JP5275335B2 - 光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法 - Google Patents

光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5275335B2
JP5275335B2 JP2010500883A JP2010500883A JP5275335B2 JP 5275335 B2 JP5275335 B2 JP 5275335B2 JP 2010500883 A JP2010500883 A JP 2010500883A JP 2010500883 A JP2010500883 A JP 2010500883A JP 5275335 B2 JP5275335 B2 JP 5275335B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
optically active
producing
derivative according
titanium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2010500883A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010522749A (ja
Inventor
チュアン イェオ,ウィー
エル クリスティナ チャイ,エル
セルバラトナン,セルバソティ
卓司 永田
一彦 吉永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Agency for Science Technology and Research Singapore
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Agency for Science Technology and Research Singapore
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc, Agency for Science Technology and Research Singapore filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Publication of JP2010522749A publication Critical patent/JP2010522749A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5275335B2 publication Critical patent/JP5275335B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C253/00Preparation of carboxylic acid nitriles
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C253/00Preparation of carboxylic acid nitriles
    • C07C253/30Preparation of carboxylic acid nitriles by reactions not involving the formation of cyano groups
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
    • B01J31/00Catalysts comprising hydrides, coordination complexes or organic compounds
    • B01J31/26Catalysts comprising hydrides, coordination complexes or organic compounds containing in addition, inorganic metal compounds not provided for in groups B01J31/02 - B01J31/24
    • B01J31/38Catalysts comprising hydrides, coordination complexes or organic compounds containing in addition, inorganic metal compounds not provided for in groups B01J31/02 - B01J31/24 of titanium, zirconium or hafnium
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07BGENERAL METHODS OF ORGANIC CHEMISTRY; APPARATUS THEREFOR
    • C07B41/00Formation or introduction of functional groups containing oxygen
    • C07B41/02Formation or introduction of functional groups containing oxygen of hydroxy or O-metal groups
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07BGENERAL METHODS OF ORGANIC CHEMISTRY; APPARATUS THEREFOR
    • C07B43/00Formation or introduction of functional groups containing nitrogen
    • C07B43/08Formation or introduction of functional groups containing nitrogen of cyano groups
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07BGENERAL METHODS OF ORGANIC CHEMISTRY; APPARATUS THEREFOR
    • C07B53/00Asymmetric syntheses

