以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
図1〜5は、本発明の実施形態に係る回転電機10の概略構成を示す図である。図1,2は回転軸22と直交する方向から見たロータ及びステータの内部構成の概略を示す断面図であり、図3はロータの構成を示す斜視図であり、図4,5はステータの構成を示す斜視図である。図1は図3のA−A断面に相当する位置での断面図を示し、図2は図3のB−B断面に相当する位置での断面図を示す。本実施形態に係る回転電機10は、ケーシング11に固定されたステータ12と、ステータ12と対向配置され、ステータ12に対し回転可能なロータと、を備える。そして、ロータは、ロータ回転軸線(回転軸22)と直交する径方向(以下単に径方向とする)においてステータ12と対向配置されたラジアルロータ14と、ロータ回転軸線(回転軸22)と平行方向(以下回転軸方向とする)においてステータ12と対向配置され、ラジアルロータ14と機械的且つ磁気的に連結された2つのアキシャルロータ64,84と、を有する。ラジアルロータ14及びアキシャルロータ64,84はいずれも非磁性の回転軸22に機械的に連結されており、ラジアルロータ14とアキシャルロータ64,84と回転軸22とが一体となって回転する。図1〜5に示す例では、ラジアルロータ14が、ステータ12の径方向内側に配置され、ステータ12の内周面(ラジアル面)と所定の空隙(エアギャップ)を空けて対向している。そして、2つのアキシャルロータ64,84が、ステータ12の回転軸方向外側にステータ12を挟んで配置され、ステータ12の両側面(アキシャル面)と所定の空隙を空けて対向している。
ステータ12は、環状コア部26と、この環状コア部26にトロイダル巻きされた複数相(例えば3相)の電機子巻線28と、を含む。ステータ12には、環状コア部26の内周面から径方向(径方向内側)にラジアルロータ14へ向けて突出する複数のラジアルティース30がロータ回転軸線まわりの周方向(以下単に周方向とする)に沿って互いに間隔をおいて(等間隔で)配列されており、各ラジアルティース30間にスロットが形成されている。さらに、ステータ12には、環状コア部26の両側面から回転軸方向(回転軸方向外側)にアキシャルロータ64へ向けて突出する複数(ラジアルティース30と同数)のアキシャルティース80が周方向に沿って互いに間隔をおいて(等間隔で)配列されており、各アキシャルティース80間にスロットが形成されている。ラジアルティース30とアキシャルティース80は、周方向に関する位置が互いにずれることなく配置され、ラジアルティース30間のスロットとアキシャルティース80間のスロットも、周方向に関する位置が互いにずれることなく配置されている。3相の電機子巻線28は、ラジアルティース30間のスロット及びアキシャルティース80間のスロットを通って(例えば分布巻等で)トロイダル巻きされている。ここでの環状コア部26、ラジアルティース30、及びアキシャルティース80、つまりステータ12の鉄心部分については、例えば、鉄等の強磁性体の微小粒の表面に電気を通さない膜のコーティングを施した粉体を押し固めた圧粉磁心材料等の3次元等方性磁性材料により成形することができる。
ラジアルロータ14は、略円筒形状のラジアルコア16と、径方向においてステータ12(ラジアルティース30)と対向してラジアルコア16の外周部に配設された複数のラジアル永久磁石18と、を含む。ラジアルコア16の外周部には、ステータ12(ラジアルティース30)へ向けて径方向外側に突出した複数(ラジアル永久磁石18と同数)のラジアル突極部19が周方向に沿って互いに間隔をおいて(等間隔で)配列されている。各ラジアル突極部19は、径方向においてステータ12(ラジアルティース30)と対向している。複数のラジアル永久磁石18は、周方向に沿って互いに間隔をおいて(等間隔で)配列され、周方向に関して各ラジアル突極部19間の位置に配置されている。つまり、各ラジアル永久磁石18は、ラジアル突極部19に対して周方向に関する位置をずらして配置されており、周方向においてラジアル永久磁石18とラジアル突極部19とが交互に並んでいる。各ラジアル永久磁石18の着磁方向は互いに同方向であり、各ラジアル永久磁石18の表面(ステータ12と対向する磁極面)は互いに同じ極性(例えばN極)に着磁されている。
