JP5271215B2 - アルミダイカスト製品の改質方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車や二輪車に使用されるキャブレター、エンジンブロック、シリンダーヘッド、シリンダーブロック、ショックアブソーバ、サイドカバー、クランクケースなどの部品や、VTRフレーム、カメラ本体などに使用される部品のほか、電動工具、ガス器具、エスカレータなどの部品として使用される、SiとCuを含有するアルミダイカスト製品の改質方法に関する。
所謂ADC10、ADC12、ADC14などのSiとCuを含有するアルミダイカスト製品は、腐食反応を促進するCuを含んでいるため耐食性が問題となることがある。SiとCuを含有するアルミダイカスト製品の耐食性を改善するため、一般的には陽極酸化処理や塗膜などの他の物質で表面を被覆する被覆処理などが行われている。
また、例えば特許文献1には、アルミニウム合金中に含まれるCuの含有量を0.2質量%以下に制限し、かつMgの含有量を0.1〜0.5質量%の範囲に制御する旨が記載されている。特許文献1ではCuの含有量を低くすることでアルミニウム合金中にCuが析出しないようにしつつ、Cuの含有量を低くすることによって不足する強度を前記特定の範囲で含有するMgにより補うことで耐食性と強度(硬さ(HV))を高めることができるとしている。
特開2005−139552号公報(請求項1、請求項6、請求項12、段落[0016]、段落[0027]など)
しかしながら、陽極酸化処理や被覆処理はアルミダイカスト製品を作製した後に別工程でこれを設ける必要があるためコスト的に不利であるだけでなく、形成した酸化皮膜や塗膜が除去されると容易に腐食するおそれがある。
また、CuほどではないがMgも腐食反応を促進させる作用があるため、Mgを多く含有する特許文献1に記載の技術も十分な耐食性を有しているとはいえない。
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、耐食性、及び機械的強度、具体的には耐力に優れたアルミダイカスト製品の改質方法を提供することを課題とする。
本発明に係るアルミダイカスト製品の改質方法は、ADC10、ADC12またはADC14で規定されるアルミダイカスト製品を改質して、SiとAlの結晶粒界に析出するAl−Cu系金属間化合物の最大の粒子の直径を10μm以下、かつ、前記Al−Cu系金属間化合物の平均粒子体積を15μm3以上20μm3以下にするアルミダイカスト製品の改質方法であって、前記アルミダイカスト製品を150℃以上200℃以下で30分以下の加熱のみを行うことを特徴としている。
または、ADC10、ADC12またはADC14で規定されるアルミダイカスト製品を改質して、SiとAlの結晶粒界に析出するAl−Cu系金属間化合物の最大の粒子の直径を10μm以下、かつ、前記Al−Cu系金属間化合物の平均粒子体積を15μm3以上20μm3以下にするアルミダイカスト製品の改質方法であって、前記アルミダイカスト製品を150℃で60分以下の加熱のみを行うことを特徴としている。
この加熱は前記アルミダイカスト製品に交流電場を印加するか、高周波領域の電磁波を印加するか、又はヒータにより加熱するのが好ましい。
このような特定の加熱条件でアルミダイカスト製品を加熱すればCuを析出させることができるため、Al−Cu系金属間化合物の最大の粒子の直径を10μm以下、かつ、前記Al−Cu系金属間化合物の平均粒子体積を20μm3以下とすることが可能となる。従って、かかる改質を行うことによりアルミダイカスト製品の耐食性を向上させることができる。
発明に係るアルミダイカスト製品の改質方法は、アルミダイカスト製品のAl−Cu系金属間化合物の平均粒子体積を20μm3以下とすることができるため、アルミダイカスト製品の耐食性を向上させることができる。
本発明のアルミダイカスト製品の改質方法を実施するアルミダイカスト製品改質装置の一例を示す斜視図である。 実施例1、比較例1及び比較例2のアノード分極測定の結果を示すグラフである。 比較例3の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 実施例4のTEM写真である。 実施例5のTEM写真である。 比較例4のTEM写真である。 実施例6におけるAl−Cu系金属間化合物の粒子表面積[μm2]と析出個数[個/mm2]の関係を示すヒストグラムである。 比較例5のTEM写真である。 実施例6のTEM写真である。 実施例7のTEM写真である。 比較例6のTEM写真である。 比較例7のTEM写真である。 実施例8のTEM写真である。 実施例9のTEM写真である。 比較例8のTEM写真である。 比較例9のTEM写真である。 実施例10、比較例1及び比較例10のアノード分極測定の結果を示すグラフである。 実施例11、比較例11及び比較例12の機械的性質(引張強さ(応力[MPa]))、0.2%耐力[MPa]、破断ひずみ[%])を示すグラフである。
