JP5275220B2 - ハロゲンを含む有機樹脂の燃焼時の発煙抑止剤 - Google Patents

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Description

本発明は、ハロゲンを含む有機樹脂の加熱燃焼時の発煙抑止機能を有する発煙抑止剤及び該発煙抑止剤を含有する有機樹脂組成物に関する。
一般に有機樹脂系材料の多くは易燃性であり、難燃性に劣るため使用範囲が大きく限定されてしまう。難燃性に優れる樹脂として、塩化ビニル樹脂などのハロゲンを含む有機樹脂が広く使用されているが、この場合にもその燃焼時には発煙性を有するので、より高い難燃性を与えるとともに発煙抑止剤が必要とされる。
従来、有機樹脂の難燃性を向上させ、また、発煙性を抑止させる材料として、種々のものが提案されている。例えば、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の脱水時の吸熱効果を利用した金属水酸化物;デカブロモジフェニルオキシドや塩素化パラフィンに代表される、臭素、塩素等の難燃性元素を含む化合物;酸化モリブデンや三酸化アンチモン等の特に燃焼時の発煙抑制に効果がある金属酸化物;等も使用されている。
また、低融点ガラスは加熱時サンプル表面にガラス質の被膜を作り、酸素を遮断する機能があるため難燃剤として有効である。たとえば、特許文献1には、イオウ成分をSO3換算で40モル%以上含む低融点ガラスをポリマーに混入することが開示されている。しかし、このガラスには、耐水性が低いという問題がある。
また、特許文献2、及び特許文献3には、耐水性が良好な硫酸塩を含んだリン酸塩ガラスが塩化ビニル系樹脂の燃焼時の発煙抑制効果が高いことが記載されている。さらに、特許文献4には、平均粒径が0.5μm以上で、5.0μmよりも小さく、且つ比表面積が1.5m/cm以上であって、200℃より高く、400℃より低いガラス転移点を有するガラスパウダーが樹脂組成物に優れた難燃性を付与することが記載されている。
米国特許第4544695号明細書 特開平09−003335号公報 特開平10−101364号公報 特開2006−62945号公報
従来の特許文献1〜特許文献3の低融点ガラスは、いずれもホウ素を必須の成分として含むため、近年の環境対応でホウ素を含まないガラスの要求にこたえることができない。また、特許文献4には、ホウ素を含まないガラスが開示されているが、塩素を含む樹脂については、実施例においてその効果が明確に開示されてない。
本発明は、ホウ素を含まず、耐水性に優れる、特定の組成からなる低融点のリン酸塩ガラスを含む、ハロゲンを含む有機樹脂を加熱燃焼した際の発煙抑止機能を良好に発現する発煙抑止剤、及び該発煙抑止剤を含有する成形性に優れた有機樹脂含有組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、ホウ素を含まないガラス組成として、ZnO、及びPを特定割合で含み、加えて、SO及びアルカリ金属である、LiO、NaO、及びKOを特定割合で含有するリン酸塩ガラスが、ハロゲンを含む有機樹脂との成形体を加熱燃焼した際に優れた発煙抑止機能を発現することを見出した。
本発明は、かかる新規な知見に基づき達成されたものであり、下記を特徴とする要旨を有する。
1.酸化物基準のモル%表示で次の組成を有し、かつ、400℃以下のガラス転移点を有するリン酸塩ガラスを含むことを特徴とするハロゲンを含む有機樹脂の燃焼時の発煙抑止剤。
25:20〜40%、ZnO:56〜65%、SO3:0.5〜12%、Li2O+Na2O+K2O:3〜20%、但し、Li2O:0〜5%、Na2O:3〜15%、K2O:0〜10%。
2.リン酸塩ガラスが、酸化物基準のモル%表示で次の組成を有する上記1に記載の発煙抑止剤。
:25〜35%、ZnO:57〜60%、SO:1〜8%、LiO+NaO+KO:5〜10%(但し、LiO:0〜5%、NaO:4〜9%、KO:1〜6%)。
3.リン酸塩ガラスが、平均粒径(D50)が0.5〜20μmの粉末である上記1又は2に記載の発煙抑止剤。
4.ハロゲンを含む有機樹脂100質量部に対して1〜200質量部添加されて使用される上記1〜3のいずれかに記載の発煙抑止剤。
5.ハロゲンを含む有機樹脂が、塩素を含む有機樹脂である上記1〜4のいずれかに記載の発煙抑止剤。
