JP5272011B2 - 予後判定の方法 - Google Patents
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Description
本出願は、以下の優先権を主張する。
−「Methods of Prognosis」と題する、2007年10月22日に出願された豪州仮特許出願第2007905761号明細書。
本出願の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
(i)前記試験身体試料中に存在するMIC−1量を決定すること、及び
(ii)前記MIC−1量を、正常な対象(複数可)から採取された比較身体試料(複数可)中に存在するMIC−1量又はその量の範囲と比較すること
によって検出される。
(i)前記試験身体試料中に存在するMIC−1量を決定すること、及び
(ii)前記MIC−1量を、より初期の時点で同一対象から採取された比較身体試料(複数可)中に存在するMIC−1量又はその量の範囲と比較すること
による連続測定を使用して検出された対象内のMIC−1量の増加である。
(i)前記試験身体試料中に存在するMIC−1量を決定すること、及び
(ii)前記MIC−1量を、正常な対象(複数可)から採取された比較身体試料(複数可)中に存在するMIC−1量又はその量の範囲と比較すること
によって検出される。
(i)前記試験身体試料中に存在するMIC−1量を決定すること、及び
(ii)前記MIC−1量を、より初期の時点で同一対象から採取された比較身体試料(複数可)中に存在するMIC−1量又はその量の範囲と比較すること
による連続測定を使用して検出された対象内のMIC−1量の増加である。
(i)前記試験身体試料中に存在するMIC−1量を決定すること、及び
(ii)前記MIC−1量を、正常な対象(複数可)から採取された比較身体試料(複数可)中に存在するMIC−1量又はその量の範囲と比較すること
によって検出される。
(i)前記試験身体試料中に存在するMIC−1量を決定すること、及び
(ii)前記MIC−1量を、より初期の時点で同一対象から採取された比較身体試料(複数可)中に存在するMIC−1量又はその量の範囲と比較すること
による連続測定を使用して検出された対象内のMIC−1量の増加である。
(i)前記試験身体試料中に存在するMIC−1量を決定すること、及び
(ii)前記MIC−1量を、正常な対象(複数可)から採取された比較身体試料(複数可)中に存在するMIC−1量又はその量の範囲と比較すること
によって検出される。
(i)前記試験身体試料中に存在するMIC−1量を決定すること、及び
(ii)前記MIC−1量を、より初期の時点で同一対象から採取された比較身体試料(複数可)中に存在するMIC−1量又はその量の範囲と比較すること
による連続測定を使用して検出された対象内のMIC−1量の増加である。
[実施例]
材料及び方法
前立腺癌研究集団
前立腺癌集団は、スウェーデン癌前立腺(CAPS、Cancer Prostate in Sweden)研究として知られている前立腺癌病因学の集団ベースのケースコントロール研究の一部であり、2001年1月〜2003年10月に登録した2相で実施された。手短かに言えば、対象は全て35歳〜79歳の男性であり、病理学的に確認された前立腺の腺癌(ICD−10:C61)を有していた。1380前立腺癌症例に由来する血清試料を、MIC−1血清分析のために回収した。腫瘍結節転移(TNM)期、グリーソン合計、診断的前立腺特異抗原(PSA)濃度、及び一次治療などの臨床情報は、全国前立腺癌登録(National Prostate Cancer Registry)との連係を介して取得した(表1)。前立腺癌患者は、診断日の平均4.9カ月後(範囲は0.7〜23.7カ月)に血液を提供し、血液は分析まで−70℃で保管した。
未罹患の見かけ上健康な876人の男性対照集団対象を、スウェーデン人口登録(Swedish Population Registry)から無作為に選択し、上述した前立腺症例の予想分布と、年齢(5つの年齢分類の)及び地理的住居による頻度をマッチさせた。症例は、全て35歳〜79歳の男性であった。876人の対照集団対象由来の血清試料を、MIC−1血清分析用に回収した。