以下、本発明に係るアルミダイカスト製品及びアルミダイカスト製品の改質方法について詳細に説明する。
まず、本発明に係るアルミダイカスト製品について説明する。
本発明に係るアルミダイカスト製品は、SiとCuを含有するアルミダイカスト製品であって、SiとAlの結晶粒界に存在するAl−Cu系金属間化合物の最大の粒子の直径を10μm以下、かつ、Al−Cu系金属間化合物の平均粒子体積を20μm 3 以下としている
ここで、SiとCuを含有するアルミダイカスト製品とは、所謂ADC10、ADC12、ADC14などのアルミダイカスト用合金を用いてダイカスト法により作製された製品をいう。このようなアルミダイカスト製品としては、例えば自動車や二輪車に使用されるキャブレター、エンジンブロック、シリンダーヘッド、シリンダーブロック、ショックアブソーバ、サイドカバー、クランクケースなどの部品や、VTRフレーム、カメラ本体などに使用される部品のほか、電動工具、ガス器具、エスカレータなどの部品が挙げられる。
前記したように、SiとAlの結晶粒界に存在するAl−Cu系金属間化合物の最大の粒子の直径を10μm以下にするということはCuが析出して不均一な組織になるということである。従って、組織中にCuが均一に分散している場合に比べてAlとCuの結合領域を減らすことができ、AlとAlの結合領域を増やすことができる。また、Al−Cu系金属間化合物の最大の粒子の直径が十分に小さいので腐食の起点になり難い。そのため、アルミダイカスト製品の耐食性を向上させることができる。
これに対し、SiとAlの結晶粒界に存在するAl−Cu系金属間化合物の最大の粒子の直径が10μmを超えると、Alが粗大化したAl−Cu系金属間化合物が腐食の起点となるため耐食性が向上しない。Al−Cu系金属間化合物の最大の粒子の直径は5μm以下とするのがより好ましく、3μm以下とするのがさらに好ましく、1μm以下とするのがさらにより好ましく、0.5μm以下とするのが最も好ましい。また、Al−Cu系金属間化合物の最大の粒子の直径は0.03μm以上あるのが好ましい。
本発明のアルミダイカスト製品においては、前記したAl−Cu系金属間化合物の粒子は、粒子体積の最頻値が30μm3以下であるのが好ましい。このようにすれば、組織中に分布しているAl−Cu系金属間化合物の粒子体積の最頻値が十分に小さいため、より腐食の起点となり難くすることができる。従って、アルミダイカスト製品の耐食性をより向上させることができるようになる。
これに対し、前記したAl−Cu系金属間化合物の粒子体積の最頻値が30μm3を超えていると、Al−Cu系金属間化合物の粒子の体積が大きいので腐食の起点となりやすくなる。そのため、アルミダイカスト製品の耐食性を向上させることができなくなる。なお、Al−Cu系金属間化合物の粒子体積の最頻値は10μm3以下とするのがより好ましく、1μm3以下とするのがさらに好ましい。
全体として前記Cuを1〜20質量%の含有量で含有し、かつ1mm3に細分した体積中における前記Cuの含有量が前記含有量(1〜20質量%)の±25%(つまり0.75〜25質量%)であるのが好ましい。本発明のアルミダイカスト製品はCuが析出して不均一な組織となる(つまり、Cuが偏析する)ため、組織中におけるCuの含有量は局所的に偏ったものとなる。そのため全体としてのCuの含有量と、偏析した後の単位体積あたりのCuの含有量との関係をこのように規定した。
全体として含有するCuの含有量が1〜20質量%であると、本発明の改質方法で改質されたアルミダイカスト製品は製品として必要な強度を有することができるので好ましい。一方、全体として含有するCuの含有量が1質量%未満であるとアルミダイカスト製品の強度が低くなるため好ましくない。また、全体として含有するCuの含有量が20質量%を超えるとCuが多すぎるので耐食性が低くなり好ましくない。
1mm3に細分した体積中における前記Cuの含有量が前記含有量(1〜20質量%)の±25%(つまり0.75〜25質量%)の範囲にあるとCuがAl−Cu系金属間化合物として分散析出するためより優れた耐食性を得ることができるので好ましい。一方、1mm3に細分した体積中における前記Cuの含有量が前記含有量(1〜20質量%)の−25%未満(つまり0.75質量%未満)となるとCuがAl−Cu系金属間化合物として分散析出してもAl同士の結合部がまだ多く存在するため好ましくない。また、1mm3に細分した体積中における前記Cuの含有量が前記含有量(1〜20質量%)の+25%を超えると(つまり25質量%を超える)とCuがAl−Cu系金属間化合物として分散析出する領域とCuが不足する領域が存在するため好ましくない。
