JP5274793B2 - ヒノキチオール含有親水性組成物 - Google Patents

ヒノキチオール含有親水性組成物 Download PDF

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Description

本発明は、ヒノキチオールを含有する親水性組成物に関し、特に、歯茎等の口腔粘膜に直接塗布することによってヒノキチオールの殺菌作用等を発揮させる口腔用軟膏剤として使用されるヒノキチオール含有親水性組成物に関する。
ヒノキチオールは殺菌作用や組織収斂作用を有することが知られており、従来より、歯茎の出血、発赤、はれ、うみ、痛み、むずがゆさ、口のねばり、口臭などの、歯肉炎又は歯槽膿漏における諸症状の緩和や、口内炎の治療等を目的として軟膏剤や歯磨剤等の口腔用組成物に配合して使用されている。
歯茎等の口腔粘膜用の軟膏剤として使用される口腔用組成物は、ヒノキチオールの殺菌作用や、使用感が優れていることから、油脂等の疎水性基剤を用いた疎水性の組成物としてよりも、親水性の物質を基剤とする親水性の組成物として構成するほうが好ましい。
しかしながら親水性の条件においては、ヒノキチオールは極めて不安定であり、光、熱、樹脂、金属等に暴露することによって分解し、組成物中の含量が経時的に低下する傾向が強いことが知られている。特にヒノキチオール含有組成物を充填する容器の材質による影響が大きく、材質として金属とプラスチックのいずれを採用しても、ヒノキチオール含量の大幅な経時的低下は避けられなかった。これに対して、特許文献1では、ヒノキチオールを含有する口腔用組成物に塩化ナトリウム等の水易溶性無機塩を配合し、これを内面が合成樹脂製の容器に充填することによってヒノキチオールの安定性を配合することが記載されている。また、特許文献2では、ヒノキチオール含有親水性ペースト状組成物に対してエチルアルコールを1重量%以上配合し、かつ充填容器であるアルミニウムチューブの内面をコーティングする樹脂として、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、又はポリアミドイミド樹脂を用いることによって、ヒノキチオールの保存安定性を高めることが記載されている。
しかしながら、特許文献2に記載のエチルアルコールは歯茎等に塗布すると刺激を誘発するものであり、ヒノキチオール含有組成物を歯茎等への塗布用に用いる場合には、エチルアルコールは配合しない方が好ましく、そのような組成物が望まれていた。
さらに、歯茎等の口腔粘膜に塗布して使用する軟膏剤として使用される組成物は歯茎等の口腔粘膜に付着することによって治療効果を発現するものであるから、その粘着性の観点、及び塗布時の使用感の観点から、ある程度の粘性を有することが望まれるが、従来品が有する粘度は十分なレベルのものではなかった。
特開平4−198121号公報 特開2002−3354号公報
本発明は、上記現状に鑑み、歯茎等の口腔粘膜に直接塗布して使用するのに適したヒノキチオール含有親水性組成物であって、歯茎等への粘着性及び塗布時の使用感の観点から十分な粘度を保持しながらも、エチルアルコールを配合することなく、充填容器である金属容器の内面をコーティングする合成樹脂の種類に関わらず十分なヒノキチオールの保存安定性を保持するヒノキチオール含有親水性組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、エチルアルコールを配合しない条件下において、ヒノキチオール含有親水性組成物に対して湿潤剤として従来より使用されているグリセリンに代えて2価のアルコール類を配合すると、組成物の粘度が格段に高くなること、さらには、充填容器である金属容器の内面をコーティングする合成樹脂がどのような種類のものであっても、ヒノキチオールの保存安定性が格段に高くなる(つまりは、ヒノキチオールの経時的な減少量が著しく少なくなる)ことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、ヒノキチオールを含有する親水性組成物であって、2価のアルコール類を含有し、かつエチルアルコールを含有しておらず、かつ内面を合成樹脂でコーティングし焼き付けた金属容器に充填されてなることを特徴とするヒノキチオール含有親水性組成物に関する。
前記2価のアルコール類は、その含量が30重量%以上であり、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びブチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記ヒノキチオール含有親水性組成物は、B型粘度計を用いて測定した粘度が10000cp以上であることが好ましい。
前記ヒノキチオールは含量が組成物全量に対して0.05重量%以上であることが好ましい。
前記ヒノキチオール含有親水性組成物は、口腔用組成物であることが好ましい。