アキシャルロータ64は、略環状のアキシャルコア66と、回転軸方向においてステータ12(アキシャルティース80)と対向してアキシャルコア66の側面に配設された複数のアキシャル永久磁石68と、を含む。アキシャルコア66は、ラジアルコア16と機械的且つ磁気的に連結されている。アキシャルコア66の側面には、ステータ12(アキシャルティース80)へ向けて回転軸方向(回転軸方向内側)に突出した複数(アキシャル永久磁石68と同数)のアキシャル突極部69が周方向に沿って互いに間隔をおいて(等間隔で)配列されている。各アキシャル突極部69は、回転軸方向においてステータ12(アキシャルティース80)と対向している。複数のアキシャル永久磁石68は、周方向に沿って互いに間隔をおいて(等間隔で)配列され、周方向に関して各アキシャル突極部69間の位置に配置されている。つまり、図6に示すように、各アキシャル永久磁石68は、アキシャル突極部69に対して周方向に関する位置をずらして配置されており、周方向においてアキシャル永久磁石68とアキシャル突極部69とが交互に並んでいる。各アキシャル永久磁石68の着磁方向は互いに同方向であり、各アキシャル永久磁石68の表面(ステータ12と対向する磁極面)は互いに同じ極性(例えばS極)に着磁されている。
同様に、アキシャルロータ84は、略環状のアキシャルコア86と、回転軸方向においてステータ12(アキシャルティース80)と対向してアキシャルコア86の側面に配設された複数のアキシャル永久磁石88と、を含む。アキシャルコア86は、ラジアルコア16と機械的且つ磁気的に連結されている。アキシャルコア86の側面には、ステータ12(アキシャルティース80)へ向けて回転軸方向(回転軸方向内側)に突出した複数(アキシャル永久磁石88と同数)のアキシャル突極部89が周方向に沿って互いに間隔をおいて(等間隔で)配列されている。各アキシャル突極部89は、回転軸方向においてステータ12(アキシャルティース80)と対向している。複数のアキシャル永久磁石88は、周方向に沿って互いに間隔をおいて(等間隔で)配列され、周方向に関して各アキシャル突極部89間の位置に配置されている。つまり、図7に示すように、各アキシャル永久磁石88は、アキシャル突極部89に対して周方向に関する位置をずらして配置されており、周方向においてアキシャル永久磁石88とアキシャル突極部89とが交互に並んでいる。各アキシャル永久磁石88の着磁方向は互いに同方向であり、各アキシャル永久磁石88の表面(ステータ12と対向する磁極面)は互いに同じ極性(例えばS極)に着磁されている。
アキシャル永久磁石88はアキシャル永久磁石68と同数設けられ、アキシャル突極部89もアキシャル突極部69と同数設けられている。アキシャル永久磁石88は、アキシャル永久磁石68に対して周方向に関する位置をずらすことなく配置され、回転軸方向においてステータ12を挟んでアキシャル永久磁石68と対向している。アキシャル突極部89も、アキシャル突極部69に対して周方向に関する位置をずらすことなく配置され、回転軸方向においてステータ12を挟んでアキシャル突極部69と対向している。各アキシャル永久磁石88の表面(ステータ12と対向する磁極面)は、各アキシャル永久磁石68の表面(ステータ12と対向する磁極面)と同じ極性(例えばS極)に着磁されている。
さらに、ラジアル永久磁石18はアキシャル永久磁石68(アキシャル永久磁石88)と同数設けられ、ラジアル突極部19もアキシャル突極部69(アキシャル突極部89)と同数設けられている。アキシャル永久磁石68,88は、ラジアル永久磁石18に対して周方向に関する位置をずらして配置され、アキシャル突極部69,89も、ラジアル突極部19に対して周方向に関する位置をずらして配置されている。そして、アキシャル永久磁石68,88とラジアル突極部19が、周方向に関する位置が互いにずれることなく配置され、アキシャル突極部69,89とラジアル永久磁石18も、周方向に関する位置が互いにずれることなく配置されている。また、各アキシャル永久磁石68,88の表面(ステータ12と対向する磁極面)は、各ラジアル永久磁石18の表面(ステータ12と対向する磁極面)と逆の極性に着磁されている。図3,6,7に示す例では、各ラジアル永久磁石18の表面がN極に着磁され、各アキシャル永久磁石68,88の表面がS極に着磁されている。ただし、各ラジアル永久磁石18の表面がS極に着磁され、各アキシャル永久磁石68,88の表面がN極に着磁されていてもよい。
