JP5268222B2 - 改変された糖類、それらの結合体、およびそられの製造 - Google Patents

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Description

本明細書中に引用しているすべての文書はその全体が参考として援用される。
本発明は糖類化学の分野にあり、改変された糖類、それらの調製のためのプロセスおよび、結合した誘導体に関する。特に、タンパク質に糖類を連結するために使用され得るリンカー部分を有する改変された糖類に関連している。
多糖類は重要な生物学的な分子で、疾患の予防および処置を目的として医薬産業において広く使用されている。例えば、莢膜多糖類は髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)やHib(Haemophilus influenzae type B)のような莢膜菌に対するワクチンに何年間も使用されている。
特に子供において、これらの多糖類の免疫原性を向上させるために、結合ワクチンが開発されている。これらは輸送タンパク質に結合した莢膜多糖類を含む[例えば、米国特許第4,711,779号, 同第4,761,283号および同第4,882,317号]。結合した分子は直接的に結び付いた多糖類およびタンパク質を有し得るか、あるいは多糖類およびタンパク質がリンカー部分を経由して結び付く。
異なったタイプのリンカー部分が開発されているものの、汎用性であり、単純かつ確実な化学反応を使用して、多糖類およびタンパク質に結合できる新しいタイプのリンカーを必要とする。さらに、毒性がなく強酸や強塩基のような強い試薬の使用を避けて、穏やかな条件で形成され得る新しいリンカーを必要とする。
(本発明の改変された糖類)
本発明は式(I)の部分を含む改変された莢膜糖類を提供する:
−A−N(R)−L−M (I)
ここで:
Aは、結合、−C(O)−または−OC(O)−である。
はHまたはC−Cアルキル基から選ばれる;
LはC−C12アルキレン基である;
Mはマスクされたアルデヒド基である。
「改変された莢膜糖類」という用語は、適切な改変によって、天然の莢膜糖類から得られる糖類を意味する。それゆえに、天然の莢膜糖類における単糖単位の繰り返しの基礎配列は本発明の改変された莢膜糖類においても保たれる。
「糖類」という用語は、オリゴ糖(例えば2〜39の単糖単位を含んでいる)と多糖(例えば40またはそれ以上の単糖単位を含んでいる)との両方を含んでいる。細菌において天然に見出されるように、一般に天然の莢膜糖類は多糖類の形態をとる。多糖類は短いオリゴ糖を生じるように扱われ得る。オリゴ糖は天然の多糖の精製および/またはサイズ処理により得られ得る(例えば、穏やかな酸での加水分解、加熱、サイジングクロマトグラフィーなどによる)。
代表的には、本発明の改変された糖類はオリゴ糖である。オリゴ糖は上記にしたサイズ処理方法のいずれかにより多糖から得られ得る。
本発明の改変された莢膜糖類は天然の莢膜糖類から得られる。しかしながら、本発明は天然の莢膜糖類から得られ得る改変された糖類に限定されていない。本発明の改変された莢膜糖類は、全てあるいは部分的な合成のような他の手法により得られ得る。
本発明の改変された莢膜糖類において、式(I)の部分は莢膜糖類の末端ではないヒドロキシル基または莢膜糖類の末端のアノマーのヒドロキシル基から誘導され得る。
式(I)の部分がアノマーのヒドロキシル基から誘導される場合、好ましくは、例えば還元的アミノ化反応によって、アノマーのヒドロキシル基を置換する。末端の糖類のヒドロキシル基上の還元的アミノ化反応は、当該分野において周知である。
式(I)の部分が末端でないヒドロキシル基から誘導される場合、好ましくは、例えばカルバメート基を経由して末端でないヒドロキシル基に連結される。それ故に、好ましい実施形態において、本発明の改変された莢膜糖類は式(Ia)の部分を含む:
−OC(O)N(R)−L−M (Ia)
ここで、R、LおよびMは上記の通りである。
このような化合物は、例えば、CDIで糖類上の遊離型ヒドロキシル基を誘導体化し、次いで、式:HN(R)−L−Mのアミンとカルバメート中間体を反応させることによって調製され得る。
好ましくは、RはHである。好ましくは、LはC〜Cのアルキレン基である。さらに好ましくは、Lは−CHCHCH−である。糖類−タンパク質結合体において、式(I)のある部分がタンパク質に莢膜糖類を結びつけるために使用される場合、L基はスペーサーとして作用する。糖類とタンパク質の間のスペーサー基が結合体の安定性を高めることは知られている。
当業者は容易にアルデヒド基に変換される多くの異なった官能基を知っている。任意のそのような官能基がマスクされたアルデヒド基Mとして適切である。好ましくはマスクされたアルデヒド基Mは次から選ばれる。
Figure 0005268222
ここで:
はH、C〜C12アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アリールまたはC5〜12アリール−C1〜6アルキルから選ばれる(好ましくはRはHではない);
XとYは同じまたは異なっていて、OまたはSから独立して選ばれる;
およびRはC〜C12アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アリールまたはC5〜12アリール−C1〜6アルキルから独立して選ばれるか;またはRおよびRはヘテロ原子XおよびYを含むC、C、C、C、CまたはCシクロアルキル環を形成するように結合される;
およびRはH、C〜C12アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アリールまたはC5〜12アリール−C1〜6アルキルから独立して選ばれるか;またはRおよびRはCまたはC12シクロアルキル環を形成するよう結合される;
とR10はH、C〜C12アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アリールまたはC5〜12アリール−C1〜6アルキルから独立して選ばれるか;またはRおよびR10はC3〜12シクロアルキル環を形成するように結合される;そして、
およびRはC〜C12アルキル基またはC〜C12シクロアルキル基から独立して選ばれる。