Description

本発明は、光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法に関する。
光学活性シアノヒドリンは、有機合成における汎用性のある合成前駆体であり、商業的および合成的に価値のある種々の化合物および中間体に転化することができる。したがって、このような化合物を合成するために、工業的に利用可能な不斉シアノ化触媒が必要とされている。利用可能な種々の触媒系の中で、金属触媒によるシアノヒドリンの不斉合成は、合成的有用性、エナンチオ選択性、および一般的適用性に関して過去20年間にわたって大きく進展してきた。しかし、このような金属触媒によるシアノ化系の大部分は、非常に低温(たとえば−78℃および−40℃など)で行われ、比較的高価で揮発性であり毒性の高いトリメチルシリルシアニド(TMSCN)がシアン化物源として使用される。ほとんどの触媒系では、多量の触媒の使用が必要であり、反応手順中、たとえば脂肪族アルデヒドなどのある種の基質の場合には鏡像体過剰率(ee)が逆に低くなるので、キログラムまたはトンの範囲の大量生産には適さない場合がある。
種々の触媒系を使用した多数のシアノヒドリンの不斉合成方法が最近開示されている。たとえば、国際公開第2006/041000号パンフレット;ラングレン(Lundgren)ら,J.Am.Chem.Soc.2005,127,11592;ウィングストランド(Wingstrand)ら,PureAppl.Chem 2006,78,409;ベロコン(Belokon)ら,Chem.Commun.2006,1775;ベロコン(Belokon)ら,Org.Lett.2003,5,4505;ベロコン(Belokon)ら,Tetrahedron 2004,60,10433;カサス(Casas)ら,Tetrahedron:Asymmetry 2003,14,197;バエザ(Baeza)ら,Eur.J.Org.Chem.2006,1949;ティエン(Tian)ら,Angew.Chem.Int.Ed.2002,41,3636;ヤマギワ(Yamagiwa)ら,J.Am.Chem.Soc.2005,127,3413、またはゴウ(Gou)ら,J.Org.Chem.2006,71,5732を参照されたい。
したがって、商業的により利用しやすく毒性がより低いとともに、シアン化剤が使用され周囲温度で使用することができる触媒系の実現がより望まれている。したがって、広範囲の基質に適用することができ、室温において、理想的にはさらに短時間で、高収率および高エナンチオ選択性が同時に実現される不斉シアノ化方法の提供がより必要とされている。
第1の態様においては、本発明は、光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法であって、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルアミンおよびN,N,N,N−テトラメチルエチレンジアミンから選択されるルイス塩基とチタン化合物との存在下で、アルデヒドまたは非対称ケトンをシアノ化剤と反応させる工程を含む方法を提供する。
他の態様においては、本発明は、光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法であって、アルデヒドまたは非対称ケトンとシアノ化剤との反応を、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルアミンおよびN,N,N,N−テトラメチルエチレンジアミンから選択されるルイス塩基と、チタンテトラアルコキシドの部分加水分解物および下記一般式(III)で表される光学活性配位子、あるいは下記一般式(I)で表されるチタンオキソアルコキシド化合物および前記下記一般式(III)で表される光学活性配位子から生成されるチタン化合物との存在下で、行う工程を含むものである。
Figure 0005275335
(上式中、Rは、任意の置換アルキル基または任意の置換アリール基であり;xは2以上の整数であり;yは1以上の整数であり;y/xは0.1<y/x≦1.5を満たす。)
Figure 0005275335
(上式中、R 、R 、R 、およびR は独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族複素環基、非芳香族複素環基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基であってもよく、これらは任意にシアノ、ニトロ、OH、アルコキシ基、アミノ基、シリル基、またはシロキシ基で置換されていてもよく、R およびR の少なくとも1つは水素ではなく、R およびR は互いに結合して、4〜8個の炭素原子を有する任意に置換された環を形成してもよく、 で示される炭素原子の両方または少なくとも1つが不斉中心となる。)
本発明の製造工程の代表例において触媒を使用した場合に、部分的に加水分解されたチタン化合物の方が、加水分解されていないチタン化合物よりも有益な効果が得られることを示す。
以下、本発明の製造工程の実施形態を説明するが、これに限定されない。
本発明によると、驚くべきことに、独立請求項1およびその従属請求項に記載の方法を使用することによって、従来の不斉触媒反応を使用して合成されるものと比べて、はるかに少ない触媒の使用量で、はるかに短時間で、高い光学純度の光学活性シアノヒドリンを利用しやすく効率的に合成することが可能であることが分かった。このような光学活性シアノヒドリンは典型的には、医薬品、農薬などの生理学的に活性な化合物、機能材料、またはファインケミカルなどの合成原材料の合成における中間体として有用である。
本発明において、用語「含むこと(comprising)」または「含む(comprises)」は、何であれ単語「含むこと(comprising)」の後にくるものを包含することを意味するが、これらに限定されるものではない。すなわち、用語「含むこと」の使用は、列挙された要素が必要または必須であるが、他の要素については任意選択でき、存在する場合もあるし存在しない場合もあることを示している。
特に明記しない限り、以下の用語は、本発明に記載の任意の基を意味している。
用語「アルキル基」は、1〜20個の炭素原子を有する直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を意味する。本発明の一実施形態においては、アルキル基は1〜15個の炭素原子、たとえば1〜10個の炭素原子を有することができる。直鎖状のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。分岐状のアルキル基の例としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、アミル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。環状アルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
用語「アルケニル基」は、2〜20個の炭素原子、たとえば1〜10個の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合が存在する直鎖状、分岐状、または環状のアルケニル基を意味する。アルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、クロチル基、シクロヘキセニル基、イソプロペニル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
用語「アルキニル基」は、2〜20個の炭素原子、たとえば2〜10個の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合が存在するアルキニル基を意味する。例としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、1−ペンチニル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
用語「アルコキシ」は、1〜20個の炭素原子、たとえば1〜10個の炭素原子を有し、アルキル基が負電荷酸素原子に結合している直鎖状、分岐状、または環状のアルコキシ基を意味する。例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メンチルオキシ基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
用語「アリール基」は、6〜20個の炭素原子を有する単純な芳香環から誘導される任意の官能基または置換基を意味しているアリール基を意味する。本発明の一実施形態においては、アリール基は6〜10個の炭素原子を有することができる。例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
用語「アリールオキシ基」は、6〜20個の炭素原子、たとえば6〜10個の炭素原子を有し、アリール基が負電荷酸素原子と結合しているアリールオキシ基を意味する。例としてはフェノキシ基、ナフチルオキシ基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
用語「芳香族複素環基」は、3〜20個の炭素原子、たとえば1〜10個の炭素原子を有し、芳香族基の少なくとも1つの炭素原子が窒素、酸素、または硫黄などのヘテロ原子で置換されている芳香族複素環基を意味する。例としては、イミダゾリル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
用語「非芳香族複素環基」は、4〜20個の炭素原子、たとえば4〜10個の炭素原子を有し、非芳香族基の少なくとも1つの炭素原子が窒素、酸素、または硫黄などのヘテロ原子で置換されている非芳香族複素環基を意味する。例としては、ピロリジル基、ピペリジル基、テトラヒドロフリル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
用語「アシル基」は、2〜20個の炭素原子、たとえば1〜10個の炭素原子を有するアルキルカルボニル基、および6〜20個の炭素原子、たとえば1〜10個の炭素原子を有するアリールカルボニル基を意味する。
用語「アルキルカルボニル基」は、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基などを意味するが、これらに限定されるものではない。
用語「アリールカルボニル基」は、ベンゾイル基、ナフトイル基、アントリルカルボニル基などを意味するが、これらに限定されるものではない。
用語「アルコキシカルボニル基」は、2〜20個の炭素原子、たとえば2〜10個の炭素原子を有する直鎖状、分岐状、または環状のアルコキシカルボニル基を意味する。例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、シクロオクチルオキシカルボニル基、L−メンチルオキシカルボニル基、D−メンチルオキシカルボニル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
用語「アリールオキシカルボニル基」は、7〜20個の炭素原子、たとえば7〜15個の炭素原子を有するアリールオキシカルボニル基を意味する。例としては、フェノキシカルボニル基、α−ナフチルオキシカルボニル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
用語「アミノカルボニル基」は、水素原子、アルキル基、アリール基を有するアミノカルボニル基を意味し、窒素原子に結合するカルボニル基以外の2つの置換基は互いに結合して環を形成することができる。例としては、イソプロピルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、tert−ブチルアミノカルボニル基、tert−アミルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基、ジイソプロピルアミノカルボニル基、ジイソブチルアミノカルボニル基、ジシクロヘキシルアミノカルボニル基、tert−ブチルイソプロピルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ピロリジルカルボニル基、ピペリジルカルボニル基、インドールカルボニル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
用語「アミノ基」は、重要な原子として窒素を含有する有機化合物およびある種の官能基を意味する。この用語は、水素原子、直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を有するアミノ基、あるいはアリール基を有するアミノ基を意味する。窒素原子に結合する2つの置換基は、互いに結合して環を形成することができる。アルキル基またはアリール基を有するアミノ基の例としては、イソプロピルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、tert−アミルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、tert−ブチルイソプロピルアミノ基、ピロリジル基、ピペリジル基、インドール基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
用語「シリル基」は、2〜20個の炭素原子を有するシリル基を意味し、シリル基は、アルキルのケイ素類似体と見なすことができる。例としては、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
用語「シロキシ基」は、2〜20個の炭素原子を有するシロキシ基を意味する。例としては、トリメチルシロキシ基、tert−ブチルジメチルシロキシ基、tert−ブチルジフェニルシロキシ基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
