JP5275073B2 - 構造発色繊維集合体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
[1]平均繊維径が0.7〜1.6μmであり、繊維表面に繊維軸方向に伸びる複数の溝を有するポリアクリルアミド繊維から実質的になる構造発色繊維集合体、
[2]ポリアクリルアミド繊維が一方向に配向している、[1]の構造発色繊維集合体、
[3]ポリアクリルアミドと前記ポリアクリルアミドに対する良溶媒及び貧溶媒とを含む紡糸原液を静電紡糸法により紡糸したポリアクリルアミド繊維を直接集積させることを特徴とする、[1]又は[2]の構造発色繊維集合体の製造方法
に関する。
また、本発明の好適態様である、ポリアクリルアミド繊維が一方向に配向している構造発色繊維集合体では、繊維が一方向に配向していることによって、入射角度によって発色が異なる。
本明細書において、「構造発色繊維から実質的になる」とは、構造発色繊維集合体を形成する構成繊維の主体が構造発色繊維であって、且つ、構造発色繊維集合体が所望の構造発色を示す限り、特に限定されるものではないが、例えば、構造発色繊維集合体の構成繊維の60%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは100%を占めることを意味する。
本明細書において「一方向に配向している」とは、下記の測定及び算出により決定される「繊維配向の標準偏差値」が30以下であることを意味する。前記「繊維配向の標準偏差値」の測定・算出方法は、例えば、特開2004−183131号公報に記載されており、具体的には、繊維集合体の電子顕微鏡写真上に直線を引いた場合に形成される、繊維と前記直線とのなす角度(同じ回転方向にて測定)を100点について測定し、その測定の結果得られる角度の標準偏差値を「繊維配向の標準偏差値」とする。
本発明の製造方法では、ポリマーと前記ポリマーに対する良溶媒及び貧溶媒とを含む紡糸原液を用いること以外は、周知の静電紡糸法に従って、静電紡糸法により紡糸した繊維を直接集積させる。例えば、特開2005−194675号公報、特開2003−073964号公報、特開2006−112023号公報等に記載されているように、1つ又は2つ以上のノズルから紡糸原液を吐出するとともに、電界を作用させ、繊維化した後にシリンダ、コンベア等に集積する方法によって実施できる。
ポリマーとしてポリアクリルアミドを使用し、良溶媒として水(沸点:100℃)を用いる場合には、貧溶媒として、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF、沸点:152℃)、ジメチルアセトアミド(沸点:165℃)、N−メチルピロリドン(沸点:202℃)を用いることができる。
まず、紡糸原液が紡糸されると、まず、良溶媒が揮発し、主としてポリマーと貧溶媒から構成されることになる。この主としてポリマーと貧溶媒からなる繊維は貧溶媒であるが故に繊維表面が固化しやすい。
この繊維表面が固化した状態で飛翔を続け、繊維内部に残っている貧溶媒が揮発する際に繊維の体積が小さくなるように収縮するが、既に繊維表面が固化しているため、繊維表面に皺が発生する。
この繊維が飛翔している時には電界の作用を受けているため、収縮の際に、電界方向、つまり、繊維軸方向に延伸力が働き、繊維表面に繊維軸方向に伸びる複数の溝が形成される。
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を付した1リットル四つ口フラスコに水507.4g、50%アクリルアミド水溶液184.3g、5%メタリルスルホン酸ナトリウム水溶液2.9gを仕込み、30%硫酸水溶液でpH2.5に調整した。次いで、窒素ガス雰囲気下、60℃に昇温し、5%2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(和光純薬工業株式会社製、V−50)水溶液3.5gを加え、85℃まで昇温した。昇温から1時間後に更に5%2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(和光純薬工業株式会社製、V−50)水溶液4.7gを加え、その1時間30分後に水220.1gを加え反応を停止した。固形分10.2%、pH3.4、粘度(25℃、ブルックフィールド回転粘度計使用)2,300mPa・sのポリアクリルアミド水溶液を得た。
重量平均分子量をGPC−MALLSで測定したところ、50万であった。
このポリアクリルアミド水溶液はそのまま、若しくは水を減圧下で留去し高濃度化してから使用した。
特開2005−194675号公報に開示の静電紡糸装置と同じ装置にて、吐出量0.5g/hr、ノズルとドラムの距離10cm、ドラムの周速:1m/min.、印加電圧+13kV、紡糸雰囲気の温湿度25℃/15%RHの条件で静電紡糸を行い、目付1g/m2の構造発色繊維集合体シートを作製した。
構造発色繊維集合体シートの透過スペクトルを測定(島津製作所製、分光光度計UV−3100Sを使用、試料を2cm×6cmとなるように枠に貼り付け、光の入射角90°で測定)したところ、波長410nmにピークを持ち、ピークトップの透過率は24%であった。構造発色繊維集合体シートの透過光は、強い青色の構造色を示した。
ポリマー濃度が6.5wt%となるようにDMFを加えたこと以外は、実施例1と同様にして目付1g/m2の構造発色繊維集合体シートを作製した。DMFの混合溶媒中における重量比率は37.5wt%であった。
構造発色繊維集合体シートの透過スペクトルを測定したところ、波長350nmにピークを持ち、ピークトップの透過率は20%であった。構造発色繊維集合体シートの透過光は、強い紫色の構造色を示した。