6.ハロゲンを含む有機樹脂100質量部に対して、上記1〜5のいずれかに記載の発煙抑止剤を1〜200質量部を含有するハロゲンを含む有機樹脂組成物。
7.上記6に記載のハロゲンを含む有機樹脂組成物を成形してなる成形品。ハロゲンを含む有機樹脂100質量部に対して、上記1に記載のリン酸塩ガラスを1〜200質量部を含有するハロゲンを含む有機樹脂組成物。
本発明によれば、ホウ素を含まず、耐水性に優れる、特定の組成からなる低融点のリン酸塩ガラスを含む、ハロゲンを含む有機樹脂を加熱燃焼した際の発煙抑止機能を良好に発現する発煙抑止剤、及び該発煙抑止剤を含有する成形性に優れた有機樹脂含有組成物が提供される。
本発明のハロゲンを含む有機樹脂の燃焼時の発煙抑止剤に含有されるリン酸塩ガラスは、酸化物基準のモル%表示(以下、特に断りのない限り、「%」はモル%である)で下記の組成を有する。
:20〜40%、ZnO:56〜65%、SO:0.5〜18%、LiO+NaO+KO:3〜20%(但し、LiO:0〜5%、NaO:3〜15%、KO:0〜10%)を有する。
なかでも、本発明で好ましいリン酸塩ガラスは、P:25〜35%、ZnO:57〜60%、SO:1〜12%、LiO+NaO+KO:5〜10%(但し、LiO:0〜5%、NaO:4〜9%、KO:1〜6%)を有する。
本発明におけるリン酸塩ガラスの必須成分は、酸化物表示で、P、ZnO、SO、及びアルカリ金属酸化物である。このうち、Pは、ガラス形成に必須な成分であり、その含有量は20〜40%で、好ましくは25〜35%で、最も好ましくは27〜33%である。Pが20%よりも少なくなるとガラス化し難くなり、均質なガラスが得られなくなり、一方、40%より多いと、ガラスとしての耐水性が低下するため好ましくない。
また、ZnOは、有機樹脂の燃焼時の発煙を抑止するための成分であり、その含有量は56〜65%で、好ましくは57〜60%である。ZnOが56%よりも少なくなると発煙抑制の機能発現が弱くなり、65%を越えるとガラスが失透しやすくなりガラス化が困難となるので好ましくない。
本発明におけるリン酸塩ガラスにおいて、SOはガラス溶融時の溶解性に影響し、かつ得られるガラスの耐水性にも影響与える重要な成分である。その含有量は0.5〜12%、好ましくは1〜8%である。SOが0.5%よりも少なくなるとガラス溶融時の温度を1000℃未満に抑えることが困難となる。一方、含有量が12%を越えると得られるガラスの耐水性が著しく低下するため、保管や取扱いがし難くなるので好ましくない。
また、アルカリ金属酸化物であるLiO、NaO、及びKOは、ガラスの溶融を助ける成分である。その含有量は、LiO+NaO+KOの合計の含有量で、3〜20%であり、好ましくは5〜15%である。該合計の含有量が3%より少ない場合には、ガラスの溶融が不十分となり、ガラス化し難くなり、一方、20%より多い場合には、ガラスとしての耐水性が著しく低下するため好ましくない。
なお、アルカリ金属酸化物の個々の成分としては、LiOが0〜5%であり、NaOが3〜15%、好ましくは4〜9%であり及びKOは0〜10%、好ましくは1〜6%である。
本発明におけるリン酸塩ガラスにおいて、ホウ素を含まないとは、例えば、工業用原料から不純物として混入される場合を除き、意図的に含まないことを意味する。酸化物基準のBとして0.5モル%未満の含有量を、ホウ素(B)を含まないこととする。
本発明のリン酸塩ガラスにおいて、Alは任意の成分である。Alを含有することにより耐水性が向上したり、ガラス溶融時の粘性を調整したりすることができるが、含有量が多すぎるとガラス転移点が上昇して、結果として、難燃性が発現し難くなることから、実質的にAlを含まないことが好ましい。実質的に含まないとは、意図的に含まないことを意味し、具体的には0.5%未満の含有量である。
本発明の発煙抑止剤に含まれるリン酸塩ガラスには、本発明の効果を損なわない範囲において上記以外の成分が存在していても支障ない。例えば、ガラスの流動特性の調整や安定性の調整のためにMgO、CaO、SrO、BaOなどを加えてもよい。またTi、Fe、Co、Ni、Sn、Zr、Moなどの金属酸化物をガラス組成の成分として含有してもよい。
本発明における上記リン酸塩ガラスは、そのガラス転移点が400℃以下、好ましくは300〜370℃を有することが好適である。ガラス転移点が400℃を超える場合には、燃焼時に樹脂が溶融し分解する温度との差が大きくなるので、ガラス質被膜の形成が遅くなり、酸素を遮断するのが遅れるため、難燃機能を発現しにくくなり、本発明の目的の達成が困難になる。