本発明のヒノキチオール含有親水性組成物は、歯茎等への粘着性及び塗布時の使用感の観点から十分な粘度を保持しながらも、エチルアルコールを配合することなく、充填容器である金属容器の内面をコーティングする合成樹脂の種類に関わらず十分なヒノキチオールの保存安定性を保持することができるものである。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のヒノキチオール含有組成物は、親水性の組成物であり、2価のアルコール類を含有し、かつエチルアルコールを含有しておらず、内面を合成樹脂でコーティングし焼き付けた金属容器に充填されたものである。
ここで親水性とは、本発明の組成物を、油脂等の疎水性基剤を用いた疎水性の組成物と区別することを意図しており、組成物の基剤が、2価のアルコールを含む親水性の物質からなるものを指す。特に、本発明の組成物は、2価のアルコールのほか、水を基剤とし、さらに増粘剤を配合することによってジェル状のものとして構成することが好ましい。
ヒノキチオールは7環構造を持つアルコール系の化合物であり、天然樹木精油の中で、青森ひば油の中に最も多く含まれている成分である。強い抗菌活性と広い抗菌スペクトルを有する、数少ない天然系殺菌剤のひとつである。本発明では天然のヒノキチオールを使用してもよいし、化学合成されたヒノキチオールを使用してもよい。簡便には、ヒノキチオールは、例えば、商品名「ヒノキチオール」として株式会社高砂ケミカルなどから商業的に入手可能である。
本発明の組成物におけるヒノキチオールの含量は特に限定されるものではなく、その用途や所望の治療効果に応じて適宜決定することができるが、通常、組成物全量に対して0.005〜1重量%である。好ましくは0.01重量%〜0.5重量%である。少なくすぎるとヒノキチオールの殺菌効果が十分に発揮されず、逆に多すぎると香味や安全性の点で問題が生じる可能性がある。一般に、組成物中のヒノキチオールの含量が増加すると、その経時的な減少率が増加していくので、ヒノキチオールの経時的分解の防止は、有効成分であるヒノキチオールの含量が高い組成物においてより困難になる。しかしながら、本発明の組成物にあっては、たとえヒノキチオールの含量を高くしても(具体的には組成物全量に対して0.05重量%以上、さらには0.1重量%以上であっても)、十分なレベルの保存安定性を達成することができる。
本発明の組成物は2価アルコール類を1種又は2種以上含有する。これによって、組成物の粘度がグリセリン等の多価アルコールのみを使用した場合と比較して高くなるので口腔粘膜への塗布に適した粘度に調整することが容易になり、治療効果を高めることができるとともに、充填容器たる金属容器の内面をコーティングする合成樹脂がどのような種類のものであっても、優れたヒノキチオールの保存安定性を達成することができる。
2価のアルコール類とは、アルコール性水酸基を1分子内に2個有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等が挙げられるが、本発明の効果の観点から、なかでも炭素数2〜6の2価アルコールが好ましく、特にエチレングリコール、プロピレングリコール、及びブチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。また、本発明においては2価アルコール類が含有されていればよく、グリセリン等の多価アルコールを含有することを妨げるものではない。
本発明の組成物における2価アルコール類の含量は特に限定されないが、ヒノキチオールの安定性の観点から、組成物全量に対して30重量%以上であることが好ましい。2価アルコールを増量するほどヒノキチオールの安定性が格段に向上していく傾向があるので、2価アルコールの含量は40重量%以上がより好ましく、50重量%がさらに好ましい。しかし、2価アルコール類の含量を増やすことによる効果(例えば、合成樹脂焼付け金属容器におけるヒノキチオール残存率向上など)が現れにくくなるだけでなく、製剤が困難になったり、塗布時の使用感が悪化したりする傾向があるので、2価アルコール類の含量は80重量%以下が好ましく、70重量%以下がより好ましい。なお、当該2価アルコール類の含量とは、2価アルコールを2種以上配合する場合にはその合計含量を指す。
歯茎等への刺激を回避するために、エチルアルコールは本発明の組成物に実質的に配合されないものであるが、多数の使用者が当該刺激を感受しない範囲であれば、ヒノキチオールの安定性の点から、微量(例えば組成物全量に対して1重量%未満、0.5重量%未満、または0.1重量%未満)のエチルアルコールを配合することは可能である。ヒノキチオール含有組成物にエチルアルコールを一定量配合するとヒノキチオールが安定化することが知られているが、本発明の組成物では湿潤剤として2価アルコールを使用することによって、エチルアルコールを配合することなく、ヒノキチオールの十分な安定性を達成することができる。
また、本発明の組成物は、特許文献1記載の水易溶性無機塩を配合することなく良好なヒノキチオールの安定性を達成することができる。当該水易溶性無機塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸一水素カリウム、リン酸二水素カリウム、硫酸ナトリウム及び硫酸カリウム等が挙げられる。