上述のすべての基は、任意に置換されていてもよい。本発明において「任意に置換される」は、上記化合物の少なくとも1つの水素原子を、F、Cl、Br、OH、CN、NO、NH、SO、アルキル基、アリール基、芳香族複素環基、非芳香族複素環基、酸素含有基、窒素含有基、ケイ素含有基などで置き換えることができることを意味する。
酸素含有基の例としては、1〜20個の炭素原子を有する基、たとえばアルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。窒素含有基の例としては、1〜20個の炭素原子を有するアミノ基、1〜20個の炭素原子を有するアミド基、ニトロ基、シアノ基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。ケイ素含有基の例としては、1〜20個の炭素原子を有する基、たとえばシリル基、シリルオキシ基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
置換アルキル基の例としては、クロロメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロヘキシル、置換または無置換のアラルキル基、たとえばベンジル基、4−メトキシベンジル基、2−フェニルエチル基、クミル基、α−ナフチルメチル、2−ピリジルメチル基、2−フルフリル基、3−フルフリル基、2−チエニルメチル基、2−テトラヒドロフルフリル基、3−テトラヒドロフルフリル基、メトキシエチル基、フェノキシエチル基、メトキシメチル基、イソプロポキシメチル基、tert−ブトキシメチル基、シクロヘキシルオキシメチル基、L−メンチルオキシメチル基、D−メンチルオキシメチル基、フェノキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、フェノキシエチル基、アセチルオキシメチル基、2,4,6−トリメチルベンゾイルオキシメチル、2−(ジメチルアミノ)エチル基、3−(ジフェニルアミノ)プロピル基、2−(トリメチルシロキシ)エチル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
置換アルケニル基の例としては、2−クロロビニル基、2,2−ジクロロビニル基、3−クロロイソプロペニル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
置換アルキニル基の例としては、3−クロロ−1−プロピニル基、2−フェニルエチニル基、3−フェニル−2−プロピニル基、2−(2−ピリジルエチニル)基、2−テトラヒドロフリルエチニル基、2−メトキシエチニル基、2−フェノキシエチニル基、2−(ジメチルアミノ)エチニル基、3−(ジフェニルアミノ)プロピニル基、2−(トリメチルシロキシ)エチニル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
置換アルコキシ基の例としては、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基、2−フェニルエトキシ基、2−ピリジルメトキシ基、フルフリルオキシ基、2−チエニルメトキシ基、テトラヒドロフルフリルオキシ基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
置換アリール基の例としては、4−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、3,5−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,5−ジイソプロポキシフェニル基、2,4,6−トリイソプロポキシフェニル基、2,6−ジフェノキシフェニル基、4−(ジメチルアミノ)フェニル基、4−ニトロフェニル基、3,5−ビス(トリメチルシリル)フェニル基、3,5−ビス(トリメチルシロキシ)フェニル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
置換アリールオキシ基の例としては、ペンタフルオロフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、2,6−ジメトキシフェノキシ基、2,6−ジイソプロポキシフェノキシ基、4−(ジメチルアミノ)フェノキシ基、4−シアノフェノキシ基、2,6−ビス(トリメチルシリル)フェノキシ基、2,6−ビス(トリメチルシロキシ)フェノキシ基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
置換芳香族複素環基の例としては、N−メチルイミダゾリル基、4,5−ジメチル−2−フリル基、5−ブトキシカルボニル−2−フリル基、5−ブチルアミノカルボニル−2−フリル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
置換非芳香族複素環基の例としては、3−メチル−2−テトラヒドロフラニル基、N−フェニル−4−ピペリジル基、3−メトキシ−2−ピロリジル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
置換アルキルカルボニル基の例としては、トリフルオロアセチル基などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
置換アリールカルボニル基の例としては、3,5−ジメチルベンゾイル基、2,4,6−トリメチルベンゾイル基、2,6−ジメトキシベンゾイル基、2,6−ジイソプロポキシベンゾイル基、4−(ジメチルアミノ)ベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、2,6−ビス(トリメチルシリル)ベンゾイル基、2,6−ビス(トリメチルシロキシ)ベンゾイル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
ハロゲン原子を有するアルコキシカルボニル基の例としては、2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、4−メトキシベンジルオキシカルボニル基、2−フェニルエトキシカルボニル基、クミルオキシカルボニル基、α−ナフチルメトキシカルボニル基、2−ピリジルメトキシカルボニル基、フルフリルオキシカルボニル基、2−チエニルメトキシカルボニル基、テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、4−メトキシベンジルオキシカルボニル基、2−フェニルエトキシカルボニル基、クミルオキシカルボニル基、α−ナフチルメトキシカルボニル基、2−ピリジルメトキシカルボニル基、フルフリルオキシカルボニル基、2−チエニルメトキシカルボニル基、テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル基などが挙げられる。
置換アリールオキシカルボニル基の例としては、ペンタフルオロフェノキシカルボニル基、2,6−ジメチルフェノキシカルボニル基、2,4,6−トリメチルフェノキシカルボニル基、2,6−ジメトキシフェノキシカルボニル基、2,6−ジイソプロポキシフェノキシカルボニル基、4−(ジメチルアミノ)フェノキシカルボニル基、4−シアノフェノキシカルボニル基、2,6−ビス(トリメチルシリル)フェノキシカルボニル基、2,6−ビス(トリメチルシロキシ)フェノキシカルボニル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
置換アミノカルボニル基の例としては、2−クロロエチルアミノカルボニル基、パーフルオロエチルアミノカルボニル基、4−クロロフェニルアミノカルボニル基、ペンタフルオロフェニルアミノカルボニル基、ベンジルアミノカルボニル基、2−フェニルエチルアミノカルボニル基、α−ナフチルメチルアミノカルボニル、および2,4,6−トリメチルフェニルアミノカルボニル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
置換アミノ基の例としては、2,2,2−トリクロロエチルアミノ基、パーフルオロエチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ベンジルアミノ基、2−フェニルエチルアミノ基、α−ナフチルメチルアミノ基、2,4,6−トリメチルフェニルアミノ基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
より詳細には、本発明は、光学活性シアノヒドリン誘導体を製造する方法であって、アルデヒドまたは非対称ケトンとシアノ化剤との反応を、ルイス塩基と、チタンテトラアルコキシドの部分加水分解物および下記一般式(II)で表される光学活性配位子、あるいは下記一般式(I)で表されるチタンオキソアルコキシド化合物および下記一般式(II)で表される光学活性配位子から生成されるチタン化合物との存在下、で行う工程を含む方法を提供する。
Figure 0005275335
上式中、Rは、任意の置換アルキル基または任意の置換アリール基であり;xは2以上の整数であり;yは1以上の整数であり;y/xは0.1<y/x≦1.5を満たす。
Figure 0005275335
上式中、R、R、およびRは独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、芳香族複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、またはアリールオキシカルボニル基であり、これらは、任意に置換されていてもよく、R、R、およびRの2つ以上が互いに結合して環を形成してもよく、その環は置換基を有してもよく;Aは、3つ以上の炭素原子を有し、不斉炭素原子または軸不斉を有する炭化水素含有基を表す。
本発明に係るチタンテトラアルコキシド化合物は特に限定されない。本発明の一実施形態においては、チタンテトラアルコキシド化合物は、下記一般式(IV)で表される。
Figure 0005275335
上式中、Rは、前述の定義に示すような任意の置換アルキル基または任意の置換アリール基である。本発明の一実施形態においては、Rは、前述の定義に示すような直鎖状のアルキル基であってよい。
本発明のさらなる一実施形態においては、チタンテトラアルコキシド化合物は、Ti(OMe)、Ti(OEt)、Ti(OPr、またはTi(OBuであってよい。
さらに、下記一般式(I)で表されるチタンオキソアルコキシド化合物を本発明のチタン化合物として使用することもできる。
Figure 0005275335
上記一般式(I)中、Rは、既に前述した定義に示すような任意の置換アルキル基または任意の置換アリール基を表し、xは2以上の整数であり、yは1以上の整数であり、y/xは0.1<y/x≦1.5を満たす。チタンオキソアルコキシド化合物の混合物、すなわちxおよびyが所定の範囲にある種類の混合物を使用することもできる。
上記一般式(IV)で表されるチタンテトラアルコキシド化合物とを水と反応させることによって、チタンテトラアルコキシドが部分的に加水分解して、上記一般式(I)で表されるチタンオキソアルコキシド化合物が得られることが知られている(たとえば、V.W.デイ(Day)ら,Inorg.Chim.Acta,Vol.229,p.391(1995)を参照されたい)。アルコキシドの種類および加水分解に使用される水の量に依存して、上記一般式(I)のxおよびyの値が変化するが、必ずしも一方が決まれば片方が決まるわけではない。そのため、様々な種類のチタンオキソアルコキシド混合物が得られると考えられる。さらに、任意に、種々のチタンオキソアルコキシド混合物から各種の物質を安定に単離できる場合があることが報告されている(たとえば、V.W.デイ(Day)ら,J.Am.Chem.Soc.,Vol.113,p.8190(1991))。
本発明の方法に使用されるチタン化合物の原材料として、チタンテトラアルコキシド化合物と水との反応混合物をそのまま使用することができる。あるいは、チタンテトラアルコキシド化合物は、この反応混合物から単離した後のものを使用することもできる。チタンオキソアルコキシド化合物において、xは2〜20、たとえば2〜10であってよい。その例としては、チタンアルコキシド2量体、たとえば[TiO](OEt)、[TiO](O−n−Pr)、[TO](O−n−Bu)など;チタンアルコキシド7量体、たとえば[Ti](OEt)20、[Ti](O−n−Pr)20、[Ti](O−n−Bu)20など;チタンアルコキシド8量体、たとえば[Ti](OCHPh)20など;チタンアルコキシド10量体、たとえば[Ti10](OEt)24など;チタンアルコキシド11量体、たとえば[Ti1113](O−i−Pr)18など;チタンアルコキシド12量体、たとえば[Ti1216](O−i−Pr)16など;チタンアルコキシド16量体、たとえば[Ti1616](OEt)32など;およびチタンアルコキシド17量体、たとえば[Ti1724](O−i−Pr)20などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明の方法で使用されるチタン化合物は、チタンテトラアルコキシドの部分加水分解物と、下記一般式(II)で示される光学活性配位子との反応混合物、または前述の一般式(I)で表されるチタンオキソアルコキシド化合物と、下記一般式(II)で表される光学活性配位子との反応混合物から合成される。
Figure 0005275335
上記一般式(II)中、R、R、およびRは独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、芳香族複素環基、非芳香族複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、またはアリールオキシカルボニル基であり、これらは任意に置換されていてもよく、アルキルおよびアリールは前述の定義に示す通りであり;R、R、およびRの2つ以上が互いに結合して環を形成してもよく、その環は置換基を有してもよく;Aは、3つ以上の炭素原子を有し、不斉炭素原子または軸不斉を有する炭化水素含有基を表す。