本発明の発煙抑止剤を構成するリン酸塩ガラスは、既知の方法及び装置を用いて、所望とするガラス組成となるように、ガラス原料を混合し、溶融させてから急冷して固化させてガラス化させることにより得ることができる。かかるリン酸塩ガラスは、比較的低温度にて溶融することができ、すなわち、好ましくは800〜1,000℃で溶融できる。
上記リン酸塩ガラスを含む本発明の発煙抑止剤の形態は、繊維、粉末、フレーク、バルーンなど適宜選ぶことができる。特に比表面積が大きくなり、高い発煙抑制効果や難燃性が得られるので粉末で用いることが好ましい。粉末の場合、平均粒径(D50)が0.5〜20μm、好ましくは1〜10μmが好適である。平均粒径が0.5μmより小さいとガラス粉末が製造し難くなり、20μmより大きくなると粒子が大きいため、樹脂組成物の表面外観性が劣るため好ましくない。
また、上記リン酸塩ガラスの粉末を得る粉砕方法として、媒体撹拌ミル、コロイドミル、湿式ボールミルなどの湿式粉砕、ジェットミル、乾式ボールミル、ロールクラッシャーなどの乾式粉砕などが挙げられ、複数の粉砕方法を組合せて用いてもよい。上記の粉砕方法を用いて、所定の平均粒径を有するガラス粉末を得ることができる。また、粉砕して得られるガラス粉末の平均粒径が上記の好ましい範囲になるように、分級処理を行ってもよい。分級処理としては特に限定されないが、風力式分級機や篩い分け装置等を用いるのが好ましい。
本発明の発煙抑止剤を構成するリン酸塩ガラス以外の成分として、既知の発煙抑制剤を含んでもよく、例えば、アンチモンを含む化合物などが挙げられる。
次に、本発明におけるハロゲンを含む有機樹脂について説明する。ハロゲンを含む有機樹脂とは、1種以上の樹脂からなる、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーや熱硬化性樹脂であって、リン酸塩ガラスがハロゲンを含む有機樹脂の燃焼時の発煙抑止機能を発現しやすい点から、塩素を含む有機樹脂であることが好ましい。塩素を含む有機樹脂として、例えば、塩化ビニル系樹脂、塩素化塩化ビニル系樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂、ポリエピクロロヒドリン系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、塩素化パラフィン、塩素化ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
ハロゲンを含む有機樹脂には他の樹脂をブレンドしてもよい。ここでいう他の樹脂としては例えば、酢酸ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、MBS樹脂(メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体)、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、アクリル樹脂などがある。
また、本発明のハロゲンを含む有機樹脂組成物の難燃性をさらに向上させるために、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物系難燃剤、三酸化アンチモン、酸化モリブデン、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)等の金属酸化物系難燃剤、デカプロモジフェニルエーテル、トリプロモフェニルアリエーテル等の臭素系難燃剤、塩素化パラフィン等の塩素系難燃剤等を添加してもよい。さらに樹脂組成物に添加する難燃剤としては、金属水酸化物系難燃剤や金属酸化物系難燃剤が好ましい。
また、本発明のハロゲンを含む有機樹脂組成物には安定剤、滑剤等の種々の添加剤が配合されていてもよい。配合しうる添加剤として、例えば、フタル酸エステルなどの可塑剤、ステアリン酸誘導体などの滑剤、ヒンダードフェノール類などの酸化防止剤、有機スズ化合物などの熱安定剤、ベンゾトリアゾール系化合物などの紫外線吸収剤、顔料などの着色剤、界面活性剤などの帯電防止剤、抗菌剤、充填剤などがある。
