ変化率(%)=((TW−TD)/TD)×100
(1)乾燥時における捲縮繊維Aの捲縮率DCが50〜80%の範囲内である。
(2)吸湿時における捲縮繊維Aの捲縮率HCが60〜90%の範囲内である。
(3)前記捲縮率HCと捲縮率DCとの差(HC−DC)が0.5%以上である。
本発明の織編物の好ましい実施態様は、(1)織編物が、前記捲縮繊維Aのみで構成される部分(Y部)と、前記繊維Bのみで構成される部分(Z部)とを有し、前記Y部が経方向および/または緯方向に連続的につながっている織編物、(2)織編物が、前記繊維Bのみで構成される部分(Z部)と、前記捲縮繊維Aと前記繊維Bとで構成される部分(X部)とを有し、前記X部が経方向および/または緯方向に連続的につながっている織編物、(3)織編物が、前記捲縮繊維Aと前記繊維Bとで構成される部分(X部)と、前記捲縮繊維Aのみで構成される部分(Y部)とを有し、該織編物において前記Y部が経方向および/または緯方向に連続的につながっている織編物、(4)織編物が、前記捲縮繊維Aと前記繊維Bとで構成される部分(X部)と、前記捲縮繊維Aのみで構成される部分(Y部)と、前記繊維Bのみで構成される部分(Z部)とを有し、前記Y部が経方向および/または緯方向に連続的につながっている織編物、(5)織編物が2層以上からなる多層織編物であり、前記捲縮繊維Aと繊維Bとで構成される層と、前記繊維Bのみで構成される層を有し、かつ前者の層と後者の層とが部分的に結接している織編物、(6)織編物が2層以上からなる多層織編物であり、前記捲縮繊維Aと繊維Bとで構成される層と、前記捲縮繊維Aのみで構成される層を有し、かつ前者の層と後者の層とが部分的に結接している織編物、(7)織編物が2層以上からなる多層織編物であり、前記捲縮繊維Aのみで構成される層と、前記繊維Bのみで構成される層を有し、かつ前者の層と後者の層とが部分的に結接している織編物、である。
本発明の織編物は、湿潤時に捲縮率が向上する捲縮繊維A(以下、単に「捲縮繊維A」または「繊維A」ということもある。)と、非捲縮または湿潤時に捲縮率が変化しない捲縮を有する繊維B(以下、単に「繊維B」ということもある。)とで構成される必要がある。織編物が発汗や降雨により吸湿すると、織編物に含まれる捲縮繊維Aだけが捲縮量が向上することにより見かけ長さが短くなる。その結果、吸湿時に織編物の厚さが部分的に厚くなる(すなわち凹凸が発現する。)ので、織編物と肌との間に空隙ができ防透性が向上する。
厚さ変化率(%)=((TW−TD)/TD)×100
製造することができる。ポリアミド部分形成性モノマーとしてジカルボン酸とジアミンの重縮合体を用いる場合には、例えば重合体の最後にジカルボン酸を改めて反応させる等の方法を用いる事で両末端がカルボキシル基を有するポリアミド(a)を製造することができる。
織編物の構造としては、その織編組織、層数は特に限定されるものではない。例えば、平織、綾織、サテンなどの織組織や、天竺、スムース、フライス、鹿の子、そえ糸編、デンビー、ハーフなどの編組織が好適に例示されるが、これらに限定されるものではない。層数も単層でもよいし、2層以上の多層であってもよい。
まず実施態様(1)において、織編物が、前記捲縮繊維Aのみで構成される部分(Y部)と、前記繊維Bのみで構成される部分(Z部)とを有し、前記Y部が経方向および/または緯方向に連続的につながっている。
まず、すなわち、前記のポリアミド成分とポリエステル成分とをサイドバイサイド型に複合紡糸する。その際、例えば、特開2000−144518号公報に記載されているような、高粘度成分側と低粘度成分側の吐出孔を分離し、かつ高粘度側の吐出線速度を小さくした(吐出断面積を大きくした)紡糸口金を用い、高粘度側吐出孔に溶融ポリエステルを通過させ低粘度側吐出孔側に溶融ポリアミドを通過させて接合させ、冷却固化させる方法によって紡糸糸条を得ることができる。なお本発明においては、この際に紡糸口金を適切に設計する事により、サイドバイサイド型の中空複合繊維としても良い。紡糸して得られた糸条は、一旦巻き取った後これを延伸して更に必要に応じて熱処理を行う、いわゆる別延方式のほか、未延伸糸を一旦巻き取らないで延伸して更に必要に応じて熱処理を行う、いわゆる直延方式のどちらの方法も採用することができる。上記紡糸における紡糸速度としては、例えば通常採用されている1000〜3500m/分程度の紡糸速度のものを採用することができる。また、延伸、熱処理は、延伸後の切断伸度が10〜60%、通常は20〜45%程度になるように条件を設定するのが、捲縮の発現、製織編性などから好ましい。
ここで、織編物を織編成する際、織編組織は特に限定されず、前述のものを適宜選定することができる。
(1)乾燥時における捲縮繊維Aの捲縮率DCが50〜80%の範囲内である。
(2)吸湿時における捲縮繊維Aの捲縮率HCが60〜90%の範囲内である。
(3)前記捲縮率HCと捲縮率DCとの差(HC−DC)が0.5%以上である。
ポリエチレンテレフタレートについては、サンプルを一定量計量し、o−クロロフェノールを溶媒に用いて、常法に従って35℃にて求めた。ナイロン6については、同様にフェノール/テトラクロロエタンの等質量混合溶媒を用いて、30℃にて測定を行った。