前立腺癌特異的死亡の完全追跡は、各研究参加者に固有の国民登録番号を使用して、スウェーデン死因登録(Swedish Cause of Death Registry)の記録連係により2007年3月1日までに達成した。経験を積んだ腫瘍学者によって実施された死亡診断書の調査により、2004年12月31日後に死亡した対象の死因を確定し、前立腺癌特異的死亡を、前立腺癌が原死因として分類されたものとして定義した。平均追跡期間は、4.6年だった(範囲は0.6〜6.5年)。合計325人(23%)の前立腺癌患者が追跡中に死亡し、そのうち218(15%)人は前立腺癌が原死因として分類された。未罹患対照集団の中では、82人(9%)が追跡中に死亡した。
MIC−1血清レベルを、MIC−1サンドイッチELISAを使用して決定した。サンドイッチELISAは、マウスモノクローナル抗体(MAb、monoclonal antibody)26G6H6を抗原捕捉用に(Brown DA., et al. (2002) Antibody-based approach to high volume genotyping for MIC-1 polymorphism. Biotechniques;33(1):118-120, 22, 24 passim、Moore AG., et al. (2000) The transforming growth factor-β superfamily cytokine macrophage inhibitory cytokine-1 is present in high concentrations in the serum of pregnant women. J Clin Endocrinol Metab; 85(12): 4781-4788)、ヒツジポリクローナル抗体(PAb、polyclonal antibody)233B3−Pを検出用に(Brown DA., et al. (2002) Antibody-based approach to high volume genotyping for MIC-1 polymorphism. Biotechniques;33(1):118-120, 22, 24 passim)使用して確立した。両抗体の至適濃度を決定し、次いで、その後の研究全てに使用した。96ウエルMaxisorp ELISAプレートを、コーティング緩衝液(蒸留水中0.1mol/Lの炭酸塩、pH9.4〜9.8)で1:5に希釈されたMAb26G6H6上清(終濃度は、およそ20ng/mLであった)で、24時間4℃でコーティングした。その後、ELISAプレートを、300μL/ウエルのリン酸緩衝生理食塩水(PBS、phosphate buffered saline)中1%(重量/容積)のウシ血清アルブミン(BSA、bovine serum albumin)で3回、37℃で2時間洗浄した。その後、組換えヒトMIC−1(rhMIC−1、recombinant human MIC-1)標準物質、組織培養上清、又は患者血清をプレートに添加し(100μL/ウエル)、37℃で1時間インキュベートした。プレートを3回洗浄し、その後、抗体希釈液(Ab dil、antibody diluent;1%(重量/容積)BSA及び0.05%(容積/容積)ツイーン−20を含有するPBS)で1:5000に希釈したヒツジPAb233B3−Pを、100μL/ウエルで添加し、37℃で1時間インキュベートした。その後ELISAプレートを3回洗浄し、Ab dilで1:5000に希釈したビオチン化ロバ抗ヒツジIgGを100μL/ウエルで添加し、37℃で1時間インキュベートした。プレートを4回洗浄し、その後、0.014%H2O2、pH5.0を含有する0.05mol/Lリン酸−クエン酸緩衝液(Sigma社製)中のペルオキシダーゼ基質(1mg/mLのo−フェニレンジアミン二塩化水素化物(Sigma社製))を、100μL/ウエルで添加した。発色は、5〜15分間その進行を可能にさせ、4NのH2SO4を100μL/ウエルで添加することによって終了させた。490nmの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。試料中のヒトMIC−1(hMIC−1、human MIC-1)の濃度を、rhMIC−1標準曲線と比較して決定した。標準曲線は、マイクロプレートリーダー(Pasteur Diagnostics社製)に備えられている標準曲線フィッティングソフトウェアを使用して作成した。標準曲線のrhMIC−1濃度は、この標準物質を、高度に精製された組換えMIC−1のマスター標準物質と比較することに基づいて決定した。マスター標準物質タンパク濃度は、総アミノ酸組成の8つの推定を平均することによって決定した。試料は全て三重反復で少なくとも2度アッセイした。結果は、平均+/−SDとして表されている。血清試料には、血清濃度を測定するために盲検的に表示を付けた。