「アルキル」という用語は、直鎖状と分枝状の両方の形態のアルキル基について言及するために本明細書中に使用されている。アルキル基は−O−、−NH−または−S−から選ばれた1、2または3個のヘテロ原子によって割り込まれ得る。アルキル基はまた、1、2または3個の二重結合および/または三重結合によって割り込まれ得る。しかしながら、「アルキル」という用語は普通、ヘテロ原子の妨害も、二重結合または三重結合の妨害も持たないアルキル基について言及している。C12アルキルについて参照される場合に、そのアルキル基は1個と12個との間の任意の数の炭素原子(例えば、C、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12)を含有し得ることを意味する。同様に、Cアルキルについて参照される場合に、そのアルキル基は1個と6個との間の任意の数の炭素原子(例えば、C、C、C、C、C、C)を含有し得ることを意味する。
「アルキレン」という用語は、直鎖状形態と分枝状形態の両方のアルキレン基について言及するために本明細書中に使用されている。そのアルキレン基は、−O−、−NH−、または−S−から選ばれた1、2または3個のヘテロ原子によって割り込まれ得る。アルキレン基はまた1、2、または3個の二重結合および/または三重結合によって割り込まれ得る。しかしながら、「アルキレン」という用語は普通、ヘテロ原子の妨害も、二重結合または三重結合の妨害も持たないアルキレン基について言及している。C12アルキレンについて参照される場合に、そのアルキレン基は1個と12個との間の任意の数の炭素原子(例えば、C、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12)を含有し得ることを意味する。同様に、Cアルキレンについて参照される場合に、そのアルキレン基は1個と6個との間の任意の数の炭素原子(例えば、C、C、C、C、C、C)を含有し得ることを意味する。
「シクロアルキル」という用語は、シクロアルキル基、ポリシクロアルキル基、およびシクロアルケニル基、ならびに、シクロアルキルアルキル基のようなアルキル基との組み合わせを含む。シクロアルキル基は−O−、−NH−、または−S−から選ばれた1、2または3個のヘテロ原子によって割り込まれ得る。しかしながら、「シクロアルキル」という用語は普通、ヘテロ原子の妨害を持たないシクロアルキル基について言及している。シクロアルキルの例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキシルメチル基およびアダマンチル基が挙げられる。C3〜12シクロアルキルについて参照される場合に、シクロアルキル基は3個と12個との間の任意の数の炭素原子(例えば、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12)を含有し得ることを意味する。
「アリール」という用語は、フェニルやナフチルのように、炭素と水素を含む芳香族基について言及するために本明細書中に使用されている。C5〜12アリールについて参照される場合に、5個と12個との間の任意の数の炭素原子(例えば、C、C、C、C、C、C10、C11、C12)を含有し得ることを意味する。
「C5〜12アリール−C1〜6アルキル」という用語は、ベンジル、フェニルエチルおよびナフチルエチルのような基について言及している。好ましくは、マスクされたアルデヒドは−CH(OH)CHOHである。好ましくは、本発明の改変された莢膜糖類は式−NH(CHCH(OH)CHOH、さらに好ましくは−OC(O)NH(CHCH(OH)CHOHの部分を含有する。
本発明はマスクされたアルデヒド基を有する化合物を提供する。マスクされたアルデヒドの使用は有利に莢膜糖類の改変中の不要な副反応を防止する。さらに、アルデヒド基が現れた場合、例えばタンパク質上のアミノ基の還元的アミノ化結合のために使用される。
一般に、式(I)または(Ia)の部分はタンパク質のアミン基の次の反応の処理を提供する機能を果たす。本明細書中では、式(I)または(Ia)の部分は普通、糖類−タンパク質結合体のリンカー基を形成することに使われる。
しかしながら、式(I)または(Ia)、好ましくは(Ia)は、分解、特に酸の加水分解による分解に対して糖類を安定させるためのブロック基として使用され得る。さらに式(Ia)の部分は、リンカー基としての使用の代わりまたはリンカー基としての使用に加えて、ブロック基として使用され得る。莢膜糖類を安定させるブロック基の使用は国際特許出願PCT/IB03/01436に記載されている。
式(Ia)の部分が安定したブロック基として使用される場合、改変された糖類は好ましくは、安定させる効果を与える部分を1個より多く有する。例えば、改変された糖類の全てのまたは実質的に全ての単糖単位は式(Ia)の基を含むブロック基を有し得る。代わりに、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%の単糖単位は、式(I)の基を含むブロック基を有し得る。改変された糖類中の少なくとも、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個または30個の単糖単位はブロック基を有し得る。
また、各単糖単位上のブロック基の数はさまざまであり得る。例えば、単糖単位上のブロック基の数は1個、2個、3個、4個、5個または6個であり得る。好ましくは1個〜4個で、さらに好ましくは1個または2個である。
好ましくは、本発明の改変された糖類は、式(I)または(Ia)の部分を含み、この部分は、次いでアルデヒドに変換される。それ故に、本発明はさらに式(II)または好ましくは式(IIa)の部分を含む改変された糖類を提供する:
−A−N(R)−L−C(O)H (II)
−OC(O)N(R)−L−C(O)H (IIa)
ここで、A、RおよびLは上で規定した通りである。
式(I)または(Ia)のマスクされたアルデヒドを式(II)または(IIa)に転換することは、簡単な合成段階を含む。例えば、ジオールは酸化的開裂によってアルデヒドに変換され得る(例えば、NaIO、Pb(OAc)など);アルコールは酸化によって、アルデヒドに変換される(例えば、Swern酸化、Dess−Martin酸化、CrVI酸化など);アルケンは酸化的二重結合開裂によってアルデヒドに変換され得る(例えば、オゾン分解、続く還元的ワークアップ、O/NaIO、OsO/Pb(OAc)など);アセタールは酸の加水分解によって、アルデヒドに変換され得る;チオアセタールは金属配位、アルキル化または酸化によって、アルデヒドに変換され得る(例えば、HgII、Ag、AgII、CuII、MeI、N−ブロモスクシンイミドなど);カルボン酸エステル、シアノ化合物およびWeinrebアミド類は、適切な還元によってアルデヒドに変換され得る(例えば、NaBH、DIBALなど)。