本発明の組成物は通常、2価アルコール類とともに、水を基剤として含有するものである。水の配合量は、2価アルコール類の配合量に応じて適宜決定すればよいが、2価アルコール類と水の合計量が組成物全量に対して、およそ80〜95重量%程度を占めるようにすることが好ましい。
本発明の組成物の粘度は特に限定されないが、B型粘度計(例えば、B型粘度計ヘリパススタンド付(BrookField社製DV−II+)、ヘリパススピンドルセット(typeC=93))を用いて測定した粘度が5000cp以上を示すことが好ましく、8000cp以上を示すことがより好ましく、10000cp以上を示すことがさらに好ましく、12000cp以上を示すことが特に好ましく、15000cp以上を示すことが最も好ましい。この範囲では、口腔粘膜に塗布する際の使用感が良好となり、また、口腔粘膜等への組成物の粘着性が向上することによってヒノキチオールに由来する治療効果を高めることができる。また、2価アルコールの種類及び配合量が同一である場合には、組成物の粘度が高くなるほど、ヒノキチオールの安定性が向上する傾向があるので、この観点からも好ましい。しかしながら、粘度を高くすることによる効果(例えば、合成樹脂焼付け金属容器におけるヒノキチオール残存率向上など)が現れにくくなるだけでなく、製剤が困難になったり、塗布時の使用感が悪化したりする傾向があるので、50000cp以下程度の粘度に調製することが好ましい。本発明の組成物の粘度は、主に、組成物に配合する増粘剤の種類及び配合量を適宜変更することによって容易に調整可能である。
増粘剤としては特に限定されないが、例えば、カラギーナン(ι、λ、κ)、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルシウム含有アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸アンモニウム等のアルギン酸塩及びその誘導体、キサンタンガム、グアガム、ゼラチン、寒天、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。これらのうち1種類のみを使用してもよいし、2種類以上を使用してもよい。なかでも、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。増粘剤として、カルボキシメチルセルロースナトリウムとヒドロキシプロピルメチルセルロースを併用する場合、カルボキシメチルセルロースナトリウムの2%粘度(25℃)は500cp以下であることが好ましく、5〜300cpであることがより好ましく、5〜200cpであることがさらに好ましく、5〜100cpが特に好ましく、5〜50cpがもっとも好ましい。ヒドロキシプロピルメチルセルロースの2%粘度(25℃)については1000〜6000cpであることが好ましく、2000〜5000cpであることがより好ましく、3000〜5000cpがさらに好ましい。この範囲内であれば、水分が多い環境、例えば口腔用の組成物として、粘度だけではなく、粘着強さにおいても特に優れた組成物とすることができる。
また、増粘剤の配合量としては、特に限定されず、本発明の組成物が所望の粘度となるように適宜調整すればよいが、通常、0.1〜10重量%程度である。
本発明の組成物には上記成分のほか、その目的や種類等に応じて、必要により以下の成分を通常の使用量の範囲内で配合することができる。
<界面活性剤>ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸モノグリセリンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、N−アシルグルタメート等のN−アシルアミノ酸塩、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、マルチトール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等。
<甘味剤>サッカリンナトリウム、アセスルファムカリウム、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、アスパルテーム、トレハロース、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン等。
<防腐剤>メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラベン類、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等。
<香料成分>l−メントール、アネトール、メントン、シネオール、リモネン、カルボン、メチルサリシレート、エチルブチレート、オイゲノール、チモール、シンナミックアルデヒド、トランス−2−ヘキセナール等。これらの成分は単品で配合してもよいが、これらを含有する精油等として配合してもよい。また、上記香料成分に加え、脂肪族アルコールやそのエステル、テルペン系炭化水素、フェノールエーテル、アルデヒド、ケトン、ラクトン等の香料成分、精油を配合してもよい。
