JP5271044B2 - 作業車 - Google Patents
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Description
[1] 油圧ポンプと油圧モータとを直列接続する閉回路で、一次側油路と二次側油路とを接続するバイパス路に開閉弁を設けて、バイパス路での圧油流動を連通、遮断可能に構成してある。そして、その開閉弁の走行機体上での配設位置は、油圧ポンプ及び油圧モータを内装する後車軸駆動装置のケースの下側であり、かつ、その開閉弁の操作部は後車軸駆動装置の上部に設けたもの(例えば、特許文献1参照)。
このような場合に開閉弁を開操作すると、作業車の移動に伴って油圧モータの圧油が油圧ポンプに供給されようとしても、圧油がバイパス路を通過して油圧モータに戻る状態となるので、油圧ポンプが作業車の移動の抵抗になることはない。
また、前記開閉弁を配備してある後車軸駆動装置の下部から上部の操作部へ操作機構としてのリンク機構などを配設すると、その操作機構を設けることによる構造の複雑化を招く点でも問題がある。
さらには、前述の操作機構をなくして後車軸駆動装置の下部に位置する開閉弁自体に操作部を設けて、操作することも考えられなくはないが、この場合には、機体の下部に潜り込んで作業を行わなければならないという、作業性の面での問題がある。
〔解決手段1〕
油圧ポンプと油圧モータとを閉回路で接続して構成される静油圧式無段変速装置を備えた作業車において、前記閉回路の一次側油路と二次側油路とを短絡接続するバイパス路に開閉弁を装備して、前記バイパス路での圧油流動を許してエンジン停止時における走行機体の牽引を可能にする油路開放状態と、前記バイパス路での圧油流動を阻止する油路閉止状態とに、前記開閉弁を切換可能に構成し、さらに、前記開閉弁を切換操作するための操作部を、走行機体上の運転部の運転座席近くで、かつ地面上から操作可能な位置に、運転部ステップの上方側に突出して設け、前記エンジンの始動に伴って、油路開放状態にある前記開閉弁が、圧油補給用のチャージ回路からのチャージ圧で付勢されて、油路閉止状態に自動的に切り換えられるように構成され、前記バイパス路を構成するブロック材が前記運転座席の前方に位置され、前記開閉弁のスプールが前記バイパス路に設けられ、前記操作部が前記スプールの上端部に設けられると共に前記ブロック材の上面から上方側に突出されていることを特徴とする。
上記構成によれば、静油圧式無段変速装置の一次側油路と二次側油路とを短絡接続するバイパス路の開閉弁を操作するための操作部が、走行機体上の運転部で、かつ地面上から操作可能な位置に設けられている。したがって、何らかの原因によりエンジンが停止した際に、作業者が走行機体から降りた状態でも、地面に立つ作業者が前記バイパス路を油路開放状態に切換操作することが容易に行える。
また、手押しによる機体移動が不能であるほど大型の作業車であったり、泥濘地などで路面条件が悪くて手押しが困難である場合にも、バイパス路を油路開放状態とすることにより牽引することが容易である。
また、上記のように、開閉弁の操作部が、運転座席近くで運転部ステップの上方側に突出していることにより、作業者が走行機体上で操縦座席に搭乗している状態でも近くに位置する操作部の操作が行い易く、また、地面に立つ作業者からでも、比較的手の届きやす
い低い位置である運転部ステップの操作部を簡便に操作し易い利点がある。
また、上記のように、油路開放状態にある開閉弁が圧油補給用のチャージ回路からのチャージ圧で油路閉止状態に切り換えられるように付勢されているので、開閉弁を人為操作で油路開放状態にして走行機体を移動させたのち、再びエンジンを始動した場合に、前記開閉弁を油路閉止状態に戻し忘れていても、前記チャージ圧の発生にともなって自動的に油路閉止状態に復元される。
したがって、エンジンを再始動した時点で、静油圧式無段変速装置のバイパス路が開放されたままで駆動できないというような事態の発生を確実に回避できる利点がある。
油圧ポンプと油圧モータとを閉回路で接続して構成される静油圧式無段変速装置を備えた作業車であって、