両末端にカルボキシル基を有する数平均分子量500〜5,000のポリアミド(a)部分及びビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物(b)部分の数平均分子量は測定サンプルを重トリフルオロ酢酸/重クロロホルムの等質量の混合溶媒に溶解してNMRを測定した。その測定結果から、それぞれ部分の繰り返し単位を特定し、その結果から数平均分子量を求めた。
複合繊維製造時にギヤポンプによる条件を調整することによって制御する事ができるが、複合繊維を形成するポリアミド部分、ポリエステル部分を(7)に記載の方法に準じてNMR測定を行うことによっても、その結果を解析することによりポリアミド成分中又はポリエステル成分中のポリエーテルエステルアミドの重量比率を算出する事ができる。
織編物を温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中に24時間放置した後、該織編物から、30cm×30cmの小片を裁断する(n数=5)。続いて、各々の小片から、吸湿により捲縮量が変化する糸(変性ポリエステルとポリアミドのサイドバイサイド型複合繊維)を取り出し、49/50mN×9×トータルテックス(100mg/de)の荷重をかけて糸長L0を測定し、除重1分後49/50mN×9×4/1000×トータルテックス(0.4mg/de)の荷重をかけて糸長L1を測定する。更にこの糸を温度20℃、湿度90%RHの雰囲気中に24時間放置した後、49/50mN×9×トータルテックス(100mg/de)の荷重をかけて糸長L0’を測定し、除重1分後49/50mN×9×4/1000×トータルテックス(0.4mg/de)の荷重をかけて糸長L1’を測定する。
以上の測定数値から下記の計算式にて、乾燥時の捲縮率(DC)、吸湿時の捲縮率(HC)および吸湿時と乾燥時との捲縮率差を算出する。
乾燥時の捲縮率DC(%)={(L0−L1)/L0}×100
吸湿時の捲縮率HC(%)={(L0’−L1’)/L0’}×100
吸湿時と乾燥時との捲縮率差(%)=HC−DC
織編物を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後、該織編物から、30cm×30cmの小片を裁断する(n数=5)。そして、温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置後、超高精密レーザー変位計(キーエンス社製、モデルLC−2400)を用いて、織編物の乾燥時における厚さ(TD)を測定した。次いで、該織編物を温度20℃、湿度90%RH環境下に24時間放置後、超高精密レーザー変位計(キーエンス社製、モデルLC−2400)を用いて厚さを測定し、吸湿時における厚さ(TW)とした。そして、下記式から厚さ変化率を算出した。なお、n数は5としその平均値を求めた。
厚さ変化率(%)=((TW−TD)/TD)×100
織編物を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後、該織編物から、30cm×30cmの小片を裁断する(n数=5)。そして、黒で文字を印字した白い紙の上に該織編物を載せ、文字の読み取り易さを下記3段階で評価し、乾燥時の防透性とする。
3級・・・文字の存在が分からない
2級・・・文字の存在は分かるが、文字は読めない
1級・・・文字が読める
一方、該織編物に霧吹きを用いて、該織編物の水分率が織編物重量に対して100重量%になるまで均一に噴霧し、上記と同様な方法で評価し湿潤時の防透性とする。
固有粘度(IV)が1.1のナイロン6(Ny6)と、ポリエーテルエステルアミド(ポリアミド(a)部分の数平均分子量1500、エチレンオキサイド付加物(b)部分の数平均分子量2000、相対粘度2.2)を40重量%添加したイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートチップ(イソフタル酸共重合比率0.5モル%、IV=0.65)とを常法により、紡糸温度290℃、紡糸速度1000m/minで紡糸し、ついで巻き取ることなく延伸温度60℃、延伸倍率2.5倍で延伸し、さらに130℃で熱セットして糸状を得た。ナイロン6とポリエーテルエステルアミドをブレンドしたポリエチレンテレフタレートとの重量比が50:50でサイドバイサイド型に接合された、56dtex/24filの捲縮複合繊維を得た。
次いで、該編物を用いてTシャツ(スポーツ用衣料)を得て着用したところ、発汗時に透け感が少なく良好であった。
28ゲージのトリコット編機を使用して、バック筬に実施例1で用いた通常のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント仮撚り加工糸(繊維B)56dtex/72filをフルセットし、ミドル筬に実施例1で用いた複合繊維(繊維A)を8in8outでセットし、フロント筬にも同じ複合繊維(繊維A)を8out8inにてセットし、バック10−12、ミドル10−12−23−34−45−56−67−78−89−87−76−65−54−43−32−21、フロント89−87−76−65−54−43−32−21−10−12−23−34−45−56−67−78の編組織、機上コース数60コース/2.54cmの編条件にてトリコット編物を編成した。次いで、この編地を実施例1と同様に染色仕上げした。