本発明の一実施形態においては、R、R、およびRは、前述の定義に示すような、任意に置換された、1〜20個の炭素原子、たとえば1〜10個の炭素原子を有する直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基であってよい。本発明の一実施形態においては、R、R、およびRの中のアリール基は、6〜20個の炭素原子、たとえば6〜10個の炭素原子を有することができる。一実施形態において、Rは水素である。
さらに、R、R、およびRの2つ以上は、互いに結合して環を形成することができる。その環は脂肪族のまたは芳香族の炭化水素環であってよい。形成される環は縮合環であってもよい。本発明の一実施形態においては、上記の脂肪族炭化水素環は10員以下の環、たとえば3〜7員環、たとえば5または6員環であってよい。この脂肪族炭化水素環は不飽和結合を有することができる。上記の芳香族炭化水素環は、たとえば6員環、すなわちベンゼン環であってよい。たとえば、RおよびRが互いに結合して−(CH−または−CH=CH−CH=CH−を形成する場合、シクロヘキセン環(脂肪族炭化水素環に含まれる)またはベンゼン環(芳香族炭化水素環に含まれる)がそれぞれ形成される。本発明の一実施形態においては、RおよびRがベンゼン環を形成する。
形成された環は、前述のように任意に置換されていてもよい。本発明の一実施形態においては、この環は、1、2、または3個の置換基を有することができる。
上記一般式(II)中、Aは、3つ以上の炭素原子を有し不斉炭素原子または軸不斉を有する光学活性炭化水素含有基を表す。一実施形態においては、光学活性炭化水素含有基は、3〜20個の炭素原子、たとえば3〜10個の炭素原子を有することができ、これらは任意に置換されていてもよい。
前述の定義の光学活性炭化水素含有基Aとして、下記一般式(A−1)から(A−3)で表される光学活性炭化水素含有基が好適である。式中、(N)および(OH)で示される部分はAには属さず、上記一般式(II)中でAが結合している窒素原子およびヒドロキシル基に対応する部分を表している。
Figure 0005275335
上記一般式(A−1)中、R、R、R、およびRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、またはアミノカルボニル基であり、これらは任意に置換されていてもよく、R、R、R、およびRの2つ以上が互いに結合して環を形成してもよく、その環は任意に置換されていてもよく;R、R、R、およびRの少なくとも1つは水素ではなく;で示される炭素原子の両方または少なくとも1つが不斉中心となる。
、R、R、およびR中のアルキル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、およびアリールオキシカルボニル基は、前述のRからR中と同じアルキル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、およびアリールオキシカルボニル基である。本発明の一実施形態においては、RとRの一方、およびRとRの一方が水素である。
一実施形態においては、R、R、R、およびRの2つ以上が、互いに結合して環を形成することができる。その環は脂肪族炭化水素であってもよいし、形成された環がさらに縮合して環を形成してもよい。一実施形態においては、環は3〜7員環、あるいは5または6員環であってよい。たとえば、RおよびRが互いに結合して−(CH−を形成する場合、5員環が形成される。このように形成された環は任意に置換されていてもよい。
本発明の一実施形態においては、上記一般式(A−1)で表される光学活性炭化水素含有基は、下記化学式(A−1a)から(A−1x)で表される基、それらの鏡像異性体などを含むことができる。
Figure 0005275335
前述の一般式(A−2)において、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、またはアリール基であり、これらは任意に置換されていてもよい。さらに、RおよびRは異なる置換基であり、は不斉炭素原子を表す。RおよびR中のアルキル基およびアリール基は、前述のRからR中のアルキル基およびアリール基と同じである。
上記一般式(A−2)で表される光学活性炭化水素含有基の例としては、下記化学式(A−2a)から(A−2p)で表される基、それらの鏡像異性体などを挙げることができる。
Figure 0005275335
上記一般式(A−3)中、R、R、R、およびRは独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、またはアルコキシ基であってよく、これらは任意に置換されていてもよい。さらに、同じベンゼン環上のRおよびRは、互いに結合または縮合して環を形成してもよく、*'は軸不斉を表す。
、R、R、およびR中のアルキル基およびアリール基は、前述のRからR中のアルキル基およびアリール基と同じである。さらに、同じベンゼン環上のRおよびRが互いに結合して環を形成する場合、その環は脂肪族または芳香族の炭化水素環、あるいは酸素原子を含有する非芳香族複素環であってよい。形成される環は縮合環であってもよい。一実施形態においては、上記の脂肪族炭化水素環は5または6員環、たとえば6員環、すなわちベンゼン環であってよい。さらなる一実施形態においては、ベンゼン環が縮合して、ナフタレン環などの縮合多環式環を形成することができる。たとえば、RおよびRが互いに結合して−CH=CH−CH=CH−、−(CH−、または−OCHO−を形成する場合、ナフタレン環、テトラヒドロナフタレン環、またはベンゾジオキソラン環がそれぞれ形成される。こうして形成されたナフタレン環、テトラヒドロナフタレン環、ベンゾジオキソラン環などの環は、前述の定義のように任意に置換されていてもよく、たとえば1つの置換基または2つの置換基またはそれ以上の置換基を有することができる。
上記一般式(A−3)で表される光学活性炭化水素含有基の例としては、以下の式(A−3a)から(A−3c)で表される基、それらの鏡像異性体などを挙げることができるが、それらに限定されるものではない。
Figure 0005275335
本発明の一実施形態においては、一般式(II)で表される光学活性配位子としては、上記一般式(III)で表される光学活性配位子が挙げられる。
Figure 0005275335
、R、R、およびRは独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族複素環基、非芳香族複素環基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、またはアミノカルボニル基であってもよく、これらは任意にシアノ、ニトロ、OH、アルコキシ基、アミノ基、シリル基、またはシロキシ基で置換されていてもよく、RおよびRの少なくとも1つは水素ではなく、RおよびRが互い結合して、4〜8個の炭素原子を有する任意に置換された環を形成することができる。で示される炭素原子の両方または少なくとも1つが不斉中心となる。たとえば、RおよびRの一方が水素であり、他方はアルキル基である。
さらに、RおよびRが互いに結合して環を形成することができる。一実施形態においては、この環は脂肪族または芳香族の炭化水素環であってよい。形成される環は縮合環であってよい。上記の脂肪族炭化水素環は10員以下の環、たとえば3〜7員環、たとえば5または6員環であってよい。この脂肪族炭化水素環は不飽和結合を有することができる。上記の芳香族炭化水素環は、6員環、すなわちベンゼン環であってよい。たとえば、RおよびRが互いに結合して−(CH−または−CH=CH−CH=CH−を形成する場合、シクロヘキセン環(脂肪族炭化水素環に含まれる)またはベンゼン環(芳香族炭化水素環に含まれる)がそれぞれ形成される。こうして形成された環は、たとえば、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、シリル基、およびシリルオキシ基から選択される1つの基または2つ以上の基によって、任意に置換されていてもよい。
本発明の一実施形態においては、光学活性配位子としては、下記の化学式が挙げられる。
Figure 0005275335
Figure 0005275335
本発明の一実施形態においては、光学活性配位子としては、下記の化学式が挙げられる。
Figure 0005275335
さらに別の一実施形態においては、光学活性配位子としては、下記の化学式が挙げられる。
Figure 0005275335
本発明のさらに別の一実施形態においては、上記化学式(III)による光学活性配位子は還元シッフ塩基配位子であってよい。
このような配位子の例としては、下記の化学式が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0005275335
前述のチタンテトラアルコキシド化合物は周知の方法により合成することができる。たとえば、この化合物は、塩基の存在下または非存在下、所定量の四塩化チタン対応する、アルコールを加え、得られた混合物を撹拌し、次にそれを蒸留によって精製することによって合成することができる。四塩化チタンおよびアルコールから調製した溶液を、精製せずにそのまま光学活性チタン化合物の合成に使用することもできる。
前述の一般式(I)で表されるチタンオキソアルコキシド化合物は、周知の方法により合成することができる。たとえば、チタンテトラアルコキシドをアルコール中で加水分解することを含む方法(デイ(Day),V.W.ら.;J.Am.Chem.Soc.,Vol.113,p.8190(1991))、チタンテトラアルコキシドをカルボン酸と反応させることを含む方法(シュトーノー(Steunou),N.ら;J.Chem.Soc.Dalton Trans.,p.3653(1999))などが知られている。得られたチタンオキソアルコキシド化合物は、光学活性チタン化合物を合成するために精製せずにそのまま使用することもできるし、使用前に再結晶などの既知の精製方法により精製しても使用できる。
前述の一般式(II)で表される光学活性配位子は、たとえば、光学活性アミノアルコールとo−ヒドロキシベンズアルデヒド誘導体とから、またはアミノアルコールとo−ヒドロキシフェニルケトン誘導体とから、脱水反応によって1段階で合成することができる。光学活性アミノアルコールは、たとえば、天然または非天然のα−アミノ酸などのカルボン酸基や各種のカルボン酸基を還元することによって得ることができる。
チタン化合物は、前述の一般式(IV)で表されるチタンテトラアルコキシド化合物を水と有機溶媒中で反応させ、次に前述の一般式(II)で表される光学活性配位子と混合することによって合成することができる。チタンテトラアルコキシド化合物、水、および前述の一般式(II)で表される光学活性配位子のモル比は、1:0.1:0.1〜1:2.0:3.0の範囲内とすることができる。上記数値範囲内のあらゆるモル比が本発明において好適となりうる。
最初に、チタンテトラアルコキシド化合物を水源と有機溶媒中で反応させる。水源(本明細書においては「水」と呼ぶ)としては、HO、結晶水を含有する無機塩、たとえば、Na・10HO、NaSO・10HO、NaPO・12HO、MgSO・7HO、CuSO・5HO、FeSO・7HO、AlNa(SO・12HO、またはAlK(SO・12HOなどの水和物を挙げることができるが、これに限定されるものではない。吸湿モレキュラーシーブが使用される場合、外気に暴露したモレキュラーシーブ3A、4Aなどの市販製品を使用することができ、粉末モレキュラーシーブおよびペレットモレキュラーシーブのいずれかを使用することもできる。さらに、未脱水のシリカゲルまたはゼオライトを水源として使用することもできる。さらに、結晶水を含有する無機塩またはモレキュラーシーブが使用される場合、配位子と反応させる前に濾過することによって容易に除去することができる。そのとき、チタンテトラアルコキシド化合物1molを基準にして、約0.1〜約2.0mol、または約0.5〜約1.25mol、または約1molの量の水を含むことができる。一実施形態においては、1molのチタン化合物に2mol未満の水が使用される。この量の水が加えられ、撹拌される。そのとき、チタンテトラアルコキシド化合物は、あらかじめ溶媒中に溶解させることができ、水は加える前に溶媒中に希釈することができる。水は、ミストの形態で水を加えることを含む方法、高効率の撹拌装置を取り付けた反応容器を使用することを含む方法などによって直接加えることもできる。使用される有機溶媒の例としては、ハロゲン化炭化水素溶媒、たとえばジクロロメタン、クロロホルム、フルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼンなど;芳香族炭化水素溶媒、たとえばトルエン、キシレンなど;エステル溶媒、たとえば酢酸エチルなど;およびエーテル溶媒、たとえばテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタンなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。一実施形態においては、ハロゲン化溶媒または芳香族炭化水素溶媒を使用することができる。水が加えられる場合に使用される溶媒の総量は、チタンテトラアルコキシド化合物1mmolを基準にして約1〜約500ml、または約10〜約50mlとすることができる。図1に示すように、部分的に加水分解したチタン前駆体を使用することで、さらなる反応プロセスにおける全体的な転化率およびエナンチオ選択性が増加することに留意されたい。
チタンテトラアルコキシド化合物を水と反応させるときの温度は、好ましくは溶媒が凍結しない温度である。この反応は通常、室温付近、たとえば約15〜約30℃で行うことができる。しかしこの反応は、使用中の溶媒の沸点に依存して加熱することによって行うこともできる。反応に要する時間は、加えられる水の量、反応温度などの一般条件に依存して変化する。たとえば、反応が約25℃で行われ、結晶水を含有する四ホウ酸ナトリウム十水和物を使用し、チタンテトラアルコキシド化合物1molを基準にした水の量が1molである一実施形態においては、撹拌に要する時間は好ましくは約48時間であり、その理由は、不斉シアノ化反応においてはるかに高いエナンチオ選択性が示されるからである。チタンテトラアルコキシド化合物約1molを基準にして水の量が25℃において約1.25molである場合、その反応は約20時間撹拌することによって行うことができる。次に光学活性配位子が加えられる。チタン化合物は、前述の一般式(I)で示されるチタンオキソアルコキシド化合物と前述の一般式(II)で示される光学活性配位子とを混合することによって合成することもできる。