前記閉回路の一次側油路と二次側油路とを短絡接続するバイパス路に開閉弁を装備して、前記バイパス路での圧油流動を許してエンジン停止時における走行機体の牽引を可能にする油路開放状態と、前記バイパス路での圧油流動を阻止する油路閉止状態とに、前記開閉弁を切換可能に構成し、
さらに、前記開閉弁を切換操作するための操作部を、走行機体上の運転部の運転座席近くで、かつ地面上から操作可能な位置に、運転部ステップの上方側に突出して設け、
前記開閉弁は、油路開放状態にある前記開閉弁が圧油補給用のチャージ回路からのチャージ圧で油路閉止状態に切り換えられるように付勢され、
前記バイパス路を構成するブロック材が前記運転座席の前方に位置され、
前記開閉弁のスプールが前記バイパス路に設けられ、
前記操作部が前記スプールの上端部に設けられると共に前記ブロック材の上面から上方側に突出されていることを特徴とする。
〔解決手段3〕
油圧ポンプと油圧モータとを閉回路で接続して構成される静油圧式無段変速装置を備えた作業車であって、
前記閉回路の一次側油路と二次側油路とを短絡接続するバイパス路に開閉弁を装備して、前記バイパス路での圧油流動を許してエンジン停止時における走行機体の牽引を可能にする油路開放状態と、前記バイパス路での圧油流動を阻止する油路閉止状態とに、前記開閉弁を切換可能に構成し、
さらに、前記開閉弁を切換操作するための操作部を、走行機体上の運転部の運転座席近くで、かつ地面上から操作可能な位置に、運転部ステップの上方側に突出して設け、
前記バイパス路を構成するブロック材が前記運転座席の前方に位置され、
前記開閉弁のスプールが前記バイパス路に設けられ、
前記操作部が前記スプールの上端部に設けられると共に前記ブロック材の上面から上方側に突出されていることを特徴とする。
〔作業車の全体構成〕
図1及び2に、本発明に係る作業車の一例である乗用型の草刈り機が示されている。
この草刈り機は、左右一対の前輪11及び後輪12で支持される機体フレーム10の前部側に原動部3を備え、後部側に運転部4を備えて構成される走行機体1に対して、前記機体フレーム10の後端側に集草容器7が連設され、機体フレーム10の下方側で、前記前輪11と後輪12との間に、リアディスチャージ型式に構成されたモーア2が昇降操作可能に吊り下げ状態で装着されたものである。
前記運転部ステップ40は、前記ステアリングホィール41と運転座席42との間に位置する乗降用ステップ部分40a、及び運転座席42の下側で後述するミッションケース5部分を覆う座席支持部分40b、並びに後輪フェンダー部分40cを一体的に形成してある。
機体フレーム10の後端部には、平行四連式のリンク機構13を介して集草容器7が昇降自在に連結され、前記モーア2で刈り取られた刈芝を、走行機体1の腹下から左右後輪12の間(左右の後車軸ケース15同士の間)を通して、前記集草ダクト14から後方側の前記集草容器7に送り込む構造となっている。
上記のようにリンク機構13に連結された集草容器7は、走行機体1に装備されているモーア2から風力搬送されてきた刈草を収容するように走行機体1側の刈草搬送用の集草ダクト14に接続される集草位置と、前記集草ダクト14から分離された排出位置とにわたって位置移動自在に構成してある。
図1及び2に示すように、モーア2は、モーアハウジング20内に2枚の回転ブレード21を左右に並列した構造のものであり、左側のブレード21が時計回りに駆動されるに対して、右側のブレード21が反時計回りに駆動されるように、各ブレード21,21の駆動軸22が互いに逆回転駆動されるように構成してある。そして、前記左側のブレード21が時計回りに駆動され、右側のブレード21が反時計回りに駆動されることで、刈草が両ブレード21,21の回転によって発生した搬送風に乗ってモーアハウジング20の後部中央近くに形成した出口20Aから後方へ排出されるリアディスチャージ式のモーアに形成されている。前記出口20Aから排出される刈草は、その出口20Aに連結される前記集草ダクト14に送り込まれ、前記集草容器7に導かれるようになっている。
前記揺動リンク23同士は、その上端側が連結杆26で連動連結されており、かつ、前記揺動リンク23のうち、前方の揺動リンク23の一部が、機体フレーム10との間に介装された昇降用の油圧シリンダー27に連結され、前記油圧シリンダー27の伸縮作動に伴ってモーア2を上げ下げ操作可能に構成されている。