実施例1で用いた複合繊維(繊維A)の代わりに、実施例1で用いたポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント仮撚り加工糸(繊維B)を用いること以外は実施例1と同様にして得られた編地は、乾燥時と吸湿時の厚さ変化率が0%で濡れた時に透け感が増加し満足なものが得られなかった。評価結果を表1に示す。
2:結接部
3:Y層
4:Z層と結接している部分
5:Z層と結接していない部分
6:Z部
7:X部
8:Z部
9:X部
Claims (13)
- 吸湿時に捲縮率が向上する捲縮繊維Aと、非捲縮または吸湿時に捲縮率が変化しない捲縮を有する繊維Bとを含む織編物であって、該織編物の乾燥時における厚さ(TD)および吸湿時における厚さ(TW)から下記式により算出した厚さ変化率が5%以上であることを特徴とする吸湿により防透性が向上する織編物。
厚さ変化率(%)=((TW−TD)/TD)×100
ただし、乾燥時における厚さとは、織編物を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の状態での織編物の厚さであり、一方、吸湿時における厚さとは、織編物を温度20℃、湿度90%RH環境下に24時間放置した後の状態での織編物の厚さである。 - 捲縮繊維Aが、ポリエステル成分とポリアミド成分とがサイドバイサイド型に接合された複合繊維である、請求項1に記載の吸湿により防透性が向上する織編物。
- 前記の捲縮繊維Aが下記(1)〜(3)の要件を同時に満足する、請求項1または請求項2に記載の吸湿により防透性が向上する織編物。
(1)乾燥時における捲縮繊維Aの捲縮率DCが50〜80%の範囲内である。
(2)吸湿時における捲縮繊維Aの捲縮率HCが60〜90%の範囲内である。
(3)前記捲縮率HCと捲縮率DCとの差(HC−DC)が0.5%以上である。
ただし、乾燥時とは、試料を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の状態であり、一方、吸湿時とは、試料を温度20℃、湿度90%RH環境下に24時間放置した後の状態である。 - ポリエステル成分が、ポリエステルを構成する繰り返し単位中60〜99.9モル%をエチレンテレフタレート単位が占め、0.5〜40モル%をエチレンイソフタレート単位が占める共重合ポリエステルからなり、かつ該ポリエステル成分にポリエーテルエステルアミドがポリエステル重量に対して5〜55重量%含まれる、請求項2または請求項3に記載の吸湿により防透性が向上する織編物。
- 繊維Bがポリエステル繊維である、請求項1〜4のいずれかに記載の吸湿により防透性が向上する織編物。
- 織編物が、前記捲縮繊維Aのみで構成される部分(Y部)と、前記繊維Bのみで構成される部分(Z部)とを有し、前記Y部が経方向および/または緯方向に連続的につながっている、請求項1〜5のいずれかに記載の吸湿により防透性が向上する織編物。
- 織編物が、前記繊維Bのみで構成される部分(Z部)と、前記捲縮繊維Aと前記繊維Bとで構成される部分(X部)とを有し、前記X部が経方向および/または緯方向に連続的につながっている、請求項1〜5のいずれかに記載の吸湿により防透性が向上する織編物。
- 織編物が、前記捲縮繊維Aと前記繊維Bとで構成される部分(X部)と、前記捲縮繊維Aのみで構成される部分(Y部)とを有し、該織編物において前記Y部が経方向および/または緯方向に連続的につながっている、請求項1〜5のいずれかに記載の吸湿により防透性が向上する織編物。
- 織編物が、前記捲縮繊維Aと前記繊維Bとで構成される部分(X部)と、前記捲縮繊維Aのみで構成される部分(Y部)と、前記繊維Bのみで構成される部分(Z部)とを有し、前記Y部が経方向および/または緯方向に連続的につながっている、請求項1〜5のいずれかに記載の吸湿により防透性が向上する織編物。
- 織編物が2層以上からなる多層織編物であり、前記捲縮繊維Aと繊維Bとで構成される層と、前記繊維Bのみで構成される層を有し、かつ前者の層と後者の層とが部分的に結接している、請求項1〜5のいずれかに記載の吸湿により防透性が向上する織編物。
- 織編物が2層以上からなる多層織編物であり、前記捲縮繊維Aと繊維Bとで構成される層と、前記捲縮繊維Aのみで構成される層を有し、かつ前者の層と後者の層とが部分的に結接している、請求項1〜5のいずれかに記載の吸湿により防透性が向上する織編物。
- 織編物が2層以上からなる多層織編物であり、前記捲縮繊維Aのみで構成される層と、前記繊維Bのみで構成される層を有し、かつ前者の層と後者の層とが部分的に結接している、請求項1〜5のいずれかに記載の吸湿により防透性が向上する織編物。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の織編物を用いてなる、アウター用衣料、スポーツ用衣料、およびインナー用衣料からなる群より選択される繊維製品。
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