光学活性配位子は、水を添加したチタンテトラアルコキシド化合物またはチタンテトラアルコキシドに対して、チタン対光学活性配位子のモル分率で約0.5≦Ti/配位子≦4となる量で加えることができる。本発明の一実施形態においては、チタン対光学活性配位子のモル分率が約1≦Ti/配位子≦約3、たとえばTi/配位子=2であってよい。したがって、チタン対配位子の比をチタン側に移動させる、すなわち本発明のプロセスでは、触媒組成物が不斉配位子よりも多くチタンを含有する場合に、さらに良い収量を得ることができる。さらに、光学活性配位子は溶媒中に溶解させることができるし、溶解させずにそのまま加えることもできる。溶媒が使用される場合、溶媒は、水を加える上記ステップで使用される溶媒と同じ溶媒の場合もあり得るし異なる場合もあり得る。溶媒が新しく加えられる場合、その量はチタン原子1mmolを基準にして約1〜約5,000ml、好ましくは約1〜約500mlとすることができる。このとき、反応温度は特に限定されないが、化合物は通常、室温付近、たとえば15〜30℃において約5分〜約1時間または約30分〜約1時間撹拌することによって合成することができる。本発明のチタン化合物の合成は、好ましくは乾燥不活性ガス雰囲気下で行われる。不活性ガスの例としては、窒素、アルゴン、ヘリウムなどが挙げられる。反応混合物を撹拌した後で、本発明に係るチタン化合物が得られる。そのときに、反応の進行を順調にするために、溶媒を使用することができる。チタンオキソアルコキシド化合物または光学活性配位子のいずれか1つ、またはそれらの両方を溶解させた溶媒を使用することで、反応の進行が順調になる。この溶媒の例としては、ハロゲン化炭化水素溶媒、たとえばジクロロメタン、クロロホルムなど;ハロゲン化芳香族炭化水素溶媒、たとえばフルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼンなど;芳香族炭化水素溶媒、たとえばトルエン、キシレンなど;エステル溶媒、たとえば酢酸エチルなど;エステル溶媒、たとえば酢酸エチルなど;およびエーテル溶媒、たとえばテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタンなどが挙げられる。一実施形態においては、ハロゲン化炭化水素溶媒または芳香族炭化水素溶媒を使用することができる。さらなる一実施形態においては、アセトニトリルを使用することもできる。さらに別の一実施形態においては、上記溶媒の混合物を使用することもできる。
使用される溶媒の総量は、チタンオキソアルコキシド化合物中のチタン原子1mmolを基準にして約1〜約5,000mlまたは約10〜約500mlとすることができる。このときの温度は特に限定されないが、この反応は通常、室温付近、たとえば15〜30℃で行うことができる。触媒の調製に要する時間は約5分〜約1時間または約30分〜約1時間となりうる。
さらなる一実施形態においては、チタンオキソアルコキシド化合物と光学活性配位子とを溶媒中で混合することで触媒を調製する場合、アルコールを加えることもできる。加えられるアルコールの例としては、限定するものではないが脂肪族アルコールおよび芳香族アルコールが挙げられ、これらは任意に置換されていてもよく、1種類または2つ以上の種類を使用前に混合することができる。脂肪族アルコールとしては、1〜10個の炭素原子を有する直鎖状、分岐状、または環状のアルキルアルコールを使用することができる。例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記の直鎖状、分岐状、または環状のアルキルアルコールは、上述のように任意に置換されていてもよい。置換アルコールの例としては、クロロメタノール、2−クロロエタノール、トリフルオロメタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、パーフルオロエタノール、パーフルオロヘキシルアルコールなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。芳香族アルコールとしては、6〜20個の炭素原子を有するアリールアルコールを使用することができ、その例としてはフェノール、ナフトールなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。このアリールアルコールは任意に置換されていてもよい。その例としては、ペンタフルオロフェノール、ジメチルフェノール、トリメチルフェノール、イソプロピルフェノール、ジイソプロピルフェノール、tert−ブチルフェノール、ジ−tert−ブチルフェノールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらのアルコールを加えることによって触媒を調製する場合、そのアルコールの量は、前述のチタン化合物のチタン原子1molを基準にして約0.5〜約20molまたは約1〜約10molである。さらに、これらのアルコールは、前述のチタン化合物の合成時に加えることができる。これによって、不斉シアノ化反応中、高反応性および高光学収率を高い再現性で得ることができる。前述のように合成されるチタン化合物は、特別な精製作業を行わずにそのまま不斉触媒反応に使用することができる。特に、この化合物は、本発明に係るアルデヒドまたは非対称ケトンの不斉シアノ化反応に適している。
本発明の方法においては、出発物質として使用されるアルデヒドまたはケトンは、それらが分子中にカルボニル基を有するプロキラル化合物である限りは特に限定されず、所望の光学活性シアノヒドリンに対応して適宜選択することができる。
本発明の方法は、下記一般式(V)で表されるカルボニル化合物を出発物質として使用して対応する光学活性シアノヒドリンを合成する場合に特に好適である。
Figure 0005275335
上記一般式(V)中、RおよびR10は異なる基であり、それぞれが水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族複素環基、または非芳香族複素環基を表し、これらは任意に置換されていてもよい。さらに、RおよびR10は、任意に互いに結合して環を形成してもよい。
本発明の方法に使用されるアルデヒドは、たとえば、脂肪族アルデヒド、α,β−不飽和アルデヒド、または芳香族アルデヒドであってよい。本発明の方法の出発物質として使用することができるアルデヒドの例としては、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、ヘキサアルデヒド、ヘプタアルデヒド、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、デシルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、2−エチルヘキセナール、ピバルアルデヒド、2,2−ジメチルペンタナール、シクロプロパンカルボアルデヒド、シクロヘキサンカルボアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、(4−メトキシフェニル)アセトアルデヒド、3−フェニルプロピオンアルデヒド、ベンジルオキシアセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、3−メチルクロトンアルデヒド、メタクロレイン、trans−2−ヘキセナール、trans−シンナムアルデヒド、ベンズアルデヒド、o−、m−、またはp−トリルアルデヒド、2,4,6−トリメチルベンズアルデヒド、4−ビフェニルカルボアルデヒド、o−、m−、またはp−フルオロベンズアルデヒド、o−、m−、またはp−クロロベンズアルデヒド、o−、m−、またはp−ブロモベンズアルデヒド、2,3−、2,4−、または3,4−ジクロロベンズアルデヒド、4−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、3−または4−ヒドロキシベンズアルデヒド、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、o−、m−、またはp−アニスアルデヒド、4−メトキシベンズアルデヒド、3,4−ジメトキシベンズアルデヒド、3,4−(メチレンジオキシ)ベンズアルデヒド、m−またはp−フェノキシベンズアルデヒド、m−またはp−ベンジルオキシベンズアルデヒド、2,2−ジメチルクロマン−6−カルボアルデヒド、1−または2−ナフトアルデヒド、2−または3−フランカルボアルデヒド、2−または3−チオフェンカルボアルデヒド、1−ベンゾチオフェン−3−カルボアルデヒド、N−メチルピロール−2−カルボアルデヒド、1−メチルインドール−3−カルボアルデヒド、2−、3−または、4−ピリジンカルボアルデヒド、2−フルアルデヒド、チグリンアルデヒド、trans−2−ヘキセナールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のさらなる一実施形態においては、本発明の方法における出発物質として使用することができる非対称ケトンの例としては、2−ブタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン、イソプロピルメチルケトン、シクロペンチルメチルケトン、シクロヘキシルメチルケトン、フェニルアセトン、p−メトキシフェニルアセトン、4−フェニルブタン−2−オン(4−phenylbutane−2−on)、シクロヘキシルベンジルケトン、アセトフェノン、o−、m−、またはp−メチルアセトフェノン、4−アセチルビフェニル、o−、m−、またはp−フルオロアセトフェノン、o−、m−、またはp−クロロアセトフェノン、o−、m−、またはp−ブロモアセトフェノン、2',3'−、2',4'−、または3',4'−ジクロロアセトフェノン、m−またはp−ヒドロキシアセトフェノン、3',4'−ジヒドロキシアセトフェノン、o−、m−、またはp−メトキシアセトフェノン、3',4'−ジメトキシアセトフェノン、m−またはp−フェノキシアセトフェノン、3',4'−ジフェノキシアセトフェノン、m−またはp−ベンジルオキシアセトフェノン、3',4'−ジベンジルオキシアセトフェノン、2−クロロアセトフェノン、2−ブロモアセトフェノン、プロピオフェノン、2−メチルプロピオフェノン、3−クロロプロピオフェノン、ブチロフェノン、フェニルシクロプロピルケトン、フェニルシクロブチルケトン、フェニルシクロペンチルケトン、フェニルシクロヘキシルケトン、1−または2−アセナフトン、カルコン、1−インダノン、1−または2−テトラロン、4−クロマノン、trans−4−フェニル−3−ブテン−2−オン(trans−4−phenyl−3−butene−2−on)、2−または3−アセチルフラン、2−または3−アセチルチオフェン、2−、3−、または4−アセチルピリジンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本製造工程に使用されるアルデヒドまたは非対称ケトンの量は重要というわけではない。しかしその濃度が増加するによって、反応速度が増加するが、エナンチオ選択性は低下する場合があることに留意されたい(実施例6参照)。
本発明の方法においては、シアン化水素、アセトンシアノヒドリン、シアノギ酸エステル、シアン化アセチル、ジアルキルシアノホスフェート、シアン化トリアルキルシリル、シアン化カリウム−酢酸、およびシアン化カリウム−無水酢酸から選択される少なくとも1つの種類であってよいシアノ化剤を使用することができる。シアノ化剤は、アルデヒドまたは非対称ケトンの量を基準にして、すなわちアルデヒドまたは非対称ケトン1molを基準にして、約1〜約3molの量、または約1.05〜約2.5molの量、または約1.5〜約2.5molの量で使用することができる。
本発明の代表的な一実施形態においては、シアノ化剤は、シアノギ酸メチルまたはシアノギ酸エチルである。シアノギ酸エステルは、TMSCNより安価であり、毒性が低く、加水分解が起こりにくく、そのため取り扱いが容易であるため、代替シアノ化剤として魅力的である。さらに、結果として得られる炭酸シアノヒドリンは、シアノヒドリンTMSエーテルよりも安定であり、加水分解が起こりにくい。
本発明のシアノ化反応は、ルイス塩基によってさらに触媒される。ルイス塩基は、電子対を供与することによって新しい配位共有結合を形成することができるあらゆる分子またはイオンであり、すなわち結合性軌道に孤立電子対を有するあらゆる分子がルイス塩基として機能することができる。本発明における活性化に有用となる好適なルイス塩基としては、限定するものではないが、NR111213、O=NR111213、ジアルキルアミノピリジン、ジアリールアミノピリジン、およびN,N,N,N−テトラメチルエチレンジアミンを挙げることができ、上式中、R11、R12、およびR13は独立に、水素、アルキル、およびアリールからなる群より選択される。本発明の一実施形態においては、ルイス塩基はトリエチルアミンまたは4−ジメチルアミノピリジンであってよい。本発明の反応において不斉ルイス塩基を使用することもできる。このような不斉ルイス塩基の例としては、(−)−シンコニジン、(+)−シンコニン、および(−)−スパルテインを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
ルイス塩基は、シアノ化反応を効率的に促進することができるあらゆる好適な量で使用することができる。ルイス塩基は、本発明のプロセスにおいて使用されるアルデヒドまたは非対称ケトンの量に対して約1〜約10mol%の量で使用することができる。本発明の一実施形態においては、アルデヒドまたは非対称ケトンの量に対して約1〜約5mol%、たとえば約1〜約3mol%のルイス塩基を使用することができる。好適なルイス塩基の使用によって、反応性が増加し、したがってアルデヒドまたは非対称ケトンからそれぞれのシアノヒドリンへの転化率が高くなり鏡像体過剰率(ee)も増加する。たとえば、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)を使用すると、実例の反応において85%の転化率および72%eeの鏡像体過剰率を得ることができることが分かった。ルイス塩基添加剤を使用しないとアルデヒドによるシアノ化が起こらないことも発見した。さらなる実例の結果は実施例21から得ることができる。さらに、たとえば、DMAPの使用量が約10mol%またはそれを超えると、反応速度が速くなるが、エナンチオ選択性は低下すると考えられる点に留意されたい(実施例5参照)。