本発明のハロゲンを含む有機樹脂組成物における発煙抑止剤の含有量は、樹脂100質量部に対して好ましくは1〜200質量部であり、特に5〜150質量部であることが好ましい。含有量が、1質量部より少ないと樹脂に十分な発煙抑止性を付与し難くなる。また、含有量が200質量部を超えると無機質成分が多くなりすぎて、成形品を得ることが困難となったり、得られた成形品の機械的物性が損なわれたりするので好ましくない。
更に、本発明で発煙抑止剤として使用されるリン酸塩ガラスは、カップリング剤を含む処理剤で表面処理することが好ましい。この表面処理により、リン酸塩ガラスとハロゲンを含む樹脂とから樹脂組成物を得る際や、この樹脂組成物を成形する際に、リン酸塩ガラスと樹脂との接着性を向上させる。また、リン酸塩ガラスを取り扱う上で、静電気の発生を抑えてハンドリング性を改善することもできる。また、樹脂とリン酸塩ガラスとの接着性が向上することにより、樹脂組成物の機械的物性が改善できる。
上記カップリング剤としては、シラン系カップリング剤又はチタネート系カップリング剤などを使用できる。特に、樹脂とガラス粉末との接着性が良好である点からシラン系カップリング剤を用いるのが好ましい。
また、上記カップリング剤の成分のリン酸塩ガラスへの付与量は、使用される樹脂やリン酸塩ガラスなどの種類に応じて選択されるが、付与後のリン酸塩ガラスの質量を基準にして固形分として、好ましくは0.2〜2.0質量%である。付与量が0.2質量%より少ないとガラスを取り扱う上でのハンドリング性及び樹脂との接着性を充分に改善することが難しくなるので好ましくない。また、付与量が2.0質量%より多いとハロゲンを含む樹脂へのリン酸塩ガラスの分散を低下させることになり易いので好ましくない。
本発明のハロゲンを含む有機樹脂組成物は、ハロゲンを含む有機樹脂、リン酸塩ガラスを含む発煙抑止剤、及び必要に応じて配合されるそれら以外の添加剤とを、混合することにより得られる。
特に、ハロゲンを含む有機樹脂が熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーである場合には、混合と同時の溶融(例えば溶融混練)又は混合後の溶融混練などの従来の樹脂組成物の製造方法と同様の方法により成形材料としての樹脂組成物を得ることができる。配合される樹脂の形態は、特に制限なく、ペレット状、粒状、粉末状、繊維状などの種々の形態を用いることができる。上記各成分を溶融混練した後、押出成形してペレット状又は粒状の成形材料とすることが好ましい。
成形材料である本発明のハロゲンを含む有機樹脂組成物は、従来の樹脂組成物と同様に各種の方法によって成形して成形品とすることができる。その成形の方法としては、プレス成形、押出し成形、カレンダ成形、射出成形、引き抜き成形などがある。このような成形方法により、成形品である本発明の樹脂組成物が得られる。また、成形材料である本発明の樹脂組成物を経ることなく、樹脂、リン酸塩ガラス、及び、さらに必要に応じてそれら以外の添加剤とを、射出成形機や押出し成形機などの成形機中で溶融混合するとともにその溶融混合物を成形して、本発明の成形品を得ることもできる。
上記成形品としては、たとえば、屋根、庇、雨樋等の屋根関連部材、サイディング材、デッキ材、フェンス等の外装外壁部材、窓枠、ドア、門扉等の開口部関連部材、壁材、床材、天井材、廻り縁、額縁、幅木、階段、手すり等の内装関連部材、その他の建築部材や建装品、家具材、防災トラフ、看板、電線の被覆材などが挙げられる。
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されないことはもちろんである。
各種の特性値の測定はそれぞれ次のように行った。
(1)ガラスの耐水性:
ガラスカレット(約15mm角で厚さ約6mmの板状体)を試料として秤量し、90℃の熱湯浴に浸漬し、6時間後に浴から取出し、常温で乾燥後、試料を秤量し、質量損失を測定した。浸漬前の質量に対する質量損失の割合を百分率として算出して、0.1%未満を○、0.1〜1.0%を△、1.0%超を×としてランク評価した。
(2)ガラス転移点:
ガラスカレットを所定の粒径に粉砕したものを測定に供し、示差熱分析装置(DTA)を用いて、加熱速度10℃/分、窒素雰囲気下で測定を行った。DTA曲線において第一吸熱部の肩の温度をガラス転移点として読み取った。
(3)発煙抑止性の試験:
ASTM−E662の試験法に準拠して、NBS発煙性試験装置によって、幅76.2mm、長さ76.2mm、厚み3mmの試験片を測定に供した。試験では、無炎燃焼方法にて平均25kW/mの輻射エネルギーを与えて試験片を加熱した時に、試験箱内で発生した煙による透過光の減衰を測定した。発煙量を最大特定光学密度(Dmax)として求め、発煙抑制性を評価した。