図2乃至図4に示すように、前記エンジン30からの出力は、走行伝動軸36を介してミッションケース5に入力され、ミッションケース5内の静油圧式無段変速装置50、及び静油圧式無段変速装置50からの出力を左右に分配する動力分配機構(図外)を介して左右の後車軸ケース15内の伝動機構(図外)に伝えられる。
各後車軸ケース15の下端部に片持ち状態で軸支された左右の各後輪12には、後車軸ケース15内の伝動機構を介して前記静油圧式無段変速装置50で変速された動力が伝達されるように構成されている。
すなわち、図6の回路図で示すように、エンジン30の動力で駆動される可変容量型の油圧ポンプ51と、定容量型の油圧モータ52とが閉回路53で接続され、かつ、その閉回路53の一次側油路53aと二次側油路53bとに対して、チャージポンプ(図外)からの補給油が供給されるチャージ回路54と、前記一次側油路53aと二次側油路53bとを短絡接続するバイパス路55とが設けられている。
図6では、前記開閉弁6が油路閉止状態に操作されている状態を示しており、このように開閉弁6が油路閉止状態に操作されていると、一次側油路53aと二次側油路53bとの間における短絡的な圧油流動が阻止されるので、何らかの要因でエンジン30が停止したような場合に、停止したエンジン30が負荷となる油圧ポンプ51の駆動抵抗に抗して走行機体1を牽引することは不可能な状態に維持される。
逆に、図6に示されている開閉弁6を前記油路閉止状態とは逆方向に操作して、開閉弁6が油路開放状態となるように切り換えられると、一次側油路53aと二次側油路53bとの間における圧油流動が許容された状態となるので、何らかの要因でエンジン30が停止したような場合でも、油圧ポンプ51に作用している駆動抵抗に関係なく走行機体1を牽引することが可能な状態となる。
るポンプ入力軸51aは、図1に示すように、運転部ステップ40の乗降用ステップ部分40aの下側を通る走行伝動軸36とほぼ同じ高さ位置にあり、油圧モータ52からの出力を取り出すモータ出力軸52aは、前記ポンプ入力軸51aよりも高い位置から後方の動力分配機構側へ出力するように配設されている。
したがって、図3に示すように、ミッションケース5の下面側は、機体前方側よりも後方側が高くなる傾斜姿勢となり、同図に仮想線で示すように、後方側ほど高くなる傾斜姿勢で配設される集草ダクト14との干渉を避けるために役立っている。
前記バイパス路55を連通状態と遮断状態とに切り換えるための開閉弁6は次のように構成されている。
図4、図6、及び図7に示すように、開閉弁6は、静油圧式無段変速装置50の油路構成用ブロック材56に形成された弁ケーシング部60と、その弁ケーシング部60に対して挿嵌されたスプール61と、そのスプール61の弁ケーシング部60からの抜け出しを阻止するように前記油路構成用ブロック材56に対して取り付けられたプラグ62とで構成されている。
この状態から、エンジン30の停止時などに、図7(a),(b)に示すようにスプール61の操作部66を押し下げると、バイパス路55を遮断していた第1大径部63が下方側へ外れ、バイパス路55には前記小径部64が存在して連通位置に切り換えられた状態となる。この状態では、小径部64の小径軸部の周部を通ってバイパス路55が連通する状態となるものであるから、一次側油路53aと二次側油路53bとの間における圧油流動が可能な油路開放状態となる。
図4に示すように、油路構成用ブロック材56の下端側に形成したチャージ油路接続口56aから供給された圧油が、油圧ポンプ51のポンプ入力軸51aと前記油路構成用ブロック材56の前記ポンプ入力軸51aを挿通させた箇所との間に形成される通油用空隙s1、及び油圧モータ52のモータ出力軸52aと前記油路構成用ブロック材56の前記
モータ出力軸52aを挿通させた箇所との間に形成される通油用空隙s2を通って前記受圧面61aに供給されるように構成してある。
また、前記連通位置では、押し下げられたスプール61が弁ケーシング部60の底面に接触し、この状態で前記シール材67がプラグ62の内周面と接触摩擦することによって位置保持されている。