さらに、本発明の方法に使用される前述の光学活性触媒、すなわちチタン化合物の量は、アルデヒドまたは非対称ケトンの量に対して、すなわちアルデヒドまたは非対称ケトン1molを基準にして、チタン原子換算で約0.01〜約30mol%または約1〜約10.0mol%の範囲内とすることができる。本発明の一実施形態においては、アルデヒドまたは非対称ケトンの量に対してチタン原子換算で約3〜約5mol%の光学活性触媒が使用される。
本発明の方法の一実施形態においては、調製工程中に溶媒を使用することができる。溶媒の例としては、ハロゲン化炭化水素溶媒、たとえばジクロロメタン、クロロホルムなど;ハロゲン化芳香族炭化水素溶媒、たとえばクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼンなど;芳香族炭化水素溶媒、たとえばトルエン、キシレンなど;エステル溶媒、たとえば酢酸エチルなど;およびエーテル溶媒、たとえばテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の一実施形態においては、ハロゲン化炭化水素溶媒または芳香族炭化水素溶媒が使用される。さらなる一実施形態においては、アセトニトリルを使用することもできる。さらに、これらの溶媒は、単独で、または混合溶媒として組み合わせて使用することができる。使用される溶媒の総量は、基質のアルデヒドまたは非対称ケトン1mmolを基準にして約1〜約20ml、たとえば約5〜約10mlとすることができる。
本発明の反応は、本発明に従い合成されたチタン化合物の溶液に適切な溶媒を加え、その混合物を室温において好適な時間、たとえば約30分撹拌することによって行うことができる。次に基質のアルデヒド、シアノ化剤およびルイス塩基を順に加え、それを反応させるため、得られた溶液を、約−10〜40℃または後述の任意の温度で好適な時間、たとえば約30分〜約24時間、たとえば約1時間〜約24時間または約1時間〜約20時間撹拌する。
前述したように、ルイス塩基およびチタン化合物の存在下でのアルデヒドまたは非対称ケトンとシアノ化剤との反応は、約−10℃〜約40℃の温度範囲で行うことができる。この温度は、調製工程中に使用される化合物、すなわちアルデヒドまたは非対称ケトン、ルイス塩基、シアノ化剤、ならびにチタン化合物に依存して選択することができる。本発明の一実施形態においては、この反応は室温、たとえば約15℃〜約30℃の間の温度または20℃〜約25℃の間の温度で行うことができる。
本発明の製造工程により、シアノヒドリン誘導体の製造の種々の側面が従来技術よりも改善される。第1に、それぞれのアルデヒドまたは非対称ケトンのより高い転化率をより少ない触媒で達成することができる。第2に、より短時間でより高いエナンチオ選択性を実現することができる。第3に、反応は、冷却不要で行うことができるだけでなく、室温または高温で行うことができる。本発明の製造工程により、少なくとも最大85%のアルデヒドまたは非対称ケトンの転化率を実現することができる。さらなる実施形態においては、少なくとも最大95%の転化率を達成することができる。しかし当然ながら、従来技術の周知のプロセスよりも短時間でそれぞれの転化を行うことができる場合、より低い転化率を有することもありうる。
前述したように、本発明のプロセスによって典型的には、転化反応のエナンチオ選択性を改善することができる。「エナンチオ選択性」は、化学反応において一方の鏡像異性体が他方よりも優先的に形成されることである。これは鏡像体過剰率によって定量的に表現される。本発明のプロセスを使用すると、>約65%eeの鏡像体過剰率を実現することができる。一実施形態においては、シアノヒドリンを>約80%eeの鏡像体過剰率で得ることができる。個別の反応の値は以下の実施例にて分かる。配位子のeeと生成物のeeとの間に正および中程度の相関が存在し、すなわち、使用される遊離体(配位子)の鏡像体純度が増加すると生成物(シアノヒドリン)のeeが増加することに留意されたい。さらに、特定のアルデヒドまたはケトンの場合にee<65%となる場合もあるが、このeeは従来技術の製造工程で実現可能なeeよりも、大きいことに留意されたい。
本発明においては、室温においてシアノギ酸エステルを使用したアルデヒドの不斉シアノ化は、特に脂肪族アルデヒドの場合に高い転化率およびエナンチオ選択性で実現されている。芳香族およびα,β−不飽和アルデヒドの場合にも高い転化率および中程度から良好なエナンチオ選択性が得られている。
本発明の不斉シアノ化反応は、医薬品および農薬化学製品、ならびに機能性材料の分野で有用な化合物である光学活性シアノヒドリンの生成に使用することができる。
以下の実験的実施例は本発明をさらに説明するために提供するものであり、本発明の範囲の限定を意図したものではない。
不斉シアノ化反応の生成物は、質量分析(シマズLC−20ATタンデム質量分析計(Shimadzu LC−20AT Tandem Mass Spectrometer)を使用したESI−MS)によって、およびH NMRスペクトル(CDClを溶媒として使用してブルカー400ウルトラシールド(Bruker 400 UltraShield)測定器上で記録)を文献で報告されるスペクトルと比較することによって同定した。不斉シアノ化反応の転化率および収率は、ガスクロマトグラフィー(アジレント(Agilent)6890N)をキラルデックス(CHIRALDEX)G−TAキラルカラム上で使用し、ドデカンを内部標準として使用することによって求めた。生成物の絶対配置は、シアノヒドリンO−カーボネートあるいは対応するシアノヒドリンO−アセテートまたはシアノヒドリンO−TMSエーテルに関して文献に報告される特定の回転と(ジャスコ(Jasco)P−1030旋光計を使用して)比較することによって求めた。チタンテトラ−n−ブトキシド(フルカ(Fluka)製)、4−ジメチルアミノピリジン(フルカ製)、四ホウ酸ナトリウム十水和物(カントウ(Kanto)製)、および無水ジクロロメタン(カントウ製)は、さらに精製せずに直接使用した。シアノギ酸エチル(アクロス・オーガニクス(Acros Organics)製)およびアルデヒド類は、好ましくは使用前に蒸留した。すべての反応は窒素雰囲気下で行った。
(実施例1)チタンテトラ−n−ブトキシドの部分加水分解物の溶液の調製
a)チタンテトラ−n−ブトキシド(0.170g、0.500mmol)および四ホウ酸ナトリウム十水和物(0.0191g、0.0500mmol)を無水ジクロロメタン(3ml)中200rpmで室温において48時間撹拌した。得られた混合物を、0.2μmPTFE膜を介して10.0mlメスフラスコ中に濾過した。これを標線まで無水ジクロロメタンで希釈した。次に、部分的に加水分解したチタン前駆体溶液(0.050M)を試料瓶に移し、室温で撹拌した。
b)チタンテトラ−n−ブトキシド(0.170g、0.500mmol)および四ホウ酸ナトリウム十水和物(0.0238g、0.0625mmol)を無水ジクロロメタン(3ml)中200rpmで室温において20時間撹拌した。得られた混合物を、0.2μmPTFE膜を介して10.0mlメスフラスコ中に濾過した。これを標線まで無水ジクロロメタンで希釈した。次に、部分的に加水分解したチタン前駆体溶液(0.050M)を試料瓶に移し、室温で撹拌した。
(実施例2)チタン触媒の調製
5.0mlのメスフラスコに、不斉配位子の(S)−2−(N−3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)アミノ−3−メチル−1−ブタノール(0.0160g、0.0501mmol)を無水ジクロロメタン(2.5ml)に加えて調製した溶液に対し、実施例1で調製したチタンテトラ−n−ブトキシドの部分加水分解物(0.050M、1.0ml、0.050mmol)を加えた。これを標線まで無水ジクロロメタンで希釈した。次にこのチタン触媒溶液(0.010M)を試料瓶に移し、室温において1000rpmで30分間撹拌した。
(実施例3)不斉シアノ化の基本手順
脂肪族アルデヒドの場合:
実施例2で調製したチタン触媒溶液(0.010M、1.0ml、0.010mmol)を無水ジクロロメタン(1.0ml)に加えた。脂肪族アルデヒド(0.20mmol)をチタン触媒に加えた後、シアノギ酸エチル(0.040ml、0.40mmol)を加えた。その後、得られた混合物に、新しく調製した4−ジメチルアミノピリジンの無水ジクロロメタン溶液を(0.20M、0.020ml、0.0040mmol)を加え、室温で24時間撹拌した。その混合物に内部標準としてドデカン(0.034ml、0.15mmol)を加えた。その混合物をGC(Gas Chromatohraphy)によって分析した。粗生成物は、ヘキサン−酢酸エチルを溶離液として使用するシリカカラムクロマトグラフィーによって後で精製することができる。
芳香族アルデヒドの場合:
追加の1.0mlの無水ジクロロメタンは不要であり、0.0020mmolの4−ジメチルアミノピリジンを加えたことのみを除けば、この手順は脂肪族アルデヒドの場合の手順と同様である。
α,β−不飽和アルデヒドの場合:
0.0040mmolの4−ジメチルアミノピリジンを加えたことを除けば、この手順は芳香族アルデヒドの場合の手順と同様である。
(実施例4)ルイス塩基の効果
本発明の調製工程におけるルイス塩基添加剤の使用の効果は、以下の表1に見ることができ、この表1は、個別のルイス塩基で得られる調製工程の結果を示している。これらの結果は、ルイス塩基添加剤の使用によって、請求項上の製造工程の反応性を改善することができることを示している。たとえば、4−ジメチルアミノピリジンの使用によって85%の転化率および72%eeの鏡像体過剰率が得られる。添加剤がない場合にはアルデヒドのシアノ化が起こらなかったことが示されている。
Figure 0005275335
Figure 0005275335
(実施例5)DMAP、シアノギ酸エチル、およびTi触媒の量の効果
この実施例は、本発明の調製プロセスにおけるDMAP(ルイス塩基)、シアノギ酸エチル、およびTi触媒の効果を示す。以下の表2に示すように、触媒使用量が>5mol%の場合にはエナンチオ選択性の有意な増加が起こらず、一方触媒使用量が<5mol%の場合には反応速度およびエナンチオ選択性が低下している。DMAPの使用量が増加すると、反応速度は速くなるがエナンチオ選択性は低下する。さらに、シアノギ酸エチルの量が減少すると、反応速度が低下し、エナンチオ選択性も低下する。
Figure 0005275335
Figure 0005275335
(実施例6)基質濃度の効果
この実施例においては、本調製工程における基質濃度の変化の効果を試験した。ヘプタナールを試験化合物として使用した。表3から分かるように、基質濃度が増加すると、反応速度が増加するが、エナンチオ選択性は低下する。したがって、本プロセスで使用される化合物濃度が、十分なエナンチオ選択性を得ることに関して影響を与えると思われる。
Figure 0005275335
Figure 0005275335
(実施例7)反応温度の効果
前述したように、従来技術の工程と比較した評価温度で本発明のシアノ化工程を行うことができる。表4から分かるように、0℃またはさらには室温(25℃)における反応で、試験化合物のヘプタナールに関して高転化率および優れた鏡像体過剰率が得られる。反応温度が低いとエナンチオ選択性が低下する。
Figure 0005275335
Figure 0005275335
(実施例8)
この実施例においては、ヘプタナールを脂肪族アルデヒドのモデル基質として使用し、最適反応条件を脂肪族アルデヒドの不斉シアノ化に使用する。表5の結果は、室温で行った本発明のシアノ化プロセスによって、高い鏡像体過剰率で脂肪族アルデヒドがほぼ完全に転化したことを示している。
Figure 0005275335
Figure 0005275335
(実施例9)芳香族アルデヒドの不斉シアノ化
ベンズアルデヒドを芳香族アルデヒドのモデル基質として使用し、最適反応条件を芳香族アルデヒドの不斉シアノ化に使用した。ベンズアルデヒドの不斉シアノ化の最適条件は、種々のパラメーターでスクリーニングを行うことによって求めた。
Figure 0005275335
Figure 0005275335
Figure 0005275335
Figure 0005275335
(実施例10)α,β−不飽和アルデヒドの不斉シアノ化
また、以下の化学反応式にしたがってα,β−不飽和アルデヒドの試験も行った。この種類のアルデヒドもそれぞれのシアノヒドリンに対して高いeeで転化できる結果を示している。
Figure 0005275335
Figure 0005275335
(実施例11)不斉配位子の使用量を少なくした場合
この実施例においては、不斉配位子の使用量を少なくした場合の効果を試験した。好ましいTi:配位子比は約1:1であるが、使用されるキラル配位子の量をTi:配位子の比が約2:1になるまで減少させても、チタンテトラブトキシドの好適な部分加水分解物が使用されるのであれば、依然として転化率およびエナンチオ選択性に関して今までと同様の触媒性能を得ることができる。表10の結果はこの結果を裏付けている。
Figure 0005275335
Figure 0005275335
は、ドデカンを内部標準として使用したGC分析によって測定した
は、キラルデックスG−TAキラルカラム上のGC分析によって測定した
絶対配置は、シアノヒドリンO−カーボネートあるいは対応するシアノヒドリンO−アセテートまたはシアノヒドリンO−TMSエーテルに関して報告される特定の回転と比較することによって決定した
ND−測定せず
参考文献
以下の参考文献が本出願において引用されている。
Figure 0005275335