[リン酸塩ガラスの調製]
ガラス組成として、酸化物基準のモル%表示で、8.6%のNaO、4.0%のKO、25.9%のP、4.5%のSO及び57.0%のZnOのガラス組成となるように、ガラス原料を混合し溶融させてから固化させて、実施例1となるガラスカレットを作製した。
また、酸化物基準のモル%表示で、4.5%のLiO、10.2%のNaO、5.8%のKO、23.7%のP、7.1%のSO、1.6%のAl、9.3%のB及び37.8%のZnOのガラス組成となるように、ガラス原料を混合し溶融させてから固化させて、比較例1となるガラスカレットを作製した。
実施例1及び比較例1のガラスカレットについて、ガラス転移点及び耐水性を測定した。測定結果をガラスの溶融温度と共に表1に示す。
Figure 0005275220
上記の実施例1及び比較例1のガラスカレットをボールミルにより粉砕し、平均粒径(D50)が3μmのガラス粉末をそれぞれ得た。
[塩化ビニル樹脂組成物の調製]
ポリ塩化ビニル樹脂(PVC:TK800、信越ポリマー社製)100質量部、実施例1のガラスカレット50質量部、安定剤としてジブチル錫メルカプタイド(アデカスタブ1291、旭電化社製)3質量部及び滑剤としてステアリン酸カルシウム(GF−200、日本油脂社製)1質量部を、設定温度180℃でロール回転数20rpmのダブルニーディングロール装置に投入し、8分間溶融混練して樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を、平板プレス成形機を用いて、金型温度180℃、成形圧力10MPa、成形時間5分で成形し、実施例2の塩化ビニル樹脂組成物の成形品を得た。
比較例1のガラスカレットを用いる以外は、上記実施例2の塩化ビニル樹脂組成物の成形品を得たのと同様の方法によって、比較例2となる塩化ビニル樹脂組成物の成形品を得た。
実施例2及び比較例2の成形品から発煙抑制性の試験に用いる試験片を得て、該試験を行った。実施例2のDmaxは90であり、発煙量は少なかった。比較例2のDmaxは110であり、実施例2よりも発煙量は多かった。
本発明のリン酸塩ガラスを含む発煙抑止剤は、ハロゲンを含む有機樹脂に配合する難燃剤として有用である。本発明の発煙抑止剤を含む樹脂組成物は、各種成形品を得るための成形材料として有用である。
成形品としての本発明の発煙抑止剤を含む樹脂組成物は、電子電気関連部材、車両関連部材等の用途に使用でき、また、屋根関連部材、開口部関連部材、その他の建築部材等の用途に使用できる。

なお、2007年3月28日に出願された日本特許出願2007−085227号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (7)

  1. 酸化物基準のモル%表示で次の組成を有し、かつ、400℃以下のガラス転移点を有するリン酸塩ガラスを含むことを特徴とするハロゲンを含む有機樹脂の燃焼時の発煙抑止剤。
    25:20〜40%、ZnO:56〜65%、SO3:0.5〜12%、Li2O+Na2O+K2O:3〜20%、但し、Li2O:0〜5%、Na2O:3〜15%、K2O:0〜10%。
  2. リン酸塩ガラスが、酸化物基準のモル%表示で次の組成を有する請求項1に記載の発煙抑止剤。
    :25〜35%、ZnO:57〜60%、SO:1〜8%、LiO+NaO+KO:5〜10%(但し、LiO:0〜5%、NaO:4〜9%、KO:1〜6%)。
  3. リン酸塩ガラスが、平均粒径(D50)が0.5〜20μmの粉末である請求項1又は2に記載の発煙抑止剤。
  4. ハロゲンを含む有機樹脂100質量部に対して1〜200質量部添加されて使用される請求項1〜3のいずれかに記載の発煙抑止剤。
  5. ハロゲンを含む有機樹脂が、塩素を含む有機樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の発煙抑止剤。
  6. ハロゲンを含む有機樹脂100質量部に対して、請求項1に記載の発煙抑止剤を1〜200質量部を含有するハロゲンを含む有機樹脂組成物。
  7. 請求項6に記載のハロゲンを含む有機樹脂組成物を成形してなる成形品。
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