複数相(3相)の電機子巻線28に複数相(3相)の交流電流を流すことで、ラジアルティース30及びアキシャルティース80が順次磁化され、周方向に回転する回転磁界がステータ12に形成される。ステータ12に発生した回転磁界は、ラジアルティース30及びアキシャルティース80からラジアルロータ14及びアキシャルロータ64,84にそれぞれ作用し、ラジアル永久磁石18及びアキシャル永久磁石68,88の発生する磁界(界磁磁束)がこの回転磁界と相互作用して、吸引及び反発作用が生じる。このラジアルティース30及びアキシャルティース80の回転磁界とラジアル永久磁石18及びアキシャル永久磁石68,88の界磁磁束との電磁気相互作用(吸引及び反発作用)により、ラジアルロータ14及びアキシャルロータ64,84にトルク(磁石トルク)を作用させることができる。したがって、本実施形態に係る回転電機10を、電機子巻線28への供給電力を利用してラジアルロータ14及びアキシャルロータ64,84に動力(機械的動力)を発生させる電動機として機能させることができる。一方、本実施形態に係る回転電機10を、ラジアルロータ14及びアキシャルロータ64,84の動力を利用して電機子巻線28に電力を発生させる発電機として機能させることもできる。
トロイダル巻きは分布巻きと比較して巻線の製作が容易となる反面、ロータのトルクの発生に有効に働かない巻線が増加しやすくなるため、体格増及び銅損増を招きやすくなる。本実施形態では、ロータに回転磁界を作用させてトルクを発生させるためのトルク発生面として、ラジアルティース30の先端面(ラジアル面)だけでなくアキシャルティース80の先端面(アキシャル面)も利用することで、トルク発生面積を増大させることができる。その結果、ロータ(ラジアルロータ14及びアキシャルロータ64,84)のトルクの発生に有効に働かない巻線を減らすことができ、体格増及び銅損増を抑えながらロータのトルクの増大を図ることができる。
本実施形態では、ステータ12の回転磁界と相互作用する界磁磁束の制御を行うために、界磁巻線70,90がステータ12に設けられている。各界磁巻線70,90は周方向に沿って環状に巻回されている。界磁巻線70が通る(巻回された)位置は、径方向に関して環状コア部26よりもラジアルロータ14(ラジアル永久磁石18及びラジアル突極部19)寄りの位置で、且つ回転軸方向に関して環状コア部26よりもアキシャルロータ64(アキシャル永久磁石68及びアキシャル突極部69)寄りの位置である。そして、界磁巻線90が通る(巻回された)位置は、径方向に関して環状コア部26よりもラジアルロータ14(ラジアル永久磁石18及びラジアル突極部19)寄りの位置で、且つ回転軸方向に関して環状コア部26よりもアキシャルロータ84(アキシャル永久磁石88及びアキシャル突極部89)寄りの位置である。図1〜5に示す例では、界磁巻線70,90は、径方向に関して各アキシャルティース80よりもラジアルロータ14側(内側)で、且つ回転軸方向に関して各ラジアルティース30よりもアキシャルロータ64,84側(外側)の位置に、各ラジアルティース30、各アキシャルティース80、及び各電機子巻線28と近接して配置されている。界磁巻線70,90は、絶縁体により電機子巻線28と電気的に絶縁されている。さらに、各電機子巻線28の外周面における界磁巻線70,90に近接する部分には、凸曲面28aが形成されている。各電機子巻線28の凸曲面28aに近接する界磁巻線70の外周面の外径は、回転軸方向に関してアキシャルロータ64側から環状コア部26側へ(外側から内側へ)向かうにつれて徐々に減少し、各電機子巻線28の凸曲面28aに近接する界磁巻線90の外周面の外径は、回転軸方向に関してアキシャルロータ84側から環状コア部26側へ向かうにつれて徐々に減少している。なお、界磁巻線70,90のステータ12への固定については、例えば、図4に示すように、電機子巻線28の上から繊維71等で縛ることで固定してもよいし、ステータ全体を樹脂等でモールドして固定してもよい。