MIC−1血清レベルを、ANOVA分析を使用して、対数変換されたMIC−1濃度レベルと年齢ごとに比較した。生存は、診断日から死亡日まで又は打ち切り日(2007年3月1日)まで評価した。生存期間は、前立腺癌以外の原因により死亡した患者の死亡時に打ち切った。コックス回帰モデルをフィッティングして、MIC−1血清レベルによる前立腺癌死亡率のハザード比(HR、hazard ratio)を評価した。
未罹患対照集団のMIC−1血清濃度と年齢との関連
表2及び図1に示されているように、MIC−1血清濃度は、未罹患の見かけ上健康な対照集団対象において、年齢と強い相関性を示した。例えば、45〜54歳の平均±SD MIC−1血清濃度は、543±352pg/mlであり、その一方で、75〜79歳では1260±1033pg/mlだった。
表3に示されているように、MIC−1血清濃度は、驚くべきことに、対照集団コホートにおいて全生存率と強い逆相関を示した。例えば、対照集団を血清MIC−1レベルによる四分位に層別化すると、673pg/ml未満のMIC−1血清濃度を有する、対照集団の3%が任意の原因で死亡したに過ぎないが、1299pg/mlを超えるMIC−1血清濃度を有する、対照集団の22%が任意の原因で死亡した。
合計で、前立腺癌症例の414例(30%)が、PSA検査におけるPSA濃度の上昇により発見され、患者の897人(65%)は、癌が前立腺被膜内に限定されており領域的転移又は遠隔転移の証拠がない限局性疾患と診察された(表1)。大多数の患者は初期治療を受けており、研究コホートの48%は、主に治癒目的の治療を受けており、35%が緩和目的の治療を受けていた。1380人のうち316人(23%)が追跡中に死亡し、そのうち218(15%)人は前立腺癌が原死因として分類された。平均追跡期間は、4.7年だった(範囲は0.1〜5.9年)。
MIC−1血清濃度は、前立腺癌の様々な臨床病期にわたって有意に異なっていた(P<0.001)。MIC−1血清濃度の有意な上昇が、限局性第I〜II期疾患(平均=1101pg/ml)を有する患者と比較して、限局性進行期III前立腺癌を有する患者(平均=1394pg/ml、p<0.001)、及び転移性第IV期前立腺癌を有する患者(平均=2084pg/ml、p<0.001)の中で観察された。
前立腺癌患者を、血清MIC−1レベルによる四分位に層別化した。最終的に前立腺癌で死亡した患者のMIC−1血清濃度の分布は、生存患者と比較して、最上位四分位に向かって歪んでいた(図2)。単変量コックス回帰分析により、MIC−1濃度の増加とより高い死亡率との間に強い関連性があることが明らかにされ、対数変換されたMIC−1濃度の各100%増加は、4倍高い死亡率と関連していた(傾向検定のP<0.001)。722pg/mL未満のMIC−1血清濃度を示した患者の6%のみが追跡中に死亡した一方で、1466pg/mLを超えるMIC−1血清濃度を示した患者の30%が死亡し、6倍の勾配(gradient)をもたらした(ハザード比=6.1、95%信頼区間(CI)=3.8〜9.8;表4)。
MIC−1血清濃度は、初期の追跡期間の間は、致死性前立腺癌と非致死性前立腺癌との分類に良好な予測精度を示した。しかしながら、識別能力は、追跡終了時のおよそ0.68へと時間と共に徐々に減少し、結果として全体的一致サマリは0.70になった(95%CI=0.65〜0.72;図3)。全体的一致サマリは、PSA及びグリーソン合計を含む予測モデルの場合の0.82から、MIC−1をさらに含んでいた予測モデルの場合の0.84にまで有意に増加した(p<0.001)。限局性疾患と診察された患者の中では、全体的一致サマリは、PSA及びグリーソン合計に加えてMIC−1が予測モデルに含まれていた場合、0.82から0.86にまで有意に増加した(p<0.001)。
この例に記述されている研究は、MIC−1血清濃度と疾患病期との間に関連性を確認し、前立腺癌患者の大規模集団に基づくコホートにおいて、血清MIC−1濃度の予後上の価値を実証する。グリーソン合計、臨床病期、及び診断的PSA濃度を含む重要な予後因子が調整された多変量分析でも、MIC−1は、依然として疾患転帰の独立予後指標であった。