1mm3に細分した体積中におけるCuの含有量は、分析装置によって分析することで測定し得るが、粒子表面積及び析出個数から単位面積(mm2)あたりのAl−Cu系金属間化合物の含有量、すなわち単位面積(mm2)あたりのCuの含有量を算出し、これに、厚さ方向にも同様にCuが分布していると仮定して算出することで把握することも可能である。
以上に説明したアルミダイカスト製品は、SiとCuを含有するアルミダイカスト用合金を用いてダイカスト法によりアルミダイカスト製品を製造した後、製造したアルミダイカスト製品に対して後記する改質方法を行うことにより得ることができる。
次に、本発明に係るアルミダイカスト製品の改質方法について説明する。
本発明に係るアルミダイカスト製品の改質方法は、SiとCuを含有するアルミダイカスト製品の改質方法であって、アルミダイカスト製品を150℃以上250℃未満で加熱するというものである。
ダイカスト法により製造されたアルミダイカスト製品を前記した特定の温度範囲で加熱すると組織中のCuを析出させることができ、SiとAlの結晶粒界に存在するAl−Cu系金属間化合物の最大の粒子の直径を10μm以下とすることができる。
アルミダイカスト製品の加熱温度が150℃未満であるとCuが析出されないので、Cuが析出した不均一な組織とすることができない。一方、アルミダイカスト製品の加熱温度が250℃以上であると、Cuが分散してしまうので均一な組織となってしまう。なお、加熱温度の上限は230℃程度とするのが好ましい。
アルミダイカスト製品の加熱は、アルミダイカスト製品に交流電場を印加するか、高周波領域の電磁波を印加するか、又はヒータにより加熱することにより行うのが好ましいが、電熱線で加熱することもできる。
アルミダイカスト製品に前記した処理のうちいずれか一つを行うことによりアルミダイカスト製品を150℃以上250℃未満に加熱することができるので、アルミダイカスト製品のSiとAlの結晶粒界に存在するAl−Cu系金属間化合物の最大の粒子の直径を10μm以下とすることが可能である。
なお、交流電場の周波数は50Hzから20kHzであるのが好ましく、交流電場の電力は150W以上250W未満であるのが好ましい。交流電場の周波数及び電力がこの範囲であれば、アルミダイカスト製品を150℃以上250℃未満に加熱することができるので、前記したようにアルミダイカスト製品のSiとAlの結晶粒界に存在するAl−Cu系金属間化合物の最大の粒子の直径を10μm以下とすることができる。
これに対し、交流電場の周波数が50Hz未満であったり、交流電場の電力が150W未満であったりすると周波数や電力が低すぎるため加熱温度が150℃未満となり、Cuを析出させることができない。一方、交流電場の周波数が20kHzを超えたり、交流電場の電力が250Wを超えたりすると周波数や電力が高すぎるため加熱温度が250℃以上となり、Cuが分散してしまう。
このような周波数と電力を有する交流電場は10〜100分間印加するとより確実に組織中に好適にCuを析出させることができる。
交流電場は、アルミダイカスト製品の単位質量あたりのエネルギーが70W/g以上であるのが好ましい。交流電場のエネルギーを70W/g以上とするとアルミダイカスト製品を150℃以上に加熱することができる。
これに対し、交流電場のエネルギーが70W/g未満となると、交流電場のエネルギーが低すぎるためアルミダイカスト製品の加熱温度が150℃未満となり、Cuを析出させることができない。なお、交流電場は、アルミダイカスト製品の単位質量あたりのエネルギーが200W/g以下とするのが好ましい。アルミダイカスト製品の単位質量あたりのエネルギーが200W/gを超えるとアルミダイカスト製品の加熱温度が250℃以上となり、Cuが分散してしまう。
このようなエネルギーを有する交流電場は10〜100分間印加するとより確実に組織中に好適にCuを析出させることができる。
交流電場は、アルミダイカスト製品の単位質量あたりの出力が50W/kgから1000W/kgであるのが好ましい。交流電場の出力をこの範囲とするとアルミダイカスト製品を150℃以上250℃未満に加熱することができる。一方、交流電場の出力が50W/kg未満となると交流電場の出力が低すぎるためアルミダイカスト製品の加熱温度が150℃未満となり、Cuを析出させることができない。また、交流電場の出力が1000W/kgを超えると交流電場の出力が高すぎるためアルミダイカスト製品の加熱温度が250℃以上となり、Cuが分散してしまう。