<ヒノキチオール以外の有効成分>アラントイン、パンテノール、塩化リゾチーム、モノフルオロホスフェート、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ゼオライト、アスコルビン酸、クロルヘキシジン塩類、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ビサボロール、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、酢酸トコフェロール、ε−アミノカプロン酸、トラネキサム酸、ジヒドロコレステロール、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸塩類、銅クロロフィリン塩、塩化ナトリウム、グァイアズレンスルホン酸塩、デキストラナーゼ、塩酸ピリドキシン等。
<研磨剤>
沈降性シリカ、シリカゲル、アルミノシリケート、ジルコノシリケート、第2リン酸カルシウム2水和物及び無水和物、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、ゼオライト、ケイ酸ジルコニウム、合成樹脂系研磨剤等。
<その他>青色1号等の色素、酸化チタン等の顔料、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤、チャ乾留液、グルタミン酸ナトリウム等の矯味剤等。
本発明のヒノキチオール含有親水性組成物は口腔用組成物として用いることが好ましい。ここでいう口腔用組成物としては、歯茎の出血、発赤、はれ、うみ、痛み、むずがゆさ、口のねばり、口臭などの、歯肉炎又は歯槽膿漏における諸症状の緩和や、歯肉炎、歯槽膿漏、齲蝕、口内炎等の口腔内疾患の予防、治療を目的とした組成物をいい、剤型としては、練歯磨剤、液状歯磨剤、液体歯磨剤等の歯磨剤、軟膏剤、液剤、パスタ剤等が挙げられるが、特に、歯茎等の口腔粘膜に直接塗布することを意図した軟膏剤、なかでも透明性に優れたジェル型の軟膏剤として最も好適に使用することができる。
本発明の組成物は、各種成分を混合、攪拌することによって製造することができるが、その製法は特に限定されない。
本発明の組成物は、内面を合成樹脂でコーティングし焼き付けた金属容器に充填されてなるものである。前記金属としては、特に限定されないが、例えばアルミニウム等が挙げられる。本発明では前記合成樹脂の種類に関わらず、良好なヒノキチオールの安定性を達成することができる。合成樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ・フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
また、金属容器としては特に限定されないが、チューブ、ボトル等どのような形態のものであってもよい。
以下に実施例を掲げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、各評価及び測定は下記のようにして行った。
実施例1〜21及び比較例1〜12
(1)粘度
粘度を測定する機器としては、B型粘度計ヘリパススタンド付(BrookField社製DV−II+)、及びヘリパススピンドルセット(typeC=93)を使用した。粘度の測定手順は以下のようにした。
1)調製した各軟膏剤65gを、M−70ビン(柏洋硝子株式会社製)に空気が入らないように充填し、フタをする。25℃に1時間以上置いて自然に空気を抜く。
2)ヘリパススピンドルtypeCをセットしたDV−II+をスピンドルが試料の中央に来るよう沈める(スピンドル回転数は100rpm)。
3)スピンドルを回転・ヘリパススタンドを上下運動させる。この時、ヘリパススタンドの最上点は試料からスピンドルが出ない範囲、最下点はM−70ビン(柏洋硝子株式会社製)の下面にスピンドルが接触しない高さとする。トルク%が最大となるよう調整した後、粘度表示に切り替え、粘度を測定する。
(2)ヒノキチオール残存率
調製した各軟膏剤を、表1〜3に示したアルミニウム製の各チューブに、空気が入らないように充填した後、50℃、60%RHの条件下で1カ月間保存をした。各軟膏剤中のヒノキチオールについて保存前後で液体クロマトグラフィーにより定量試験を行った。各軟膏剤についてヒノキチオールの残存率を下記式より算出した。
残存率(%)=[(上記保存後のヒノキチオール含量)/(軟膏剤調製時のヒノキチオール含量)]×100
測定に用いた全てのチューブにおいて残存率が95%以上を示した組成を+++と、90%以上を示した組成を++と、85%以上を示した組成を+と判定した。少なくとも1本のチューブで残存率が85%未満を示した組成については−と判定した。
なお各表中の「平均値」とは、各チューブについて得られた残存率を相加平均して算出した数値である。
表1〜3に示す組成(単位:重量%)に従い、以下に示す方法により調製したヒノキチオール溶液、増粘剤分散液およびグリチルリチン酸二カリウム溶液を真空攪拌装置(型式 PVQ−5(3)UN(みづほ工業株式会社製))により一定時間混錬脱泡させることによって、歯茎に対して指で直接塗布して使用することを目的としたペースト状の歯槽膿漏治療用軟膏剤を製し、その粘度、及びヒノキチオール残存率を測定した。結果を表1〜3に示す。
(ヒノキチオール溶液)
ヒノキチオールを、薄荷油、香料、2価アルコールの一部およびモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンに溶解させて、ヒノキチオール溶液を調製した。
(増粘剤分散液)
増粘剤(カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース)を、残部の2価アルコールに分散させた増粘剤分散液を調製した。
(グリチルリチン酸二カリウム溶液)
グリチルリチン酸二カリウムを精製水に溶解させたグリチルリチン酸二カリウム溶液を調製した(グリセリンおよび/またはエチルアルコールを配合する場合はこの時に精製水に溶解させた)。
Figure 0005274793
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2価アルコールを含有しエチルアルコールを含有しない実施例1〜21ではヒノキチオールの安定性に関して良好な判定が得られた。特に2価アルコールの配合量を50重量%以上とした場合により良好な結果が得られ(実施例7〜21)、さらに、2価アルコールの配合量を50重量%以上とし、かつ組成物の粘度を17000cp以上とした場合に最も良好な結果を達成することができた(実施例14〜16及び20〜21)。一方、2価アルコールとエチルアルコールの双方を含有する比較例1〜10や、エチルアルコールは含有しないが2価アルコールの代わりにグリセリンを配合した比較例11及び12では良好なヒノキチオール安定性は達成できなかった。
また、比較例11及び12から、湿潤剤がグリセリンである場合には軟膏剤の粘度が極めて低いことが分かる。
さらに、例えば、グリセリン10.0重量%をさらに含有させた以外は実施例8と同様に調製した処方の場合、ヒノキチオール残存率の平均値が93.5%であり、2価アルコールのみを含有している場合とほぼ同様の結果であり、2価アルコールを配合しておけば、グリセリンと併用しても良好なヒノキチオール安定性を達成することができることが分かった。また、プロピレングリコールの含量を25重量%とし、さらにブチレングリコールを25重量%含有させた以外は実施例8と同様に調製した処方の場合(2価アルコールを併用)、ヒノキチオール残存率の平均値が92.8%であり、2価アルコールを単独で使用した場合と同様の結果であった。
実施例2の組成物について、遮光性ポリエチレンテレフタレートボトル、遮光性ポリエチレンボトルおよび遮光性ポリプロピレンボトルにおけるヒノキチオール残存率を測定したところ、ヒノキチオール残存率は、プロピレングリコールを含有しない場合に比べると著しく向上したが、いずれも85%未満であった。
処方例1〜65
表4〜11に記載の処方に従い、定法により各種組成物を調製した。
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表9中の粘着強さは以下に従って測定した。
*1) JIS T 6525−1「義歯床安定用こ(糊)材−第1部:粘着型義歯床安定用こ(糊)材」に記載の「6.5粘着強さ試験I」の測定方法に従って測定した。
*2) JIS T 6525−1「義歯床安定用こ(糊)材−第1部:粘着型義歯床安定用こ(糊)材」に記載の「6.5粘着強さ試験II」の測定方法に従って測定した。
Figure 0005274793
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Claims (3)

  1. ヒノキチオールを含有する親水性口腔用組成物であって、
    2価のアルコール類を組成物全量に対して30重量%以上含有し、かつエチルアルコールを含有しておらず、かつ
    内面を合成樹脂でコーティングし焼き付けた金属容器に充填されてなり、
    前記2価のアルコール類が、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びブチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とするヒノキチオール含有親水性口腔用組成物。
  2. B型粘度計を用いて測定した粘度が10000cp以上であることを特徴とする請求項記載のヒノキチオール含有親水性口腔用組成物。
  3. ヒノキチオールの含量が組成物全量に対して0.05重量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のヒノキチオール含有親水性口腔用組成物。
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