Claims (30)

  1. アルデヒドまたは非対称ケトンとシアノ化剤との反応を、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルアミンおよびN,N,N,N−テトラメチルエチレンジアミンから選択されるルイス塩基と、チタンテトラアルコキシドの部分加水分解物および下記一般式(III)で表される光学活性配位子、あるいは下記一般式(I)で表されるチタンオキソアルコキシド化合物および前記下記一般式(III)で表される光学活性配位子から生成されるチタン化合物との存在下で、行う工程を含み、
    前記部分加水分解物は、チタンテトラアルコキシド化合物1molを基準にして、0.1〜2.0molの水を反応させて得られる、光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法。
    Figure 0005275335
    (上式中、Rは、任意の置換アルキル基または任意の置換アリール基であり;xは2以上の整数であり;yは1以上の整数であり;y/xは0.1<y/x≦1.5を満たす。)
    Figure 0005275335
    (上式中、R、R、R、およびRは独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族複素環基、非芳香族複素環基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基であってもよく、これらは任意にシアノ、ニトロ、OH、アルコキシ基、アミノ基、シリル基、またはシロキシ基で置換されていてもよく、RおよびRの少なくとも1つは水素ではなく、RおよびRは互いに結合して、4〜8個の炭素原子を有する任意に置換された環を形成してもよく、で示される炭素原子の両方または少なくとも1つが不斉中心となる。)
  2. 前記チタンテトラアルコキシドの部分加水分解物から生成される前記チタン化合物が、1molの前記チタンテトラアルコキシドと、2mol未満の水および前記一般式(III)で表される光学活性配位子との反応から得られる、請求項1に記載の光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法。
  3. 前記光学活性配位子が、下記化学式からなる群より選択される、請求項1または2に記載の光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法。
    Figure 0005275335
    Figure 0005275335
  4. 前記光学活性配位子が、下記化学式からなる群より選択される、請求項1から3のいずれかに記載の光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法。
    Figure 0005275335
  5. 前記チタンテトラアルコキシド化合物が、下記一般式(IV)で表される、請求項1からのいずれかに記載の光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法。
    Figure 0005275335
    (上式中、Rは、任意の置換アルキル基または任意の置換アリール基である。)
  6. 前記チタンテトラアルコキシド化合物が、Ti(OMe)、Ti(OEt)、Ti(OPr、およびTi(OBuからなる群より選択される、請求項に記載の光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法。
  7. 水源が、HO、Na・10HO、NaSO・10HO、MgSO・7HO、NaPO・12HO、CuSO・5HO、FeSO・7HO、AlNa(SO・12HO、AlK(SO・12HO、および水含有モレキュラーシーブからなる群より選択される、請求項1からのいずれかに記載の光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法。
  8. 前記アルデヒドまたは前記非対称ケトンが、下記一般式(V)で表される、請求項1からのいずれかに記載の光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法。
    Figure 0005275335
    (上式中、RおよびR10は異なる基であり、それぞれが水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族複素環基、または非芳香族複素環基を表し、これらは任意に置換されていてもよく、RおよびR10は、互いに結合して環を形成してもよい。)
  9. 前記アルデヒドが、脂肪族アルデヒド、α,β−不飽和アルデヒド、および芳香族アルデヒドからなる群より選択される、請求項に記載の光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法。
  10. 前記アルデヒドが、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、ヘキサアルデヒド、ヘプタアルデヒド、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、デシルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、2−エチルヘキセナール、ピバルアルデヒド、2,2−ジメチルペンタナール、シクロプロパンカルボアルデヒド、シクロヘキサンカルボアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、(4−メトキシフェニル)アセトアルデヒド、3−フェニルプロピオンアルデヒド、ベンジルオキシアセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、3−メチルクロトンアルデヒド、メタクロレイン、trans−2−ヘキセナール、trans−シンナムアルデヒド、ベンズアルデヒド、o−、m−、またはp−トリルアルデヒド、2,4,6−トリメチルベンズアルデヒド、4−ビフェニルカルボアルデヒド、o−、m−、またはp−フルオロベンズアルデヒド、o−、m−、またはp−クロロベンズアルデヒド、o−、m−、またはp−ブロモベンズアルデヒド、2,3−、2,4−、または3,4−ジクロロベンズアルデヒド、4−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、3−または4−ヒドロキシベンズアルデヒド、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、o−、m−、またはp−アニスアルデヒド、3,4−ジメトキシベンズアルデヒド、3,4−(メチレンジオキシ)ベンズアルデヒド、m−またはp−フェノキシベンズアルデヒド、m−またはp−ベンジルオキシベンズアルデヒド、2,2−ジメチルクロマン−6−カルボアルデヒド、1−または2−ナフトアルデヒド、2−または3−フランカルボアルデヒド、2−または3−チオフェンカルボアルデヒド、1−ベンゾチオフェン−3−カルボアルデヒド、N−メチルピロール−2−カルボアルデヒド、1−メチルインドール−3−カルボアルデヒド、2−、3−、および4−ピリジンカルボアルデヒドからなる群より選択される、請求項に記載の光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法。
  11. 前記非対称ケトンが、2−ブタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン、イソプロピルメチルケトン、シクロペンチルメチルケトン、シクロヘキシルメチルケトン、フェニルアセトン、p−メトキシフェニルアセトン、4−フェニルブタン−2−オン、シクロヘキシルベンジルケトン、アセトフェノン、o−、m−、またはp−メチルアセトフェノン、4−アセチルビフェニル、o−、m−、またはp−フルオロアセトフェノン、o−、m−、またはp−クロロアセトフェノン、o−、m−、またはp−ブロモアセトフェノン、2',3'−、2',4'−、または3',4'−ジクロロアセトフェノン、m−またはp−ヒドロキシアセトフェノン、3',4'−ジヒドロキシアセトフェノン、o−、m−、またはp−メトキシアセトフェノン、3',4'−ジメトキシアセトフェノン、m−またはp−フェノキシアセトフェノン、3',4'−ジフェノキシアセトフェノン、m−またはp−ベンジルオキシアセトフェノン、3',4'−ジベンジルオキシアセトフェノン、2−クロロアセトフェノン、2−ブロモアセトフェノン、プロピオフェノン、2−メチルプロピオフェノン、3−クロロプロピオフェノン、ブチロフェノン、フェニルシクロプロピルケトン、フェニルシクロブチルケトン、フェニルシクロペンチルケトン、フェニルシクロヘキシルケトン、1−または2−アセナフトン、カルコン、1−インダノン、1−または2−テトラロン、4−クロマノン、trans−4−フェニル−3−ブテン−2−オン、2−または3−アセチルフラン、2−または3−アセチルチオフェン、2−、3−、および4−アセチルピリジンからなる群より選択される、請求項に記載の光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法。
  12. 前記シアノ化剤が、シアン化水素、アセトンシアノヒドリン、シアノギ酸エステル、シアン化アセチル、ジアルキルシアノホスフェート、シアン化トリアルキルシリル、およびシアン化ベンゾイルからなる群より選択される、請求項1から11のいずれかに記載の光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法。
  13. 前記シアノ化剤が、シアノギ酸メチルまたはシアノギ酸エチルである、請求項12に記載の光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法。
  14. 前記シアノ化剤が、前記アルデヒドまたは前記非対称ケトンの量に対して、1〜3molの量で使用される、請求項12または13に記載の光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法。
  15. 前記シアノ化剤が、前記アルデヒドまたは前記非対称ケトンの量に対して、1.5〜2.5molの量で使用される、請求項14に記載の光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法。
  16. 前記アルデヒドまたは前記非対称ケトンの量に対して、1〜10mol%の前記ルイス塩基が使用される、請求項に記載の光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法。
  17. 前記アルデヒドまたは前記非対称ケトンの量に対して、1〜5mol%の前記ルイス塩基が使用される、請求項に記載の光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法。
  18. 前記アルデヒドまたは前記非対称ケトンの量に対して、1〜3mol%の前記ルイス塩基が使用される、請求項に記載の光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法。
  19. 前記反応が、−10℃〜40℃の温度範囲内で行われる、請求項1から16のいずれかに記載の光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法。
  20. 前記反応が、15℃〜30℃の間の温度で行われる、請求項17に記載の光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法。
  21. 前記反応が、20℃〜25℃の間の温度で行われる、請求項20に記載の光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法。
  22. 前記アルデヒドまたは前記非対称ケトンの転化率が、少なくとも85%である、請求項1から21のいずれかに記載の光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法。
  23. 前記転化率が、少なくとも95%である、請求項22に記載の光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法。
  24. 前記シアノヒドリンが、65%eeより大きい鏡像体過剰率で得られる、請求項1から23のいずれかに記載の光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法。
  25. 前記シアノヒドリンが、80%eeより大きい鏡像体過剰率で得られる、請求項24に記載の光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法。
  26. 前記光学活性配位子に対するチタンのモル分率が、0.5≦Ti/配位子≦4である、請求項1から25のいずれかに記載の光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法。
  27. 前記光学活性配位子に対するチタンのモル分率が、1≦Ti/配位子≦3である、請求項1から26のいずれかに記載の光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法。
  28. 前記光学活性配位子に対するチタンのモル分率が、Ti/配位子=2である、請求項1から27のいずれかに記載の光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法。
  29. 前記アルデヒドまたは前記非対称ケトンの量に対して、前記チタン原子換算で1〜10mol%の前記光学活性触媒が使用される、請求項1から28のいずれかに記載の光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法。
  30. 前記アルデヒドまたは前記非対称ケトンの量に対して、前記チタン原子換算で3〜5mol%の前記光学活性触媒が使用される、請求項29に記載の光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法。
JP2010500883A 2007-03-29 2007-03-29 光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法 Expired - Fee Related JP5275335B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/SG2007/000084 WO2008121074A1 (en) 2007-03-29 2007-03-29 Method of producing an optically active cyanohydrin derivative