好ましくは、マスクされたアルデヒドMは式−CH(OH)CHOHである。このジオールは有利に、穏やかな過ヨウ素酸酸化剤を使用する場合に対応するアルデヒドに変換され得る。NaIOのような過ヨウ素酸酸化剤は、莢膜糖類の他の感受性の官能基に影響せずに、選択的にアルデヒドを形成する。
それ故に、好ましい実施形態において、改変された糖類は式:−NH(CHC(O)H、さらに好ましくは、−OC(O)NH(CHC(O)Hを含む。
(糖類−タンパク質結合体)
式(II)または(IIa)の部分を含む改変された糖類は、輸送タンパク質に糖類を結合するために使用され得る。その結合は、好ましくは、式(II)または(IIa)の部分を含む改変された糖類のアルデヒド基とタンパク質のアミノ基の還元的アミノ化を経由する。還元的アミノ化反応は、糖類とタンパク質を結合させるための確実な方法として周知である。普通、その反応は、NaBHCNを使うことによって行われるが、他の適した還元剤も使われ得る。
したがって、本発明は糖類−タンパク質結合体を提供し、ここで、糖類とタンパク質部分は式(IV)または好ましくは(IVa)の基によって連結される。
−A−N(R)−L−NH− (IV)
−OC(O)N(R)−L−NH− (IVa)
ここで、A、RおよびLは上で規定した通りである。好ましくは、Lは本発明の結合体の−(CH−である。好ましい実施形態として、糖類とタンパク質部分は式−OC(O)NH−(CH−NH−の基によって連結される。−NH−は一般に、タンパク質に存在するアミン基、例えばリジン残基から誘導される。
本発明のタンパク質−糖類結合体において、タンパク質は好ましくは、細菌の毒素またはトキソイド、さらに好ましくは、ジフテリアまたは破傷風の毒素またはトキソイドである。これらは一般に、結合ワクチンに使用される。CRM197ジフテリアトキソイドが特に好ましい[1]。他の適した輸送タンパク質としては、N.meningitidisの外膜タンパク質[2]、合成ペプチド[3、4]、熱ショックタンパク質[5、6]、百日咳タンパク質[7、8]、H.influenzae由来のタンパク質D[9]、サイトカイン[10]、リンフォカイン[10]、ホルモン[10]、成長因子[10]、C.difficile由来の毒素AまたはB[11]、鉄を取り込むタンパク質[12]、などが挙げられる。輸送タンパク質の混合物を使用することが可能である。
結合後、遊離した糖類および結合した糖類は、分離され得る。疎水性クロマトグラフィー、接線(Tangential)限外濾過、ダイアフィルトレーション、などを含む多くの適した方法がある[参考文献13、14などもまた参照のこと]。
1つの輸送タンパク質は、複数の異なる糖類を運び得る[15]。
(改変されたNeisseria meningitidis血清型A糖類)
上記した全ての実施形態において、改変された莢膜糖類は、好ましくは改変されたNeisseria meningitidis糖類である。さらに、好ましくは、改変された莢膜糖類は、改変されたNeisseria meningitidis血清型A糖類である。
Neisseria meningitidis血清型A糖類は次のような構造を持つ:
Figure 0005268222
したがって、本発明は次の式の糖類を提供する:
Figure 0005268222
ここで:
Tは式(A)または(B)である:
Figure 0005268222
nは1〜100までの整数である。
各Z基は−OH、−OAc、−OC(O)N(R)−L−Mまたは−OC(O)N(R)−L−C(O)Hから独立して選ばれる;
各Q基は−OH、−OAc、−OC(O)N(R)−L−Mまたは−OC(O)N(R)−L−C(O)Hから独立して選ばれる;
Wは−OH、−OAc、−OC(O)N(R)−L−Mまたは−OC(O)N(R)−L−C(O)Hから選ばれる(好ましくはWはOHである);
Vは−N(R)−L−MまたはN(R)−L−C(O)Hである;
ここで、R、LおよびMは上で規定した通りであり、また、糖類は式−N(R)−L−M、−N(R)−L−C(O)H、−OC(O)N(R)−L−Mまたは−OC(O)N(R)−L−C(O)Hの少なくとも1つの部分を含む。
好ましくは、nは15〜25である。
好ましくは、Tは式(A)である。好ましくは糖類は式−OC(O)N(R)−L−MまたはOC(O)N(R)−L−C(O)Hの少なくとも1つの部分を含む。
好ましくは、QまたはZ基の1つ、好ましくはQ基の1つが−OC(O)N(R)−L−Mまたは−OC(O)N(R)−L−C(O)Hであることを除いて、天然のNeisseria meningitidis血清型A糖類の場合と、基本的に同じ相対的割合で、QとZはOH基とOAc基の混合物である。
(改変された糖類を生産するための方法)
本発明はさらに次の工程を含む莢膜糖類を改変するための方法を提供する;
(a)ヒドロキシル基を有する莢膜糖類を提供する、工程;
(b)有機溶媒中の二官能性試薬とヒドロキシル基を反応させる、工程;
(c)式(III)のアミノ化合物
HN(R)−L−M (III)
と工程(b)の生成物を反応させる、工程;
ここで、R、LおよびMは上記で規定した通りであり得る。
莢膜糖類は天然の莢膜糖類(オリゴ糖または多糖)であり得る。代わりに、莢膜糖類は例えば、脱−O−アセチル化した莢膜糖類、ブロックした莢膜糖類(PCT/IB03/01436に記載されている)または、末端のアミノ基を有する莢膜糖類(例えば、還元的アミノ化により得られる)であり得る。
「二官能性の試薬」という用語は、(i)糖類のヒドロキシル基との結合のために第1の求電子性の炭素原子を提供すること;および(ii)工程(b2)で使われるアミノ基との結合のために第2の求電子性の炭素原子を提供することの二重の機能を実行することができる任意の試薬を意味する。一般に、第2の求電子性の炭素原子は工程(b)の間、第1の求電子性の炭素原子から再生される。二官能性の試薬は多糖類とアミノ化合物との間の−C(O)−結合を提供する。
本発明で使用される二官能性の試薬としては、1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)、カルボニルジ−1,2,4トリアゾール(CDT)、カルボニルジ−1,2,3−ベンゾトリアゾール(CDB)、ジフェニルカルボネート、臭化シアン、ホスゲンまたはトリホスゲンが挙げられるが、これらに制限されていない。当業者は、これらと同じように機能し得る他の二官能性の試薬に気付く。CDIは、特に穏やかな試薬でHClまたはHBrのような、強酸性の気体を発生することを避けられるので、好まれる。
