(発明の基礎となった知見)
本発明は、音が有する緊張感とその緩和とを、ユーザの身体の緊張、及び緩和によってユーザに捉えさせることにより、ユーザが音楽のバネ的性質を体感することができる音制御装置に関するものである。
なお、ここでの音制御とは、ユーザが単に音を制御するという意味にとどまらない。また、ここでの音制御とは、操作に応じて音が単一の変化をするわけではない。例えば、インターフェース部にユーザが力を加え続けることにより、ユーザが疲労し、体を自然な状態に戻したくなる状態に呼応して、音楽のバネ的性質を加味した音が出力されるものである。
まず、ここでいう音楽のバネ的性質について説明する。
図1は、音楽のバネ的性質を説明するための図である。図1の(a)は、和音の主和音と属和音の関係を表す図である。
主和音とは、主音を基音とした和音をいう。図1において主音はC(ド)であり、主和音はC(ドミソ)である。なお、以下の説明では、主和音をトニックコードとも記載する。また、以下の説明において「Cの和音」には、ドミソだけではなく、ミソド、またはソドミといった展開形といわれる形態の和音が含まれる。これは、C以外の他の和音についても同様である。
属和音とは、属音を基音とした和音をいう。図1において主音はC(ド)であることから、属音は、Cの5度上の音であるG(ソ)であり、属和音はG(ソシレ)となる。なお、以下の説明では、属和音をドミナントコードとも記載する。
ここで、人は、主和音の後に属和音を聞いた場合、主和音を再び聞きたくなる性質を有する。このような音の性質を本実施の形態では、バネの伸縮に例えて音楽のバネ的性質と記載する。
音楽のバネ的性質は、例えば図1の(b)に示されるように、日本の学校の音楽の授業でよく見られるピアノの音に合わせて礼をする場面において利用されている。
図1の(b)に示されるように、主和音Cが演奏された後、属和音Gが演奏されることを契機に生徒は直立状態から礼をする。この状態は、生徒にとって心身ともに緊張状態であるといえる。
続いて、生徒は、再度主和音Cが演奏されることを契機にここから直立状態に戻る。この状態は、生徒にとって心身ともに開放された緩和状態であるといえる。
また、例えば、音楽のバネ的性質の例としては、フィギュアスケートが知られている。フィギュアスケートでは、楽曲に適した振付を選択する。例えば、楽曲のうちドミナントコードの音が鳴っているときに、姿勢を低くしてジャンプの前の溜めを行い、その後トニックコードの音が鳴ったタイミングで、ジャンプを行う。この場合、音楽と振付が同調することで、スケーターは、気持ちよく、より高くジャンプし、演技のミスが減るため、楽曲の選曲が重要であることが知られている。
本発明は、このように音楽のバネ的性質によって生じる心の緊張状態及び緩和状態と、身体的な緊張状態及び緩和状態とを連動させ、音を身体の緊張、及び緩和で捉えることにより音楽のバネ的性質を明確に体感できる音制御装置を提供する。
具体的には、本発明の一態様に係る音制御装置は、ユーザに操作されることで、前記操作によって前記ユーザが知覚する負荷の大きさを示す負荷入力を受け付けるインターフェース部と、前記インターフェース部が受け付けた前記負荷入力に応じてスピーカに音を出力させる制御部とを備え、前記制御部は、前記負荷入力によって示される負荷の大きさが所定の大きさである第1の状態において、ドミナント基調の音を前記スピーカに出力させ、前記第1の状態から、前記負荷入力によって示される負荷の大きさが前記所定の大きさよりも減少した第2の状態において、トニック基調の音を前記スピーカに出力させることを特徴とする。
また、本発明の一態様において、前記制御部は、前記第1の状態において、前記ドミナント基調の音として、ドミナントコードの音、サブドミナントコードの音、またはサブドミナント・マイナーコードの音を前記スピーカに出力させ、前記第2の状態において、前記トニック基調の音として、トニックコードの音を前記スピーカに出力させてもよい。
また、本発明の一態様において、前記制御部は、前記第1の状態において、前記ドミナント基調の音として、第1の曲を前記スピーカに出力させ、前記第2の状態において、前記トニック基調の音として、前記第1の曲よりも前記ユーザに与える緊張感が緩和された第2の曲を前記スピーカに出力させてもよい。
また、本発明の一態様において、前記制御部は、前記第1の状態において、前記ドミナント基調の音として、導音を前記スピーカに出力させ、前記第2の状態において、前記トニック基調の音として、主音を前記スピーカに出力させてもよい。
また、本発明の一態様において、前記制御部は、所定の曲を前記スピーカに出力させ、前記第1の状態において、前記ドミナント基調の音として、前記所定の曲のうちドミナントコードまたはサブドミナントコードの小節の部分を前記スピーカに出力させ、前記第2の状態において、前記トニック基調の音として、前記所定の曲のうちトニックコードの小節の部分を前記スピーカに出力させてもよい。
また、本発明の一態様において、前記制御部は、前記第1の状態において、第1の音圧レベルの前記ドミナント基調の音を前記スピーカに出力させ、前記第2の状態において、前記第1の音圧レベルよりも小さい第2の音圧レベルの前記トニック基調の音を前記スピーカに出力させてもよい。
また、本発明の一態様において、前記制御部は、前記第1の状態において、第1のテンポの前記ドミナント基調の音を前記スピーカに出力させ、前記第2の状態において、前記第1のテンポよりも遅い第2のテンポの前記トニック基調の音を前記スピーカに出力させてもよい。
また、本発明の一態様において、前記制御部は、当該制御部がトニック基調の音を前記スピーカに出力させている状態から、前記負荷入力によって示される負荷の大きさが所定の大きさとなった前記第1の状態において、ドミナント基調の音を前記スピーカに出力させてもよい。
また、本発明の一態様において、前記インターフェース部は、前記ユーザの操作によって伸縮する弾性部材と、前記ユーザの前記操作により伸縮した前記弾性部材の弾性力を前記負荷入力として検出する検出部とを備え、前記第1の状態は、前記検出部が検出する前記弾性部材の弾性力が第1の閾値以上の状態であり、前記第2の状態は、前記検出部が検出する前記弾性部材の弾性力が第2の閾値未満の状態であってもよい。
