JP5273436B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池システムに関する。
燃料電池システムは、反応ガスである燃料ガスと酸化ガスの供給を受け、この反応ガスの電気化学反応によって発電する燃料電池をエネルギ源として用いている。このような燃料電池システムでは、システムを停止させる際に、反応ガスの供給を停止させている。そして、反応ガスのうちの酸化ガスの供給を停止させる場合には、一般に、燃料電池に酸化ガスを供給するための酸化ガス供給流路および燃料電池から酸化オフガスを排出するための酸化オフガス排出流路に設けられた遮断弁をそれぞれ閉弁させる(例えば、下記特許文献1および2参照)。
特開2007−073292号公報 特開2002−313389号公報
ところで、上述した遮断弁が、例えば、ダイアフラム式の遮断弁である場合には、遮断弁を構成する弁体の上部部分に、ダイアフラムを隔てて上下方向に形成される二つの弁内空間が設けられる。このような遮断弁では、二つの弁内空間のうち、上側の弁内空間に酸化ガスが供給され、下側の弁内空間から酸化ガスが抜かれることによって遮断弁の弁体が閉方向(下方向)に移動し、燃料電池に対する酸化ガスの供給や燃料電池からの酸化オフガスの排出が遮断される。一方、下側の弁内空間に酸化ガスが供給され、上側の弁内空間から酸化ガスが抜かれることによって遮断弁の弁体が開方向(上方向)に移動し、燃料電池に対する酸化ガスの供給や燃料電池からの酸化オフガスの排出が許容される。
このようなダイアフラム式の遮断弁を有する燃料電池システムにおいて、上側の弁内空間に供給された酸化ガスをその空間内に封止して圧力を維持させる圧力弁のシール性が低いと、遮断弁の閉弁状態を保持させることが難しくなり、システム停止後に、燃料電池に酸化ガスが流入してしまうことも考えられる。このような場合には、燃料電池を構成するスタックにおけるカーボン酸化が促進されてしまい、スタックの寿命が短くなってしまう。そして、このような不具合の発生に影響を及ぼす圧力弁のシール性は、低温になるほど低下する。
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、低温下であっても、酸化ガスの遮断弁の閉弁状態を保持させる圧力弁のシール性を確保することができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る燃料電池システムは、反応ガスの供給を受けて当該反応ガスの電気化学反応により電力を発生する燃料電池を有する燃料電池システムであって、反応ガスのうちの酸化ガスを燃料電池に供給し、燃料電池から排出される酸化オフガスを排出するための酸化ガス給排機構と、酸化ガス給排機構に設けられ、酸化ガスを圧縮してから燃料電池に送出するコンプレッサと、酸化ガス給排機構に設けられ、コンプレッサから送出された酸化ガスの供給および酸化オフガスの排出をそれぞれ遮断または許容する遮断弁と、酸化ガス給排機構から分岐し、遮断弁を開閉させるために当該遮断弁に酸化ガスを供給する分岐流路と、分岐流路への酸化ガスの供給を許容または遮断するとともに、分岐流路に供給された酸化ガスによる遮断弁への圧力を維持させることで当該遮断弁の開弁状態または閉弁状態を保持させる圧力弁と、燃料電池システムの運転中に所定の条件を満たしたときに、圧力弁を制御して分岐流路に酸化ガスを一時的に供給させる制御手段と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、燃料電池システムの運転中に、遮断弁の開弁状態または閉弁状態を保持させる圧力弁を制御して分岐流路にコンプレッサで圧縮されてから送出される酸化ガスを一時的に供給させることができる。これにより、遮断弁を閉弁状態に保持させる圧力弁に対して、コンプレッサで圧縮されてから送出される酸化ガスを供給させることができるため、燃料電池システムの運転中に、圧力弁を温めておくことができる。それゆえに、低温下で燃料電池システムを停止させた場合であっても圧力弁のシール性を確保させることが可能となる。