DMFに代えて、ポリマー濃度が6.5wt%となるようにジメチルアセトアミド(沸点:165℃)を加えたこと以外は、実施例2と同様にして目付1g/m2の構造発色繊維集合体シートを作製した。ジメチルアセトアミドの混合溶媒中における重量比率は37.5wt%であった。
構造発色繊維集合体シートの透過スペクトルを測定したところ、波長345nmにピークを持ち、ピークトップの透過率は21%であった。構造発色繊維集合体シートの透過光は、強い紫色の構造色を示した。
実施例1で合成したポリアクリルアミド(重量平均分子量50万)に代えて、以下の手順に従って合成したポリアクリルアミド(重量平均分子量360万)の10wt%水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、目付1g/m2の構造発色繊維集合体シートを作製した。
重量平均分子量をGPC−MALLSで測定したところ、360万であった。
構造発色繊維集合体シートの透過スペクトルを測定したところ、波長380nmにピークを持ち、ピークトップの透過率は31%であった。構造発色繊維集合体シートの透過光は、強い紫色の構造色を示した。
実施例1で合成したポリアクリルアミド(重量平均分子量50万)の13wt%水溶液に、貧溶媒としてDMFを加え、ポリマー濃度が8wt%となるように紡糸原液を調製した。DMFの混合溶媒中における重量比率は41.9wt%であった。
特開2005−194675号公報に開示の静電紡糸装置と同じ装置にて、吐出量0.5g/hr、ノズルとドラムの距離12cm、ドラムの周速:1m/min.、印加電圧+13kV、紡糸雰囲気の温湿度25℃/15%RHの条件で静電紡糸を行い、目付1g/m2の構造発色繊維集合体シートを作製した。
構造発色繊維集合体シートの透過スペクトルを測定したところ、波長500nmにピークを持ち、ピークトップの透過率は22%であった。構造発色繊維集合体シートの透過光は、強い緑色の構造色を示した。
実施例1で合成したポリアクリルアミド(重量平均分子量50万)の15wt%水溶液に、貧溶媒としてDMFを加え、ポリマー濃度が9.5wt%となるように紡糸原液を調製した。DMFの混合溶媒中における重量比率は40.5wt%であった。
特開2005−194675号公報に開示の静電紡糸装置と同じ装置にて、吐出量0.5g/hr、ノズルとドラムの距離13cm、ドラムの周速:1m/min.、印加電圧+13kV、紡糸雰囲気の温湿度25℃/15%RHの条件で静電紡糸を行い、目付1g/m2の構造発色繊維集合体シートを作製した。
構造発色繊維集合体シートの透過スペクトルを測定したところ、波長570nmにピークを持ち、ピークトップの透過率は23%であった。構造発色繊維集合体シートの透過光は、強い黄色の構造色を示した。
ドラムの周速を1000m/minとしたこと以外は、実施例1と同様に静電紡糸を行い、繊維が1方向に配向した構造発色繊維集合体シートを作製した。
この構造発色繊維集合体シートを構成する繊維の長軸方向に対する光の入射角を90°、60°、45°、30°と変化させて、構造発色繊維集合体シートの透過スペクトルを測定したところ、透過光のピーク波長はそれぞれ400、430、490、560nmであった。また、光の入射角を変えるにしたがって、構造色は青−緑−黄色に変化した。
実施例1で合成したポリアクリルアミド(重量平均分子量50万)の10wt%水溶液を用いて、特開2005−194675号公報に開示の静電紡糸装置と同じ装置にて、吐出量0.5g/hr、ノズルとドラムの距離10cm、ドラムの周速:1m/min.、印加電圧+13kV、紡糸雰囲気の温湿度25℃/15%RHの条件で静電紡糸を行い、目付1g/m2の繊維集合体シートを作製した。
繊維集合体シートの透過スペクトルを測定したところ、可視部にピークは見られず、構造色は観察されなかった。
ポリマー濃度が7.5wt%となるようにDMFを加えたこと以外は、実施例1と同様にして繊維集合体シートを作製した。DMFの混合溶媒中における重量比率は27wt%であった。
繊維集合体シートの透過スペクトルを測定したところ、可視部にピークは見られず、構造色は観察されなかった。
実施例1で合成したポリアクリルアミド(重量平均分子量50万)の10wt%水溶液に、ポリマー濃度が5.5wt%となるようにDMFを加えたところ、液が白濁し、静電紡糸法により繊維化することができなかった。DMFの混合溶媒中における重量比率は47.6wt%であった。
実施例4で合成したポリアクリルアミド(重量平均分子量360万)の10wt%水溶液に、貧溶媒としてエタノール(沸点:78℃)を加え、ポリマー濃度が6wt%となるように紡糸原液を調製した。エタノールの混合溶媒中における重量比率は42.5wt%であった。
実施例1と同じ条件で静電紡糸を行ったが、紡糸原液が固化されないままドラムに捕集され、繊維を作製することができなかった。
実施例1で作製した構造発色繊維集合体シートを温度60℃に加熱した湯浴上で30秒間保持し、水蒸気処理を行った。
水蒸気処理後の繊維集合体シート構成繊維の繊維径は840nmであり、SEMにより繊維表面の観察を行ったところ、繊維表面に溝は観察されなかった。また、繊維集合体シートの透過スペクトルを測定したところ、可視部にピークは観察されなかった。
Claims (3)
- 平均繊維径が0.7〜1.6μmであり、繊維表面に繊維軸方向に伸びる複数の溝を有するポリアクリルアミド繊維から実質的になる構造発色繊維集合体。
- ポリアクリルアミド繊維が一方向に配向している、請求項1に記載の構造発色繊維集合体。
- ポリアクリルアミドと前記ポリアクリルアミドに対する良溶媒及び貧溶媒とを含む紡糸原液を静電紡糸法により紡糸したポリアクリルアミド繊維を直接集積させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の構造発色繊維集合体の製造方法。
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