このような出力を有する交流電場は10〜100分間印加するとより確実に組織中に好適にCuを析出させることができる。
また、高周波領域の電磁波の周波数は10MHzから10GHzであり、出力が100W以上であるのが好ましい。高周波領域の電磁波の周波数及び出力がこのような条件を満たすとアルミダイカスト製品を150℃以上250℃未満に加熱することができる。
これに対し、高周波領域の電磁波の周波数が10MHz未満であったり、高周波領域の電磁波の出力が100W未満であったりすると高周波領域の電磁波の周波数が低すぎるためアルミダイカスト製品の加熱温度が150℃未満となり、Cuを析出させることができない。また、高周波領域の電磁波の周波数が10GHzを超えると高周波領域の電磁波の周波数が高すぎるためアルミダイカスト製品の加熱温度が250℃以上となり、Cuが分散してしまう。なお、高周波領域の電磁波の出力はアルミダイカスト製品の重量に対して200W/g以下とするのが好ましい。
このような高周波領域の電磁波は10〜100分間印加すると組織中に好適にCuを析出させることができる。
高周波領域の電磁波は、アルミダイカスト製品の単位質量あたりのエネルギーが50W/g以上であるのが好ましい。高周波領域の電磁波のエネルギーを50W/g以上とするとアルミダイカスト製品を150℃以上250℃未満に加熱することができる。
これに対し、高周波領域の電磁波のエネルギーが50W/g未満となると高周波領域の電磁波のエネルギーが低すぎるためアルミダイカスト製品の加熱温度が150℃未満となり、Cuを析出させることができない。なお、高周波領域の電磁波は、アルミダイカスト製品の単位質量あたりのエネルギーが200W/g以下であるのが好ましい。アルミダイカスト製品の単位質量あたりのエネルギーが200W/gを超えると高周波領域の電磁波のエネルギーが高すぎるためアルミダイカスト製品の加熱温度が250℃以上となり、Cuが分散してしまう。
本発明のアルミニウム製品の改質方法においては、以上に説明したように、アルミダイカスト製品の加熱温度が150℃未満となりCuが析出しない場合、及びアルミダイカスト製品の加熱温度が250℃以上となりCuが分散してしまう場合のいずれにおいても、SiとAlの結晶粒界にAl−Cu系金属間化合物が存在しないこととなる。
なお、本発明のアルミダイカスト製品の改質方法においては、アルミダイカスト製品をアルコール蒸気中で加熱するのが好ましい。アルコール蒸気中でアルミダイカスト製品を加熱するとアルミダイカスト製品の表面にアルコキシドが生成されると考えられるため、より耐食性に優れたものとすることができる。
アルコール蒸気は、アルコールを加熱するためのヒータ等により70〜110℃に加熱して発生させるのが好ましい。
前記したアルコール蒸気はエチルアルコール及びメチルアルコールのうちの少なくとも一方を加熱して得られたものであるのが好ましい。エチルアルコール及びメチルアルコールであれば比較的安価であり、沸点が低いため容易にアルコール蒸気を得ることができ、そして、確実にアルミダイカスト製品の表面にアルコキシドを生成することができる。
本発明のアルミダイカスト製品の改質方法は、例えば図1に示すアルミダイカスト製品改質装置10によって好適に実施することができる。この装置10は、内部にアルミダイカスト製品Pとともに必要に応じてアルコール蒸気AVを収めることのできる容器11と、この容器11外から容器11内に引き入れられ、アルミダイカスト製品Pと接触して交流電場を印加するためのシールド配線12と、このシールド配線12と接続され、交流電場を発生させる交流発生装置13とを備えている。なお、前記した交流発生装置13に替えて高周波領域の電磁波を発生させる電磁波発生装置(不図示)を備えたアルミダイカスト製品改質装置(不図示)を用いることにより、アルミダイカスト製品Pに対して好適に高周波領域の電磁波を印加することができる。
かかる装置10によりアルミダイカスト製品Pを改質する際は、前記装置10の容器11内にアルミダイカスト製品Pを収め、当該アルミダイカスト製品Pとシールド配線12とが接触するようにして密閉する。容器11内をアルコール蒸気AV雰囲気とする場合は、容器11内に70〜110℃で加熱可能なヒータを備えた小容器(いずれも不図示)を設け、当該小容器にエチルアルコール及びメチルアルコールのうちの少なくとも一方を注ぎ入れ、前記ヒータを加熱させるとよい。