また、本発明の一態様において、前記インターフェース部は、表示画面と、前記表示画面に重ね合わされ、前記ユーザにタッチ操作されることによって前記ユーザの前記負荷入力を受け付けるタッチパネルとを備え、前記制御部は、前記ユーザのタッチ操作によって伸縮し、当該伸縮により前記ユーザに負荷を知覚させる仮想的な弾性部材を前記表示画面に表示し、前記第1の状態は、前記仮想的な弾性部材の伸縮量によって示される負荷の大きさが所定の大きさの状態であり、前記第2の状態は、前記第1の状態から、前記仮想的な弾性部材の伸縮量によって示される負荷の大きさが前記所定の大きさよりも減少した状態であってもよい。
また、本発明の一態様に係る音制御装置は、ユーザに操作されることで、前記操作によって前記ユーザが知覚する負荷の大きさを示す負荷入力を受け付けるインターフェース部と、前記インターフェース部が受け付けた前記負荷入力に応じてスピーカに音を出力させる制御部とを備え、前記制御部は、前記負荷入力によって示される負荷の大きさが所定の大きさである第1の状態において、第1の音を前記スピーカに出力させ、前記制御部は、前記第1の状態から、前記負荷入力によって示される負荷の大きさが前記所定の大きさよりも減少した第2の状態において、前記第1の音よりも前記ユーザに与える緊張感が緩和された第2の音を前記スピーカに出力させてもよい。
また、本発明の一態様に係る音制御装置は、ユーザに操作されることで、前記操作によって前記ユーザが知覚する負荷の大きさを示す負荷入力を受け付けるインターフェース部と、前記インターフェース部が受け付けた前記負荷入力に応じてスピーカに音を出力させる制御部とを備え、前記負荷入力によって示される負荷の大きさが所定の大きさである第1の状態において、前記制御部は、第1の音を前記スピーカに出力させ、前記第1の状態から、前記負荷入力によって示される負荷の大きさが前記所定の大きさよりも減少した第2の状態において、前記制御部は、前記第1の音よりも前記ユーザをリラックスさせる第2の音を前記スピーカに出力させてもよい。
本発明の一態様に係る音制御方法は、ユーザに操作されることで前記操作によって前記ユーザが知覚する負荷の大きさを示す負荷入力を受け付けるインターフェース部を用いて、スピーカに音を出力させる音制御方法であって、前記負荷入力によって示される負荷の大きさが所定の大きさである第1の状態において、ドミナント基調の音を前記スピーカに出力させ、前記第1の状態から、前記負荷入力によって示される負荷の大きさが前記所定の大きさよりも減少した第2の状態において、トニック基調の音を前記スピーカに出力させることを特徴とする。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、処理のステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について説明する。
[構成]
まず、実施の形態1に係る音制御装置の構成について説明する。
図2は、音制御装置のシステム構成を表すブロック図である。
図3は、音制御装置の外観図である。
図2に示されるように、音制御装置100は、インターフェース部15と、制御部50と、記憶部60とを備える。また、音制御装置100は、スピーカ40に有線または無線で接続される。
インターフェース部15は、弾性部材20と、センサ30(検出部)とを備える。
弾性部材20は、ユーザの操作に応じて伸縮するゴム製の部材である。弾性部材は、ゴム製に限定されるものではなく、バネ、シリコン、樹脂など伸縮するものであればよい。
図3に示されるように、弾性部材20の一端は、組み立てられた支柱10に接続され、弾性部材20の他端は、支柱10に設けられたセンサ30に接続される。なお、図3に示されるように本実施の形態に係る音制御装置100は、ユーザが右手で負荷を入力するための弾性部材20と、左手で負荷を入力するための弾性部材20の2つの弾性部材を備える。
センサ30は、弾性部材20の弾性力、すなわちユーザの負荷入力を検出し、検出結果を制御部50に出力する。センサ30は、静電容量型の3軸力覚センサであり、弾性部材20の伸縮方向によらず、弾性部材20の弾性力を検出することができる。なお、図3に示されるように音制御装置100は、ユーザが右手の操作によって入力する負荷入力を検出するセンサ30と、左手の操作によって入力する負荷入力を検出するためのセンサ30との2つのセンサを備える。
制御部50は、ユーザの負荷入力、すなわちセンサ30の出力に応じてスピーカ40に音を出力させる。制御部50は、半導体素子などで実現可能であるが、ハードウェアのみで構成されてもよいし、ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせることにより実現されてもよい。また、制御部50は、マイコンなどでも実現可能である。
記憶部60は、半導体メモリや、HDD(Hard Disk Drive)などの記録媒体である。記憶部60には、制御部50がセンサ30の出力に応じてスピーカ40に出力させる複数の音源(ドミナント基調の音及びトニック基調の音)の情報が記憶されている。記憶部60に記憶された音源は、音楽のバネ的性質を考慮して作成され、または選択された音源である。
[音楽のバネ的性質]
ここで、音楽のバネ的性質について詳細に説明する。音楽のバネ的性質の典型例としては、以下の5種類が挙げられる。
1.和音のバネ(和音同士の関係性)
上述のように、例えば音楽の展開においては、主和音から属和音(または下属音)に移行した場合、属和音から主和音に戻る展開が通常である。つまり、音楽の展開において、主和音から属和音に移行した状態は、バネが通常の状態から伸縮した状態(緊張状態)に例えられる。この状態から主和音に戻った状態は、バネが伸縮状態から通常に戻った状態(緩和状態)に例えられる。
2.導音のバネ(単音同士の関係性)
例えば、「ドレミファソラシド」という単音で構成された旋律(メロディ)が演奏される場合において、「ドレミファソラシ」まで演奏された状態においては、人は、次の「ド」という音を聴きたくなるものである。つまり、「ドレミファソラシ」まで演奏された状態は、バネが通常の状態から伸縮した状態に例えられる。この状態から「ド」が演奏された状態は、伸縮状態から通常に戻った状態(バネが伸縮していない状態)に例えられる。なお、この場合、シの前がどのような音であっても(例えば「ラ」がなくて「ソシ」であっても)人は、「ド」の音を聞きたくなる傾向がある。
3.曲展開のバネ(曲進行の関係性)
あるフレーズ(小節)から楽曲を展開させた場合、最終的には、最初のフレーズに戻るような構成をとることが多い。例えば、フレーズA、フレーズB、フレーズC、フレーズAの順に楽曲が展開する場合、フレーズCまで演奏された状態は、バネが通常の状態から伸縮した状態に例えられる。この状態からフレーズAが演奏された状態は、バネが伸縮状態から通常に戻った状態に例えられる。
また、楽曲には典型的なコード進行があり、当該楽曲のキーとなるコード(トニックコード)の小節から楽曲が始まり、サブドミナント、サブドミナント・マイナー、またはドミナントコードの小節を挟んで最終的には、トニックコードの小節で終了する構成をとることが多い。この場合、ドミナントコードの小節は、バネが通常の状態から伸縮した状態に例えられる。トニックコードの小節は、バネが伸縮していない通常状態に例えられる。
4.リズムのバネ(リズムの関係性)
例えば、ドラムロールのように短い間隔でスネアドラムが連打されている状態において、スネアドラムの連打が止まった場合、人は、緊張状態から開放されたように感じることが多い。これは、運動会の行進などで「全体止まれ」の号令に合わせてスネアドラムをたたくことを停止する事例においても見られる事例である。すなわち、楽曲においてスネアドラムを短い間隔で連打している状態は、バネが伸縮した状態に例えられ、楽曲においてスネアドラムの連打が止まった箇所は、バネが伸縮状態から通常状態に戻った状態に例えられる。また、一の楽曲において、早いテンポのリズムの部分は、バネが通常の状態から伸縮した状態に例えられ、遅いテンポのリズムの部分は、バネが伸縮していない状態に例えられる。
5.音色または音圧のバネ(音色または音圧の関係性)
例えば、オーケストラの音源では、様々な楽器が同時に演奏される。すなわち、オーケストラの音源は、各楽器の音色が重ね合わされた音源である。このように、複数の音の音色が重ね合わされるような音において、音の音色の増減により音楽のバネ的性質を得ることも可能である。すなわち、音色が多い(重ね合わされている音の数が多い)音は、バネが伸縮した状態に例えられ、音色が少ない(重ね合わされている音の数が少ない)音は、バネが伸縮していない通常状態に例えられる。
なお、音色は、音を構成する周波数とその強度の分布によって決定される。したがって、音自体の周波数や、重ねて出力される音の位相差等について音声信号処理を行い、広がりのある音色の音と、まとまった音色の音とを生成してもよい。この場合、広がりのある音色の音は、バネが伸縮した状態に例えられ、まとまった音色の音は、バネが伸縮していない通常状態に例えられる。
また、人は、騒がしい場所から静かな場所へ移動した場合、緊張状態から開放されたような印象を受ける。すなわち、音圧が大きい(音が大きい)音は、バネが伸縮した状態に例えられ、音圧が小さい(音が小さい)音は、バネが伸縮していない通常状態に例えられる。
以上、音楽のバネ的性質の典型例について説明した。本実施の形態において、記憶部60に記憶されるドミナント基調の音、及びトニック基調の音は、上記5種類の音楽のバネ的性質を考慮して選択、もしくは生成された音源、またはこれらを組み合わせた音源(和音、メロディ、音節、または楽曲)である。ドミナント基調の音とは、上述の音楽のバネ的性質において、緊張状態に例えられる音を意味する。一方、トニック基調の音とは、上述の音楽のバネ的性質において、緩和状態に例えられる音を意味する。
なお、トニック基調の音と、ドミナント基調の音とは相対的に緊張状態、及び緩和状態にそれぞれ対応する音であればよい。すなわち、トニック基調の音と、ドミナント基調の音とを相対的に比較した場合、ドミナント基調の音は、トニック基調の音よりもユーザに緊張感を与える音であり、トニック基調の音は、ドミナント基調の音よりもユーザをリラックスさせるような音である。
本発明は、ドミナント基調の音がトニック基調の音に解決する感覚に依存して自然に体が動くような感覚を、ユーザに身体的な緊張と緩和とを与えるインターフェースとして表現したものである。
[動作]
次に、音制御装置100の動作について説明する。
図4は、音制御装置100の動作を説明するための図である。
図5は、音制御装置100の動作を示すフローチャートである。
まず、インターフェース部15は、ユーザの負荷入力を受け付ける(図5のS101)。具体的には、センサ30は、ユーザが弾性部材20の復元力に抗して入力した負荷である、弾性部材20の弾性力を検出する。図4の(a)は、ユーザが弾性部材20に負荷を入力し、弾性部材20が伸びた状態を表す。
次に、制御部50は、センサ30が検出する弾性力が第1の閾値以上であるか否かを判断する(図5のS102)。言い換えれば、ユーザが弾性部材20への操作により知覚する負荷の大きさ(≒センサ30が検出する弾性力)が所定の大きさである第1の状態であるか否かを判断する。弾性部材20の弾性力が第1の閾値以上の状態、つまり、第1の状態である場合(図5のS102でYes)、制御部50は、スピーカにドミナント基調の音を出力させる(図5のS103)。
図4の(a)は、第1の状態を示す図である。図4の(a)に示されるように、第1の状態では、弾性部材20の弾性力による負荷がユーザの身体にかかっているため、ユーザの身体は、緊張状態であるといえる。また、第1の状態では、スピーカ40からはドミナント基調の音、すなわち緊張感のある音が出力されている。
このように、制御部50がスピーカにドミナント基調の音を出力させている状態において、制御部50は、センサ30が検出する弾性力が第2の閾値未満であるか否かを判断する(図5のS104)。言い換えれば、制御部50は、ユーザが弾性部材20への操作により知覚する負荷の大きさ(≒センサ30が検出する弾性力)が所定の大きさよりも減少した第2の状態であるか否かを判断する。
ユーザが弾性部材に加えた負荷を弾性部材20の復元力に従って減少させ、センサ30が検出する弾性力が第2の閾値未満の状態、つまり、第2の状態である場合(図5のS104でYes)、制御部50は、スピーカにトニック基調の音を出力させる(図5のS105)。なお、第1の閾値と第2の閾値とは、同一であってもよいし、異なる値であってもよい。
図4の(b)は、第2の状態を示す図である。図4の(b)に示されるように、第2の状態では、ユーザの身体は、弾性部材20の弾性力による負荷から解放された、緩和状態であるといえる。また、第2の状態では、スピーカ40からはトニック基調の音、すなわち緊張感が緩和された安定感のある音が出力されている。
以上説明したように、音制御装置100によれば、ユーザが弾性部材を引っ張り、戻される身体的な感覚と、音楽の緊張感が緩和する感覚とが連動し、ユーザは、音楽のバネ的性質を体感することができる。
なお、図5のステップS101及びステップS102において、制御部50は、トニック基調の音をスピーカ40に出力させてもよい。ここでのトニック基調の音は、ステップS105においてスピーカ40から出力されるトニック基調の音と同一であっても良いし、異なる音であっても良い。
次に、ドミナント基調の音と、トニック基調の音との例について説明する。
まず、一例として、「ドレミファソラシド」という単音で構成された旋律(メロディ)が楽器で演奏される音源を用いる場合、すなわち導音のバネを用いる場合について説明する。通常状態(図5のS101及びS102)において、制御部50は、トニック基調の音として、「ドレミファソラシド」を楽器で演奏した旋律を繰り返しスピーカ40から出力させる。なお、ここでは、必ずしも繰り返して「ドレミファソラシド」を出力させる必要はない。
第1の状態(図5のS103)においては、制御部50は、ドミナント基調の音として、「ドレミファソラシ」まで楽器を演奏し「シ」の音を伸ばして出力し続ける。なお、ここでは、導音のバネで説明したように、「シ」の音が出力されれば「ドレミファソラ」は、出力されなくてもよい。
第2の状態(図5のS105)において、制御部50は、トニック基調の音として、「ド」をスピーカ40に出力させる。この場合の「ド」は、第1の状態で持続して出力された「シ」の半音上の「ド」であるが、1オクターブ下の「ド」であってもよい。
次に、別の一例として、フレーズA、フレーズB、フレーズC、フレーズAの順に曲が展開する楽曲を用いる場合、すなわち、曲展開のバネを用いる場合について説明する。通常状態(図5のS101及びS102)において、制御部50は、トニック基調の音として楽曲を通常通りフレーズA、B、C、Aをこの順で繰り返してスピーカ40から出力させる。
第1の状態(図5のS103)においては、制御部50は、ドミナント基調の音として、フレーズCのみを繰り返してスピーカ40に出力させる。この場合、制御部50が第1の状態であると判断した直後から、フレーズCの出力が開始されてもよいし、制御部50が第1の状態であると判断した後、最初にフレーズCが出力されるときからフレーズCを繰り返して出力してもよい。
また、制御部50は、フレーズCのみを繰り返して出力するのではなく、フレーズCの最終音を持続して出力させてもよい。具体的には、制御部50が第1の状態であると判断した後、最初にフレーズCが出力されるときのフレーズCの最終音を持続して(引き延ばして)出力してもよい。
第2の状態(図5のS105)において、制御部50は、トニック基調の音として、通常通りフレーズA、B、C、Aをこの順で繰り返してスピーカ40に出力させる。この場合、制御部50が第2の状態であると判断した直後から、フレーズAの出力が開始されてもよいし、制御部50が第2の状態であると判断した後、最初にフレーズCが終了するときに続けてフレーズAを出力してもよい。
なお、通常状態(図5のS101及びS102)において、制御部50は、スピーカ40に音を出力させなくてもよい。例えば、上記フレーズA、B、C、Aからなる楽曲が著名であり、ユーザが良く知っている楽曲であるような場合、第1の状態から音を出力させ始めたとしても、通常、フレーズCに続いてフレーズAが出力されることをユーザは知っていることとなる。つまり、このような場合においてもユーザは音楽のバネ的性質を感じることは可能である。
以上、ドミナント基調の音と、トニック基調の音について例示した。ドミナント基調の音と、トニック基調の音とは上記の例に限定されるものではなく、上述のように音楽のバネ的性質を考慮して選択、もしくは生成された音、またはこれらを組み合わせた音であればよい。
なお、図4及び図5では、第1の閾値と第2の閾値との2つの閾値が設定される場合について説明したが、例えば、ユーザの負荷入力に対する閾値は、3以上設けられてもよい。つまり、制御部50は、スピーカ40に2種以上の音を出力させるような構成であってもよい。
図6は、ユーザの負荷入力に対して複数設定された閾値を説明するための図である。図6の(a)は、ユーザが負荷を加える場合の弾性力の閾値(1)〜閾値(4)を表す図である。一方、図6の(b)は、ユーザが一端加えた負荷を減少させる場合の弾性力の閾値(1)´〜閾値(4)´を表す図である。
図6において、音A〜音Eは、記憶部60に記憶され、制御部50がスピーカ40に出力させる音を表す。制御部50は、センサが検出した弾性力の値と閾値(1)ないし閾値(5)(または、閾値(1)´ないし閾値(5)´)とを比較してスピーカ40に音A〜音Eを出力させる。
音Aは、最もトニック基調の強い音であり、音Eは、最もドミナント基調の強い音である。図6では、音A、音B、音C、音D、音Eの順にドミナント基調の強い音であることを意味する。音A〜音Eは、例えば、上述のリズムのバネを用いて楽曲のテンポを段階的に変更したり、音圧のバネを用いて楽曲の音圧を段階的に変更したりすることによって実現される。
また、和音のバネを用いる場合は、属和音の根音の7度上位の音を加えたり、属和音の根音の9度上位の音を加えたり、属和音の根音の7度上位の音及び9度上位の音を加えることでトニック基調(引っ張り感)の強さを変えることができる。このトニック基調の音のいわゆる引っ張り感は、直前に鳴っているドミナント基調の強さに応じて強まる。 また、図6に示されるように、ユーザが負荷を加える場合、つまり、弾性部材20の弾性力が大きくなる場合の閾値と、ユーザが負荷を減少させる場合、つまり弾性部材の弾性力が小さくなる場合の弾性力の閾値を異ならせている。
例えば、ユーザがインターフェース部15(弾性部材20)に負荷を加えるとき、センサ30が検出した弾性部材20の弾性力が閾値(1)以上、閾値(2)未満の場合は、制御部50は、音Bをスピーカ40に出力させる。同様に、センサ30が検出した弾性部材20の弾性力が閾値(2)以上、閾値(3)未満の場合は、制御部50は、音Cをスピーカ40に出力させる。
一方、ユーザが弾性部材20に加えた負荷を減少させるとき、センサ30が検出した弾性部材20の弾性力が閾値(1)´以上、閾値(2)´未満の場合に、制御部50は、音Bをスピーカ40に出力させる。ここで、閾値(1)´は、閾値(1)よりも小さく、閾値(2)´は閾値(2)よりも小さい。また、同様に、ユーザが弾性部材20に加えた負荷を減少させるとき、センサ30が検出した弾性部材20の弾性力が閾値(2)´以上、閾値(3)´未満の場合に、制御部50は、音Cをスピーカ40に出力させる。
このように、ユーザが弾性部材20に力を加えるときと、減少させるときとにおいて異なる閾値を設定することにより、閾値近辺の負荷入力に対しても安定して音を出力することとができる。
また、図6の例では、閾値同士の間隔が、弾性力が大きくなるにつれて小さくなるように設定されている。これは、ユーザが体感する負荷と、出力される音の切替タイミングとのバランスを調整する意図である。これにより、ユーザは、より効果的に音楽のバネ的性質を体感することができる。
なお、閾値同士の間隔は、ユーザが弾性部材20に力を加えるときと、減少させるときとにおいて異ならせてもよい。また、ユーザが弾性部材20に力を加えるときと、減少させるときとにおいて制御部50がスピーカ40に出力させる音を変えてもよい。
[効果]
以上説明したように、ユーザがインターフェース部15に負荷を加えた第1の状態、すなわちユーザが身体的な負荷(テンション)を感じている状態において、制御部50は、ユーザが緊張を感じるような音であるドミナント基調の音をスピーカ40から出力させる。
また、ユーザがインターフェース部15に加えた負荷が減少した第2の状態、すなわちユーザが感じる身体的負荷が第1の状態よりも減少した状態において、制御部50は、緊張感が緩和されたトニック基調の音をスピーカ40から出力させる。
これにより、ユーザは、ユーザは、音を身体的な緊張、及びその緩和によって捉えることにより、音楽のバネ的性質を体感することができる。
なお、上記音楽のバネ的性質を体感することは、言い換えれば、ユーザが物理的(身体的)に感じる負荷(緊張と緩和)と、音を聞くことにより感じる緊張と緩和とを同調させることである。
これにより、ユーザを心身ともにリラックスさせるような特別な効果が得られる。具体的には、例えば、ユーザの集中力を高めたり、ユーザのストレスを緩和したりする効果が実験により確かめられている。以下、この特別な効果を裏付ける実験結果について説明する。
図7は、上記実験内容を説明するための図である。
本実験では、図7に示されるように、始点140aから3m離れた場所を終点140cとし、そのちょうど中間にトンネル140bを設置し、被験者がトンネル140bに触れることなく始点140aから終点140cまで移動する実験を行った。
移動に際し、始点140a、トンネル140b、及び終点140cの各ポイントには、スピーカ150a、150b、及び150cが設置され、それぞれのスピーカから以下の表1で示される3つの環境音パターンの音が発せられるものとする。
なお、各スピーカから発せられる音が混ざらないように、スピーカ150a、150b、及び150cには、それぞれ指向性が高いスピーカを用いた。
実験においては、トニック基調の音、及びドミナント基調の音は、ピアノで演奏した和音を用いた。スピーカ150a、150b、及び150cは全て同一の物を用い、スピーカが設置される位置は被験者の耳から50cm以内とし、スピーカから発せられる音の音量は、70dBを基準として発生させた。
被験者は、表1のような環境音下において、始点140aを出発し、トンネル140bをくぐり、終点140cを通過する。ここで、被験者には、トンネル140bをくぐる際、トンネル140bに触れないように指示が与えられている。
このような状況下で、各環境音パターンそれぞれにおいて、4人の被験者について次の2つのデータを取得した。
第一に、始点から終点まで移動する際に要した所要時間(1人の被験者につき30回の移動の平均値)のデータを取得した。
第二に、移動に際しトンネルに触れた回数であるミスの回数(1人の被験者につき30回の移動についての合計値)のデータを取得した。
実験に際し、被験者は、重りを入れたベストを着用し、日常よりも身体に負荷をかけた状態で上記移動を行った。なお、被験者は、全員、身長160cm〜170cmであり、なおかつ20歳〜30歳の男女である。
本実験によって得られた結果は、以下の通りである。
まず、移動における所要時間について、環境音パターンの違いによる有意な差は認められなかった。
次に、ミスの回数であるが、図8に示されるように、環境音としてパターンB及びパターンCの音を流した場合に比べ、パターンAの音を流した場合には、ミスの回数の有意な減少が認められた。
パターンAでは、被験者の身体に最も負荷がかかるトンネル140bの通過時に緊張感の高い音であるドミナント基調の音が出力される。すなわち、パターンAでは、被験者が身体的に感じる負荷と、音を聞くことにより感じる緊張と緩和とを同調させている。
この実験結果が示すように、本実施の形態に係る音制御装置を用いれば、ユーザが身体的に感じる負荷と、音を聞くことにより感じる緊張と緩和とを同調させることで、ユーザの集中力を高めるような効果が得られる。
[インターフェース部の別の例]
なお、インターフェース部15は、図4のような態様に限定されない。
例えば、図9に示されるように、インターフェース部15は、弓矢形状であってもよい。図9に示される弓状のインターフェース部15は、弓10aの両端に弾性部材である弦20aの弾性力を検出するセンサ30aが設けられる。また、図9の例では、スピーカとして、耳近傍に用いられるスピーカであるヘッドホン40aが用いられる。
この場合、図9の(a)に示されるように、ユーザは、弓10aの弦20aを引くことによって負荷を入力する。図9の(a)に示されるように、ユーザが入力する負荷が第1の閾値以上である場合は、ヘッドホン40aからドミナント基調の音が出力される。一方、図9の(b)に示されるように、負荷が減少し、第2の閾値未満となったときは、ヘッドホン40aからは、トニック基調の音が出力される。
[音制御装置の具体例]
次に、音制御装置100のより具体的な適用例について説明する。
図10は、音制御装置100の適用例を示す図である。図10は、カラオケ装置に音制御装置100を適用した場合を示す図である。
例えば、カラオケ装置を用いて楽曲を歌唱する場合、ユーザが楽曲のうち「溜め」(時間的遅延)を作りたいポイントが存在する。この「溜め」のポイントは、上述の音楽のバネ的性質を考えた場合に楽曲の緊張状態に相当することが多い。
したがって、音制御装置100を用いることで、ユーザは、能動的に上記「溜め」のポイントを作り出すことができる。
具体的には、図10の(a)に示されるように、ユーザは、「溜め」を作りたいポイントにおいて弾性部材20を引っ張ることにより、天井に設けられたセンサ30に負荷を入力する。このとき、制御部50は、第1の閾値以上の負荷が入力されたときにスピーカ40から出力されていた楽曲のフレーズの最終音を持続して(引き延ばして)スピーカ40に出力させる。
ユーザは、所望の「溜め」を作った後、弾性部材20に加えた負荷を減少させる。制御部50は、負荷が第2の閾値未満となった場合、持続して出力されていた最終音に続くフレーズをスピーカ40に出力させる。
このように、音制御装置100をカラオケ装置に用いることで、ユーザは所望の「溜め」を作り、心地よい感覚を得ることができる。
[音制御装置の別の例]
以上、実施の形態1に係る音制御装置100について説明した。しかしながら、音制御装置100の実施形態は、これに限定されるものではない。
例えば、本実施の形態に係る音制御装置100は、タブレット端末等においても実現可能である。
図11は、音制御装置100をタブレット端末に適用した例を示す図である。
この場合におけるインターフェース部15は、タブレット端末110の表示画面と、表示画面に重ね合わされ、ユーザのタッチ操作による負荷入力を受け付けるタッチパネルとからなる。
また、表示画面上には、制御部50により仮想的な弾性部材20bが表示されている。仮想的な弾性部材20bは、ユーザのタッチパネルへの操作に応じて伸縮する。なお、図示されないが、タブレット端末にはスピーカ40も設けられている。
図12は、音制御装置100をタブレット端末に適用した場合の動作を説明するための図である。
図12の(a)に示されるように、ユーザは、仮想的な弾性部材20bの復元力に抗して仮想的な弾性部材20bへ仮想的な負荷を加える。例えば、図12の(a)に示されるように、ユーザは、タッチパネルの弾性部材20bの両端に相当する部分に対してピンチイン操作を行うことによって仮想的な弾性部材20bを縮める。すなわち、制御部50は、ユーザのピンチイン操作に応じて弾性部材20bが縮むような動画像を表示画面に表示する。
なお、ユーザは、タッチパネルの弾性部材20bの両端に相当する部分に対してピンチアウト操作を行うことによって仮想的な弾性部材20bを伸ばしてもよい。
この場合、仮想的な弾性部材20bの弾性力は、ユーザのピンチイン操作の量(ユーザの指のタッチパネル上における移動量)によって表される。ユーザのピンチイン操作の量が第1の閾値以上である場合、制御部50は、タブレット端末のスピーカ40にドミナント基調の音を出力させる。
図12の(b)に示されるように、ユーザがタッチパネルから指を離した場合、ユーザが弾性部材20bに加えた仮想的な負荷はなくなる。つまり、ユーザが弾性部材20bに加えた仮想的な負荷は、第2の閾値未満の負荷となる。
このとき、仮想的な弾性部材20bは、復元力に従って元の長さに戻る。すなわち、制御部50は縮んだ弾性部材20bが元の長さに戻るような動画像を表示画面に表示する。ここで、制御部50は、タブレット端末のスピーカ40にトニック基調の音を出力させる。
このように、ユーザが仮想的な弾性部材20bに仮想的な負荷を加える場合、弾性部材20bの動画像により、ユーザは、視覚を通じて負荷を感じる。つまり、負荷入力とは、ユーザが負荷を五感により感じることができるような入力操作を意味する。
したがって、制御部50が表示画面に表示する画像は、仮想的な弾性部材20b(バネ)に限定されず、ユーザが負荷を感じる態様の画像(または動画像)によって表示されればよい。
例えば、制御部50は、仮想的な丸いゴムボールを、表示画面に表示してもよい。この場合、仮想的な丸いゴムボールは、表示画面内に押し込まれているような態様で表示され、ユーザのタッチパネルへの仮想的な負荷入力に応じて伸縮する。
また、例えば、制御部50は、ユーザがタッチパネルに仮想的な負荷(ピンチインまたはピンチアウト操作)を加えた場合に、「重り」の画像を表示画面に表示し、「重り」の画像によってユーザに負荷を知覚させてもよい。ユーザが加えた仮想的な負荷が減少したときは、制御部50は、「羽」の画像を表示画面に表示し、ユーザに負荷が減少したことを知覚させてもよい。
また、ユーザに負荷を知覚させるための画像は、更に簡略化されてもよい。例えば、ユーザがタッチパネルに仮想的な負荷を加えた場合に、制御部50は、画像の色の濃度を変更して、ユーザに視覚を通じて負荷を知覚させてもよい。具体的には、例えば、画像の色がオレンジ色の場合に、ユーザが加えた仮想的な負荷に応じて画像の色をより赤色の成分が多いオレンジ色に変更し、ユーザに負荷を知覚させてもよい。
また、例えば、制御部50は、画像として表示される図形(円、三角形、四角形など)の面積の変化させることによりユーザに負荷を知覚させてもよい。具体的には、例えば、ユーザがタッチパネルにピンチイン操作を行った場合に、表示画面上における図形の面積を縮小し、ユーザがタッチパネルにピンチアウト操作を行った場合に表示画面上における図形の面積を拡大してもよい。
このように、音制御装置100は、ユーザが視覚を通じて感じる負荷と、聴覚を通じて感じる音とを連動させて、音楽のバネ的性質をユーザに体感させることも可能である。
(実施の形態2)
実施の形態1では、インターフェース部に弾性部材または仮想的な弾性部材を用いる例について説明したが、インターフェース部は、弾性部材を用いた構成に限定されない。
図13は、実施の形態2に係る音制御装置のシステム構成を表すブロック図である。
図13に示されるように、実施の形態2に係る音制御装置100bは、インターフェース部15bと、制御部50と、記憶部60とを備える。また、音制御装置100bは、スピーカ40に接続される。
実施の形態2に係るインターフェース部15bは、撮像部70と、重り80とを備える。撮像部70は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラであるが、CCD(Charge Coupled Device)を用いたものでもよい。
次に、音制御装置100bの動作について説明する。
図14は、実施の形態2に係る音制御装置100bの動作を説明するための図である。
実施の形態2では、ユーザは、重り80を持ち上げる操作を行い、インターフェース部15bは、撮像部70が重り80を持ち上げたユーザを撮影することによってユーザの負荷入力(重り80の数)を受け付ける。
具体的には、例えば、制御部50は、撮像部70が撮影した画像内においてユーザが持ち上げている略同一形状の一または複数の重りを検出し、重りの数に応じて設定された閾値に基づいてスピーカ40に音を出力させる。
制御部50は、具体的には、例えば、ラプラシアンフィルタをかけることで、画像の各画素の輝度の変化量が極端に大きいエッジ部分を検出する。制御部50は、撮像部70が撮影した画像内の重り80のエッジ部分の形状と、記憶部60に記憶された重り80の形状データとを照合することによって、ユーザが持ち上げた重り及び重りの数を検出することができる。
図14の(a)に示されるように、ユーザは、重り80を複数持ち上げる。制御部50は、撮像部70が撮影した画像から重り80を検出し、検出した重りの数が第1の閾値以上である場合、制御部50は、スピーカ40にドミナント基調の音を出力させる。
また、図14の(b)に示されるように、図14の(a)に続いて、ユーザが重り80の数を減らし、ユーザが持ち上げている重り80の数が第2の閾値未満となった場合、制御部50は、スピーカ40にトニック基調の音を出力させる。
なお、例えば、ユーザの位置と重りの位置との位置関係によって閾値が設定されてもよい。例えば、ユーザの身長に対する重りの位置が重力下側であれるほど小さい負荷入力であり、ユーザの身長に対する重りの位置が重力上側であれるほど大きい負荷入力であるとして閾値が設定されてもよい。
以上、撮像部70を備えるインターフェース部15bについて説明したが、インターフェース部の形態は、実施の形態1及び2で説明したものに限定されない。例えば、インターフェース部は、自転車、マイク、楽器(笛、鍵盤、ギターなど)でもよい。
例えば、インターフェース部が自転車の場合は、ユーザは、自転車を漕ぐ操作を行う。インターフェース部は、車輪の回転数を数えるカウンタを備え、車輪の単位時間当たりの回転数を負加入力として検出する。この場合、制御部は、上記車輪の単位時間当たりの回転数に設定された閾値に応じてスピーカにドミナント基調の音またはトニック基調の音を出力させる。
また、例えば、インターフェース部がマイクロフォンである場合は、ユーザがマイクロフォンに向けて発声することがユーザの操作である。インターフェース部は、音量測定装置を備え、マイクに入力された声の音量を負荷入力として検出する。この場合、制御部は、声の音量に応じて設定された閾値に基づいてスピーカにドミナント基調の音またはトニック基調の音を出力させる。
インターフェース部が楽器、例えば笛の場合は、ユーザは、笛を吹く操作を行う。インターフェース部は、空気圧計を備え、ユーザが笛に吹きかける息の空気圧を負荷入力として検出する。この場合、制御部は、ユーザが笛に吹きかける息の空気圧に応じて設定された閾値に基づいてスピーカにドミナント基調の音またはトニック基調の音を出力させる。
以上例示したように、インターフェース部は、ユーザに操作されることによって、ユーザが知覚する負荷の大きさを示す物理量である負荷入力を受け付ける構成であればよい。
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態1及び2について説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されない。
例えば、本実施の形態に係る音制御装置は、美術館やテーマパークなどに設けられる、入場ゲートに適用することが可能である。
図15は、音制御装置を入場ゲートに適用した場合を示す図である。
図15に示される入場ゲートは、ユーザがバー90aを押すことにより回転機構95が1方向(図15の(a)の矢印の方向)にのみ回転する。これにより、ユーザは、バー90aを押すことによって、図15の(b)に示されるように入場ゲートを通過することができる。
ここで、ユーザがバー90aを押す操作により回転機構95を回転させるには、ユーザは、バー90aを所定の負荷をかけて押すことが必要である。つまり、ユーザがバー90aを押しているが回転機構95が回転していない状態は、ユーザが知覚する負荷(負荷入力によって示される負荷)が所定の大きさである第1の状態であるといえる。図15の(a)は、このような状態を表す図である。このとき、入場ゲート120のスピーカからは、制御部によりドミナント基調の音が出力される。
ユーザがバー90aに負荷を加え、回転機構95が回転し始めた場合、ユーザが知覚する負荷(負荷入力によって示される負荷)は減少する。この状態は、負荷入力に閾値を設けることで第2の状態であるといえる。図15の(b)は、このような状態を表す図である。このとき、入場ゲート120のスピーカからは、制御部によりトニック基調の音が出力される。
このように、テーマパーク等に音制御装置を用いることで、入場者は、入場ゲートにおいて、音楽のバネ的性質を体感し、心地よい気分を味わうことができる。
また、同様に、本実施の形態に係る音制御装置は、電車などの交通機関の改札機にも適用することができる。
図16は、音制御装置を改札機に適用した場合を示す図である。
改札機130は、通常、ユーザが改札機130に切符を挿入し、または非接触ICカードを改札機130にかざすことにより開閉するゲート(図示せず)を備える。ここで、このようなゲートに加えて、ユーザが改札機130を通る際に必ずユーザに身体に接触し、なおかつユーザの通行を妨げないような弾性的なバー90bを設ける。
ここで、ユーザは、バー90bを押す操作により改札機130を通過することが可能であるが、このとき、ユーザは、軽微ではあるが所定の負荷をバー90bに加える必要がある。よって、ユーザがバー90bを所定の負荷により押している状態は、ユーザが知覚する負荷(負荷入力によって示される負荷)が所定の大きさである第1の状態であるといえる。図16の(a)は、このような状態を表す図である。このとき、改札機130のスピーカからは、制御部によりドミナント基調の音が出力される。
ユーザが改札機130を通過した後は、バー90bは、負荷が加えられていない状態である。この状態は、ユーザが知覚する負荷が減少した第2の状態であるといえる。図16の(b)は、このような状態を表す図である。このとき、改札機130のスピーカからは、制御部によりトニック基調の音が出力される。
なお、携帯電話などの携帯端末用いて通行可能な改札機130においては、携帯端末機能(バイブレータ機能など)を用いてユーザに負荷を知覚させてもよい。
また、本実施の形態に係る音制御装置は、スポーツのトレーニング等にも適用可能である。例えば、野球のバッティング練習装置にも適用可能である。
具体的には、バッティング練習装置において、ボールを待っている状態において打者の身体に所定の負荷がかかるように設定する。具体的には、バットにゴムチューブなどを接続する。この状態は、第1の状態であるといえる。したがって、このとき、スピーカからは、ドミナント基調の音が出力される。
また、上記のバッティング練習装置においては、打者がバットでボールを捉える理想的な位置であるミートポイントまでバットを移動させた状態が第2の状態であり、打者の身体にかかる負荷が減少するとともに、スピーカからは、トニック基調の音が出力される。これにより、打者は、ミートポイントを体感することができる。
このように、音を聴覚を通じて感じながら、身体をコントロールすることにより、効果的な練習を行うことができる。
また、本実施の形態に係る音制御装置は、車にも適用可能である。
車の運転において、アクセルを踏み込む操作は、ユーザ(運転者)の所定の大きさの負荷入力(アクセルの踏み込み量)を受け付けている第1の状態であるといえる。これに対し、この状態からアクセルの踏み込みを緩めた状態は、第2の状態である。
上述のように、第1の状態においては、ドミナント基調の音が出力され、第2の状態においてはトニック基調の音が出力される。このため、ユーザが速度を上げ続けるとドミナント基調の音を聞き続けることになり、ユーザは、アクセルを緩め、速度を下げてトニック基調の音を聞きたくなる。つまり、車の運転において、ユーザのスピードの出し過ぎを防止する効果を奏することができる。
なお、上記実施形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上記実施形態のシミュレーション装置などを実現するソフトウェアは、次のようなプログラムである。
すなわち、このプログラムは、コンピュータに、ユーザに操作されることで前記操作によって前記ユーザが知覚する負荷の大きさを示す負荷入力を受け付けるインターフェース部を用いて、スピーカに音を出力させる音制御方法であって、前記負荷入力によって示される負荷の大きさが所定の大きさである第1の状態において、ドミナント基調の音を前記スピーカに出力させ、前記第1の状態から、前記負荷入力によって示される負荷の大きさが前記所定の大きさよりも減少した第2の状態において、トニック基調の音を前記スピーカに出力させる音制御方法を実行させる。
また、以下のような場合も本発明に含まれる。
(1)上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムで実現され得る。RAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
(2)上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。ROMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、ROMからRAMにコンピュータプログラムをロードし、ロードしたコンピュータプログラムにしたがって演算等の動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
(3)上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されてもよい。ICカードまたはモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。ICカードまたはモジュールには、上記の超多機能LSIが含まれてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、ICカードまたはモジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有してもよい。
(4)本発明は、上記に示す方法で実現されてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムで実現してもよいし、コンピュータプログラムからなるデジタル信号で実現してもよい。
また、本発明は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray Disc)、半導体メモリなどに記録したもので実現してもよい。また、これらの記録媒体に記録されているデジタル信号で実現してもよい。
また、本発明は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送してもよい。
また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、メモリは、コンピュータプログラムを記憶しており、マイクロプロセッサは、コンピュータプログラムにしたがって動作してもよい。
また、プログラムまたはデジタル信号を記録媒体に記録して移送することにより、またはプログラムまたはデジタル信号をネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
(5)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
なお、本発明は、これらの実施の形態またはその変形例に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態またはその変形例に施したもの、あるいは異なる実施の形態またはその変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。