JP5267333B2 - 竪型粉砕機 - Google Patents
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Description
ここで、竪型粉砕機は、原料を効率的に微粉砕することができるという優れた特性を有している反面、原料の種類や粉砕条件によって、異常振動が発生するという問題点を有していた。竪型粉砕機に発生する異常振動は、様々な原因によって誘発されるために、その振動原因に応じた様々な対策を講じる必要がある。そのため、竪型粉砕機について、従来から数多くの異常振動防止対策が提案されている。
なぜなら、原料を微粉砕する際には、竪型粉砕機内で原料を繰り返し粉砕する必要がある。そして、機内で繰り返し粉砕される原料は、循環原料と呼ばれるが、循環原料の粒径は、竪型粉砕機に新たに投入された粉砕前の原料に比較すれば、当然に、小さい。
原料を微粉砕しようとすれば、循環原料の量が増えるので、回転テーブル上の原料層は、粒径の小さな細かな原料を多く含み、空隙率の高い、所謂、嵩高い状態(嵩密度としては低い状態)になる。
従って、嵩高い原料層を、粉砕ローラによって一挙に粉砕しようとすれば、回転テーブル上の原料層の上で、粉砕ローラが滑ってスリップしてしまい、粉砕ローラの回転が不規則になって、異常振動が発生するという問題が生じた。
しかし、特許文献1に開示された従来技術においても、補助ローラで圧密する際の嵩高い原料層は、空気を大量に含んで滑りやすい状況という点に変わりはない。
補助ローラで原料層を押す圧力は粉砕ローラで原料層を粉砕する圧力より小さいので、基本的に補助ローラで大きな振動が生じにくい構造であるにしても、空気を多量に含んだ原料層を補助ローラで急激に圧密すれば、原料層中の空気が一気に脱気されて、原料層と補助ローラとの間に多量の空気が介在することになる。その結果、原料層と補助ローラとの間に多量の空気が滞留し、補助ローラと原料層が大きくスリップして振動が発生するという問題が生じた。そのため、補助ローラで原料層を圧密化するにも限度があり、原料層と補助ローラとの間に多量の空気を介在させないように注意する必要があった。
(1)回転テーブル上に回転自在な粉砕ローラとコニカル型の補助ローラとを配置し、回転テーブル上に投入した原料を、補助ローラにより脱気してから粉砕ローラによって粉砕する竪型粉砕機であって、該補助ローラは、該補助ローラの小径側から大径側に延びる複数列の溝部を備えて、補助ローラの大径側に向かう溝部の端部が、補助ローラの大径側の端部まで到達せずに途中で閉じられるとともに、補助ローラの小径側に向かう溝部の端部が、補助ローラの小径側の端部に達して、該溝部の中に導入されたガスが抜けるための隙間を形成した。
図1〜図8は本発明の実施形態に係わり、図1は補助ローラと粉砕ローラの配置並びに補助ローラに設けた溝部配列を説明する図であり、図2は、竪型粉砕機の全体構成を説明する概念図である。図3は補助ローラの構造と溝部の配列を説明する図であり、図4及び図5は補助ローラの溝部と配列の形状を説明する図である。図6は本発明による他の実施形態による溝部形状を説明する図である。図7は、補助ローラの溝部から空気を排出する挙動を概念的に説明する図である。図8は補助ローラによる原料層の圧密挙動を概念的に説明する図である。
本実施形態に用いた竪型粉砕機1は、図2に示すように竪型粉砕機1の外郭を形成するケーシング1B、1A、竪型粉砕機1の下部に設置された減速機2Bと駆動モータ2Mによって駆動される回転テーブル2、コニカル型の粉砕ローラ3と補助ローラ5等を備えている。なお、本実施形態に用いた竪型粉砕機1は、駆動モータ2Mの駆動用電源としてインバータ電源を備えて、運転中、回転テーブルの回転速度が任意の変更可能な可変速式の竪型粉砕機1である。
なお、図2に示す実施形態の竪型粉砕機1は、回転テーブル2の上方に、回転式の分級機14を備えており、分級機14の分級機構として、回転テーブル2の上方に配された回転分級羽根14Aが、竪型粉砕機1の上部に設置された図示しない駆動モータにより駆動され、自在に回転する構成となっている。
なお、回転テーブル2上で粉砕された原料は、前記ガスにより吹き上げられてケーシング内を上昇し、分級機14方向に流れるが、径が大きく重量の大きな原料は分級機14まで到達できずに、或いは通過できずに落下することによって、竪型粉砕機1内で再度粉砕される循環原料となる。そして、分級機14を通過した径の小さな原料は、上部取出口39から製品として取り出される。
そして、本実施形態における補助ローラ5は、補助ローラ5のローラ幅方向(補助ローラ5の転動面の幅方向)に延びる複数本の溝部Mが加工されている。
なお、参考までに、図3において、補助ローラ5について、ローラ幅方向の寸法をローラ幅寸法Lとして、ローラ幅方向中心部のローラ直径寸法をローラ中心径寸法Dとして、記載した。
図5のA部概観図を見ればわかるように、補助ローラ5の幅方向に延びる複数本の溝部Mが一定間隔で配設されている。図5においては、溝部Mの形状が、補助ローラ5の大径側から小径側に向かって延びており、溝部の大径側の端部は、補助ローラ5の大径側端部まで到達せずに途中までしか溝加工されていないのに対して、小径側の溝部Mの端部は、補助ローラ5の小径側端部にまで溝加工がされて、ガスが抜けるための隙間を形成している。
図6においては、溝部Mの形状が、補助ローラ5の大径側から小径側に向かって縮小して、大径側の端が円弧状に丸められて閉じられるとともに、小径側の溝部Mの端部は、補助ローラ5の小径側端部にまで達して、ガスが抜けるための隙間を形成している。