上記燃料電池システムにおいて、上記所定の条件を、所定の間隔ごととしてもよい。これにより、燃料電池システムを運転している際に、所定の間隔ごとに、圧力弁に対して、コンプレッサで圧縮されてから送出される酸化ガスを一時的に供給させることができる。
上記燃料電池システムにおいて、外気温を検出する温度センサをさらに備え、上記所定の条件を、温度センサによって検出された外気温が所定温度以下であることとしてもよい。これにより、燃料電池システムを運転している際に、外気温が所定温度以下である場合に、圧力弁に対して、コンプレッサで圧縮されてから送出される酸化ガスを一時的に供給させことができる。
上記燃料電池システムにおいて、上記酸化ガス給排機構は、酸化ガスを燃料電池に供給するための酸化ガス供給流路と、燃料電池から排出される酸化オフガスを排出するための酸化オフガス排出流路とを含み、上記遮断弁は、酸化ガス供給流路および酸化オフガス排出流路にそれぞれ設けられ、上記分岐流路は、酸化ガス供給流路から分岐することとしてもよい。
上記燃料電池システムにおいて、上記分岐流路は、遮断弁に酸化ガスを供給することで遮断弁を閉弁状態に保持させるための閉弁用分岐流路と、遮断弁に酸化ガスを供給することで遮断弁を開弁状態に保持させるための開弁用分岐流路と、を含み、上記圧力弁は、分岐流路への酸化ガスの供給を許容または遮断するとともに閉弁用分岐流路と開弁用分岐流路とを切り換える分岐流路弁と、閉弁用分岐流路および開弁用分岐流路に供給された酸化ガスの流出をそれぞれ遮断または許容する流出弁と、を含むこととしてもよい。
本発明によれば、低温下であっても、酸化ガスの遮断弁の閉弁状態を保持させる圧力弁のシール性を確保させることができる。
以下、添付図面を参照して、本発明に係る燃料電池システムの好適な実施形態について説明する。本実施形態では、本発明に係る燃料電池システムを燃料電池車両(FCHV;Fuel Cell Hybrid Vehicle)の車載発電システムとして用いた場合について説明する。
本発明に係る燃料電池システムは、燃料電池システムの運転中に、酸化ガスの遮断弁の閉弁状態を保持させる圧力弁が設けられた流路に、コンプレッサで圧縮されてから送出される酸化ガスを一時的に供給して圧力弁を温めることで、低温下であっても圧力弁のシール性を確保させる点に特徴がある。以下に、このような特徴を有する燃料電池システムの構成および動作について詳細に説明する。
まず、図1を参照して、本実施形態における燃料電池システムの構成について説明する。図1は、本実施形態における燃料電池システムを模式的に示した構成図である。
同図に示すように、燃料電池システム1は、反応ガスである酸化ガスおよび燃料ガスの供給を受け、この反応ガスの電気化学反応により電力を発生する燃料電池2と、酸化ガスとしての空気を燃料電池2に供給する酸化ガス配管系3(酸化ガス給排機構)と、燃料ガスとしての水素を燃料電池2に供給する水素ガス配管系(不図示)と、システム全体を統括制御する制御部4(制御手段)とを有する。なお、燃料電池システム1には、外気温を検出するための外気温センサT(温度センサ)も含まれる。
燃料電池2は、例えば、高分子電解質型の燃料電池であり、多数の単セルを積層したスタック構造となっている。単セルは、イオン交換膜からなる電解質の一方の面にカソード極(空気極)を有し、他方の面にアノード極(燃料極)を有し、さらにカソード極およびアノード極を両側から挟み込むように一対のセパレータを有する構造となっている。この場合、一方のセパレータの水素ガス流路に水素ガスが供給され、他方のセパレータの酸化ガス流路に酸化ガスが供給され、これらの反応ガスが化学反応することで電力が発生する。