材料及び方法
男性対照集団対象の追跡評価
上述の見かけ上健康な876人の初期コホートの場合、特異的死亡の完全追跡は、各研究参加者に固有の国民登録番号を使用してスウェーデン死因登録への記録連係により2007年3月1日までに達成した。死亡診断書を調査することにより、2004年12月31日後に死亡した個人の死因を確定した。平均追跡期間は、5.2年だった(範囲は0.1〜5.9年)。合計102人の患者(12%)が追跡中に死亡し、死因を死亡診断書から取得し、国際疾病分類(ICD、International Classification of Diseases)の基準に従ってコード化した。全死亡率を見ることに加えて、癌(ICD9 140〜239、ICD10 C00〜D48)及び心血管疾患(CVD、cardiovascular disease)(ICD9 401〜459又はICD10 I10〜I99)による主要死因を検討した。
結果は、中央値及び(±)範囲として表されており、そうでないと指示されていない限り、p<0.05は有意性を示す。連続変数及び分類変数について、独立t検定及びカイ二乗分析をそれぞれ使用してコホートを比較した。多くの数値は正規分布していなかったため、マーカー間の相関性は、スピアマンの順位相関検定によって計算した。累積生存率の違いを、様々なMIC−1レベルを有する患者間で比較した。血液採取日から死亡日まで、所望の時間間隔の長さが早い場合はそこで打ち切って曝露量を計算した。死亡及び95%CIの未調整及び調整相対リスク(RR、relative risk)を、コックス比例ハザードモデルの使用によって評価した。以前の分析で独立危険因子であると特定された変数を用いて、モデルをまずフィッティングした後で、調整RRを推定した。生存曲線をカプラン−マイヤー法で計算し、ログランク統計を使用してリスク層化群中で比較した。相関係数を比較した場合は、相関性z検定により相関性r値を決定し、フィッシャーのr−z変換法(Fisher r to z transformation)を使用して比較した。相対リスクの比較は、以前に記述されているように実施した(Altman, D. G. & Bland, J. M. (2003) Interaction revisited: the difference between two estimates. BMJ 326, 219)。分析は、StatView 5.0ソフトウェア(SAS Inc.社製、Campus Drive、Cary、NC、アメリカ合衆国)を用いて実施した。
男性対照集団コホートの特徴
参加した876人の対象のうち、102人が追跡期間中に死亡した。これらのうち、30人が癌で死亡し、46人の患者が心血管系事象を患い、そのうち13の事象は心筋虚血性事象であった。残りの26人の患者は、他の原因で死亡したか、又は死亡診断書に基づいては確定的に分類することができなかった(表5)。血清MIC−1レベルの中央値は、934pg/ml(範囲は156〜9638pg/ml;四分位範囲は628pg/ml)であった。
血清MIC−1レベルは、年齢と有意に関連しており、3.38(95%CI=1.38〜8.26)の年齢調整相対死亡リスクを有する全男性コホートにおける死亡率を予測した。男性対照コホートの876対象の中央値(935+627pg/ml)を超えた血清MIC−1レベルは、死亡と関連していた(p<0.0001)。血清MIC−1中央値(935pg/ml)によって層別化された対象のカプラン−マイヤープロットは、中央値より大きいMIC−1レベルを有する対象者が、中央値未満のMIC−1レベルを有する対象者の生存率と比較して、不良な生存率を有意に示したことを表している(94%と比較して82%;p<0.0001;図4A)。さらに、血清MIC−1レベルは、研究期間内に最終的に死亡した対象において有意に高かった(死亡した対象の中央値=1432pg/mlと比較して、生存した対象の中央値=885pg/ml;p<0.0001)。しかしながら、死亡した対象は、生存した対象より有意に年齢が高かった(死亡した対象の血液採取時の中央値年齢=75歳と比較して、生存者の血液採取時の中央値年齢=67歳;p<0.0001)。さらに、血清MIC−1レベルは、年齢と相関していた(ρ=0.458;p<0.0001)。図4Bで示されているように、コホートを、血清MIC−1レベルに基づいて四分位に分割し再検討した。追跡期間内に死亡した大多数の対象は、最上位四分位(1299pg/mlを超える)の血清MIC−1レベルを示していた。さらに、最上位四分位の血清MIC−1レベルは、死亡と有意に関連しており(p<0.0001)、下位3四分位では90%を超える対象が生存したのと比較して、この四分位では74%の対象が生存したに過ぎなかった。非心血管性又は非癌性の原因、心血管疾患、及び癌により最終的に死亡した男性は全て、最上位四分位の血清MIC−1レベルを有する可能性がより高かった(それぞれ、p=0.0034、p<0.0001、p=0.0429)。コックス比例ハザードモデルを使用して、最上位四分位の血清MIC−1レベルは、表6に示されているように7倍を超える死亡リスクの増加を生起させた(RR 7.05;95%CI 3.49〜14.25)。他の死亡リスク、喫煙歴、BMI、及び年齢を調整しても、最上位四分位の血清MIC−1は、依然として将来の死亡と有意に関係した(RR 3.38;95%CI 1.38〜8.26;表6)。
検証目的のために、血清MIC−1と生存率との間の関連性を、双生児の独立コホートにおいて検討した。
双生児コホート
双生児コホートには、1886年以降に誕生した85,000対を超える双生児対が登録されている現在のところ世界で最も大規模な集団ベースの双生児登録であるスウェーデン双生児登録(Swedish Twin Registry)(Lichtenstein, P. et al. (2002) The Swedish Twin Registry: a unique resource for clinical, epidemiological and genetic studies. J. Intern. Med. 252, 184-205)内に登録されている308人の対象(154対の同性双生児対で構成されている)が含まれていた。本分析の双生児サブセットは、老化に関する研究に参加した(McClearn, G. E. et al. (1997) Substantial genetic influence on cognitive abilities in twins 80 or more years old. Science 276, 1560-1563、Finkel, D. et al. (2005) The longitudinal relationship between processing speed and cognitive ability: genetic and environmental influences. Behav Genet 35, 535-549)。接合生殖性は、自分たちが「鞘の中のエンドウと同じくらい類似している」か、又は「兄弟よりも一般的に似ているに過ぎない」のかを双生児対に尋ねることによって以前に決定されており、接合生殖性は、制限断片長多型(RFLP、restriction fragment length polymorphism)又は血清学的検査のいずれか及びマイクロサテライトマーカーによって、全双生児対について確認した。
双生児集団内の308人の対象については、2003年の終わりまでの総人口登録(Registry of the Total Population)を通じて死亡日を取得し、死因は、各双生児の個人登録番号(PRN、personal registration number)を使用してスウェーデン死因登録(Swedish Cause of Death Registry)との連係を通じて入手可能であった。1961年に設立された死因登録は、1961年以降に死亡した全スウェーデン人口を99%網羅している。死因は2001年の終わりまで更新されていた。特異的原因による死亡を死亡診断書から取得し、国際疾病分類(ICD)基準によってコード化した。全死亡率を検討することに加えて、癌(ICD9 140〜239、ICD10 C00〜D48)及びCVD(ICD9 401〜459又はICD10 I10〜I99)による主要死因を評価した。年齢及び性別に関する情報は、スウェーデン双生児登録から抽出した。各双生児の観察期間は、血液採取日によって定義されたコホートへの参加日(1992年〜1996年)から、死亡の発生又は観察期間の終了(2003年3月31日)による打ち切り(生存)までとして計算した。
テロメア分析用の全血は、154対の双生児対から入手可能だった(Bakaysa, S. L. et al. (2007) Telomere length predicts survival independent of genetic influences. Aging Cell 6, 769-774)。テロメア長を、最低限105個の細胞の制限酵素消化及びサザンブロットハイブリダイゼーションに依存してテロメアの平均長を測定する末端制限断片(TRF、terminal restriction fragment)分析によって評価した。これは、最初の最も広く用いられている技術の1つであり、短いテロメアの検出に対する結果にバイアスをかけるものの、信頼性の高い結果をもたらす。研究参加者のテロメア長は、一連の18バッチで測定した。テロメア測定における潜在的なバッチ特異的な違いを考慮するために、各それぞれのバッチからのテロメア長を別々に標準化して正規分布に適合させ、その後各バッチからの標準化されたテロメア長を、連続テロメア長変数の分析用にプールした。テロメア長を分類変数として分析する際に、各バッチを長さに基づく四分位に独立して分割し、その後各四分位をバッチを越えてプールした。標準化法及び四分位法は両方とも、バッチ間の測定変動を制御する尺度であった。バッチ間変動の制御を検証するために、分析を、双生児の相手を同じバッチで測定した33双生児対の標準化されたテロメア長に限定した。
MIC−1血清濃度(pg/ml)を、上述のように、マウスモノクローナル抗体(MAb)26G6H6を抗原捕捉に使用し、ヒツジポリクローナル抗体(PAb)233B3−Pを検出用に使用して確立した高感度サンドイッチELISA(Brown DA., et al. (2002) Antibody-based approach to high volume genotyping for MIC-1 polymorphism. Biotechniques;33(1):118-120, 22, 24 passim)を使用して決定した。試料は全て三重反復でアッセイし、試料間の変動係数は12パーセント未満だった。
実施例2のように統計分析を実施した。
双生児コホートの特徴
表7に示されているように、双生児コホートの対象は、血液採取時の年齢が、男性対照集団コホートの対象より有意に高かった(男性対照集団コホートの中央値=68歳と比較して、双生児コホートの中央値=78歳;p<0.0001)。双生児コホートは、男性対照集団コホートよりも高い血清MIC−1レベルを示し(中央値=1393pg/ml;範囲は428〜8064pg/ml;四分位範囲は1056pg/ml;p<0.0001)、血清MIC−1レベルは、年齢と有意に相関した(ρ=0.614;p<0.0001)。加えて、双生児集団は、男性対照集団コホート(中央値=25.92kg/m2;p<0.0001)よりも有意に低いBMI(中央値=23.84kg/m2)を有していた。
双生児コホートの対象の血清MIC−1レベルを、四分位に層別化した。血清MIC−1は死亡を予測し、血清MIC−1レベルの増加は、死亡リスクの増加と関連していた(p<0.0001;表8;図5)。このコホートでは、最下位四分位の血清MIC−1レベルを有する患者の69%と比較して、最上位四分位の血清MIC−1レベルを有する対象は、6%が追跡期間を生存したに過ぎなかった。
かなりの数が死亡を予測する生物学的老化の潜在的マーカーと関連しているにもかかわらず(Simm, A. et al. (2008) A. Potential biomarkers of ageing. Biol. Chem. 389, 257-265)、本結果は、血清MIC−1レベルが生存期間と直接相関しており、双生児接合生殖性によって影響を受けなかったため、血清MIC−1レベルは独立して死亡を予測し、遺伝的背景によって著しくは影響を受けないことを示す。双生児対の両方のメンバーが死亡した場合、血清MIC−1レベルは、生存期間と有意に逆相関していた(r=0.344;p<0.0001)。図6A及び6Bに示されているように、一卵性(MZ、monozygotic)と二卵性(DZ、dizygotic)双生児対との間の相関性の強さに有意差はなかった(MZ:r=0.419、p<0.0001;DZ:r=0.342、p=0.0046;差異z=−0.51;p=0.2946、片側、p=0.5892、両側;フィッシャーのr−z変換)。加えて、コックス比例ハザードモデルを使用して、研究参加時の中央値よりも高い血清MIC−1レベルを有していたMZとDZ双生児との間に死亡リスクの有意差はなく(MZ:RR=1.71、95%CI=1.06〜2.77;DZ:RR=2.17、95%CI=1.32〜3.56)、これらの相関性は、有意には異なっていなかった(相対リスク比=1.27;95%CI=0.63〜2.53)。したがって、血清MIC−1レベルは、一卵性及び二卵性双生児の死亡に関して類似した予測能力を示し、血清MIC−1の変化は、遺伝的背景ではなく活動性疾患の経過に関連することが示された。
実施例1に記述されている前立腺癌患者のMIC−1血清レベルを検証するために、この場合はコホートがより大きく、さらに10カ月間追跡した以外は実施例1に記述されている同じ研究から、前立腺癌と診察された人々のコホートを検討した。
研究コホート
この研究では、1442人の前立腺癌対象(スウェーデン癌前立腺(CAPS)から)に由来する血清試料を、MIC−1レベルの測定に使用した。自己申告の治療歴に基づいて、試料を、治療前(n=431)又は治療後(n=1011)のいずれかに分類した。
各対象に固有の国民登録番号を使用して、スウェーデン人口登録との記録連係により、血液採取日から2008年1月15日までの生命状態を評価し、前立腺癌特異的生存率は、2005年12月31日までの死因登録との連係により取得した。腫瘍学者によって実施された死亡診断書を調査することにより、2005年12月31日後に死亡した個人の死因を確定した。
実施例1に記述されているように、MIC−1血清濃度(pg/ml)を決定した。試料は全て三重反復でアッセイし、試料間の変動係数は12パーセント未満だった。
臨床的特徴間のMIC−1血清レベルの違いを、クラスカル−ワリス検定を使用して検査した。前立腺癌による死亡を転帰として使用した時間事象分析を実施した。生存期間は、前立腺癌以外の原因で死亡した対象の死亡時に打ち切った。MIC−1血清レベルと前立腺癌死との間の関連性は、全患者のMIC−1レベル分布の四分位に基づいて血清レベルを4群に分類し、最下位分類(つまり下位四分位)を基準群として使用したコックス回帰分析を使用して評価した。予後リスク群によって層別化された分析では、対数変換されたMIC−1レベルのコックス回帰分析を実施した。前立腺癌死亡に関するMIC−1血清レベルの識別能力を評価するために、コックス回帰モデルからのパラメーター推定に基づく一致確率を推定した(Gonen, M. and Heller, G. (2005) Concordance probability and discriminative power of proportional hazards regression. Biometrika 92: 965-970)。一致推定は、0.5〜1.0の範囲に及び、1.0は、予後変数と生存期間との間の完全一致を表していた。
MIC−1血清レベル及び臨床的特徴
表9は、患者の臨床的特徴ごとのMIC−1血清レベルを示す。MIC−1血清レベルは、T期(P<0.0001)、M期(P<0.0001)、グリーソン合計(P<0.0001)、及び診断的PSAレベル(P<0.0001)の増加したレベル全体で有意に上昇していた。結節陰性患者と結節陽性患者との間でMIC−1血清レベルに有意差は観察されなかった。
全体的には、1442人のうち380人(26%)が追跡中に死亡し、そのうち265人(18%)は前立腺癌が原死因として分類された。平均追跡期間は、4.9年だった(範囲は0.1〜6.8年)。コホートを、MIC−1血清レベルに従って四分位に層別化した。最終的に前立腺癌で死亡した患者のMIC−1血清レベルの分布は、生存患者と比較して、最上位四分位に向かって歪んでいた。図7及び表10に示されているように、6年間追跡した後、前立腺癌による死亡の累積的発生率は、710pg/ml未満のMIC−1血清濃度を有する対象(つまり、最下位四分位、図7では第1四分位と呼ばれている)では7%であり、1456pg/mlを超えるMIC−1血清濃度を有する対象(つまり、最上位四分位、図7では第4四分位と呼ばれている)では34%であり(P<0.0001)、6倍の相対リスクに相当した(ハザード比[HR]、6.33;95%信頼区間[CI]、4.11〜9.74;表10)。確立されている予後因子グリーソン合計、TNM期、及び診断的PSAレベルの影響について調整した多変量分析では、より高いMIC−1レベルは、依然として前立腺癌死亡と関連していた(調整HR、3.58;95%CI、2.28〜5.63;表10)。
次いで、これらの対象では個別の予後及び管理が特別な課題であるため、臨床的に限局性の疾患を有する対象(つまり、T1/T2のTスコア、及びN0/NxのNスコア、及びM0/MxのMスコアを有する対象)に限定して、分析を行った。より均質な亜群でMIC−1血清レベルの予後上の価値を探求するために、対象を、従来の低リスク(PSAが10未満及びグリーソン合計が7未満)、中程度のリスク(PSAが10〜20又はグリーソン合計が7)、及び高リスク(20を超えるPSA及び7を超えるグリーソン合計)群にさらに層別化した。しかしながら、追跡中に前立腺癌により死亡した対象は低リスク群では1人のみだったため、低リスク群及び中程度のリスク群を1つのリスク群にプールした。対数変換されたMIC−1血清レベルのコックス回帰分析により、低/中程度リスク群並びに高リスク群の人々で前立腺癌死との有意な関連性があることが明らかになった(それぞれ、P=0.0001、及びP=0.001;表11)。コックスモデルの予測強度を評価する一致確率推定は、低/中程度リスク群の人々では0.71(SE、0.04)であり、その一方で高リスク群の人々は、0.66(SE、0.04)の一致確率を示した。
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Claims (14)
- 見かけ上健康な対象の全生存の予後判定の方法であって、前記対象由来の試験身体試料におけるMIC−1量の上昇を検出することを含み、前記MIC−1量の上昇が、前記対象の死亡可能性の増加と関連している方法。
- 試験身体試料におけるMIC−1量の上昇から、事故又は不運な出来事以外の任意の原因による死亡可能性の増加が予測される、請求項1に記載の方法。
- MIC−1量の上昇から、試験身体試料を採取してから10年以内の対象の死亡可能性の増加が予測される、請求項1又は2に記載の方法。
- MIC−1量の上昇から、試験身体試料を採取してから5年以内の対象の死亡可能性の増加が予測される、請求項1又は2に記載の方法。
- 試験身体試料が血清試料である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 1ng/mLを超えるMIC−1量の上昇を検出することを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- 1.3ng/mLを超えるMIC−1量の上昇を検出することを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- 試験身体試料におけるMIC−1量の上昇が、
(i)前記試験身体試料中に存在するMIC−1量を決定すること、及び
(ii)前記MIC−1量を、正常な対象(複数可)から採取された比較身体試料(複数可)中に存在するMIC−1量又はその量の範囲と比較すること
によって検出され、前記正常な対象(複数可)が、前記比較身体試料(複数可)を採取してから10年以内に事故又は不運な出来事以外の任意の原因で死亡しない対象である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。 - 正常な対象(複数可)と、関連試験身体試料が採取された対象との年齢差が10歳以内である、請求項8に記載の方法。
- 正常な対象(複数可)と、関連試験身体試料が採取された対象との年齢差が5歳以内である、請求項8に記載の方法。
- 試験身体試料におけるMIC−1量の上昇が、
(i)前記試験身体試料中に存在するMIC−1量を決定すること、及び
(ii)前記MIC−1量を、より初期の時点で同一対象から採取された比較身体試料(複数可)中に存在するMIC−1量又はその量の範囲と比較すること
による連続測定を使用して検出された前記対象内のMIC−1量の増加である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。 - 0.3ng/mlを超えるMIC−1量の上昇を検出することを含む、請求項8〜11のいずれかに記載の方法。
- 0.6ng/mlを超えるMIC−1量の上昇を検出することを含む、請求項8〜11のいずれかに記載の方法。
- 対象が35歳を超えている、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
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