ここで、図6の実施形態の特徴は、溝部の通路断面積が、補助ローラ5の大径側から小径側に向かって縮小していることにある。
図6を見れば明らかであるが、溝部Mの形状が、補助ローラ5の大径側から小径側に向かって縮小しており、溝部の深さは、幅方向中心付近がほぼ均一で、端部が浅くなっている。
図6に示した実施形態における溝部の通路断面積は、A部ローラ表面展開図に表された溝部の幅寸法(ローラ幅方向に直交する方向の溝寸法)と、溝深さ寸法とをかけ算した(乗ずる)ものになる。
前述したように、排出時のガス速度が遅くなると、ガスの排出が悪くなる。従って、溝部の端部から噴出させるガスの速度は、早い方が良い。図6に示した実施形態は、通路断面積を縮小させて排気するガスの速度を上昇させることができるという点で、特に好ましい形態の一つである。
これは、補助ローラ5と粉砕ローラ3とのローラ幅寸法を同一にしさえすれば、粉砕ローラ3で粉砕する原料層を補助ローラ5で圧密できるであろうという考え方からによる。
従って、従来は、補助ローラ5の中心径寸法Dは、粉砕ローラ3の中心径寸法より小さくても、十分に補助ローラ5としての機能を果たすものと考えられていた。
その結果、コストを削減するためとして、補助ローラ5は、粉砕ローラよりも、ローラ中心径寸法を小さくして作られることが一般的であった。
粉砕ローラ3として作られたローラをそのまま流用して補助ローラ5として使用する場合も散見されるが、その場合でも補助ローラ3と粉砕ローラ5は同一径にしかならない。
竪型粉砕機1の原料投入口35に投入された原料(本実施形態においては石炭)は、原料投入シュート13を介して回転テーブルの中央付近に投入されて、渦巻き状の軌跡を描きながら、回転テーブルの外周側に移動する。
そして、回転テーブル上に投入された原料は、後述する循環原料と回転テーブル2上で合わさって、その大部分が補助ローラ5で圧密されて脱気された後、回転テーブル2と粉砕ローラ3の間に噛み込まれ粉砕される。
そして、回転テーブル2と粉砕ローラ3に噛み込まれて粉砕された原料は、回転テーブル2の外縁部に周設されたダムリング15を乗り越えて、回転テーブル上面2の外周部とケーシングとの隙間である環状通路30(環状空間部30と称することもある)へと向かう。
そして、原料を微粉砕する場合において、竪型粉砕機1内には循環原料の割合が大きくなり、嵩高い原料層が形成される。
これは補助ローラ5についても言えることであり、ローラと原料層の間のあたりが弱い小径側の端部からガスを排出する方が、より空気の排出効果が高いという利点を有する。
本実施形態においては、以上説明したような理由から、従来技術のように、原料層と補助ローラの間で多量の空気が滞留しないので、異常振動が抑制される。
言い換えれば、原料層が嵩高い場合は、補助ローラ5を大きくすればするほど、一度に多くの原料層部分を噛み込んだ状態とすることが可能になる。
補助ローラ5の前と後で原料層の高さが変化した(前寸法がT1、後寸法がT2)場合に、補助ローラ5の中心径寸法がD1>D2ならば、圧密部分の幅寸法はX1>X2となる。そして、補助ローラ5の前と後で原料層の高さ方向の寸法の変化量が同一であるなら、圧密部分の幅寸法X1が大きい中心径寸法D1の方が、緩やかな容積変化を示すことになる。特に、原料を微粉砕する場合には、嵩高い原料層を圧密するので、補助ローラ5の前と後で原料層の高さの違いが大きく、中心径寸法Dを大きくすることにより、圧密部分の幅が大きくなるので、原料層の急激な容積変化が避けられる。
従って、本実施形態の竪型粉砕機1にとれば、補助ローラ5に対しても、急激な容積変化を緩和して、緩やかな容積変化をさせることができ、その結果、原料層の中の空気の脱気が緩やかに行われ、補助ローラ5と原料層のスリップが抑えることができるので、振動を抑えるのに効果的であって、異常振動を生じにくい。
2 回転テーブル
3 粉砕ローラ
5 補助ローラ
14 分級機
15 ダムリング
35 原料投入口
39 上部取出口
D ローラ中心径寸法
L ローラ幅方向寸法
T 原料層厚み
M 溝部
Claims (4)
- 回転テーブル上に回転自在な粉砕ローラとコニカル型の補助ローラとを配置し、回転テーブル上に投入した原料を、補助ローラにより脱気してから粉砕ローラによって粉砕する竪型粉砕機であって、
該補助ローラは、該補助ローラの小径側から大径側に延びる複数列の溝部を備えて、補助ローラの大径側に向かう溝部の端部が、補助ローラの大径側の端部まで到達せずに途中で閉じられるとともに、
補助ローラの小径側に向かう溝部の端部が、補助ローラの小径側の端部に達して、該溝部の中に導入されたガスが抜けるための隙間を形成することを特徴とした竪型粉砕機。 - 前記複数列の溝部の通路断面積が、補助ローラの大径側から小径側に向かって縮小することを特徴とした請求項1に記載の竪型粉砕機。
- 前記溝部の形状について、前記補助ローラの大径側に向かう溝の端部が、円弧状に丸められて閉じられるとともに、補助ローラの大径側から小径側に向かって、その溝幅が縮小することを特徴とした請求項2に記載の竪型粉砕機。
- 前記補助ローラの中心径の寸法が、粉砕ローラの中心径の寸法より大きいことを特徴とした請求項1から請求項2までのいずれか1項に記載の竪型粉砕機。
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