酸化ガス配管系3は、フィルタ30を介して大気中の酸化ガスを取り込んで圧縮してから送出するコンプレッサ31と、コンプレッサ31から圧送された酸化ガスの熱を冷ますインタークーラ32と、酸化ガスを燃料電池2に供給するための空気供給流路33(酸化ガス供給流路)と、燃料電池2から排出される酸化オフガスを排出するための空気排出流路34(酸化オフガス排出流路)と、を有する。空気供給流路33および空気排出流路34には、コンプレッサ31から圧送された酸化ガスを燃料電池2から排出された酸化オフガスを用いて加湿する加湿器35が設けられている。この加湿器35で水分交換等された酸化オフガスは、最終的に排ガスとしてシステム外の大気中に排気される。
空気供給流路33には、燃料電池2への酸化ガスの供給を遮断または許容する遮断弁37が設けられ、空気排出流路34には、燃料電池2からの酸化オフガスの排出を遮断または許容する遮断弁38が設けられている。これらの遮断弁37、38は、無制御状態であるときにはバネの力によって開弁状態となるノーマルオープン型の弁である。なお、空気排出流路34には、遮断弁38の上流側に背圧調整弁V1が設けられている。
遮断弁37、38を構成する弁体の上部はダイアフラムに接続されており、このダイアフラムを隔てて上下方向に二つの弁内空間が設けられている。遮断弁37、38を閉弁させるときには、遮断弁37、38に設けられた二つの弁内空間のうち、上側の弁内空間に酸化ガスを供給し、下側の弁内空間から酸化ガスを抜く。これにより、ダイアフラムが下方向に移動し、遮断弁37、38の弁体が閉方向に移動する。つまり、燃料電池2への酸化ガスの供給や燃料電池2からの酸化オフガスの排出が遮断される。一方、遮断弁37、38を開弁させるときには、上側の弁内空間から酸化ガスを抜き、下側の弁内空間に酸化ガスを供給する。これにより、ダイアフラムが上方向に移動し、遮断弁37、38の弁体が開方向に移動する。つまり、燃料電池2への酸化ガスの供給や燃料電池2からの酸化オフガスの排出が許容される。
空気供給流路33には、空気供給流路33からそれぞれ分岐し、遮断弁37、38を開閉させるために、この遮断弁37、38にコンプレッサ31で圧縮されてから送出される酸化ガスをそれぞれ供給するための分岐流路33x、33yが設けられている。
分岐流路33xには、遮断弁37に設けられた二つの弁内空間に酸化ガスをそれぞれ供給するための分岐流路33xa(閉弁用分岐流路)および分岐流路33xb(開弁用分岐流路)が設けられ、分岐流路33xaと分岐流路33xbとを切り換えるスイッチ弁37a(圧力弁、分岐流路弁)が設けられている。スイッチ弁37aは、分岐流路33xへの酸化ガスの供給を許容または遮断するとともに、分岐流路33xa、33xbに供給された酸化ガスによる遮断弁37への圧力を維持させることで遮断弁37の開弁状態または閉弁状態を保持させる。
分岐流路33xaは、遮断弁37に設けられた二つの弁内空間のうち、上側の弁内空間に酸化ガスを供給するための流路であり、分岐流路33xbは、下側の弁内空間に酸化ガスを供給するための流路である。
スイッチ弁37aは、遮断弁37を閉弁させるときには、流路を分岐流路33xaに切り換えて遮断弁37の上側の弁内空間に酸化ガスを供給させ、その後、酸化ガスの供給を遮断する。これにより、分岐流路33xaに供給された酸化ガスによる遮断弁37の上側の弁内空間への圧力を維持させることができるため、遮断弁37の閉弁状態を保持させることができる。
一方、スイッチ弁37aが遮断弁37を開弁させるときには、流路を分岐流路33xbに切り換えて遮断弁37の下側の弁内空間に酸化ガスを供給させ、その後、酸化ガスの供給を遮断する。これにより、分岐流路33xbに供給された酸化ガスによる遮断弁37の下側の弁内空間への圧力を維持させることができるため、遮断弁37の開弁状態を保持させることができる。
分岐流路33xaには、遮断弁37の上側の弁内空間から酸化ガスを抜くときに開弁されるガス抜き弁37b(圧力弁、流出弁)が設けられている。分岐流路33xbには、遮断弁37の下側の弁内空間から酸化ガスを抜くときに開弁されるガス抜き弁37c(圧力弁、流出弁)が設けられている。
分岐流路33yには、遮断弁38に設けられた二つの弁内空間に酸化ガスをそれぞれ供給するための分岐流路33ya(閉弁用分岐流路)および分岐流路33yb(開弁用分岐流路)が設けられ、分岐流路33yaと分岐流路33ybとを切り換えるスイッチ弁38a(圧力弁、分岐流路弁)が設けられている。スイッチ弁38aは、分岐流路33yへの酸化ガスの供給を許容または遮断するとともに、分岐流路33ya、33ybに供給された酸化ガスによる遮断弁38への圧力を維持させることで遮断弁38の開弁状態または閉弁状態を保持させる。
分岐流路33yaは、遮断弁38に設けられた二つの弁内空間のうち、上側の弁内空間に酸化ガスを供給するための流路であり、分岐流路33ybは、下側の弁内空間に酸化ガスを供給するための流路である。
スイッチ弁38aは、遮断弁38を閉弁させるときには、流路を分岐流路33yaに切り換えて遮断弁38の上側の弁内空間に酸化ガスを供給させ、その後、酸化ガスの供給を遮断する。これにより、分岐流路33yaに供給された酸化ガスによる遮断弁38の上側の弁内空間への圧力を維持させることができるため、遮断弁38の閉弁状態を保持させることができる。
一方、スイッチ弁38aが遮断弁38を開弁させるときには、流路を分岐流路33ybに切り換えて遮断弁38の下側の弁内空間に酸化ガスを供給させ、その後、酸化ガスの供給を遮断する。これにより、分岐流路33ybに供給された酸化ガスによる遮断弁38の下側の弁内空間への圧力を維持させることができるため、遮断弁38の開弁状態を保持させることができる。
分岐流路33yaには、遮断弁38の上側の弁内空間から酸化ガスを抜くときに開弁されるガス抜き弁38b(圧力弁、流出弁)が設けられている。分岐流路33ybには、遮断弁38の下側の弁内空間から酸化ガスを抜くときに開弁されるガス抜き弁38c(圧力弁、流出弁)が設けられている。
空気供給流路33には、加湿器35をバイパスして燃料電池2に酸化ガスを供給するための加湿器バイパス流路36が設けられている。加湿器バイパス流路36には、加湿器バイパス流路36への酸化ガスの流入を遮断または許容する遮断弁39が設けられている。この遮断弁39は、無制御状態であるときにはバネの力によって閉弁状態となるノーマルクローズ型の弁である。
遮断弁39の構成については、ノーマルクローズ型であるかノーマルオープン型であるかの違いはあるものの、基本構成は上述した遮断弁37、38と同様であるため、その説明については省略する。
空気供給流路33には、空気供給流路33から分岐し、遮断弁39を開閉させるために、この遮断弁39にコンプレッサ31で圧縮されてから送出される酸化ガスを供給するための分岐流路33zが設けられている。
分岐流路33zには、遮断弁39に設けられた二つの弁内空間に酸化ガスをそれぞれ供給するための分岐流路33za(閉弁用分岐流路)および分岐流路33zb(開弁用分岐流路)が設けられ、分岐流路33zaと分岐流路33zbとを切り換えるスイッチ弁39a(圧力弁、分岐流路弁)が設けられている。スイッチ弁39aは、分岐流路33zへの酸化ガスの供給を許容または遮断するとともに、分岐流路33za、33zbに供給された酸化ガスによる遮断弁39への圧力を維持させることで遮断弁39の開弁状態または閉弁状態を保持させる。
分岐流路33zaは、遮断弁39に設けられた二つの弁内空間のうち、上側の弁内空間に酸化ガスを供給するための流路であり、分岐流路33zbは、下側の弁内空間に酸化ガスを供給するための流路である。
スイッチ弁39aは、遮断弁39を開弁させるときには、流路を分岐流路33zbに切り換えて遮断弁39の下側の弁内空間に酸化ガスを供給させ、その後、酸化ガスの供給を遮断する。これにより、分岐流路33zbに供給された酸化ガスによる遮断弁39の下側の弁内空間への圧力を維持させることができるため、遮断弁39の開弁状態を保持させることができる。
一方、遮断弁39を閉弁させるときには、流路を分岐流路33zaに切り換えて遮断弁39の上側の弁内空間に酸化ガスを供給させ、その後、酸化ガスの供給を遮断する。これにより、分岐流路33zaに供給された酸化ガスによる遮断弁39の上側の弁内空間への圧力を維持させることができるため、遮断弁39の閉弁状態を保持させることができる。