図3,6,7に示す例(ラジアル永久磁石18の表面がN極、アキシャル永久磁石68,88の表面がS極に着磁されている例)では、ラジアル永久磁石18及びアキシャル永久磁石68,88による界磁磁束は、ラジアル永久磁石18→エアギャップ→ラジアルティース30→環状コア部26→アキシャルティース80→エアギャップ→アキシャル永久磁石68,88→アキシャルコア66,86→ラジアルコア16→ラジアル永久磁石18による閉磁路を通る(ラジアル永久磁石18の表面がS極、アキシャル永久磁石68,88の表面がN極に着磁されている場合は界磁磁束の向きが逆になる)。さらに、本実施形態では、界磁巻線70,90に直流電流を流すことで、ラジアル突極部19、ラジアルコア16、アキシャルコア66,86、アキシャル突極部69,89、エアギャップ、アキシャルティース80、環状コア部26、ラジアルティース30、エアギャップ、及びラジアル突極部19による閉磁路を通る界磁磁束が発生し、この界磁磁束が電機子巻線28に交流電流を流すことでステータ12に発生する回転磁界と相互作用する。その際に、各ラジアル突極部19の表面(ステータ12との対向面)は互いに同じ極性に磁化し、各アキシャル突極部69,89の表面(ステータ12との対向面)は互いに同じ極性に磁化する。ただし、各アキシャル突極部69,89の表面は、各ラジアル突極部19の表面と逆の極性に磁化する。界磁巻線70,90による界磁磁束の方向は、界磁巻線70,90に流す直流電流の向きにより制御可能であり、ラジアル突極部19とアキシャル突極部69,89がそれぞれどの極性(N極またはS極)に磁化するかについても、界磁巻線70,90に流す直流電流の向きにより制御可能である。そして、界磁巻線70,90による界磁磁束の大きさは、界磁巻線70,90に流す直流電流の大きさにより制御可能である。
強め界磁制御を行う場合は、図8,9に示すように、各ラジアル突極部19の表面が各ラジアル永久磁石18の表面と逆の極性(例えばS極)に磁化し、各アキシャル突極部69,89の表面が各アキシャル永久磁石68,88の表面と逆の極性(例えばN極)に磁化する方向に界磁巻線70,90に直流電流(界磁電流)を流す。図8,9において、○(白丸印)内に●(黒丸印)の部分は図面の手前方向の電流が流れる場合を表し、○(白丸印)内に×(バツ印)の部分は図面の奥方向の電流が流れる場合を表す(以下の図でも同様)。これによって、界磁巻線70,90による界磁磁束72,92は、アキシャル突極部69,89→エアギャップ→アキシャルティース80→環状コア部26→ラジアルティース30→エアギャップ→ラジアル突極部19→ラジアルコア16→アキシャルコア66,86→アキシャル突極部69,89による閉磁路を通る。図8,9において、○(白丸印)内に→Aの部分は断面A−A(図8)へ磁束が流れる場合を表し、○(白丸印)内にA→の部分は断面A−A(図8)から磁束が流れ込む場合を表し、○(白丸印)内に→Bの部分は断面B−B(図9)へ磁束が流れる場合を表し、○(白丸印)内にB→の部分は断面B−B(図9)から磁束が流れ込む場合を表す(以下の図でも同様)。この場合は、界磁巻線70,90による界磁磁束72,92とラジアル永久磁石18及びアキシャル永久磁石68,88による界磁磁束とが、環状コア部26を周方向に通るときに互いに同方向となる。そのため、界磁巻線70,90に直流電流を流さない場合よりも電機子巻線28に鎖交する界磁磁束が増加する。したがって、強め界磁制御を行うことが可能である。そして、界磁巻線70,90に流す直流電流の大きさが増大するのに対して、電機子巻線28に鎖交する界磁磁束が増加する。
一方、弱め界磁制御を行う場合は、図10,11に示すように、各ラジアル突極部19の表面が各ラジアル永久磁石18の表面と同じ極性(例えばN極)に磁化し、各アキシャル突極部69,89の表面が各アキシャル永久磁石68,88の表面と同じ極性(例えばS極)に磁化する方向に界磁巻線70,90に直流電流(界磁電流)を流す。これによって、界磁巻線70,90による界磁磁束72,92は、ラジアル突極部19→エアギャップ→ラジアルティース30→環状コア部26→アキシャルティース80→エアギャップ→アキシャル突極部69,89→アキシャルコア66,86→ラジアルコア16→ラジアル突極部19による閉磁路を通る。この場合は、界磁巻線70,90による界磁磁束72,92とラジアル永久磁石18及びアキシャル永久磁石68,88による界磁磁束とが、環状コア部26を周方向に通るときに互いに逆方向となる。そのため、界磁巻線70,90に直流電流を流さない場合よりも電機子巻線28に鎖交する界磁磁束が減少する。したがって、弱め界磁制御を行うことが可能である。そして、界磁巻線70,90に流す直流電流の大きさが増大するのに対して、電機子巻線28に鎖交する界磁磁束が減少する。このように、界磁巻線70,90に流す直流電流の方向や大きさを制御して、ラジアルロータ14(ラジアル突極部19)とアキシャルロータ64,84(アキシャル突極部69,89)と環状コア部26とを通る界磁磁束の向きや量を制御することで、電機子巻線28に鎖交する界磁磁束を制御することができ、界磁制御を行うことが可能である。
その結果、例えば図12に示すように、界磁巻線70,90に流す界磁電流Ifの変化に応じて、電機子巻線28に鎖交する界磁磁束を変化させることができる。ここでの界磁電流Ifについては、各ラジアル突極部19の表面が各ラジアル永久磁石18の表面と逆の極性に磁化し、各アキシャル突極部69,89の表面が各アキシャル永久磁石68,88の表面と逆の極性に磁化する方向を正とし、各ラジアル突極部19の表面が各ラジアル永久磁石18の表面と同じ極性に磁化し、各アキシャル突極部69,89の表面が各アキシャル永久磁石68,88の表面と同じ極性に磁化する方向を負としている。電機子巻線28に鎖交する界磁磁束を制御することができると、例えば図13の波線に示すように、ラジアルロータ14及びアキシャルロータ64,84の回転数が低いときは、正の界磁電流Ifの大きさを増加させて電機子巻線28に鎖交する界磁磁束を増加させる(強め界磁制御を行う)ことで、ラジアルロータ14及びアキシャルロータ64,84のトルクを増加させることができる。一方、ラジアルロータ14及びアキシャルロータ64,84の回転数が高いときは、負の界磁電流Ifの大きさを増加させて電機子巻線28に鎖交する界磁磁束を減少させる(弱め界磁制御を行う)ことで、電機子巻線28の誘起電圧を減少させることができ、回転電機10の運転範囲をより高回転側に拡大することができる。
界磁巻線70,90に界磁電流(直流電流)Ifを流すための駆動回路の構成例を図14に示す。図14に示す構成例では、駆動回路は、直流電源40の正側端子40pと負側端子40nとの間で互いに並列接続された2本のスイッチングアーム41,42を備えるDC−DCコンバータにより構成される。スイッチングアーム41においては、1対のスイッチング素子Tr1,Tr3が直流電源40の正側端子40pと負側端子40nとの間で直列接続され、さらに、スイッチング素子Tr3と逆並列接続されたダイオードD1が設けられている。スイッチングアーム42においては、1対のスイッチング素子Tr2,Tr4が直流電源40の正側端子40pと負側端子40nとの間で直列接続され、さらに、スイッチング素子Tr4と逆並列接続されたダイオードD2が設けられている。界磁巻線70,90の一端はスイッチング素子Tr1,Tr3間の中点43に接続され、界磁巻線70,90の他端はスイッチング素子Tr2,Tr4間の中点44に接続されている。図14に示す構成例では、スイッチング素子Tr1,Tr4のスイッチング制御により、正の界磁電流Ifの大きさを制御することができ、スイッチング素子Tr2,Tr3のスイッチング制御により、負の界磁電流Ifの大きさを制御することができる。
ただし、界磁制御を行うためには、必ずしも双方向の界磁電流Ifを界磁巻線70,90に流す必要はなく、一方向の界磁電流Ifを界磁巻線70,90に流すことによっても、界磁制御を行うことが可能である。正方向のみの界磁電流Ifを界磁巻線70,90に流す場合は、正の界磁電流Ifの大きさを増加させることで、電機子巻線28に鎖交する界磁磁束を増加させる(強め界磁制御を行う)ことができ、正の界磁電流Ifの大きさを減少させることで、電機子巻線28に鎖交する界磁磁束を減少させる(弱め界磁制御を行う)ことができる。一方、負方向のみの界磁電流Ifを界磁巻線70,90に流す場合は、負の界磁電流Ifの大きさを増加させることで、電機子巻線28に鎖交する界磁磁束を減少させる(弱め界磁制御を行う)ことができ、負の界磁電流Ifの大きさを減少させることで、電機子巻線28に鎖交する界磁磁束を増加させる(強め界磁制御を行う)ことができる。このように、界磁巻線70,90に流す直流電流の大きさを制御して、ラジアルロータ14(ラジアル突極部19)とアキシャルロータ64,84(アキシャル突極部69,89)と環状コア部26とを通る界磁磁束の量を制御することによっても、電機子巻線28に鎖交する界磁磁束を制御することができ、界磁制御を行うことが可能である。
界磁巻線70,90に一方向の界磁電流(直流電流)Ifを流すための駆動回路の構成例を図15に示す。図15に示す構成例では、駆動回路は、一端が直流電源40の正側端子40pに接続され、他端が界磁巻線70,90の一端に接続されたスイッチング素子Tr5と、カソード端がスイッチング素子Tr5の他端及び界磁巻線70,90の一端に接続され、アノード端が直流電源40の負側端子40n及び界磁巻線70,90の他端に接続されたダイオードD3と、を備えるチョッパ回路(DC−DCコンバータ)により構成される。図15に示す構成例では、スイッチング素子Tr5のスイッチング制御により、正または負の界磁電流Ifの大きさを制御することができる。
なお、ラジアルコア16及びアキシャルコア66,86については、例えば圧粉磁心材料等の3次元等方性磁性材料により成形することが可能である。磁束変動の大きい各ラジアル突極部19及び各アキシャル突極部69,89については、比抵抗(電気抵抗)の高い圧粉磁心材料により成形することで、磁束変動による渦電流を低減することができる。ただし、各ラジアル突極部19については、薄い珪素鋼板(電磁鋼板)を回転軸方向に積層して構成することも可能であり、各アキシャル突極部69,89については、薄い電磁鋼板を径方向に積層して構成することも可能である。また、図1〜7に示す例では、ラジアル永久磁石18がラジアルロータ14の表面(外周面)に露出しているが、ラジアル永久磁石18はラジアルロータ14(ラジアルコア16)の内部に埋設されていてもよい。同様に、図1〜7に示す例では、アキシャル永久磁石68,88がアキシャルロータ64,84の表面(側面)にそれぞれ露出しているが、アキシャル永久磁石68,88はアキシャルロータ64,84(アキシャルコア66,86)の内部にそれぞれ埋設されていてもよい。
以上説明した本実施形態では、界磁磁束の制御を行うための界磁巻線70,90をステータ12のデッドスペースに配置することができるので、界磁巻線70,90を追加しても、回転電機10の構成の大型化を招くことがない。さらに、ラジアルロータ14(ラジアルコア16)とアキシャルロータ64,84(アキシャルコア66,86)とを磁気的に接続することで、界磁巻線70,90による界磁磁束72,92が通る閉磁路を形成することができる。そのため、界磁巻線70,90による界磁磁束72,92を通すためのヨーク(磁路)をステータ12の外側に新たに設ける必要もない。したがって、本実施形態によれば、回転電機10の構成の大型化を招くことなく、界磁巻線70,90に流す界磁電流の制御により界磁磁束の制御を行うことができる。
本実施形態では、例えば図16,17に示すように、ラジアル永久磁石18及びアキシャル永久磁石68,88を省略することも可能である。この場合でも、例えば図18,19に示すように、界磁巻線70,90に界磁電流(直流電流)Ifを流すことで、ラジアル突極部19、ラジアルコア16、アキシャルコア66,86、アキシャル突極部69,89、エアギャップ、アキシャルティース80、環状コア部26、ラジアルティース30、エアギャップ、及びラジアル突極部19による閉磁路を通る界磁磁束72,92が発生し、この界磁磁束72,92が電機子巻線28に交流電流を流すことでステータ12に発生する回転磁界と相互作用する。その際にも、各アキシャル突極部69,89の表面は、各ラジアル突極部19の表面と逆の極性に磁化する。図16,17に示す構成例では、界磁巻線70,90に流す界磁電流Ifの大きさを増加させることで、電機子巻線28に鎖交する界磁磁束を増加させることができ、強め界磁制御を行うことができる。一方、界磁巻線70,90に流す界磁電流Ifの大きさを減少させることで、電機子巻線28に鎖交する界磁磁束を減少させることができ、弱め界磁制御を行うことができる。