次に、本発明の別の実施形態を列記する。
[ 1] スプール61の上端部に設けられる操作部66の突出量は、必ずしも、上記最良の実施形態で示したように、開閉弁6の油路閉止状態と油路開放状態との何れの状態でも摘み操作可能な程度に運転部ステップ40の上側に突出している必要はなく、開閉弁6の油路閉止状態では運転部ステップ40の上側から突出して摘み操作可能であるが、押し下げて油路開放状態に切り換えると、運転部ステップ40と面一もしくは下側へ押し込まれてしまうとか、運転部ステップ40の上側から突出してはいるが摘み操作できるほどの突出量ではないものであってもよく。この場合には、前述のようにエンジン30の始動とともに油路閉止状態に復帰するように構成しておく必要がある。
2 モーア
3 刈刃駆動ケース
4 運転部
5 ミッションケース
6 開閉弁
40 運転部ステップ
50 静油圧式無段変速装置
51 油圧ポンプ
52 油圧モータ
53a 一次側油路
53b 二次側油路
54 チャージ回路
55 バイパス路
60 弁ケーシング部
61 スプール
66 操作部
Claims (3)
- 油圧ポンプと油圧モータとを閉回路で接続して構成される静油圧式無段変速装置を備えた作業車であって、
前記閉回路の一次側油路と二次側油路とを短絡接続するバイパス路に開閉弁を装備して、前記バイパス路での圧油流動を許してエンジン停止時における走行機体の牽引を可能にする油路開放状態と、前記バイパス路での圧油流動を阻止する油路閉止状態とに、前記開閉弁を切換可能に構成し、
さらに、前記開閉弁を切換操作するための操作部を、走行機体上の運転部の運転座席近くで、かつ地面上から操作可能な位置に、運転部ステップの上方側に突出して設け、
前記エンジンの始動に伴って、油路開放状態にある前記開閉弁が、圧油補給用のチャージ回路からのチャージ圧で付勢されて、油路閉止状態に自動的に切り換えられるように構成され、
前記バイパス路を構成するブロック材が前記運転座席の前方に位置され、
前記開閉弁のスプールが前記バイパス路に設けられ、
前記操作部が前記スプールの上端部に設けられると共に前記ブロック材の上面から上方側に突出されている作業車。 - 油圧ポンプと油圧モータとを閉回路で接続して構成される静油圧式無段変速装置を備えた作業車であって、
前記閉回路の一次側油路と二次側油路とを短絡接続するバイパス路に開閉弁を装備して、前記バイパス路での圧油流動を許してエンジン停止時における走行機体の牽引を可能にする油路開放状態と、前記バイパス路での圧油流動を阻止する油路閉止状態とに、前記開閉弁を切換可能に構成し、
さらに、前記開閉弁を切換操作するための操作部を、走行機体上の運転部の運転座席近くで、かつ地面上から操作可能な位置に、運転部ステップの上方側に突出して設け、
前記開閉弁は、油路開放状態にある前記開閉弁が圧油補給用のチャージ回路からのチャージ圧で油路閉止状態に切り換えられるように付勢され、
前記バイパス路を構成するブロック材が前記運転座席の前方に位置され、
前記開閉弁のスプールが前記バイパス路に設けられ、
前記操作部が前記スプールの上端部に設けられると共に前記ブロック材の上面から上方側に突出されている作業車。 - 油圧ポンプと油圧モータとを閉回路で接続して構成される静油圧式無段変速装置を備えた作業車であって、
前記閉回路の一次側油路と二次側油路とを短絡接続するバイパス路に開閉弁を装備して、前記バイパス路での圧油流動を許してエンジン停止時における走行機体の牽引を可能にする油路開放状態と、前記バイパス路での圧油流動を阻止する油路閉止状態とに、前記開閉弁を切換可能に構成し、
さらに、前記開閉弁を切換操作するための操作部を、走行機体上の運転部の運転座席近くで、かつ地面上から操作可能な位置に、運転部ステップの上方側に突出して設け、
前記バイパス路を構成するブロック材が前記運転座席の前方に位置され、
前記開閉弁のスプールが前記バイパス路に設けられ、
前記操作部が前記スプールの上端部に設けられると共に前記ブロック材の上面から上方側に突出されている作業車。
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