分岐流路33zaには、遮断弁39の上側の弁内空間から酸化ガスを抜くときに開弁されるガス抜き弁39b(圧力弁、流出弁)が設けられている。分岐流路33zbには、遮断弁39の下側の弁内空間から酸化ガスを抜くときに開弁されるガス抜き弁39c(圧力弁、流出弁)が設けられている。
ここで、上述した各スイッチ弁37a、38a、39a、および各ガス抜き弁37b、37c、38b、38c、39b、39cは、各遮断弁37、38、39にそれぞれ設けられた二つの弁内空間に供給された酸化ガスをその空間内に封止して圧力を維持させる圧力弁として機能する。
空気供給流路33には、燃料電池2に対する酸化ガスの供給をバイパスさせるための燃料電池バイパス流路33wが設けられている。燃料電池バイパス流路33wには、燃料電池バイパス流路33wへの酸化ガスの流入を遮断または許容するバイパス弁V2が設けられている。燃料電池バイパス流路33wは、低温起動時に燃料電池2を暖機する際に、酸化ガスをバイパスさせるために用いられる他、燃料電池2に供給される酸化ガスの圧力を調整する際にも用いられる。例えば、遮断弁37、38に不具合が生じて燃料電池のスタックの圧力が上昇した場合には、バイパス弁V2を開弁して酸化ガスをバイパスさせることで上昇した圧力を低下させる際にも用いることができる。
制御部4は、燃料電池車両に設けられた加速操作部材(アクセル等)の操作量を検出し、加速要求値(例えば、トラクションモータ等の電力消費装置からの要求発電量)等の制御情報を受けて、システム内の各種機器の動作を制御する。なお、電力消費装置には、トラクションモータの他に、例えば、燃料電池2を作動させるために必要な補機装置(例えばコンプレッサ31等)、車両の走行に関与する各種装置(変速機、車輪制御装置、操舵装置、懸架装置等)で使用されるアクチュエータ、乗員空間の空調装置(エアコン)、照明、オーディオ等が含まれる。
制御部4は、燃料電池システムの運転中に、所定の間隔ごとに、各スイッチ弁37a、38a、39a、および各ガス抜き弁37b、37c、38b、38c、39b、39cを一時的に開弁させる開弁処理を実行する。これにより、各スイッチ弁や各ガス抜き弁が設けられた分岐流路33x、33y、33zに、コンプレッサ31で圧縮されてから送出される酸化ガスを供給させることができる。したがって、温度の高い酸化ガスで各スイッチ弁や各ガス抜き弁を温めることができる。すなわち、低温下であっても各スイッチ弁や各ガス抜き弁のシール性を確保させることができる。
なお、各スイッチ弁や各ガス抜き弁を一時的に開弁させる条件は、上述した所定の間隔ごとには限定されない。例えば、不定期に各スイッチ弁や各ガス抜き弁を一時的に開弁させることとしてもよい。また、外気温センサTにより検出された外気温が所定温度以下である場合に、各スイッチ弁や各ガス抜き弁を一時的に開弁させることとしてもよい。この所定温度は、例えば、各スイッチ弁や各ガス抜き弁の弁体が硬化して弁体のシール性が低下する際の温度を基準にして設定することができる。開弁処理の実行を外気温が所定温度以下である場合に限定することで、燃料電池システム1の運転効率をより向上させることができる。さらに、上述した各種の条件を組み合わせることとしてもよい。
ここで、燃料電池システム1を停止するときに遮断弁37、38、39を閉弁させてから数十分ほどが経過すると、遮断弁37、38、39の弁体と燃料電池2との間に形成される閉空間が負圧になる。これは、閉空間に残留する酸化ガスに含まれる酸素が、閉空間に残留する水素と反応し、この反応により消費された酸素の分だけ閉空間の圧力が降下するためである。閉空間が負圧になると、遮断弁37、38、39の弁体が圧力の低い閉空間側に引っ張られるため、遮断弁が開弁し難くなる。したがって、燃料電池システム1を停止してから閉空間が負圧になるまでの数十分ほどの間だけでも、遮断弁37、38、39の閉弁状態を維持させることができれば、例え低温下の影響で各スイッチ弁や各ガス抜き弁の温度が低下して弁体のシール性が低くなったとしても、閉空間が負圧になった後は閉弁状態を維持させることが可能となる。つまり、運転中における各スイッチ弁や各ガス抜き弁は、少なくとも燃料電池システムが停止してから閉空間が負圧になるまでの間、遮断弁37、38、39の閉弁状態を維持させることができる温度にまで、コンプレッサ31から圧送される温度の高い酸化ガスを利用して温めておくことが好ましい。
制御部4は、物理的には、例えば、CPUと、CPUで処理される制御プログラムや制御データを記憶するROMと、主として制御処理のための各種作業領域として使用されるRAMと、入出力インターフェースとを有する。これらの要素は、互いにバスを介して接続されている。入出力インターフェースには、外気温センサTや圧力センサP等の各種センサが接続されているとともに、コンプレッサ31、スイッチ弁37a、38a、39a、ガス抜き弁37b、37c、38b、38c、39b、39c等を駆動させるための各種ドライバが接続されている。
CPUは、ROMに記憶された制御プログラムに従って、入出力インターフェースを介して外気温センサTや圧力センサP等での検出結果を受信し、RAM内の各種データ等を用いて処理することで、燃料電池システムにおけるスイッチ弁やガス抜き弁の開閉等を含む各種処理を制御する。また、CPUは、入出力インターフェースを介して各種ドライバに制御信号を出力することにより、燃料電池システム1全体を制御する。
上述してきたように、実施形態における燃料電池システム1によれば、燃料電池システム1の運転中に、遮断弁37,38,39の開弁状態または閉弁状態を保持させる圧力弁としてのスイッチ弁37a、38a、39aおよびガス抜き弁37b、37c、38b、38c、39b、39cを制御して分岐流路33x、33y、33zにコンプレッサ31で圧縮されてから送出される酸化ガスを一時的に供給させることができる。これにより、遮断弁37,38,39を閉弁状態に保持させるスイッチ弁37a、38a、39aおよびガス抜き弁37b、37c、38b、38c、39b、39cに対して、コンプレッサ31で圧縮されてから送出される温度の高い酸化ガスを供給することができるため、燃料電池システム1の運転中に、スイッチ弁37a、38a、39aおよびガス抜き弁37b、37c、38b、38c、39b、39cを温めておくことができる。それゆえに、低温下で燃料電池システム1を停止させた場合であっても圧力弁としてのスイッチ弁37a、38a、39aおよびガス抜き弁37b、37c、38b、38c、39b、39cのシール性を確保させることが可能となる。
なお、上述した実施形態では、各スイッチ弁37a、38a、39a、および各ガス抜き弁37b、37c、38b、38c、39b、39cを、開弁処理の対象としているが、開弁処理の対象はこれに限定されない。例えば、各スイッチ弁37a、38a、および各ガス抜き弁37b、37c、38b、38cのみを、開弁処理の対象としてもよい。これは、遮断弁37、38がノーマルオープン型の弁であるのに対し、遮断弁39はバネの力によって閉弁状態となるノーマルクローズ型の弁であるため、運転停止後にスイッチ弁39aおよびガス抜き弁39b、39cのシール性が低下した場合であっても、バネの力によってある程度は遮断弁39の閉弁状態を保持させることが可能となるためである。
また、上述した実施形態では、各遮断弁37、38、39の開弁状態または閉弁状態を保持させるための圧力弁として、スイッチ弁37a、38a、39a、およびガス抜き弁37b、37c、38b、38c、39b、39cを用いて説明しているが、圧力弁の数や種類はこれに限定されない。すなわち、遮断弁ごとに一の圧力弁が設けられている燃料電池システムにも本発明は適用可能であるし、遮断弁ごとに複数の圧力弁が設けられている燃料電池システムにも本発明は適用可能である。
また、上述した実施形態においては、本発明に係る燃料電池システムを燃料電池車両に搭載した場合について説明しているが、燃料電池車両以外の各種移動体(ロボット、船舶、航空機等)にも本発明に係る燃料電池システムを適用することができる。また、本発明に係る燃料電池システムを、建物(住宅、ビル等)用の発電設備として用いられる定置用発電システムに適用することもできる。
実施形態における燃料電池システムを模式的に示す構成図である。
符号の説明
1…燃料電池システム、2…燃料電池、3…酸化ガス配管系、4…制御部、31…コンプレッサ、33…空気供給流路、33x、33xa、33xb、33y、33ya、33yb、33z、33za、33zb…分岐流路、34…空気排出流路、35…加湿器、36…加湿器バイパス流路、37、38、39…遮断弁、37a、38a、39a…スイッチ弁、37b、37c、38b、38c、39b、39c…ガス抜き弁、T…外気温センサ。

Claims (5)

  1. 反応ガスの供給を受けて当該反応ガスの電気化学反応により電力を発生する燃料電池を有する燃料電池システムであって、
    前記反応ガスのうちの前記酸化ガスを前記燃料電池に供給し、前記燃料電池から排出される酸化オフガスを排出するための酸化ガス給排機構と、
    前記酸化ガス給排機構に設けられ、前記酸化ガスを圧縮してから前記燃料電池に送出するコンプレッサと、
    前記酸化ガス給排機構に設けられ、前記コンプレッサから送出された前記酸化ガスの供給および前記酸化オフガスの排出をそれぞれ遮断または許容する遮断弁と、
    前記酸化ガス給排機構から分岐し、前記遮断弁を開閉させるために当該遮断弁に前記酸化ガスを供給する分岐流路と、
    前記分岐流路への前記酸化ガスの供給を許容または遮断するとともに、前記分岐流路に供給された前記酸化ガスによる前記遮断弁への圧力を維持させることで当該遮断弁の開弁状態または閉弁状態を保持させる圧力弁と、
    前記燃料電池システムの運転中に所定の条件を満たしたときに、前記圧力弁を一時的に開弁状態にして前記分岐流路に前記酸化ガスを供給させる制御手段と、を備え、
    前記一時的に開弁状態にする期間は、前記燃料電池システムの停止後に、前記遮断弁と前記燃料電池との間に形成される閉空間が負圧になるまで、前記圧力弁によって前記遮断弁の閉弁状態を維持できる温度に、前記圧力弁が温められるように設定されることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記所定の条件は、所定の間隔ごとであることを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
  3. 外気温を検出する温度センサをさらに備え、
    前記所定の条件は、前記温度センサによって検出された外気温が所定温度以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記酸化ガス給排機構は、前記酸化ガスを前記燃料電池に供給するための酸化ガス供給流路と、前記燃料電池から排出される酸化オフガスを排出するための酸化オフガス排出流路とを含み、
    前記遮断弁は、前記酸化ガス供給流路および前記酸化オフガス排出流路にそれぞれ設けられ、
    前記分岐流路は、前記酸化ガス供給流路から分岐する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  5. 前記分岐流路は、前記遮断弁に前記酸化ガスを供給することで前記遮断弁を閉弁状態に保持させるための閉弁用分岐流路と、前記遮断弁に前記酸化ガスを供給することで前記遮断弁を開弁状態に保持させるための開弁用分岐流路と、を含み、
    前記圧力弁は、前記分岐流路への前記酸化ガスの供給を許容または遮断するとともに前記閉弁用分岐流路と前記開弁用分岐流路とを切り換える分岐流路弁と、前記閉弁用分岐流路および前記開弁用分岐流路に供給された前記酸化ガスの流出をそれぞれ遮断または許容する流出弁と、を含む
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
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