また、図20,21に示す構成例でも、ラジアル永久磁石18及びアキシャル永久磁石68,88が省略されている。さらに、図20,21に示す構成例では、ラジアルロータ14は、アキシャルロータ64(アキシャルコア66)と機械的且つ磁気的に連結されたラジアルコア16と、アキシャルロータ84(アキシャルコア86)と機械的且つ磁気的に連結されたラジアルコア36と、を含む。ラジアルコア16の外周部には、複数のラジアル突極部19が周方向に沿って互いに間隔をおいて(等間隔で)配列されており、各ラジアル突極部19は、径方向においてステータ12(ラジアルティース30)と対向している。同様に、ラジアルコア36の外周部には、複数(ラジアル突極部19と同数)のラジアル突極部39が周方向に沿って互いに間隔をおいて(等間隔で)配列されており、各ラジアル突極部39は、径方向においてステータ12(ラジアルティース30)と対向している。ラジアルコア36(ラジアル突極部39)は、周方向に関してラジアルコア16(ラジアル突極部19)間の位置に配置されている。つまり、ラジアル突極部39は、ラジアル突極部19に対して周方向に関する位置をずらして配置されており、周方向においてラジアル突極部39とラジアル突極部19とが交互に並んでいる。ラジアルコア16(ラジアル突極部19)とラジアルコア36(ラジアル突極部39)は、非磁性の回転軸22を介して機械的に連結されているが、磁気的には連結されておらず互いに絶縁されている。ラジアル突極部19はアキシャル突極部69と同数設けられ、ラジアル突極部39はアキシャル突極部89と同数設けられている。アキシャル突極部69は、ラジアル突極部19に対して周方向に関する位置をずらして配置され、アキシャル突極部89は、ラジアル突極部39に対して周方向に関する位置をずらして配置されている。そして、アキシャル突極部89とラジアル突極部19が、周方向に関する位置が互いにずれることなく配置され、アキシャル突極部69とラジアル突極部39が、周方向に関する位置が互いにずれることなく配置されている。
この構成例では、例えば図22,23に示すように、界磁巻線70に直流電流を流すことで、ラジアル突極部19、ラジアルコア16、アキシャルコア66、アキシャル突極部69、エアギャップ、アキシャルティース80、環状コア部26、ラジアルティース30、エアギャップ、及びラジアル突極部19による閉磁路を通る界磁磁束72が発生する。その際に、各アキシャル突極部69の表面(ステータ12との対向面)は、各ラジアル突極部19の表面(ステータ12との対向面)と逆の極性に磁化する。それとともに、界磁巻線90に直流電流を流すことで、ラジアル突極部39、エアギャップ、ラジアルティース30、環状コア部26、アキシャルティース80、エアギャップ、アキシャル突極部89、アキシャルコア86、ラジアルコア36、及びラジアル突極部39による閉磁路を通る界磁磁束92が発生する。その際に、各アキシャル突極部89の表面(ステータ12との対向面)は、各ラジアル突極部39の表面(ステータ12との対向面)と逆の極性に磁化する。ここでは、各ラジアル突極部39の表面が各ラジアル突極部19の表面と逆の極性に磁化し、各アキシャル突極部89の表面が各アキシャル突極部69の表面と逆の極性に磁化するように、界磁巻線70,90に流す直流電流(界磁電流)Ifの向きを設定する。この構成例でも、界磁巻線70,90に流す界磁電流Ifの大きさを増加させることで、電機子巻線28に鎖交する界磁磁束を増加させることができ、強め界磁制御を行うことができる。一方、界磁巻線70,90に流す界磁電流Ifの大きさを減少させることで、電機子巻線28に鎖交する界磁磁束を減少させることができ、弱め界磁制御を行うことができる。
以上の実施形態の説明では、ラジアルロータ14がステータ12の径方向内側に配置されているものとした。ただし、本実施形態では、ラジアルロータ14をステータ12の径方向外側に配置することもできる。
また、以上の実施形態の説明では、2つのアキシャルロータ64,84が回転軸方向においてステータ12を挟んで対向しているものとした。ただし、本実施形態では、アキシャルロータ64,84のいずれか一方を省略して、1つのアキシャルロータを回転軸方向においてステータ12と対向させることもできる。さらに、ラジアルロータ14をステータ12の径方向内側と径方向外側の両方に配置することもできる。また、本実施形態では、界磁巻線70,90のいずれか一方を省略することも可能である。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。