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010522749A JP2010522749A (ja) 2010-07-08
JP5275335B2 true JP5275335B2 (ja) 2013-08-28

Family

ID=38754510

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010500883A Expired - Fee Related JP5275335B2 (ja) 2007-03-29 2007-03-29 光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法
JP2010500884A Expired - Fee Related JP5427167B2 (ja) 2007-03-29 2007-09-28 チタン化合物およびイミンの不斉シアノ化方法

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010500884A Expired - Fee Related JP5427167B2 (ja) 2007-03-29 2007-09-28 チタン化合物およびイミンの不斉シアノ化方法

Country Status (6)

Country Link
US (3) US20100179343A1 (ja)
EP (3) EP2132155A4 (ja)
JP (2) JP5275335B2 (ja)
KR (1) KR20100015955A (ja)
CN (3) CN101663256A (ja)
WO (2) WO2008121074A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008121074A1 (en) * 2007-03-29 2008-10-09 Agency For Science, Technology And Research Method of producing an optically active cyanohydrin derivative
JP5426556B2 (ja) * 2007-09-28 2014-02-26 エージェンシー フォー サイエンス,テクノロジー アンド リサーチ イミンの不斉シアノ化方法
WO2010093327A1 (en) * 2009-02-11 2010-08-19 Agency For Science, Technology And Research Titanium compounds and process for cyanation of imines
JP5501701B2 (ja) * 2009-09-09 2014-05-28 三井化学株式会社 イミンの不斉シアノ化方法
WO2011145352A1 (ja) * 2010-05-20 2011-11-24 三井化学株式会社 チタン含有触媒、及び光学活性シアノ化合物を製造する方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2794743A1 (fr) * 1999-06-09 2000-12-15 Aventis Cropscience Sa Nouveau procede de preparation d'alpha-aminonitriles optiquement actifs
GB0018973D0 (en) * 2000-08-02 2000-09-20 King S College London Synthesis of chiral cyanohydrins
MY148809A (en) * 2004-07-06 2013-05-31 Eisai R&D Man Co Ltd Crystals of 1,2-dihydropyridine compound and their production process
EP1806336B1 (en) 2004-10-15 2009-09-30 Mitsui Chemicals, Inc. Titanium compound and method for producing optically active cyanohydrins
JP4834545B2 (ja) * 2005-02-18 2011-12-14 独立行政法人科学技術振興機構 光学活性なエポキシ化合物の製造方法、並びに該方法に用いる錯体及びその製造方法
WO2008121074A1 (en) * 2007-03-29 2008-10-09 Agency For Science, Technology And Research Method of producing an optically active cyanohydrin derivative
WO2010093327A1 (en) * 2009-02-11 2010-08-19 Agency For Science, Technology And Research Titanium compounds and process for cyanation of imines

Also Published As

Publication number Publication date
EP2132155A4 (en) 2010-05-05
KR20100015955A (ko) 2010-02-12
EP2137197A1 (en) 2009-12-30
JP2010522636A (ja) 2010-07-08
JP5427167B2 (ja) 2014-02-26
US20100179343A1 (en) 2010-07-15
US20100249443A1 (en) 2010-09-30
US20100185000A1 (en) 2010-07-22
CN101848916A (zh) 2010-09-29
EP2132155A1 (en) 2009-12-16
CN101663256A (zh) 2010-03-03
WO2008121076A1 (en) 2008-10-09
CN101687890A (zh) 2010-03-31
EP2190851A1 (en) 2010-06-02
JP2010522749A (ja) 2010-07-08
WO2008121074A1 (en) 2008-10-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Li et al. Effective and recyclable dendritic catalysts for the direct asymmetric Michael addition of aldehydes to nitrostyrenes
Rossi et al. Biheteroaromatic diphosphine oxides-catalyzed stereoselective direct aldol reactions
JP4758907B2 (ja) チタン化合物及び光学活性シアノヒドリン類の製造法
JP5275335B2 (ja) 光学活性シアノヒドリン誘導体の製造方法
Hayashi et al. The chiral diamine mediated asymmetric Baylis–Hillman reaction
Chen et al. Highly efficient direct a larger-scale aldol reactions catalyzed by a flexible prolinamide based-metal Lewis acid bifunctional catalyst in the presence of water
US7323604B2 (en) Hydride reduction of α,β-unsaturated carbonyl compounds using chiral organic catalysts
JP5426556B2 (ja) イミンの不斉シアノ化方法
Konda et al. Enantioselective anti-Mannich reaction catalyzed by modularly designed organocatalysts
JP2009023927A (ja) 光学活性シアノヒドリンの製造方法
JP4357332B2 (ja) 光学活性ニトロアルコール類の製造法
JP5364800B2 (ja) チタン化合物およびイミンのシアノ化プロセス
JP2003146978A (ja) シス−β構造を有するサレンコバルト錯体を用いる光学活性なラクトン化合物の製造方法
JP3883972B2 (ja) ヒドロキシケトン化合物の製造方法
JP5179430B2 (ja) 光学活性アルコールの製造方法
JP2011105608A (ja) 光学活性シアノヒドリン類の製造方法
Ishimaru et al. Mannich-Type Reactions of Aldimines and Hetero Diels-Alder Reactions of Aldehydes Catalyzed by Anion-Type Lewis Bases Derived from a Single Molecule
JP5750667B2 (ja) 光学活性アルコールの製造方法
Ishihara et al. Chiral Brønsted/Lewis Acid Catalysts
Ohshima et al. Group 13–Alkali Metal Heterobimetallic Asymmetric Catalysis
JP2006022046A (ja) 光学活性なβ−ヒドロキシ−α−アミノ酸誘導体の製造方法
KR20100015879A (ko) 티타늄 화합물 및 이민의 비대칭 시안화 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120530

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120612

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20120903

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20120910

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121109

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121204

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20130301

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20130308

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130403

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130507

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130515

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees