JP5268676B2 - 自動車用排気系部品の製造方法 - Google Patents
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Description
このような触媒コンバータは、従来、触媒担体が収容される円筒状の本体部1cと、円筒管の管端にプレス加工を施すことによって成形された接続部1aを有するコーン部1bとを別々に作製し、触媒担体が収容された状態の本体部1cの両端に、それぞれコーン部1bを溶接接合して製造されていた。
通常、触媒コンバータでは本体部1cと接続部1aの径の比が大きくなっているために、触媒コンバータ容器部の製造にあたり縮径加工量が多くなっており、多パスのスピニング加工が施されている。
しかしながら、多パスで加工する際、芯金が有効に機能するのは最終パスのみであって、途中工程ではほとんど機能しない。また、芯金の保持のための治具が必要になるなどもあって、管端に縮径加工を施す際の芯金利用技術は、必ずしも現実的ではない。
したがって、管端に縮径を目的としたスピニング加工を施す際には、芯金を用いることなく、中空のままの管体にローラを押し付けて成形を行うことが多くなっている。
ところが、一方で、このような管体加工品においては、軽量化等を目的として管壁の薄肉化が要求されるようになっている。管体の直径と比して管壁が薄くなると管体の剛性が不足する。その結果、管体加工品の形状精度が低下する。また、スピニング加工を進行させるときに被加工管体が弾性的に撓んだり波打ったりすると、その変形部位にローラが衝突するためにスピニング加工を行った部位にしわが発生したり変形してスピニング加工を続行することができなくなる。すなわち、図4に見られるような不良品となってしまう。
このような形状精度の低下や加工の続行不能の現象は、被加工管体の肉厚が薄いほど、あるいは加工速度を速くするほど起こりやすくなる。
しかしながら、被加工管体の内側に充填した発泡樹脂は、圧力が加わった場合、内部の気泡がつぶれて変形する。したがって外方への反発力は低下してしまって、被加工管体の剛性を補うには不十分である。すなわち、充填した発泡樹脂は、変形量が少ないときは被加工管体の変形に追従してそれなりに機能するが、変形量が多くなった場合には変形量に見合った反発力の発現は期待できない。
本発明は、このような問題点を解消するために案出されたものであり、触媒担体、フィルター及び消音材などの内挿材を収容する金属製管体の管端に縮径部を形成する際に、被加工管体の剛性不足による弾性変形を抑制して、しわや亀裂の発生を防止し、形状精度と加工速度の向上を図って生産性よくスピニング加工し、精度の高い触媒コンバータ、DPF及びマフラーなどの自動車用排気系部品を低コストで製造することを目的とする。
前記弾性を有する板状材としてばね鋼板を用いた巻回体を芯金として使用することが好ましい。
また、所定の長さに裁断された金属製管体の内部に、非膨張性繊維等からなる緩衝材を介して触媒担体などの内挿材を収容した後、前記金属製管体の端部に順次縮径加工を施してもよいし、金属製管体の一端に縮径加工を施した後に内挿材を収容し、その後に金属製管体の他端に縮径加工を施してもよい。
その過程で、ばね鋼板などの弾性を有する板状材からなる筒状巻回体が芯金として使用し得ることを見出した。
以下にその詳細を、触媒コンバータを例にとって、芯金としてばね鋼板からなる巻回体を使用する態様で説明する。
巻回体の筒の長さは、施そうとする縮径部の長さを僅かに上回る程度とすれば足りる。
図6は、本発明の製造方法により管端に縮径加工を施す際の模式図である。まず、図6(a)に示すように、緩衝材を介して触媒担体を収容した金属製管体の本体部を図示していないスピニング加工装置のチャックで挟持し、反対側の管端にばね鋼板の巻回体を挿入する。このとき、巻回体はその外方への反発力に抗する力で径が細くされた状態で挿入されるが、反発力に抗する力を取り除いた後は、ばね鋼板の巻回体は被加工管体の内径に合致するまで径が太くなって被加工管体の内側から当該被加工管体の内壁を外方に押圧する形態で内側に保持される。
なお、スピニング加工を行うに際し、図2,3は金属製管体を固定し、加工ローラを公転させる態様を示しているが、金属製管体を回転させる態様であってもよい。
管端に縮径加工を施す際、被加工部位において材料拘束がないと割れが発生しやすいが、芯金を当てると、殊に本発明のように押圧力を付して芯金を当てると被加工部位の材料拘束の効果はより大きくなり、加工時の割れ発生を防ぐことができるばかりでなく、形状精度や加工速度の向上を図ることができる。
加工に伴ってばね鋼板の巻回体の径は細くなり外方に対する反発力はより大きくなっている。このため増大した反発力以上の力を付加してさらに巻回体の径を細くして抜き取る必要がある。増大した反発力以上の力を必要とする以外に、抜き取りに困難な点はない。
抜き取ったばね鋼板の巻回体は、最初の形状に復元するので再び管体の縮径加工に芯金として用いることができる。
上記態様では、所定の長さに裁断された金属製管体の内部に緩衝材を介して触媒担体を収容した後、前記金属製管体の両端部に順次縮径加工を施しているが、金属製管体の一端に縮径加工を施した後に触媒担体を収容し、その後に金属製管体の他端に縮径加工を施してもよい。
緩衝材としては、アルミナ繊維等、熱による膨張のほとんどない無膨張の繊維をマット状にして用い、このマットを触媒担体の外周に巻いて金属製管体の内部に圧入することが好ましい。
芯金として、板厚0.5mmのばね用冷間圧延鋼板(JISG4802,S55C−CSPB)を素材とした、直径150mm、幅100mmの一重巻き巻回体を用いた。
触媒担体に見立てた鋼管をその外周にアルミナ繊維からなるマットを巻回した状態で圧入した前記3種類の供試鋼管の管端に前記ばね鋼板巻回体を挿入し、加工ローラを回転数600rpmで回転しつつ被加工鋼管に当て送り速度6000mm/分、パス数11で管端外径が90mmになるまで、縮径率60%で縮径加工した。
これに対して、素材鋼管の板厚が1.05mmの場合、本発明にしたがってばね鋼板巻回体を芯金とすると60%までの縮径率で縮径加工ができたが、ばね鋼板巻回体を用いないと60%の縮径率の縮径加工はできなかった(図7参照)。
この結果をまとめると表1に示す通りである。芯金としてのばね鋼板巻回体の有用性が理解できる。
また、芯金となる弾性を有する板状材からなる巻回体については、スピニング加工時に被加工金属製管体の剛性不足に起因する弾性変形を抑制できるものであれば、ばね鋼板以外のものでも適用できることはいうまでもない。
Claims (2)
- 内挿材を収容する金属製管体の管端外周に配置されてその周りを相対的に公転する加工ローラを用い、前記加工ローラを前記金属製管体の半径方向に移動させつつ軸方向に往復動させる縮径加工を施して前記金属製管体の両管端にそれぞれコーン部と接続部を形成して自動車用排気系部品を製造する際に、前記被加工金属製管体の管端内側に弾性を有する板状材からなる巻回体を芯金として挿入した状態で、前記加工ローラにより縮径加工を施すことを特徴とする自動車用排気系部品の製造方法。
- 前記巻回体がばね鋼板からなることを特徴とする請求項1記載の自動車用排気系部品の製造方法。
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