次いで、交流発生装置13により交流電場を発生させ、シールド配線12を介してアルミダイカスト製品Pに印加する。交流電場は例えば150W以上250W未満などとすることができる。このような交流電場が印加されると、アルミダイカスト製品Pは例えば150℃以上250℃未満に加熱される。アルミダイカスト製品Pが加熱されるとその表面及び内部において組織中にCuが析出して組織が不均一となる。そして、アルミダイカスト製品PのSiとAlの結晶粒界に存在するAl−Cu系金属間化合物の最大の粒子の直径が10μm以下で形成される。そのため耐食性が向上する。
次に、本発明に係るアルミダイカスト製品及びアルミダイカスト製品の改質方法の実施例について説明する。
(1)交流電場の印加による改質の検討
まず、交流電場の印加による改質の検討を行った。この検討では、交流電場を印加したアルミダイカスト製品に生ずる孔食をアノード分極することにより再現して、アルミダイカスト製品の孔食電位と耐食性の関係を調べた。
はじめに、アルミダイカスト用合金ADC12(Cuの含有量2.3質量%)を用いてダイカスト法により円柱形状のアルミダイカスト製品を製造した。なお、ダイカスト法は、鋳型温度が230℃、溶湯温度が700℃、鋳込温度が670℃、圧力90MPaという条件で行った。
製造したアルミダイカスト製品を図1に示すアルミダイカスト製品改質装置の容器内に収め、200Hz、200Wの交流電場を60分間印加して、容器内に収めたアルミダイカスト製品を200℃で加熱して改質した(実施例1)。かかる交流電場は、アルミダイカスト製品の単位重量あたりのエネルギーが70〜100W/g、アルミダイカスト製品の単位重量あたりの出力が700W/kg程度となるように制御した。
改質した実施例1に係るアルミダイカスト製品と、改質を行わなかった比較例1に係るアルミダイカスト製品とを用いてアノード分極測定を行った。アノード分極測定は25℃の3.5%食塩水中にて腐食電位からアノード方向へ20mV/minで電位を走査させて20mVごとの電位に対する電流を計測するという条件で行った。アノード分極測定の結果を図2に示す。
図2に示すように、60分間前記した条件の交流電場を印加した実施例1に係るアルミダイカスト製品は、前記した条件の改質を行わなかった比較例1に係るアルミダイカスト製品で観察された0.92V[vs Ag/AgCl]での電流密度[A/cm2]と比較してその電流密度は1/10以下となった。もちろん、改質した実施例1に係るアルミダイカスト製品の表面に孔食は発生していなかった(不図示)。
なお、実施例1に係るアルミダイカスト製品に200Hz、250Wの交流電場を印加して250℃で再加熱した(比較例2)ところ、比較例2は、比較例1と同程度の電流密度となり、耐食性が実施例1と比較して低下することがわかった。
(1)の結果から、アルミダイカスト用合金ADC12を用いて製造したアルミダイカスト製品の腐食に関して、あらかじめ交流電場を印加して200℃以上250℃未満の加熱処理をすることが腐食防止に有効であることがわかった。
(2)高周波領域の電磁波の印加による改質の検討
次に、高周波領域の電磁波の印加による改質の検討を行った。この検討では、高周波領域の電磁波を印加したアルミダイカスト製品に生ずる孔食をアノード分極することにより再現して、アルミダイカスト製品の孔食電位と耐食性の関係を調べた。
前記(1)に記載した条件でアルミダイカスト製品を再度製造した。そして、製造したアルミダイカスト製品を図示しないアルミダイカスト製品改質装置の容器内に収め、2.45GHz、100Wの電磁波を30分間(実施例2)及び60分間(実施例3)印加して、容器内に収めたアルミダイカスト製品を200℃で加熱して改質した。かかる電磁波は、アルミダイカスト製品の単位重量あたりのエネルギーが50〜100W/gとなるように制御した。
改質した実施例2,3に係るアルミダイカスト製品を用いてアノード分極測定を行った。アノード分極測定は前記(1)と同様、25℃の3.5%食塩水中にて腐食電位からアノード方向へ20mV/minで電位を走査させて20mVごとの電位に対する電流を計測するという条件で行った。アノード分極測定の結果、実施例2,3は、図2の実施例1とほぼ同様であった(図示省略)。つまり、実施例2,3に係るアルミダイカスト製品も実施例1と同様に、前記比較例1に係るアルミダイカスト製品で観察された0.92V[vs Ag/AgCl]での電流密度[A/cm2]と比較してその電流密度は1/10以下となった。もちろん、改質した実施例2,3に係るアルミダイカスト製品の表面に孔食は発生していなかった(不図示)。