好ましくは、有機溶媒は非プロトン性溶媒である。非プロトン性溶媒は当業者に周知であり、イオン化可能な水素原子は含まない。これらの溶媒は、ヒドロキシル基の求核性を高めることによって、二官能性の試薬と糖類のヒドロキシル基との反応を促進するので有利である。適切な非プロトン性溶媒としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ホルムアミド、ヘキサメチルホスホラミド(HMPA)、ヘキサメチルホスホラストリアミド(HMPT)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)、またはジメチルアセトアミド(DMAC)が挙げられるが、これらに制限されていない。DMSOは好まれる。
上記の工程(c)において、工程(b)の後に生成した中間体カルバメート化合物は式(III)のアミンと反応する。好ましくは、式(III)のアミンはトリス−求核試薬HN(CHCH(OH)CHOHである。
本発明の好ましい工程を、以下の図式1に例示する:
Figure 0005268222
図式1において、糖類(例えば、MenA多糖類またはオリゴ糖)は、DMSO溶媒中のCDIを使用してヒドロキシル基の1つを通じて、最初に活性化される。その結果生じたイミダゾールカルバメートは、マスクされたアルデヒド官能性を有する改変された糖類に与えるために、トリス−求核試薬HN(CHCH(OH)CHOHによって、トラップされる。図2はNeisseria meningitidis血清型A糖類の活性化工程を示す。
あるいは、改変された糖類は、式XC(O)N(R)−L−Mの試薬と莢膜糖類の1個以上のヒドロキシル基とを反応させることによって、1つの工程のプロセスで調製され得、ここで、Xは離脱基であり、R、LおよびMは上記で規定した通りである。適切な離脱基としては、−Cl、−Br、−CF、−OCまたは−CClが挙げられるが、これらに制限されていない。
好ましい実施形態において、さらに(d)マスクされたアルデヒド基Mのマスクをはずすことによって、アルデヒド化合物を提供する工程;および(e)還元的アミノ化反応によって、タンパク質にアルデヒド化合物を連結する工程を含む、上で規定した通りの糖類を改変するプロセスを提供する。このプロセスにおいて、マスクされたアルデヒド基Mは好ましくは−CH(OH)CHOHであり、マスクをはずす工程は好ましくは過ヨウ素酸塩開裂であり、還元的アミノ化反応の還元剤は好ましくはNaBHCNである。好ましい実施例は図1に示す。図1において、PSは天然のNeisseria meningitidis血清型A糖類から誘導した多糖類またはオリゴ糖を表す。
(薬学的組成物および方法)
本発明は、(a)本発明の改変された糖類、および/または本発明の結合体、ならびに(b)薬学的に受容可能なキャリアーを含む薬学的組成物を提供する。結合体が存在する場合、組成物もまた遊離型のキャリアータンパク質を含み得る[16]。
「薬学的に受容可能なキャリアー」は組成物を受容する個体に有害である抗体の産生を生じさせない任意のキャリアーを含む。適切なキャリアーは一般的に大きく、ゆっくり代謝する高分子、例えば、タンパク質、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合体のアミノ酸、アミノ酸の共重合体、トレハロース[17]脂質凝集体(油滴またはリポソームのような)、および、不活性のウイルス粒子である。そのようなキャリアーは当業者に周知である。ワクチンはまた、水、生理食塩水、グリセロールなどのような希釈液を含み得る。さらに、湿潤剤、または乳化剤、pH緩衝物質のような補助物質が存在し得る。薬学的に受容可能な賦形剤の十分な考察は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、の例えば2000版(ISBN:第0683306472号)で入手できる。
一般的に、組成物は溶液、または懸濁液のいずれかとして注射可能物として調製される;注射の前に、液体ビヒクル中の溶液または懸濁液として適切な固体形態もまた調製され得る。調製物はまた、アジュバント効果を高めるために、リポソームに乳化または被包され得る。組成物を直接送達することは、一般に非経口である(例えば、皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内、または組織内の間隙空間に送達する注射による)。組成物はまた、損傷に投与され得る。他の投与の様式は、経口投与および肺投与、直腸(座薬)、経皮(transdermal)または経皮的(transcutaneous)な適用[例えば、参考文献18]、針および皮下噴射器が挙げられる。投薬治療は、単回投与または複数回投与の計画であり得る(例えば、追加抗原用量を含む)。
本発明の組成は好ましくは、無菌、緩衝化、および/または発熱物質なしである。
組成物は好ましくは、免疫原性の組成物(例えば、ワクチン)である。糖類または糖類−タンパク質結合体に基づいたワクチンは、当該分野において周知である。
免疫原性の組成物は、必要とされる場合、免疫学的に有効な量の糖類抗原および他の特定成分の任意の他のものを含む。「免疫学的に有効な量」によって、単回用量、または一連のものの部分として個体に対するその投与量が処置または予防に効果的であるということを意味する。この量は、処置されている個体の健康および体調、年齢、処置されている個体の分類学的なグループ(例えば、非ヒト霊長類、霊長類など)、抗体を合成する個体の免疫系の能力、望ましい予防の程度、ワクチンの処方、医療状況の処置する医師の評価、および他の関連した要因によって変わる。その量は慣用的な試用を通じて決定され得る比較的幅広い範囲になると予期される。投薬処置は単回用量の計画、または、複数回用量の計画(例えば、追加抗原用量を含む)である。そのワクチンは、他の免疫調節剤とともに投与され得る。
免疫原性の組成物はアジュバントを含み得る。組成物の有効性を高めるための好ましいアジュバントとしては、次の(A)〜(Z)が挙げられるが、これらに制限されていない:(A)アルミニウム化合物(例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、ヒドロキシリン酸アルミニウム、オキシヒドロキシド、オルトリン酸塩、硫酸塩など[例えば参考文献19の8章と9章を参照のこと])、または異なるアルミニウム化合物の混合物(任意の適切な形態をとる化合物(例えば、ゲル、結晶、非結晶性など)および、吸着が好まれる);(B)MF59(マイクロフリューダイザを使用してサブミクロン粒子に処方された5%Squalen、0.5%Tween80、および0.5%Span85)[参考文献19の10章を参照のこと;参考文献20もまた参照のこと];(C)リポソーム[参考文献19の13章および14章を参照のこと];(D)添加された界面活性剤[21]を欠くISCOMs[参考文献19の23章を参照のこと](E)サブミクロンのエマルジョンに微流動化されるか、または大きな粒子サイズのエマルジョンを発生させるためにボルテックスされて、10%Squalen、0.4%Tween80、5%プルロニック−ブロックポリマーL121、および、thr−MDPを含むSAF[参考文献19の12章を参照のこと];(F)2%Squalen、0.2%Tween80、(RibiImmunochem)、およびモノホスホリリピドA(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)および細胞壁骨格(CWS)からなる1個以上の細菌の細胞壁成分、好ましくはMPL+CWS(DetoxTM)を含むRibiTMアジュバントシステム(RAS);(G)QuilAまたはQS21[参考文献19の22章を参照のこと]、また、StimulonTMとして知られているようなサポニンアジュバント;(H)キトサン[例えば、22];(I)完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全フロイントアジュバント(IFA);(J)インターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12など)、インターフェロン(例えば、インターフェロン−γ)、マクロファージコロニー刺激因子、腫瘍壊死因子などのようなサイトカイン[参考文献19の27章および28章を参照のこと];(K)生分解性および毒性のない物質(例えば、ポリ(α−ヒドロキシル酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリカプロラクトンなど)から形成される微粒子(すなわち、直径約100nm〜約150μm、さらに好ましくは直径約200nm〜約30μm、最も好ましくは約500nm〜約10μm);(L)モノホスホリルリピドA(MPL)または3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)[例えば、参考文献19の21章];(M)例えば、QS21および/または水中油エマルジョンと3dMPLの組み合わせ[23];(N)CpGモチーフ[24]すなわち、少なくとも1つのCGジヌクレオチドを含んでいる、5−メチルシトシンがシトシンの代わりに必要に応じて使用される、オリゴヌクレオチド;(O)ポリオキシエチレンエーテル、またはポリオキシエチレンエステル[25];(P)オクトキシノールと組み合わせたポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤[26]、あるいは少なくとも1つのさらなるオクトキシノールのような非イオン性の界面活性剤と組み合わせたポリオキシエチレンアルキルエーテル界面活性剤、またはエステル界面活性剤[27];(Q)免疫賦活性のオリゴヌクレオチド(例えば、CpGオリゴヌクレオチド)とサポニン[28];(R)免疫賦活剤と金属塩の粒子[29];(S)サポニンおよび水中油エマルジョン[30];(T)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IL−12(必要に応じて+ステロール)[31];(U)熱に不安定なE.coliエンテロトキシン(「LT」)、あるいはK63またはR72変異体のような毒性を除いたその変異体[例えば、参考文献32の5章];(V)コレラ毒素(「CT」)、または毒性を除いたその変異体[例えば、参考文献32の5章];(W)二本鎖RNA;(X)アミノアルキルグルコサミニドホスフェイト誘導体、例えばRC−529[33]のようなモノホスホリルリピドA模倣物;(Y)ポリホスファゼン(PCPP);あるいは(Z)エステル化されたヒアルロン酸ミクロフィア[35]のような生物付着剤[34]、またはポリ(アクリル酸)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、多糖および、カルボキシメチルセルロースの架橋結合した誘導体からなる群から選ばれた粘膜付着剤。組成物の有効性を高めるための免疫賦活性の薬剤として作用する他の物質[例えば、参考文献19の7章を参照のこと]もまた使用され得る。アルミニウム塩(特にリン酸アルミニウムおよび/または水酸化アルミニウム)は非経口の免疫化のアジュバントに好まれる。変異毒素は粘膜のアジュバントとして好まれる。
ムラミルペプチドは、N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(nor−MDP)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリロキシ)−エチルアミンMTP−PE)などを含む。
一旦、処方されると、本発明の組成物は被験体に直接投与され得る。処置される被験体は動物であり得る;特に人間の被験体が処置される。ワクチンは特に子供および十代の若者のワクチン接種に有効である。
本発明によるワクチンは予防薬(すなわち感染症を予防すること)または治療薬(すなわち感染症後に処置をすることのいずれか)であるが、しかし一般的には予防薬である。
改変された糖類と同様に、組成物はさらに抗原性の成分を含み得る。例えば、組成物は1個以上のさらなる糖類を含み得る(本発明により改変された糖であろうとなかろうと)。例えば、組成物はN.Meningitidisの血清型C、W135およびY由来の糖類を含み得る(例えば、改変されたMenA糖類に加えて)。これらは一般に輸送タンパク質と結合し得、N.meningitidisの異なる血清型由来の糖類は、同じまたは異なる輸送タンパク質と結合し得る。混合物が血清型AとCの両方由来の莢膜糖類を含む場合、MenC糖類に対するMenA糖類の割合(w/w)は1より大きい(例.2:1、3:1、4:1、5:1、10:1またはそれ以上)。MenA成分の改良された免疫原性は、MenC成分に対して過剰(塊/投与量)に存在する場合に認められる。
組成物はまた、タンパク質抗原を含み得る。
本発明の組成物に含まれ得る抗原は、次のものを含む:
−CagA[36〜39]、VacA[40、41]、NAP[42、43、44]、HopX[例えば、45]、HopY[例えば、45]および/またはウレアーゼのようなHelicobacter pylori由来の抗原。
−タンパク質‘287’(以下参照)および、特に好まれる誘導体(例えば、‘ΔG287’)と、参考文献46〜52のようなN.meningitidis血清型B由来のタンパク質抗原。
−参考文献53、54、55、56などに開示されているようなN.meningitidis血清型B由来の外膜小胞(OMV)調製物。
−血清型C由来の参考文献57に開示されているオリゴ糖[参考文献58もまた参照のこと]のようなN.meningitidis血清型C由来の糖類抗原。
−Streptococcus pneumoniae[例えば、59、60、61]由来の糖類抗原。
−不活化されたウイルス[例えば、62、63]のようなA型肝炎ウイルス由来の抗原。
−表面および/または核抗原[例えば、63、64]のようなB型肝炎ウイルス由来の抗原。
−C型肝炎ウイルス[例えば、65]由来の抗原。
−百日咳ホロトキシン(PT)のようなBordetella pertussis由来の抗原、およびB.pertussis、随意的にペルタクチンおよび/または凝集原2および3[例えば、参考文献66および67]との組合わせ由来の糸状赤血球凝集素(FHA)。
−ジフテリアトキソイド[例えば、参考文献68の3章]例えば、CRM197変異体[例えば、69]のようなジフテリア抗原。
−破傷風トキソイド[例えば、参考文献68の4章]のような破傷風抗原。
−Haemophilus influenzaeB[例えば、58]由来の糖類抗原。
−N.gonorrhoeae[例えば、46、47、48]由来の抗原。
−Chlamydia pneumoniae[例えば、70、71、72、73、74、75、76]由来の抗原。
−Chlamydia trachomatis[例えば、77]由来の抗原。
−Porphyromonas gingivalis[例えば、78]由来の抗原。
−IPVまたはOPVのようなポリオ抗原[例えば、79、80]
−凍結乾燥した不活化されたウイルス[例えば、82、RabAvertTM]のような狂犬病抗原[例えば、81]。
−はしか、おたふく風邪、および/または風疹の抗原[例えば、参考文献68の9章、10章および11章]。
−赤血球凝集素および/またはノイラミニダーゼ表面タンパク質のようなインフルエンザ抗原[例えば、参考文献68の19章]。
−Moraxella catarrhalis[例えば、83]由来の抗原。
−Streptococcus agalactiae(B群連鎖球菌)[例えば、84、85]由来の抗原。
−Streptococcus agalactiae(B群連鎖球菌)由来の糖類抗原。
−Streptococcus pyogenes(A群連鎖球菌)[例えば、85、86、87]由来の抗原。
−Staphylococcus aureus[例えば、88]由来の抗原。
−Bacillus anthracis[例えば、89、90、91]由来の抗原。
−黄熱病ウイルス、日本脳炎ウイルス、デング熱ウイルスの4つの血清型、ダニ媒介脳炎ウイルス、西ナイル熱ウイルスのようなフラビウイルス科(フラビウイルス属)のウイルス由来の抗原。
−古典的なブタ熱ウイルス、牛ウイルス性下痢ウイルス、および/またはボーダー病ウイルス由来のようなペスチウイルス抗原
−例えばパルボウイルスB19由来のパルボウイルス抗原
−プリオンタンパク質(例えば、CJDプリオンタンパク質)
−βペプチド[92]のようなアミロイドタンパク質
−参考文献93の表1または参考文献94の表3および表4に記載されているような癌抗原。
組成物はこれらの1つ以上の抗原をさらに含み得る。
有毒なタンパク質抗原は必要な場合には、解毒される(例えば、化学的およびまたは遺伝的な方法[67]による百日咳の解毒)。
ジフテリア抗原が組成物に含まれる場合、破傷風抗原および百日咳抗原を含むことも好ましい。同様に、破傷風抗原が含まれる場合、ジフテリア抗原および百日咳抗原を含むことも好ましい。同様に、百日咳抗原が含まれる場合、ジフテリア抗原および破傷風抗原を含むことも好ましい。
抗原は好ましくは、アルミニウム塩に吸着される。
組成物の中に抗原は、代表的にはそれぞれ少なくとも、1μg/mlの濃度で存在する。
通常、任意の与えられた抗原の濃度は、その抗原に対して免疫反応を誘発するには十分である。
本発明の組成物の中でタンパク質抗原を使用する代わりとして、この抗原をコードしている核酸が使用され得る[例えば、参考文献95〜103]。本発明の組成物のタンパク質成分は、このようにしてタンパク質をコードした核酸(好ましくはDNA、例えばプラスミドの形態で)によって、取って代わられ得る。
本発明はまた、本発明の薬学的組成物を哺乳類に投与することを含む、哺乳類の抗体反応を上昇させるための方法を提供する。哺乳類は好ましくはヒトである。ヒトは成人または、好ましくは子供であり得る。抗体反応は好ましくは、N.meningitidis血清型Aによる感染を保護する。
本発明はまた、本発明の薬学的組成物を哺乳類に投与することを含む、哺乳類に免疫性を与えるための方法を提供する。
本発明はまた、医薬に使用する目的として、本発明の改変された糖類、または本発明の結合体を提供する。
本発明はまた、莢膜細菌によって引き起こされた疾患の予防または処置のための医薬品の製造における、本発明の改変された糖類、および本発明の結合体の使用を提供する。Neisseriaによって引き起こされる疾患は、髄膜炎、敗血症、および淋病を含む。H.influenzaeによって引き起こされる疾患は、中耳炎、気管支炎、肺炎、フレグモーネ、心膜炎、および髄膜炎を含む。肺炎球菌によって引き起こされる疾患は、髄膜炎、敗血症、肺炎を含む。細菌の髄膜炎の予防および/または処置はこのように好まれる。
(本発明を実行するための方法)
比較免疫原性研究
本発明は糖類とタンパク質の間の改良したタイプの結合を提供する。加えて、本発明による糖類−タンパク質結合体は、他のタイプの糖類−タンパク質結合体と比較して改良した免疫原性を有することが発見された。
比較の目的のために、代わりの結合を有する糖類−タンパク質結合体を調製した。改変されたNeisseria meningitidis血清型A多糖類を、糖類の水酸基のCDI活性化に続くNH−(CH−COHでのCDIカルバメート中間体のクエンチによって調製した。この改変された多糖類を、CRM197とカルボキシル基のEDAC活性化カップリングにより、糖−タンパク質結合体を調製するために使用した。したがって、多糖類とCRM197をリンカー基−OC(O)NH−(CH−C(O)NH−を通して結合した。この比較研究のために、糖類−タンパク質結合体の調製方法を「カルボジイミド法」と呼ぶ。
カルボジイミド法により調製された糖類−タンパク質結合体を、本発明による糖類−タンパク質結合体と比較した。したがって、改変されたNeisseria meningitidis血清型A多糖類を、多糖類の水酸基のCDI活性化、続くトリス−求核NH−(CH−CH(OH)CHOHでのCDIカルバメート中間体のクエンチにより調製した。アルデヒドをさらすための過ヨウ素酸塩開裂に続いて、改変された多糖類を還元的アミノ化(図1に示されているように)によりCRM197に結合した。したがって、多糖類とCRM197をリンカー基−OC(O)NH−(CH−NH−を通して結合した。この比較研究のために、糖類−タンパク質結合体のこの調製方法を、「還元的アミノ化法」と呼ぶ。
カルボジイミド法および還元的アミノ化法(2つの異なる割合で)により調製された結合体の免疫原性を、Balb/cマウスで決定した。結合体は1用量につき2μg(糖類の塊として現された)を2用量(0および14日)投与した。25日に血液が採られ、IgG力価(GMT)を決定した。加えて、MenA菌株F8238に対する血清殺菌性抗体(SBA)力価を評価した。比較のために、本発明のオリゴ糖結合体および結合されていない多糖類もまた試験した。
結果を図3に示す。オリゴ糖結合体(C)は最も良いGMT値および1024のSBA力価を与えた。対照的に、何も手を加えていない多糖類(E)は悪いGMT力価(生理食塩水コントロールに匹敵する)および悪いSBA力価(4より小さい)を与えた。カルボジイミド法(D)を使用してCRM197に結合させた場合、両方の力価は増加した(SBA:128)。還元的アミノ化法(AとB)を使用してCRM197に結合させた場合、GMTおよびSBA力価は増加した(SBA:512と1024の間)。還元的アミノ化を使用して調製した結合体で達成されるSBA力価は、結合したオリゴ糖の力価と一致した。
モルモットモデルを使用した比較のELISA計画はBalb/Cマウスで得られた結果を確証させた。
本発明は単なる例として上で記載し、本発明の範囲および精神のままで改変がなされ得ることが理解される。
Figure 0005268222
Figure 0005268222
Figure 0005268222
図1はCDI活性化した糖類由来の糖−タンパク質結合体の合成を示す。 図2はNeisseria meningitidis血清型A糖類の水酸基とCDIとの反応を示す。 図3は比較免疫原性研究の結果を示す。グラフは5つの異なる糖類免疫原(A)〜(E)についてのGMT値を示し、表は血清型A菌株F8238に対する血清殺菌力価を示す。

Claims (38)

  1. 莢膜糖類であって、該莢膜糖類は式(I):
    −A−N(R)−L−M (I)
    の部分を該莢膜糖類のヒドロキシル基のうちの1つにおいて含み、ここで:
    Aは結合、−C(O)−または−OC(O)−であり、
    はHまたはC〜Cアルキルから選ばれ;
    LはC〜C12アルキレン基であり;
    Mはマスクされたアルデヒド基であり、該マスクされたアルデヒドが以下:
    Figure 0005268222
    から選択され、ここで:
    はH、C〜C12アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アリールまたは、C5〜12アリール−C1〜6アルキルから選択され;
    XおよびYは同じまたは異なっていて、OまたはSから独立して選択され;
    およびRはC〜C12アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アリールまたはC5〜12アリール−C1〜6アルキルから独立して選択されるか;あるいはRおよびRはヘテロ原子XおよびYを含むC、C、C、C、CまたはCシクロアルキル環を形成するように結合され;
    およびRはH、C〜C12アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アリールまたはC5〜12アリール−C1〜6アルキルから独立して選択されるか;あるいはRおよびRはCまたはC12シクロアルキル環を形成するよう結合され;
    およびR10はH、C〜C12アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アリールまたはC5〜12アリール−C1〜6アルキルから独立して選択されるか;あるいはRおよびR10はC〜C12シクロアルキル環を形成するように結合され;そして、
    およびRはC〜C12アルキル基またはC〜C12シクロアルキル基から独立して選択される、
    莢膜糖類。
  2. 請求項1に記載の莢膜糖類であって、Aが−OC(O)−である、莢膜糖類。
  3. 請求項1または2に記載の莢膜糖類であって、RがHである、莢膜糖類。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の莢膜糖類であって、LがC〜Cアルキレン基である、莢膜糖類。
  5. 請求項4に記載の莢膜糖類であって、Lが−CHCHCH−である、莢膜糖類。
  6. 請求項1に記載の莢膜糖類であって、前記マスクされたアルデヒドが−CH(OH)CHOHである、莢膜糖類。
  7. 請求項1または請求項3〜6のいずれか1項に記載の莢膜糖類であって、式:−NH(CHCH(OH)CHOHの部分を含む、莢膜糖類。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の莢膜糖類であって、式:−OC(O)NH(CHCH(OH)CHOHの部分を含む、莢膜糖類。
  9. 莢膜糖類であって、式(II):
    −A−N(R)−L−C(O)H (II)
    の部分を該莢膜糖類のヒドロキシル基のうちの1つにおいて含み、ここで、A、RおよびLは請求項1〜5のいずれか1項に規定した通りである、
    莢膜糖類。
  10. 請求項9に記載の莢膜糖類であって、Aが−OC(O)−である、莢膜糖類。
  11. 請求項9に記載の莢膜糖類であって、式:−NH(CHC(O)Hの部分を含む、莢膜糖類。
  12. 請求項9または10に記載の莢膜糖類であって、式:−OC(O)NH(CHC(O)Hの部分を含む、莢膜糖類。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の莢膜糖類であって、該莢膜糖類が、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis血清型A莢膜糖類である、莢膜糖類。
  14. 以下の式:
    Figure 0005268222
    の莢膜糖類であって、ここで:
    Tは式(A)または(B):
    Figure 0005268222
    nは1〜100までの整数であり;