なお、実施例2,3に係るアルミダイカスト製品も実施例1と同様、250℃で再加熱したところ前記比較例1と同程度の電流密度となり、耐食性が実施例2,3と比較して低下することがわかった。
(2)の結果から、アルミダイカスト用合金ADC12を用いて製造したアルミダイカスト製品の腐食に関して、あらかじめ高周波領域の電磁波を印加して200℃以上250℃未満の加熱処理をすることが腐食防止に有効であることがわかった。
(3)透過型電子顕微鏡(TEM)及びエネルギー分散型X線分析による元素分析
次に、交流電場を印加して改質を行った実施例に係るアルミダイカスト製品に生ずるCuの析出をTEM及びエネルギー分散型X線分析による元素分析で観察した。
前記(1)に記載した条件でアルミダイカスト製品を再度製造した。そして、製造したアルミダイカスト製品を図1に示すアルミダイカスト製品改質装置の容器内に収め、200Hz、150Wの交流電場又は200Hz、200Wの交流電場を30分間印加して150℃又は200℃に加熱し、容器内に収めたアルミダイカスト製品を改質した(それぞれ実施例4,5)。なお、交流電場は前記(1)に記載した条件となるように制御した。また、アルミダイカスト製品に交流電場を印加する前、すなわち加熱する前のものを比較例3とした。
比較例3に係るアルミダイカスト製品と、改質した実施例4,5に係るアルミダイカスト製品とをTEM及びエネルギー分散型X線分析による元素分析で調べたところ、図3Aに示すように、前記比較例3ではCuが分散して観察されていたのに対し、図3Bに示すように、150℃で改質した実施例4の結晶粒界に存在するAl−Cu系金属間化合物は偏析により局所的分布となった。200℃で改質した実施例5も実施例4と同様、図3Cに示すように、結晶粒界に存在するAl−Cu系金属間化合物は偏析により局所的分布となった。しかしながら、アルミダイカスト製品を200Hz、250Wの交流電場で30分間印加して250℃に加熱したところ、図3Dに示すようにCuが再度分散することが確認された(比較例4)。なお、図3A〜図3D中のスケールバーは500nmを示す。
(3)の結果から、アルミダイカスト用合金ADC12を用いて製造したアルミダイカスト製品のCuの分布に関して、交流電場を印加し、250℃未満で加熱することがCuの不均一析出に有効であることがわかった。
(4)Al−Cu系金属間化合物の粒子の分布、最も頻度の高い表面積、及びAl−Cu系金属間化合物の粒子の最大の直径
次に、交流電場を印加した実施例に係るアルミダイカスト製品に生ずるAl−Cu系金属間化合物の粒子の分布、最も頻度の高い表面積、及びAl−Cu系金属間化合物の粒子の最大の直径をTEM及びエネルギー分散型X線分析による元素分析で観察した。
前記(1)に記載した条件でアルミダイカスト製品を再度製造した。そして、製造したアルミダイカスト製品を図1に示すアルミダイカスト製品改質装置の容器内に収め、200Hz、150Wの交流電場、200Hz、200Wの交流電場、及び200Hz、250Wの交流電場を印加してそれぞれ150℃、200℃(それぞれ実施例6,7)及び250℃(比較例6)に加熱し、容器内に収めたアルミダイカスト製品を改質した。なお、交流電場は前記(1)に記載した条件となるように制御した。また、アルミダイカスト製品に交流電場を印加する前、すなわち加熱する前のものを比較例5とした。
比較例5に係るアルミダイカスト製品と、改質した実施例6,7に係るアルミダイカスト製品と、比較例6に係るアルミダイカスト製品とをTEM及びエネルギー分散型X線分析による元素分析で調べた。図4に、TEMにより調べた実施例6の粒子表面積[μm2]と析出個数[個/mm2]の関係を示す。
図4のヒストグラムに示すように、実施例6に係るアルミダイカスト製品におけるAl−Cu系金属間化合物の粒子の最も頻度の高い表面積は30μm2であった。また、その分布も30±10μm2以内の粒子面積に集中していた。
さらにここで、図4に示すヒストグラムの粒子表面積及び析出個数から単位面積(mm2)あたりのAl−Cu系金属間化合物の含有量、すなわち単位面積(mm2)あたりのCuの含有量を算出し、これに、厚さ方向にも同様にCuが分布していると仮定して1mm3に細分した体積中(すなわち単位体積あたり)におけるCuの含有量を算出したところ、1mm3に細分した体積中におけるCuの含有量は2.3質量%±25%の範囲であった。
また、比較例5、実施例6,7、及び比較例6のTEM写真をそれぞれ図5A〜図5Dに示す。なお、図5A〜図5D中のスケールバーは500nmを示す。図5A〜図5Dから、実施例6,7のAl−Cu系金属間化合物の粒子の最大の直径が10μm以下であることがわかった。
さらに、図5A〜図5Dに示すTEM写真から、下記表1に示すように、SiとAlの結晶粒界に存在するAl−Cu系金属間化合物の平均粒子体積は、加熱していない比較例5及び250℃で加熱した比較例6では測定することができなかった(表1中「−」で示す。)のに対し、150℃で加熱した実施例6では15μm3であり、200℃で加熱した実施例7では20μm3であった。すなわち、実施例6,7のSiとAlの結晶粒界に存在するAl−Cu系金属間化合物の粒子体積の最頻値は30μm3以下であった。
(4)の結果から、アルミダイカスト用合金ADC12を用いて製造したアルミダイカスト製品のAl−Cu系金属間化合物の粒子の分布、最も頻度の高い表面積、及びAl−Cu系金属間化合物の粒子の最大の直径に関して、交流電場を印加することがAl−Cu系金属間化合物の粒子の微細析出に有効であることがわかった。
(5)ヒータを用いた加熱による改質の検討
次に、ヒータを用いて加熱することによって交流電場や高周波領域の電磁波を印加したときと同様の改質を行うことができるか否か検討した。
前記(1)に記載した条件でアルミダイカスト製品を再度製造した。そして、製造したアルミダイカスト製品に対してヒータを用いて種々の条件で加熱を行った。加熱の条件としては、ヒータによる加熱を行わない場合(比較例7)、ヒータにより加熱して加熱処理を行って200℃に到達した場合(実施例8)、ヒータにより加熱して200℃で30分間経過した場合(実施例9)、200℃で加熱した後さらに加熱し、250℃に到達した場合(比較例8)及び250℃に到達後30分間経過した場合(比較例9)のTEM写真をそれぞれ図6A〜図6Eに示した。なお、図6A〜図6E中のスケールバーは500nmを示す。
図6Aに示す比較例7に係るアルミダイカスト製品は、加熱処理を行っていないためCuが分散しており、Cuの析出が認められなかった。これに対し、図6Bに示す実施例8及び図6Cに示す実施例9に係るアルミダイカスト製品は共に200℃で加熱しているので、実施例4,5,6,7のTEM写真(図3B、図3C、図5B、図5C参照)と同様、SiとAlの結晶粒界にCuが析出していることが確認できた。なお、図6Cに示す実施例9に係るアルミダイカスト製品では、200℃で60分間加熱したためCuの析出量が多かった。他方、図6Dに示す比較例8に係るアルミダイカスト製品では、さらに加熱して250℃に達したため、Cuが分散し、図6CのTEM写真と比較してCuの析出量が若干減っていた。また、図6Eに示す比較例9に係るアルミダイカスト製品では、さらに250℃で加熱を続けて30分間経過したため、SiとAlの結晶粒界に析出していたCuが殆ど全て分散して消滅してしまい、Cuの析出は確認されなかった。
(6)アルコール蒸気中での加熱による改質の検討
次に、アルコール蒸気中での加熱による改質の検討を行った。この検討では、アルコール蒸気中で加熱したアルミダイカスト製品に生ずる孔食をアノード分極することにより再現して、アルミダイカスト製品の孔食電位と耐食性の関係を調べた。
前記(1)に記載した条件でアルミダイカスト製品を再度製造した。そして、製造したアルミダイカスト製品を図1に示すアルミダイカスト製品改質装置の容器内に収め、200Hz、200Wの交流電場を60分間印加して200℃に加熱し、改質した(実施例10)。なお、アルコールはエチルアルコールを用い、交流電場は前記(1)に記載した条件となるように制御した。
アルコール蒸気中で加熱して改質した実施例10に係るアルミダイカスト製品を用いて前記と同様にしてアノード分極測定を行った。アノード分極測定は25℃の3.5%食塩水中にて腐食電位からアノード方向へ20mV/minで電位を走査させて20mVごとの電位に対する電流を計測するという条件で行った。アノード分極測定の結果を図7に示す。
図7に示すように、実施例10に係るアルミダイカスト製品は先に説明した比較例1に係るアルミダイカスト製品で観察された0.92V[vs Ag/AgCl]での電流密度[A/cm2]と比較してその電流密度は1/100以下となった。また、実施例10に係るアルミダイカスト製品をさらに加熱して250℃で60分間処理したところ、図7に示すように、比較例1と同程度の電流密度となった(比較例10)。
また、前記比較例1、前記実施例1及び実施例10の腐食速度を比較した。腐食速度は、比較例1の電流密度を1として規格化して実施例1及び実施例10の腐食速度を評価した。その結果を下記表2に示す。
表2に示すように、実施例1の腐食速度は0.09となり、耐食性が大幅に向上した。また、アルコール蒸気中で加熱した実施例10の腐食速度は0.075となり、実施例1よりもさらに耐食性に優れる結果となった。
(7)機械的性質
次に、改質したアルミダイカスト製品の機械的性質を調べた。
前記(1)に記載した条件でアルミダイカスト製品を再度製造した。そして、製造したアルミダイカスト製品を図1に示すアルミダイカスト製品改質装置の容器内に収め、200Hz、200Wの交流電場を30分間印加して200℃に加熱し、容器内に収めたアルミダイカスト製品を改質した(実施例11)。なお、交流電場は前記(1)に記載した条件となるように制御した。
そして、実施例11に係るアルミダイカスト製品の機械的性質を小型試験片装着型の引張試験機により試験片が破断するまでの応力歪曲線から測定した。その結果を、再度製造したアルミダイカスト製品の改質を行っていないもの(比較例11)、及び実施例11と同様の改質を行った後さらに200Hz、250Wの交流電場を60分間印加して250℃で加熱したもの(比較例12)とともに図8に示す。
図8に示すように、実施例11は交流電場を印加して200℃に加熱して改質したことにより、比較例11と比較して0.2%耐力と引っ張り強さで示される強度が増加する一方、破断ひずみが低下した。比較例12は、250℃での再加熱によりこれらの特性が減退し、実施例11と比較して0.2%耐力と引っ張り強さで示される強度が10%以上低下した。
10 アルミダイカスト製品改質装置
11 容器
12 シールド配線
13 交流発生装置
P アルミダイカスト製品
AV アルコール蒸気

Claims (11)

  1. ADC10、ADC12またはADC14で規定されるアルミダイカスト製品を改質して、SiとAlの結晶粒界に析出するAl−Cu系金属間化合物の最大の粒子の直径を10μm以下、かつ、前記Al−Cu系金属間化合物の平均粒子体積を15μm3以上20μm3以下にするアルミダイカスト製品の改質方法であって、
    前記アルミダイカスト製品を150℃以上200℃以下で30分以下の加熱のみを行うことを特徴とするアルミダイカスト製品の改質方法。
  2. ADC10、ADC12またはADC14で規定されるアルミダイカスト製品を改質して、SiとAlの結晶粒界に析出するAl−Cu系金属間化合物の最大の粒子の直径を10μm以下、かつ、前記Al−Cu系金属間化合物の平均粒子体積を15μm3以上20μm3以下にするアルミダイカスト製品の改質方法であって、
    前記アルミダイカスト製品を150℃で60分以下の加熱のみを行うことを特徴とするアルミダイカスト製品の改質方法。
  3. 前記加熱は、前記アルミダイカスト製品に交流電場を印加するか、高周波領域の電磁波を印加するか、又はヒータにより加熱することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアルミダイカスト製品の改質方法。
  4. 前記交流電場の周波数が50Hzから20kHzであることを特徴とする請求項3に記載のアルミダイカスト製品の改質方法。
  5. 前記交流電場は、前記アルミダイカスト製品の単位質量あたりのエネルギーが70W/g以上であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のアルミダイカスト製品の改質方法。
  6. 前記交流電場は、前記アルミダイカスト製品の単位質量あたりの出力が50W/kgから1000W/kgであることを特徴とする請求項3又は請求項5に記載のアルミダイカスト製品の改質方法。
  7. 前記高周波領域の電磁波の周波数が10MHzから10GHzであり、出力が100W以上であることを特徴とする請求項3に記載のアルミダイカスト製品の改質方法。
  8. 前記高周波領域の電磁波は、前記アルミダイカスト製品の単位質量あたりのエネルギーが50W/g以上であることを特徴とする請求項3又は請求項7に記載のアルミダイカスト製品の改質方法。
  9. 前記アルミダイカスト製品をアルコール蒸気中で加熱することを特徴とする請求項3から請求項8のうちのいずれか1項に記載のアルミダイカスト製品の改質方法。
  10. 前記アルコール蒸気を70〜110℃に加熱して発生させることを特徴とする請求項9に記載のアルミダイカスト製品の改質方法。
  11. 前記アルコール蒸気がエチルアルコール及びメチルアルコールのうちの少なくとも一方を加熱して得られたものであることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載のアルミダイカスト製品の改質方法。
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