    各Z基は−OH、−OAc、−OC(O)N(R)−L−Mまたは−OC(O)N(R)−L−C(O)Hから独立して選択され;
    各Q基は−OH、−OAc、−OC(O)N(R)−L−Mまたは−OC(O)N(R)−L−C(O)Hから独立して選択され;
    Wは−OH、−OAc、−OC(O)N(R)−L−Mまたは−OC(O)N(R)−L−C(O)Hから選択され;
    Vは−N(R)−L−Mまたは−N(R)−L−C(O)Hであり;
    ここで、R、LおよびMは請求項1〜6のいずれか1項で規定した通りであり、式−N(R)−L−M、−N(R)−L−C(O)H、−OC(O)N(R)−L−Mまたは−OC(O)N(R)−L−C(O)Hの部分を少なくとも1つ含む、莢膜糖類。
  15. 請求項14に記載の莢膜糖類であって、nが15〜25までの整数である、莢膜糖類。
  16. 請求項14または15に記載の莢膜糖類であって、Tが式(A)である、莢膜糖類。
  17. 請求項14〜16のいずれか1項に記載の莢膜糖類であって、Q基またはZ基の1つが−OC(O)N(R)−L−Mまたは−OC(O)N(R)−L−C(O)Hであることを除いて、天然の髄膜炎菌(Neisseria meningitidis血清型A莢膜糖類の場合と、基本的に同じ相対的割合で、QおよびZはOH基とOAc基の混合物である、莢膜糖類。
  18. 請求項17に記載の莢膜糖類であって、Q基の1つが−OC(O)N(R)−L−Mまたは−OC(O)N(R)−L−C(O)Hである、莢膜糖類。
  19. 莢膜糖類を結合体にするための方法であって、該方法が、以下:
    (a)ヒドロキシル基を有する莢膜糖類を提供する、工程;
    (b)有機溶媒中の二官能性試薬と該ヒドロキシル基を反応させる、工程;
    (c)式(III)のアミノ化合物
    HN(R)−L−M (III)
    と工程(b)の生成物を反応させる、工程であって、
    ここで、R、LおよびMは請求項1〜6のいずれか1項に規定した通りである、工程、を含み、
    該二官能性の試薬が、1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)、カルボニルジ−1,2,4−トリアゾール(CDT)、カルボニルジ−1,2,3−ベンゾトリアゾール(CDB)、ジフェニルカルボネート、臭化シアン、ホスゲンまたはトリホスゲンから選択され、
    該有機溶媒が非プロトン性溶媒である、
    方法。
  20. 請求項19に記載の方法であって、前記莢膜糖類が髄膜炎菌(Neisseria meningitidis血清型A莢膜糖類である、方法。
  21. 前記非プロトン性溶媒が、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ホルムアミド、ヘキサメチルホスホラミド(HMPA)、ヘキサメチルホスホラストリアミド(HMPT)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)、またはジメチルアセトアミド(DMAC)から選択される、請求項19または20に記載の方法。
  22. 請求項21に記載の方法であって、前記非プロトン性溶媒がDMSOである、方法。
  23. 請求項19〜22のいずれか一項に記載の方法であって、前記二官能性の試薬が、CDIである、方法。
  24. 請求項19〜23のいずれか1項に記載の方法であって、工程(c)のアミノ化合物が、HN(CHCH(OH)CHOHである、方法。
  25. 請求項19〜24のいずれか1項に記載の方法であって、(d)マスクされたアルデヒド基Mのマスクをはずすことによって、アルデヒド化合物を提供する工程をさらに含む、方法。
  26. 請求項25に記載の方法であって、マスクされたアルデヒド基Mが、−CH(OH)CHOHであり、マスクをはずす工程が過ヨウ素酸塩開裂である、方法。
  27. 請求項25または26に記載の方法であって、(e)還元的アミノ化反応によって、タンパク質にアルデヒド化合物を連結する工程をさらに含む、方法。
  28. 請求項27に記載の方法であって、還元的アミノ化反応の還元剤が、NaBHCNである、方法。
  29. 髄膜炎菌(Neisseria meningitidis血清型A莢膜糖類を結合体にする方法であって、該方法は以下:
    (a)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis血清型A莢膜糖類を提供する、工程;
    (b)DMSO溶媒中で、CDIと該莢膜糖類のヒドロキシル基を反応させる、工程;
    (c)HN(CHCH(OH)CHOHと工程(b)の生成物を反応させる、工程;
    (d)過ヨウ素酸塩を用いて、工程(c)の生成物を開裂して、アルデヒド化合物を提供する、工程;および、
    (e)NaBHCNを使用する還元的アミノ化によって、タンパク質に工程(d)のアルデヒド化合物を連結させる、工程
    を含む、方法。
  30. 莢膜糖類−タンパク質結合体であって、該莢膜糖類およびタンパク質部分が式(IV):
    −A−N(R)−L−NH− (IV)
    の基を通して連結され、ここで、A、RおよびLは請求項1〜4のいずれか1項に規定した通りである、
    莢膜糖類−タンパク質結合体。
  31. 請求項30に記載の莢膜糖類−タンパク質結合体であって、RがHであり、Aが−OC(O)−であり、Lが−(CH−である、莢膜糖類−タンパク質結合体。
  32. 請求項30または31に記載されている結合体であって、前記莢膜糖類が髄膜炎菌(Neisseria meningitidis血清型A莢膜糖類である、結合体。
  33. 請求項27〜29のいずれか1項に記載の方法であって、前記タンパク質が、細菌の毒素またはトキソイドである、方法。
  34. 請求項33に記載の方法であって、前記細菌の毒素またはトキソイドが、ジフテリア毒素またはトキソイドである、方法。
  35. 請求項33に記載の方法であって、前記細菌の毒素またはトキソイドが、CRM197である、方法。
  36. 請求項30〜32のいずれか1項に記載の結合体であって、前記タンパク質が、細菌の毒素またはトキソイドである、結合体。
  37. 請求項36に記載の結合体であって、前記細菌の毒素またはトキソイドが、ジフテリア毒素またはトキソイドである、結合体。
  38. 請求項36に記載の結合体であって、前記細菌の毒素またはトキソイドが、CRM197である、結合体。
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